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本報告書は, 経済産業省資源エネルギー庁からの委託事業として 独立行政法人日本原子力研究開発機構が実施した平成 24 年度地層処分技術調査等事業 ( 高レベル放射性廃棄物処分関連 : 先進的地層処分概念 性能評価技術高度化開発 ) の成果を取りまとめたものである

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全文

(1)

平成 24 年度

地層処分技術調査等事業

高レベル放射性廃棄物処分関連

先進的地層処分概念・性能評価技術

高度化開発

-原子力事故廃棄物の処理・処分に係る対応-

報告書

平成 25 年 3 月

独立行政法人日本原子力研究開発機構

(2)

本報告書は,経済産業省資源エネルギー庁からの委託事業として、独立

行政法人日本原子力研究開発機構が実施した平成 24 年度地層処分技術調

査等事業(高レベル放射性廃棄物処分関連:先進的地層処分概念・性能評

価技術高度化開発)の成果を取りまとめたものである。

(3)

i 要 旨 平成23年3月11日の東日本大震災に伴い,東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故により発 生した放射性廃棄物(以下「原子力事故廃棄物」という)は,破損した燃料に由来した放射性核 種が付着している,処分場の性能に悪影響を与える可能性がある塩分を含む等,従来の原子力発 電所で発生していた廃棄物とは異なった特徴を持っている。このため,廃棄物の性状を把握しつ つ,安全に廃棄物の処理・処分を行うための見通しを得る研究開発を進めていく必要がある。 こうしたことを背景として,主に処分の観点から,原子力事故廃棄物の特性の把握に重点をお いた国内外の最新情報の収集,原子力事故廃棄物の分析・試験によるデータ取得・性状特性の把 握,その他原子力事故廃棄物の処理・処分に向けた技術検討を行った。 本検討は,平成 24 年度地層処分技術調査等事業(高レベル放射性廃棄物処分関連:先進的地 層処分概念・性能評価技術高度化開発)として,経済産業省資源エネルギー庁(以下,資源エネ ルギー庁)から独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下,原子力機構)が受託したものの一 部として実施した。 事故廃棄物の処理処分方策の検討に当たり,着目すべき放射性核種を確認するため,発電所敷 地内から瓦礫,伐採木等を採取し,3H, 14C, 60Co, 90Sr, 137Cs等の詳細な放射能分析を実施した。 また,難測定核種や高線量試料の分析技術の開発として,技術調査,キャピラリー電気泳動法の 開発,レーザー共鳴電離法の開発を実施した。 原子力事故廃棄物の処理・処分に向けた情報の収集・整理及び技術的検討として,既存処分概 念及び既存処理技術に関する文献情報を収集・整理し,収集情報に基づき原子力事故廃棄物の処 理・処分に向けた課題及び課題解決に向けた対策の検討を実施した。検討した結果を基に中長期 ロードマップの判断ポイント5-1及び5-2に向けたスケジュールを作成し、研究開発計画案として まとめた。さらに,燃料デブリの廃棄体化・処分,コンクリート系廃棄物の処理・処分といった 重要項目については,予察的検討及び基礎試験を実施した。

(4)

目 次

1. はじめに ... 1-1 1.1 目的 ... 1-1 1.2 検討の進め方 ... 1-1 1.3 実施内容 ... 1-1 2. 原子力事故廃棄物の性状特性の把握 ... 2.1-1 2.1 性状把握のための分析 ... 2.1-1 2.1.1 瓦礫試料等の分析方法 ... 2.1-4 2.1.2 分析結果 ... 2.1-23 2.2 難測定核種分析技術の開発 ... 2.2-1 2.2.1 測定の難しい核種の分析技術の検討 ... 2.2-1 2.2.2 キャピラリー電気泳動法の開発 ... 2.2-7 2.2.3 レーザー共鳴電離質量分析法の開発 ... 2.2-20 3. 原子力事故廃棄物の処理・処分に向けた情報の収集・整理及び技術的検討 ... 3.1-1 3.1 処理・処分に関する情報の収集・整理と技術検討の対象と実施内容 ... 3.1-1 3.2 燃料デブリの廃棄体化と処分時安全性に関する調査・検討 ... 3.2-1 3.2.1 燃料デブリ等に関する調査・検討のアプローチ ... 3.2-1 3.2.2 燃料デブリ等の特性に関する調査・整理 ... 3.2-1 3.2.3 廃棄体化に関する調査・検討 ... 3.2-8 3.2.4 処分時安全性に関する調査・検討 ... 3.2-14 3.2.5 燃料デブリの処分後の臨界現象に関する解析的検討 ... 3.2-18 3.2.6 まとめと今後の課題 ... 3.2-21 3.3 コンクリート系廃棄物の処理処分方策に関する調査・検討 ... 3.3-1 3.3.1 コンクリート系廃棄物の特徴・検討課題と調査・検討のアプローチ ... 3.3-1 3.3.2 除染・処理技術の調査と予察的適用評価 ... 3.3-2 3.3.3 核種移行基礎データ調査 ... 3.3-6 3.3.4 コンクリート系の調査・検討のまとめ ... 3.3-13 3.4 汚染土壌の処理処分方策に関する調査検討 ... 3.4-1 3.4.1 汚染土壌の現状と調査検討のアプローチ ... 3.4-1 3.4.2 土壌の分析と Cs 収脱着試験手法の調査 ... 3.4-2 3.4.3 サイト内汚染土壌の処理処分方策と課題に関する調査検討 ... 3.4-7 3.4.4 汚染土壌の調査・検討のまとめ ... 3.4-10 3.5 先進的地層処分概念・性能評価技術高度化開発技術の原子力事故廃棄物への適用性検討 ... 3.5-1 3.6 既存処分概念に関する調査・検討 ... 3.6-1 3.6.1 従来廃棄物における廃棄体等の要件整理 ... 3.6-1 3.6.2 従来廃棄物における処分概念の整理 ... 3.6-4 3.6.3 原子力事故廃棄物の特徴の整理 ... 3.6-6 3.6.4 原子力事故廃棄物の処分に向けた課題と方策 ... 3.6-8 ii

(5)

3.7 既存処理技術に関する調査・検討 ... 3.7-1 3.7.1 既存処理技術の整理 ... 3.7-1 3.7.2 原子力事故廃棄物の処理に向けた課題と方策 ... 3.7-1 3.8 放射性廃棄物の処理・処分に関する研究開発計画案の検討 ... 3.8-1 3.8.1 計画全体概要 ... 3.8-1 3.8.2 研究開発計画 ... 3.8-4 3.8.3 研究開発の推進に向けた対策 ... 3.8-9 3.8.4 今後の研究開発の進め方 ... 3.8-9 4. おわりに ... 4-1 謝辞 ... 謝-1 参考資料1 ... iii

(6)

図 目 次

図2.1.1-1 酸抽出による前処理操作フロー(瓦礫) ... 2.1-4 図2.1.1-2 アルカリ融解による前処理操作フロー(瓦礫) ... 2.1-5 図2.1.1-3 酸抽出による前処理操作フロー(伐採木・生木) ... 2.1-6 図2.1.1-4 Ni-59,63 分析フロー ... 2.1-8 図2.1.1-5 Nb-94,Eu-152,Eu-154 分析フロー ... 2.1-9 図2.1.1-6 Sr-90 分析フロー ... 2.1-10 図2.1.1-7 U, Pu 分析フロー ... 2.1-11 図2.1.1-8 Am-241, Cm-244 分析フロー ... 2.1-12 図2.1.1-9 H-3,C-14 分析フロー... 2.1-12 図2.1.1-10 燃焼装置 ... 2.1-12 図2.1.1-11 Cl-36 分析フロー ... 2.1-14 図2.1.1-12 Se-79, Tc-99 分析フロー(1/2) ... 2.1-16 図2.1.1-13 Se-79, Tc-99 分析フロー(2/2) ... 2.1-17 図2.1.1-13 I-129 分析フロー ... 2.1-18 図2.1.1-14 前処理作業(1/2) ... 2.1-19 図2.1.1-15 前処理作業(2/2) ... 2.1-20 図2.1.1-16 分析操作 ... 2.1-21 図2.1.1-17 測定装置 ... 2.1-22 図2.1.2-1 H-3 の放射能濃度 ... 2.1-24 図2.1.2-2 C-14 の放射能濃度 ... 2.1-24 図2.1.2-3 Co-60 の放射能濃度 ... 2.1-24 図2.1.2-4 Se-79 の放射能濃度 ... 2.1-24 図2.1.2-5 Sr-90 の放射能濃度 ... 2.1-25 図2.1.2-6 Tc-99 の放射能濃度 ... 2.1-25 図2.1.2-7 Cs-137 の放射能濃度 ... 2.1-25 図2.2.2-1 キャピラリー電気泳動法の概要 ... 2.2-7 図2.2.2-2 キャピラリー電気泳動における分離のイメージ図 ... 2.2-8 図2.2.2-3 電気泳動図の例(吸光検出器の場合) ... 2.2-8 図2.2.2-4 アクチニド分離用試薬の例 ... 2.2-9 図2.2.2-5 アクチニド分離用試薬を用いた電気泳動図のイメージ ... 2.2-9 図2.2.2-6 キャピラリー電気泳動分離・回収装置の概略図 ... 2.2-10 図2.2.2-7 キャピラリー電気泳動分離・回収装置の外観 ... 2.2-10 図2.2.2-8 電気泳動部の概略図 ... 2.2-12 図2.2.2-9 試料回収系付加による影響 ... 2.2-13 図2.2.2-10 送液ポンプの流速と印加電圧と泳動時間の関係 ... 2.2-14 図2.2.2.11 泳動時間の再現性 ... 2.2-15 図2.2.2-12 分離挙動確認用の検出器の配置 ... 2.2-16 図2.2.2-13 電気泳動図 ... 2.2-16 図2.2.2-14 電気泳動図 ... 2.2-18 図2.2.2-15 回収した試料(Cm フラクション)のα線スペクトル ... 2.2-19 図2.2.3-1 RIMS の概念 ... 2.2-20 iv

(7)

図2.2.3-2 LIF 測定概要 ... 2.2-21 図2.2.3-3 LIF スペクトル ... 2.2-21 図2.2.3-4 質量スペクトル測定の概要 ... 2.2-22 図2.2.3-5 質量スペクトル ... 2.2-22 図2.2.3.6 高感度デジタル CCD カメラの外観 ... 2.2-23 図2.2.3-7 カメラの設置図 ... 2.2-24 図2.2.3-8 アナログ CCD カメラとの測定画像の比較 ... 2.2-26 図3.1-1 平成 23 年度に本事業で検討した原子力事故廃棄物の特性評価~処理~処分のフ ロー ... 3.1-1 図3.2-1 燃料デブリ等の廃棄体化と処分時安全性に関する調査検討の進め方と内容 ... 3.2-1 図3.2-2 BWR シビアアクシデント時に想定される破損燃料形態のイメージ ... 3.2-2 図3.2-3 通常の使用済燃料中の FP の分布状況及び事故時の推定状況 ... 3.2-5 図3.2-4 TMI-2 を参考にした福島第一の燃料取出しの推定 ... 3.2-7 図3.2-5 海外の使用済燃料の直接処分における処分容器の例 ... 3.2-10 図3.2-6 TMI-2 の燃料デブリ取り出し時の収納容器 ... 3.2-12 図3.2-7 使用済燃料の直接処分における核種放出概念と燃料デブリ等での想定 ... 3.2-17 図3.2-8 解析体系(r0=42.35cm,rs=800cm) ... 3.2-19 図3.2-9 MCNP5 コードによる臨界解析の体系 ... 3.2-20 図3.2-10 実効増倍率 keff のコンター図 ... 3.2-21 図3.2-11 燃料デブリ等の特性/廃棄体化/処分時安全評価の調査・検討結果の概要 ... 3.2-11 図3.3-1 コンクリート系廃棄物の処理・処分フローと課題を踏まえた本調査検討のアプロ ーチ ... 3.3-2 図3.3-2 模擬汚染コンクリートと EPMA による試料内部の Cs 分布状況 ... 3.3-4 図3.3-3 パルスパワー除染技術 ... 3.3-5 図3.3-4 OPC コンクリート試料の分析結果 ... 3.3-7 図3.3-5 水銀圧入法による間隙径分布 ... 3.3-7 図3.3-6 透過型拡散試験セルと OPC モルタル拡散試料 ... 3.3-8 図3.3-7 透過拡散試験結果の例 ... 3.3-9 図3.3-8 バッチ収着試験結果の例 ... 3.3-9 図3.3-9 コンクリート系材料中の核種の実効拡散係数の間隙率との関係 ... 3.3-10 図3.3-10 セメント系材料への Cs の収着データ ... 3.3-12 図3.3-11 セメント中 Cs 拡散データへの非線形収着/反応速度式の適用事例 ... 3.3-12 図3.3-12 モルタル中 Cs 拡散データへの二重間隙モデルの適用事例 ... 3.3-13 図3.4-1 福島第一原発の事故により放出されたセシウム 137(137Cs),ストロンチウム 90 (90Sr),テルル 129m(129mTe)の土壌中濃度のマップ ... 3.4-1 図3.4-2 土壌試料の分析結果 ... 3.4-6 図3.4-3 土壌試料からの Cs 抽出結果 ... 3.4-7 図3.4-4 サイト内土壌の核種分析データ ... 3.4-8 図3.4-5 放射性セシウム汚染土壌の措置方法と個別要素技術の整理 ... 3.4-9 図3.5-1 処分概念評価技術の概要 ... 3.5-2 図3.5-2 性能評価技術の概要(電子性能評価レポート(e-PAR)) ... 3.5-3 図3.5-3 廃棄物特性評価技術の概要 ... 3.5-3 図3.5-4 最適化技術の概要 ... 3.5-4 v

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図3.5-5 統合・利用支援技術の概要 ... 3.5-4 図3.6-1 L1 廃棄物の廃棄体仕様例 ... 3.6-3 図3.6-2 TRU 廃棄物のグループ分類 ... 3.6-4 図3.6-3 TRU 廃棄物における廃棄体仕様例 ... 3.6-4 図3.6-4 高レベル放射性廃棄物の地層処分概念 ... 3.6-5 図3.6-5 余裕深度処分概念 ... 3.6-5 図3.6-6 浅地中ピット処分概念 ... 3.6-6 図3.6-7 原子力事故廃棄物の特徴 ... 3.6-7 図3.8-1 研究開発の進め方に関する基本方針 ... 3.8-1 図3.8-2 放射性廃棄物処理・処分に関する研究開発全体計画 ... 3.8-3 図3.8-3 「水処理二次廃棄物の長期保管評価」研究開発ロードマップ ... 3.8-5 図3.8-4 「放射性廃棄物の性状把握」研究開発ロードマップ ... 3.8-6 図3.8-5 「放射性廃棄物の処理に関する検討」研究開発ロードマップ ... 3.8-7 図3.8-6 「放射性廃棄物の処分に関する検討」研究開発ロードマップ ... 3.8-8 vi

(9)

vii

表 目 次

表2.1.1-1 採取試料の情報 ... 2.1-2 表2.1.1-2 輸送試料の情報 ... 2.1-2 表2.1.2-1 瓦礫・伐採木等分析結果(γ 線核種) ... 2.1-26 表2.1.2-2 瓦礫・伐採木等分析結果(β 線核種) ... 2.1-27 表2.1.2-3 瓦礫・伐採木等分析結果(α 線核種) ... 2.1-28 表2.2.3-1 測定条件 ... 2.2-25 表3.2-1 核種インベントリ評価における炉心条件 ... 3.2-5 表 3.2-2 1 号機~3 号機 10 年後の炉心の放射能推定結果 ... 3.2-6 表3.2-3 第 2 次取りまとめにおけるオーバーパックの設計要件 ... 3.2-3 表3.2-4 使用済燃料の中間貯蔵に関する要件 ... 3.2-10 表3.2-5 ガラス固化体と使用済燃料の廃棄体要件に基づく燃料デブリ等の廃棄体要件と 課題の整理案 ... 3.2-13 表3.2-6 使用済燃料の直接処分の安全評価上の課題 ... 3.2-15 表3.2-7 廃棄体に含まれるウラン及びプルトニウムの初期組成 ... 3.2-20 表3.2-8 岩石及び地下水の組成 ... 3.2-20 表3.3-1 コンクリートの除染方法の整理結果 ... 3.3-3 表3.3-2 パルスパワー除染試験の結果 ... 3.3-6 表3.4-1 国際土壌学会法に基づく土壌の粒径区分... 3.4-2 表3.4-2 土壌試料からの Cs 脱離挙動の分析手法 ... 3.4-3 表3.4-3 分画した土壌試料中の Cs-137 濃度 ... 3.4-5 表3.4-4 放射能汚染サイトに対する原位置修復技術の例 ... 3.4-9 表3.5-1 処分概念評価技術の原子力事故廃棄物への適用の可能性 ... 3.5-5 表3.5-2 性能評価技術の原子力事故廃棄物への適用の可能性 ... 3.5-6 表3.5-3 廃棄物特性評価技術の原子力事故廃棄物への適用の可能性 ... 3.5-7 表3.5-4 最適化技術の原子力事故廃棄物への適用の可能性 ... 3.5-7 表3.5-5 統合・利用支援技術の原子力事故廃棄物への適用の可能性 ... 3.5-8 表3.6-1 従来廃棄物の種類,発生源及び処分方法 ... 3.6-1 表3.6-2 従来廃棄物の放射能レベル区分ごとの発生量及び区分値 ... 3.6-2 表3.7-1 原子力事故廃棄物固化処理技術等の調査結果まとめ(1) ... 3.7-2 表3.7-2 原子力事故廃棄物固化処理技術等の調査結果まとめ(2) ... 3.7-3 表3.7-3 原子力事故廃棄物固化処理技術等の調査結果まとめ(3) ... 3.7-4 表3.7-4 原子力事故廃棄物固化処理技術等の調査結果まとめ(4) ... 3.7-5 表3.8-1 「水処理二次廃棄物の長期保管評価」に関する課題,対策,HP 必要情報 ... 3.8-5 表3.8-2 「放射性廃棄物の性状把握」に関する課題,対策,HP 必要情報 ... 3.8-6 表3.8-3 「放射性廃棄物の処理に関する検討」についての課題,対策,HP 必要情報 ... 3.8-7 表3.8-4 「放射性廃棄物の処分に関する検討」についての課題,対策,HP 必要情報 ... 3.8-8

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1-1 1. はじめに 1.1 目的 平成 23 年 3 月 11 日の東日本大震災に伴い,東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故により発生し た放射性廃棄物(以下「原子力事故廃棄物」という)は,破損した燃料に由来した放射性核種が付着して いる,処分場の性能に悪影響を与える可能性がある塩分を含む等,従来の原子力発電所で発生していた廃 棄物とは異なった特徴を持っている。このため,廃棄物の性状を把握しつつ,安全に廃棄物の処理・処分 を行うための見通しを得る研究開発を進めていく必要がある。 本検討においては,政府・東京電力中長期対策会議の研究開発推進本部の「東京電力(株)福島第一原 子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた研究開発計画について」(平成 24 年 7 月 30 日改訂)1)と整合 を図りつつ,主に処分の観点から,原子力事故廃棄物の特性の把握に重点をおいた国内外の最新情報の収 集,原子力事故廃棄物の分析・試験によるデータ取得・性状特性の把握,その他原子力事故廃棄物の処理・ 処分に向けた技術検討を行った。 本検討は,平成 24 年度地層処分技術調査等事業(高レベル放射性廃棄物処分関連:先進的地層処分概念・ 性能評価技術高度化開発)として,経済産業省資源エネルギー庁(以下,資源エネルギー庁)から独立行 政法人日本原子力研究開発機構(以下,原子力機構)が受託したものの一部として実施した。 1.2 検討の進め方 本年度の原子力事故廃棄物の処理・処分方策に関する検討の進め方は,以下の通りである。 原子力事故廃棄物の特性を把握するため,瓦礫,伐採木の核種分析を行うとともに,原子力機構におい て測定の難しい核種や高線量廃棄物に対応するための分析法の開発を進めた。また,処理・処分に関する 研究開発に必要なとなる国内外文献等情報を収集・整理し,整理した情報を基に課題,対策等を検討した。 これらの検討した結果を基に処理処分に関する研究開発計画案を作成した。燃料デブリの処分検討,コン クリート系廃棄物の処理処分検討といった重要課題については,研究開発計画案の作成と並行して予察的 検討,基礎試験を進めた。 これらの実施にあたっては,本事業で別途実施している • 先進的地層処分概念の開発 • 性能評価技術/処分概念最適化技術の開発 • 先進サイクルシステムに対応した処分概念/性能評価技術の開発 で検討された廃棄物特性の定量化手法,処分概念適用性評価手法,性能評価手法及び最適化検討手法等を 活用した。 1.3 実施内容 上記の検討の進め方にしたがい,本年度の原子力事故廃棄物の処理・処分方策の検討として,以下の項 目を実施した。

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1-2 (1) 原子力事故廃棄物の性状特性の把握 1) 瓦礫,伐採木の核種分析 原子力事故廃棄物の処理処分方策の検討に当たり,着目すべき放射性核種を確認するため,発電所敷 地内から,瓦礫,伐採木等を採取し,詳細な放射能分析を実施した。分析対象核種は,①揮発性の高い, 核分裂生成物(FP)及び放射化生成物(CP)核種,②安全評価上重要となる TRU 核種,③CP 核種のうち γ線核種とした。 2) 難測定核種分析技術の開発 ① 測定の難しい核種の分析技術の検討 福島第一原子力発電所の事故由来の廃棄物を処分する際に,評価が必要となる可能性のある核種のう ち,測定の難しい93Zr,93Mo,126Sn,107Pdの分析法について調査を実施し,今後の技術開発の方向性を 検討した。 ② キャピラリー電気泳動法の開発 高線量廃棄物の分析に対応するため,従来のイオン交換樹脂等を用いる化学分離法に替わるキャピラ リー電気泳動法を用いた簡易な分離法を開発することを目的として,化学分離・回収システムを整備 した。また,整備したシステムを使用して分離・回収条件の検討及びアクチニド分離用試薬の適用性 の確認を実施した。 ③ レーザー共鳴電離質量分析法の開発 高線量廃棄物中の長半減期核種に対して,遠隔・自動化が期待されるレーザー共鳴電離を利用した分 析法の開発を実施した。Mo を対象に共鳴電離条件を検討するとともに,高感度デジタル CCD カメラに よる画像検出における感度の改善について評価した。 (2) 原子力事故廃棄物の処理・処分に向けた情報の収集・整理及び技術的検討 1) 燃料デブリの廃棄体化と処分時安定性に関する調査・検討 燃料デブリを直接処分する場合に焦点をあてて調査・検討を行い,廃棄体化と処分の観点から燃料デ ブリ特性を整理するとともに,ガラス固化体や使用済燃料との特性を対比しつつ,廃棄体化と処分時安 定性について定性的検討と課題抽出を実施した。 2) コンクリート系廃棄物の処理・処分に向けた調査・検討 建屋の爆発によって周囲に飛散した様々な形状をもつ瓦礫及び将来の廃止措置の際に建屋解体に伴っ て生じるコンクリート廃棄物の処理・処分について,発生状況や想定される性状や特徴,それを踏まえ た処理・処分における課題を調査・検討した。 3) 汚染土壌の処理処分方策に関する調査検討 オンサイト土壌の汚染状況や対策技術に関する情報を整理し,サイト内土壌の今後の処理・処分に向

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1-3 けた課題と方策について検討した。 4) 先進的地層処分概念・性能評価技術高度化開発技術の原子力事故廃棄物への適用性検討 放射性廃棄物の処理・処分に関する既存の技術の適用可能な範囲の把握,課題の整理,課題への対応 の検討といった処理・処分の見通しを得ていくための取り組みへの「先進的地層処分概念・性能評価技 術高度化開発」で開発した技術等の適用性について検討した。 5) 既存処分概念に関する調査・検討 原子力事故廃棄物の処理・処分に関する研究開発計画案の作成に資するよう,既存処分概念に関する 文献情報を収集・整理した。 6) 既存処理技術に関する調査・検討 原子力事故廃棄物の処理・処分に関する研究開発計画案の作成に資するよう,既存処理技術に関する 文献情報を収集・整理した。 7) 処理・処分に関する研究開発計画案の検討 収集情報に基づき原子力事故廃棄物の処理・処分に向けた課題及び課題解決に向けた対策の検討を実 施した。また,検討した対策を中長期ロードマップ2)の判断ポイント 5-1 及び 5-2 に向けたスケジュー ルにまとめた。

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1-4 参考文献(1 章) 1) 原子力災害対策本部 政府・東京電力中長期対策会議,「東京電力(株)福島第一原子力発電所1~4 号機の廃止措置等に向けた研究開発計画について」,2012 年 7 月 30 日 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/t120730_02-j.pdf 2) 原子力災害対策本部 政府・東京電力中長期対策会議,「東京電力(株)福島第一原子力発電所 1~4 号 機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」,2012 年 7 月 30 日 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/t120730_02-j.pdf

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2.1-1 2. 原子力事故廃棄物の性状特性の把握 福島第一原子力発電所の事故により発生した事故廃棄物の処理・処分を検討するためには,実 際の廃棄物の放射能分析を行い,性状を把握することが不可欠である。このため,発電所敷地内 から採取した瓦礫,伐採木試料の詳細な放射能分析を実施した。また,今後,より高線量の廃棄 物試料の分析が必要になると予想されるため,遠隔,自動化に対応できる高線量廃棄物分析法と して,レーザー共鳴電離質量分析法とキャピラリー電気泳動法の開発を実施した。 2.1 性状把握のための分析 福島第一原子力発電所の事故では,原子炉施設の損壊により表面が放射性物質で汚染された瓦 礫が放射性廃棄物として多量に発生した。これらの廃棄物に対する処理・処分方策を検討するた めには,この中に含まれる放射性核種の種類と放射能濃度を詳細に把握することが必要となる。 評価対象の候補となる核種としては,以下の①から④に示す核種の総和から,娘核種,PWR の みから発生する核種等を除く 38 核種を選定した。 ① 「低レベル放射性廃棄物の埋設処分に係る放射能濃度上限値について 参考資料3」1) おいてトレンチ処分,ピット処分,余裕深度処分を対象に原子炉廃棄物とサイクル廃棄物 のいずれかに含まれる核種のうちD/Cが最大となる核種に対して2桁下の核種 ② 「TRU廃棄物処分技術検討書-第 2 次TRU廃棄物処分研究開発取りまとめ」2)において重 要核種に選定されているもの ③ 「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発第 2 次取りまとめ-総論レポート」3) において重要核種に選定されているもの ④ 「日本原燃六ヶ所低レベル放射性廃棄物貯蔵センターL2 及びJPDR L3 の埋設事業許可申 請書」4, 5)において重要核種に選定されているもの 選定した 38 核種は,H-3,C-14,Cl-36,Ca-41,Co-60,Ni-59,Ni-63,Se-79,Sr-90,Zr-93,Mo-93, Nb-94,Tc-99,Pd-107,Sn-126,I-129,Cs-135,Cs-137,Sm-151, Eu-152,Eu-154,U-233,U-234, U-235,U-236,U-238,Np-237,Pu-238,Pu-239,Pu-240,Pu-241,Pu-242,Am-241,Am-242m, Am-243,Cm-244,Cm-245, Cm-246 である。なお,これらの 38 核種は,暫定的なものであり,今 後の原子力事故廃棄物の処理・処分に向けた研究開発において見直していく必要がある。 本年度は,福島第一原子力発電所内の瓦礫類の放射能性状の把握を目的に,原子炉建屋周辺の 瓦礫(1,3,4 号機周辺,各 10 試料,試料名:1U-01~10,3U-01~10,4U-01~10),保管中の伐採 木(5 試料,試料名:T-01~05),生木(3 号機周辺の松の枝葉,2 試料,試料名:T-06,07),4 号 機プール保管新燃料に付着していた異物(2 試料,試料名:4U-N01,N02)を採取し,詳細な放 射能分析を行うこととした。採取した試料の情報を表 2.1.1-1 に示す。輸送できる試料量に制約が あることから,分析対象試料の絞り込みを行うため表面線量率を測定し,各エリアについて最大 値と最小値を含むように,計 19 試料を選定し,原子力機構東海研究開発センター原子力科学研究 所に輸送した。輸送した試料の情報を表 2.1.1-2 に示す。 事故により発生した瓦礫類は,通常の操業において発生した放射性廃棄物とは放射性核種の組 成が大きく異なることが予想される。このため,本年度は分析対象とする核種数を絞り込み,代 わりに分析試料数を増やすことによって,瓦礫類の全体な傾向を把握することとした。分析対象 核種は, ・揮発性の高いと考えられる,核分裂生成物と材料の放射化生成物 ・処分安全評価上,重要となる TRU 核種 ・放射化生成物のうちγ 線放出核種

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2.1-2 の観点から抽出した,H-3,C-14,Cl-36,Co-60,Se-79,Sr-90,Nb-94,Tc-99,I-129,Cs-137, Eu-152,Eu-154,Pu-238,Pu-239,Pu-240,Am-241,Cm-244 である。なお,上記対象核種には含 まれないが,これまでの汚染水分析において検出された Ni-63(Ni-59)及び天然に存在する U と の判別が難しい U-234,U-235,U-238 については,検出の可能性が高い 1 試料についてのみ分析 を実施した。 一方,放射能レベルの高い高線量の瓦礫については,遮へい機能付きのグローブボックス内で の分析作業が必要となるため,現時点では,難測定核種に対する詳細な放射能分析を実施するこ とができない。そこで,高線量の廃棄物試料を対象に,遠隔・自動化に対応できる分析法として, キャピラリー電気泳動法及びレーザー共鳴電離質量分析法の開発を進めた。キャピラリー電気泳 動法に関しては,分離用泳動液の組成及び回収用溶離液の流速,印加電圧等の最適条件を探索す るための試験を行うとともに,これまでに開発したアクチニド分離用試薬に対する適用性を確認 した。また,レーザー共鳴電離質量分析法の検討については,長半減期核種 Mo-93 の分析を想定 し,天然組成の Mo を用いて共鳴電離条件の探索を行うとともに,検出器として前年度に整備を 行った高感度デジタル CCD カメラの性能評価を行った。 表 2.1.1-1 採取試料の情報 No. 試料名 採取日 種類 No. 試料名 種類 1 1 号機周辺 瓦礫 1U-01 H24.7.27 金属 21 4 号機周辺 瓦礫 4U-01 コンクリート(塊状) 2 1U-02 H24.7.27 コンクリート(塊状) 22 4U-02 コンクリート(塊状) 3 1U-03 H24.7.27 コンクリート(塊状) 23 4U-03 コンクリート(塊状) 4 1U-04 H24.7.27 金属 24 4U-04 金属 5 1U-05 H24.7.27 コンクリート(塊状) 25 4U-05 コンクリート(粒状) 6 1U-06 H24.7.27 コンクリート(塊状) 26 4U-06 コンクリート(塊状) 7 1U-07 H24.7.27 コンクリート(塊状) 27 4U-07 コンクリート(塊状) 8 1U-08 H24.7.27 コンクリート(塊状) 28 4U-08 コンクリート(粒状) 9 1U-09 H24.7.27 コンクリート(塊状) 29 4U-09 金属 10 1U-10 H24.7.27 金属 30 4U-10 コンクリート(塊状) 11 3 号機周辺 瓦礫 3U-01 H24.6.25 コンクリート(塊状) 31 伐採木 T-01 細枝 12 3U-02 H24.6.25 コンクリート(塊状) 32 T-02 葉 13 3U-03 H24.6.25 コンクリート(塊状) 33 T-03 葉 14 3U-04 H24.6.25 コンクリート(粒状) 34 T-04 細枝 15 3U-05 H24.6.25 コンクリート(粒状) 35 T-05 葉 16 3U-06 H24.6.25 コンクリート(粒状) 36 3 号機周辺 生木 T-06 地上から約 2m 高さの 17 3U-07 H24.6.25 コンクリート(塊状) 松の細枝(葉を含む) 18 3U-08 H24.6.25 コンクリート(粒状) 37 T-07 地上から約 2m 高さの 19 3U-09 H24.6.25 コンクリート(塊状) 松の細枝(葉を含む) 20 3U-10 H24.6.25 コンクリート(塊状) 38 4 号機プール 瓦礫 4U-N01 砂礫 39 4U-N02 小石

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2.1-3 表 2.1.1-2 輸送試料の情報 No. 試料名 表面線量 (μSv/h) 重量 (g) 形状等 1 1 号機周辺 瓦礫 1U-06 63.4 165.4 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(水色,ベージュ) 2 1U-07 2.4 131.2 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(ベージュ) 3 1U-08 15.4 155.7 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(灰色) 4 1U-09 16.4 92.6 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(水色) 5 3 号機周辺 瓦礫 3U-02 95.4 85.1 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(水色) 6 3U-07 22.4 122.3 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(ベージュ) 7 3U-09 1000 115.6 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(水色) 8 3U-10 113 142.6 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(緑,ベージュ) 9 4 号機周辺 瓦礫 4U-01 2.4 40.0 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(ベージュ) 10 4U-02 B.G. 152.9 塊状(こぶし程度の大きさ),塗膜有り(ベージュ) 11 4U-05 B.G. 177.4 粒状,塗膜なし 12 4U-08 B.G. 116.0 粒状,塗膜なし 13 伐採木 T-01 6.4 103.0 細枝 14 T-02 4.6 45.1 葉 15 T-04 2.1 128.8 細枝 16 T-05 2.2 101.4 葉 17 3 号機周辺生木 T-07 3.4 204.8 地上から約 2m 高さの松の細枝(葉を含む) 18 4 号機プール 瓦礫 4U-N01 1000 4.0 砂礫状 19 4U-N02 303 15.8 小石状

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2.1-4 2.1.1 瓦礫試料等の分析方法 瓦礫試料等の分析は,「研究施設等廃棄物に含まれる放射性核種の簡易・迅速分析法(分析指 針)」6)に基づき,以下に示す方法で分析を行った。供試料量は 1 核種あたり 0.5~1gとした。 (1)酸抽出による前処理(瓦礫) 粉砕した試料 1g をマイクロ波加熱装置専用のテフロン製高圧分解容器(マイルストーンゼネラ ル製)に量り取り,塩酸 12mL,硝酸 4mL を加えた後,マイクロ波加熱装置(マイルストーンゼ ネラル製,ETHOS One)を用いて加熱溶解した。マイクロ波の出力は 250W(5 分),450W(5 分), 650W(10 分),400W(10 分)と変化させ,計 30 分間の加熱とした。放冷後,ろ過を行い,ろ液 を乾固し 1M 硝酸で定容して各分析に供した。操作フローを図 2.1.1-1 に示す。 塩酸 12 mL 粉砕後試料 廃棄 硝酸 4 mL 放冷 ろ過 ろ液 沈殿 γ 線測定 (137Cs) 定容 残存率5%以上 30分 ( 250W (5分) → 450W (5分) → 650W (10分) → 400W (10分) ) 59,63Ni 分析試料 α 線放出核種分析試料 γ 線放出核種 分析試料 マイクロ波加熱 90Sr 分析試料 蒸発・乾固 1M 硝酸 図 2.1.1-1 酸抽出による前処理操作フロー(瓦礫) (2)アルカリ融解による前処理(瓦礫) (a)Cl-36 分析用 粉砕した瓦礫試料 0.9g をニッケル坩堝に量り取り,Cl 担体 5mg(NaCl 溶液,10mg/mL)を加 えて乾固直前まで加熱濃縮し,水酸化ナトリウム粉末 10g を加え,110℃で 30 分間,550℃で 30 分間加熱して試料を融解した。放冷後,融解物を精製水で溶解してろ過し,ろ液を精製水で 100mL に定容し,分析試料とした。操作フローを図 2.1.1-2 に示す。

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2.1-5 (b)Se-79,Tc-99 用

粉砕した瓦礫試料 1g をニッケル坩堝に量り取り,2.5M 水酸化ナトリウム溶液 1mL,Re 担体 1mg(関東化学製,Re 標準液,1000ppm),Se 担体 20mg(和光純薬製,Se 標準溶液,1000ppm) を加え,乾固直前まで加熱濃縮した。以降は Cl-36 分析用と同じ手順で融解し,分析試料とした。 操作フローを図 2.1.1-2 に示す。 Cl 5 mg 水酸化ナトリウム粉末 10 g 精製水 60 mL 放冷 加温・溶解 ろ過 ろ液 加熱・濃縮 融解(550℃, 30分) 乾燥(110℃, 30分) 粉砕後試料 定容(100 mL) 廃棄 精製水 36Cl 分析試料 沈殿 精製水 60 mL 水酸化ナトリウム粉末 10 g 2.5M 水酸化ナトリウム 1 mL Re 1 mg , Se 20 mg 放冷 加温・溶解 ろ過 沈殿 ろ液 加熱・濃縮 融解 (550℃, 30分) 乾燥 (110℃, 30分) 定容(100 mL) 79Se, 99Tc 分析試料 粉砕後試料 廃棄 精製水 図 2.1.1-2 アルカリ融解による前処理操作フロー(瓦礫) (3)酸抽出による前処理(伐採木・生木試料) (a)Cl-36 分析用 切断した試料 0.9g をガラスビーカーに量り取り,Cl 担体 5mg を加え,乾固直前まで加熱濃縮 した後,1M 硝酸 100mL を加え,液量が 60mL 程度になるまで加熱した。放冷後,溶液をろ過し, ろ液を精製水で 100mL に定容し,分析試料とした。操作フローを図 2.1.1-3 に示す。 (b)Se-79,Tc-99 用 切断した試料 1g をガラスビーカーに量り取り,2.5M 水酸化ナトリウム 1mL,Re 担体 1mg, Se 担体 20mg を加えて乾固し,精製水 30mL,1M 硝酸 30mL を加えて溶解して加熱し,液量が 30mL 程度になるまで濃縮して,精製水 10mL 程度,硝酸 30mL 程度を加えた。液量が 50mL 程度にな るまで加熱濃縮し,放冷後,溶液をろ過してろ液を精製水で 100mL に定容した。操作フローを図 2.1.1-3 に示す。

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2.1-6 Cl 5 mg 放冷 ろ液 定容(100 mL) 1M硝酸 100 mL 加熱・濃縮 (60mL まで) 蒸発・乾固 ろ過 廃棄 精製水 36Cl 分析試料 沈殿 精製水 10 mL 精製水 30 mL 1M 硝酸 30 mL Re 1 mg , Se 20 mg 2.5M 水酸化ナトリウム 1 mL 放冷 残渣 ろ液 蒸発・乾固 定容(100 mL) 硝酸 30 mL 木片がなくなるまで 加熱・溶解 加熱・濃縮(50 mLまで) ろ過 切断後試料 廃棄 精製水 79Se, 99Tc分析試料 切断後試料 図 2.1.1-3 酸抽出による前処理操作フロー(伐採木・生木) (4)Ni-59,63 の分析 前処理後の試料溶液を 1M硝酸で 25mLに定容し,このうち 1mLを分取して 0.1M硝酸で 10mL に定容し,誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所製,ICPS-7510)を用いてNi量を測定 した。残りの溶液 24mLにNi担体 2mg(和光純薬製,Ni標準溶液,1000ppm),Cs担体 1mg(CsCl2 溶液,10mg/mL)及びリンモリブデン酸アンモニウム三水和物 1gを加えて撹拌した。一晩放置し た後ろ過を行い,回収したろ液を乾固した。これを塩酸 1mLで溶解し,陰イオン交換樹脂 0.5mL (Dowex製,Dowex 1 X8,粒径 200-400μm)-陽イオン交換樹脂 2mL(Dowex製,Dowex 50W X8, 粒径 200-400μm)に通液し,次に塩酸 2.5mLを通液して流出液を回収した。これにY担体 5mg(YCl3 溶液,5mg/mL)及びFe20mg(FeCl3溶液,20mg/mL)を加えて,0.5mL程度まで加熱濃縮を行い, 精製水 10mL及び塩化アンモニウム 1gを入れた後,アンモニア水 5mLを少しずつ加えて水酸化鉄 沈殿を生成させた。沈殿を加熱熟成させた後,ろ過を行い,回収したろ液を乾固させた。これを 0.5M塩酸 5mLで溶解し,1Mクエン酸アンモニウム 1mL及びアンモニア水 3mLを加えた後,固相 抽出樹脂(Eichrom製,Ni-Resin,粒径 100-150μm)に通液した。pH10 の 0.2Mクエン酸アンモニ ウム 20mL,アンモニア水 5mLで樹脂を洗浄した後,3M硝酸 15mLでNiを回収した。回収した溶 液を乾固した後,0.05M塩酸で 20mLに定容した。このうち 0.5mLを分取して 0.05 硝酸で 20mLに

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2.1-7 定容し,誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いてNiの回収率を求めた。定容した溶液のうち 8mLと,0.05M塩酸 1mLを乳化シンチレータ 11mL(PerkinElmer製,Aquasol-2)と混合し,測定試 料とした。液体シンチレーションカウンタ(PerkinElmer製,Tri-Carb2910TR)を用いて 20 分×5 回×5 サイクル測定し,Ni-63 を定量した。残りの溶液は一旦乾固し,電解液 20mLに溶解した後, 電着を行った。Niの電着は銅板上に電流 0.2Aで 3 時間行い,誘導結合プラズマ発光分光分析装置 を用いて電着後の電解液中のNiを測定することにより電着率を求めた。電着後の測定試料は,低 エネルギー光子検出器(ORTEC製GLP-36360/13P)を用いてNi-59 を定量した。分析フローを図 2.1.1-4 に示す。 (5)Nb-94,Eu-152,Eu-154 の分析 前処理後の試料溶液にCs担体 1mg(CsCl2溶液,10mg/mL),リンモリブデン酸アンモニウム三 水和物 1gを加えて撹拌し,一晩放置した。溶液をろ過し,回収したろ液を乾固したものに 1M硝 酸を加えて溶解し,バイアル瓶内で加熱乾固したものをγ線放出核種の測定試料とした。高純度ゲ ルマニウム半導体検出器(ORTEC製,GEM-20190)を用いて 70,000 秒間測定し,Nb-94,Eu-152, Eu-154 を定量した。分析フローを図 2.1.1-5 に示す。 (6)Cs-137 の分析 粉砕または切断した試料 1g をスチロール瓶に量り取ってそのまま測定試料とし,高純度ゲルマ ニウム半導体検出器(ORTEC 製,GEM-20190)を用いて測定し Cs-137 を定量した。測定時間は Cs-137(0.662MeV)のカウント数が 10,000 カウント以上となる時間を目安とした。

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2.1-8 Ni 2 mg Cs ~1 mg リンモリブデン酸 アンモニウム三水和物 1g ろ液 沈殿 ろ過 (24 mL) 廃棄 試料溶液 γ 線測定 (137Cs) 100 Bq 以上 (1 mL) 0.1M 硝酸 定容 (10 mL) Ni 測定 ( ICP-AES ) 蒸発・乾固 塩酸 1mL 塩酸 1 mL 塩酸 1.5 mL 陰・陽 イオン 交換樹脂 アンモニア 5 mL 加熱・濃縮 Y 5 mg 精製水 10 mL Fe 20 mg 塩化アンモニウム 1 g 加熱・熟成 ろ液 沈殿 ろ過 廃棄 0.5M 塩酸 5 mL 1M クエン酸アンモニウム 1 mL アンモニア水 3 mL 0.2M クエン酸アンモニウム 20 mL 廃棄 アンモニア水 5 mL Ni -R esi n 3M 硝酸 15 mL 蒸発・乾固 0.05M 塩酸 定容(20 mL) (0.5 mL) 0.05M 硝酸 定容(20 mL) Ni 回収率 測定 ( ICP-AES ) (8 mL) 0.05M 塩酸 1 mL Aqua sol-2 11 mL β 線 (63Ni) 測定 ( 液体シンチレーションカウンタ) (10mL) 蒸発・乾固 電解液 20 mL X線(59Ni) 測定 ( Ge-LEPS ) 電着 電解液 蒸発・乾固 1M 硝酸 定容(50 mL) 電着率 測定 ( ICP-AES ) 図 2.1.1-4 Ni-59,63 分析フロー

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2.1-9 Cs ~1 mg リンモリブデン酸 アンモニウム三水和物 1 g ろ過 ろ液 沈殿 蒸発・乾固 (ガラスバイアル) γ 線測定 (Ge半導体検出器) 廃棄 試料溶液 1M 硝酸 溶解 図 2.1.1-5 Nb-94,Eu-152,Eu-154 分析フロー (7)Sr-90 の分析 前処理後の試料溶液を 0.1M硝酸で 25mLに定容し,このうち 1mLを分取して 0.1M硝酸で 10mL に定容し,誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いてSr量を測定した。残りの溶液 24mLにSr 担体 2mg(和光純薬製,1000ppm),Cs担体 1mg(CsCl2溶液,10mg/mL)及びリンモリブデン酸 アンモニウム 1gを加えて撹拌した。一晩放置した後ろ過を行い,回収したろ液を乾固した。これ を 8M硝酸 50mL程度で溶解し,固相抽出樹脂 5mL(Eichrom製,Sr-Resin,粒径 100-150μm)に通 液し,8M硝酸 20mL,3M硝酸-0.05Mシュウ酸 15mL,8M硝酸 15mLで樹脂を洗浄した後,0.05M 硝酸 20mLでSrを回収した。回収した溶液は蒸発乾固した後,0.5M 硝酸で 20mLに定容した。こ のうち 1mLを分取して 0.1M 硝酸で 20mLに定容し,誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津 製作所製,ICPS-7510)を用いてSrの回収率を求めた。2 週間経過後,残りの溶液 19mLから 10mL をバイアル瓶に分取して乳化シンチレータ 10mL(PerkinElmer製,Aquasol-2)と混合し,液体シ ンチレーションカウンタ(PerkinElmer製,Tri-Carb2910TR)を用いて 10 分×5 回×5 サイクルで測 定し,Sr-90 を定量した。分析フローを図 2.1.1-6 に示す。 (8)U,Pu の分析 前処理後の試料溶液にU-233 及びPu-242 をそれぞれ 10-2 Bq加えて乾固直前まで加熱し,3M硝酸 8mLを加えて溶解した。これに過酸化水素30μLを加えて攪拌し,5 分間静置した後,固相抽出樹 脂 2mL(Eichrom製,UTEVA-Resin,粒径 100-150μm)に通液した。3M硝酸-0.1%過酸化水素水 14mLを通液して樹脂を洗浄し,1M硝酸-0.1Mヒドロキシルアミン-0.01Mアスコルビン酸溶液 16mLでPuを回収した。1M硝酸 6mLで樹脂を洗浄し,0.01M硝酸 16mLでUを回収した。U,Puの 回収液を乾固した後,硝酸を加えて溶解し,再度乾固して 1M硝酸 0.6mLで溶解した。60μLを分 取してタンタル板(直径 24mm×厚さ 0.1mm)に滴下し,テトラエチレングリコール分散-高温加 熱法7)により測定試料を調製した。シリコン半導体検出器(AMETEK製,576-VM)を用いて 200,000 秒間α線を測定し,U-233 またはPu-242 のエネルギー領域の計数から回収率を求めるとともに, U-234,U-235,U-238 またはPu-238,Pu-239+240 を定量した。分析フローを図 2.1.1-7 に示す。

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2.1-10 Sr 2 mg Cs ~1 mg リンモリブデン酸 アンモニウム三水和物 1g ろ液 沈殿 ろ過 (24 mL) 廃棄 試料溶液 γ 線測定 (137Cs) 100 Bq 以上 (1 mL) 0.1M 硝酸 定容 (10 mL) Sr測定 ( ICP-AES ) 蒸発・乾固 8M 硝酸 50mL 溶解 8M 硝酸 20 mL 3M 硝酸- 0.05M シュウ酸15 mL 8M 硝酸 15 mL 0.05M 硝酸 20 mL Sr -R es in 廃棄 0.5M 硝酸 定容 (20 mL) (1 mL) (10 mL) 0.1M 硝酸 定容 (20 mL) Sr回収率 測定 ( ICP-AES ) 2週間保管 Aquasol-2 10 mL β 線 (90Sr) 測定 ( 液体シンチレーションカウンタ) 蒸発・乾固 図 2.1.1-6 Sr-90 分析フロー

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2.1-11 溶解 3M 硝酸 8 mL 過酸化水素水 30 μL 静置 233U, 242Pu 10-2Bq 蒸発・乾固 試料溶液 廃棄 (Am) 廃棄 U 蒸発・乾固 硝酸 1M 硝酸 蒸発・乾固 1M 塩酸 蒸発・乾固 α 線 (Pu) 測定 ( Si半導体検出器) (1) 溶解 (1) Pu (1) UT E VA -R es in 3M 硝酸-0.1%過酸化水素水 14 mL 0.01M 硝酸 16 mL 1M 硝酸-0.1M ヒドロキシルアミン -0.01Mアスコルビン酸 16 mL 1M 硝酸 6 mL タンタル板に滴下 テトラエチレングリコール 図 2.1.1-7 U, Pu 分析フロー (9)Am-241,Cm-244 の分析 前処理後の試料溶液を分取し,Am-243 を 10-2 Bq加えて乾固直前まで加熱したものに,3M硝酸 12mLを加えて溶解した。これに過酸化水素 45μLを加えて攪拌し,5 分間静置した後,固相抽出 樹脂 2mL(Eichrom製,TRU-Resin,100-150μm)に通液した。3M硝酸-0.1%過酸化水素水 4mL を通液して樹脂を洗浄し,1M硝酸-0.1Mシュウ酸溶液 14mLでPuを分離した後,1M硝酸 6mLを 通液して樹脂を洗浄し,0.05M硝酸 16mLでAmを回収した。Amの回収液を乾固した後,硝酸を加 えて溶解して再度乾固し,3M硝酸 0.6mLで溶解した。60μLを 2 回タンタル板(直径 24mm×厚さ 0.1mm)に滴下し,テトラエチレングリコール分散-高温加熱法により測定試料を調製した。シ リコン半導体検出器を用いて 200,000 秒間測定し,Am-243 のエネルギー領域の計数からAmの回 収率を求めるとともに,Am-241,Cm-244 の放射能量を求めた。分析フローを図 2.1.1-8 に示す。 (10)H-3,C-14 の分析 粉砕または切断した試料 1g(伐採木・生木試料は 0.5g)を石英ボートに量り取って石英管内に 設置し,加湿した酸素ガスを流速 150mL/minで流しながら 100℃程度で加熱して試料を乾燥させ た後,500℃で 1 時間,900℃で 1 時間加熱した。H-3 はメタノール-ドライアイスで冷却したU 字管 2 段で捕集し,C-14 は 1M水酸化ナトリウム溶液 20mLを入れたインピンジャー4 段(伐採木・ 生木試料は 7 段)で捕集した。U字管に捕集したH-3 を含む水をナス型フラスコに移し,過酸化 ナトリウム約 5mgを加えて蒸留した。蒸留水はバイアル瓶に回収し,瓶内の液量が 20mLとなる ように乳化シンチレータ(PerkinElmer製,Aquasol-2)を加え,H-3 測定試料とした。また,C-14 を捕集した水酸化ナトリウム溶液には 2M硝酸を滴下して液性を酸性とし,溶液中のC-14 を二酸 化炭素吸収材 5mL(PerkinElmer製,Carbo-Sord E)を入れたインピンジャー2 段で捕集した。二酸 化炭素吸収材をシンチレーションカクテル 5mL(PerkinElmer製,Permafluor E+ )で洗浄しながら バイアル瓶に移し,液量を 20mLとしてC-14 測定試料とした。液体シンチレーションカウンタ (PerkinElmer製,Tri-Carb 3110TR)を用いて 60 分間×1 回×5 サイクルで測定し,H-3 及びC-14 を 定量した。分析フローを図 2.1.1-9 に,燃焼装置を図 2.1.1-10 に示す。

(25)

2.1-12 溶解 3M 硝酸 12 mL 過酸化水素水 45 μL 3M 硝酸 -0.1%過酸化水素水 4 mL 静置 243Am 10-2Bq 蒸発・乾固 試料溶液 廃棄 廃棄 (Pu) Am,Cm 0.05M 硝酸 16 mL 1M 硝酸 -0.1M シュウ酸 14 mL 1M 硝酸 6 mL TRU -R es in 蒸発・乾固 3M 硝酸 タンタル板に滴下 蒸発・乾固 溶解 1M 塩酸 テトラエチレングリコール 蒸発・乾固 α 線 (Am,Cm) 測定 ( Si半導体検出器) 硝酸 (1) (1) 図 2.1.1-8 Am-241, Cm-244 分析フロー 乾燥 ( 100℃ ) 試料 β 線 (3H) 測定 ( 液体シンチレーションカウンタ ) 加湿酸素ガス 150mL/min 加熱 ( 500℃, 60分 ) 加熱 ( 900℃, 60分 ) 水 ( 3Hトラップ) 蒸留 Aquasol-2 Permaflour E+ 二酸化炭素 ( 14Cトラップ) β 線 (14C) 測定 ( 液体シンチレーションカウンタ ) 図 2.1.1-9 H-3,C-14 分析フロー 3Hトラップ 排気 14Cトラップ 酸素 ボンベ 水 管状電気炉 石英管 試料 ホプカライト Iトラップ 逆流防止 図 2.1.1-10 燃焼装置

(26)

2.1-13 (11)Cl-36 の分析 (a)瓦礫試料 前処理後の試料溶液に,Cs担体 5mg(Cs2CO3溶液,2mg/mL)を加え,さらに硝酸を加えてpH 1 に調整し,リンモリブデン酸アンモニウム三水和物 0.1gを入れたテフロン瓶に 10mLずつ移し替 え,回転機を用いて 60rpmで 20 分間撹拌した。その後ろ過を行い,ろ液に水酸化ナトリウムを加 えてpH 8 に調整し,3000rpmで 20 分間遠心分離を行い,上澄み液をろ過した。ろ液にSr担体(和 光純薬製,Sr標準溶液,1000ppm),Y担体(Y(NO3)3・6H2O溶液,5mg/mL),Ru担体(和光純薬

製,Ru標準溶液,1000ppm)及びCs担体を各 2mg,0.79Mヨウ化ナトリウム 0.2mL,2.5M亜硝酸 ナトリウム 2mLを加えた後,希硝酸を用いてpH 2 に調整した。これに 0.93M硝酸銀 0.502mLを加 えて溶液中にAgCl沈殿を生成させ,ガラス繊維ろ紙(Whatman製,直径 47mm,粒子保持能0.7μm) を用いてろ過した。回収した沈殿をろ紙ごとビーカーに入れ,アンモニア水 10mLを加えて加熱 してAgCl沈殿を溶解し,ろ過によりAgI2沈殿を除去した。ろ液に精製水を加えながら加熱,濃縮 を繰り返した後,溶液をろ過して,析出したAgCl沈殿をメンブレンフィルタ(ADVANTEC製, 直径 24mm,孔径 45μm)上に回収した。これをビーカー入れてZn粉末 1g(和光純薬製),2M硫 酸 1mLを加え,20 分間放置してAgClを溶解した。この溶解液にSe担体 1mg(和光純薬製,Se標 準液,1000ppm)を加え,H2の発生が収まるまで放置した後ろ過を行い,ろ液に再度Sr,Y,Cs 担体を各 1mg加え,12.5M水酸化ナトリウムを加えてpH 8 に調整し,ろ過を行った。ろ液に 2M 硝酸 0.2mL程度を加えてpH 2 に調整し,0.93M硝酸銀 0.456mLを加えてAgCl沈殿を生成させ,こ れをガラス繊維ろ紙(Whatman製,直径 21mm,粒子保持能0.7μm)を用いてろ過し,これを 100℃ で 1 時間乾燥させて測定試料とした。β線スペクトロメータ(富士電機製,ピコベータ)を用い て 50,000 秒間測定し,Cl-36 以外の核種の混入がないことを確認した後,ガスフローカウンタ(ア ロカ製,LBC-4312)を用いて 100 分×1 回×10 サイクル測定し,Cl-36 を定量した。回収率はAgCl 沈殿の重量から試料中にもともと含まれる塩素量を差し引いて求めた。なお,試料中に含まれる 塩素の量は,粉砕した試料 0.1gを用いて,イオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス製,ICS-2000) により測定した。分析フローを図 2.1.1-11 に示す。 (b)伐採木・生木試料 前処理後の試料溶液に,水酸化カルシウム 1g を加え,12.5M 水酸化ナトリウム 8mL 程度を加 えて pH を 10~12 に調整し,加熱した。放冷後,溶液を 50mL 遠沈管 4 本に移し,3000rpm で 20 分間遠心分離した後,ろ過した。ろ液に Cs 担体 5mg を加え,さらに硝酸を加えて pH 1 に調整し た。この溶液をリンモリブデン酸アンモニウム三水和物 0.1g を加えたテフロン瓶に 10mL ずつ移 し替え,回転機を用いて 60rpm で 20 分間撹拌した後,ろ過を行った。以後は瓦礫試料と同じ手 順で分析を行った。

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2.1-14 pH1 ろ液 試料溶液 Cs 5 mg 硝酸 18.5 mL りんモリブデン酸 アンモニウム三水和物 1 g 浸漬・撹拌 ろ過 沈殿 廃棄 DF1000 以下 12.5M 水酸化ナトリウム 1 mL pH8 遠心分離 ろ液 ろ過 沈殿 Sr,Y,Ru,Cs 各 2mg ヨウ化ナトリウム I-2 mg 2.5M 亜硝酸ナトリウム 2 mL 希硝酸 pH2 0.93M 硝酸銀 0.502 mL 廃棄 (1) 沈殿 精製水 廃棄 ろ過 ろ液 加熱・濃縮 ろ液 一時保存 ろ過 沈殿 亜鉛粉末 1 g 2M 硫酸 1 mL Se 1 mg 沈殿 廃棄 ろ過 ろ液 沈殿 ろ過 ろ液 アンモニア水 10 mL程度 煮沸・溶解 一時保存 (1) (2) 溶解 Sr,Y,Cs 1 mg 12.5M 水酸化ナトリウム 0.3 mL程度 pH8 沈殿 廃棄 ろ過 ろ液 2M 硝酸 0.2 mL程度 pH2 0.93M 硝酸銀 0.456 mL ろ液 一時保管 ろ過 沈殿 乾燥(100℃ 1時間) Cl 回収率測定 (重量測定) β 線コンタミ確認 (β線スペクトロメータ) (コンタミなし) β 線 (36Cl) 測定 (ガスフローカウンタ) (コンタミあり) γ 線コンタミ確認 (Ge半導体検出器) (2) 図 2.1.1-11 Cl-36 分析フロー (12)Se-79 及び Tc-99 の分析 (a)瓦礫試料 前処理後の試料溶液に,Sr担体(和光純薬製,Sr標準溶液,1000ppm),Y担体(Y(NO3)3・6H2O 溶液,5mg/mL),Ru担体(三津和化学薬品製,Ru標準溶液,1000ppm)を各 1mg,Cs担体 5mg(Cs2CO3 溶液,2mg/mL),臭化水素酸 2mLを加え,硝酸 17mLを加えてpH 1 に調整した。この溶液を,リ

(28)

2.1-15 ンモリブデン酸アンモニウム三水和物 0.1gを加えたテフロン瓶 10 本に移し,回転機を用いて 60rpmで 20 分間撹拌した後ろ過を行い,ろ液を回収した。回収したろ液にアンモニア水 1.4mLを 加えてpHを 10~12 に調整し,塩化カルシウム 1gを加えて加熱した後,水槽内で放冷した。この 溶液を 50mL遠沈管 4 本に移して 3000rpmで 20 分間遠心分離した後,ろ過を行ってろ液を回収し た。回収したろ液に炭酸ナトリウム 1gを加えて加熱・放冷した後,ろ過を行った。ろ液に過酸化 水素水 2mLを加え,硝酸を用いてpH 1 に調整した後,加熱し,溶液を水槽内で十分に放冷した後, 硝酸またはアンモニア水を加えて,pH 1 に調整した。この溶液を固相抽出樹脂(Eichrom製,TEVA Resin,100-150μm)に通液し,樹脂を 2M硝酸 10mLで 3 回洗浄し,8M硝酸 15mLでTcを回収した。 回収液を 1mL程度まで加熱濃縮した後,精製水 1mLを加えて再度 1mL程度になるまで加熱濃縮を 行い,10mLに定容した。この溶液を 1mL分取し,0.5M硝酸で 20mLに定容して,誘導結合プラズ マ発光分光分析装置(島津製作所製,ICPS-7510)を用いてReの回収率を求めた。残りの溶液 9mL に乳化シンチレータ 11mL(PerkinElmer製,Aquasol-2)を加えて混合し,液体シンチレーション カウンタ(PerkinElmer製,Tri-Carb 3110TR)を用いて 100 分×1 回×10 サイクル測定し,Tc-99 を 定量した。 固相抽出樹脂から流出した Se を含む溶液に臭化水素酸 2mL を加え,50%ヒドロキシルアミン 20mL を加えて pH 8 に調整した後,液量が 100mL 程度になるまで加熱濃縮し,硝酸 20mL を加え て pH を 1 以下に調整した。この溶液を水酸化ナトリウム 25mL を加えて加熱した後,硝酸 5mL を加えてさらに加熱した。放冷した後,溶液をろ過して,溶液中に生成した Se 沈殿をガラス繊維 ろ紙(Whatman 製,直径 21mm,GF/F)上に回収し,温水 5mL,温塩酸 2mL で 10 回洗浄し,さ らに精製水 5mL で洗浄した。回収した沈殿を 100℃,1 時間で乾燥し,重量を測定して Se の回収 率を求めた。β 線スペクトロメータ(富士電機製,ピコベータ)を用いて 50,000 秒間測定し,Se-79 以外の核種の混在がないことを確認した後,沈殿をろ紙ごとバイアル瓶に入れ,硝酸 0.705mL を 加えて加熱溶解し,冷却しながら 12.5M 水酸化ナトリウム 0.750mL を加えた。この溶液にシンチ レーションカクテル 18.5mL(PerkinElmer 製,Hionic-Fluor)加えて混合し,液体シンチレーショ ンカウンタ(PerkinElmer 製,Tri-Carb 3110TR)を用いて 100 分×1 回×10 サイクル測定し,Se-79 を定量した。分析フローを図 2.1.1-12 に示す。

(b)伐採木・生木試料

前処理後の試料溶液に,Sr 担体,Y 担体,Ru 担体(三津和化学薬品製,Ru 標準溶液,1000ppm) を各 1mg,Cs 担体 5mg,臭化水素酸 2mL を加え,アンモニア水を加えて pH 1 に調整した。この 溶液を,リンモリブデン酸アンモニウム三水和物 0.1g を加えたテフロン瓶 10 本に移し,回転機 で撹拌(60rpm,20 分間)した後ろ過を行い,ろ液を回収した。回収したろ液にアンモニア水を 加えて pH を 10~12 に調整し,塩化カルシウム 1g を加えて 250℃程度で 5 分間加熱した後,放冷 した。この溶液をろ過して,回収したろ液に炭酸ナトリウム 1g を加え,250℃程度で 10 分間加熱 した後,放冷し,ろ過により沈殿物を除去した。ろ液に過酸化水素水 2mL を加え,硝酸を用いて pH 1 に調整し加熱した後,溶液を水槽内で十分に放冷し,硝酸またはアンモニア水を加えて,pH 1 に調整した。この溶液を固相抽出樹脂(Eichrom 製,TEVA Resin,100-150μm)に通液した。

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2.1-16 p H1 ろ液 試料溶液 S r,Y ,R u 各 1 m g , C s 5 m g 臭化水素酸 2 m L りん モリブデン酸 アンモニウム三水和物 1g 浸漬・撹拌 ろ過 沈殿 廃棄 D F 1000 以下 アンモニア水 1. 4 m L 程度 pH 10~ 12 遠心分離 沈殿 ろ液 硝酸 17 m L 塩化カルシウム 1 g 加熱・放冷 洗浄 ろ過 ろ液 沈殿 廃棄 ろ過 (1) 遠心分離 ろ液 ろ過 沈殿 廃棄 硝酸 1 m L 程度 過酸化水素水 2 m L p H1 加熱・放冷 8 M 硝酸 15 m L 2 M 硝酸 30 m L TEVA-Resin (2) 加熱・濃縮 (1 m L まで ) 精製水 1 m L 加熱・濃縮 (1 m L まで ) γ 線コンタミ確認 ( Ge 半導体検出器 ) 精製水 定容 (10 m L ) (1 m L ) (9 m L ) 0. 5M 硝酸 定容 (20 m L ) Re 回収率測定 ( IC P -AE S ) A qua sol -2 11 mL β 線 ( 99T c) 測定 ( IC P -AE S ) 炭酸ナトリウム 1 g 加熱・放冷 (1) (2) 50% ヒドロキシルアミン 20 m L 臭化水素酸 2 m L p H8 加熱・濃縮 (100 mL まで ) 硝酸 20 m L p H < 1 加熱 12. 5M 水酸化ナトリウム 25 m L 硝酸 5 m L 加熱・放冷 沈殿 ろ過 ろ液 一時保存 (S i 混入なし ) (S i 混入あり ) (3) 硝酸 3 m L 加熱・溶解 ろ液 ろ過 沈殿 廃棄 50% ヒドロキシルアミン 4 m L 加熱 12. 5M 水酸化ナトリウム 3 m L (4) 加熱 加熱 図 2. 1. 1 -12 Se -79 , Tc -99 分 析フロー( 1/ 2 )

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2.1-17 γ 線コンタミ確認 (Ge 半導体検出器 ) (5 ) 硝酸 1 m L 加 熱・ 溶解 ろ液 ろ過 沈殿 廃棄 0.79M ヨウ化ナトリウム 0.2 m L (I -2 m g) 0.28M 塩化ナトリウム 0.2 m L ( C l -2 m g) 臭化水素酸 3 m L 静置 12.5M 水酸化ナトリウム ~ 3.5 m L pH 2 0.93M 硝酸銀 0.287 m L ろ液 ろ過 沈殿 廃棄 (6 ) S r,Y ,C s 各 2 m g 硝酸 (6 ) pH 1 50% ヒドロキシル アミ ン 4 m L 加熱 12.5M 水酸化ナトリウム 3 m L 加熱 硝酸 3 m L pH 8 加 熱・ 放冷 沈殿 ろ過 ろ液 一時 保存 (3 ) β 線コンタミ確認 (β 線スペクトロメ ータ ) (コンタミなし ) β 線 ( 79S e) 測定 (液体シンチレーシ ョン カウ ンタ ) 硝酸 0.705 m L 加 熱・ 溶解 12.5M 水酸化ナトリウム 0.750 m L 中和 H io n ic -F luor 18.545 m L (コンタミあり ) (3 ) (5 ) 乾燥 (100 ℃ , 1 時間 ) Se 回収率測定 (重量測定 ) 硝酸 3 m L pH 8 加 熱・ 放冷 沈殿 ろ過 ろ液 一時 保存 (4 ) (3 ) 図 2. 1. 1 -12 Se -79 , Tc -99 分 析フロー( 2/ 2 )

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2.1-18 (13)I-129 の分析 (a)瓦礫試料 粉砕した試料 1g を量り取った石英ボートを Ni 箔で覆い,燃焼用の石英管内に設置した。加湿 した酸素ガスを流速 150mL/min で流しながら 100℃程度で加熱して試料を乾燥させた後,500℃で 1 時間,900℃で 1 時間加熱した。I は 1M 水酸化ナトリウム 20mL を入れたインピンジャーで捕 集した。I を捕集した水酸化ナトリウム溶液に 5.7M 塩酸を加えて pH 2 に調整し,0.1M 亜硫酸水 素ナトリウム水溶液 1mL を加えた。この溶液を固相抽出ディスク(Empore 3M 製,Anion-SR)に 通液した。超純水 5mL を 4 回通液してディスクを洗浄した後,1M 硝酸 9.5mL で I を回収した。 回収液に次亜塩素酸ナトリウム溶液50μL,In 溶液 50μL を加え,1M 硝酸で 10mL に定容したも の を 質 量 分 析 に 用 い る 溶 液 と し た 。 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 質 量 分 析 装 置 ( PerkinElmer 製 , ELAN-DRC-e)を用いて質量分析を行い,I-129 を定量した。分析フローを図 2.1.1-13 に示す。 (b)伐採木・生木試料 試料 1g を量り取った石英ボートを Ni 箔で覆い,燃焼用の石英管内に設置した。加湿した酸素 ガスを流速 150mL/min で流しながら 100℃程度で加熱して試料を乾燥させた後,200℃までは 50℃ ずつ,200℃から 300℃までは 25℃ずつ昇温し,各温度で約 20 分間加熱した後,500℃で 1 時間, 900℃で 1 時間加熱した。I は 2%水酸化テトラメチルアンモニウム溶液 20mL を入れたインピン ジャー3 段で捕集し,誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて I-129 を定量した。 粉砕後試料 加湿酸素ガス 150mL/min 乾燥 (100℃) 加熱 (500℃, 60分) 加熱 (900℃, 60分) 1M 水酸化ナトリウム ( Iトラップ) 5.7M 塩酸 pH2 10-4mol 亜硫酸水素ナトリウム 超純水 5 mL×4回 1M 硝酸 9.5 mL 廃棄 A ni on -SR 次亜塩素酸ナトリウム 50 μL 2 ppm In標準液 50 μL 1M 硝酸 定容(10 mL) ICP-MS (129I)測定 切断後試料 加湿酸素ガス 150mL/min 乾燥 (100℃) 昇温 (100℃~200℃) (50℃刻みで昇温、各温度20分加熱) 2%水酸化テトラメチル アンモニウム( Iトラップ) ICP-MS (129I)測定 加熱 (500℃, 60分) 加熱 (900℃, 60分) 昇温 (200℃~300℃) (25℃刻みで昇温、各温度20分加熱) 図 2.1.1-13 I-129 分析フロー (14)分析・測定作業 分析作業の様子や測定装置類の外観等を図 2.1.1-14~2.1.1-17 に示す。

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2.1-19 図 2.1.1-14 前処理作業(1/2) 瓦礫試料 伐採木試料(松葉) ステンレス乳鉢での粉砕作業 はさみでの切断作業 粉砕後瓦礫の小分け作業 切断後の伐採木試料

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2.1-20 図 2.1.1-15 前処理作業(2/2) マイクロ波加熱分解装置による 酸分解 酸分解後 電気炉でのアルカリ融解 アルカリ融解後 伐採木の酸抽出 酸抽出後のろ過

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2.1-21 固相抽出樹脂(Sr-Resin)による Sr-90 分析作業 塩化銀沈殿捕集作業 (Cl-36 分析) 電着作業 (Ni-59 分析) 燃焼作業 (H-3,C-14 分析) 高純度 Ge 検出器によるγ 線測定 固相抽出樹脂(TEVA-Resin)による Am,Cm 分析作業 図 2.1.1-16 分析操作

(35)

2.1-22 液体シンチレーションカウンタ β線スペクトロメータ(ピコベータ) ガスフローカウンタ Ge-LEPS Si 半導体検出器 ICP-MS 図 2.1.1-17 測定装置

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2.1-23 2.1.2 分析結果 上記の分析作業を実施することにより得られた瓦礫等の放射能濃度を表 2.1.2-1~2.1.2-3 に示す。 このうち,試料No.1~17 について以下に述べる。H-3 は 16 試料で検出され,放射能濃度は検出下 限(0.2Bq/g)~1.8Bq/gの範囲であった。またC-14 は 3 号機,4 号機周辺で採取された 6 試料で検 出され,放射能濃度は検出下限(瓦礫:0.05Bq/g,伐採木:0.2Bq/g)~2.7Bq/gの範囲であった。γ 線核種のうち,Nb-94,Eu-152,Eu-154 はいずれの試料においても検出されなかった(検出下限 値:0.5Bq/g)。Co-60 は 17 試料中 6 試料で検出され,放射能濃度は検出下限(0.1Bq/g)~5.6Bq/g の範囲であった。Cs-137 はすべての試料で検出され,3 号機周辺の試料がもっとも高かった。放 射能濃度は,3.2~1.9×105 Bq/gの範囲であった。Sr-90 は 17 試料中 15 試料で検出され,放射能濃度 は,検出下限(0.05Bq/g)~10Bq/gの範囲であった。Se-79,Tc-99 は瓦礫試料では検出されなかっ たが,伐採木・生木試料ではそれぞれ 4 試料及び 3 試料で検出された。ただし検出下限に近い値 であり,詳細については今後検出下限の低減を図った上で確認する必要がある。Cl-36,I-129,α 核種はいずれの試料においても検出されなかった。 これまでの汚染水分析において検出された Ni-63(Ni-59)及び天然に存在する U との判別が難 しい U-234,U-235,U-238 については,検出の可能性が高い試料として,それぞれ Co-60 放射能 濃度が最大となった試料及び Cs-137 が最大値となった試料(ともに 3U-09)についてのみ分析を 実施した。Ni-63,Ni-59 の放射能濃度は,検出下限であった。U 同位体は検出下限値を超えたが, 同位体比や放射能濃度から,汚染のない通常のコンクリートに含有されていた天然の U であると 考えられる。 試料 No.18,19(4U-N01,N-02)については,γ 線測定の結果,Co-60 が主たる核種であり,事 故により放出された Cs-134 が未検出だったことから,事故の影響を受けていないクラッド由来の 汚染であると推定された。また,採取した試料量が少なかったことから,H-3 等,その他の核種 分析は実施しなかった。 検出された核種について,採取場所ごとの放射能濃度の分布を図 2.1.2-1~2.1.2-7 に示す。検出 された H-3,C-14,Co-60,Se-79,Sr-90,Tc-99 について Cs-137 の放射能濃度分布との比較を行 ったところ,Cs-137 の放射能濃度の分布とは異なる傾向が見られた。この理由については,各号 機周辺の瓦礫毎に汚染源が異なっている可能性が考えられる一方,これらの瓦礫類は,事故後約 1 年半に渡って風雨に曝されており,その過程で核種組成が変化した可能性も考慮する必要があ る。今回,福島第一発電所敷地内で試料を採取するとともに放射能分析を実施したことにより, 各号機周辺の瓦礫毎に核種組成の特徴をある程度把握することができたが,処理処分方策の検討 を行うためには,今後さらに,データ数の拡充を図り,廃棄物放射能性状の把握を進めていく必 要がある。

(37)

2.1-24 10-3 10-2 10-1 100 101 102 H -3の放射 能濃度(B q /g ) 1号周辺 コンクリート 3号周辺 コンクリート 4号周辺 コンクリート D.L. 伐採木 (保管中) 3号周辺    生木 D.L. 図2.1.2-1 H-3 の放射能濃度 10-3 10-2 10-1 100 101 102 C -14 の放 射能 濃度 (B q / g) 1号周辺 コンクリート 3号周辺 コンクリート 4号周辺 コンクリート D.L. D.L. 伐採木 (保管中) 3号周辺    生木 図2.1.2-2 C-14 の放射能濃度 10-3 10-2 10-1 100 101 102 Co -60の 放射 能濃 度( B q /g) 1号周辺 コンクリート 3号周辺 コンクリート 4号周辺 コンクリート D.L. 伐採木 (保管中)3号周辺   生木 図2.1.2-3 Co-60 の放射能濃度 10-3 10-2 10-1 100 101 102 S e-7 9の放 射 能 濃 度 (B q/ g) 1号周辺 コンクリート 3号周辺 コンクリート 4号周辺 コンクリート D.L. 伐採木 (保管中)3号周辺    生木 図2.1.2-4 Se-79 の放射能濃度

(38)

2.1-25 10-3 10-2 10-1 100 101 102 Sr -9 0の 放射 能濃 度( B q/ g) 1号周辺 コンクリート3号周辺 コンクリート 4号周辺 コンクリート D.L. 4号周辺 コンクリート 伐採木 3号周辺    生木 図2.1.2-5 Sr-90 の放射能濃度 10-3 10-2 10-1 100 101 102 Tc-9 9の放 射 能 濃 度 (B q/g ) 1号周辺 コンクリート 3号周辺 コンクリート 4号周辺 コンクリート D.L. 伐採木 (保管中) 3号周辺    生木 図2.1.2-6 Tc-99 の放射能濃度 100 101 102 103 104 105 106 Cs-137の 放射 能濃 度( Bq /g) 1号周辺 コンクリート 伐採木 (保管中) 3号周辺    生木 3号周辺 コンクリート 4号周辺 コンクリート 図2.1.2-7 Cs-137 の放射能濃度

(39)

2.1-26

2.1.2-1 瓦礫・伐採木等分析結果(γ 線核種)

(単位:Bq/g)

No. 試料名 Co-60 Nb-94 Cs-137 Eu-152 Eu-154

1 1U-06 (1.1+0.4)×10-1 < 5.0×10-1 (3.8±0.1)×103 <5.0×10-1 <5.0×10-1 2 1U-07 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (5.9±0.1)×102 <5.0×10-1 <5.0×10-1 3 1U-08 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (1.8±0.1)×103 <5.0×10-1 <5.0×10-1 4 1U-09 (1.1±0.4) ×10-1 < 5.0×10-1 (2.2±0.1)×103 <5.0×10-1 <5.0×10-1 5 3U-02 (4.3±0.4) ×10-1 < 5.0×10-1 (1.9±0.1)×104 <5.0×10-1 <5.0×10-1 6 3U-07 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (2.3±0.1)×103 <5.0×10-1 <5.0×10-1 7 3U-09 (5.6±0.1)×100 < 5.0×10-1 (1.9±0.1)×105 <5.0×10-1 <5.0×10-1 8 3U-10 (5.0±0.4)×10-1 < 5.0×10-1 (1.4±0.1)×104 <5.0×10-1 <5.0×10-1 9 4U-01 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (1.5±0.1)×103 <5.0×10-1 <5.0×10-1 10 4U-02 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (3.2±0.1)×100 <5.0×10-1 <5.0×10-1 11 4U-05 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (6.1±0.1)×101 <5.0×10-1 <5.0×10-1 12 4U-08 (9.4±0.4)×10-1 < 5.0×10-1 (1.5±0.1)×102 <5.0×10-1 <5.0×10-1 13 T-01 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (9.3±0.1)×102 <5.0×10-1 <5.0×10-1 14 T-02 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (1.5±0.1)×103 <5.0×10-1 <5.0×10-1 15 T-04 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (3.7±0.1)×102 <5.0×10-1 <5.0×10-1 16 T-05 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (7.5±0.1)×102 <5.0×10-1 <5.0×10-1 17 T-07 < 1.0×10-1 < 5.0×10-1 (4.7±0.1)×102 <5.0×10-1 <5.0×10-1 18 4U-N01 (1.4±0.1)×106 < 4.2×100 (1.6±0.2)×103 <7.2×100 <7.1×100 19 4U-N02 (8.3±0.1)×105 < 4.2×101 (2.7±0.7)×103 <7.0×101 <7.3×101

図  目  次  図 2.1.1-1  酸抽出による前処理操作フロー(瓦礫) ...........................................................
表 2.1.2-1   瓦礫・伐採木等分析結果( γ 線核種)
表 2.1.2-2  瓦礫・伐採木等分析結果( β 線核種)
表 2.1.2-3  瓦礫・伐採木等分析結果( α 線核種)
+5

参照

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