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コロナ禍における授業形態の影響について : 保育内容(表現)の自然物を用いたリモート演習に着目して

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Academic year: 2021

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いる。また、このような「見方・考え方」は、遊 びや生活の中で幼児理解に基づいた教員による意 図的、計画的な環境の構成の下で、教員や友達と 関わり、様々な体験をすることを通して広がった り、深まったりして、豊かで確かなものとなって いくものである。こういった「見方・考え方」を 働かせることが、幼稚園等における学びの中心と して重要なものであるとされている(2) 。  幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿のう ち「思考力の芽生え」では、身近な事象に積極的 に関わる中で、物の性質や仕組みなどを感じ取っ たり、気付いたり、考えたり、予想したり、工夫 したりするなど多様な関りを楽しむことが示され、 「自然との関わり・生命尊重」では、自然に触れて 感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取 り、好奇心や探求心をもって考え言葉などで表現 しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、 自然への愛情や畏敬の念をもつようになるとある。 Ⅰ.はじめに  2017年3月に幼稚園教育要領、保育所保育指針、 幼保連携型認定こども園教育・保育要領の3法令 の同時改訂が行われた(1) 。この改訂では、3つの 施設の共通性を明確にしたことが特徴で、幼児期 に育てたい力を明記し、実際の指導の方向性や評 価の在り方、教育課程の計画の考え方なども具体 的に記されている。  文部科学省中央教育審議会答申(2016)の幼児 教育において育みたい資質・能力と幼児期にふさ わしい評価の在り方に関して、幼児教育における 「見方・考え方」によると、「幼児がそれぞれの発 達に即しながら身近な環境に主体的に関わり、心 動かされる体験を重ね、遊びが発展し生活が広が る中で、環境とのかかわり方や意味に気付き、こ れらを取り込もうとして、諸感覚を働かせながら、 試行錯誤したり思いめぐらすことである」として 〈原著論文〉

コロナ禍における授業形態の影響について

~ 保育内容(表現)の自然物を用いたリモート演習に着目して~

Impact on the Style of Class Brought by COVID-19

~Focusing on the Exercises at home Using Natural Products

in Methods and Skills of Childcare : Expression ~

辻 ゆき子

要旨  本学は保育者養成校として、学生自身の心の豊かさや感性の育成を重要視して保育内容(表現)の授業の中で様々 な体験学習を計画・実施している。そのような折、2019年末からの新型コロナウィルス感染症拡大の波の中で対面で の様々な演習を行うことが難しくなり、今年度はリモートでの演習を実施することとなった。そこで、例年は対面で 実施していた演習をリモートで行うことで、学生の気付きや学びにどのような影響があるのかを検証することとした。 結果的には、課題の内容を全く同様にはできずに結果に違いは見られ、ポイントを絞った細やかな観察は難しかった 部分はあったが、2020年度は各自が好きな時間に自身の身近な場所で実施したことで、時間的にも余裕があり、自身 の生活圏の自然により関心をもつことができ、課題以外の事柄にも幅広く目を向け、これまでとは違った気付きや考 察が多く見られる結果となった。 キーワード:新型コロナウィルス,保育者養成,感性と表現,保育内容(表現),体験学習 Covid-19, Childcare Worker Training, The feeling and expression

Methods and Skills of Childcare : Expression, Active Learning

1 Yukiko TSUJI 千里金蘭大学 生活科学部 児童教育学科 受理日:2020年9月4日 査読付

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1.保育者養成校のカリキュラムと   学生自身の感性の育成  保育者養成校としては、幼児の感性を豊かに養 うためにどのような保育内容が有効かを吟味し、 そのための環境構成を研究し、合わせて保育者と しての保育技術を高めるよう努力することが重要 なことは言うまでもない。各保育者養成校におい ても、保育内容(表現)においてはそのような授 業カリキュラムで、造形表現・音楽表現・身体表現・ 視聴覚教材を使用した表現、また総合的な分野で 表現力を高める実践的な授業や演習がなされてい る。本学でも同様のことがいえる。またそういっ た音楽関連、造形関連、身体表現関連等のある専 門分野にある程度焦点を当てて、指導内容・指導 方法等について論じられている論文は非常に多い。  劉麟玉(2018)らの研究によると、表現と感性 との関係を捉えると、表現領域の指導においては、 歌ったり、楽器を演奏したり、描いたりするため の技術よりも、どのような経験を与え、どのよう に思考させるかといった、「表現したいもの」の源 泉となるイメージをいかに豊かにもたせるかが重 要になると述べている(4)  藤井(2019)は、保育内容(表現)では、子ども たちの多様な表現を受け止め育てるためには、学生 自身の表現力を深めていくことが重要だとし、学生 たちにまず学んでほしいのは、表現の技法のみでは なく、表現を引き出し、尊重し、共感し、その楽し さを共有できる心と体であるとしている(5)  実際に保育者・教育者を目指して本学に入学し てくる学生を見ていると、内容・技術の学習・習 得以前に、まず学生自身がもっと様々な事象に心 を寄せ、気付き、感動し、豊かな感性をもってい る必要性を感じる。本学の学生も残念ながら季節 ごとに咲く草花に目を留める学生はあまりなく、 例えば本学の正門を入ったところの否が応でも目 に飛び込んでくる大きなハナミズキが、5月に美 しいピンクの花をつけて満開に咲き誇っていると きでさえ、木(花)の名前を知らないだけではなく、 満開に花が咲いていることにも気づかず毎日その 横を通って学舎に入っている学生が多いことに驚 かされる。ハナミズキについては授業の中で毎年 5月の大型連休前に話題にするのだが、木がその 場所にあること、花が咲いていることに気付いて いる学生は2割程度に過ぎない。朝顔と紫陽花の 名前と花が合致しない学生さえいる。  造形活動に焦点を当てている山城(2018)の研 領域でいうと環境として捉えがちであるが、5領 域はそれぞれを絡めて幼児教育を考えていく必要 がある。  今回の改訂では保育内容(表現)においては、 内容の(1)として「生活の中で様々な音・形・ 色・手触り・動きなどに気付いたり、感じたりす るなどして楽しむ」という項目が新たに加わった。 内容の取り扱いとしては、「豊かな感性は、身近な 環境と十分に関わる中で美しいもの、優れたもの、 心を動かす出来事などに出会い、そこから得た感 動を他の幼児や保育者と共有し、様々に表現する ことなどを通して養われるようにすること。その 際、風の音や雨の音、身近にある草や花の形など 自然の中にある音、形、色などに気付くようにす ること」とある。身近な環境にどのように向き合い、 それをどう表現に結び付けていくかは、まず周り に存在するあらゆる事象にしっかりと目を向け耳 を傾けることが大切だということである。  3法令の解説書においては、「幼児は、生活の中 で様々なものから刺激を受け、敏感に反応し、諸 感覚を働かせてそのものを素朴に受け止め、気付 いて楽しんだり、その中にある面白さや不思議さ などを感じて楽しんだりする。そしてこのような 体験を繰り返す中で、気付いたり感じたりする感 覚が磨かれ、豊かな感性が養われていく」とある。 また「豊かな感性を養うためには、何よりも幼児 を取り巻く環境を重視し、様々な刺激を与えなが ら、幼児の興味や関心を引き出すような魅力ある 豊かな環境を整えていくことが大切である。その 際、保育者は、幼児が周囲の環境に対して何かに 気付いたり感じたりして、その気持ちを表現しよ うとする姿を温かく見守り、共感し、心ゆくまで 対象と関わることを楽しめるようにすることが、 豊かな感性を養う上で重要である。」と解説してい る(3)  幼児は、風の音や雨の音、身近にある草や花の 形や色など、自然の中にある音、形、色などに気 付き、それにじっと聞き入ったり、しばらく眺め たりすることがある。その時幼児はその対象に心 を動かされていたり、様々にイメージを広げたり していることが多く、そのことに保育者が気付く か気付かないかで、幼児に与える影響は大きく違っ てくる。

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(3 )季節により自然や人間の生活に変化のあるこ とに気付く。 (4 )自然などの身近な事象に関心をもち、取り入 れて遊ぶ。  保育内容の5つの領域は、それぞれが全く独立 したものではなく、子どもの成長を見る際の視点 であることは言うまでもない。「環境」のねらいや 内容も「表現」のねらいや内容と被る部分は多い。  前田(2020)は、環境としての自然に視点をお いているが、しゃぼん玉の活動において「しゃぼ ん玉が飛んでいくのは風があるからであり、それ らは見えない『風』を可視化して保育に取り入れ れていると言える。それを保育士が意識して取り 組むのと無意識では取り組むのでは、保育のねら いが全く変わり、子どもに対する言葉かけなどの 働きかけが変わり、結果として子どもの気付きや 好奇心・探求心にも大きく影響を与える」として、 保育士自身の五感での気付き・感性が重要だと述 べている(8)  2017年度の3法令の改訂で、表現においては五 感で様々な事象を感じることが重視された。もち ろんそれは幼児のことである。新任の保育者が就 職して保育現場に入った後に子どもの言動から 様々なことを学ぶことは実際少なくない。子ども の素朴な気付きや感動に触れて改めて気づかされ ることもあるだろう。しかし、子どもに寄り添う 保育者自身が豊かな感性をもち、子どもの発見や 思いに同じタイミングで同じように気付き、共感 し受け止めることが重要であると常々考えている。 むろん幼児に対して保育者自身の気付きや思いを 押し付けることは必要ないし、してはいけないこ とだと考えるが、全く気付かず、心が動かずでは、 本当の意味で子どもの表現を受け止め共有するこ とは難しい。 2.‌‌本学の保育内容(表現)のおける演習のねらい・ 内容・方法  3法令の改訂の以前より、筆者自身が長年保育 の現場で実際に子どもたちと関わり、また多くの 素晴らしい先輩保育者の関わり方を身近に学ぶ中 で、保育者自身の感性(心の柔軟さ・物事への興 味関心)の重要性を強く感じてきた。本学で領域  保育内容(表現)を担当する際にも、まず学生に は子どもの目線に立ち戻って、心を解して多くの 事柄を直に感じ取ってほしいと願い、様々な実践 的な演習を組み入れてきた。それらの演習で、ど 究でも、落ち葉を用いた活動事例の中で、「季節の 移ろいと共に校庭の樹木や草木は様々に色を変化 させる。学生たちは視覚的に季節の移ろいをキャッ チするが、積極的に落ち葉拾いをしている姿を見 かけることはない。」として、身近な環境で落ち葉 を採取し季節の移ろいを感じながら、集めた落ち 葉をグラデーションに色分類する活動を行ってい る。その落ち葉を使った活動が、色の変化だけで なく、秋の空気を感じ、空の色、落ち葉が舞い散 る風の音など、視覚だけでなく、聴覚や嗅覚など 五感全部に働きかけて自然を感じさせることをね らって活動を行っているとしている(6)。本稿の演 習とよく似た内容になっている。  また、保育内容(表現)の中でも音の視点に立っ た南谷(2020)の研究では、保育内容(表現)の 内容(1)に着目して、「幼児教育・保育においては、 様々な感覚面を育む必要があるということがわか る。それは五感であり音楽的な側面からいうと音 楽的な感覚(音感・テンポ感・リズム感)である と捉えることができる。」としている。保育者養成 と観点からは、「学生が新聞紙という素材とかかわ り、音に着目し、手指を動かして遊びを探しながら、 新聞紙に対する固定概念からの解放を味わう経験 は、保育者を志す学生にとって、一つの素材への 奥深さに気付き、新たな音への視座を提供できる のではないかと考える」とし、学生自身が感性を 研ぎ澄まして身近な事象への興味・関心をもつ姿 勢が重要だとしている(7)  今回の演習は自然に関するものであり、自然と いうとどうしても「環境」の領域と連想されがち である。ちなみに保育内容(環境)のねらいは以 下の3つである。 (1 )身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々 な事象に興味や関心をもつ。 (2 )身近な環境に自分から関わり、発見を楽しん だり、考えたり、それを生活に取り入れようと する。 (3 )身近な環境を見たり、考えたり,扱ったりす る中で、物の性質や数量、文字などに対する感 覚を豊かにする。  12項目ある内容のうち、はじめの4つは以下の 通りである。 (1 )自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、 不思議さなどに気付く。 (2 )生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕 組みに興味や関心をもつ。

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 この演習が生物学的な植物の観察に留まること なく、この活動を経験することで、身の周りにあ るあらゆる事物・事象に対して「好奇心」と「関 わろう」という意識をもつひとつのきっかけとなっ てくれることを切に願って毎年実施している。 3.‌‌2020年度の新型コロナウィルス感染症(以下、 COVID-19と表記)による大学教育への影響  例年上記のようなねらいをもって「葉っぱの探 索」を実施してきたのだが、今年度は2019年末か らのCOVID-19の感染拡大の影響で2020年度の授業 がままならず、2020年4月7日に緊急事態宣言が 大阪府他7都県に出されたため、本学でも前期授 業が始まってすぐに対面授業は中止され、WEBで のリモート授業に移行した。もちろん計画してい た様々な演習も例年通りにはできなくなった。  しかし、体験的な演習は絶対に必要であること から、何とか形態や方法を変えて可能な限り実施 できる方法を模索した。感染が収束して対面授業 になる可能性にも期待して授業計画の再構築を 行った。  例年この演習は、新緑が美しい5月下旬に行っ ているので、WEB授業の課題として、各自で同様 の演習を行い、その結果を写真とレポートで提出 するようにした。緊急事態宣言が発令され外出の 自粛が求められている時期ではあったが、近所の 散歩や軽い運動などは構わないという政府の方針 も出ていたので、感染対策を各自で取ってもらっ て実施するようにした。 4.リモート演習実施にあたっての懸念  例年と同様にこの課題をするにしても、方法は 変更を余儀なくされた。  まず、各学生に準備していた緑色系統の色見本 もそれぞれの学生に配布することが難しくなり、 以下の方法に変更して行うこととした。 ★2020年度の「葉っぱの探索」の方法 ① 形の異なる葉を10種類以上集め、白い紙に並べ て写真に写し、提出フォルダにて提出する。そ の際、名前がわかるようなら葉の横に記載する ② 緑の色に着目して異なる10種類以上の葉を集め、 濃い順番に並べて写真を撮り提出する。(①の葉 を色の違いで並べても可) ③ ①②の演習をして、感じた事や発見したことレ ポートにまとめて提出する。  昨年度までのこの演習のねらいは、(1)(2) のような教育効果が見込めるかについては、筆者 自身が2018年の論文で述べているところである(9) 様々な演習体験から乳幼児の「表現」についての 視点を増やし、直接体験として感じ取ってほしい と考え、本学のここ数年の演習には、「手や身体全 体での身体表現」「新聞紙を使った制作活動」「五 感を使った描画活動」「イメージを音で表現する作 曲活動」「詩の世界観を感じての朗読」そして最も 学生の素朴な感性という部分にスポットを当てた 「葉っぱの探索活動」がある。  「葉っぱの探索」という演習は、大きくは3つの 課題がある。 ① 学生各自はあてがわれた3種類の色見本のよう な紙片をもって大学近くの公園に出向き、その 3色の緑とできるだけ近い色の葉を探す。  ② ①のよく似た緑色を探す傍ら、形の異なる葉を 5種類見つける。 ③ ①②で見つけて用紙に貼った葉を触って、その 感触を言葉で表現する。(すべすべ・つるつる…)  この演習でのねらいは、以下の3点である。 (1 )いつも素通りしてしまうような草むらの自然 にも目を留め、自分から積極的に関わる。 (2 )本当の意味で「見る」「触る」ことを実践し、様々 な色や形の違いに気付く。 (3 )自分の感じたイメージを言葉で表現し、その イメージや表現について他の学生と共有したり 話し合ったりして表現の幅を広げる。  筆者の2018年の研究では、この演習を通しての 学生のコメントは主に以下のようなものだった。 ・ 子どもの目線になって何かを夢中で探す経験は 大学生の今となってはなかなかない貴重な経験 だった。 ・ 子どもが同様にこの活動をするとなると、好き な形も様々で個性が見られるのではないかと思 えた。 ・ 自然と接して、自然物の様々な違いに接するこ との大切さに気付いた。  初めこそ草むらの中に入ることに抵抗があった り、小さな虫の出現にも驚きの声をあげたりして いるが、そのうちに夢中になって姿勢を低くして、 お目当ての色の葉を懸命に探す姿が見られるよう になった。少しの色の違いにも妥協せず葉を陽に 透かしたり裏返して見たり、いろいろな行動を見 せていた。周りの環境に積極的に自ら関わること ができる演習であった。

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於いてリモートで行った際のレポートの内容を比 較・分析して、その学び・気づきの違いを明らか にする。 1.調査対象  千里金蘭大学の児童教育学科の以下のグループ を対象とした。 *昨年度2019年度に保育内容(表現)を履修した 当時3年生(現在4年生) 31名 *今年度2020年度に保育内容(表現)を履修した 現在3年生   52名 2.調査時期  2020年7月 3.調査方法  演習実施後に演習での気付き・学びのレポート の提出を求めた。2019年度の学生には今年度7月 に研究の趣旨を伝え、保管してあったレポートの 写しを使用する許可を得た。2020年度の学生には、 各自の演習の実施場所や誰と一緒に行ったかにつ いてのアンケート調査も併せて行った。 4.分析方法  気付き・学びの自由記述に関しては、記述の内 容でグルーピングし、同様の意味・内容のものを 集めてその数をカウントした。そして全体的な傾 向や比較が容易なように統計的に処理した。 5.倫理的配慮  調査を行う前に、研究の趣旨と目的、調査方法 について書面、および口頭で説明し、個人の記述 については無記名での投稿となり、全体的な考察 では統計的に処理されるのでプライバシーは守ら れること、調査は研究のためのもので成績評価に は無関係であることを伝えた。 Ⅳ.結果および考察  2019年度と2020年度の演習では、課題の内容に 以下の違いがあった。 については昨年までの演習と同様で、(3)の触角 に関してはその場で共有することも難しく今年度 は断念した。  また、リモートでの演習ということで、教員が この演習のねらいや留意点について直接にその場 で声をかけることができないので、以下の事案が 懸念材料だった。 ・ 形の異なる葉をとにかく10種類集め、写真に収 めてWEB課題に添付するという単なる作業に なってしまうのではないか ・ 今年度はリモートということで「色」と「形」 に限定したため、その他の事項に心を寄せる学 生は少ないのではないか ・ 細やかな色や形の違い等に着目する学生は少な いのではないか ・ 植物にも命があるということをいう意識をあま りもてず、無造作に必要以上に採取してしまう のではないか 5.リモート演習実施に際して留意した点  上記のような懸念があったため、この課題を WEB上に提示する際にいくつかの留意点を挙げて おいた。 ・ 事前のWEB授業で学んだ「五感」を意識した演 習を行うこと ・学生自身がしっかりと見たり感じたりすること ・ 植物にも命があるので、むやみに草の葉をちぎっ たりせず、よく見て必要な分だけ採取すること ・ 色の違いや形の多様さから、今回は新緑の草の 葉に限定して実施すること Ⅱ.研究の目的  本学の保育内容(表現)において例年学生の感 受性の育成を目的として実施している演習の中か ら、自然物に関わる演習に着目し、COVID-19 拡 大の状況下において学生各自が家庭で実施(リモー ト)した場合、昨年までと今年度とでは学生の学 びにどのような違いがあるかを検討し、次年度か らの演習の在り方を探ることを目的とする。 Ⅲ.方法  自然物(草の葉)を用いた演習について、昨年 度学内で教員・学生で一緒に行った際の学生のレ ポートと、今年度の学生各自がそれぞれの場所に

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1.視覚(色)に関する事項          色に着目した学生のレポートの内容を分析し、 同様の内容を抽出してカウントした。その結果が 以下の表4に示す通りである。  2019年度−31名 2020年度−52名 表4 色(視覚)に関する主な内容   気付き・考察の内容 2019年度 2020年度 見本と同じ色を見つけるの は難しい 12(39) なし 緑の中にもたくさんの種類 がある 8(26) 37(71) 葉の表裏で色が異なる 7(23) なし 太陽の当たり方で色が 異なる 6(19) 2(4) 同じ個体でも、生育して いる地表からの高さで色が 違う 4(13) 2(4) 複数回答( )内は%  但し、小数点以下一桁は四捨五入  2019年度と2020年度では実施方法(対面授業と リモート授業)に違いがあるため、課題の内容に も違いが生じ、必然的に結果にも差が出ることは なったのは当然である。2019年度は指定された色 があったため、それに最も似た色を探すことに懸 命になり、最終的に「見つかった」「見つからなかっ た」「同じ色を探すことは難しい」−という課題達 成に対する評価をまず挙げている学生が多かった。 しかし、僅かな色の違いに着目して葉を観察して いた2019年度の学生は、2020年度と比べて太陽光 の影響や葉の表裏の色の違い、また葉が生育して いる地表からの高さの違いによっても色の違いが あることに気付いた者が多かったことが分かった。 視点を絞ることでより観察する目が鋭くなったと 思われる。2020年度に関していえば、限定的な色 に縛られることはなく、形に着目して採取した10 種類の葉を今度は色に着目して濃い順番に並べる という課題だったので、緑と一言で言っても多様 な色合いが存在することを大きく捉えた学生が多 かったことが分かった。  以下の写真は各年度に提出された主なものであ る。 表1 2019年度と2020年度の違い 2019年度 2020年度 場所 大学に隣接する自然公園 自由 時間 活動自体は90分中40分程度 自由 人(誰と) 学生担当教員 自由(一人、家族、友達と) 課題①− 視覚(色) 各学生に提示 された3つの緑色 とよく似た色の 葉を探す 色の異なる10種類 以上の葉を採取し、 濃い順番から 並べる 課題②− 視覚(形) 形の異なる5種類 以上の葉を採取 する 形の異なる10種類 以上の葉を採取 する 課題③− 触角 (手触り) 採取した全ての 葉を触ってみて、 触った感じを 言葉で表現する ※課題としては  なし ※ 2020年度のレポート提出者は52名であるが、実施し た場所・誰と行ったかのアンケートに回答したのは 44名だった。表2・3はその結果を示している。 表2 2020年度 実施場所/44名中 採取場所 人数 割合% 近くの公演 17 38.6 家の近く 10 22.7 庭 8 18.1 祖父母の家 4 9 大きな公園 3 7 散歩の道周辺 2 4.5 表3 2020年度 誰と実施したか/44名中 誰と 人数 割合% 一人で 21 47.7 母と 7 15.9 父と 2 4.5 姉と 3 6.8 妹と 5 11.3 父母と 1 2.2 祖父母と 2 4.5 友だちと 3 6.8 ※父母姉妹の合計 15(34%) 

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◇ 葉っぱの色は緑だと大まかに決めがちだが、緑 は緑でも葉っぱはそれぞれで、濃い順から並べ てみると奇麗なグラデーションになった。 2.形(視覚)に関する事項  葉の形に着目した主な内容が以下の表5に示す 通りである。 表5 形に関するレポートの主な内容 2019年度 2020年度 葉にはいろいろな形のもの がある 11(35) 36(69) 同じ種類でも形や大きさに 差がある 9(29) なし 葉脈の入り方にも違いが ある 2(6) 8(15) 葉の周囲の切れ込みにも 違いがある 2(6) 7(13) 日当たりの良い場所の葉は 大きい 2(6) なし 虫食いによる穴が結構 開いている なし 6(12) 葉はこんな形だと決めつけ ていた なし 6(12) ちぎった時の様子に着目 なし 6(12)  形に関しては、2019年度は色探しに重きを置き ながら並行して形の違う葉を探すという課題だっ たために、色ほど細やかに葉を観察していないこ とが2020年度の気付きと大差がないことからうか がえた。しかし2020年度は、2019年度と比べ5種 類の倍の10種類の葉を探す課題を課したことで、 より形の多様さに気付いたり、これまで「葉とい うのはこういう形だ」と決めつけていた自分自身 に気付いたというコメントが多かった。また時間 的にも余裕があったせいか、採取する際に構造的 な特徴に目を向けている学生が多かったこともう かがえた。さらに葉の色や形の多様性から人の多 様性にも心を馳せている学生が数人いて、それぞ れの違いを尊重できる教育・保育につなげてほし いと切に願う。 ☆実際のレポートより(主なものを抜粋) <2019年度> ◇ 提示された色と同じ色を探すという課題を設定 することで、葉っぱの細かいところにも神経が いき、ただ葉っぱを見るということよりさらに 集中して取り組めた。 ◇ 太陽の光が葉っぱに透けて、色が変わっている ことにも気付いた。 ◇ 地面に這っているような葉は深緑色が多く、よ く伸びている葉はわりと薄い傾向があり、太陽 の光の当たり方に関係しているのかと考える。 ◇ いつもぼんやりと緑色だと思っていても、明る さや濃さ等全く異なることに気付いた。 ◇ 葉を摘んで暫く時間がたつと色が濃くなり、思っ ていた色から変化した。 <2020年度> ◇ 並べてみようとすると微妙に違う色合いの緑が たくさんあった。 ◇緑色の葉以外にも赤や茶色の葉もあった。 写真1 2019年度の同じ色合いを探す課題 写真2 2020年度の色に着目した課題① 写真3 2020年度の色に着目した課題② 写真4 2019年度の形に着目した課題

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ている葉っぱにも違いがあることが分かった。 ◇ こういった自然と関わる経験を通して、葉っぱ と一括りにされているものでも、じっくり見て みるとその種類は様々でそれぞれに違った特徴 をもっていることが分かるだろう。そういった 気付きは、子どもの知識となり、人生が豊かに なるのではないかと思う。 3.触角(手触り)に関する事項  葉の触り心地についてのレポートの主な内容は 表6のとおりである。 表6 触り心地に関するレポートの内容 2019年度 2020年度 触る前の印象と実際では 異なるものが結構多い 12(39) なし 葉は予想以上に固い 2(6) なし 手触りは様々だ 2(6) 24(46) 裏表で手触りが異なる なし 3(6)  触覚に関してはそもそも課題の内容が異なり、 2019年度は色や形に着目して採取してきた全て葉 を触ってみて、その印象を自身の言葉で表現する という課題を課していた。従って学生は「触る」 という行動が必須だったのである。結果としては、 「すべすべ」「つるつる」「絨毯のような」「ふわっ ふわ」「ザワザワ」等様々な表現で自分の触った印 象を文字で表現しようと苦労していた。自分の採 取してきた葉を友達が触ってその学生の表現に共 感したり、自分なら○○といった違う表現をする −というようなディスカッションも行った。形や 色・採取した際の固さなどの印象から各自が触る 前に自然と「こんな感じなのでは」というイメー ジをもっていたことがレポートの内容から分かっ た。だからこそレポートの「触る前の印象と実際 の手触りが異なるものが結構多い」とコメントが 多くなったのだと考えられる。加えて詳細な内容 では「実際に触ってみて初めて分かることがある」 というものも多く、実体験が重要と感じる学生も 多かった。また、その感触を言葉で表現するとい う課題であったため、うまく自分の印象を言葉で 表現するのに迷ったり、他の人の表現を知り、表 現の幅が広がったという考察もあった。  それに対して2020年度は色と形については指示 していたが、「触る」という触覚に関する内容に ついては全くアナウンスしていなかった。今回の リモート演習では淡々と課題を消化する学生が多 ☆実際のレポートより <2019年度> ◇ 葉のふちがギザギザしたものが多い。ギザギザ の間隔にも違いがある。 ◇ 同じ種類の植物の葉でも一つひとつに違いがあ る。 ◇ 日当たりの良い場所の植物は大きく高く育って いた。 <2020年度> ◇ この課題を出されたときは10種類もの葉っぱが あるとは思っておらず、実際探しに行くと近場 だけでも様々な種類の葉っぱがあることに驚い た。 ◇ ちぎる際に破れそうな葉や柔らかくてすんなり ちぎれる葉があった。 ◇ 人間にも一人ひとり違ったところがあるように 葉っぱにも様々な違いがあることが分かった。   また、遺伝子が同じ親子でも似ているところも あれば一人ひとり違うように、同じ草や木になっ 写真5 2020年度の形に着目した課題① 写真6 2020年度の形に着目した課題②

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け着目して演習を行ったが、視覚・触覚の他にも 聴覚・嗅覚に関するコメントもみられた。 <聴覚> 2名(4%) <嗅覚> 8名(15%) ☆実際のレポートより <2020年度> ◇ 風が吹くと葉っぱと葉っぱが擦れてカサカサと 音がしたりして、葉っぱを集めている中で聴覚 を使う場面が多くあった。 ◇ 葉っぱには、青臭い匂いがする葉っぱやしない 葉っぱ、ミントのようなすっきりとした匂いが するものもあった。 ◇ ドクダミやゼラニウム、ラベンダーなどは触っ てみると匂いをよく感じた。普段近くを歩いて いてもあまり匂いを感じたりしなかったので不 思議だと思った。 5.葉の観察自体に関する事項  普段の生活の中で、色や形に限らず草の葉をこ れほど真剣に観察することは、大学生にとっては なかなかないことだろう。実際にまじまじと観察 し、手に取る行為の中で初めて気付き感じること がたくさんある。幼児教育で大切にされているの はそういった実体験である。この演習を通して、 今まで葉の色や形の違いについて意識すること自 体なかったとするコメントは2020年度の方が少し 多い傾向があった。これは、自分のペースで時間 的にも心理的にもゆったりと演習を行ったことに より気付いたことなのではないかと思われる。 表7 葉の観察自体に関する内容 2019年度 2020年度 今まで葉の色・形を意識す ることはほとんどなかった 3(10) 13(25) 6.‌‌自身の幼児期の記憶と表現活動への展開に関 する事項  2020年度は身近な場所や時間的に制約のない条 件での演習で、その中で自分の幼少期の自然に関 わった遊びの記憶が蘇ったという記述も結構あっ た。さらに自分が保育職に就いた際にこの自然を どのように表現活動に活かすことができるかとい う思いに及んだ学生が多数いたことも分かった。 2019年度の学生にはなかった結果である。 <幼少期の遊びを思い出した> 11名(21%)  葉っぱを皿に見立ててのままごと遊び いと考えていたので、触角についてのコメントは あまりないと予想していた。しかし予想外に採取 の際に触ってみて、葉の固さや柔らかさであった り、表面の毛の生えている様子などに着目し「ベ トベト」「フワフワ」「キシキシ」などと言葉で表 現してくる学生も多い結果となった。演習を自分 一人ではなく家人などの誰かと一緒に行った学生 は、興味深い触覚に出会った際にはその人と触り 心地を共感できたようであった。 ☆実際のレポートより <2019年度> ◇ 同じような色・形の葉であっても手触りが全く 異なり、触覚を研ぎ澄ませて葉の感触を感じ取 るのがとても楽しかった。 ◇ 葉の分厚さや湿り具合までそれぞれ違っていて、 触るのが楽しく感じた。 ◇ 触れる前の想像と違っていて、実際に触るまで わからないことが多いと感じた。 ◇ 触った感じを表現するぴったりの言葉が思い浮 かばないことが多かった。 ◇ 人それぞれ言葉での表現が違うので、周りの人 がどのように手触りを表現したかが気になった。 <2020年度> ◇ 葉っぱの表面や周りがツルツルしていたりトゲ トゲしていたりザラザラしていたりするなど、 手で触ることでいろいろな感触があることを感 じることができ、触覚が刺激された。 ◇ もともと葉っぱの手触りのイメージは大体柔ら かくツルツルした手触りだと思っていたが、触っ た瞬間表面が柔らかくてふわっとした肌触りの 葉っぱや、たまにチクッとするような葉っぱが あることを発見できた。 ◇ まず初めに葉っぱを採取した際に感じたことは、 葉っぱとはこのような感触だったかということ。 何も考えずに取ったために驚いた。あとに採取 した葉も初めのものとはまた違う触感であり、 見るだけではなく触り心地でも楽しめた。 ◇ 母と葉を集め、触り心地など話し合いながら楽 しく取り組みことができ、子どもに戻った気分 がした。 4.聴覚・嗅覚に関する事項  2019年度は授業の中であり時間的な制約もあり、 また課題が限定されていたせいか聴覚や嗅覚に関 しての考察は一つもなかった。  それに対して2020年度は、10種類の色と形にだ

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◇ 虫が多くついている植物、ついていないもの、 少し引っ張るとすぐに取れる葉、なかなか取れ ない葉など、それぞれの違いや虫との関係も見 れて、植物に触れることで植物以外の自然も感 じることができると学んだ。 ◇ 今回家の近くで葉っぱを探したが、公園にある と思って行ったら雑草などがきれいに抜かれて いたり、小学生の時に見ていた木などもマンショ ンや家が建っていて緑が減っていると感じた。 8.保育職を目指す自分自身の気付き  本授業を履修している学生は、将来保育者を目 指している学生である。履修学年は3年生なので あと1年半もすれば保育の現場で子どもたちと 日々過ごすことになる。子どもたちの表現を支え る役割を担う保育者としては自らが自分を取り巻 く様々な環境に敏感になり、子どもと同じ目線で 受け止めることが必要だ。保育の現場では、子ど もたちは自然に触れてその中で様々なことに気付 き、感じ、学ぶことが求められる。今回学生にとっ ては、自分の生活圏の身近なところにも意外に豊 かな自然があることに気付くだけではなく、そう いったことに普段の大学生としての生活の中では 目や心を留めなくなっている自分自身に気付くこ とができたようだ。この気付きは将来保育者とな るものとしては非常に重要と考える。これも2020 年度のみの内容である。 ☆実際のレポートより <2020年度> ◇ 見つけた葉の名前を全然知らないことに気付い た。この年になって公園で葉を探すことがなかっ たので、子どもの視点になって考える大切さや、 自分が気付くことができていなかった発見を改 めて知ることができてとても良い機会になった。 ◇ 子どもと大人では目線の高さが違うので、子ど もの頃の低い目線で見ていた当たり前の景色が 今は当たり前ではなくなっていることが当たり 前になっていた。 ◇ もう子どもではないので身の回りのことを意識 しながら歩くことはあまりないが、意識しなが ら歩き童心に帰ることで、私たちの身近な植物 はたくさんの種類と数で存在していることに気 付いた。 ◇ 今回の課題で昔みたいに楽しく夢中になって 葉っぱを集めて楽しんでいた気持ちがなくなっ   大きな葉を持ち帰り人形のベッドに、花や葉っ ぱを集めてお店屋さんごっこ、シロツメクサや タンポポで花冠作り、葉を擦りつぶして水と混 ぜる、深緑の色をした葉をちぎるとキュウリの 匂いがした 等 <自身の学びと保育現場での展開について>   16名(31%) ☆実際のレポートより ◇ 子どもの頃は葉っぱでままごとをした時の、「こ の葉っぱは緑がたくさん出るよ」とか言ってい た自分を思い出し、子どもはこういう感覚を研 ぎ澄まして遊んでいるのだと感じた。  ◇ 葉だけでなくどんぐりや松ぼっくりなどの木の 実も種類が豊富なので、同じように異なる種類 を集めて観察するのも楽しいし、秋になると色 の変わった葉を見つけることもできるだろう。 ◇ 名前を調べてみたが同じような葉っぱなど携帯 だけでは判断できなかったので、図鑑などで子 どもたちと一緒に調べたりすると楽しいだろう と思う。  7.環境としての自然に関する事項    例年授業として行う場合には、本学と隣接する 吹田市の北公園の一部の草木が多く生育している 場所で行い、2020年度は各自の好きな場所で行っ た。「毎日通学している大学の近くの場所にもこれ ほど多くの植物があることに驚いた」と環境に関 して感想をあげている2019年度の学生が一人だけ だったのに対して、同様に「自分の生活している 身近な場所にこのようにたくさんの植物や自然が あること」を改めて感じていた2020年度の学生は 19名(37%)もいた。また、幼少のころから知っ ている場所での演習ということで、自分の子ども の頃と比較して自然が減少していることに気付い たという考察もあった。 ☆実際のレポートより <2020年度> ◇ いつも通っている道なのに知らない葉っぱやい ろいろな形の葉っぱがたくさんあり、気づいて いないだけで毎日たくさんの自然が身近にある のだと感じた。 ◇ 普段生活していて、葉を目にしても種類に着目 したことがなかった。しかし今回の演習で自分 の家の周りだけでもたくさんの種類の植物が生 えていることに気付くことができた。

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<形> ・ 2019年度の5種類程度ならそれほど苦労しなく ても手近なところで採取できるが10種類となる とそうはいかず、「そんなにたくさんの種類があ るのだろうか」という疑問をまずは抱き、実際 に探す中で多様な形に出会い、より形の多様さ や不思議さに心を動かす機会になった。 <手触り> ・ 2019年度は全員に触覚に関する課題を課し、自 分の感じた触覚の印象を工夫して言葉で表現し、 他の学生とも共感したりする学びがあったが、 2020年度はそういう共感等の学びをねらうこと はできなかった。しかし2020年度は触覚に関す る課題がなく正直なところ期待はしていなかっ たのだが、予想以上に多くの学生が採取の際に 手触りにも着目し、やはり言葉で表現しようと する姿が見られた。 <課された視点以外への着目> ・ 今年度は特定の色の指定などがなく、特に色に 関してはあまり細かい部分に着目する学生は少 なかったが、その代わりに全体的に五感(聴覚 や嗅覚)を通して感じたり、身近な環境に目を 向けたり、自然物を利用した表現活動への保育 展開、さらに将来保育者となる自分を見つめ直 す学生が多くみられた。 <身近な環境への関心> ・ 2020年度は自分の家の近くでの活動だったので、 特に毎日暮らす生活圏の環境や自然に目を向け るきっかけになった。学生のレポートにもあっ たように、「こんなところにはないだろう」と何 気なくベンチの下や遊具の土台の周りを観察す ると意外にも多くの種類の草花が生育している ことを発見し、より身近な環境の中にも自然が 共存していることに気付く良い機会となったよ うだ。 <時間的な余裕> ・ 2020年度はこれまでとは異なり時間的な制限が なく、ゆったりと自分のペースで取り組め、様々 な事象に興味や関心を寄せることができたのは ないかと考えられる。 <解放感> ・ 外出自粛期間ということで、久々に外の空気を 吸う学生も少なくなく、気分的に開放的になり 戸外での活動自体を楽しみながら今回の演習を 行っていたように思われる。 ていたことにショックを受けた。子どもの頃の 気持ちを忘れないように、自転車で何も考えず に移動するばかりではなく時には歩いて周りを 観察してみることも大切だと思った。 9.誰かと共に演習を行うことで  2020年度はこのような外出自粛期間であったこ とから家人と一緒にする者も多くいて(34%)、幼 い頃に一緒に自然に関わり触れたり取って遊んだ 記憶が蘇りやすかったようだ。ただ、例年なら学 生同士で一つの葉の感触を確かめあったり共有し たり、他の学生の自分とは異なる表現に触れたり 話し合うことができたが、2020年度はそういうこ とまではねらえなかった。 ☆実際のレポートより ◇ 母と一緒に葉っぱを探した。私はあまり花や葉 の種類を知らなかったが母はとてもよく知って いた。私も子どもから「これ、何の葉っぱ?」 と聞かれたときにすぐに答えられるようになり たいと感じた。 Ⅴ.まとめ  1.例年と今年度との違い  提示した課題の内容が全く同様ではなく、場所 や方法も異なるので、学生の気付きや学びが違っ てくるのは当然であるが、まとめると以下のよう なことがわかった。 <指示徹底の難しさ> ・ 2020年度はできるだけ新緑の草の葉で演習をし ようと予めWEB上で指示していたが、むやみに 植物を採取して欲しくはないという観点から事 前に行った「植物にも命があるので」という注 意喚起の文面を中途半端に理解し、勘違いして 落ち葉や樹木の葉を対象としている学生が4名 ほどいた。その点は直接にその場で学生を指導 することができないリモート演習の難しさであ ると痛感した。 <色> ・ 2019年度は同じ色を探すという課題であったた め、細かな違いに着目する学生が多かった。そ れと比べると、2020年度はあまり細部に着目す ることは少なく、全般的な多様な色の傾向を捉 えている学生が多かった。

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期大学紀要 21 1~18 2019 (6) 図画工作科の「造形あそび」につながる題材  身近な材料や自然物を使った「造形あそび」 の事例 山成昭世 京都聖母短期大学研究紀要 47、 35−44 2018 (7) 保育内容(表現)における学生の意識変化を 促す試み 新聞紙遊びの実践を通して 南谷悠子 名古屋経営短期大学紀要 (61) 27−37 2020,03 (8) 「子どもと自然とのかかわりについての一考 察 保育所保育指針に照らし合わせて」 前田綾子 奈良学園大学人間教育3(1)27 −31、2020,01 (9) 保育内容(表現)の授業のおける演習の教育 効果に関する一考察: 辻ゆき子 千里金蘭大学紀要第15号 043− 055 2018 Ⅵ.今後の課題  来年度以降、このCOVID-19がどのように収束し ていくのか、まだ収束までにどの程度の年数がか かるのかは定かではない。リモートでの授業や演 習の実施も引き続き必要になってくるだろう。教 育活動自体の形態についても今後さらなる検討が 求められると思われる。  今回は、ある限られた演習について、昨年まで との方法・内容、そして学生のレポートからの学 びの違いを検証してきた。それぞれの実施の方法 にメリット・デメリットがあることが判明した。 しかし、本稿での今年度の演習は、緊急事態宣言 発令中の外出自粛期間での実践であり、抑圧され た日々の中で自然との触れ合いという開放的な条 件の下での結果であった。今後「With コロナ」の 状況が特別なものではなく新しい日常となった時 に、同様にリモート演習という形で行い、今回の ような結果が見られるか否かは定かではないと考 えられる。  今後は教育活動を取り巻く状況を考慮し、感染 リスクのことも鑑み、学生にとっていかに有意義 な演習の方法を実施できるかを摸索していきたい。 <参考・引用文献> (1) 幼稚園教育要領 2017年文部科学省 保育所保育指針 2017年厚生労働省 幼 保 連 携 型 認 定 こ ど も 園 教 育・ 保 育 要 領  2017年内閣府 (2) 文部科学省 中央教育審議会答申 「幼稚園、 小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校 の学習指導要領等の改善及び必要な方策につ いて」 2016年 (3) 幼稚園教育要領解説 2018文部科学省 保育所保育指針解説2018厚生労働省 幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説  内閣府、文部科学省、厚生労働省 (4) 教員養成における幼稚園5領域科目の内容構 成(5)−「表現」に関わる教育内容研究知 見に依拠して− 劉麟玉、宮下俊也、宇田秀 士、横山真貴子 次世代教員センター研究紀 要 4 259~265 2018 (5) 保育者養成校における表現指導の取り組み− 授業の実践と学生の記録の分析から表現の深 まりを目指して− 藤井美津子 滋賀文教短

参照

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