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~九州地域の知的財産経営定着企業事例集~

九州経済産業局

特許室

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(目次)

はじめに ... 1 知的財産経営とは ... 2 1. 知的財産活動の効果 ... 2 2. 売上を伸ばすための 3 つの戦略と知的財産活動 ... 3 3. 3 つの戦略と知的財産活動の効果 ... 6 知的財産経営定着企業事例 ... 9 事例① 株式会社ナカムラ消防化学 ... 10 事例② 株式会社興電舎 ... 14 事例③ 株式会社モレックス喜入 ... 18 事例④ 日章工業株式会社 ... 22 事例⑤ 株式会社エルム ... 26 事例⑥ 株式会社東洋新薬 ... 30 事例⑦ 株式会社エイムテック ... 34 九州版知的財産経営定着支援モデルとは ... 38

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はじめに

特許等の知的財産は、権利取得による模倣品排除や他社参入障壁の構築とい った一般的に想起される活用方法だけでなく、出願前の先行技術調査による自 社技術の見える化など、知的財産にまつわる活動そのものにいくつかの効果が あることがわかっている。 こうした知的財産活動の効果は、特許庁作成の「知的財産経営プランニング ブック」にまとめられており、こうした効果を活用し、企業における経営課題 を解決することで、企業の経営戦略と知的財産活動(知的財産戦略)を連動さ せることを『知的財産経営(知的財産を活用した経営)』と呼び、これを企業 に定着させるための手法(モデル)を『知的財産経営定着モデル』(以下「定 着モデル」という)と呼んで、とりまとめている。 そこで、九州経済産業局では、知的財産経営の定着のため、平成19年度より、 企業への専門家派遣や、セミナー等を実施してきた。さらに、平成24年度にお いては、平成19年度から実施した専門家派遣等の事業を通じて得られた事例や 知見を元に、上記「定着モデル」の九州版である「九州版知的財産経営定着支 援モデル(手法)」にまとめた。 しかし、知的財産経営は、概念的には理解されても、各社各様の経営課題が ある中で、具体的にどのようなことを行えば、どのような効果が得られるのか 分かりにくいものである。 そこで、九州地域の中小企業者の為に、この実践事例集では、知的財産経営 を実践し、知的財産経営が定着した成功的な事例を通じて、経営課題と知的財 産活動の関係と効果を紹介する事とした。 これによって、九州地域の中小企業者が、知的財産活動への取り組み方の見 直しや知的財産活動への取り組みが始まる機会となる事を期待している。

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2

知的財産経営とは

知的財産経営とは、知的財産活動を企業活動として取り入れ、その効果を経 営課題を解決するために活用するものである。 知的財産活動とは、主として知的財産制度を利用して知的財産を取り扱う企 業活動である。ただし、本事例集において、この知的財産とは、特許権や商標 権、意匠権といった従来の「知的財産権」だけではなく、ノウハウやブランド といった「知的財産権」の対象にならない情報やシステム、ビジネスモデルな ども含んでいる「広義の知的財産」のことである。

1. 知的財産活動の効果

前述の知的財産活動を経営に取り入れるべき理由は、知的財産活動により経 営課題を解決でき、結果的に企業が良くなるからである。 知的財産活動には、以下の 8 つ効果があるとされる。これらの効果は経営課 題を解決するために活用されている。 第 1 の効果:無形資産を“見える化”する(見える化) 目に見えない状態であった無形の資産が、発明等を発掘する作業を通じて、 文章や図表などの形で、知的財産として明確に“見える化”される効果である。 本効果により、例えば、下請け企業が自社技術を明確に把握し、提案型の企 業に転換するためのきっかけをつかむことができる。 第 2 の効果:無形資産を“財産化”する(財産化) 知的財産活動に取り組み、技術開発やデザイン活動の成果、良く知られるよ うになったロゴマーク等の知的財産を生み出した企業の特許権、意匠権、商標 権として登録することによって、それらの知的財産権が企業の財産となるとい う効果である。 本効果によって、例えば社員が独立(退職)したことにより技術が流出する ことを抑制できる。 第 3 の効果:創意工夫を促進して社内を活性化する(創意工夫活性化) 知的財産活動に発明者等への報奨制度を絡めることによって、社員のやる気、 創意工夫を促し、社内を活性化する効果である。知的財産活動による人材育成 の効果も本効果に含まれる。

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3 第 4 の効果:競合者間における競争力を強化する(競合競争力強化) いわゆる排他的効果である。独自製品の特徴となる要素を知的財産権で保護 して競合他社と差別化し、オンリーワン企業の地位を確立するという、知的財 産活動の典型的な効果である。 第 5 の効果:取引者間における主導権を確保する(取引主導権強化) 自社製品に関連する知的財産権を確保し、例えば価格決定の主導権を握るこ とによって、販売相手との関係で優位に立つ効果である。 第 6 の効果:顧客の安心を保障する(信用力強化) 自社製品について知的財産権を取得しておくことによって、他社特許を侵害 してしまう可能性を低減し、顧客に安心して自社製品を購入してもらう効果で ある。 第 7 の効果:自社の強みを顧客に伝える(アピール力強化) 知的財産権を取得し、顧客に対して自社製品の先進性や独自性をPRする効 果である。 第 8 の効果:協力関係をつなぐ(連携強化) 対象となる技術を特許権という形で明確にし、明確になった技術に基づいて 他社との協力関係を構築する効果である。 知的財産経営プランニングブック(特許庁)をもとに制作

2. 売上を伸ばすための 3 つの戦略と知的財産活動

前述の通り、知的財産活動には、種々の効果がある。 しかし、効果があるとはいえ、知的財産活動に取り組む必要性が感じられな い企業も依然として多いのではないだろうか? そこで、具体的に「売上アップ」と知的財産活動の効果について考えてみた い。 まず、一般論として、売上を伸ばすための経営戦略を考える上で重要な 3 つ の戦略について述べる。

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4

① 商品・サービスの差別化を図る差別化戦略

競合他社の商品・サービスに対して、自社商品・サービスの差別化を図るこ とは、経営戦略の要である。差別化されていない商品・サービスは、価格競争 に陥るためである。いわゆる下請け企業が価格競争に巻き込まれるのは、競合 他社との差別化商品・サービスが提供できないことが主原因である。

② 自社固有の経営資源を活用する「広義の知的財産」戦略

差別化戦略によって差別化された内容こそが、顧客に認識される、企業の「強 み」である。「強み」を容易に模倣されないものにするためには、その「強み」 の源泉(裏付け)となる、「競合他社にない自社固有の経営資源」が必要となる。 この「競合他社にない自社固有の経営資源」とは、「九州版知的財産経営定着支 援モデル」(39 頁参照)において検討された「広義の知的財産」に対応する無形 資産である。「広義の知的財産」を例示すると以下の通りである。 ● 知的財産活動を実践する仕組み ● 知的財産権(特許権・意匠権・商標権・著作権) ● ノウハウ ● 優れたアイデアを生み出す組織 ● 経験の乏しい営業マンを教育するための研修制度 ● 優位な関係にあるビジネスパートナー ● 強固な結びつきのある協力会社 ● コミュニケーション能力が優れた社員 ● 社員の豊富な知識、柔軟な発想力 「広義の知的財産」は、特許権や意匠権、商標権といった知的財産権だけで はなく、ノウハウやブランドといった「知的財産権」の対象にならない情報や システム、ビジネスモデルなども含んでいる、より広い概念である。 「広義の知的財産」が「強み」を生み出す源泉となる。 「知的財産活動を実践する仕組み」は、知的財産権を生み出し、差別化され た商品・サービスの源泉となる。「特許権」や「ノウハウ」は、差別化技術の源 泉となる。「商標権」は、差別化されたブランドの源泉となる。「優れたアイデ アを生み出す組織」や「社員の豊富な知識、柔軟な発想力」は、高付加価値商 品・サービスの源泉となる。「経験の乏しい営業マンを教育するための研修制度」

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5 や「コミュニケーション能力が優れた社員」は、差別化された提案型の営業の 源泉になる。「優位な関係にあるビジネスパートナー」や「強固な結びつきのあ る協力会社」は、低価格・短納期の商品・サービスの源泉となる。 商品・サービスは、単に差別化されているだけでは、すぐに競合他社の追随 を許してしまう。しかし、「広義の知的財産」によって裏付けられている差別化 商品・サービスは競合他社によって模倣されにくいので、その商品・サービス を提供する企業は長期間にわたって、市場で優位に立つことができる。 したがって、図 1 に示すように、差別化された商品・サービスは、何らかの 「広義の知的財産」によって裏付けられている必要がある。

③ 商品・サービスの良さを伝えるPR戦略

売上を伸ばすためには、商品・サービスの良さを顧客に伝える必要がある。 いくら模倣困難で差別化された良い商品・サービスであっても、顧客にその良 さが伝わらなければ、決して購入されることはない。つまり、単に差別化戦略 や「広義の知的財産」戦略を強化しただけでは、売上を伸ばすことはできず、 PR戦略も重要となる。 広義の 知的財産A 差別化商品・サービス(強み) 広義の 知的財産B 知的財産C 広義の 図1 差別化商品・サービスの源泉(裏付け)となる広義の知的財産

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6

3. 3 つの戦略と知的財産活動の効果

① 差別化・

「広義の知的財産」戦略と知的財産活動の効果との関係

前述の通り、「知的財産権を生み出す知的財産活動を実践する仕組み」は、差 別化商品・サービスの源泉となる「広義の知的財産」の一つである。 しかし、「知的財産活動を実践する仕組み」は、他の「広義の知的財産」と同 列に扱われる「広義の知的財産」ではなく、他の「広義の知的財産」とは異な る効果を発揮する。この仕組みによって実践される知的財産活動は、その効果 をうまく活用することで、他の「広義の知的財産」に良い影響を与え、価値を 高めることができる。 具体例で説明すると、以下の通りである。 ●「広義の知的財産」の一つである「知的財産権」は、まさに知的財産活動に よって取得される。「知的財産権」を取得するためには、知的財産活動の第1 の 効果である「無形資産を“見える化”する」ことから始まり、第 2 の効果であ る「無形資産を“財産化”する」ことによって、その企業の「広義の知的財産」 となり、差別化戦略として、第 4 の効果である「競合者間における競争力を強 化する」こととなる。 ●「広義の知的財産」の一つである「ノウハウ」は、知的財産活動の第 1 の効 果である「無形資産を“見える化”する」ことにより、初めて客観的に把握さ れる。 ●「広義の知的財産」の一つである「優れたアイデアを生み出す組織」は、知 的財産活動の第 3 の効果である「創意工夫を促進して社内を活性化する」こと により、形成される。 ●「広義の知的財産」の一つである「優位な関係にあるビジネスパートナー」 は、知的財産活動の第 5 の効果である「取引者間における競争力を強化する」 ことで得られる。 ●「広義の知的財産」の一つである「強固な結びつきのある協力会社」は、知 的財産活動の第 8 の効果である「協力関係をつなぐ」ことによって、得られる こともあるであろう。 このように、知的財産活動は、他の「広義の知的財産」に効くのである。事 案にもよるが、特に、外部から目的とする「広義の知的財産」を調達する場合 と比較して、より低コストで、その「広義の知的財産」を強化できると考えら れる。

(9)

7

② PR戦略と知的財産活動の効果との関係

知的財産活動に取り組むことによって第 6 の効果である「顧客の安心を保障 する」ことは、その企業のブランド構築に貢献する。構築されたブランドは、 それ自体でPR効果を発揮する。なお、顧客に差別化されたブランドとして認 識されれば、前述の差別化戦略に効いてくる。 また、知的財産活動よって生まれた知的財産権によって、第 7 の効果である 「自社の強みを顧客に伝える」ことにより、その商品・サービスの良さを顧客 に伝えることもできる。 以上、知的財産活動に取り組むことによって、売上を伸ばすための戦略を強 化できる事を示した。 見方を変えれば、経営戦略を強化できるように知的財産活動に取り組まなけ れば、その意義は小さいといえる。 本事例集は、知的財産活動が経営に効いている企業を紹介するものである。 本事例集を参考にして、新たに知的財産活動に取り組んだり、知的財産活動の あり方を見直していただき、ひいては、企業をより良くするための有力なツー ルとして、知的財産活動を上手に活用していただきたい。 アドバイザー いまなか国際知的財産事務所 代表弁理士 今中 崇之

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知的財産経営定着企業事例

事例① 株式会社ナカムラ消防化学

事例② 株式会社興電舎

事例③ 株式会社モレックス喜入

事例④ 日章工業株式会社

事例⑤ 株式会社エルム

事例⑥ 株式会社東洋新薬

事例⑦ 株式会社エイムテック

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事例① 株式会社ナカムラ消防化学

知的財産活動で、商品開発力強化

(見える化)(創意工夫活性化)(競合競争力強化)(アピール力強化)

(会社概要)

会社名 株式会社ナカムラ消防化学 会社設立 昭和 54 年 資本金 1,000 万円 従業員 50 名 事業内容 消防関連の機器製造、施設施工・管理 所在地 本社・工場 〒856-0042 長崎県大村市平町 1933 ホームページ http://www.n-fc.com/ 当社は、ポンプ車や化学車などの消防車とその積載品等の設計・製造、メン テナンスなどを主な事業としている。消防自動車の製造は、許認可を新たに得 る事が難しい為に、ほとんど新規参入のない業界であった。当社は、事業承継 によって実質的に新規参入し、技術開発に注力することによって、数年の内に 売上が倍増し、業界6 位の実績を持っている。

(過去)

特殊業種のため全体の市場は限定されて おり、消防車販売台数は横ばいである。関東 の企業から事業承継する形で実質的な新規 参入を果たした当社は、固定的な市場と競合 関係の中で、シェアを伸ばす為に

開発に注

力し、技術力による差別化に取り組んで来た

(12)

11

しかし、知的財産に関する認識、必要性の理解は乏しく、

新規開発においても、他社特許抵触の可能性などへの認識も薄かった。 その為、消防機材の海外展開時の模倣品や国内生産における他者権利による 実施制限事例などを経験することとなった。 知的財産活動に対する理解と取り組みを 必要とするが、自社技術の権利化の重要性 など社内に十分浸透しておらず、また、発 明提案制度を含め、知的財産に関する社内 制度がなく、技術者から発明提案がされる 体制も十分ではなかった。 平成24 年度に専門家派遣を受け、「多数 の

技術・技能があるにもかかわら

ず、ブランド力が低い

「権利の

対象となる技術の理解不足」

「社内 の改善提案制度の活用が不十分である」 「経営者の危機感、技術展開構想が社 内に浸透していない 」「ノウハウ管理不足」等の指摘を受けた。 これに対して、専門家と共に自社技術を細分化し、技術的な構成要素を再認 識する

「自社技術の棚卸」

を行い、自社製品を構成する技術のマトリク ス化や自社技術の展開のシミュレーションなどを通じて

高い技術を保有

している事を社員全体で認識

し、

自社技術を要素技術として

本質的に捉え

、知的財産の重要性を理解する事が出来た。製品全体からだ けでなく、技術要素も知的財産になることを理解し、

自社に潜在する知的

財産に気づいた

ことが、現在の知的財産活動の基盤となった。 また、

自社の技術を本質的に捉える事で

、技能(ノウハウ)や製

(13)

12 造技術の独自性を認識する事は、

技術の転用への判断を容易にし

技術に基づく新製品開発の提案

にもつながることも学び、

知的財

産活動に知的財産権の行使以外の効用がある事を理解する

事につながった。

(現在)

専門家派遣時に指導を受けて構築した、知的財産活動の管理体制と提案制度 は、具体的な運用がなされるようになり、定着している。 また、指導を受けた「技術の棚卸し」などの具体的な手法も活用している。 これによって、特許等の知的財産に関する出願も活発化し、

専門家派遣を

受けて以来の

1 年足らずのうちに、それまでの数年分を上

回る件数を出願

している。 さらに、提案制度から生まれた特許が、

平成

25 年度 長崎県発明くふう展におい

て大村市長賞を受賞

したとの事である。 他社技術の調査も行うようになり、他社技術の 自社経営戦略に対する抵触関係の調査や検証も できるようになった。

他社技術の回避や応用

を行い、

必要な特許を

事業戦略に沿って出願できる

ようになっている。

(未来)

現在は知的財産担当者が一人で出願等を行っているが、消防車の技術は技術 要素が多く、高度化しており、開発担当者自身の知的財産の理解を深める必要

(14)

13 があると感じている。 知的財産担当者は、OJTの中で、開発者に技術の新規性をただし、技術の 本質を捉える事を促している。開発担当者は、新規性を見いだせるような取り 組みを考える事で、開発の方向を見直す事にも役立っている。 事業の海外展開も検討しており、海外の法規制などと併せて、知的財産戦略 や模倣対策などについても検討する必要があると考えている。 今後は、

海外展開の為に知的財産活動を活用

していこうと考えて いる。 (経営に効く!知的財産活動 アドバイザーからのコメント) ■知的財産活動による効果 株式会社ナカムラ消防化学は、過去に知的財産関係のトラブルに巻き込まれ たことをきっかけとして知的財産に関心を持つようになった。知的財産活動に 取り組んだ結果、例えば以下の効果が得られている。 ●無形資産を“見える化”する(第1の効果) 自社技術を棚卸するという形で本効果が発揮されている。 ●創意工夫を促進して社内を活性化する(第3の効果) 発明提案制度の創設により、活発に発明が提案され、開発者のモチベーショ ン向上に寄与することが期待される。 ●競合者間における競争力を強化する(第4の効果) 知的財産活動により、複数の知的財産権が生み出されつつあり、本効果が発 揮される。 ●自社の強みを顧客に伝える(第7の効果) 取得される知的財産権や賞の受賞により本効果が発揮されるであろう。 ■売上を伸ばすための3つの戦略への効果 同社は、「知的財産活動を実践する仕組み」を「広義の知的財産」として獲得 することで、この仕組みに基づいて実践される知的財産活動が、「知的財産権」 や「ノウハウ」はもちろん、「アイデアを生み出す人材・組織」という「広義の 知的財産」をも強化している。結果として、これら「広義の知的財産」が源泉 となって、差別化された消防自動車等が提供されるに至っている。 また、知的財産活動により生み出された特許が表彰されることで、強みを伝 えるPR戦略にもうまく活用できると思われる。

(15)

14

事例② 株式会社興電舎

知的財産活動で、組織のコミュニケーション力アップ

(見える化)(創意工夫活性化)(アピール力強化)

(会社概要)

会社名 株式会社興電舎 会社設立 昭和 24 年 資本金 2100 万円 従業員 241 名 事業内容 電気・計装・電力設備の保全設計及び保全サービスなど 所在地 本 社 〒882-0862 宮崎県延岡市浜町 222 番地 1 (支店・事業所) 宮崎支店、日南事業所、大分事業所、福岡営業所 ホームページ http://www.kodensya.co.jp/ 研究開発、電気・計装工事の設計、施工 から電気・電力・計装設備の保全設計、保 全サービス全般事業を含め受配電盤・制御 盤製造、監視制御ソフトウエア開発など総 合的に行っている。 また、クリーンエネルギー推進事業も展 開し、太陽光発電システム、エコキュート、 IH クッキングヒーターの販売などを手掛 けている。 保全業務は、全国的に幅広く、地元企業 や大手電機メーカーから受注している。

(過去)

平成24年度に専門家派遣を受けた際には、知的財産とは、特許や商標などの 知的財産権の事しか思い浮かばず、海外展開におけるライセンス等に関する指 導を希望していたが、専門家による当社の課題の捉え方は全く異なるものだっ た。 専門家は、派遣当初のヒアリングを通じて、当社の課題を

「将来のビジ

(16)

15

ョンが共有されていない」

事にあると指摘し、それに対する知的財産 活動によるアプローチを示した。 当社は、幅広い事業内容で、公共事業・ 大手企業を主な取引先としており、経営は 安定している。 取引先が公共事業、大企業であるところ から、顧客を失うリスクも充分に想定され ておらず、社内に安心感が生まれ、「次に 何をすべきか?」という企業の将来ビジョ ンが共有されず、新しい技術への取り組み 意識が低かった。 派遣された専門家は、幅広い事業内容に対して、

事業コンセプトを明

確化し、総合力をつける企業の成長を描く

事を目的に、支援を行 った。 当社は、多くの事業を抱え、また、各事業が安定している為に、事業観の連 携や各事業の位置づけを俯瞰的に理解する事が分かりにくい状況にあった。 そこで、専門家は、各事業の事業特性や市場性を整理する

「事業要素の

分解」

を行い、各事業観の関連性 を整理した。 次に、

「事業要素からの新

しいコンセプトの探索」

を行 った。これは、各事業の特性や技術 にとって必要な情報や各事業の関係 性を把握する事で、各事業にとって 価値ある情報の流通を促し、各事業 を構成する技術者等の自立的な提案 を促す試みである。この取り組みを、

「新規価値の創造サイクル」として定着

させることを専門家は提

(17)

16 案した。 これによって、当社は、

「自社事業領域を把握」

し、各関連事業部門 で得られた情報を

「価値ある情報」

に加工して流通させ、

「各事業の

連携による新たなコンセプトの可能性」

を検討して総合力を発揮 することを学んだ。

(現在)

専門家派遣によって、商品開発と知的財産の関係を理解し、目標の明確化や それを達成する手段の検討など、やるべき事の理解が進んだ。 これは、社長と一部の経営者のみであった、

戦略的思考が身についた

という事である。 各事業の関係性を理解する事で、

部署を超えた経営戦略会議

が開催 されて、

部署横断的な議論

ができるようになり、

技術と営業とのグ

ループ活動

が活発化した。 各部署が個別に所有していた商品説明を、部署を越えて共有化するようにな り、商品説明の内容を他部署でも理解しやすいように工夫するようになった。 これによって、他部署での製品理解が進むと同時に、他部署に対して製品の特 性や優位性を説明する事が自部署の中での自社製品への理解を深める事につな がった。 社長のビジョンがホームページなどに示されているが、社員の意識までには 浸透していないことを認識し、知的財産活動を通じて、ビジョンを掲示する意 味を社員が理解するようになった。最近では、

戦略策定について、社長

以外のメンバーも意見を出す

ようになったとの事であった。 これは、知的財産活動によって、様々な事業部間、経営から個々の社員まで の

コミュニケーションネットワークが強化

され、全社一体の事業 戦略に取り組める基礎ができた事例である。

(18)

17

(未来)

支援を受けたのは昨年度のことであり、成果はこれからと考えている。 しかし、自社の商品群の位置づけを理解し、他部署との製品情報の共有が進 むことで、メンテナンス・工事部門がサービス提案をする、顧客にアピールす る宣材の作成など、それぞれの立場での新しい取り組みが始まっており、その 成果に対する期待が膨らんでいる。 (経営に効く!知的財産活動 アドバイザーからのコメント) ■知的財産活動による効果 株式会社興電舎は、「知的財産は模倣防止のためのもの」といった漠然とした イメージしか持っていなかった。しかし、専門家派遣を受け、その後も知的財 産活動に取り組んだ結果、例えば以下の効果を実感している。 ●無形資産を“見える化”する(第1の効果) 自社事業領域を再認識するという形で、本効果が発揮されている。 ●創意工夫を促進して社内を活性化する(第3の効果) 部署を超えた横断的な活動により、コミュニケーションネットワークが強化 され、社内が活性化している。 ●自社の強みを顧客に伝える(第7の効果) 顧客にアピールするための新しい試みに取り組みつつある。 ■売上を伸ばすための3つの戦略への効果 同社は、知的財産活動に取り組んだ結果、企業のビジョンが明確に“見える 化”された。また、「戦略的思考を身につけた社員」、「部署を超えた経営戦略会 議を行う組織」、及び「商品に関する情報を共有する仕組み」という「広義の知 的財産」も獲得した。 結果的に、「コミュニケーション能力に優れた組織」という「広義の知的財産」 が形成されている。この「コミュニケーション能力に優れた組織」は、競合他 社と異なるサービス力、提案力の源泉となっており、差別化戦略が強化されて いるものと考えられる。 また、「コミュニケーション能力に優れた組織」により、営業面が強化され、 顧客に強みを伝えるPR戦略に効果があることもうかがえる。 同社がより良くなっていくきっかけは、知的財産活動による企業ビジョンの “見える化”から始まっている。

(19)

18

事例③ 株式会社モレックス喜入

知財活動で、提案型ビジネスの強化

(見える化)(創意工夫活性化)(アピール力強化)

(会社概要)

会社名 株式会社モレックス喜入(旧 株式会社渕上ミクロ) 会社設立 平成 20 年 資本金 4,500 万円 従業員 191 名 事業内容 電子部品・デバイス製造業 所在地 〒891-0204 鹿児島市喜入一倉町 11620 番地 45 ホームページ http://molexkiire.com/ 1979 年 渕上印刷より精密事業部門を分社化、電子部品メーカーとして設立 された。2008 年日本モレックス株式会社に事業譲渡、社名変更し、新会社とし て再スタートした。 鹿児島市に本社、工場を持ち、高精度フォトマスク、スクリーン製版、エッ チング製品、複合材加工、自動化設備の技術を活用して、高品質・低コスト・ 短納期を実現している企業である。

(20)

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(過去)

半導体関連における高度な製造技術を持つ当社は、

「知財無くして事業

なし」

の経営方針を持ち、知的財産部に専任の担当者を置いていた。 しかし、かつては受注生産型の企業であり、共同出願の形での特許取得が多 く、独自技術による製品開発というものは少なかった。 しかし、平成 15 年頃から半導体/電子部品関係の海外との競争激化によって、 国内半導体関連産業の事業環境が厳しくなってきたことから、

受注型企業から提案型企業への転換

が急がれることになった。 自社技術の開発による特許出願が増加し、社内の知財管理体制の必要性を感 じていた時期でもあった。 そこに、九州経済産業局からの専門家派遣を受けることで、その後の知財活 動の礎を築く事ができたとのことである。 平成19年度は、「先行技術調査」「パテントマップ」「ロードマップ」等、

知財取得と商品開発における基礎的手法

を知財担当と開発メンバ ー共々に指導を受け、

知財活用の意識が定着

した。 平成20年度は、

「知財の組織つくりとその運営手法」

について指 導を受けた。 これによって、開発担当者に知財への理解が浸透し、組織体制整備と具体的 な運用ができるようになった。

(21)

20

(現在)

支援によって構築された体制は、現在も実用的に運用されており、研究開発 と特許取得などの知財活動は一体的に運用されている。 また、

知財活動は営業活動にも効果

を出している。同業他社の技術 を、パテントマップ等により速やかに把握することで、同業他社製品の技術開 発における傾向が判るようになり、顧客に対して自社の優位性・差別化技術を 理解した上での提案ができるようになった。他社と自社の技術比較を把握した 上でのソリューション提供ができるようになったことで、

提案型ビジネス

に対する具体的な手法が見えてきた

との事である。

営業戦略、商品企画、研究開発戦略を知財活動によって

リンク

した事例となっている。 また、知財に対する理解の浸透、知財を活用した営業活動など、知財活動が 経営に直結する活動となった事で、技術と営業、そして、経営までが、互いに 求めるものを知財のロードマップ、パテントマップなどの上で共有する事が出 来るようになった。

知財活動の経営への効果は大きく、人材育成に大きく貢

献していると考えている。

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(未来)

従来からの「知財なくして事業なし」に加えて、「パテント網構築による差別 化技術で営業支援」が加えられた。 これまでに身についた知財活動は、今後も、営業戦略、商品企画、研究開発 戦略の検討の中で行われていくものであり、

「パテント網構築による差

別化技術で営業支援」に応える力になる

ものと考えている。 (経営に効く!知的財産活動 アドバイザーからのコメント) ■知的財産活動による効果 株式会社モレックス喜入は、もともと経営陣の知的財産に対する意識が高い 企業である。同社は、専門家派遣を受けたことにより、開発担当者にまで知的 財産に関する理解が浸透し、例えば以下の効果が得られている。 ●無形資産を“見える化”する(第1の効果) パテントマップ等を活用し、自社の技術的優位性を把握している。 ●創意工夫を促進して社内を活性化する(第3の効果) 知的財産活動が人材育成に大きく貢献している。また、知的財産活動により 各部門が連携し、情報を共有するに至っている。 ●自社の強みを顧客に伝える(第7の効果) 自社の技術的優位性(強み)を把握したことに基づいて、提案型のビジネス を展開している。 ■売上を伸ばすための3つの戦略への効果 同社は、専門家派遣を受けたことを契機として、知的財産活動を実現するた めの組織体制を整備し、「知的財産活動を実現できる組織」を「広義の知的財産」 として獲得した。この「知的財産活動を実現できる組織」によって、もともと 経営陣が重要視していた知的財産活動が具体的に運用されるようになった。ま た、「知的財産活動を実現できる組織」により、自社の技術的優位性が“見える 化”され、見える化された自社の技術的優位性が情報(広義の知的財産)とし て社内に蓄積されている。 結果的に、「知的財産活動を実現できる組織」や「自社の技術的優位性に関す る情報」等が源泉となって、競合他社と異なる差別化された商品や提案型ビジ ネスが提供されている。また、差別化された提案型ビジネスは、そのままPR 戦略にも直結していると思われる。

(23)

22

事例④ 日章工業株式会社

知的財産活動で人材育成

(見える化)(創意工夫活性化)(アピール力強化)

(会社概要)

会社名 日章工業株式会社 会社設立 昭和 38 年 資本金 15,000 千円 従業員 107 名 事業内容 金属製品製造業(スチール製オーダーサッシの製造) 所在地 本社工場 〒811-2304 福岡県糟屋郡粕屋町大字仲原 2813-1 宮田工場 〒823-0005 福岡県宮田氏上大隈字番給 482 番 49 宇美工場 〒811-2121 福岡県糟屋郡宇美町平和 1 丁目 15-1 ホームページ http://www.nissho-i.co.jp 薄板鋼板を原料とする、機械加 工、材料部材化、溶接・接着組立 て、塗装を行い、オーダーメイド によるスチールドア・サッシ・ガ ラス入り特定防火設備などの防 火性能商品、防音、気密機能など 有する金属製品・建具製品の設計、 開発、製造、販売を一貫して行う 企業である。 半世紀に及ぶ歴史有る企業であり、近隣の業界での知名度は高い。 軽量鋼製ドア製造プレス機や焼付け塗装設備を所有しており、加工技術幅が 広く、内製化が進んでいる。

(過去)

平成19 年頃、景気低迷に伴うマンション供給の件数低下懸念、公共工事減少、 鋼材価格の上昇等の要因により、スチール製建具生産量の減少傾向、特に軽量 ドアの出荷数量が激減しており、建設業界市場は低迷していた。 さらに、中国を始めとする海外生産による低価格製品が出回り始め、脅威と

(24)

23 なりつつあった。 日章工業自体の業歴が長く、九州近隣での知名度があったが、全国での知名 度は十分ではなく、受注生産率が高いために価格主導権も弱く、自社の独自性 が出しづらい傾向にあった。 このような中で、

自社開発による付加価値の高い新製品開拓の

必要性

を痛感し、「資源・環境問題、利用者の立場に立った安全性信頼性の確 保を商品に応用する事で付加価値を高め、競争力を保持し自立企業として成長 する事」と方針付け、取り組みを始めた。 具体的には、大学の協力を得て、大気暴露試験、促進耐候試験などの特定課 題に関する研究開発などに着手したが、取り組み自体に戦略性が乏しく、製品 開発につながっていかなかった。 また、当時は、自社の発明に対する理解も不十分であり、知的財産への興味 が薄く、知的財産活動はほとんど行っていなかった。 そのような状況にあった当時、「平成19 年度 地域中小企業知的財産戦略支 援事業 九州地域における知的財産戦略支援人材・知的財産戦略活用企業の育 成・支援調査」による、専門家派遣を受ける事となった。 専門家によるヒアリング等を通じて、

「知的財産戦略を伴う成長戦

略がない」

事を指摘され た。 具体的な取り組みとして は、専門家の指導の下、 SWOT 分析からパテントマ ップを作成し、パテントマッ プから研究開発傾向、技術開 発状況を把握する活動を実 施した。 パテントマップ作成により、競合他社の研究開発動向を把握する事ができる ようになり、今後の研究開発すべき方向性を見出すことができた。それによっ て、パテントマップの活用が、研究開発戦略策定、知的財産戦略策定、事業戦 略策定に有効であることを知った。

(25)

24 専門家の指導によって、特許を技術情報として活用する視点、パテントマッ プという手法を学んだことも大きかったが、

研究開発に知的財産を活

用して戦略的に行う事を学んだことは非常に大きかった。

(現在)

専門家派遣を受けてから、知的財産活動の重要性に気づき、福岡県中小企業 センターの知的財産窓口に頻繁に相談に行くようになった。 具体的な出願に対する指導等を受け、弁理士によらずに自ら出願する事に取 り組み、地域の知的財産セミナーやワークショップなどにも積極的に参加する ようになった。 知的財産活動は、表面的にはコスト発生源でしかないが、様々な効果もある ことに気づいている。 特許出願を自ら行う事で、模倣されにくい特許の書き方が分かるようになる。 これが分かると、強い特許を出願することにつながり、また、

自社の製品の

中に潜在する発明を見いだす

ことにもつながっている。さらに、

特許

公報等に記載された技術を他社の権利を侵害する事なく活

用し、新たな発明をする

事ができるようになる。これは、直接的に開発 コストを下げ、競争力の強化につながると考えている。 また、

知的財産活動が人材育成にもつながる

と感じている。 特許を出願するという事は、自社の技術の本質を外部の専門家に説明すると いう事である。特許出願に伴う審査官への説明や知的財産活動のセミナーへの 参加などは、面倒・手間ととらえればコストでしかないが、中小企業の研究開 発担当者が社外の専門家や技術者に評価を受けたり、説明する機会は限られて おり、知的財産活動が、技術者の技術への理解度の向上やプレゼンテーション 技能向上などの人材育成にも効果があると考えている。

(26)

25

(未来)

知的財産活動は、短期的に見れば直接利益には繋がらず、コストでしかない。

知的財産活動が投資となるには、知的財産活動によるメリ

ットが見えるようにしなければならない

と思っている。 現在、他社の特許に公開された技術を活用した製品開発を行っている。 他社特許の技術を学び、権利侵害しない形で製品開発することは、開発の効 率化につながっていると考えている。 中小企業は、短期のコスト発生も見過ごすことはできないため、

具体的な

メリットを上げながら、

商品開発や人材育成の観点も含めて、

知的財

産活動を継続し、深化を図りたい

と思っている。 (経営に効く!知的財産活動 アドバイザーからのコメント) ■知的財産活動による効果 日章工業株式会社は、特に以下の効果を実感しており、知的財産活動を単な るコスト発生源として捉えていない点が注目される。 ●無形資産を“見える化”する(第1の効果) 知的財産活動により、自社の製品の中に隠れた発明が見出されている。 ●創意工夫を促進して社内を活性化する(第3の効果) 知的財産活動が人材育成に大きく貢献している。 ●自社の強みを顧客に伝える(第7の効果) 知的財産活動により、営業面での効果が現れている。 なお、他社の公開された技術を活用することについては、実践できる企業は 少ないので、是非参考にしていただきたい。 ■売上を伸ばすための3つの戦略への効果 知的財産活動が実践されることで、「知的財産権」はもちろん、「知的財産を 活用して研究開発できる人材・組織」という「広義の知的財産」が強化されて いる。これら「広義の知的財産」が源泉となって、模倣されにくい高付加価値 製品が提供されるに至っている。 知的財産活動によって、営業面でもよい効果が得られているので、PR戦略 にも効いているといえるだろう。

(27)

26

事例⑤ 株式会社エルム

ビジネスモデルを守る知的財産活動

(見える化)(競合競争力強化)(連携強化)

(会社概要)

会社名 株式会社エルム 会社設立 昭和 55 年 資本金 4,875 万円 従業員 52 名 事業内容 電子応用機器の開発、製造など 所在地 〒897-1124 鹿児島県南さつま市 加世田宮原 2398 番地 ホームページ http://www.elm.jp 光ディスク修復装置を始め、 様々な電子応用機器の開発、製造 などを行っている。最近では、L ED を利用した各種照明、必要な 発光スペクトラムを得ることが 容易な LED 素子、太陽追尾型太 陽光発電装置などを開発/製品化 している。

(過去)

当社は、昭和55 年の会社設立時に「下請けをしない」「一流の技術者が一流 の仕事を出来る場を鹿児島に作る」「鹿児島から世界を相手に仕事をする」とい う夢を持っていた。 これらを実現するには、

大企業や海外の企業に対して、対等な立

場を作る

必要がある。その為には、

自社の技術力を証明する特許

が 重要な意味を持つと創業当初から考えており、現在の知的財産活動の原点とな っている。

(28)

27

(現在)

当社では、知的財産活動を

「ビジネスモデルを

守る」

という観点で捉えて いる。 大企業や海外企業に対す る

技術力の証明とし

ての特許

の活用は、パート ナー企業との関係作りにお いて重要である。これは、単なる権利保護を越えて、

ビジネスパートナー

を呼び込む

手段としての活用である。 知的財産出願に対する報奨金制度に於いても、単純に出願に対する報償では なく、その技術を用いた事業の売上に基づく評価をする事で、特許とビジネス のつながりをはっきりと持たせている。これによって、技術者に分かりやすい 評価によるインセンティブを持たせる事が出来ている。 さらに、

特許とノウハウの使い分け

に工夫を凝らしている。特許に よる技術の公開が模倣の機会を与えるという見方もあるが、当社ではそのよう な懸念に対して対策を取っている。 重要部品を物理的に分解不能とするような工夫、契約書において権利保護な どの条文を加えるなどの対策を取っている。また、装置自体の特許を押さえる のではなく、それを模倣しなければ装置自体を模倣できないような重要部品な どを特許の対象としている。複雑な機械装置の特許は、機構を少し変えるだけ で回避し易いが、装置の性能を決定づける重要部品などをおさえておけば、類 似品は作れない、または、類似品にそれ以上の性能向上などの発展性を阻むこ とができるようになると考えている。 このような

要所を押さえた特許の取得

には、戦略的な取り組みが必 要となる。

(29)

28 当社では、このような知的財産戦略が製品を開発・製造・販売する一連のビ ジネスを出発点に考えられており、製品開発の早い段階から、ビジネスモデル に照らして特許でおさえるべきところ、ノウハウでおさえるところなど、ある 程度のフレームワークを持って、

ビジネス自体を守る知的財産活動

を行っている。 このように、ビジネスモデルをしっかり持った上で、知的財産戦略を構築す る事により、

知的財産戦略が事業戦略の中に組み込まれ、効果

的に機能

している。

(未来)

当社は世界規模のビジネスネットワークを構築中で、製造や販売を担当する パートナー企業を国内外に増やしている。 海外への事業展開には模倣リスクがつきものだが、

ビジネスネットワ

ークによる監視網

を持つことにより、いち早く発見をできるようにしてい る。 さらに、知的財産権の活用だけでなく、

契約面でも一工夫

がなされてい る。海外企業との契約では、難解な英文で書かれた契約書を理解する必要があ り、自社に不利な条項を見逃すと難しい問題となる事がある。また、訴訟にな った時、相手国の裁判所で訴訟を起こされれば、対応が一層難しくなる。 当社は、重要な条項に絞って契約書を作成し、

訴訟を起こす場合には、

被告側の裁判所で起こす

事にしている。これによって、不本意な条項が 紛れ込むことを防ぎ、両社にフェアで且つ訴訟が起き難い契約となり、問題が あれば裁判ではなく協議による解決がなされるように図っている。 このような工夫は、

ネットワークに参加している企業間の信頼

関係とコミュニケーションが重要な前提

となるが、ネットワーク

(30)

29 での権利保護という考え方は、

信頼関係で権利を守ることが必要な

中小企業

においては有効な手法の一つである。 また、当初は、社長一人が特許を書き、知的財産を管理してきたが、知的財 産活動ができる人材育成と体制の整備を行っている。技術者の中に、ビジネス モデルを守る特許を書けるものを育成すると同時に、

ビジネスモデルを

守る特許戦略を持てる体制作り

を考えている。

開発・製造・販

売といった事業分野を一人の知的財産担当者が理解して戦

略を構築するのではなく、チームで取り組める運営

に取り組ん でいる。 ネットワークの拡充と連動して、知的財産戦略を組織的に構築出来る体制作 りを行っている。 (経営に効く!知的財産活動 アドバイザーからのコメント) ■知的財産活動による効果 株式会社エルムにおいては、以下の通り、知的財産活動の効果が社内にも社 外にも効いている。 ●創意工夫を促進して社内を活性化する(第3の効果) 報奨金制度により、技術者にインセンティブがもたらされている。 ●競合者間における競争力を強化する(第4の効果) 知的財産活動によって生まれた特許権が、いわゆる模倣防止のために活用さ れている。ただし、特許権が単に一製品の保護のために活用されているのでは なく、「ビジネスモデルを守る」ために活用されている点が巧みである。 ●協力関係をつなぐ(第8の効果) 特許権をビジネスパートナーを呼び込む手段として活用している。 ■売上を伸ばすための3つの戦略への効果 同社においては、知的財産活動によって生まれた「特許権・ノウハウ」が「広 義の知的財産」として社内に蓄積されている。また、この「特許権・ノウハウ」 に基づいて、「信頼できるビジネスパートナー」を「広義の知的財産」として獲 得している。結果として、これら「広義の知的財産」が源泉となって、全体と して模倣されにくい差別化されたビジネスモデルが構築されるに至っている。

(31)

30

事例⑥ 株式会社東洋新薬

オリジナリティを支える知的財産活動

(信用力強化)

(会社概要)

会社名 株式会社東洋新薬 会社設立 平成 9 年 資本金 5,000 万円 従業員 590 名 事業内容 健康食品、トクホ、医薬品、化粧品、医薬部外品などの開 発、製造、販売等 所在地 本社 福岡県福岡市博多区博多駅前 2-19-27 九勧博多駅前ビル 本部・鳥栖工場 佐賀県鳥栖市弥生が丘 7-28 熊本工場 熊本県菊池郡大津町大字高尾野字平成 272-5 ホームページ http://www.toyoshinyaku.co.jp/ 健康食品、トクホ商品、医薬品、化粧品など の受託製造・研究開発、販売等を行うODM 企 業。トクホ許可取得件数は230 件を超え、2005 年以来、国内最多数の取得件数を誇っている。 *ODM:Original Design Manufacturing 製造だけを受託するOEMと違い、商品の 企画・販売まで提案する。

(過去)

「生きている限り、健康で、美しくありたい。」世界の人々が共通に抱く願いに 正面からお応えするために、東洋新薬は、『天然素材が持つ可能性とサイエンス の融合』そして、

ODM(Original Design Manufacturing)メー

(32)

31 オリジナリティの高い商品を目指す当社は、素材の研究から自社で取り組み、 多くの独自素材を生み出してきた。身体によいとされる天産物をベースに、最新 のテクノロジーによって機能性を高め、エビデンスに基づいた付加価値の高い 健康食品や化粧品、医薬品を創り世界へ送り出すべく、日々商品開発に取り組ん でいる。安心・安全こそ最上のクオリティとし、品質・衛生管理を最も重視した、 原料、製造、包装、出荷までの一貫した製造体制を構築しすべてのプロセスにお いて厳しい目を注いできた。

(現在)

お客様のご要望に迅速に対応するため、時代の変化とともに当社も変化対応 し、新たな価値の創造に挑戦している。その結果として、他社が真似のできない 差別化を実現し、当社にしか作れない商品をお客様と一緒に世の中に送り出す。 それが東洋新薬のミッションであると考えている。 ミッションを達成するためには、知的財産権の活用が欠かせないことを当社 の経営陣は十分に理解している。そのため、知的財産に関する業務を専門で行 う部門が組織され、

経営戦略に基づいた知財戦略

を実行している。 また、当社では、

知財戦略を事業戦略や研究開発戦略と連動

さ せ、推進している。その具体例として、当社の独自素材である『フラバンジェ ノールⓇ』を紹介したい。 『フラバンジェノールⓇ』とは、フランス南西部ランド地方に育成する海岸松 の樹皮から抽出した天然由来の機能性素材であるが、当社では、健康食品や化 粧品素材としての事業の保護、及び機能性研究の保護を目的として知財戦略を 推進している。 商標の面では、商品名だけでなく、独自のブランドロゴを商標登録し、ブラ ンド化を推進している。さらに、将来の海外進出を見据え、主要国において商 標権を取得している。また、登録商標の普通名称化を防止するため、登録商標 マーク(R マーク)を付すのはもちろんのこと、辞書や第三者のホームページも 確認し、不適切な表記に対して修正を依頼するといった徹底した対策を行って いる。このように、当社では

商標権を活用し、徹底した自社ブラン

ド保護

を行っている。

(33)

32 一方、特許の面では、機能性解明のための

研究と連動した特許戦略

を 推進している。新たに解明された『フラバンジェノールⓇ』の効能効果について 特許出願(松樹皮抽出物に関連した出願 80 件以上)を行い、取得した

特許権

を活用した商品展開

も行っている。このような特許権の活用により、当 社にしか作れないオリジナル商品の提供が可能となっている。

(未来)

当社は、これからもお客様と夢を分かち合いながら、新たな時代の「健康」と 「美」をみつめて、創造性豊かな商品づくりに挑戦し続けていく。そのため、現在 展開している知財戦略・活動にさらに磨きをかけ、ODM メーカーとしての存在価 値を高めていきたいと考えている。 「ステロケアⓇ」は、特許第5398856 号「ステロ イド剤の副作用軽減剤」を活用した東洋新薬の商 品です。 「フラバンジェノールⓇ」(松樹皮抽出物)は、ポ リフェノールの一種である OPC(オリゴメリック・プロ アントシアニジン)を豊富に含む機能性素材です。 「フラバンジェノールⓇ」ブランドロゴ

(34)

33 (経営に効く!知的財産活動 アドバイザーからのコメント) ■知的財産活動による効果 株式会社東洋新薬は、経営に知的財産活動を取り込むことによって、ODM 企業として、他社の追随を許さないオリジナリティの高い商品を提供している。 同社においては、知的財産活動により、例えば以下の効果が得られている。 ●顧客の安心を保障する(第6 の効果) 同社の商品は知的財産権で保護されているので、知的財産関係のトラブルに 巻き込まれ、突然、商品の供給が止まってしまうリスクが低減されている。顧 客から見れば、安心して同社のODMによる商品を購入できると考えられる。 ■売上を伸ばすための 3 つの戦略への効果 同社は、「優れた知的財産部門」や、「事業活動に連動したスピーディーな知 的財産活動を行う仕組み」という「広義の知的財産」を構築し、知的財産活動 に取り組むことによって、「複数の特許権」を保有している。その結果、「複数 の特許権」が源泉となって、オリジナリティの高い商品が提供され、差別化戦 略が機能している。 また、同社の商品のうち、特に、知的財産権により保護されたトクホ商品そ のものは、顧客(ODM先の企業)に対し、「健康に良い効果がある高付加価値 商品」という強みを伝えるPR戦略に直結している。 同社においては、経営判断が知的財産活動に直接リンクしている点が注目さ れる。知的財産に関する実務には、高度かつ専門的な知識が要求されるため、 企業によっては、実務に精通した知的財産部門が置かれている。しかし、その ような知的財産部門であっても、より権利範囲の広い知的財産権の取得「のみ」 に注力し、経営戦略とリンクした活動を行っていない場合が少なくない。その 原因は、経営陣及び知的財産部門が、「経営戦略に効かせる」という観点で知的 財産活動を実践していないことにあると考えられる。この点、同社の知的財産 活動は、知的財産活動があるべき一つの姿を示している。

(35)

34

事例⑦ 株式会社エイムテック

知的財産活動がニッチトップの地位を守る

(競合競争力強化)(信用力強化)(アピール力強化)

(会社概要)

会社名 株式会社エイムテック 会社設立 平成 13 年 資本金 6,100 万円 従業員 20 名 事業内容 ガス漏れ検知器などの開発・製造・販売 所在地 〒861-8031 熊本県熊本市東区戸島町 920-3 ホームページ http://www.aim-tech.co.jp/ 圧力計測に影響する温度変化を自動で補正するガス気密試験装置を開発し、 製造/販売を行っている。 周囲の温度変化をモニターし、高精度で検査する装置を世界で初めて開発し、 人の判断によらない漏洩の自動判別が可能となった。 現在は、ガス気密試験装置と併せてデータ管理を行うシステムなどを製品化 し、ガス関連企業に普及が拡大している。

(過去)

当社を創業した現社長は、ガス工事等を行う会社に勤め、営業・工事・管理 業務を担当してきた。製造業ではないため開発には直接関わっていなかった。 しかし、自動温度補正を行う装置のアイデアを得て起業する時には、知的所

(36)

35 有権センターで特許関係を調査するなど、創業当初より知的財産に関する重要 性は理解していた。

「中小企業は模倣されてはならない」

という知的財産活動方針に より、創業当初から知的財産には力を入れていた。

(現在)

社長の指導により、開発担当者は、

研究開発にあたって、必ず先行

技術の知的財産調査を行う

ようにしている。公的機関の講習会等を活 用してIPDL※の使い方を習得し、開発担当者全員がIPDL を活用して、日常的 に特許調査を行っている。 ※ 「特許電子図書館」 独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供する、工業所有権情報を 無料で閲覧できるWEB サイト 独自技術によるニッチトップを創業当初から目指した当社にとって、特許調 査に基づいて、どこにニッチな領域があるかを探すところから始まっている。

ニッチトップであり続ける為の自社技術の保護

であり、

大手

企業等の事業につながる技術領域に踏み込まない

為に「中小企 業は模倣されてはならない」という活動方針があり、

慎重な特許調査姿勢

(37)

36 が生まれた。 原則的には開発成果は全て権利化する方針であり、装置と方法の両方を取得 するようにしているが、構造的な変更で特許を回避しやすい装置よりも方法の 権利化を重要視している。 製造業のラインで使用するエアリークテスターは、技術の保護は特許だけに 頼らず、様々な仕掛けにより模倣対策をしている。 販売代理店などの関係先とは、契約上で秘密保持を確保しながら、メンテナ ンスやオーバーホールは自社内で行い、技術の漏洩を防いでいる。 特許の効果としては、模倣対策などの権利行使と

自社技術の

PR 効果

が あると考えている。最初に開発した温度補正を自動で行うガス漏洩検査機の特 許は、特許流通フェアに出展した際に大手ガス会社の目にとまったことがその 後の事業のきっかけとなった。中小企業に於いては、技術力を客観的に知らし める事が難しく、特許の取得がその一つの方法である。

平成

17 年度知的

財産功労賞特許庁長官表彰

受賞は信用力を一層高めてく

れた

と思っている。 また、

特許を担保に資金調達

した経験もあり、

特許が中小企業の

信用力を上げる効果

も実感している。

(38)

37

(未来)

ニッチトップであり続ける為の知的財産活動をこれまで通り継続する。 また、自社の基盤となる重要特許を

ロードマップ的に捉え、技術開

発の方向性を定めている

。 当社は、既に販売面では海外進出を始め ており、海外での模倣対策の強化は必須と 感じている。 先に述べたような、契約面や模倣対策、 メンテナンス等を現地で行わせないなど の対策を取っているが、さらに実務的な方 法を検討している。 (経営に効く!知的財産活動 アドバイザーからのコメント) ■知的財産活動による効果 株式会社エイムテックにおいては、知的財産活動の結果、例えば以下の効果 が得られている。 ●競合者間における競争力を強化する(第4の効果) 自社技術を保護し、ニッチトップであり続けるために、知的財産活動に取り 組んでいる。 ●顧客の安心を保障する(第6の効果) 知的財産活動により生まれた特許権が、同企業の信用力を向上させている。 ●自社の強みを顧客に伝える(第7の効果) 知的財産活動により生まれた特許権が、自社技術のPRに役立っている。 ■売上を伸ばすための3つの戦略への効果 同社においては、知的財産活動が実践されることで、「特許権」という「広義 の知的財産」が強化されている。その結果、ニッチトップの商品が提供され、 他社との差別化が図られている。 また、「特許権」が、自社技術のPR効果を発揮するだけでなく、自社の信用 力の向上にも役立ち、強みを伝えるPR戦略にも効いている。

(39)

38

九州版知的財産経営定着支援モデルとは

出典 平成 24 年度 九州版知的財産経営定着支援モデル検証事業 九州版知的財産経営定着メソッドブック(九州経済産業局 特許室) 特許庁の作成した「知的財産経営プランニングブック」には、『知的財産経 営(知的財産を活用した経営)』を企業に定着させるための手法(モデル)を 『知的財産経営定着モデル』(以下「定着モデル」という)としてまとめられ ている。その中に、支援プロセスとして一定の手順がまとめられている。 「知的財産経営プランニングブック」は、知的財産経営の考え方から実施プ ロセスまでまとめられたものであるが、各企業が知的財産経営を始めようとし た時に、具体的にどうすれば良いかという事を詳細に説明するところまでには

(40)

39 至っていない。 そこで、九州経済産業局では、知的財産経営の定着のため、平成19年度から 実施している企業への専門家派遣や、セミナー等の経験に基づき、平成24年度 に、これまでの事例や知見を元に、より詳細な支援プロセスから、さらに、知 的財産経営において実際に用いられる具体的な手法の紹介までを含めた「九州 版知的財産経営定着支援モデル(手法)」をまとめた。 プランニングブックでは分かりにくい、知的財産経営の具体的な手法と効果 を示すことで、各企業等での自主的な知的財産経営を促す支援プロセスとした。

(41)

「平成 25 年度 知財経営定着支援企業事例調査及び事例集等作成事業」 経営に効く! 知的財産経営のすすめ ~九州地域の知的財産経営定着企業事例集~ 平成 26 年 3 月 発行元:経済産業省 九州経済産業局 地域経済部 技術企画課 特許室 アドバイザー・監修:いまなか国際知的財産事務所 代表弁理士 今中 崇之 受託先:株式会社 三菱化学テクノリサーチ

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