平成15年度
NITE業務実績表
参考資料集
1 A-1-(4) インドネシアにおける新規微生物資源に関する共同研究プロジェクト(2003 年) の結果 「インドネシアと日本の真菌と放線菌の分類学および生態学の共同研究プロジェクト」 独立行政法人製品評価技術基盤機構 (NITE)は、平成15年4月、インドネシア 科学研究所 (LIPI) との間で標記プロジェクトの実施内容に関する合意書(PA) に署名し、6月から共同研究を開始した。今般、暫定的な結果が出たのでその内 容を報告する。 備考:インドネシアとの包括的覚書(MOU)は、平成14年3月にインドネシア技術評価応用 庁(BPPT)と間で締結した。 1.共同研究の経緯 7~8 月 インドネシアでの試料の採集、微生物の分離、性状検査 8 月末 分離した微生物 1,000 株(真菌 500 株、放線菌 500 株)の NITE バ イオテクノロジー本部(千葉県木更津市)へ移動。 9 月~ NITE 研究施設にて分子系統(DNA 塩基配列の解析)及び形態観 察による解析日本での微生物の解析(インドネシア研究者3名の 招聘を含む) 2.研究の結果
(1)DNA 塩基配列の解析を実施した領域は真菌では 28SrDNA D1/D2; 18SrDNA 部 分配列; ITS1-5.8S-ITS2、放線菌では 16SrDNA のほぼ全配列である。 備考:上記 28SrDNA D1/D2 等は、微生物の分類学的な位置を探り、新 規の微生物であるかどうかを判断する重要な情報である。 (2)この結果、真菌 500 株中約 50 株が新種の可能性があり、放線菌において は 500 株中約 100 株が新種の可能性(新属の可能性があるものを含む)があ ることが判明した。また、この合計 1,000 株の中には、NITE がこれまでに 保存していない株で、何らかの新規性がある株が約 150 株あり、全体として は、約 300 株が新規性を持った株として NITE で保存するに値する株であっ た。この成果は平成 16 年 3 月の日本農芸化学会大会(広島)において発表 予定である。 新種の可能性がある株 真菌 500 株中 約 50 株 放線菌 500 株中 約 100 株 何らかの新規性がある株 1,000 株※中約 150 株 合計 1,000 株中 約 300 株 ※真菌 500 株+放線菌 500 株
2 3.考察 日本国内で、インドネシアと同様な環境、手法を用いて微生物を探索した 場合を経験則に基づき比較すると、インドネシアにおける微生物の多様性は 豊富であり、未知の微生物が多数存在することが明らかになった。また、本 研究において分類学上新規ではないとされた微生物であっても、日本とは著 しく異なる環境に生育していることから、新規の機能や代謝産物が存在する 可能性があり、有用微生物の探索源として有望であると考えられる。 4.その他 (1)本年12月17日にインドネシアにおいて、本プロジェクトの成果報告及 び評価を行い、翌18日に平成16年のプロジェクト内容について協議した。 (2)上記インドネシア株 1,000 株は、産業利用可能な新たな機能・特性を有し ている可能性がある。このため、NITE としては、この 1,000 株を使用し産 業利用の可能性を企業と共同で研究することとし、希望する企業を公募し、 来年度からの実施を目指す。
参考資料A-2-(2)
国際糸状菌ゲノムコンソーシアムについて
1.国際糸状菌ゲノムコンソーシアムについて NITE は、中期目標に掲げている生物遺伝資源にかかる情報等の高付加価値化 業務として、Aspergillus oryzae のゲノム解析を、麹菌ゲノム解析コンソーシアム との共同研究により行っているところである。A. oryzae は、微生物としては最 大級の約 37Mbp のゲノムサイズであり、平成 13 年度までにドラフトシーケンス を終了し、現在塩基配列の確定作業を実施している。 今後、A. oryzae の塩基配列確定及びアノテーションを行う上で、巨大なゲノ ムサイズによる間隙部位や難読部位等の問題、真核生物特有のアノテーション の困難が予想される。しかし、The Institute of Genome Research (TIGR)及び Sanger Institute で解析中の近縁種 A. fumigatus 及び Whitehead Institute of Biomedical Research で解析中の近縁種 A. nidulans についての情報を入手するこ とにより、それらが解決されることが期待され、共同研究目標及び中期目標の 達成に資すると考えられる。 このような背景から、糸状菌のゲノム解析に関する情報の共有を目的とした 国際糸状菌ゲノムコンソーシアムに、共同研究先である財団法人日本醸造協会 を中心としたコンソーシアムとともに参画した。 2.国際糸状菌ゲノムコンソーシアムに参画するメリット NITE が、国際糸状菌ゲノムコンソーシアムに参画するメリットは以下のとお りである。 ①近縁種の情報を入手することにより、糸状菌特有のゲノム解析の問題を 解決することができ、共同研究目標及び中期目標の達成に資する。 ②国際糸状菌ゲノムコンソーシアムによる糸状菌3種の論文を、同時かつ 同雑誌に共著で発表することにより、国際協調に貢献するゲノム解析機 関としての NITE を世界にアピールできる。研究開発項目 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 1.Rhodococcus erythropolis のゲノム解析(ドラフ ト及び精密) 2.Micrococcus 属細菌のゲノム解析(ドラフト) 3.Rhodococcus opacus のゲノム解析(ドラフト)
生物機能活用型循環産業創造プログラム
「エネルギー使用合理化技術開発(産業システム全体の環境調和型への革新技術開発)/生物機能を活用した生産 プロセスの基盤技術開発/微生物遺伝資源ライブラリーの開発」参考資料A-2-(3)
4.上記2.又は3.のゲノム解析(精密)A-2-(5)
生物遺伝資源の産業利用促進事業に係る共同研究について
1.微生物酵素触媒を用いた不斉分子製造技術開発の研究(日本触媒等) ①事業の目的 超好熱菌の遺伝子資源を利用して、光学活性シアノヒドリン誘導体合成のための実用的 酵素触媒の開発及び効率生産技術の開発を実施する。 ②計画・ターゲット等 シアノヒドリンを生成する反応を触媒する酵素(ヒドロキシニトリルリアーゼ)は天然 型であるため安定性が不十分である。この酵素をDNAシャフリング等の遺伝子改変技術 を利用して、工業規模での使用に耐えうる酵素触媒へと改変し、効率的生産できる技術を 開発する。 2.生物学的手法を利用する光学活性非天然型アミノ酸およびヒドロキシカルボン酸の合 成ライブラリー構築法の研究(早稲田大学等) ①事業の目的 光学活性 α-アミノ酸や α-ヒドロキシカルボン酸を簡便に合成する方法を確立し、 非天然型の光学活性アミノ酸および α-ヒドロキシカルボン酸のライブラリーを構築す る。 ②計画・ターゲット等 生合成ルートにはない多様な α-ケト酸を化学合成し、アミノ酸合成経路に導入するこ とにより非天然型アミノ酸を得ることができる。NITEが有する様々な微生物ライブラ リーの中から、これらの反応に適した生物触媒を探索し、医薬品合成探索のための有用な 光学活性アミノ酸および α-ヒドロキシカルボン酸の化合物ライブラリーを作る方法を 確立する。 3.RITE バイオプロセスによる高効率化学品製造に資する基盤技術要素開発の研究((財)地球 環境産業技術研究機構等) ①事業の目的 神経機能改善薬や抗ウィルス剤などの中間体を、事業化可能なコストと品質で製造する 技術を確立する。 ②計画・ターゲット等 NITEが有する保存微生物よりキラル炭素形成反応酵素を生成する菌株をスクリー ニングする。得られた微生物より酵素遺伝子を取り出し財団法人地球環境産業技術研究機 構が保有する組換え技術を用いたプロセスに導入する。本プロセスを用いて、反応条件や 分離精製プロセスの最適化を行い、神経機能改善薬や抗ウィルス剤などの中間体として有用な化合物の製造技術を確立する。 共同研究先は、当該共同研究事業の終了後1~2年以内に、得られた成果を活用した事業 化を行っていくもので、当該事業は、新製品の開発等、新たな市場や産業の創出に大いに 資するものである。 NITEは、当該共同研究事業によって得られた情報について積極的に公開していく。 また、事業を実施する過程において得られる DNA クローン等の産物についても、必要に応 じ公開し提供していく。