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<記念寄稿>山梨大学医学部の創設期のころ 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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29  山梨医科大学(山梨大学医学部の前身)の創 設準備の頃から,それに関わることができたの は,自分史の中において,最もやり甲斐のある, かつ名誉のあることであった。  私が大学に赴任した当時は,広大な敷地の中 に,学生ホールと一般教育研究棟のみで,基礎 医学教室と臨床医学教室の教育研究棟は未だ姿 を見せていなかった。  しかし広大な敷地と,南には富士,北西には 八ヶ岳を望む美しい環境の中で,教育・研究が できることに心が躍った。  大学着任当時の私の研究主題は,「ヒトの脳血 管障害」の病理であった。その概略を述べると, 1. 脳 動 脈 硬 化 の 形 成 と 動 脈 分 岐 部 丘 (Bifurcation Pad)との関係  脳動脈の分岐部丘は生理的構造であり,胎生 6 ヶ月より,脳動脈の主要な分岐部の分流部近 位側に限局性に形成されるもの(若干の結合織 を伴った彈性筋性組織)である。分岐部丘に高 血圧(内膜水腫の原因となる)や血栓形成が加 わると,それらが器質化かつ線維化して動脈硬 化となることなどを,連続切片法により明らか にした。  また分岐部丘は高血圧症により発育が加速す る。すなわち多層化と線維化が生じ,しばしば 内膜深層には脂質沈着と粥腫を形成する(粥状 硬化の形成)。  大きく発育した粥腫は,高頻度に潰瘍を形成 し,血栓を作り,梗塞の原因となる。 2.脳動脈血栓症の成り立ち  大小の血栓を伴った粥状硬化を連続切片法に より精査すると,内膜の層状に発育した彈性板 が内彈性板と接合する部位において,融解,剥 離して内膜潰瘍を形成する。これがアテローム に基づく潰瘍形成の主因であった。その結果, 血栓を形成し,皮質の巨大梗塞の原因であるこ とを明らかにすることができた。 3.主幹動脈の分岐部丘 Bifurcation Pad の形成  前述のように,脳動脈硬化は主幹動脈分岐部 に好発するが,その層状脂質には,血栓形成に よるものもあるが,分岐部丘の下流側に乱流が 形成され,その結果として,内皮細胞障害→血 管透過性亢進→内皮下筋細胞の増殖を促し,新 たな内膜肥厚が形成されることによる事である ことを,連続切片法により明らかにした。 4.小動脈瘤 Microaneurysm の形成  わが国の脳血管障害は前述のように,高血圧 性脳出血,脳梗塞,くも膜下出血を主因とする が,出血群はもとより脳梗塞においても脳内動 脈の血漿性動脈壊死に基づく出血を伴うことを 明らかにした。  とくに高血圧性脳出血の脳内小動脈瘤は,皮 殻,視床,尾状核,皮質灰白質深層に好発す る。血管造影法と組織透徹法を併用した連続切 片法によって,その発生部位を精査することが できた。その結果,小動脈瘤は分岐部や弯曲部 の直径 400 µ 前後の部に好発することが明らか となった。  これらのことが,山梨医科大学へ着任時の研 究主題であり,須田助教授,茂垣院生などをは じめ,多くの方々の協力でなし得たことに感謝 の辞を捧げたい。  最後に,山梨大学医学部の今後のご発展を祈 ります。 山梨医科学誌 31(2),29,2016

山梨大学医学部の創設期のころ

吉 田 洋 二

元医学会長(前山梨大学学長)

記念寄稿

参照

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