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マンション研究における民間企業データ活用の可能性とその課題

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Academic year: 2021

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 特集 不動産研究におけるデータ資源【論説】 場を介して取引されることが一般的であるため、民間企 業に豊富な情報が蓄積されている。さらに、複数企業の データを合わせることで、包括的なマンションデータを 取得できると考える。  以上より、マンション研究に有用なデータベースが、 民間企業の蓄積したデータから構築できるのではないだ ろうか?本稿では広告情報や取引履歴を利用して、正確 性の高い分譲マンションデータベース(以下、マンショ ンDB)が構築できるかを試みる。構築したマンション DBについて、公的統計と比較検討し、その正確性につ いて確かめる。本稿のマンションDBであっても、マン ションストックの真値が不明であることには注意が必要 だが、少なくとも公的統計と比較衡量し、その近似値を 与えることはできると考える。その後、マンションDB を用いたマンション分布傾向について例示し、非集計で のデータベースを構築する有用性について議論する。最 後に、マンション研究に付随するデータ資源の課題と展 望について議論したい。

2 .公的統計で想定される誤差

 マンションに関連した公的統計にはどのようなものが 存在するだろうか。関連する代表的統計は、住宅・土地 統計調査(以下、住調)、建物着工統計調査(以下、着 工統計)、そして二次的統計資料である分譲マンション ストック戸数が挙げられる。以下、各統計の特徴と想定 される集計誤差について述べる。

1 .はじめに

 マンション1は戦後の高度経済成長期において急激な 人口増加に対応する、都市の受け皿として発展してきた。 1956年に初めて民間分譲マンションが供給されて以来、 民間主導で多様なマンション開発がなされ、現在では湾 岸地域にそびえるタワーマンションから第一種低層住居 専用地域に佇む低層マンションまで、様々なレパート リーが存在する。しかしながら、一部のマンションでは 老朽化や管理不全の問題が表出しており、その統計的分 布傾向を明らかにするべきであるものの、既存マンショ ンストックを正確に示す統計資料が存在するとは言えな い。全体のストックが曖昧であるが故に、例えば築年数 で区分された立地的傾向などは不明であり、根拠に基づ く政策立案を困難にしている。  マンションストックを大まかに測定する公的統計はい くつか存在する。しかし、そのような統計は、①マン ションの定義が曖昧であること、②標本調査であり、総 数が正確でないこと、③築年数などの情報を同時期に補 足していないため、目的に応じた集計が困難であること、 が挙げられる。マンションのストック情報と分布傾向は、 今後の都市計画方針にとって重要なものであり、正確性、 ニーズ適合性を満たす必要があると考える(総務省、 2016)。  公的統計だけでは正確な情報を得られないという制約 に対して、民間企業が蓄積したデータを積極的に利用す る機運が高まっている。なかでも、分譲マンションは市

マンション研究における民間企業データ活用の可能性とその課題

Potentialities and issues of privately owned data on Condominium Studies

馬場 弘樹

東京大学空間情報科学研究センター 特任研究員

Hiroki BABA Center for Spatial Information Science, The University of Tokyo, Project researcher

This article discusses the privately owned condominium data in Japan. The data cover comprehensive condominium characteristics and help us understand the issues and mechanism of how condominium is evaluated. This article estimates the potential amount of condominium stock using the data obtained from private companies and compares the privately owned data to the public statistics. It is found that the condominium stock obtained from the private companies approximates the stock estimated from public statistics. I further consider the issues and future perspective with the emphasis on the validity of building unit based database.

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⑴住宅・土地統計調査  住調は、総務省が 5 年ごとに調査を行い、我が国にお ける住戸の実態や現住居以外の住宅、土地の保有状況、 その他の住宅等に居住している世帯に関する実態を調査 するものである(総務省、n.d.)。ここで問題となるのは、 住調が標本調査2により推定値を算出していることであ る。これは、一定の規則に基づき調査区を抽出する性質 上3、抽出率の低い調査区のマンションがカウントされ にくくなる。さらに、調査区の抽出率は自治体の人口規 模によって異なるため、推定値の信頼区間に差異が生じ る原因となる。このように全数から抽出しているため、 小地区で集計することが困難であるという特徴もある。 なお、住調は標準誤差率を公表している。これは、全数 調査した場合に得られる値を真値としたときの真値から の誤差であり、標本調査の妥当性を証明するものである。 例えば、住宅数の推定値が200,000、1,000,000でそれぞ れ5,400(2.7%)、12,100(1.2%)の標準誤差であり、住宅 数の推定値が小さい場合に誤差率が大きくなっている。 ⑵建物着工統計調査  着工統計は建築動態統計調査の一部であり、全国にお ける住宅の着工状況(戸数、床面積の合計)を構造、建 て方、利用関係、資金等に分類して把握する(国土交通 省、n.d.)。着工統計は全数調査により行われており、調 査対象の範囲は建築基準法第15条第 1 項の規定による建 築物を建築しようとする旨の届出(建築工事届)にかか る建築物である。調査事項では、住宅の構造、建築工法、 建て方、利用関係、戸数、床面積の合計などを補足して いるため、非集計データとして分析しやすいという特徴 がある。一方で、着工統計は建築工事届に基づき、建物 が実際に竣工する前の段階の数を補足するものである。 従って、着工に至らなかったものや、建築着工後に用途 変更等がなされた場合には推定誤差が生じうる。 ⑶分譲マンションストック戸数  当該資料は、国土交通省が一般公開している二次的統 計資料で、初期値は1968年の公団・公社住宅を基に推計 しており、それ以降着工統計などを基に新規供給戸数を 上乗せしている(国土交通省, 2019)。本調査は1968年の 初期ストックからマンション着工数を積み上げるという かたちを取っている。初期ストックとなる1968年以前の 分譲マンションの戸数は国土交通省把握の公団・公社住 宅戸数を基に推計しており、正確な戸数とは言い切れな い。さらに、マンション着工数のフローは主に着工統計 を参照しているため、着工統計の誤差に依存するといえ る。なお、マンションは1956年以降から民間分譲が開始 されており、そのようなマンションは推計値から除外さ れていると考えられる。  以上を踏まえ、公的統計にはどのような推計誤差が生 じうるのかについて述べる。誤差要因としては、主に① データの欠損、②調査の対象、③調査方法による誤差が 考えられる。はじめに、住調のマンション住戸の集計を みる。住調は一部調査票による結果を集計しており、例 えば分譲マンションに居住していても調査票に回答がな い場合、過小推計傾向になると考えられる。加えて、住 調は標本調査であるため標本拡大誤差も生じるが、その 誤差が過大あるいは過小となるかは不明である。続いて、 着工統計は着工前に申請された全ての建物を計上してい るため、住調よりも精度が高いと考えられる。しかし、 着工統計は工事開始前の件数であるため、例えば工事中 止となる場合や分譲用途であったものが変更になる場合 が考えられる(清水・中川、2018)。従って、当該調査 結果は過大に推計されていると考えられる。最後に、分 譲マンションストック戸数は初期ストックが1.2万戸と、 その後の積み上げ分の戸数に対して小さく、着工統計の 誤差が大きな影響を与えるといえる。従って、分譲マン ションストック戸数は過大に推計されている可能性があ る。以上より、表 1 のような要因と仮説をたてることが できる。

3 .マンションDBの集計

 以下、馬場ほか(2020)で構築されたマンションDB を参考にして、マンションストックの集計値及び公的統 計との比較を行う。はじめに、マンションDBの構築方 法について概説する。  本稿では民間企業の分譲マンションに関する取引履歴 を用い、マンションDBを作成した。まず、分譲マン ション取引情報について、株式会社リクルートの週刊住 宅情報に過去一度でも掲載されたデータと株式会社不動 産経済研究所の保有データを用いた。データ整形につい て、同一町丁目までの住所でグルーピングを行い、各グ ループ内で正規化したマンション名が完全一致する場合、 重複削除を行った。続いて、団地等で複数住棟の総戸数 を各住棟の総戸数に記載している場合が見られたため、 目視により過大集計された総戸数を修正した4  データベース構築の結果、マンションDBは104,648棟、 614.99万戸と算定された。マンションDBには住所、築 2 公的統計では、調査目的に即していくつかの調査方法が存在する。特に、調査範囲としては全数調査と標本調査がある。前者は調査対象 の全ての標本を対象として調査を行い、後者は一部の標本を対象とする。全数調査は母集団の情報を直接利用することが可能である一方で、 費用と時間が嵩むという問題が生じる。標本調査は費用や時間を節約できる一方で、再集計によるバイアスが生じる可能性がある 3 住宅・土地統計調査では、世帯数、世帯構成、住宅所有の関係などから国勢調査調査区を24種類に層化し、自治体の人口規模に基づく特 定の抽出率で調査区を選定する。 4 この時、総戸数999戸以上の住棟の総戸数を対象とした。

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年数、緯度経度、一部に延床面積のカラムが存在し、は じめに都道府県別戸数を集計した。全国集計では総戸数 598.02万戸で5、平均戸数は59戸/棟であった。このうち、 東京都は174.60万戸(29.2%)を占め、神奈川県、千葉 県、埼玉県を含めると339.88万戸(56.8%)となり、全 体の過半数を占める。人口規模の大きな愛知県、大阪府、 兵庫県も含めると、472.95万戸(79.1%)で、首都圏、 中京圏、近畿圏で全体の 8 割弱の分譲マンションを包含 している。  続いて、マンション特性の分布傾向について概観する。 はじめに築年数について述べる。築年数は全体の約 56.5%を補足しており、2019年 1 月時点を基準として平 均24.9年、標準偏差12.3年である。全体の10%は築41年 以上経過しており、旧耐震基準の建物が 1 割強存在して いることが示唆される。続いて、階数は全体の約92.1% を補足しており、平均8.4階、標準偏差4.2階という結果 であった。分譲マンションは高さ20-30mの比較的中層 の建物が多く分布することがわかる。最後に、延床面積 は全体の17.8%しか補足できておらず、平均5,143.3m2 標準偏差8,023.89m2であった。この分布傾向から、マン ション規模のばらつきは大きく、多様なマンション形態 が存在することが示唆される。  マンションDBの課題とも関連するが、このような データはマンション建替え検討の際に重要である一方、 民間企業は全てのカラム情報を必ずしも取得していない ため、欠損値を多く含んでしまう。それは、結果的にサ ンプルセレクションバイアス等の問題を生じさせる可能 性がある。なお、具体的な集計値は馬場ほか(2020)を 参照されたい。

4 .マンションDBはどの程度確からしいのか?

 では、上記の集計結果は公的統計と比較してどのよう な差異が見られるのであろうか。あるいは、公的統計と 比較して確からしい値を得られるのであろうか。そこで、 住調、着工統計、分譲マンションストック戸数を用い、 マンションDBの集計値との比較を行った。ここでは、 住調、着工統計について都道府県別に集計を行い、マン ションストック戸数については全国集計での差異を時系 列で確認した。 ⑴住宅・土地統計調査  住調は、前述の通り想定される誤差が大きく、その過 小・過大傾向は不明といえる。しかしながら、住調は一 定程度の誤差を許容すれば住宅ストックの傾向を把握で きると考え、マンションDBとの差異を検証した。図 1 はマンションDBと1993年から2013年までの住調との比 較結果である。ここでは両者の比率を算出しており、横 軸を都道府県名、縦軸を住調住戸数あたりのマンション 5 都道府県住所が付与されていない住棟を含めると、総戸数は614.99万戸となる。 表 1  各公的統計の過大・過小となる誤差要因 図 1  都道府県別マンションDBと住調との比較結果

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DB住戸数としている。まず、2013年住調結果との比較 をみると、都道府県別でも安定した結果となっている。 東京都、新潟県、福井県など一部でマンションDBが過 大推計になっているが、その程度は1.5倍未満である。 一方で過小傾向になっているのは山口県、佐賀県などが 顕著である。これは、住調の推計誤差に加えて、マン ションDBが地方部で分譲マンションを補足しきれてい ない可能性がある。ただし、地方部では分譲マンション の供給量自体が小さく、例えば山口県では約6,600戸で あるなど、その影響は小さいといえる。  他の年についても類似の傾向がみられたが、年代が古 くなるにつれてその誤差が大きくなり、1993年住調結果 では一部 5 倍を超える誤差が確認される場合もあった。 これは、住調に分譲マンションの定義がなく、今回所有 関係に持ち家という制約を加えたことも関連すると考え られる。仮に分譲マンションが賃貸に出された場合、そ の居住者が持ち家と答えなければ本集計対象から除外さ れてしまう。特に、住調結果で誤差の大きい新潟県や山 梨県はリゾートマンションの開発も盛んであり、その影 響で住調が過小に推計されている可能性がある。 ⑵建物着工統計調査 着工統計は建築工事届が提出された物件のフローであり、 絶対的なストックは推計できない。従って、着工統計と マンションDBとは、その変化分を比較することで差異 を検証した。具体的には、 5 年ごとの分譲マンション増 分についてマンションDBの建築年を基準として差分を 取り、着工統計と比較した。図 2 は1989年以降のマン ションDBと着工との関係を示したものであり、横軸に 都道府県、縦軸に着工統計増分あたりのマンションDB 住戸増分を表している。図 2 より、全期間を通してマン ションDBは着工統計と比較して過小であり、比率でみ ると0.5から1.0の間で推移している。これは、着工統計 が過大に推計されているという仮定に基づくと、マン ションDB住戸数が真値から大きくは離れていないと考 えられる。年代別にみると、1989年から2008年にかけて マンションDBと着工統計の比率は安定しているが、 2009年から2013年にかけて両者の乖離が大きくなってい る。例えば、鳥取県では 3 倍弱の差となっているが、そ れは絶対数でみると、マンションDBの570戸に対し着工 統計で196戸であり、374戸の差にとどまる。相対的に着 工数の少ないような地方部の都道府県では、マンション DBと公的統計との差異のばらつきが大きい。 ⑶分譲マンションストック戸数  当該統計資料は、初期分譲マンションストックが不明 であるため、絶対的に正しい値とはいえない。しかし、 初期ストックは数万戸のオーダーで全体に比して低い割 合であり、1968年から各年の総戸数を上乗せしているた め、大まかな傾向を掴むことを目的として比較した。図 3 は横軸に対象年、左横軸、右横軸にそれぞれマンショ ンDBとの差分と比率を取ったものである。  差分に着目すると、1983年はマンションDBの方が過 大傾向にある一方で、それ以降マンションDBは過小に 推計されており、その差異も大きくなっている。マン ションDBが1968年以前の民間分譲マンションを補足出 来ている場合、その初期ストックは分譲マンションス トック戸数よりも大きくなると考えられるため、1983年 で過大傾向にあることは不自然でない。さらに、分譲マ ンションストックは着工統計を戸数増分で利用しており、 着工統計が過大傾向という仮定を置くと、その後の差分 の開き方も自然であるといえる。両者の比率をみると、 1983年以降一貫して約10%の範囲内に収まっている。 図 2  都道府県別マンションDBと着工統計との比較結果 図 3   マンションDBと分譲マンションストック戸数との比 較結果

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従って、全国集計でマンションDBは推定値を大きく外 れてはおらず、そのストックについて十分に把握出来て いると考えられる。  マンションDBと公的統計を比較した結果、全国集計 での推計値は大きく乖離することなく、着工統計の過大 推計傾向を鑑みても妥当な値であるといえる。一部、マ ンションDBの都道府県別推計住戸数は新潟県、山梨県、 鳥取県などの地方部で公的統計との乖離がみられた。た だし、地方部の分譲マンション数は供給量自体が少ない 為、その影響は限定的であると考える。さらに、東京圏、 大阪圏などの多くの分譲マンションストックを有する地 域での推計値は公的統計と大きな乖離は無く、詳細な分 析に用いることができると考えられる。

5 .汎用的な活用にむけたマンションDBの

構築へ

 本稿では、民間企業のデータの活用可能性を探るため、 分譲マンション掲載情報を利用してマンションDBを構 築し、公的統計との比較を行った。マンションDBを構 築することで、いままで包括的に得られなかった総戸数、 築年数、階数等のデータが非集計で利用でき、その分布 を明らかにした。ただし、延床面積などの情報は欠損値 を多く含み、例えば、使用容積率などの算定には、更な るデータの充実を図る必要がある。また、マンション DBと公的統計との住戸数比較では、両者に大きな乖離 はみられなかった。マンションDBが過小傾向、着工統 計が過大傾向になっていることを踏まえると、2018年時 点での分譲マンションストックの真値は600万から650万 戸の間にあると考えられる。なお、地方部の都道府県で マンションDBと公的統計に乖離が見られたが、一方で 東京圏や大阪圏で両者の乖離は大きくなかった。従って、 構築したマンションDBにより、東京圏や大阪圏におけ る詳細な分析が可能であると考えられる。  では、今後マンションDBをさらに精緻化し、実際の 政策立案に活かしていくには、どのような課題があるだ ろうか?民間企業のデータに着目すれば、最も大きな問 題点は不動産情報を統合するための共有IDの不在であ る。研究上、様々なデータを住棟や住戸に寄せることが 最初のステップであり、それはテキストベースの住所を マッチングさせる方法や、建物ポリゴンにデータを集約 させる方法がある。ところが、得られるデータによって 住所表記にゆらぎがあるため、住所を完全にマッチング させることは容易でない。加えて、住所が地番表記であ る場合、建物に 1 対 1 対応しない場合があり、データ集 約をさらに困難にさせている。そのような問題に対し、 建物単位での共有IDがあれば多くの処理を簡略化でき る上に、住所表記の揺れ等に起因するエラーを少なくで きると考える。  自治体保有データまで視野を広げると、利用可能な データはさらに充実する。固定資産や建物登記の情報か ら敷地面積、建築面積、延床面積等が得られ、建蔽率や 容積率の算定を行うことが可能となる。さらに、住民基 本台帳を利用可能な場合、世帯人員数や世帯最高年齢な どが明らかになり、例えば居住期間の期待値などが計算 可能である。しかしながら、自治体保有データは、その 提供が非常に難しく、研究利用するデータを個人情報保 護審査会にかける必要がある。データ運用の安全性を担 保しながら、データ提供のハードルをいかに下げるかが 今後の課題といえよう。  以上のような課題を踏まえても、棟単位での正確な データベースは今後のマンション関連政策において一層 重要になると考える。まず、これまで部分的にしか補足 されなかったマンションストックの効果を包括的に把握 することが可能である。老朽マンションを例にとると、 既存マンションの詳細な地理的分布と築年数から、どこ に老朽マンションが蓄積しうるかが明らかとなる。馬場 ほか(2020)は首都圏、近畿圏を対象として、築年数と 最寄り駅からの距離との関係などを図化しており、参照 されたい。さらに、マンションDBから使用容積率及び 消化されていない容積率がわかれば、マンション建替え の可能性についても検討でき、俯瞰的にみれば都市更新 の地理的分布を把握することが可能となる。  これまでのマンション研究は、研究者各々が断面的な データセットを所有して分析を進めてきたといえる。今 後、包括的なマンションDBが構築され、広く利用され れば、研究者間での情報共有や分析方法の検討などが格 段に容易になると考える。結果、マンションDBが大き な研究の土台となり、その上に豊かな研究成果が実って いくのではないだろうか。 参考文献 国土交通省(2019)「分譲マンションストック戸数(平成30年末現 在 )https://www.mlit.go.jp/common/001290993.pdf(2020年 1 月30日アクセス) 国 土 交 通 省(n.d.)「 建 築 動 態 統 計 調 査-概 要 」http://www.mlit. go.jp/toukeijouhou/chojou/gaiyo_b1t1.html(2020年 1 月30日 アクセス) 清水千弘、中川雅之(2018)「マンションの老朽化と人口の高齢化 がもたらす首都圏の姿、齋藤誠(編)、都市の老い: 人口の高 齢化と住宅の老朽化の交錯」勁草書房、東京、89–123. 総務省(2016)「公的統計の品質保証に関するガイドライン」 https://www.stat.go.jp/data/guide/pdf/guideline.pdf(2020年 1 月30日アクセス) 総務省(n.d.)「平成30年住宅・土地統計調査」https://www.stat. go.jp/data/jyutaku/index.html(2020年 1 月30日アクセス) 馬場弘樹、仙石裕明、清水千弘(2020)「民間マイクロデータ用い た分譲マンションデータベースの構築とその地理的傾向」 CSIS Discussion Paper 161.

参照

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