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(1)

財政学II

11回

佐藤主光(もとひろ)

(2)
(3)

(参考)平成29年度税制改正大綱

【車体課税の見直し】(抜粋)

なお、消費税率10%への引上げの前後における駆け込み需要及び反動

減対策に万全を期す必要があり、自動車をめぐるグローバルな環境、自動

車に係る行政サービス等を踏まえ、簡素化、自動車ユーザーの負担の軽

減、グリーン化、登録車と軽自動車との課税のバランスを図る観点から、

平成31年度税制改正までに、安定的な財源を確保し、地方財政に影響を

与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合

的な検討を行い、必要な措置を講ずる。

(4)

自動車関係諸税の規模・種類

 自動車関係諸税は、①車体課税と②燃料課税の2つがあり、合計で我が国の租税総収入の 約8%以上を占める重要な財源の一つ。

(5)
(6)

車体課税の概要

取得段階 自動車税 【都道府県税】 軽自動車税 【市町村税】 登録車 軽自動車 保有段階 取得価格×3% 取得価格×2% (定額/年) 10,800円 排気量に応じ (29,500円~ (定額/年) 2,500円 (エコカー) 3,300円 (非エコカー) (車体重量(0,5トン毎)に応じ/年) 2,500円 (エコカー) 4,100円 (非エコカー) 5,700円 (13年経過車) 6,300円 (18年経過車) ※消費税10%引上げ時(平成31年10月1日)に廃止→自動車税/軽自動車税に環境性能割が導入 自動車取得税 【都道府県税】 自動車重量税 【国税】 購 入 時 新 規 登 録 時 + 車 検 時 毎 年 +エコカー 減税 +エコカー 減税 +グリーン 化特例  ①購入時(取得段階)と②毎年の保有状況(保有段階)に応じ、3つの車体課税(①自動車取 得税、②自動車重量税、③自動車税or軽自動車税)あり。  登録車と軽自動車で税額や課税方法が異なる。

(7)

(参考)軽自動車税及び自動車税の税額の構造

111,000 軽四輪 (乗用・自家用) 10,800 軽四輪 (乗用・営業用) 6,900  軽自動車は定額、登録車は排気量に応じて税額が段階的に上昇。毎年課税。

(8)

(参考)自動車の保有税負担にかかる国際比較

保有段階における税負担の国際比較

 日本の保有段階の税負担は国際的にも重い(米国の約32倍、ドイツの約3倍、イギリスの2.5倍)。 一方、主な諸外国は、保有税は低い分、付加価値税が高く傾向あり。

(9)
(10)

車体課税の「近代化」?

成り立ち 自動車取得税 (昭和43年創設)  地方道路整備の緊急性から、自動車の取得の際の担税力に応じて負担 自動車税 (昭和15年創設)  自動車を所有している事実に基づく担 税力及び道路損傷負担の両面から、所 有者に税負担 軽自動車税 (昭和33年創設) • 担税力を排気量=エンジンの大きさで測定 ⇒「外形標準的」資産課税・・・  他の税制では担税力は所得、資産、消費などの価値 (金額)でもって測られる • 自動車を所有している事実に基づく担税力 ⇒奢侈品としての自動車 新しい経済環境への適応 課税根拠 課税ベース 自動車保有=担税力ではない 車は奢侈品ではない=資産課税からの転換 新しい課税根拠 環境税 排気量(CO2)

(11)

所有から利用への変化

• 新しい経済環境=若者の「自動車離れ」とライドシェア(海外の例:ウーバー)の普及 ⇒所有から利用への転換 • 新たな課税根拠 (1)環境への配慮+(2)道路の利用(に伴う摩耗)に対する対価⇒取得・保有段階ではなく、利用に 対する課税・料金  利用されない(車庫で眠った)自動車は大気汚染も道路の摩耗も起こさない・・・  電気自動車はエコではない・・・⇒電源からCO2を排出(例:火力発電所)  化石燃料に加えて電気使用を含む環境税  例:デンマーク「炭素税」、英国「気候変動税」⇒車体課税から環境税への税体系のシフト  応益負担=ICT技術(GPS等)を活用した道路の利用に対する料金賦課  例:英国の道路料金

(12)

諸外国の自動車税

ドイツ イギリス フランス 税 取得時 保有時 走行時 取得時 保有時 走行時 取得時 保有時 走行時 税金名 VAT ガソリン・ディーゼル車 電動車 エネルギー税 VAT 自動車物品税 物品税の追自動車 加課税 炭化水素油 税 VAT 登録税 乗用車税 燃料税 09年以降登録車 09年以前 基礎課税 排出量に応CO2 じた課税 排気量に 応じた課税 電動車 への課税 課税 基準

購入金額 排気量 排出量CO2 燃料タイプ+排ガス性能 車体重量 燃料の種類 購入金額 排出量CO2 車体価格 燃料の種類 購入金額 馬力 排出量CO2 燃料の種類

税額・ 税率 標準税率 19% (€/100cc2~9.5) 基準値 超過分 2 (€/(1g/km)) 6.75~ 37.58 (€/100cc) €5.625 ~6.390 (10年間免 税) 47.00 ~65.50 (€/100l) 標準税率 20% ~2,000£0 £310~450 62 ~129.9 (£/100l) 標準税率 20% €27 ~51.2 +パワートレイン 別減税 €160 ~65.9410.85 (€/100l)

(13)
(14)

デンマーク オランダ* イギリス ドイツ 税目 炭素税 燃料税 (旧一般燃料税) エネルギー税 (旧燃料規制税) 炭化水素油税 気候変動税 エネルギー税 (旧鉱油税) 電気税 主な課税物件 ガソリン ○ - - ○ - ○ - 灯油 ○ - ○ ○ - ○ - 軽油 ○ - ○ ○ - ○ - 重油 ○ - - ○ - ○ - 石炭 ○ ○ - - ○ ○ - LPガス ○ - ○ ○ ○ ○ - 天然ガス ○ - ○ ○ ○ ○ - 電力 ○ - ○ - ○ - ○ 課税対象とされる 主な用途 交通・事業・ 家庭用 交通・事業・ 家庭用 事業・家庭用 交通・事業・ 家庭用 事業用のみ 交通・事業・ 家庭用 交通・事業・ 家庭用 課税段階 (納税義務者) 製造・輸入 (電力は供給) 製造・輸入 製造・輸入 (電力は供給) 製造・輸入 供給 製造・輸入 供給 施行時期 1992 年導入 (既存のエネルギー税 とは別に導入) 1992 年 (既存の一般燃料課徴金を 旧一般燃料税に改組) 1996 年導入 (追加課税) 1993~99 年 (税率の大幅な引 上げ) 2001 年導入 (課税対象の 拡大) 1999 年 (2003 年まで段階的に 税率引上げ) 1999 年導入 (課税対象の拡大・2003 年まで段階的に税率引 上げ)

欧州諸国におけるエネルギー税制による地球温暖化

対策の概要

(15)

ロード・プライシングの例

エリア周縁にカメラを設置し、 読み取ったナンバープレート 実施方法

(16)
(17)
(18)

資産選択

• 一定の資産=Wを所有する「代表的」家計に着目 • ポートフォリオ=家計は資産を①安全資産(例:国債・預貯金)と②危険資産 (例:株・土地)に投資 -安全資産の収益率はi(例:5%)で一定 -危険資産の収益率rは変動  x=危険資産保有の比率 • 家計はリスク「回避的」(効用関数は凹関数) =危険を進んでは引き受けない行動パターン

(19)

r p 1-p 家計は予め(事前に)どちらが 生じるが知らない

r

>

i

i

r

< 0

<

危険資産の収益(例)

(20)

家計の選択

予算制約の下、「期待効用」を最大化

)

)

~

1

(

)

1

)(

1

((

i

x

W

r

xW

EU

Max

x

+

+

+

危険資産 比率 危険資産からのリターン 初期資産 効用の期待値=期待効用

[

(

~

)

'

((

1

)

(

~

)

)

]

0

=

E

r

i

×

U

+

i

W

+

r

i

x

*

W

最適な危険資産比率 確率変数

(21)

0 損失が生じた ときの所得 利益が生じた ときの所得 1 F G 状態間取引

r

r

=

~

r

r

=

~

W i) 1 ( + W i) 1 ( + xW r i ) ( − xW i r ) ( −

x

E

i

r

E

[

~

]

>

(22)

0 1.リンゴ 2.明日の消費 3.消費 4.雨の日の消費 1.ミカン 2.今日の消費 3.余暇(労働) 4.晴れの日の消費 図3:家計の選択

(23)

資産(所得)効果と危険回避度

効用関数

危険回避度

資産効果

CES関数

相対的危険回

避度一定=

α

危険資産比率=x

Wから独立

指数関数

絶対的危険回

避度一定=

α

危険資産額=x*

WはWから独立

x

e

x

u

(

)

=

−α α

α

− − = 1 1 1 ) (x x u

(24)

資産選択の一階条件

[

(

~

)

'

((

1

)

(

~

)

)

]

0

=

E

r

i

×

U

+

i

W

+

r

i

x

*

W

(

)

[

×

+

+

−α

]

−α

=

E

(

~

r

i

)

(

1

i

)

(

r

~

i

)

x

*

W

[

r i x W

]

i W

e

e

i

r

E

(

~

)

×

− (~− ) * − (1+ )

=

α

α α α

α

=

1

1

1

)

(

x

x

u

x

e

x

u

(

)

=

−α Wから独立 Wから独立

(25)

危険資産と課税

• 資本所得に対して税率tで課税を行うとする。 • 「損益通算」を仮定⇒危険投資からの損失は他の(資本)所得と損益を通算可能 • 利益に対しては課税するが、損失は一部を政府が補填(例:税率を10%とすれば、10万円の損失に対 して、税が1万円(=10%X10万円)軽減) • 安全資産・危険資産の「平均」収益率を低下させる一方、危険資産のリスク(収益率の幅)を縮小 • 危険資産のリスクが軽減される分、危険資産投資は喚起 ⇒ 「貯蓄から投資へ」

(26)

0 u(x) x=収益 F F

r

)

1

(

1

+

τ

r

)

1

(

1

+

τ

]

[

)

1

(

1

+

τ

E

r

) 1 ( ) 1 ( ) 1 ( r p u r pu + + − + 危険投資のリスク G G

 危険資産に

1万円投資

効用水準

(27)

家計の選択

 危険資産・安全資産収益率に一定税率=τ

)

))

1

(

~

1

(

)

1

))(

1

(

1

((

i

x

W

r

xW

EU

Max

x

+

τ

+

+

τ

危険資産 比率 課税後収益><0 初期資産 期待効用の最大化

[

(

~

)

'

((

1

(

1

))

(

~

)(

1

)

ˆ

)

]

)

1

(

0

=

τ

E

r

i

×

U

+

i

τ

W

+

r

i

τ

x

W

最適な危険資産比率 確率変数 収益の変動幅が低下 負の資産効果

(28)

課税と資産選択

• 課税(=τ)が危険資産投資=xを喚起するケースがある 前提条件 (1)危険資産・安全資産に一律税率 (2)損益通算(危険資産の損失を安全資産収益から控除可) ⇒金融課税の一体化 α α − − = 1 1 1 ) (x x u

0

=

E

[

~

r

×

(

1

+

(

r

~

i

)(

1

τ

)

x

ˆ

)

−α

]

0 = i *

x

課税が無いときの 危険資産比率 x

e

x

u

(

)

=

−α

E

[

r

i

e

r i)(1 )xˆW

]

~ (

)

~

(

0

=

×

−α − −τ *

x

>

=

=

τ

仮定

(29)
(30)

脱税とリスク

• 脱税は危険資産投資と解釈できる • 高収益=脱税の成功による税支払いの軽減 • 低収益(損失)=課税当局の摘発による懲罰(追徴課税) 査察なし 査察あり=摘発

I

脱税=所得 の過小申告 納税額:

T

=

τ

(

I

I

)

=

τ

I

τ

I

納税額:

T

=

τ

I

+

m

τ

I

脱税の利益 追徴課税

(31)

納税者の選択

• 仮定  代表的家計(納税者)の真の所得は一定  政府は所得に比例税  追徴課税は脱税額に比例(m>1)

)

(

)

(

)

1

(

p

U

I

I

I

pU

I

I

m

I

Max

I

τ

+

τ

+

τ

τ

脱税が摘発 過小申 告所得 =脱税額 所得税率

)

)

1

((

'

)

)

1

((

'

)

1

(

p

U

τ

I

+

τ

I

*

=

pmU

τ

I

m

τ

I

*

z

y

=(本来の) 可処分所得 *

=

τ

(32)

脱税の実証分析

TAX EVASION AND TAX RATES: AN ANALYSIS OF Data:

IRS Taxpayer Compliance Measurement Program (TCMP)

47,000 individual tax returns for 1969.

γ

λ

β

α

t

I

T

X

I

=

+

+

×

+

*

ln((

1

)

)

'

過小申告 限界税率 過小申告所得は限界税率 に有意に正に反応 ⇔理論的帰結 コントロール変数

(33)
(34)

再掲:カナダの租税支出

• 租税支出=減税の「見え る化」 減税と給付=支出の等 価性の確保 • 見える化で無制限な軽 減税率対象の拡大に歯 止め 11.8% 12.2% 11.9% 11.7% 11.5% 11.1% 10.8% 10.2% 10.3% 11.1% 10.9% 11.0% 11.1% 10.8% 10.8% 10.2% 10.1% 10.1% 9.8% 10.1% 10.1% 11.8% 12.3% 12.1% 12.1% 12.6% 0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 基礎的食料品ゼロ税率 GST 税額控除 GST税収に対する軽減額(Tax Expenditure) の比率

(35)

参考:各国の租税支出レポート

図表 各国における租税支出レポート 国 名 目的 法的根拠 予算(書)との関係 対象項目 米 国 税制の改革と赤字の 削減 1974 年議会予算・執行留 保統制法 予算書の一部(租税支出予算) (連邦政府)個人所得税、法人所得税、 相続・贈与税、社会保障税 英 国 税制・予算論議の促 進 2011 年財政法 予算書の一部。 (中央政府)個人所得税、法人所得税、 キャピタルゲイン税、国民保険税、VAT 他 カ ナ ダ 租税支出コストの情 報提供 なし 予算への追加的背景情報(租税支出 及び評価) (連邦政府)個人所得税、法人所得税、 消費税(GST) 日 本 租特の適用実態の把 握 2010 年租特透明化法 予算審議との関連性はない (国税)法人税 出所:出所表示は渡瀬義男(2008)「租税優遇措置-米国におけるその実態と統制を中心として-」『レファレンス』695 号を 基に近年の動向を踏まえて作成

(36)
(37)
(38)
(39)
(40)
(41)
(42)
(43)
(44)

y = 0.697x - 0.9038 R² = 0.4077 y = 0.5347x - 1.0909 R² = 0.6343 -1.00 -0.50 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 T F P成長率 R&D 支出(対GDP比) 日本のR&D投資の生産性は高くない 1990s 2000s以降 線形(1990s) 線形(2000s以降)

図表

4:

日本 注:サンプルはベルギー、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スウェーデン、英国、米国

(45)
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(60)

個人は合理的か?

• 奇妙(アノマリー)な選択・現象にも「合理的」な理由? • 株式・土地等資産価格の高騰(バブル・「根拠なき熱狂」?) ⇒画期的技術の登場や市場の開拓を含む経済の生産性(ファンダメンタルズ)を織り込む? • 個人の過少貯蓄 ⇒将来の所得増、両親からの遺産、政府からの支援(「サマリア人のジレンマ」)を期待  モラルハザードも「合理的」 • 「合理的中毒」 ⇒喫煙・薬物のような中毒性のある財の消費は健康被害を正しく認識した上で敢えて止めないこ とが(生涯)効用最大化の解 合理性を「前提」にすると、全ての事象を「合理的」に説明したくなる・・・

(61)

不合理な個人の選択

• 「仮定」としての合理性から不合理を許容する理論へ⇒行動経済学の知見 • 行動経済学=個人の不合理性を前提に彼等の選択を再定式化  貯蓄から就労・消費行動、健康管理、納税まで様々な分野に応用  ただし、不合理≠「いい加減」 • 不合理な振る舞いに(予測可能な)一定の「規則性」⇒理論化が可能  例:個人の簡便な思考方法(=ヒューリスティック)、「プロスペクト理論」など • 理論の構築と実証(実験、ランダム比較実験) • 政策的要請=合理的選択を妨げない一方、不合理な選択を矯正  ナッジ=個人の選択を尊重した誘導⇒相反する要請に対応

(62)

ヒューリスティック

• ヒューリスティック=効用最大化に代わる「簡便」な思考法 例:個人の貯蓄選択 • 将来の所得・投資(貯蓄)からの収益を見越しつつ、生涯期待効用を最大化するよう各期の消費 を選択? 所得の一定割合を貯蓄に充てるよう「習慣」付けた方が簡単・・・ 例:個人の労働所得 • 賃金率と労働の不効用を見極めながら、労働時間(稼得所得)を選択? 一日あたり一定の所得稼得目標を定めた方が簡単・・・  ニューヨークのタクシー運転手:雨の日は稼ぎが良いにも関わらず、一定程度の売り上げが確 保できれば、早めに仕事を切り上げる

(63)

ヒューリスティック(其の

2)

• ヒューリスティックは個人の生活の知恵・・⇒問題も少なくない • 当初の簡便な選択(貯蓄・稼得所得)は最適ではない(過小・過剰)かもしれない • 合理的な意思決定=「最適解」に近づけるべく誤り(エラー)は適宜修正 • 「現状維持バイアス」=ヒューリスティックな思考は、誤りの修正に欠き、本来好ましくない現状 が継続  貯蓄・就労を促進すべく税制優遇といった「金銭的誘因付け」を施しても効果は出てこないとす れば、こうした現状維持バイアスが働いているため?

(64)

フレーム効果

• 不合理(選択がヒューリスティックな)個人の選択は問題設定の表現方法(フレーム)に左右され やすい。 例1:「コップの水が半分しかない」=「コップの水はまだ半分ある」⇒後者の方が好意的に受け 取られる。 例2:「生存確率が60%の治療」=「死亡確率40%の治療」⇒治療の是非を訊いた実証実験では 参加者は質問の形式が前者のとき多く賛成する傾向 例3:「低い消費税率(=8%)を標準税率として飲食料品以外に対して税率(=2%)を上乗せ」= 「高い税率(=10%)を標準として飲食料品に軽減税率(=8%)を適用」⇒後者の方が政治的に は通り易い • 「フレーム効果」=表現方法を変えるだけで人々の嗜好が変化⇒フレーム効果を使って(不合理 な)個人の意思決定に影響することも可能

(65)

例:督促のフレーム効果

• 英国では罰金の督促状の「表現」を変え る実証実験を実施  EBPMの一環 ・督促状に個人名を明記すると支払い比 率が30%以上に上昇 ⇒監視されている印象を持つ? ・追加のコスト(徴収費用)を要することな く、罰金収入を向上 ⇒「フレーム効果」

(66)

納税のフレーム効果

• 英国では滞納税の督促状の「表 現」を変える実証実験を実施  EBPMの一環 • 「近所」(同じコミュニティ)の納税 者が期日内に納税している旨を 表現すると回収率が向上 ⇒  近隣の納税規範が影響?  近所の目が気になる・・?

(67)
(68)

税込み価格と税抜き価格

• 税抜き価格=100円(税率8%)も税込み価 格=108円も値段は同じ • 消費者は課税を正しく認識しているか?  税抜き価格の需要>税込み価格の需要?  税抜き価格のとき、消費者は課税額を過小 に評価? • フィールド実験(米国カリフォルニア2005- 06年)  米国の小売上税は外税(税抜き価格) 一部の店舗の対象商品(13商品)を税込み から税抜き(外税)に切り替え 他の商品・商店と比較

(69)

DDD分析

• 仮説:消費者は税抜き価格の時、課税額を 過小に見積もる • 分析:処置店の対象(介入)商品に着目 介入した商品 =13 介入しない商品 =95 処置店=1 ○ 対照店=2 処置店の対象(介入)商品は有意に減少 ⇒税込み価格は需要を有意に下げる

(70)

査察と主観的確率

• 客観的査察(実調)率は個 人は1%程度 ⇒脱税(過少申告)しても摘 発されるリスクは低い・・・ • 納税者の多くは(概ね)正 しく所得申告  正直な申告は社会規範?  査察確率を高く評価? 主観的確率>客観的確率

(71)

主観的確率;

• 脱税の摘発=低頻度・(捕まる と)高損失リスク • 個人は客観的確率よりも高く 評価(主観確率>客観確率)  脱税摘発(取り締まり)強化の ニュースにも影響される? ⇒脱税を控える誘因・・・ 個人の不合理性に支えられた 徴税体制?

(72)

再掲:納税のフレーム効果

• 英国では滞納税の督促状の「表 現」を変える実証実験を実施  EBPMの一環 • 「近所」(同じコミュニティ)の納税 者が期日内に納税している旨を 表現すると回収率が向上 ⇒  近隣の納税規範が影響?  近所の目が気になる・・?

(73)

税制と社会規範

• 納税規範の「ネットワーク外部性」 規範的(脱税しない)納税者が多 いほど、規範的納税からの利益が 増加 • 二つの均衡 良い均衡=大半の納税者が規範 的に行動 悪い均衡=大半の納税者は脱税  脱税の「罪悪感」が乏しい=「赤信 号皆で渡れば怖くない」・・・ 効用 効用 規範的 納税者=M 脱税者 0 0 良い均衡 悪い均衡 脱税者の 期待効用

)

(

)

(

)

1

(

p

U

I

τ

I

+

τ

I

+

pU

I

τ

I

m

τ

I

規範的納 税者の効用 ) ( ) (I I M U −τ +φ 納税者総数

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