研 究 報 告
フ
ァ
ン
ク
シ
ョ
ナ
ル
・リ
ー
チ
に
お
け
る
姿勢
の
最 適化
に
関 す
る
研
究
幾何 学
モデ
ル
に
よ
る
検証
*藤 澤 宏 幸
D
#有 末 伊 織
2>梁
川
和
也
1)鈴 木
誠
1)武
田
涼
子
D
要 旨
本研 究
は前 方へ のフ ァ ンク ショナ
ル・
リー
チにおける幾 何 学
モ デル (FR
model)
を用いて,
重心 移 動
を とも な
わな
い リー
チ動 作
におけ
る リー
チ長
の検 討
、
身 長
と最 大
リー
チ長 (
FR
、。 、、。)の関 係
,
さ
らに姿 勢
の最
適化につ い て検 討す
る こと を 目的とした。
FR
model は体
重 心の位 置
と股関節 角 度を設 定 する ことに より
,
リー
チ長 を最 大
にする足 関節 お
よび肩 関節
の関節 角 度 を
一
意に
決
めることができる
も
の であ
る、 シ ミュ レー
シ ョ ン の結 果
,
重 心 移動 を
ともな
わな
い リー
チ動 作
に おいても姿 勢
の変化
により約
25Cln
の リー
チがμf
能
である こ とが 理論
上 明らかとなっ た。
また,FRm
。 。は身長
に比 例 して増加
し, その増加
に は身
長 に 比 例 し た 足長
と重 心移動 量
の増 加
が重 要であ
ることが 示
唆
さ れ た。
さ ら に,
各
々の体 重心
位 置
に お け るFRm
。 。時
の関節 角 度 問
の関 係
は身長
に依 存せず
一
定で
あ
っ た。
キー
ワー
ドフ ァ ンクショ ナル
・
リー
チ,姿 勢
, 最適
化緒
言前 方
へ の リー
チ動 作は 日常 生 活で頻 繁に用い ら れ る動作
であ り,
そこには対象 物
に手を伸
ば す という課 題
と,
その 囗的 を達 成 する た め にバ ラン スを保 持 す
る という課
題が
存 在 す
る。Duncan
ら 1〕2) はバ ラン ス制 御
の評 価
に前 方
へ の リー
チ 動作
を 用い,
臨床
評仙 指
標としてfunc
−
tionai reach test
(
FRT
)
を開 発し た。
FRT
は,
その簡
便 さゆ
え
に臨 床
や地 域 保 健 活 動
の評 価
でも広 く利 用 さ
れ,
動 的バ ラン ス の指
標と して定 着
してお り3),
転
倒と の関連性 も指摘
され てい る461,
。
た だ し,
FRT
はゆっく
りと運動
し た場 合に は静 力学 的解 釈
が 可能で
あ り
,
前 後
方 向
の足 圧 中 心 と重 心 がほ ぼ同 じと こ ろ に位
置 する安 定
した状 態
を想 定してい る。
その条件
で,
重 心
の前 方移 動
*AStudy of P〔}sturat Optimization durilig Fume
.
tional Reach
−
Examination Using a Geometric MQdcll) 東北 文 化 学 園大 学 医 療 福 祉 学 部リハ ビリテ
ー
ショ ン学 科〔〒981
−
8551宮城 県 仙 台 巾青 菓 区 国 見6−
45−
1)Hiroyuki Fujisa−
,
a,
RPT,
PhD,
Kazuya Yanagawa,
RPT,
MakotoSuzuki
,
RPT,
MS,
Ryoko Takeda,
RPT,
MS:Department efRehabi⊥itation
,
FacuLty of Medicai Science zmd Welfare,
Tohok」⊥Bunka Gakuen Universi吐y
L) 東北 文 化 学 園大 学 大 学 院 健 康 祉 会シ ス テム研 究 科
Ior[Arisuc
、
RPT:Graduate Sch〔〕〔,I ef Ilealth and E【11・
ir
〔}nmenLSciencc
.
Tohoku Bu”ka Gakし1cll Ulliversity #E
−
mail 二fujisawa@rehab.
tbgu.
aK/、
jP
〔受 付口 20〔)7年9月14囗
/
受 理 口 2008年3月17日) 量 と指 先の前 方 移 動 量 に 関 係 を 認め,
後 者か ら前 者 を 推定
しバ ラン ス能 力
を評 価
し よう
とす
るも
の であ
る、
,
FRT
はバ ラン スに 関す
る総 合 的な臨 床 評価 指 標
と高
い相
関 関 係 を 示 すこ とが 報告
されて い る7)。
し か し な が ら,
実
際 に臨 床など で測定 をお
こなっ て み る と3〕,
股
関節屈曲 位
,
足 関節 底屈
位
の姿 勢 をと
り
,
重
心は前 方移
動
してい ない と観 察
され る に もかかわ らず
,
指 先
を前 方へ移 動
さ せ る こ と の で きる対 象 者
がい る ことも多
い。そ れ を裏 付 け
る研 究
とし
て,
Jonss
.
onら
s)は高
齢 者
のFRT
測定 値
と足 圧 中 心の 移動
量と の相
関 関係
が低
い こと を報 告
し てい る,
多く
の高 齢 者
に おい て は足関
節 機 能か ら低下 し
てくる
ことを 考慮 す
ると9〕,
前方
へ重
心
を移動
させず
に,
その代償
と し て姿 勢
の変 化
を利
用し,
リー
チ動 作
を行っ てい る と推 察さ れ る の である。
重 心線
が足 関節
の前 方
に落 ち
る と背 屈
モー
メ ン トが 生 じ,
姿 勢
保 持
の た め に は底 屈 方 向
の筋
モー
メ ン トが 必要
と なる。
その意 味
で,
足関節 機 能
,
特
に底 屈
筋力
の低
下 は 前 方 重心 移 動
の減 少
に関与 す
る・
つ の因子
と して 重要であ
る と考 え
ら れ る。こ れ らの ことか ら抱
く臨
床
的疑 問
は,
第
.
.
・
に,
前 後 方向
の重 心 位 置
を変 化
させず
に前 方
へ の リー
チ が どの程 度 可能
であ
る の か という
こと。
第
1に は,
前方
へ 最 も手 を伸
ばす
ことの で きる最
適 な姿 勢
は存
在 する のか,
とい う 二つ の点
であ
る。も
し重 心位 置
を変えずに前方
ヘ リー
チL
→ P.
3 ←一 …
謬
器
−一
一
」
一
一
一
一
一
……’
馳 C COGH,
tT (Xl,
yz) COGL,
E (XI,
yl) 11Lt 21ー
一
n一
小 lll↓
1ぐ一
>l
IFoot 且cngth (FL) Hy)
,
Ay) COG position:Gx 図1
フ ァ ンクシ ョナル・
リー
チ に お け る幾 何 学モ デ ル (FR modcl )亀 :卜
.
肢 長,
E2 :体 幹の長 さ,
磁 :上肢 長,
r1 :足 関節か ら下 肢 (LIE )の重 心 (COGL /E) ま での距 離,
r2 :股 関 節 か ら 頭 部・
上 肢・
体 幹 (HAT
)の重 心 (COGHAT
)ま での距 離,
FL
:足 長
COG
:体 重心,
COG
position:休 重 心の x 座 標,
α :垂 直軸 からの下 腿の傾斜 角 (プラ スが前方 )
,
β
:釆 直 軸 か らの体 幹の傾斜 角 (プラ スが前 方),
γ:垂 直 軸か らのL
肢の傾 斜 角 (プラス が前方 ) でき
る距 離 が 埋論
的 にわかるな らば,FRT
に おい て そ の範
囲の測定 値を 示 す 対
象者
は前 方へ重心 移
動
す る能 力 が低
下 し てい ると
いう推 論 を可
能
にする
と思
わ れ る。
また, 最
適
な姿 勢が 理 論 的 に
解
析 で き る な ら ば, 理 論値
と実測値
との比 較 に よっ て,障 害 者お よ び
高 齢者
に お け る 正常
か らの逸 脱の有 無
,
さ ら に は動 作再建の状態
を 評価
す ること が 可能に な る も
の と考え る。
.
.
.
・
方
,
FRT
の測定 値
を 分析
し ている と,
健常 者
に お いて身 長
との有 意 な相関
関 係 をみ
る こと が多
い。
この点
につ い て は様
々な 見解
が あるが]Q−
12〕, モ デルによ る シ ミュ レー
シ ョ ンを実 施 す
ることに よ
っ て身 長が
本 質 的
にFRT
の測 定 値
に影 響し てい るの か結 論 を与 え
るこ と が でき
るも
の と 思われる。
そ
こで,
本 研 究で は前 方
へ の り一
チ動 作
(functional
reach,
FR
)
の幾何 学
モ デルを用
い て,
先
にあ げ
た二つ の疑 問
と,
FRT
の測 定 値
に対 す
る身 長
の影 響
を検 討 す る こ とを 目的
に検 証 をお
こな
っ た。方
法1
.
FR
の幾何 学
モデル と理 論 値の算 出
検 証
のた めに,
我
々は4
セ グメ ント
の幾 何 学
モ デル(
FR
rnodel,
図
1
)
を 用い,
最 適な
姿 勢 を同
定 す
る た め の ア ル ゴリ ズムを 開 発
し た(
fJ
表 )
。 こ こ で,
最 適 な 姿
勢
と は リー
チ長を最 大にす
る構 えの ことであ り
,
そ
の よう
な構
え を とる こ と を姿 勢
の最 適 化
と定 義 す
る。FR
model の セ グ メ ン ト は一
側
上肢
,
頭 部
・
上肢
・
体 幹
(
head
,
arm and しrunk,
IIAT
)
,
下肢
に よっ て構 成 され
てい る。
変数
とし て,般 化 座 標 系
の角 度
を そ れ ぞ れα,
β
,
7
,
ド肢 長 を 暇
,
体 幹
の長
さを 碗
,.
.
ヒ肢 長 を 照
とす
る。
また
,
足 関 節 か ら下肢
の重 心 ま
で の距 離 を
rl,
股
関節か ら
HAT
の重 心
まで の距 離
をr2 とし た。 空間座
標
の原点
は 足 関節 中 心
に置 く。 こ こで,
膝 関 節 を 考慮 しな
い4
セ グメ ン トの幾 何 学
モ デルを採
用 したのは,
臨 床経
験 より肩 峰
の高
さで リー
チ した場 合に
は,膝関
節屈
曲運
動
が ほ と ん ど観 察さ れ ないた め であ
る。また
,
下肢 を
一
つ の セ グ メント
と仮 定 す
る ことにより
,
変 数
を一
つ減
ら し姿 勢 を同定 する こ とが可能
とな
る。リ
ー
チ長
の算 出
に おいて は,一
側
上肢
の重 量
は体 重
の5
%
と相 対 的に軽 量であ
る の で,
無 視
でき
るも
の と仮 定す
る。
そうす
る と,
体 重 心
の前 後 方 向
の位 置
Gx
は α とβ
の 関数 と なる
。 こ の式 を 変 形 して
αを
Gx
とβ
の関 数
とし
て表 現 す
る。
次
に,
指 先
のy
座 標
(
FTy
) はFRT
に お いて は直立
位
の肩 峰
の高
さで一
定
であ り
,
こ の こ と より
γはαとβ
で求
め る ことが
でき
る。 α,
β
,
γが決 ま
れ ば,
指 先
の x座 標 (
FTx
)が
意
に決 ま
る。 以一
ヒより
,
重 心
の前 後 方 向
の位 灣
Gx
に お いて,
β
の値
を変 化
さ せ ること により
,
そ れ に対 応 するα とγを算 出 す
る ことが でき
,
同 時に
FTx
を 求
めておけ
ば,
FTx
を最 大
にす
る姿 勢 を決 定す
る こと ができ
る。
た だし,
リー
チ動 作
に お いて は肩 甲帯
の屈 曲運 動 も入 り
,
そ
の影 響 を無 視
できな
い た め,
そ れ
に よ る リー
チ延 長 分
(
SG
)
を補正す
る。一
方
,
体 幹
の回旋 運 動
につ いて は今
回考 慮
して い ない 。なぜ
な ら
,
体 幹 を前 傾
した場 合には囘旋 運 動
はリー
チ長
を延
ばす
ため に有 利
に作 用
せず
,
通 常
生 じな
いた めであ
るD
最 終 的
に,
リー
チ 長の 理論
的 最 大値
1:FRmax
) はGx
がOcm
の場 含
にお けるFTx
の最 小 値 と,
Gx
が 最 大値
に お け るFTx
の最大 値
の差
に よ り求 め る こ とが で き る.
、
な お,
Gx
がOcm
の 場 合 に お け るFTx
の最 小 値 は 開 始 肢 位のFTx
で あり 砺
に等しいcシ ミュ レ
ー
ショ ン に おい て は,
各体 節
お よ び体 節
の重 心 位 置 をWinter13
}の形 態学 的
デー
タを川い て身長
より
算
出 し た(
付 表 )
。
ま た,
FR
−
model におい ても
,
同 様
にWinter
の形態 学 的
デー
タ を参考
に し た。2
.
検 証
1
:重 心 移 動
を とも なわ
な
い フ ァ ン ク シ ョ ナ ル・
リー
チ前 後 方 向
の重 心位 置
を変化させず
に姿 勢 を変
える だけ で,
どの程 度前 方
へ の リー
チ が 理論 的に 可
能
で あ るの か検 討
し た。
Gx
をOcm
と して,
身 長 を
150 Cm か ら190cm
まで0,
lcm
ず
つ 増加
させ,
各
身
長 に お け るFR
、’
n。xを算 出
し た。
これ に よ り, 足 関節戦 略 を1』
分 に 用 い ることが で
きな
い場 合
に,
前 方
へ どの程 度
リー
チ が 可能
であ るのか検 証
し た。
3
.
検
証2
:前
方へ の重 心 移 動に と も なう姿 勢
の変 化
と最
適化
前 方へ 市 心 位
置
を 変化
させフ ァ ン ク ショ ナル・
リー
チ し た と き,
FTx
を最大にす
る姿 勢
につ い て検 討
した。 身 長 は i50 cm か ら190
cm まで0
.
lcm
ず
つ増 加
さ せ,
各 身
長 に 対 す るFRmE、
X を算
出 し た。
この と き,
重 心の前 方
へ の最大 移 動 量
は,
安 定性 限
界 等
に関 す る 先 行 研 究 を参
考
に し て,
足 長の60
% と し た 1〕14〕。
こ れ に より
,
.
各重心
位
置 に お け る 最 適 なフ ァ ンク ショナル・
リー
チの姿 勢
,
す
な わ ち 足 関節.
股 関 節,
肩 関節の3
関節 角度の 関 係 を検証 した
。
ま
た,
リー
チ 長へ の身
長の影 響
を 検討す る た め
,
貢 心位 置 を
5crn
お よ び10
cm に 固定
し,
身長 を
F.
記 と 同様
に変 化 させ てFR
、
nax を求め た。
これ と,
足 長 に 比例
し て重
心の前 方
へ の 最 大 移 動 量 を 変化
さ せ た場
合のFR ,
na。
を比 較 す
ることに よ り
,
純 粋
な身長
の影響
を検証 した。
さ ら に,
身
長 とFRm
。
X の関 係
につ い ては,
直 線
回 煽 式 を算, [IL
した。
結
果
1,
検証
l
Gx
がゼ ロで固定
さ れてい る 場 合の 身 長 とFRm
。
。
との 関 係 を 図2に示
し た。FRm 。
。
は身 長
150
cm か ら190
cm ま で10crn
毎
に21
.
2
cm,
22
、
6
cm,
24
.
O
cm,
25
.
4
cm,
26
.
8cm
と
,
重 心 移 動 を
とも
な わ ない 場合
でも姿 勢
を変
化 させること で,
少 な か らず 前 方へ の リー
チ が 可能
であ ること が 明 ら か と なっ た。
2
.
検 証2
身
長 とFRm
。
。
との関 係
を図
3
に示
し た。前 方
へ の最
大 重 心移 動量 を足 長
の60
% と し た場 合
,
囘帰 直 線
の傾
き は0
.
252
,
切 片
は一
〇,
081
とほ ぼ ゼ ロ であ
っ た。一
方
,
前 方
へ の最 大 重 心 移 動 量 を
5cm
に 固定
し たと きは
,
回帰 直 線
の傾 き
0
.
141
,
切 片
6
.
04
ユ,
最 大 重 心 移 動 量 を
10cm
に 固定 した とき
は, 回帰 直 線
の傾 き0.
143
, 切 片lL940
であ
っ た。足 長に 比 例 さ せ
最 大 移 動量 を 増
加
させ た とき
の 回帰 直線の傾 きは
,
重 心 移 動 量 を固定
し たと き
の約
2
倍
に な り, その影 響の大 き さ が 明 ら か と なっ た。
シ ミュ レ
ー
ショ ンの一
例 と し て,身長
170
cm の例 を示 す
、
,
図・
1
はGx
を 足 長の60
% と し た と きに最適解 を 求
め る ため用い た デー
タ であ る。
β
を0
度
か ら70
度
まで0,
01
度 間 隔 で 変 化 さ せ,
その 時の α,
y
,
FTx
を求
め,
FTx
が 最 大 と な る 数 値 を 最 適 解 と し た。
こ の 例で は,
β
が57
,
5
度
の とき
にFTx
は最 大 値110
.
7
cm にな
る ことを
30.
D 29.
0 28.
0 27.
0?
26.
03歪
25・
OE24・
0 23.
0 22.
021
.
0
20.
0145 150 155 160 165 170 175 180 135 190 195身 長
(cm ) 図2 体串:心 (COG
) を前 方移 動しない場 合の身 長とファ ンク ショナ ル・
リー
チ最大 値 〔FRm
。
。
)の関 係 COG の前後 方 向の位 置は 足関節 中 央にある と仮 定し た.
55.
0 50.
D 45.
D?
S
40
.
O菫
E35
.
。 30.
0 25.
0145 150 155 160 165 170 175 180 ]85 190 195 身長
(cm ) 図3
身 長 と
ファ ンク ショナル・
リー
チ 最大値 (FR
、
n、
、
x)の 関係 足 長の60
%まで体 重 心 (COG
) を移 動さ せ た場 合 とCOG
を 5Cln と10cm
に 固 定 し た 場 合の3
種 類 で 比 較 し た.
表
してい る。
こ の よう
な 解析
を 繰 り 返 し,
各
重心 位 置に
お ける最 適 な姿
勢 を 決 めて ゆ く と,
FTx
の最 大 値 とFTx
の最 小 値
は身 長
に 比例
して増 加 す
る こ と が わ か る (図
5
)。 こ の デー
タ か ら.
最
大値FR
,
n。
.
はGx
がOcm
の場 合
に おけ
るFTx
の最
小値
と,
Gx
が最
大値
に お けるFTx
の最 大 値
の差
により求
められ
る ことが 理 解でき
る。 また,
Gx
がOCIn
の場 合
に お けるFTx
の最 小 値
は43
に等
しい。
各重 心 位 置
に お け る最 適
な姿 勢 を 形成 する角 度は,
図
6
の ように な
っ た。
般 角αお よび
β
は 重 心 が前 方
へ位
15.
0置 す
ると と もに漸 増
し,
γは漸 減 し
た。.・
方
,
関節 角 度
では 重 心 が 前 方へ 位 置 する と ともに 足 関節 角 度
は底
屈位
か ら背
屈 位 と な り, 股 関節
屈曲 角度
は漸 減,
肩
関節 屈 曲角度 は
漸 増
し た、
ま た,
関節 角 度間の 関係 を検 討 すると
,
図7
の よ うにな り,
こ の 関 係 は 身 長 に 依 存せず一
定
であ っ た。考
10.
0懲
)
5.
O O.
0一
50 0.
0 10.
D 20.
0 30.
D 4GD 50.
0 :600 700 80.
0 go.
0 85.
0(
80.
0鰹
75.
・.
』 70.
0 65.
0 60.
O Q.
0 10.
0 20.
0 30.
040
.
0 50.
0160
.
0 70、
0 80.
D察
LFR
にお け
る シ ミュ レー
シ ョ ン の意 義
本研
究
に おいて幾 何 学
モ デ ル を採 用した 理山は
,
前 方
へ の リー
チ長
が姿 勢
の変 化
とし て決 定
さ れる こと を活
か し,
単 純 化
し たモデルから基 本 的 な原 理 を探
る ことがで き ると考 えてい るか らである。
臨 床
に おける動作 分析
で は, は じめ に制 御
さ れてい る身 体 部 位
の運 動 軌 道
と,
そ れ を 形成
してい る 関節
運動
パ ター
ン働 的 姿 勢 調 節 ) を
観 察 す る.
,
その 関 節 運 動パ ター
ンが 正 常 か ら 逸脱
したも
の であ れ ば,
原因
と しての 機 能 障 害 を 推 測 するの である。
115 110 ? S IO5 葦 100 凵一
95 900.
0 10.
0 20.
0 30.
0 40.
O Se.
0 60.
0 70.
0 80.
σ β(度) 図4
シ ミュ レ
ー
ショ ン の 1例 〔身長 :]70cm 体重 心の最大前方
移動量 :足 長の60% 〕β
角 を0度 か ら70度 まで0.
01変 間 隔で増 加 さ せFR
モ デル に よ り 指 先の ヒ下 方 向の 高 さ が 初 期の 肩 峰の 高 さ と.
一
致 す る よ う α角
と γ角
を求め た.
ま た その姿 勢に お け る指先の前後方向
の 位置 を算出 し た.
最 適 な姿勢 の 決定は 指先の 前後 方 向の位置 〔FTx
)が 最 大 に な る と き と し た.
120.
0 115.
O llO.
0 105、
0
?
100.
03 95.
0ζ
9G.
o 凵」 85、
0 80.
G 75.
0 70.
0 FTx最 大 値 FTx最 小 値 0 51015体重 心
の位 置 (cm ) 20 図5
シミュ レー
ショ ン の 1例 〔身 長170cm 体 重 心の最 大 前 方 移動 量:足長の60% 〕 体 重 心 (COG
) と 指 先の 位 置 (FTx
)の関係 を示 してい る。
そ れ ぞ れのCOG
の位置 で姿 勢に よ りFTx の とりうる範囲 が決 ま る.
COG
の位 置が0
の場 合の FTx の最 小 値 (開 始】皮位のFTx
=
t
/ /P
とCOG
が最 大i恨前 方へ 移 動 した 場 合のFTx
の最 大値の差がフ ァ ン ク ショナル・
リー
チ の推 定値となる.
80.
0 70.
0 60.
0 50.
0遡
40.
0>
30.
0 岨 20・
0 10、
0 0.
0−
100−
20.
0 γ β α 0 5 10 15体 重 心
の位 置 (
cm)
20 180.
0 160.
D 140.
0趣
12°・
°−
1DO.
0 80.
0垢
ik
60
・
0 壓 40.
0 20.
0 0.
0−
20.
0 肩 関節 股 関節 足 関 節 051015体重 心
の位 置 (cm ) 20 図6 シ ミ」.
レー
ショ ン の 1例 〔:身 長170cm,
体電 心の最 大 前 方 移 動畢::足 長の60%) 図3では体重 心 (COG }の前 方 移 動量 が最大値び)み の例を示し た が,
こ の場 合はCOG の前 方 移 動罩:がOCm か ら最ノく値 まで均 等 間 隔で最 適 な姿 勢 をシュ ミ レー
ショ ンした結 果である,
関 節 角 度は ブラ スが屈 曲ま た は背 屈,
マ イナスは仲 展 また は底 屈を示 す,
0
.
0 o一
aD 司(
遡
)
遡 賦 に 皿 拯 暇一
15.
055、
0 60.
0 65.
0 70.
0股 関
節 角 度
(度
) 170.
0 165.
O 臣匡 160.
0 瞑 155.
0\
55.
0 60.
0 65、
0 アD.
0股
関 節 角 度
(度
)図7
シ ミュ レ
ー
ショ ン の 1例(
身長
170cm,
体重心の最大 前 方 移 動 量 :足 長の60
%)体重 心 が 任 意の位 置 で 最 適 な姿 勢を とっ た と きの各 関 節 角 度の関 係を示して い る
.
こ の 関係は 身 長 に 依 存 せ ず,
ほ ぼ・
定で あ る.
制 約 条 件
と しては関節 可 動 域 制 限
,
筋 力低 ド
,
感覚 障 害
,
ま た そ れ ら機 能
の複 合 的
な能
JJ
であ
るバ ラ ン スの低下 な
ど,
多 様 な も
のが 考 え られ る
。本 来
,FRT
に おいても
測 定 値
のみで判 断 す
るので はな く
,
関 節 運 動
パ ター
ン の観 察
を 同時
に行 う
こ と で臨 床的
検査
とし ての 意 義 を 深 め られ
る こと にな
る。幾 何 学
モデルを用
いた
シ ミュ レー
ショ ン の利点
と して は,十 分な
身 体 機 能
を有し てい ること を前提
に,
運動 学
的 視 点か ら 最
も舸 方
ヘ リー
チ 可 能 な姿 勢
を特 定
で き る こ と があ げ
ら れ る。
も う
一
点
は,
あ る機 能的 制 限 を加え た ときに,
最 大 限前
方ヘ リー
チするには どの よ う な姿 勢
を とりう
るかを検 証
できる
ことが あ げ ら れ る
。
その点に
つ いて は,
今回
,
足 関 節 中心
より前 ノ
i
へ の重 心移
動
がで き ない場 合
に どの ような
姿 勢
で, さ ら に はどの程 度 リー
チ が可能
である
のかを検 証 を
し た。
以 下 に そ れ ぞ れ考 察す る。
2
.
重 心 移 動 を
とも なわ な
い ファンク ショナル・
リー
チシ ミュ レ
ー
シ ョ ンの結 果
,
前 後 方 向
の重心 位 置が
足
関節 中心
にあ
っ ても
,
姿 勢
を 変 化 させ る こ とによ り前 方へ の リー
チが 可 能
であ
る こ とが わ かっ た。Duncan
が 開発 し たFRT
で は,
前 方
へ の重心 移 動
の反 映 と
し て リー
チ長
を測 定 する が,
今
回の シ ミュ レー
シ ョ ン の結 果で は25cm
前 後
の リー
チ で は重 心を前 方へ 移 動 し てい る と は限
らず,
姿 勢 を変 化
させ るだ けで リー
チでき
ること が 明 らか に なっ た。
も ち
ろ ん, 足 関節 背屈 を 中 心 と し て体幹
を前 傾 す
る と,
25cm
前 後
の リー
チ 長 で あっ ても体 重心
の前方 移 動
は十 分
に生じ る。
しか し,
姿 勢 観 察
に より
そ の こ とは除外
でき
る の であ り,FRT
の測定 値
と合わ せ て検 討 す
る と,
前 方
へ の重 心 移 動
の大 小
は判 断できる で
あ
ろう
。
ま た
,
高 齢 者
で は足関
節 機 能
か ら低
ドす
る こと が知
ら れ,
重 心
の前 方 移 動
に とも
なう足 関
節 背屈
モー
メ ン ト に抗 す
る底 屈
モー
メ ン ト を発 揮
でき な
い場
.
合
に は,
バ ラン スを保 持
し な が ら リー
チす
ること がで き ない。
その点で はFRT
測定値
の 低 ドが 足関 節 機 能
の低
下 と関 係してい るこ と は 推察
で き る。
興
味深
い こ と に,
Duncan
ら/5/’
の研究
では高 齢者
にお け る転倒の危
険性は,
最 大
リー
チ 長 が15
.
2cm
か ら25
,
4
Cln の範 囲 な
ら ば,
オッ ズ 比で2
倍 に 高 ま る と報告
さ れてい る。
転 倒
の危 険性が
高
い と さ れ る 最 大 リー
チ 長の範 囲
が,
FR
モ デ ル におけ
る重 心移
動
ゼ ロの場 合
の リー
チ長
と近い数 値 な
の であ
る。もち
ろ ん,
足 関節 機 能
の みな
らず 股 関節 機 能が 低 ドし
て体 幹 を
十分
に前傾
で き ない場 合
に は,
さ ら に最 大
リー
チ長
は低
下 す るこ と も考慮
し なけ
れ ば な らな
い。一・
方 で,
足 関節 筋 力と リー
チ 長 との関係
は明 確に さ れ てい ない。
Robillsoll
ら16}は.
.
F
月支筋 力
と転 倒
お よびバ ラ ン ス能 力
の評 価 指 標
との関係
を報 告
してい る。そ
こ で,
股 関 節屈
曲 筋力
,膝 関節 屈 曲筋 力
,
足 関 節 底 屈
お よ び背
屈筋 力
は 非 転 倒 群 と比 較 して転 倒 群で有 意に低 かっ た が,FRT
と足関 節 底 屈
お よ び背 屈 筋 力
と は有 意 な 相 関
関 係 が 見 られ な かっ た と してい る。
た だ し,
我
々の今回
の結
果 か ら,
姿 勢
の と り方に よ り 同 じ 重 心 移 動 量で もFRT
の測 定 値 に は 差 が 生 じ るこ と が明
ら か に な り,
そ れ が筋 力 と
FRT
の相
関 を 弱 め るこ と は考
えら れ る
。
こ の点
につ い て は,
今 後 臨 床
での研究 成果 が 期 待 さ れ る
。
FR
model は 重 心の位 置 か ら関節 角 度
を決
定 す る という特 徴 が あ る た め
, こ こ で は 重 力のモー
メン ト と筋モー
メ ン トの関係
を 中 心に考察
して き た。
し か し な が ら,
リー
チ 動作
に は筋 力の み な ら ず感 覚
,
神 経 筋 調 節
,
骨 関 節
形 態
,適 応的
機 構
な ど様々な 要 因 が 関 与 し てい る と 思 わ れ,
多 方 而
か ら リー
チ長
の意 義 を検 討 する
ことが
必 要で
ある。
3.
前 方
へ の重 心 移 動
に ともな う姿 勢
の変 化
と最 適 化FRm
。。は身長
に比 例 して増
大 する こ とが 明らかとなっ た。また
,
今回
作 成
し たFR
model の シ ミュ レー
ショ ン の結 果
は,
最 大 前 方 移 動 量 を足 長
の60
% と し た場 合には
,
Duncan
が 示 し た 健 常 青年
の参考値
1)に近 く,
その こ と はFR
model の有用
性
を間接
的に証 明
してい る。
さ ら に,
回 帰 直 線
の切 片
は お お よそ
0
であ り
,
こ の結 果
は リー
チ長
を身長
で除
し デー
タ の比較
を 可能
にす
るため の標 準 化
に妥 当 性
を与
えて い る。
一
方
,
前 方 移 動
量 を5cm
お
よび10
cm と一
定
の値
にし た
ときに は
,
身 長
に 比 例 してFRm
。 。が 増 加 す る もの の,
傾 きで は前 方移
動
量 を 足 長の60
%と した場 合の2
分の1
となっ てい る。
これ らの こと は,
単 に身長 が
高
く なっ ても
,
重 心 位 置が
変 わ ら な け れ ば その影 響 は 小 さい こ と を 示 してい る。
結 果 を まとめ る と,FRm 。
。
に影響 を与
え るのは,
幾何 学
的 に は身
長 と 足 長 に 比 例 し て 増 加す
る前
方
へ の最 大 重 心 移 動 量 (安 定 性 限界
) と な る、
,
た だ し,
足 長 は 身 長に比 例す
るの で 17−
19),
最 終 的
に は身 長
が リー
チ長
を決
め る 重要
な因 子と なっ てい る。
ま た
,
今
囘の シ ミュ レー
ショ ンの結 果
か ら最
適化
さ れ た姿 勢
におけ
る関 節 角 度 間
の関 係が
明
らか となっ た(
図
7
)
、これ らの関係
は身長
に依 存
せず
一
一
・
定
であ
ること か ら,
関 節 角 度
の実 測 値
とFR
model との比較
に より最 適 な 姿
勢 が
と られ
てい る か どうか
評 価 する
ことも
ロ∫能に
なる
も
の と考 えて いる。
さらに
,
ゆっく りと前 方
ヘ リー
チ した際
に, 最終
的 な姿 勢をと るまで の過 程 に も興味
が 湧 く。
先
にも述
べ た ように
, 本 来 は リー
チ 長の み な らずリー
チ動 作
の観 察が
重 要
なの であ り
,
関節 運 動
パ ター
ンに機 能
障 害 を 推測
す
る糸
「1
が隠
さ れ てい る。
これ につ い て は,FR
に おい て 関節運
動
パ ター
ンを実
測 し,今 後 検証 し て
みた
い。
今
回 作 成 し たFR
model は,
正常な場 合だ け で は なく
,
関節 拘 縮や
筋 力低
一
ドなど
に よ る 運動 制限 が
あ
る場 合に, どのような姿 勢が リ
ー
チ動 作
に おい て最 適
であ
る か検 討
す
るの に役
立つ。
例え
ば, 対象 者
が身
長170cm
で股 関節 伸 展 筋 力 低
下 に より屈
曲
30
度
が 限度で
あ
れ ば, 図4
か ら足 関 節 背 屈 角 度と肩 関 節 屈 曲 角 度がわか
るのであ
り
,
そ れ を参考
に して動 作 時
の姿 勢
の再建
を 図る こ とも
考 え られ る
の である
。ま
た,
足
関節に 関節 拘 縮 な ど
の制
限 が あ
る場 合
に は,
付 表
に示し たGx
との関係 式
から β
をα とGx
で表
し,
シ ミュ レー
シ ョ ン で α (足 関 節角 度 )
か らβを決 定 す
る ことも可
能
であ り
,
α とβか ら股
関節角 度
を求める こと ができ
る。
4
.
本 研 究
の1
垠界
上
肢
の重 量 を無 視
する こ とにより
,
姿 勢 を
一
意
に決
め る こと が可 能
と なっ た,
,
し か し,
実 際
に は上肢 重 量 を無
視 す
るこ とに より
,
重 心 位 置
に関
して は2cm
程 度
の系
統 誤差 を 生 じ
る、
モ デ ル と して単 純 化 す
る こと に より得
ら れる知 識 も多
い が,
その ことに は注 意
が必要
であ
る。
た だ し,
実 際
にヒ ト を対 象と して3
次 元 運 動 解 析 装 置に
より間接 法
で重 心位 置
を推 定
し た と しても
,
マー
カー
の貼 り
付 け 位 置,
体 型 な どによ り誤差
が生
じ るのも事 実
で あ る。
今
回のモ デル化 に よっ て牛 じ る 誤 差 は,
その範 囲内
で収
ま るも
の と考
えている.
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付 表
FR
m〔〕del
に よ るFRm
。
。
の計 算アル ゴリ ズム 体 重 心 の x 座 標 (一
側 上 肢の重 量 は 無視できる と して)、
Gx=
0.
32x1+0、
68x2 ここ で、
Xlおよびx2 は 以 下 の 式 で表 すことができ x1=
r[ sin rt X2=
らsin α+r2 sinP
Gx
は 次の ようにな るGx
=
0
.
32ri sina +0
、
68Elsilla
+O
.
68r2
sinβこれ より角 度αは
、
βおよびGxの関数とし て表現できる・
一
一 司髏
詈
1劉
ま た
、
指 先のy 座標はFTy
=
‘.
1cos (x +麦.
2じos β+63c〔}sγFRT 〔
funetiona
]−
reach−
test)で はFTyは直立位の肩 峰の高 さで一
定であ り FTy=
e1’
1.
e1・
.
C−
1ic−
Elcosα一
62cosβ
、
’
i=
COS
tt
i/3 丿さらに
、
指先のx座 標は 以 下の式で表 すことができる FTx=
ffisinα+ 9三sin β+ ‘3sinTした がって
、
任 意のGxでβを操 作 することに よって、
FTxを最 大にす る最 適な姿 勢を 決 め ることがで きる
た だし
、
FR.
[.
におい ては肩 甲 帯の屈 曲 運 動 も入り、
その影 響は無 視できない た め