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「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の信頼性・妥当性の検討

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日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 27, No. 1, 16-28, 2013

*1群馬パース大学保健科学部看護学科(School of Nursing, Faculty of Health Science, Gunma Paz Collage) *2群馬大学大学院保健学研究科(Gunma University Graduate School of Health Sciences)

2012年9月3日受付 2013年1月17日採用

原  著

「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の

信頼性・妥当性の検討

Examining the reliability and validity of the “Scale of wives’

satisfaction with husbands’ supportiveness during pregnancy”

中 島 久美子(Kumiko NAKAJIMA)

*1

常 盤 洋 子(Yoko TOKIWA)

*2 要  旨 目 的  本研究の目的は,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の信頼性と妥当性を検証し,尺度の有用性 を検討することである。 方 法  対象は第1子妊娠期の夫婦800組である。夫婦ペアで回答が得られた376組のうち277組を分析の対象 とした。「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は妻用と夫用の尺度で構成され,内的整合性と因子的 妥当性が確認されている。回答は5件法であり,夫の関わりに対する妻の満足の程度が測定される。基 準関連妥当性の検討には「QMI」(夫婦関係満足尺度)と「SUBI」(心的健康感尺度)が使用された。 結 果  因子分析の結果,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は,妻と夫の両尺度に「妻の健康と情動へ の気づかい」「家事労働」「子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション」の3つが抽出され た。3下位尺度は「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり」の構成概念の「夫婦の親密性」「家族システム」 「親になる意識」に類似する概念であり,構成概念妥当性が支持された。「妻用の尺度」と「QMI」との間 に正の相関(r=.20∼.63, p<.01∼.05),「夫用の尺度」と「QMI」との間に正の相関(r=.25∼.50, p<.01 ∼.05)が示された。「妻用の尺度」と「SUBI」の間に正の相関(r=.20∼.53, p<.01∼.05)が示された。こ のことから基準関連妥当性が確認された。信頼性の検討では,Cronbach's α=.76∼.86(妻用),α=.80 ∼.86(夫用),折半法信頼性係数は,ρ=.86∼.91(妻用),ρ=.86∼.90(夫用)であり高い信頼性が確認 された。 結 論  「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は妊娠期の妻への夫の関わりに対する妻の満足感を妻と夫 の認識から測定できる信頼性と妥当性が確認された尺度であることが証明された。本尺度の活用により, 妊娠期の夫婦が相互に理解しあえる関係性のアセスメントに役立てることが期待でき,妊娠期の夫婦の 関係性を支援する尺度の有用性が示唆された。 キーワード:妊婦,満足,夫の関わり,夫婦関係,尺度の信頼性・妥当性

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Abstract Purpose

This study examines the reliability and validity of a newly developed scale measuring wives' satisfaction with husbands' supportiveness during pregnancy, and tests the scale's usability.

Methods

Participants were couples undergoing their first pregnancy. Among the 800 couples recruited, 376 responded to the questionnaire and 277 were included in the analysis.

The "Scale of wives' satisfaction with husbands' supportiveness during pregnancy" assessed the wife's per-ceptions of supportiveness and the husband's perper-ceptions of supportiveness. The content validity was confirmed. Couples were asked to indicate if they agreed or disagreed with each test item, using a 5-point Likert-type scale. The Quality of Marriage Index (QMI) and the Subjective Well-Being Inventory (SUBI) were used to examine the criterion-related validity of the scale.

Results

Three factors emerged from factor analysis: "Empathy for wives' feelings and health," "Support in doing house-work," and "Communication between the couple relating to the birth of their baby." These factors were found to be suitable components of the scale. The correlation (r) between the wives' scale and the QMI was between .20 and .63 (p<.01-.05), while that between the husbands' scale and the QMI was between .25 and .50 (p<.01-.05). The cor-relation between the wives' scale and the SUBI was between .20 and .53 (p<.01-.05). These results confirm the cri-terion-related validity of the scale. The Cronbach's alpha coefficient was between .76 and .86 (the wife's scale), and between .80 and .86 (the husband's scale). The split-half reliability coefficient was between .86 and .91 (the wife's scale), and between .86 and .90 (the husband's scale), which indicated a high internal consistency.

Conclusion

The reliability and validity of the newly developed scale were tested by analyzing the couples' perceptions. Internal consistency was found to be high, and the validity of the scale was confirmed. The developed scale will con-tribute to supporting individual couples during pregnancy and it was indicated that useful in critical situations. Key words: pregnancy, satisfaction, husband supportiveness, marital relationship, reliability and validity

Ⅰ.諸   言

 わが国の出生の推移は,人口動態統計資料(厚生 労働省,2012)によると,第2次ベビーブーム期以降, 2005年の合計特殊出生率は1.26と過去最低を記録し, 2010年には1.39と緩やかな上昇を認めたが,少子化時 代は30年以上続いている。また,妻の初婚年齢は,20 歳代後半から30歳代が上昇傾向の推移であり晩婚化 が進んでいる。さらに,妻の出産年齢も上昇傾向のま ま推移しており,2012年では第1子出産時年齢が30.1 歳と年々晩産化が進んでいる。一方,この10年で妊 娠後に結婚にいたる夫婦は増加傾向の推移であり4人 に1人が妊娠先行型結婚という現状がある。このよう な近年の少子化,晩婚・晩産化,結婚形態の変化を背 景に妊娠・出産および育児における夫婦の関係性が重 要視されるようになった(中島・常盤,2008)。妊娠期 は,夫婦の絆を築き上げる新婚期から,第1子の出生 により新しい家族関係に変化する移行期とされ,夫婦 は家族の発達課題に直面する(鈴木・渡辺,2010)。家 族の移行理論(Cowan, 1991)によると,「親への移行 期」において夫婦は,「親になる意識」を発達させなが ら親としてのアイデンティティを受け入れる準備をす ると考えられる。しかし,現代社会で増加している妊 娠先行型結婚や晩婚・晩産の夫婦では,家族のライフ サイクルの中で新婚期から妊娠・出産期へと段階的な 移行を辿らずに,新婚期と妊娠・出産期の両者の発達 課題への適応が求められるため,夫婦関係に葛藤が生 じることが懸念される(鈴木・渡辺,2010)。また,子 どもを持つと夫婦は,価値観や感情などの様々な認識 のずれに直面する機会が増え,夫婦関係の満足感の低 下を招くことがある(Jay & John, 1994/1995)。一方で 妊娠期は,夫婦が生殖家族を形成し,家族役割の再調 整を行う時期であると考えられる。したがって,妊娠 期の家族の発達課題に適応していくには,夫婦が良好 なコミュニケーションをとれる関係性をもつことが重 要であると考える。  Friedman(1992/1993)の家族構造̶機能理論による と,夫婦のコミュニケーションは生まれてくる子ども を受け入れるために必要な家族役割の変化に影響を及 ぼすことが指摘されている。夫婦関係が良好で家族役 割の変化に適応できている夫婦では,コミュニケーシ ョンによる妻から夫,夫から妻へ伝達されるメッセー

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Ⅱ.研 究 目 的

 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の信頼性 と妥当性を検証し,尺度の有用性を検討する。

Ⅲ.研 究 方 法

1.調査対象  対象者は,関東近郊の総合病院(4カ所),産科医院(4 カ所)の妊婦健診に来院した第1子妊娠期(初期,中期, 末期)にある夫婦800組とした。妊娠初期(以下,「初期」 とする)を妊娠の判定から妊娠14週未満,妊娠中期(以 下,「中期」とする)を妊娠14週から妊娠28週未満,妊 娠末期(以下,「末期」とする)を28週以降とした。属 性として,夫婦の年齢,結婚年齢,就労状況,同居家 族,妊娠週数,妊娠の成立,妊娠歴,合併症,妊娠経 過を妻に確認した。 2.調査期間  平成22年6月∼平成23年1月であった。 3.調査の手続き  妊婦健診に夫婦同伴で来院した夫婦には研究者ある いは産科外来スタッフが研究の主旨及び倫理的配慮を 説明し,研究参加に同意が得られた夫婦に調査用紙を 配布した。妊婦健診に妻のみが来院した場合には,夫 婦同伴で来院した場合と同様に研究参加に同意が得ら れた妻に調査用紙を配布し,夫の調査用紙は妻から夫 に渡してもらい,夫に対する協力依頼は紙面にて行っ た。 4.調査内容 1 ) 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」  「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は,妊娠 期の妻への夫の関わりに対する妻の満足感を妻と夫の 認識から測定する尺度である。尺度は,「妻用の尺度」 と「夫用の尺度」から成り,妊娠各期別に「妻の健康と 情動への気づかい」「家事労働」「子どもが生まれるこ とに関する夫婦のコミュニケーション」の3下位尺度 で構成されている。妻と夫は現在の妊娠時期を選んで 回答する。「妻用の尺度」は初期14項目,中期21項目, 末期24項目,「夫用の尺度」は初期17項目,中期20項 目,末期17項目から構成されている。回答は,「1:ほ とんどちがうと思う」∼「5:かなりそうだと思う」の5 ジは明瞭であり,夫婦は互いのメッセージに対して理 解が得られやすい。一方,適応できていない夫婦は, 曖昧なメッセージを送ったり,受け取る傾向があり, 夫婦が互いの役割を理解する上で混乱を招く原因とな る(大坊,2004)。したがって,夫婦の良好なコミュニ ケーションを通して,妻と夫の共通の認識と異なる認 識を夫婦が相互に理解し合うことができれば,妊娠期 の妻の精神的健康は良好になることが期待できる。妊 娠期の夫婦関係が調和的関係にあれば,家庭の雰囲気 はよくなり,育児期の家族関係にも好ましい影響を及 ぼす(大坊,2004)。よって,「妊娠期の妻が満足と感 じる夫の関わり」に対する妻と夫の認識を相互に理解 し合うことができれば,妻の精神的健康が良好となり, 出産・育児期の夫婦の調和的な関係性の構築が期待で きると考えた。  これまでの妊娠期の夫婦への支援は,妊娠・出産を 担う妻の認識のみに焦点が当てられ,夫の認識を考慮 せずに妻への夫の関わりを強化させるための支援が中 心であった(中島,2006)。しかし,これからの母性看 護学・助産学領域の現場においては,家族の最小単位 である夫婦を基盤に妊娠期の妻が満足と感じる夫の関 わりに対する妻と夫の認識をアセスメントし,夫婦が 相互に理解し合えるような夫婦の調和的な関係性への 支援が重要と考える。先行研究(中島・常盤,2012)で は,妊娠期の夫婦の認識から捉えた「妊娠期の妻への 夫の関わり満足感尺度」を作成するため尺度の質問項 目が選定された。その結果,尺度の質問項目は,「夫 婦の親密性」「家族システム」「親になる意識」の3つの 概念が含まれ,尺度の因子的妥当性が確認された。ま た,尺度の内的整合性が確認されている(Cronbach's α=.78∼.89)。そこで,本研究では,因子的妥当性 が確認された「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」 の信頼性と妥当性を検証し,妊娠期の夫婦の関係性へ の支援となる尺度の有用性を検討したいと考えた。 【用語の操作的定義】 夫の関わりに対する妻の満足感:夫の関わりに対する 妻の喜びや安心感,あるいは助けられたという気持 ち 夫の関わり:妊娠期の妻に対する夫の言動や態度 夫婦の認識:妻が満足と感じる夫の関わりに対する妻 の認識,夫の関わりに対して妻が満足と感じている という夫の認識

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件法で得点が高いほど夫の関わりに対する満足感が高 いことを示す。

2 ) 「QMI」(夫婦関係満足尺度)

 「QMI(Quality marriage index)」は,Norton(1983) が作成し,諸井(2001)が日本語に翻訳した尺度で信 頼性が検証されている。この尺度は夫婦関係の質を 問う6項目から構成され,4段階評価で測定し(最高24 点,最低6点),得点が高いほど夫婦関係に満足して いることを示す。「QMI」は夫婦の心理的な結びつきを 測定できることから「夫婦の親密性」を含む尺度であ り,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」において も「夫婦の親密性」を含んでいることから「QMI」と正 の相関を示すことを仮説とした。 3 ) 日本語版WHO SUBI(心的健康感尺度)

  日 本 語 版WHO SUBI(Subjective Well-being Inven-tory:以下「SUBI」)は,WHOが開発し,大野・吉村 (2001)によって日本語版に標準化されている。この 尺度は陽性感情(健康度19項目)と陰性感情(疲労度 21項目)の2つの尺度から成る。陽性感情は,7下位尺 度(「満足感」,「達成感」,「自信」,「至福感」,「近親者 の支え」,「社会的な支え」,「家族との関係」)から構成 されている。心的健康感の自覚の程度を3段階評価で 測定し(最高57点,最低19点),心の健康度が高得点 であると心的健康状態が良好であることを示す。本研 究では,「SUBI」の陽性感情が本尺度の概念である満 足感を含んでいることから,妊娠期の妻への夫の関わ りに対する妻の満足の認識が高まると「SUBI」の陽性 感情は高まると推測される。一方,「SUBI」の陰性感 情(疲労度)はストレスを構成概念とする尺度であり, 本研究において測定できる妻への夫の関わりに対する 妻の満足感はストレスを測定する心の疲労度とは異な る概念であると判断した。よって,本研究では「SUBI」 の陽性感情を外的基準として使用し,「妊娠期の妻へ の夫の関わり満足感尺度」は,「SUBI」の陽性感情と正 の相関を示すことを仮説とした。 5.倫理的配慮  対象者には,研究目的と倫理的配慮について明記し た依頼書を調査用紙に添付し,研究への協力は任意で あり,協力の有無による不利益はないこと,プライバ シーの保護,データは研究以外には使用しないことな どを保証した。夫婦のプライバシー保護のため,調査 用紙記入後は,夫婦別々に小封筒に入れて封をしたも のを夫婦セットにして大封筒に入れられる封筒を用意 した。研究参加は産科外来に設置された回収箱への投 函をもって同意とみなした。なお,本研究は2009年 度群馬大学医学部臨床倫理審査委員会の審査を受け, 倫理的に問題がないことの承認を得て調査を実施した (承認番号9-6)。 6.分析方法  分析にあたり,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感 尺度」「QMI」「SUBI」の項目に1割以上の無回答がある 質問紙は分析から除外した。記述統計を算出し因子 分析(主因子法,プロマックス回転)を行った。信頼 性の検討にはCronbach'α係数の算出,折半法(Spear-man-Brownの公式)を行った。基準関連妥当性の検討 には「QMI」「SUBI」を用いた。分析は統計ソフトSPS Sversion17.0 Jを使用し,統計の専門家のスーパーバ イズを受けた。

Ⅳ.結   果

1.調査対象  質問紙は800組に配布し397組(回収率49.6%)が回 収された。そのうち夫婦どちらか一方の回答や回答 が不十分であった21組を除外し,有効回答数は376組 (有効回答率47.0%)であった。また,不妊治療の経験 は妻が満足と感じる夫の関わりに対する妻と夫の認 識に影響を及ぼす可能性があることを考慮し(中島・ 常盤,2011),不妊治療後の夫婦54組を分析から除外 した。さらに,妊娠週数を産科学的分類に従い,妊娠 14週以降でまだ胎動の自覚がない夫婦45組を分析か ら除外した。最終的に277組(34.6%)を分析の対象と した。妊娠各期の内訳は,初期63組,中期83組,末 期131組であった。 2.「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の因子構造 1 ) 因子分析を行う前の操作基準  「妻用の尺度」と「夫用の尺度」の妊娠各期の項目の 分布反応である天井効果とフロア効果を確認し,平均 点が4.5以上又は1.5以下の項目を削除した。次に項目 間相関.7以上で項目内容が類似している場合には各質 問項目の平均点と標準偏差を検討して,標準偏差の大 きいほうの一方の項目を削除する基準を設けた。以上 の操作により,「妻用の尺度」では初期3項目,中期8 項目,末期4項目を除外し,残りの初期11項目,中期 13項目,末期20項目について因子分析(主因子法,プ

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ロマックス回転)を行った。「夫用の尺度」についても 同様に初期2項目,中期6項目,末期4項目を除外し, 残りの初期15項目,中期14項目,末期13項目につい て因子分析を行った。 2 ) 因子抽出までのプロセス  1回目の因子分析では,累積寄与率を考慮して固有 値が1以上の2もしくは3因子を抽出し,プロマックス 回転を行った。2回目の因子分析では,因子負荷量が.4 未満のものは削除する基準を設けた。その結果,「妻 用の尺度」では,初期は削除項目がなく,中期1項目, 末期1項目が除外され,残りは初期11項目,中期12項 目,末期19項目となった。「夫用の尺度」では,初期 1項目が除外され,中期および末期は削除項目がなく, 残りは初期14項目,中期14項目,末期13項目となっ た。3回目の因子分析では,全項目の因子負荷量は.4 以上であったが,重複して因子負荷が高いか因子的に 解釈が困難であるという理由によって,「妻用の尺度」 では末期3項目を除外し,「夫用の尺度」では初期2項 目と末期3項目を除外した。項目̶全項目相関につい て.4未満を削除項目の条件として設定したが妻用と夫 用の両尺度に該当する削除項目はなかった。結果,「妻 用の尺度」では初期11項目,中期12項目,末期16項目, 「夫用の尺度」では初期12項目,中期14項目,末期10 項目を因子的に意味のある項目として決定した。4回 目の因子分析で項目の安定した「妊娠期の妻への夫の 関わり満足感尺度」が作成された。「妻用の尺度」の累 積寄与率は初期38.98∼57.68%,中期35.72∼55.25%, 末期36.05∼42.66%,「夫用の尺度」の累積寄与率は初 期36.46∼50.47%,中期36.33∼52.66%,末期40.12∼ 51.22%であった。因子抽出後の共通性は,妻と夫の 両尺度とも.3以上,因子負荷量は.4以上であった(表 1-1,1-2)。  「妻用の尺度」と「夫用の尺度」の各因子間のPearson の相関係数を算出した結果,有意な相関(「妻用の尺 度」r=.20∼.64, p<.01,「夫用の尺度」r=.35∼.63, p <.01)が確認された。項目̶全項目相関を行った結果, 全ての項目間に有意な相関が確認された(「妻用の尺 度」r=.20∼.83, p<.05∼.01,「夫用の尺度」r=.25∼.70, p<.05∼.01)。「妻用の尺度」と「夫用の尺度」の下位 尺度について平均値+1/2SD以上を高得点群,平均値 ­1/2SD以下を低得点群としてG-P分析を行った結果, 全ての項目に.1%未満の有意差が確認された(「妻用の 尺 度 」t=15.60∼69.00, df8.35∼141.22, p<.001,「夫 用の尺度」t=14.91∼24.33, df21.43∼64.00, p<.001)。 これらの項目分析の結果いずれも有意な相関が得られ, 一貫性の高い尺度の質問項目が精選された。 3 ) 因子構造 (1)「妻用の尺度」の因子構造(表1-1)  初期の第1因子は できる限り家事を手伝っている など3項目で構成され「家事労働」とした。第2因子は 生まれたらどのように育てるかを夫婦で話し合って いる など4項目で構成され「子どもが生まれることに 関する夫婦のコミュニケーション」(以下,「夫婦コミ ュニケーション」)とした。第3因子は 妻のストレス 発散ができるようにやりたいことを勧めている など4 項目で構成され「妻の健康と情動への気づかい」(以下, 「妻への気づかい」)とした。中期の第1因子は 妻の体 調を心配して気づかう言葉をかけている など6項目で 構成され「妻への気づかい」とした。第2因子は 布団 を干したり運んだりしている など3項目で構成され 「家事労働」とした。第3因子は 出産前後の生活を夫 婦で話し合っている など3項目で構成され「夫婦コミ ュニケーション」とした。末期の第1因子は 母子の健 康のために適度な運動を勧めている など8項目で構成 され「妻への気づかい」とした。第2因子は 生まれた らどのように育てるかを夫婦で話し合っている など8 項目で構成され「夫婦コミュニケーション」とした。 (2)「夫用の尺度」の因子構造(表1-2)  初期の第1因子は 夫婦でコミュニケーションをと るようにしている など7項目で構成され「妻の健康と 情動への気づかい」(以下,「妻への気づかい」)とした。 第2因子は 食事の準備・後片付けをしている など5 項目で構成され「家事労働」とした。中期の第1因子は 子どもが生まれたらどんな父親になりたいかを妻に 話している など6項目で構成され「子どもが生まれる ことに関する夫婦のコミュニケーション」(以下,「夫 婦コミュニケーション」)とした。第2因子は 妻の心 配事を聞いている など5項目で構成され「妻への気づ かい」とした。第3因子は できる限り家事を手伝って いる など3項目で構成され「家事労働」とした。末期 の第1因子は 生まれたらどのように育てるかを夫婦 で話し合っている など7項目で構成され「夫婦コミュ ニケーション」とした。第2因子は 食事の準備・後片 付けをしている など3項目で構成され「家事労働」と した。

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表1-1 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度(妻用の尺度)」の因子構造 因子名 質問項目 因子負荷量 妊娠初期 n=63 mean SD 共通性 Ⅰ.家事労働      Cronbach's α係数=.86 a-14 できる限り家事を手伝っている 4.25 1.03 .882 .058 -.064 .885 a-11 掃除・洗濯をしている 3.87 1.29 .855 -.037 -.071 .789 a-12 お風呂掃除をしている 4.19 1.34 .752 -.063 .131 .453 Ⅱ.子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション      Cronbach's α係数=.79 a-10 生まれたらどのように育てるかを夫婦で話し合っている 3.68 .96 -.131 .885 -.045 .701 a-9 妊娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している 3.98 .89 .021 .782 -.068 .559 a-2 妻の体調管理への頑張りを認めている 4.41 .80 -.262 .524 .047 .461 a-7 子どもが生まれることが楽しみだと夫婦で語り合っている 4.44 .76 -.092 .427 .350 .435 Ⅲ.妻の健康と情動への気づかい       Cronbach's α係数=.76 a-4 妻のストレス発散ができるようにやりたいことを勧めている 3.95 .92 -.016 -.144 .834 .557 a-5 妻の体調を気づかい一緒に外出している 4.35 .79 -.045 .066 .761 .604 a-8 お腹をなでたり赤ちゃんに話しかけている 4.00 1.01 -.040 .105 .613 .435 a-3 妻の体調を心配して気づかう言葉をかけている 4.41 .80 .229 .037 .497 .465 固有値 4.287 1.539 .519 因子寄与率(%) 38.977 13.993 4.714 累積寄与率(%) 38.977 52.970 57.680 妊娠中期 n=83 mean SD 共通性 Ⅰ.妻の健康と情動への気づかい       Cronbach's α係数=.82 b-1 妻の体調を心配して気づかう言葉をかけている 4.43 .07 .897 .000 -.144 .663 b-17 妻の胎動の自覚を知り喜んでいる 4.49 .08 .786 .133 -.027 .668 b-8 妻の心配事を聞いている 4.07 .10 .746 .001 .113 .675 b-9 妻の体調管理について気にかけている 3.80 .10 .475 -.144 .140 .303 b-4 妻の気分転換が図れるようにやりたいことを勧めている(外出など) 4.11 .09 .469 .090 .155 .373 b-12 子どもが生まれることにより仕事への意欲が増すと妻に話している 3.52 .11 .434 -.175 .245 .354 Ⅱ.家事労働      Cronbach's α係数=.83 b-21 布団を干したり運んだりしている 3.62 .13 -.151 .816 .150 .626 b-20 掃除・洗濯をしている 3.64 .13 .022 .793 -.061 .624 b-19 食事の準備・後片付けをしている 4.16 .11 .106 .765 -.059 .652 Ⅲ.子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション      Cronbach's α係数=.76 b-14 出産前後の生活を夫婦で話し合っている 3.84 .10 -.044 .014 .906 .777 b-16 子どもの名前を夫婦で話し合っている 4.24 .11 .078 .032 .554 .375 b-13 子どもが生まれたらどんな父親になりたいかを妻に話している 3.67 .11 .277 .035 .520 .540 固有値 4.287 1.723 .620 因子寄与率(%) 35.723 14.358 5.167 累積寄与率(%) 35.723 50.081 55.248 妊娠末期 n=131 mean SD I II 共通性 Ⅰ.妻の健康と情動への気づかい       Cronbach's α係数=.85 c-16 母子の健康のために適度な運動を勧めている 3.68 .92 .798 -.138 .511 c-8 妻の体調を心配して気づかう言葉をかけている 4.36 .74 .756 .005 .576 c-19 妻の気分転換が図れるようにやりたいことを勧めている(外出など) 3.99 .96 .684 .023 .488 c-10 妻の心配事を聞いている 4.14 .90 .673 .065 .515 c-14 母子の健康によい食品を勧めている 3.47 1.07 .640 -.029 .386 c-17 妻の体調管理への頑張りを認めている 3.70 .86 .580 .139 .462 c-21 妻の体調を気づかい一緒に外出をしている 4.20 .96 .563 .053 .359 c-20 母子の健康のために一緒に運動をしている 2.91 1.24 .556 .076 .371 Ⅱ.子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション      Cronbach's α係数=.83 c-6 生まれたらどのように育てるかを夫婦で話し合っている 3.83 .89 -.012 .749 .549 c-5 子どものために必要な用品や環境を夫婦で話し合っている 4.16 .80 -.012 .683 .456 c-3 出産時の夫の役割について夫婦で話し合っている 3.61 .90 .069 .679 .528 c-1 出産前後の生活について夫婦で話し合っている 4.13 .76 .089 .648 .504 c-2 妊娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している 4.03 .86 -.132 .639 .315 c-11 将来子どもと一緒に遊びたいと妻に話している 4.39 .80 .081 .508 .319 c-13 お腹をなでたり赤ちゃんに話しかけている 4.41 .80 .047 .457 .246 c-12 出産に関して妻の意思を尊重している 4.35 .76 .062 .454 .247 固有値 5.768 1.058 因子寄与率(%) 36.049 6.612 累積寄与率(%) 36.049 42.661 因子抽出法:主因子法,回転法:Kaiserの正規化を伴うプロマックス法

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表1-2「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度(夫用の尺度)」の因子構造 因子名 質問項目 因子負荷量 妊娠初期 n=63 mean SD 共通性 Ⅰ.妻の健康と情動への気づかい      Cronbach's α係数=.80 a-2 夫婦でコミュニケーションをとるようにしている 4.37 .66 .817 -.052 .609 a-3 妻の心配事を聞いている 4.14 .76 .747 .010 .608 a-8 妻の食事や体調管理について気にかけている 3.70 1.04 .680 -.039 .560 a-4 妻の体調を心配して気づかう言葉をかけている 4.30 .75 .656 .091 .653 a-5 妻と夫の両親との関係を配慮している 3.87 .96 .608 -.217 .416 a-6 妻の仕事や家事を無理しないように言葉をかけている 4.14 .86 .599 .161 .554 a-10 妊娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している 3.40 1.04 .551 .059 .423 Ⅱ.家事労働       Cronbach's α係数=.84 a-12 食事の準備・後片付けをしている 3.71 1.29 -.108 .904 .735 a-16 布団を干したり運んだりしている 3.73 1.30 -.019 .807 .636 a-11 掃除・洗濯をしている 3.79 1.30 .085 .711 .624 a-14 妻の体調が悪いときは食事を作っている 3.49 1.41 .158 .673 .571 a-15 お風呂掃除をしている 3.94 1.40 -.127 .597 .303 固有値 4.375 1.682 因子寄与率(%) 36.455 14.013 累積寄与率(%) 36.455 50.468 妊娠中期 n=83 mean SD 共通性 Ⅰ.子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション     Cronbach's α係数=.82 b-10 子どもが生まれたらどんな父親になりたいかを妻に話している 3.68 1.02 .817 -.188 .051 .529 b-11 子ども用品を夫婦で一緒にそろえている 3.46 1.19 .743 -.062 .117 .561 b-5 子どものために必要な用品や環境を夫婦で話し合っている 4.07 .87 .572 .329 -.022 .661 b-3 妊娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している 4.12 .78 .522 .163 .030 .422 b-12 子どもの名前を夫婦で話し合っている 4.38 .95 .470 .129 -.126 .281 b-7 生まれたらどのように育てるかを夫婦で話し合っている 4.04 .85 .458 .248 .059 .446 Ⅱ.妻の健康と情動への気づかい      Cronbach's α係数=.80 b-19 妻の心配事を聞いている 4.20 .81 -.041 .865 -.047 .678 b-20 出産前後の生活を夫婦で話し合っている 4.06 .85 .230 .636 -.162 .570 b-17 妻の体調を気づかい一緒に外出をしている 4.35 .80 -.143 .601 .241 .416 b-2 お腹に触れて胎動を感じようとする 4.41 .68 -.003 .544 .205 .419 b-18 妻のお腹が圧迫されないように注意を払っている 4.39 .75 .178 .531 -.074 .402 Ⅲ.家事労働       Cronbach's α係数=.83 b-16 できる限り家事を手伝っている 3.83 .94 -.166 .195 .835 .756 b-15 掃除・洗濯をしている 3.46 1.21 .085 -.148 .830 .655 b-13 家事労働を分担していたが今まで以上に手伝っている 3.83 1.03 .187 .001 .681 .578 固有値 5.086 1.532 .754 因子寄与率(%) 36.329 10.945 5.386 累積寄与率(%) 36.329 47.274 52.660 妊娠末期 n=131 mean SD 共通性 Ⅰ.子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション     Cronbach's α係数=.83 c-13 生まれたらどのように育てるかを夫婦で話し合っている 3.81 .92 .769 -.017 .578 c-16 妊娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している 3.79 .94 .740 .058 .596 c-11 出産時の夫の役割について夫婦で話し合っている 3.61 .97 .733 -.065 .492 c-14 出産前後の生活について夫婦で話し合っている 3.94 .90 .646 .015 .427 c-9 夫婦でコミュニケーションをとるようにしている 4.40 .68 .590 .064 .392 c-8 お腹をなでたり赤ちゃんに話しかけている 4.33 .81 .577 -.001 .332 c-12 母子の健康のために一緒に運動をしている 3.09 1.23 .522 .004 .275 Ⅱ.家事労働       Cronbach's α係数=.86 c-2 食事の準備・後片付けをしている 3.50 1.12 -.054 .852 .681 c-1 できる限り家事を手伝っている 3.63 1.02 .043 .826 .722 c-3 掃除・洗濯をしている 3.11 1.24 .025 .777 .626 固有値 4.012 1.109 因子寄与率(%) 40.124 11.094 累積寄与率(%) 40.124 51.218 因子抽出法:主因子法, 回転法:Kaiserの正規化を伴うプロマックス法

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3.本研究で使用した尺度の得点 1 ) 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の得点  「妻用の尺度」の得点の範囲は,初期では11点∼55 点であり,平均値44.8点(SD6.7),中央値46点,最小 値21点,最大値55点であった。中期の尺度得点の範 囲は12点∼60点であり,平均値47.5点(SD7.5),中央 値49点,最小値25点,最大値60点であった。末期の 尺度得点の範囲は16点∼80点であり,平均値63.6点 (SD8.7),中央値64点,最小値38点,最大値80点で あった。  「夫用の尺度」の得点の範囲は,初期では12点∼60 点であり,平均値は47.0点(SD7.5),中央値48点,最 小値25点,最大値60点であった。中期の得点の範囲 は14点∼70点であり,平均値は56.3点(SD7.9),中 央値56点,最小値30点,最大値70点であった。末期 の得点の範囲は10点∼50点であり,平均値は37.2点 (SD6.5),中央値37点,最小値16点,最大値50点で あった。 2 ) 「QMI」と「SUBI」の得点  「QMI」の得点の範囲は6点~24点である。妻の平 均値は初期21.1点(SD2.8),中期21.0点(SD3.4),末 期21.0点(SD2.8)であった。夫の平均値は初期21.1点 (SD2.6),中期21.7点(SD2.6),末期21.1点(SD2.6)で あった。  「SUBI」の陽性感情の得点の範囲は19点∼57点で ある。妻の平均値は初期41.5点(SD5.8),中期42.3点 (SD5.8),末期41.8点(SD5.8)であった。 4.「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の信頼性 の検討 1 ) 信頼性の検討  Cronbach'sαを算出した結果,「妻用の尺度」の初期, 中期,末期,各々の項目全体のCronbach'sα=.84 .83 .89,下位尺度各々ではα=.76∼.86の高い信頼性が 確認された。また,「夫用の尺度」の初期,中期,末期, 各々の項目全体のCronbach'sα=.83 .87 .85,下位尺 度各々ではα=.80∼.86の高い信頼性が確認された(表 1-1,1-2)。  折半法では,奇数・偶数折半を用いて尺度得点間の 相関係数を求め,Spearman-Brownの公式に代入して 信頼性係数を求めた。その結果,「妻用の尺度」の初期, 中期,末期において折半法信頼性係数は,ρ=.86, .87, .91,「夫用の尺度」の初期,中期,末期においてρ=.86, .90, .86と信頼性係数は.70の基準を上回っていた。 5.「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の妥当性 の検討 1 ) 「妻用の尺度」と「夫用の尺度」に存在する質問項 目の相関による内容的妥当性の検討  妻と夫の認識の間には共通の認識と異なる認識が存 在することを前提に,尺度の質問項目が対象としてい る内容領域をどの程度反映しているかを検討するた め,妻と夫の認識の一致が得られやすい項目である か,或いは認識のずれが生じやすい項目であるかとい う観点から内容的妥当性を検証した。妻と夫の両尺度 に存在する質問項目の相関を検討した結果,初期と中 期の 掃除・洗濯をしている など3項目は比較的強い 相関が示された(r=.59∼.69, p<.01)。一方,初期の 妻の体調を心配して気づかう言葉をかけている など 2項目,中期の 妻の心配事を聞いている 子どもが生 まれたらどんな父親になりたいかを妻に話している など3項目,末期の 母子の健康のために一緒に運動 をしている 生まれたらどのように育てるかを夫婦で 話し合っている など4項目には,弱∼中程度の相関 が示された(r=.25∼.49, p<.01)。また,末期の 妊 娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している , 出産前後の生活について夫婦で話し合っている には 有意な相関が認められなかった。以上より,本尺度 の「家事労働」を構成する質問項目においては比較的 強い相関が示され,「妻への気づかい」「夫婦コミュニ ケーション」を構成する質問項目においては弱い相関, もしくは有意な相関がないことが示された(表2)。 2 ) 基準関連妥当性の検討 (1)「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」と「QMI」 との相関  「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」と「QMI」 との相関は,「妻用の尺度」では,初期の「家事労働」(r =.36, p<.01),「夫婦コミュニケーション」(r=.57, p <.01),「妻への気づかい」(r=.62, p<.01),中期の「妻 への気づかい」(r=.52, p<.01),「家事労働」(r=.20, p<.05),「夫婦コミュニケーション」(r=.22, p<.05), 末期の「妻への気づかい」(r=.63, p<.01),「夫婦コ ミュニケーション」(r=.57, p<.01)との間に正の相 関を示した。「夫用の尺度」では,初期の「妻への気づ かい」(r=.46, p<.01),中期の「夫婦コミュニケーシ ョン」(r=.25, p<.05),「妻への気づかい」(r=.50, p <.01),末期の「夫婦コミュニケーション」(r=.47, p <.01),「家事労働」(r=.31, p<.01)との間に正の相 関を示した。以上より,「QMI」と「妻用の尺度」の全

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ての下位尺度,および「夫用の尺度」の初期と中期の 「家事労働」を除く下位尺度との間に正の相関が示さ れた(表3-1,3-2)。 (2)「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」と「SUBI」 との相関  「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」と「SUBI」 の陽性感情との相関は,「妻用の尺度」の初期の「家事 労働」(r=.30, p<.01),「夫婦コミュニケーション」 (r=.53, p<.01),「妻への気づかい」(r=.52, p<.01), 中期の「妻への気づかい」(r=.26, p<.05),「夫婦コミ ュニケーション」(r=.20, p<.05),末期の「妻への気 づかい」(r=.27, p<.01),「夫婦コミュニケーション」 (r=.32, p<.01)との間に正の相関を示した。「SUBI」 の陽性感情の下位尺度との相関では,陽性感情の下位 尺度の「自信」「社会的な支え」との間には相関が認め られなかったが,「満足感」「達成感」「至福感」「近親者 の支え」「家族との関係」と「妻用の尺度」の中期の「家 事労働」を除く下位尺度との間に正の相関を示した。 以上より,「SUBI」の陽性感情と「妻用の尺度」の中期 の「家事労働」を除く下位尺度との間に正の相関が示 された。また,「SUBI」の陽性感情の下位尺度の「自信」 「社会的な支え」以外の下位尺度と「妻用の尺度」の中 期の「家事労働」を除く下位尺度との間に正の相関が 示された(表3-1)。

Ⅴ.考   察

1.「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の信頼性  妻と夫の両尺度の妊娠各期における項目全体の信頼 性係数はα=.83∼.89(妻用),α=.83∼.87(夫用),下 位尺度各々ではα=.76∼.86(妻用),α=.80∼.86(夫用) であり,信頼性係数は,十分な内的整合性が確保され ると判断する基準の.70を超えている。また,折半法 Spearman-Brownでは,妻と夫の両尺度の妊娠各期にお いてρ=.86∼.91(妻用),ρ=.86∼.90(夫用),と高い 信頼性が確認された。これらのことから,夫婦の関係 性への支援の活用が可能であることが示唆された。 2.「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の妥当性  内容的妥当性,構成概念妥当性および基準関連妥当 表2 「妻用の尺度」と「夫用の尺度」に存在する質問項目の相関 因子名 「妻用の尺度」項目番号 「夫用の尺度」項目番号 質問項目 相関係数 妊娠初期 「妻への気づかい」 a-3 a-4 妻の体調を心配して気づかう言葉をかけている .32 * 「妻への気づかい」 (夫用の尺度) 「夫婦コミュニケーション」 (妻用の尺度) a-9 a-10 妊娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している .35 *

「家事労働」 a-11a-12 a-11a-15 掃除・洗濯をしているお風呂掃除をしている .69.67

妊娠中期 「妻への気づかい」 b-8 b-19 妻の心配事を聞いている .31 * 「夫婦コミュニケーション」 b-13b-16 b-10b-12 子どもが生まれたらどんな父親になりたいかを妻に話している子どもの名前を夫婦で話し合っている .41.49 「家事労働」 b-20 b-15 掃除・洗濯をしている .59 * 妊娠末期 「妻への気づかい」 (妻用の尺度) 「夫婦コミュニケーション」 (夫用の尺度) c-20 c-12 母子の健康のために一緒に運動をしている .36 * 「夫婦コミュニケーション」 c-6 c-2 c-3 c-1 c-13 c-13 c-16 c-11 c-14 c-8 生まれたらどのように育てるかを夫婦で話し合っている 妊娠・出産・育児に関する情報を夫婦で共有している 出産時の夫の役割について夫婦で話し合っている 出産前後の生活について夫婦で話し合っている お腹をなでたり赤ちゃんに話しかている .30 .19 .25 .17 .37 * n.s * n.s * pearson's=r  *p<.01  n.s=有意差なし

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性の検討を行った結果,「妊娠期の妻への夫の関わり 満足感尺度」の妥当性は確認されたと考えられる。 1 ) 内容的妥当性  妻と夫の両尺度に存在する質問項目の相関を検討し た結果,「家事労働」の項目では比較的強い相関(r=.59 ∼.69, p<.01)が確認され,「家族システム」の項目で は妻と夫の認識の一致が得られやすいと考えられた。 一方,「妻への気づかい」や「夫婦コミュニケーション」 の項目では低い相関(r=.25∼.49, p<.01)もしくは 相関がないことが確認され,「夫婦の親密性」や「親に なる意識」に関する項目では,妻と夫の認識のずれが 生じやすいと考えられた。これらの結果は,中島・常 盤(2011)の妊娠期の夫婦を対象にした質的研究によ り明らかにされた「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関 わり」を構成する概念のうち,「家事労働」を表す概念 では妻と夫の共通の認識が得られやすく,「夫婦の親 密性」と「親になる意識」を表す概念では妻と夫の異な る認識が生じやすいという類似した結果が得られた。  本尺度の構成概念である「夫婦の親密性」「家族シス テム」「親になる意識」に強い相関および弱い相関が確 認されたことは,本尺度の測定が対象としている妻へ の夫の関わりに対する妻の満足感について,妻と夫の 共通の認識および異なる認識があることを反映してお り,尺度の内容的妥当性が確認されたと考えられる。 また,本尺度の下位尺度の順序性及び尺度を構成する 質問項目の違いは,妊娠各期の妻と夫の共通する認識 と異なる認識が存在していることを証明しており,妻 と夫の認識を踏まえた尺度であることが示された。 2 ) 構成概念妥当性  構成概念妥当性とは,尺度の測定と尺度の測定が 目指す理論的に導かれた諸概念とがどの程度合致す るかという関連を確認することである(堀・松本・松 井,1994)。先行研究(中島・常盤,2011)では,妊娠 期の夫婦を対象にした質的研究により,「妊娠期の妻 が満足と感じる夫の関わり」を構成する概念「夫婦の 親密性」「家族システム」「親になる意識」の3側面が示 された。また,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺 度」の因子的妥当性による質問項目の選定(中島・常 盤,2012)では,「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わ り」を構成する3側面に対応させた尺度の質問項目が 選定され,作成された尺度は3側面を含んでいること が確認された。そこで,本尺度がもつ概念と先行研究 (中島・常盤,2011;中島・常盤,2012)によって導か れた3側面とがどの程度合致するか,尺度の妥当性に ついて証明したい。  まず,「妻用の尺度」と「夫用の尺度」の妊娠各期に は「妻への気づかい」と「家事労働」が抽出されている。 これら2つは夫婦生活において重要な「夫婦の親密性」 表3-1 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度(妻用の尺度)」と「QMI」および「SUBI」との相関 妊娠初期 妊娠中期 妊娠末期 第1因子 「家事労働」「夫婦コミュニ第2因子 ケーション」 第3因子 「妻への 気づかい」 第1因子 「妻への 気づかい」 第2因子 「家事労働」「夫婦コミュニ第3因子 ケーション」 第1因子 「妻への 気づかい」 第2因子 「夫婦コミュニ ケーション」 QMI .36** .57** .62** .52** .20* .22* .63** .57** SUBI:陽性感情 .30* .53** .52** .26* .06 .20* .27** .32** 下位尺度 ①満足感 ②達成感 ③自信 ④至福感 ⑤近親者の支え ⑥社会的な支え ⑦家族との関係 .25* .05 .12 .30** .25* .23* .20* .52** .28** .16 .45** .39** .34** .33** .51** .38** .19 .39** .35** .32** .35** .33** .00 .07 .23* .31** .08 .63** .15 .10 -.07 .11 .08 -.12 .00 .23* .00 .07 .25* .32** -.07 .06 .31** .24** .10 .27** .13 .13 .14 .26** .27** .28** .29** .30** .31** .32** 相関係数:Pearson's r  **p<.01  *p<.05 表3-2 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度(夫用の尺度)」と「QMI」との相関 妊娠初期 妊娠中期 妊娠末期 第1因子 「妻への 気づかい」 第2因子 「家事労働」 「夫婦コミュニ第1因子 ケーション」 第2因子 「妻への 気づかい」 第3因子 「家事労働」「夫婦コミュニ第1因子 ケーション」 第2因子 「家事労働」 QMI .46** .08 .25* .50** .09 .47** .31** 相関係数:Pearson's r  **p<.01  *p<.05

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と「家族システム」の概念を含んでおり(Scanzoni & Scanzoni, 1988),本尺度の構成概念の一部であること から妥当性が確保されたと考えられる。しかし,「妻 用の尺度」の妊娠末期には「家事労働」が抽出されてい ない。妊娠末期の夫の認識は,全妊娠期間を通して夫 は家事労働を担っている現状があるが,妊娠末期の妻 の認識は,初期に比べ妊娠に伴うつわり等のマイナー トラブルも軽減するため,夫の家事労働の関わりに対 する妻の満足感が減少する,または,妻は夫の家事労 働に対して当然とする見方があったとうかがえる。ま た,「夫用の尺度」の妊娠末期に「妻への気づかい」が 抽出されず,母子の健康のために一緒に運動をしてい る の「妻への気づかい」を示す項目は,「夫婦コミュニ ケーション」に含まれていた。これは,妊娠末期の妻 が一緒に運動をすることについて,出産を間近に控え た妻を夫が気づかっていると認識している一方,夫は 母子の健康のための運動を子どもに関する夫婦のコミ ュニケーションと認識しているためと考えられた。  次に,「妻用の尺度」と「夫用の尺度」の中期と末期 に「夫婦コミュニケーション」が抽出されている。中 期以降の胎動の出現により,夫は父親の意識が現れ, 胎児への態度や意識が変化する(川井,1990)。「夫婦 コミュニケーション」は,夫婦が親としてのアイデ ンティティを受け入れ,「親への移行期」の発達課題 に必要とされる「親になる意識」の概念を含んでおり (Cowan, 1991),「親になる意識」の概念は本尺度の構 成概念の一部であることから,妥当性が確認されたと 考えられる。一方,初期の妻は夫の胎児への関心や子 どもに関する夫婦のコミュニケーションに満足と認識 しているが,初期の夫の認識には,「夫婦コミュニケー ション」が抽出されず,夫婦でコミュニケーションを とるようにしている 妊娠・出産・育児に関する情報 を共有している といった項目が「妻への気づかい」に 含まれている。初期の夫は胎児の存在を実感すること が難しく,夫には夫婦間のコミュニケーションや妊娠 ・出産・育児に関する情報の共有が妻への気づかいと 認識されていると考えられる。  以上,因子分析により,「妊娠期の妻への夫の関わ り満足感尺度」の因子構造を検討した結果,本尺度は 先行研究(中島・常盤,2011;中島・常盤,2012)の3 側面「夫婦の親密性」「家族システム」「親になる意識」 に類似する概念を有することが実証された。このこと から本尺度の構成概念の妥当性が確認されたと考えら れる。 3 ) 基準関連妥当性  基準関連妥当性の検討のために,「妊娠期の妻への 夫の関わり満足感尺度」と「QMI」と「SUBI」との関連 を検討した。  中島・常盤(2011)が「妊娠期の妻が満足と感じる夫 の関わり」における夫婦の認識について質的帰納的に 調査した結果では,「妊娠期の妻が満足と感じる夫の 関わり」と夫婦関係の質とは相互に高め合う関係性に あり,良好な夫婦関係によって「妊娠期の妻が満足と 感じる夫の関わり」が促進されることが示されている。 つまり,夫婦関係の満足感が高く「QMI」が高まれば, 「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり」を構成する 「夫婦の親密性」「家族システム」「親になる意識」の3側 面も高まることを意味する。  「妻用の尺度」の「家事労働」を含むすべての下位尺 度と「QMI 」との間に正の相関(「妻用の尺度」r=.20 ∼.63, p<.05∼.01)が認められたことは,本尺度と 「QMI」とは併存していることを支持する結果と考え られる。「QMI」は「夫婦の親密性」の概念を含んでい ることから,妻は家事労働を「家族システム」の観点 で満足と認識しているだけでなく,夫が家事を担うこ とは夫の思いやりの表れであると理解していると解釈 できる。この結果は、「妊娠期の妻が満足と感じる夫 の関わり」における夫婦の認識について質的帰納的に 調査した結果(中島・常盤,2011)と同様であった。  一方,「夫用の尺度」の一部を除く下位尺度と「QMI」 との間に正の相関(「夫用の尺度」r=.25∼.50, p<.05 ∼.01)が示されたということは,本尺度と「QMI」 とは併存していることを支持する結果と考えられる。 「夫用の尺度」の初期と中期の「家事労働」と「QMI」と の間に正の相関が認められなかったことは,夫が妻 のように「家事労働」と「夫婦の親密性」を関連付けて おらず,「家事労働」を家庭内役割の協働を含む概念 の「家族システム」の観点として捉えているためと解 釈できる。よって,「QMI」と「夫用の尺度」の下位尺 度「家事労働」との間に相関が示されなかったことは, 「QMI」が「夫婦の親密性」を含む尺度であることから 妥当であると判断できる。  以上,妻と夫の両尺度と「QMI」の間に正の相関が 示され,「QMI」は本尺度を構成する概念である「夫婦 の親密性」を含んでいることから,本尺度は夫婦関係 の満足感と併存の関連が示され,妥当性が確認された。  先行研究(中島・常盤,2008)では,夫の関わりに対 する妻の満足感が妻の精神的健康に影響を及ぼすとい

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う関連が示されている。「SUBI」の陽性感情は心の健 康状態を測定でき,満足感の概念を含んでいる(大野 ・吉村,2001)。よって,夫の関わりに対する妻の満 足感が高ければ妻の心の健康状態(陽性感情)は高ま ると予測される。「妻用の尺度」の一部を除く下位尺度 と「SUBI」の陽性感情との間に正の相関(r=.20∼.53, p<.05∼.01)が示されたことは,本尺度と「SUBI」の 陽性感情が併存していることを支持する結果と考えら れる。

 Scanzoni & Scanzoni(1988)は,夫婦生活を維持す

るには家事や子育てを含む道具的領域があり,「家族 システム」の安定の重要性を指摘している。初期の妻 の「家事労働」と「SUBI」の陽性感情に関連が認められ たことは,初期の妻では「家事労働」を「家族システム」 と捉えるだけでなく,「家事労働」をつわりなどの体調 不良に対する「妻への気づかい」と捉えていると考え られる(中島・常盤,2011)。これに対して中期の妻の 「家事労働」と「SUBI」の陽性感情との関連が認められ なかったことは,中期が心身共に安定する時期にある ことが影響していると考えられる。そのため,中期の 妻にとっては,「SUBI」の下位尺度の「自信」(生活が楽 しく人生が順調だという感覚)や「社会的な支え」(周 囲の人々に支えられているという感覚)といった概念 は「家事労働」との関連性では捉えがたいことがうか がえる。中期の妻は「家事労働」を夫婦の家庭内役割 の協働を含む「家族システム」という観点で捉えてい ると解釈できる。  以上,「妻用の尺度」と「SUBI」の陽性感情の間に正 の相関が示され,「SUBI」の陽性感情は本尺度の概念 である満足感を含んでいることから,「妻用の尺度」は 妻の精神的健康を測定する尺度と併存の関連が示され, 妥当性が確認された。 3.「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の有用性  本尺度の構成概念「夫婦の親密性」「家族システム」 「親になる意識」の3側面は,妊娠期の夫婦の関係性の アセスメントに役立つ概念であることが示唆された。 内容的妥当性で検証されたように,本尺度の「家事労 働」に関しては妻と夫の認識の一致が得られやすいこ とから,「家族労働」に働きかけ,夫婦の相互理解を支 持することになり,「家事システム」が強化されると考 える。一方,「妻への気づかい」や「夫婦コミュニケー ション」に関しては,妻と夫の認識のずれが生じやす いことから,「妻への気づかい」や「夫婦コミュニケー ション」に働きかけることにより,夫婦の相互理解を 支援することになり,今まで認識されずにいた「夫婦 の親密性」や「親になる意識」に対する妻と夫の認識を 理解し合える夫婦の関係性の強化に貢献できるであろ う。本尺度を活用し,「妊娠期の妻が満足と感じる夫 の関わり」における妻と夫の認識を夫婦が相互に理解 し合うことにより,妻の精神的健康が良好となり,夫 婦の調和的な関係性への再構築が期待されるという一 連の流れが示唆された(図1)。また,本尺度は妊娠各 期における妻の心身の変化に応じた夫の関わりに対す る妻の満足感を妻と夫の認識から捉えることができる ことから,妊娠期の夫婦の関係性への継続的な支援に 役立つと考える。 妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり 【3側面】 ・「夫婦の親密性」・「家族システム」・「親になる意識」 妻の満足感に対する妻と夫の認識 注)点線矢印は,アセスメントの方向を示す 実線矢印は,支援・支持の方向を示す 実線太矢印は,援助の結果を示す 点線太矢印は,予測される効果を示す 夫婦の調和的な関係性 共通の認識 異なる認識 夫婦の相互理解 妻の精神的健康 良好 【アセスメント】 図1 「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり」における 夫婦の認識と妻の精神的健康

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Ⅴ.結   論

 本研究では,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺 度」の信頼性と妥当性を検証した。尺度の信頼性とし ては内的整合性および折半法による信頼性が確認され, 尺度の妥当性としては内容的妥当性,構成概念妥当性 および基準関連妥当性が確認された。本尺度の構成概 念「夫婦の親密性」「家族システム」「親になる意識」の 3側面は,夫婦の関係性のアセスメントに役立つ概念 であることが示唆された。本尺度の活用により,妊娠 期の夫婦が相互に理解しあえる関係性のアセスメント に役立てることが期待でき,妊娠期の夫婦の関係性を 支援する尺度の有用性が示唆された。

Ⅵ.研究の限界と今後の課題

 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は信頼性 ・妥当性ともに一定の基準を充たしている。妊娠期の 夫婦の関係性のアセスメントに役立つ本尺度を活用し, 夫婦が相互に理解しあえる関係性の検証が課題である。 今後は,妊娠期の夫婦の関係性を支援するにあたり本 尺度の有用性の検証が求められる。 謝 辞  本研究に参加いただいたご夫婦と産科施設のスタッ フの皆様に心より感謝いたします。なお本研究は平 成19∼21年度文部科学省科学研究費補助金(若手研究 (B)課題番号18791657)を受けて実施した研究の一部 である。また,本研究成果の一部は第26回日本助産 学会にて口頭発表した。 引用文献

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参照

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