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服部健治・湯浅健司・日本経済研究センター編著『中国 創造大国への道――ビジネス最前線に迫る――』(書評)

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Academic year: 2021

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全文

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服部健治・湯浅健司・日本経済研究センター編著『

中国 創造大国への道――ビジネス最前線に迫る―

―』(書評)

著者

伊藤 亜聖

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジア経済

60

3

ページ

92-92

発行年

2019-09

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00051483

(2)

服部健治・湯浅健司・日本経済

研究センター編著

『中国 創造大国への道

―ビジネス最前線に迫る―

文眞堂 2018 年 218 ページ 伊 藤 亜 聖 中国に中間層が生まれ,彼ら消費者の新たなる需 要はより高品質の製品を欲している。国内で高まり を見せた教育水準に,さらに国際経験を加えた新世 代の企業家たちは,新領域を切り開こうとする。 2010 年代,国内市場に加えて世界市場もまた広大で ある。政府は大衆こそが創業を通じて国家と生活を 豊かにできると励まし,資金を供する。阿里巴巴(ア リババ)と騰訊(テンセント)がつくりあげた現金 不用かつ低コストの決済網は,14 億人の社会で,人 びとの社交と情報を集約しつつ,新事業の基盤と なった。 本書は,昨今注目を集める中国での新興企業の創 出とイノベーションの進展を,7 名の専門家が解説 するたいへんに時機を得た書物である。 改革開放期における経済発展は,産業構造の面で は第三次産業の成長をもたらし,可処分所得の増加 は大衆消費社会の到来をもたらした(第 1 章)。新 時代の到来を予感させる民営企業主導の情報産業の 台頭の裏には,引き続き低効率性を温存する国有部 門,たとえば鉄鋼産業が併存する。地方の鉄鋼メー カーが受け取った政府補助金リストは生々しい(第 2 章)。中国政府が掲げてきた野心的なる産業構想 「中国製造 2025」は「製造強国」を目指し,その詳細 は重点分野ロードマップに落とし込まれている。し かし実のところ,政策の具体的効果は明瞭ではない (第 3 章)。 中国は新興企業のなかでも未上場かつ企業価値の 大きなユニコーン企業を多数輩出しつつある。その 背後には大手 IT 企業の投資基金を核とした新たな 社会体系が存在し,政策的には「先放後管」(まずは 規制を緩く,後で管理を強化)とも表現される市場 実験と試行錯誤を許容している(第 4 章)。なかで も注目を集めてきた広東省深圳市では,製造業の集 積と活発なるベンチャー投資に加えて,高度人材の 誘致政策が新興企業を支える。国家の千人計画に呼 応した地方の人材政策も現金で精鋭たちを引きつけ る(第 5 章)。 産業別に目を向けてみると,自動車産業では外資 企業に依存する傾向はいまだに続く。同時に新エネ 車の生産を求める点数制度が始まり,またここでも 水平分業化した産業構造が新規参入をもたらしてい る(第 6 章)。かねてから中国経済のなかで問題視 されてきた農業分野においても,有機野菜の需要が 高まっている。農業における経営の大規模化と効率 化を担う協同組合(合作社)が受け皿となり,農業 機械の普及が一段と進みつつある(第 7 章)。 このような新たな変化に日本企業も積極的に取り 組んでいる。三菱電機や日立製作所,そして富士通 が製造業の情報化の面で自社サービスを提案してい る(第 3 章)。農業機械ではクボタが事業拡大を進め, イオンモールには有機野菜が並び,現地で有機栽培 の果実や根菜を生産する日本人経営者もいる(第 7 章)。 米中摩擦や技術覇権といった大文字の空中戦が繰 り広げられるなかで,地に足をつけて現場で観察さ れる多様なる事例を積み上げ,それを必要かつ平易 な形で読者に届ける本書のような取り組みがもっと 必要である。 (東京大学社会科学研究所准教授) 『アジア経済』LⅩ-3(2019.9) ⓒ IDE-JETRO 2019 https://doi.org/10.24765/ajiakeizai.60.3_92 紹 介

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脚注 [1] 一橋大学イノベーション研究センター(編) “イノベーション・マネジメント入門”, 日本経済新聞出版社 [2] Henry Chesbrough

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