慈恵ICU勉強会 2014.10.18
Contents
① INTRODUCTION ② GCSの開発と発展③ GCSの信頼性
④ GCSの不足点、GCSの問題点 ⑤ GCSの補足 ⑥ まとめ、私見
Ø 1974年−The Lancet−
ある意識障害の評価方法が提案された
→後にGlasgow Coma Scale(GCS)と呼ばれる
Ø 2014年:40年後の現在 GCSは、世界中で臨床・研究において不可欠な存在 Ø このPersonal Viewは... GCSの開発者たち自身が、当初の目的をどの程度達 成されているか評価し、現在の臨床・研究における役 割に助言するものである Lancet Neurol 2014; 13: 844-54
GCS開発の背景
• 1970年代以前 頭部外傷や急性脳障害の患者の評価は困難で、画一 的ではなかった • 意識レベルの評価 :明確な定義はなく、一貫性のない方法で評価 →comatose、sub-comatose、obtundation、stupor、 semi-purposeful、posturingといった用語に分類 Lancet Neurol 2014; 13: 844-54GCS開発の背景
• 1974年 The Lancetで、意識障害の評価方法が提案 || “刺激への応答”に基づいた意識レベルの評価方法 →曖昧な用語の結果生じる混乱に対処 • 市中病院と高次施設の間で、明確で一貫性のある情報共 有が必要とされていた • 入院時の状態と転帰の関連性を明らかにする必要性 Lancet Neurol 2014; 13: 844-54GCSの誕生
GCSという評価方法の提案
• あらゆる場面で普及するように、特別なトレーニン グを受けていない医療スタッフによって簡単に実 施できるもの • あらゆる場面で出会う、様々な程度の意識障害患 者を表現することができる • “刺激への反応”を3種類の側面から評価する The Lancet 1974; 13: 81-84GCSという評価方法の提案
ü Eye Opening
Spontaneous、To speech、To pain、No response
ü Best Verbal Response
Orientation、Confused conversation、
Inappropriate speech、Incomprehensible speech、 No response
ü Best Motor Response
Obeying commands、Localising response、
Flexsor response、Extensor response、No response
GCSによる評価
GCSの発展
• Motorは、1974年オリジナル版 では5段階であった • 1979年改訂版で、Motorの項 目が6段階に改められた →屈曲反応を正常と異常に分 けることで、予後予測に有用 であることが示されたため Lancet Neurol 2014; 13: 844-54 Acta Neurochir Suppl 1979; 28: 13-16GCSの発展
• 簡便、情報伝達が容易、臨床的変化を捉えやすい →医療従事者、特に看護師から歓迎された • 現在GCSは、80以上の国で使用され、その74%の 国ではそれぞれの公用語に翻訳されている• WHOによるICD-11:injury and neurology sectionに もGCSは使用されている
GCSを用いた重症度分類
• 頭部外傷患者の重症度のスペクトラムは連続的な ものであるが、GCSの点数をもとに重症度を分類 することは今日ではcommon practiceである • USの6箇所の頭部外傷センターにおいて大規模な 頭部外傷患者のデータ収集が行われ、1983年J. Neurosurgでそのpilot phaseが発表された • これはGCS 8点以下を重症頭部外傷と定め、その 患者について受傷機転や転帰を含めた様々な データを収集するものであった Lancet Neurol 2014; 13: 844-54 J. Neurosurg 1983; 59: 276-284GCSを用いた重症度分類
• 今日私たちが用いているGCS 1-8点を重症、9-12 点を中等症、13-15点を軽傷とする重症度の分類 はこれに端を発する • 科学的というよりは即興的な分類ではあったが、 重症度をsummarizeすることには有用であった Lancet Neurol 2014; 13: 844-54 J. Neurosurg 1983; 59: 276-284GCSを用いた重症度分類
GCSと予後、転帰の関連
• 重症度の指標としてのGCSの妥当性 一般に、GCSと他の臨床的特徴、機能的・代謝的 特徴、構造的特徴とoutcomeとの関係を評価する • GCSの点数と種々のoutcomeとの相関関係を示し た研究がある Lancet Neurol 2014; 13: 844-54GCSと早期脳障害指標との関連
GCSと早期脳障害指標との関連
GCSと臨床転帰の関連
GCSと臨床転帰の関連
GCSと臨床転帰の関連
④ GCSの不足点
GCSの問題点
GCSの信頼性を弱める因子
• 特に、GCSの各項目が“評価不能”とみなされる点 について述べる • 今日、重症外傷患者はしばしば受傷の時点で鎮 静、気管挿管されており、GCSの各項目が評価不 能であるとみなされることは1974年と比較して増加 している • 評価不能であるとみなされる原因により、各々の “失われたデータ”へのアプローチ方法は異なる Lancet Neurol 2014; 13: 844-54GCSの各項目が評価不能とみな
される因子
• 薬物(麻酔薬、鎮静薬、筋弛緩薬など) • 脳神経障害 • 中毒(アルコール、薬物) • 聴力障害 • 気管挿管、気管切開 • 四肢、脊髄障害 • 失語症 • 認知症、精神疾患の存在 • 眼球外傷 • 言語、文化的問題 • 眼窩腫脹 Lancet Neurol 2014; 13: 844-54交絡因子へのアプローチ
Ø 一時的な鎮静の中止(wake-up test) Ø 挿管、気切患者のVをVTとする Ø 鎮静されている患者、評価不能の患者に対し1点 を付けない Ø 統計に基づく補完 挿管患者のverbal scoreを開眼、運動反応に基い て補完する Lancet Neurol 2014; 13: 844-54Verbal scoreの補完
Verbal scoreの補完
• GCSの各項目の間には数学的な関連があるという 仮定のもと、挿管された患者のVerbal scoreをその 他の項目から計算する方法を提案する • この関連は1次、2次、3次の多重線形回帰式を用 いて容易にモデル化される J Trauma 1996; 41(3): 514-522 J Trauma 1998; 44(5): 844-845Verbal scoreの補完
Verbal scoreの補完
GCSを有効に臨床に用いるために..
• 各項目の反応をそれぞれ独立して記録する • 最良運動反応が6段階、全体で15点が満点である スケールを用いる • 評価不能であるとみなされる項目に、代替として1 点を付けることを避ける • 評価方法の標準化を改善していく • 予後評価に用いる場合は、他の因子と組み合わ せる(年齢、瞳孔の反応、画像所見) Lancet Neurol 2014; 13: 844-54GCSがカバーしない領域へ
GCSがカバーしない領域へ
• Minimally consious stateという概念
最小限かつ変動する意識状態を示すが、コミュニ ケーションは不可能である状態の患者を表現する 概念