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更新日 :2013/12/11 調査部 : 永井一聡グローバルに拡大する FSU FSRU( 浮体式 LNG 受入基地 ) ( 各社ホームページ 各種報道 他 ) 全世界で 従来型の陸上 LNG 受入基地の代替として 浮体式 LNG 受入基地 (FSU:Floating Storage Unit F

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– 1 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 更新日:2013/12/11 調査部:永井 一聡

グローバルに拡大する FSU・FSRU(浮体式 LNG 受入基地)

(各社ホームページ、各種報道、他) ○全世界で、従来型の陸上 LNG 受入基地の代替として、浮体式 LNG 受入基地(FSU:Floating Storage

Unit、FSRU:Floating Storage & Regasification Unit)の計画・建設が相次いでおり、既にいくつかは実際 に操業が開始されている。 ○FSU・FSRU は、陸上 LNG 受入基地に比べて、建設コストが安く建設期間も短い。さらに、既存の LNG 船(LNG タンカー)の改造により FSU・FSRU へと転用するケースも多く、その場合は一層の建設コスト 低減と建設期間短縮が可能である。 ○これらの特性から、特に活用が見込まれるケースとして、急速にガス需要(電力需要も含む)の増加が 見込まれ、短期的にエネルギー需給がひっ迫する可能性の高い地域において、緊急対応的に利用 される場合が多い。特に近年の石油価格高騰により、途上国では石油に代わるエネルギー源としてガ スの重要性が高まっており、FSU・FSRU が即効性のある解決策となっている。 また、陸上 LNG 受入基地を建設するまでの期間、つなぎとして期間限定で使用される場合もあり、不 要になった場合でも撤去が容易である。 ○FSU・FSRU を設置する場合、地上に建設する設備との兼ね合いにより、係留・荷役・ガス化の際のオ ペレーションレイアウトは多彩なものが考えられる。 ○一方、浮体式であることから、気象・海象による影響を受けやすい。 ○今後も浮体式の LNG 受入基地(FSU・FSRU)の建設が増えていくことが予想されるが、基本的には緊 急的・一時対応的なものとしての使用が多くなる(望ましい)と考えられる。 1.FSU・FSRU とは

FSU・FSRU とは、それぞれ Floating Storage Unit 及び Floating Storage and Regasification Unit の略で、 洋上浮体式の LNG 貯蔵設備を指す。FSRU については、文字通り LNG を再ガス化する設備も搭載して いる。これら FSU・FSRU は、基本的に洋上に係留固定された状態で設置され、従来の陸上 LNG 基地と 同等の能力を有するもので、浮体式 LNG 受入基地と言えるものである。また、LNG RV(LNG Regasification Vessels)または LNG SRV(LNG Shuttle Re-gasification Vessel)と呼ばれる、通常の輸送能 力を備えた LNG タンカーに LNG 再ガス化能力を備えたものも存在している。

2004 年に世界で初めての浮体式 LNG 受入・再ガス化設備(LNG RV)がメキシコ湾(Gulf Gatway プロ ジェクト)で稼働して以降、近年は従来の陸上 LNG 受入基地に代わり、これら洋上浮体式の LNG 受入・

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– 2 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 再ガス化設備の利用が全世界で進んでおり、既に操業中のプロジェクトが 10 件以上、建設・検討中のも のを含めた計画中のプロジェクトは 20 件以上が挙がっている。 FSU・FSRU は、LNG 船からの転用(FSU は LNG 船のタンクをそのまま貯蔵用 LNG タンクとして使用。 FSRUはLNG船のデッキ上に再気化設備を増設する。)も多く、経年によって動力機関が船舶としての使 用にそぐわなくなった LNG 船についてもそのタンク部分を有効活用できる。 2.世界の浮体式 LNG 受入基地プロジェクト 下記、図 2 及び表 1 に、世界における代表的な FSU・FSRU プロジェクト(SRV 含む)を示す。 図 1 FSRU・SRV の設置イメージ図 (沖合タワー係留&海底ガスパイプライン) LNG タンク 再ガス化設備 沖合係留システム 海底ガスパイプライン 需要地域へ 陸地 図 2 世界の主な浮体式 LNG 受入基地(FSU・FSRU・SRV 含む) (出所:各種資料よりJOGMEC 作成)

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– 3 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 表 1 世界の主な浮体式 LNG 受入基地一覧(FSU・FSRU・LNG SRV 含む) プロジェクト名 または場所 国名 貯蔵容量 m3 LNG 処理能力 百万 t/y 操業開始 アジア 天津市天津港 中国 145000 2.2 2013 West Java インドネシア 125000 3.0 2012 Lampung インドネシア 170000 2.0 2014 Central Java, Semarang インドネシア N/A N/A 2015 Central Java, Cilacap インドネシア N/A N/A N/A Melaka マレーシア 130000×2 3.5 2013 Kakinada インド N/A 3.5 2014 Paradip インド 170000 4.0 2017 Pipavav インド N/A 4.5 N/A Sonmiani Bay パキスタン N/A 3.5 2014 Kerawalapitiya スリランカ N/A N/A N/A Moheshkhali island バングラデシュ N/A 5.0 N/A Batangas フィリピン 170000 4.0 2016-2017 欧州 Livorno イタリア 137500 3.0 2013 Klaipeda リトアニア 170000 1.5-2.3 2014 Krk クロアチア N/A 0.8-1.5 2015 Teesside Gasport イギリス 138000 3.0 2007 Port Meridian イギリス 170000 6.0 2016 中東 Hadera イスラエル N/A 2.0 2013 Dubai UAE 125000 3.8 2010 Aqava ヨルダン 160000 4.0 2015 Mina Al Ahmadi クウェート 150000 3.8 2009 レバノン北部 レバノン 125000 3.5 2015 アフリカ Grand Bassam コートジボワール 125000 2.0 2015 Cotonou ベナン N/A N/A N/A 北米 Neptune アメリカ 操業停止 操業停止 2010 Northeast Gateway アメリカ 操業停止 操業停止 2008 Gulf Gateway アメリカ 操業停止 操業停止 2005 中南米 カリブ海 コロンビア N/A N/A 2016 Aquirre Gasport プエルトリコ 150900 2.0 2014 GNL del Plata ウルグアイ 263000 2.6 2015 Pecem ブラジル 128000 1.8 2008 Guanabara Bay ブラジル 151000 3.8-5.4 2009 Bahia ブラジル 135000 3.7 2013 Bahia Blanca GasPort アルゼンチン 151000 3.75 2008 Escobar アルゼンチン 151000 3.75 2011 Mejiillones チリ 135000 1.6 2010 Gas Atacama チリ 170000 1.4 2015 Colbun チリ N/A N/A 2017 Octpus チリ N/A 3.9 2014

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– 4 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3.FSU・FSRU の特徴と運用形態 (1)FSU・FSRU のメリット・デメリット ①低い建設コスト FSU・FSRU の建設コストは陸上 LNG 受入基地に比べて低いことが挙げられる。 従来の陸上LNG 受入基地を建設する場合のコストは、平均的な規模のものとして、1000 億円程度と 見積もられる。一方、FSU・FSRU では、基本的に通常の LNG 船と同様の形状・設計であるため、新規 に建設した場合でも 300 億円程度とされている。さらに、既存の LNG 船を FSU・FSRU に転用する場合 の改造費用は 80 億円程度である。ただし、FSU・FSRU を係留固定するための桟橋設備等の建設に 100 億円程度が必要となるが、それでも陸上 LNG 受入基地に比べると大幅に建設コストを削減するこ とが可能となる。 ②建設期間(操業開始までのリードタイム)が短い FSU・FSRU の建設期間は、新規に建設する場合で約 3 年程度となる(通常の LNG 船とほぼ同じ)。 既存の LNG 船を改造し転用する場合、改造に要する期間は約1 年程度である。もちろん、FSU・FSRU を設置するための桟橋などの係留設備が必要であるが、既存の港湾設備などを使用可能な場合はこ ちらも建設が不要となる。また、洋上に係留された状態での操業となることから、陸上の土地を必要と せず、周辺環境への影響が少なく、各種規制に縛られる可能性も低い。 いずれにしても陸上 LNG 受入基地の建設期間 5~7 年(環境影響評価・設計期間等を含む)に対し、 基地としての操業を開始できるまでのリードタイムは大幅に短縮することができる。 ③移動・転用が容易 船舶と同様の扱いであるので、当然移動は容易である。従って、将来的に LNG 気化基地が不要と なった場合には速やかに撤去可能で、場合によっては別の場所での使用に転用することも可能であ る。例えば、近隣に大規模な陸上 LNG 受入基地の建設を並行して進め、そちらの基地の操業開始ま での間のみ、つなぎとして一時的に FSU・FSRU を使用するといったことも考えられる。さらに、冬季な ど一年の内のガス需要のウルトラピーク期間のみ FSU・FSRU を設置・稼働させるといった、季節間変 動に合わせたピークシェービング用としての活用も想定されている。 ④安定した気象・海象条件が必要 洋上に浮かんで設置されるため、気象・海象に大きく影響を受ける。特に係留索を用いての係留で は、通常船舶が桟橋に係留されるのと同様、波高が高くなると安全性にも大きく関わってくる。特に、

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– 5 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 外洋に直接面した港湾では長周期波(周期が数十~数分の波で、ゆっくりと海面が上下する動き。し ばしば係留索切断等の事故の原因となる)の影響があるため、注意が必要である。従って、FSU・ FSRU の設置場所としては、波浪の影響が少ない湾内とされることが多い。 また、台風やハリケーンなどが接近する場合には、安全のためにFSU・FSRUを離岸させ避難させる ことが必要になる可能性もある。 ⑤貯槽容量の拡張柔軟性が低い 現在提案されている FSU・FSRU で最大の貯槽容量は26万 m3(世界最大の LNG 船である Q-Max クラスとほぼ同じ)のものであるが、FSU・FSRU ではタンクの貯槽容量は設置される船体の大きさによ って画一的に決定される。したがって、需要増加などに併せてタンクの増設を行う際には、FSU・FSRU の隻数を増加させていかなければならず、その都度係留設備も増設していく必要がある。 (2)運用形態 ①陸上桟橋&FSU+陸上気化設備方式 FSU は再ガス化能力を持たないため、桟橋に固定した浮体式 LNG 貯槽として使用し、陸上に LNG の再ガス化設備を設置してガス送出を行う方式である。マレーシアの Melaka の FSU プロジェクトがこ れにあたる。LNG は桟橋経由で LNG 船からローディングされる。 再ガス化 設備 ガス送出 FSU LNG 船 図 3 陸上桟橋&FSU+陸上気化設備方式イメージ

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– 6 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ②陸上桟橋&FSRU(LNG 荷役は桟橋経由)方式 FSRU を陸上桟橋に固定、LNG 船からの LNG 荷役も桟橋経由で行う方式である。最もシンプルで、 安全性・確実性が高い方式である。桟橋を海上桟橋とし、海底ガスパイプラインでガス送出を行うもの もある。 ③陸上桟橋&FSRU+STS(Ship to Ship)輸送方式

FSRU を陸上桟橋に固定し、LNG 荷役は STS(Ship to Ship)輸送で行う。

桟橋設備が一つで良いというメリットがある。しかし、STS 輸送は気象・海象が穏やかな条件でないと 行うことができず、安定性・安全性の面で相対的にリスクが高い。 FSRU LNG 船 再ガス化 設備 ガス送出 図 4 陸上桟橋&FSRU(LNG 荷役は桟橋経由)方式イメージ 再ガス化 設備 ガス送出 LNG 船 FSRU 図 5 陸上桟橋&FSRU(LNG 荷役は STS 輸送)方式イメージ STS 輸送

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– 7 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ④LNG RV 沖合係留&海底ガスパイプライン方式 沖合にタレット係留等で LNG RV を係留し、海底ガスパイプラインで陸上にガスを送出する形態で ある。北米 Neptune LNG プロジェクト等で採用されていた。 (3)操業・契約形態に見る特徴 FSU・FSRU の設置にあたっての操業形態・契約形態で特徴的なことは、FSU・FSRU 設備の調達と所 有、および LNG の調達・貯蔵・再ガス化・送出までを一つのパッケージサービスとして提供するケースが 多いということが挙げられる。つまり、ガスを必要とする FSU・FSRU の顧客は、あくまでガスの状態での引 き取りのみを行うというものである。設置時のコントラクター選定の入札時も、これらをパッケージとして総 合的に評価を行う形式を取ることが多い。 顧客は、設備の所有や調達、運転管理を行う必要はなく、そのための人員を確保する必要もない。ま 再ガス化 設備 タレット係留 再ガス化 設備 海底ガスパイプライン LNG RV

図 7 STL(Submerged Turret Buoy)係留

(出所:Excelerate 社ホームページ) 図 6 沖合係留&海底ガスパイプライン方式イメージ

ガス送出

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– 8 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 た、不要になった場合にも容易に撤去が可能で、資産整理や運転管理要員等の人員整理を行う必要も ない。 4.浮体式 LNG 受入基地を推進する企業たち (1)Excelerate Energy Excelerate Energy は、2003 年に設立され、LNG の輸送および洋上 LNG 基地の開発と運営をコア業務 とする企業である。「Energy Bridge」ブランドで浮体式貯蔵・再ガス化設備の開発と運営を行っている。こ のブランドの下、LNG RV を「EBRV(Energy Bridge Regasification Vessel)」と呼び、陸上桟橋と EBRV によ る LNG 受入設備を「GasPort」、EBRV を洋上係留する形式での LNG 受入設備を「GateWay」と称し、アメ リカ東海岸で LNG 受入基地を手掛けていた。世界で初めての浮体式 LNG 受入設備は、同社が参画し 2005 年に稼働を開始したたメキシコ湾の Gulf GateWay プロジェクトである。しかし、アメリカ東海岸の浮 体式 LNG 受入基地プロジェクトは、シェールガス生産増加に伴い相次いで操業を停止している。 LNG RV については Exmar と事業提携を結び共同所有している。FSRU 事業としては、これらの船舶 らを用いつつ、ブラジル Petrobras と FSRU の傭船契約を獲得したほか、イスラエル、プエルトリコ、ドバイ でも浮体式 LNG 受入基地として同社の FSRU が採用された。 また、STS 輸送にも積極的に取り組んでいるほか、アメリカテキサス州 Lavaca 湾での Floating LNG によ る液化・輸出事業計画にも参画している。 表 2 Excelerate 社の FSU・FSRU・LNG RV 船名 貯槽容量(m3) /タイプ 気化能力 (bcm/y) 建造年 (年) 操業場所 Excelsior 138000 /Menbrane 4.1~7.1 2005 N/A Excellence 〃 〃 2005 N/A Excelerate 〃 〃 2006 N/A Explorer 151000 /Menbrane 5.2~7.1 2008 N/A Express 〃 〃 2009 N/A Exquisite 〃 〃 2009 N/A Expedient 〃 〃 2009 N/A Exemplar 〃 〃 2010 N/A No.2402 173000 /menbrane 8.3 2014 Guanabara Bay (ブラジル)

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– 9 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (2)Golar LNG

Golar LNG は、1946 年に設立された Gotaas-Larsen Shipping Corporation を前身とする企業で、1970 年より LNG 輸送事業に参入した。その後 OspreyMaritime に買収されるなどし、現在の Golar LNG 社とし て設立したのは 2001 年である。もともとは LNG の輸送事業を専門としていたが、2000 年代後半より事業 拡大を目指して LNG 船の FSRU への改造事業の検討を開始し、2008 年に LNG 船 Golar Spirit を初め て FSRU に改造して以来、近年は FSRU 事業を積極的に展開している。現在は 4 隻の FSRU を操業して おり、さらに 2 隻の FSRU の新造を発注済みである。 また、Floating LNG の開発にも参画している 表 3 Golar LNG 社の FSU・FSRU・LNG RV 船名 貯槽容量(m3) /タイプ 気化能力 (bcm/y) 建造年 (年) 操業場所 Golar Spirit 129000 /Moss 2.5 1981 (2009 FSRU に 改造され稼働) ブラジル Golar Winter 138000 /Manbrane 5.1 2004 (2009 FSRU に 改造され稼働) ブラジル Golar Freeze 125000 /Moss 4.9 1976 (2010 FSRU に 改造され稼働) ドバイ

Nusantara Regas Satu 125000

/Moss 5.0 1997 (2012 FSRU に 改造され稼働) West Java (インドネシア) No.2031 170000 /Menbrane 1.75 2013 (建造中) N/A No.2024 170000 /Menbrane 1.75 2014 (建造中) N/A NB 13 170000 /Menbrane 1.75 2015 (契約済み) Gas Atacama (チリ)

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– 10 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (3)Hoegh LNG

Hoeg LNG は、ノルウェーのオスロに本社を置き、1973 年の Nolman Lady に始まる LNG 輸送事業で 40 年の歴史を持つ企業である。長期契約をベースとした LNG 船の運航を中心に行ってきたが、FSRU の所 有・操業にも事業展開している。現在2隻のFSRUと6隻のLNG船のオペレーションを行っている。また、 4 隻の FSRU を発注済みである。 Horgh LNG も、Floating LNG の開発に参画している。 表 4 Hoegh LNG 社の FSU・FSRU・LNG RV 船名 貯槽容量(m3) /タイプ 気化能力 (bcm/y) 建造年 (年) 操業場所 GDF Suez Neptune 145000 /Menbrane 7.7 2009 Neptune(アメリカ) →ウルグアイ GDF Suez Cape Ann 145000

/Manbrane 7.7 2010 天津(中国) FSRU 1 170000 /Menbrane 2.5 2014 PGN (インドネシア) FSRU 2 170000 /Menbrane 4.1 2014 Klaipeda (リトアニア) FSRU 3 170000 /Menbrane 3.9 2014 N/A FSRU 4 170000 /Menbrane 5.2 2015 チリ 図 8 Hoegh LNG 社 FSRU イメージ図 (出所:Hoegh LNG 社ホームページ)

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– 11 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (4)Exmar Exmar は、ベルギーのアントワープに本社を置き、1929 年テムズ川での造船業に端を発する企業であ る。現在は、世界各地にオフィスを構え、液化ガス輸送(LNG、LPG、アンモニア)をメインとして事業展開 しているが、洋上生産設備の設計や操業なども手掛けている。LNG に関連したものでは、LNG 船、LNG SRV、FSRU の所有・操業を手掛けている。後段で紹介するアメリカの Excelerate Energy 社と LNG RV 事 業で提携をしており、下記に記載の LNG RV は Excelerate Energy との共同所有となっている。

図 9 Exmar が提唱する LNG バリューチェーン

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– 12 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5.個別案件で見る浮体式 LNG 受入基地プロジェクト (1)Pecem FSRU(ブラジル) ペトロブラスが手掛ける FSRU プロジェクトで、2008 年に稼働を開始した。LNG 船を FSRU に改造(コン バージョン)した世界で初の FSRU である。旧船名は Golar Spirit である。また、ブラジルとしては初めて の LNG 受入基地である 再ガス化能力は 700 万 m3/日で、貯槽容量は 128000m3 である。ガスは地域のガスグリッドに注入され るが、主に Ceara および Fortaleza ガス火力発電所に供給されており、ブラジル国内の電力需要の増加 への対応策となっている。 (2)天津 FSRU(中国) 中国 CNOOC が手掛ける FSRU プロジェクトで、2013 年 11 月にコミッショニングを行い操業が開始され た。貯槽容量は 145000m3 で、LNG 処理能力は 220 万トン/年となっている。天津 FSRU で設置された FSRU「GDF Suez Cape Ann」は、アメリカ Neptune LNG プロジェクトで使用されていた LNG RV である。 中国初となる FSRU であるが、天津市では今後陸上 LNG 受入基地の建設が計画されており、この FSRU

図 10 Pecem FSRU

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– 13 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 の CNOOC への傭船契約期間が 5 年であることから、陸上 LNG 受入基地の建設完了後は撤去される可 能性が高い。 (3)Melaka FSU(マレーシア) Petronas が手掛けるプロジェクトで、マレーシアの国内 ガス需要への対応として建設された。2013 年にコミッショニ ングが行われ操業開始した。 右の写真を見ると、3 隻の船舶が海上桟橋に着桟してい ることが分かるが、右側の 2 隻が FSU である。FSU を 2 隻 設置することで貯槽容量を確保している。この FSU は、日 本には非常に馴染み深い、マレーシア LNG プロジェクトで 使用されていた Tenaga Satu と Tenaga Empat である。 再ガス化設備は桟橋上に設置され、FSU から払い出され た LNG をガス化し、海底パイプラインにて陸上に送出され る。 (4)エジプト FSRU 入札 エジプトは、2013 年10 月中旬、国内におけるガス供給不足への対応として、FSRUの入札を発表した。 この入札でエジプト側が希望する調達期限は 2014 年 4 月としており、納期としては半年という非常に短 期間のものである。この短期間で本当に FSRU 調達ができるかについては、既に FSRU として就航して いるものを移転・転用することだと思われるが、こういった突発の需要に対応できる可能性を持っている のが FSRU とも言える。応札の候補者として挙がっているのは、Golar LNG、Excelerate Energy である。こ れが実現すればエジプトは中東で4か国目の LNG の輸入国となる。

図 11 Melaka FSU

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– 14 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 6.まとめ ・FSU・FSRU といった浮体式 LNG 受入基地の計画が全世界で進んでいる。今後建設される(現在計画 中の)LNG 受入基地の 70%が浮体式と言われている。

・FSU・FSRU のプロセス・操業形態には様々なパターンがあり、STS(Ship to Ship)移送といった新しい技 術も開発・採用されている。 ・FSU・FSRU には、コスト、建設期間、移動・撤去の容易さといった面で、陸上 LNG 受入基地に対して多 くの優位性がある。 ・また、操業・契約形態においても、設備調達と保有、LNG の調達・再ガス化・送出までをパッケージ化し たサービスも行われており、主に LNG輸送業を行っていた事業者たちが事業拡大として手掛けるケース が多い。 ・しかし、設置場所の気象・海象条件が穏やかでないと安定的に操業できない、拡張性の面での制約な ど、永続的にかつベースロード基地として使用する場合には欠点となる面もある。 ・従って、浮体式 LNG 受入基地(FSU・FSRU)は、基本的には、緊急的・一時対応的な位置付けでの使 用が望ましいと考えられる。 ・一方、FSU・FSRU は既に実操業が行われている浮体式のLNG設備であり、今後稼働が計画されてい る Floating LNG の開発と技術の応用にもつながっている。(FSU・FSRU を手掛ける企業らは Floatin LNG の開発にも参画している) ・様々な見方はあるが、FSU・FSRU は天然ガス需要地域にとって簡便なソリューション(コスト・建設期間・ 規制)であり、LNG受入基地増加につながる期待を抱かせるもので、全世界への天然ガス普及拡大へ の布石となる可能性がある。 これは天然ガスのマーケティング拡大につながっていき、上流業界にとっても大きなメリットとなる。 以上

図 6  沖合係留&海底ガスパイプライン方式イメージ
図 9  Exmar が提唱する LNG バリューチェーン
図 11  Melaka FSU

参照

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