• 検索結果がありません。

フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究 Cebu 地域の苦衷と撤退に関連して

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究 Cebu 地域の苦衷と撤退に関連して"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究 71 寄稿論文・自由論題

フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究

―Cebu 地域の苦衷と撤退に関連して―

A Study on the Factors of Korean Businessmen Withdrawal into the Philippines

金日植

光云大学(韓国) Il-Sik Kim KwangWoon University(Korea)

Ⅰ.初めに

過去,多くの経済学者たちはフィリピンの経済を アジアの「患者」または「問題児」と指摘するほど フィリピンの経済は停滞していた。そんなに停滞 していたフィリピンの経済は2001年を基点に他の ASEAN 諸国と同じくらい好転された。フィリピン の経済が好転したのは,第一要因として国内設備投 資の増加があり,第二はフィリピンの海外居住労働 者の送金(OFW)である。そして第三は,外国人 直接投資の急増が主な要因であった。特に,外国人 直接投資の増加は技術流入とは別に,国内設備投資 を誘発するという側面で重要な成長の要因である。 しかし,先行研究のように(1),2007年頃に韓進重 工業がフィリピンに進出し始めてから関連企業の進 出も急増した。その他に,観光及び食堂業などの韓 国の事業家の急速な進出及び増加は,同時に不実 企業の量産及び破産,そして現地人との摩擦などの 副作用も大きく現れていた。その以外の副作用は, 現地に進出している多くの企業や商工人(商人及 び小企業:以下から「事業家」として表現する)が フィリピンから「撤退」を決定することである。韓 国の企業または韓国の商工人がフィリピンに「進 出」を決定することと同時に,「撤退」を決定する ことも事業において重要な決定行為の中の一つであ る。一般的な生産企業と違って,事業家(商人及び 小企業)の海外進出は多様な要因によって進出し, また撤退の要因も多様に現れる。特に,フィリピン のセブ(Cebu)地域の場合,韓国の事業家がセブ (Cebu)地域に進出する要因と撤退する要因が,他 のアジアに進出した韓国の商工人とは異なるという 点で興味深い。例えば,中国やベトナム,インドネ シア,タイなどの場合は現地化及び市場確報の目的 で進出するのであれば,フィリピンのセブ(Cebu) 地域に進出している韓国の事業家は事業以外に教育 目的に進出する場合が多い。つまり,セブ(Cebu) 地域に進出した韓国の事業家は他のアジア地域とは 要約:本研究は,フィリピンの Cebu 地域に進出している韓国の商工人(事業家)がいかなる「苦衷」に よって「撤退」を決定するのかについての研究である。ロジスティクの回帰分析の結果を見ると,Cebu 地 域に対する韓国の事業家(商工人)の主要な撤退要因としては現地の教育環境の要因に該当する現地におけ る子女教育の困難(X5)と人間関係の要因と言える現地での韓国人に対する対応の苦衷(X4)が撤退の主 要な要因と言える。しかし,創業に関連する情報取得の苦衷(X1)と資金調達の苦衷(X2),そして現地 人に対する対応の苦衷(X3)は統計的に有意ではない。韓国の事業家は基本的に観光や留学にきた韓国人 を対象に事業を行うため,情報取得の苦衷や現地人と係わる苦衷,資本規模の苦衷も比較的に小さい。むし ろ,Cebu 地域での子供教育に対する苦衷が撤退を決定する確率が極めて高い。 Key Words: フィリピン,ロジスティク回帰分析,教育に対する苦衷,現地人の応対の難しさ

(2)

異なる英語教育という要因によって「進出」し,ま た英語教育の完成あるいは失敗,または失望という 別の要因によって「撤退」を決定する。本研究は, フィリピンのセブ(Cebu)地域に進出している韓 国事業家らの進出に伴う様々な「苦衷」が「撤退」 に対しどれくらい影響を及ぼしているのかについて の究明する。現在,研究は2015年~2019年までフィ リピンのセブ(Cebu)地域で行ったインタビュー 及びアンケートをもとに分析する。そしてこれは, その研究結果の一つであるという点を明らかにして おく。

Ⅱ.先行研究と研究モデル

1 .先行研究 韓国企業の海外進出と撤退という研究資料を検討 すると,チョンインウ・ムンソンウン(2011)はア ジアの主要地域に進出している韓国企業が韓国への 撤退(里帰り)を決定する要因として投資規模,主 力商品の特性,資本金(財務要因),総従業員の数 が統計的に有意であるという。特に,同教授の分析 によると,現地法人に対する投資規模が小さく,低 価格の仕様化製品を生産するほど「撤退」の可能性 が高いと分析した。また,現地法人における資本金 の規模が大きいほど「撤退」の可能性が高くなると いう。しかし,総従業員の数が多いほど「撤退」の 可能性はむしろ低くなるといった。そしてキム・ソ ングク(2014)の研究からみると,中国に進出して いる韓国企業の場合,韓国への復帰(撤退)決定に 対する要因として進出当時の肯定的な要素が消える 時,韓国内に復帰(撤退)が決定されるといった。 すなわち,当時の労働環境(低賃金),税財の恩恵 などの状況が変わる時に「撤退」を決定するといっ た。また,韓国以外の撤退地域としてはベトナムや インドネシアが多いと指摘した。 一方,中国及び東南アジアに進出している韓国企 業の韓国への復帰(撤退)決定に関する研究でジャ ンヨ(2013)は,税率,市場規模,市場の質,投資 開放度,そして経営者の意図(経営に対する方向転 換)が企業の撤退を決定する要因として統計的に有 意するとした。すなわち,税率が高いほど,投資対 象国における市場の質が悪くなるほど,また賃金水 準が高くなるほど韓国へと撤退する可能性が高いと 分析している。そして投資対象国の企業に対する自 由度が悪化すると,すなわち企業に対する規制が強 化されるほど撤退の可能性が高まると分析した。似 たような研究としてナウォンチャン(2016)は,中 国に進出している韓国企業の撤退の要因として韓国 の親企業が持っている独占的な地位が低いほど,そ して財務状態が悪化すればするほど,企業規模が小 さいほど,中国の華北や東北 3 省から撤退する可能 性が高いと分析した。そして,これらの分析は主に 二項ロジスティクス分析による結果である。 しかし,このような先行研究は,製造業中心の研 究分析であり,法人企業中心の,そして規模のある 企業中心の分析が殆どである。その下部構造を支え ている小規模の企業や商人(マーケット)進出の研 究分析でない。従って,このグル-プの進出の目的 及び撤退に対する決定要因も異なるはずであるが, そのような研究は非常に少ないのが現実である。 2 .対象及び特性 本研究のための実態調査は2015年 1 月から始ま り,2019年 1 月まで計 4 回にわたって実施された。 本研究はその結果の一つである。すなわち,セブ (Cebu)の都心地域に分布している韓国の事業家に 対する実態調査は,2015年 1 月から2016年 1 月まで 2 回にわたって行われた。そして,2017年 1 月から 開始したマクタン(Mactan)地域に対する実態調 査は2019年 1 月まで 2 回にわたって行われた。従っ てセブ(Cebu)の都心地域とマクタン(Mactan) 地域に対する実態調査は計 4 回に至る。これらの地 域に対する実態調査は,まだ十分ではないと思われ る。しかし,調査地域に対する修正及び補強のため にもここまでの実態調査で得られたアンケート資料 をもとに分析する必要があると思った。 セブ(Cebu)地域に進出する韓国の事業家らの 地域的特性をみると,韓国の事業体らは大きく二つ の地域に集中的に進出している。つまり,韓国人の 事業体は主に国際空港のあるマッタン島(Mactan Island)地域とセブ(Cebu City)の都心地域で分 かれている。CEBU MAP の基準からみると,セブ (Cebu)都心地域を中心に営業している韓国人事業

(3)

フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究 73 体はおよそ55個~72個と推定されており,マクタン (Mactan Island)地域は約50~60個社が事業を行っ ていると推定している。 しかし,セブ(Cebu)の都心地域とマッタン (MactanIsland)地域は地理的及び社会的な利点に もかかわらず,韓国人の直接投資は殆ど第 3 次産 業であり,製造業を中心とする進出は珍しい。す なわち,Cebu の都心部に進出している韓国の事業 家は,主に韓国から留学に来た学生たちと関連のあ る教育や宿泊,そして関連の飲食店が多いとすれ ば,セブ(Cebu)の隣にあるマッタン島(Mactan Island)は,海を挟んで行われる海洋レジャー産業 や関連企業が主流である。そのような側面で,セブ (Cebu)都心地域とマッタン島(Mactan Island) で純粋な製造業の参入が微々たるものであるため, この部分についての実態調査は行われなかった。 3 .研究モデル及び方法 現地の経営実態を調べるためのアンケートは大き く 4 つの部分で構成されていて,第一は事業所の概 要に関する一般的な質問の項目であり,二つ目は海 外進出に対する満足度であり,三番目には現地進出 に対する困難(苦衷)を問う質問で構成されてい る。最後に,創業の情報及び創業期間に対する質問 で構成されている。 一方,満足度(反応)の大きさは一般的に多く 使用しているリカドゥの 5 点の尺度を使用する。 例えば,満足度の尺度をみると,「大変満足してい る」と言った場合を 5 点と,「非常に不満足である」 の場合を 1 点とした。特に,セブ(Cebu)地域に 対する小規模事業の進出は他のところと違って,進 出の目的が事業的な成功という経済的な側面ととも に,教育的な成功と生活の満足という付加的な側面 のあるため,このような目的からセブ(Cebu)地 域に進出したケースもかなり多いという特徴があ る。また,現地でのインタビューの結果をみると, ここでいう満足度には経済的な利益だけでなく,社 会や教育的な利益まで複合的に考慮されている「満 足度」である。この地域の進出に伴う「苦衷」を調 査する場合,先の満足度と同様に「非常に困難だっ た」と答えた場合を 5 点で,「困難ではなかった」 と答えた場合を 1 点とした。 このアンケートの中には「Cebu 地域から撤退を 考えていますか」という質問があり,それに対する 回答は「はい」と「いいえ」で構成されている。し たがって,研究のモデルは「図 2 - 1 」のように構 成される。そして,この 5 の変数を利用し,モデル を構成したのは,まず創業環境要因は先行研究で一 般的にいわれている撤退の要因であり,人間関係要 因と教育環境要因は海外事業の満足度研究の結果か ら取り入れた。 一方,「セブ(Cebu)地域で撤退を考慮していま すか」という質問に対する答えが,「はい(1)」と 「いいえ(0)」で構成されている。つまり,答えは 1 と 0 として構成されているために,本研究では二 項ロジスティックの回帰分析を利用し分析する。 従ってここでは,「はい(1)」と「いいえ(0)」を 従属変数として使用し,進出に対する「苦衷」を独 立変数とし,情報取得の困難,資金調達の難しさ, 現地人の対応の難しさ,韓国人に対する対応の難し 図 2 - 1  研究モデル 出所:筆者作成

(4)

さ,現地での子ども教育の苦衷を独立変数として 使う。独立変数の設定は,要因分析を通じて従属 変数との有意性を検出した後,これらの変数から 撤退(はい,いいえ)に対する決定可能性を確率 的に推定する。ここでは,適切な統計分析のために SPSS(2)の二項ロジスティクスの分析を行う。 本研究は,従属変数が両方の名目尺度から成る 「撤退の可能性」について,「はい」と「いいえ」か ら構成されているため,二項ロジスティック回帰模 型(logistic regression model)を利用することが 適当であろう。すなわち,ロジスティック回帰モデ ルは,独立変数が量的な変数を持って,従属変数は 二変量(0 ,1)を持つ質的な変数の場合に使用す る非線形の回帰モデルである。また,ロジスティッ ク回帰分析は独立変数の効果を分析するために,あ る事件が発生する場合の(1)と発生しない場合の (0)を予測するよりも,事件が発生する確率を予測 する。したがって,従属変数は 0 (失敗)と 1 (成 功)に示し,したがって予測値は 0 と 1 の間の値を 持つ。 一方,ロジスティックの反応関数において独立変 数と従属変数との関係はS字の非線形(nonliner) であるため,独立変数の水準が高ければ「撤退」す る確率は増加する。すなわち,本研究では撤退につ いて二変量(0 ,1)を持つ質的な変数なので,線 形回帰モデルを S 字線形でロジック(logit)変換 する。この時,二変量の 1 (はい)と 0 (いいえ) についてオズ比(odds ratio:比の割合)を使用す れば「撤退しない確率に比べて撤退する確率の比」 の意味で現れ,これは「撤退する確率」を意味する。 つまり,ここで

1- pp Odds= で Odds にログを

適用したのが,

ln 1- p =α+β1x1+β2x2+ … +βpxp

p で ある。 ここで括弧内の部分をロジット(logit)と言っ て,P は個別のケースがどのような集団に属する確 率で,1-p はその集団に属しない確率である。した がって,この値が高いほどその集団に属する確率が 高いことを意味する。回帰係数が量(+)の値であ る時,その変数の値が高くなるほど,特定集団に属 する確率が高くなり,陰(-)の値であるほど,特 定集団に属する確率は低くなる。したがって,これ らの計数を解釈することで,どのような変数が特定 集団に属する確率を高めるか,下げるかを決めるこ とができる。

Ⅲ.実証分析

1 .頻度分析 今までセブ(Cebu)地域から102部のアンケート が回収され,これについて 1 次的に頻度分析を行っ てみた。まず業種別にみると,「表 3 - 1 」のよう に,観光業が28.4%,教育が13.7%,その他の食堂が 43.1%を占めているが,特に観光と教育の比重が相 対的に高い。進出の動機から見ると,事業の目的が 41.2%,教育の目的が34.3%を占めている。そして観 光の目的でセブ(Cebu)地域に進出したケースが 11.8%もなった。資本の規模面から見ると,1 億ウォ ン以下が47.1%, 2 億ウォン以下が26.5%で全体の 73.5%を占め,零細な事業者がほとんどである。 現地従業員の規模からみると,現地従業員の数が 1 ~ 5 人の場合が20.6%, 6 ~10人の場合が38.2% で,1~10人以下が全体の58.8%を占めている。さ らに現地の従業員の数が11~15人の場合は13.7% で,全体の72.5%が15人以下の小規模に当たる事業 体であった。最後に創業の年齢帯をみると,40代が 全体の48.0%を占めて,その次,50代が24.5%を示 している。そして30代が15.7%,20代が6.9%を占め ていた。セブ地域に進出している韓国の事業家はほ とんど40~50代であり,それは全体の72.5%である。 一方,セブ島から「撤退を考えている」という事 を頻度からみると(「表 3 - 3 」),資金問題,治安 表 3 - 1  セブ地域の韓国商工人の基本特性 (頻度分析) 分類 項目 頻度 % 業種 観光 29 28.4 教育 14 13.7 酒飲み 8 7.8 スーパ 2 2.0 他の食堂 44 43.1 合計 102 100.0 出所:筆者作成

(5)

フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究 75 問題,子供の教育問題などはそれぞれ 2 ~ 3 程度で ある。しかし,住居環境問題やその他の項目はそれ ぞれ 7 と 5 として非常に高い。住居環境問題の場 合,現地人の問題や韓国人との問題などが含まれて いる。特に,「その他」の項目は頻度 5 で高いが, その理由のバラツキが幅広いので,この分析では含 めていない。例えば,「自分の健康問題で撤退する」 という理由で 1 枚であれば,「ただ撤退したい気持 ちがあるから」と言った場合も 1 枚など理論的及び 統計的接近にかなり無理があると思われ,今回の分 析では除外した。ロジスティック確率比の分析は, 撤退の可能性を推定するので,理論的及び統計的接 近に無理のない変数を中心に分析した。最後に, 「表 4 - 3 」の資金調達の場合,運営資金と規模拡 大資金と分けて分析する必要があるが,その研究は 今後の課題にする。 2 .ロジスティック回帰分析 アンケートでは「セブ(Cebu)地域から撤退を 考慮しているか」という意味は,「現在撤退を考慮 している」ことを指している。また,この質問に 対する答えは「はい(1)」と「いいえ(0)」となっ ている。従って本研究では,それを従属変数として 使用する。すなわち,「はい(1)」と「いいえ(0)」 を従属変数とし,進出に伴う「苦衷」の項目を独立 変数として活用してロジスティックの回帰分析を行 う。ロジスティックの回帰分析は独立変数の効果を 分析するために,ある事件が発生した場合(1)と 発生していない場合(0)を予測するよりも,する 事件が発生する確率を予測する。 表 3 - 2  創業後の期間 分類 項目 頻度 % 創業後期間 2 年以下 33 32.4 3 年以下 22 21.6 6 年以下 23 22.5 9 年以下 13 12.7 10年以下 11 10.8 合計 102 100.0 出所:筆者作成 表 3 - 3  撤退を考慮した場合 分類 項目 頻度 % 撤退を考えている はい 22 21.6 いいえ 80 78.4 合計 102 100.0 出所:筆者作成 表 3 - 4  撤退を考慮した理由 分類 項目 頻度 % 撤退を考えている 理由 資金問題 2 2.0 居住環境問題 7 6.9 治安問題 2 2.0 人件費上昇問題 5 4.9 子供の教育問題 4 3.9 その他 5 4.9 合計 25 24.5 欠点値 77 75.5 出所:筆者作成 表 4 - 1  分類表 反復計算 予測値 セブで撤退を考慮する はい (1) いいえ(0) 分類精度(%) 1段階 セブで 撤退を 考慮する はい(1) 0 20 0.0 いいえ(0) 0 69 100.0 全体 0 89 77.5 出所:筆者作成 表 4 - 2  ロジスティック回帰分析の変数の情報 N=89 欠測値:14 (全体:102) 尤度比の統計量:15.162 有意確率 =0.010<a=0.05 (1)-2 log:77.562 Cox と Snell の R2:0.176Nagelkerke の R2:0.269

Hosmer と Lemeshow 検定 R2:5.092 有意確率:0.748 出所:筆者作成 表 4 - 3  要因の変数のロジスティック回帰分析の結 果や推定値 変数の名 B Wald 有意確率 Exp(B) 常 数 -2.967 3.179 0.075 0.051 情報取得の難しさ (X1) -0.106 0.052 0.820 0.900 資金調達の難しさ (X2) 0.657 1.845 0.174 1.928 現地人に対する対応の 苦衷 (X3) 0.265 0.393 0.531 1.304 現地の韓国人に対する 対応の苦衷 (X4) -0.708 3.874 0.049 0.493 現地での子女教育に 対する難しさ(X5) 1.388 8.025 0.005 4.006 出所:筆者作成

(6)

さて,ロジスティックの回帰分析に対する技術 統計量をみると,欠測値 (無回答)は14個であり (13.6%),観察された結果の -2log(尤度比)が 高いときモデルが適していると言える。したがっ て,変数を含めていない状態で定数だけを含めた 場合の -2LL 値が77.562でモデルに適合していると 言える。つまり,-2log(尤度比)は全体の統計量 が15.162に有意確率 =0.010<α=0.005なので,セブ (Cebu)地域で韓国の事業家が「撤退」を考えるた めの要因を説明する時,ここで選定された 5 つの変 数を含むモデルは有意であるといえる。また,モ デルの適合度に対する検定(Hosmer と Lemeshow の検定)をみると,有意確率は0.748>α=0.005な ので,検定された有意確率値(0.748)が0.05より大 きいため,このモデルが適している。したがって, モデルが相応しいという帰無仮設が採用され, 5 つ の独立変数の間の関係を示すロジスティック回帰モ デルは適していると言える(3) 一方,分類表(「表 4 - 1 」)の分類の行列をみる と,「セブ(Cebu)地域から撤退を考えている」と 回答した事業体の全体分類の精度は77.5%である。 つまり,分類可能なデイタの89枚の中,「撤退を考 えているか」という質問に対して「はい」と答えた のが20枚(22.5%),「いいえ」として答えたのが69 枚(77.5%)である。これら89個社のうち,「セブ (Cebu)地域から撤退を考えているか」について 「はい(1)」と正しく分類な正確度は22.5%である。 一方,「いいえ(0)」として正しく分類した正確度 は77.5%であるので,全体の分類分析は正しいこと を意味する。 ロジスティック回帰モデルの係数(「表 4 - 3 」) をみると,X1(情報取得の困難)の回帰係数は -0.106であり,統計的な有意性を検定する Wald の 統計量が0.052に確率的な表示である sig T が0.820 であるため,これはα=0.05で統計的に有意ではな い。X2(資金調達の困難)の回帰係数は0.657で, 統計的な有意性を検定する Wald 統計量は1.845に, 確率的な表示である sig T は0.174>α=0.05である ため,これも統計的に有意ではない。そして,X3 (現地人に対する対応の苦衷)の回帰係数は0.265で あり,sig T が0.531>α=0.05であるため,これも 統計的に有意ではない。一方,X4(現地の韓国人 に対する対応の苦衷)の回帰係数は -0.708であり, sig T が0.049<α=0.05であるため,統計的に有意す る。そして,X5(現地での子供に対する教育の苦 衷)の回帰係数は1.388で,統計的な有意性を検定 する Wald の統計量は8.025であり,この時確率的な 表示である sig T は0.005であり,0.005<α=0.05で あるため,これは統計的に有意する。 したがって,回帰式は次の通りである。 Y= -2.967-0.106(X1)+0.657(X2)+0.265(X3)-0.708 (X4)+1.388(X5) 上の回帰式で,X1の情報取得の困難,X2の資金 調達の難しさ,X3の現地人に対する対応の苦衷は 有意性がないために有意性のある X4の現地の韓国 人に対する対応の苦衷と X5の現地での子供教育の 苦衷に関する変数だけを中心に説明する。つまり 「表 4 - 3 」からみると,X4の現地に居住している 韓国人に対する対応の苦衷という結果及び推定値の 中にある Exp(-0.708)=0.493が意味するのは,他の 変数値を一定にめぐって,つまり情報取得の難しさ (X1)や資金調達の難しさ(X2),そして現地人に 対する対応の苦衷(X3),子女教育の難しさ(X5) の変数が変わらない状態で,現地に居住している韓 国人に対して対応の難しさ(苦衷)が 1 単位増加す れば,セブ(Cebu)地域から撤退する確率が撤退 しない確率より0.49倍(0.049)だけに増加するとい うことを意味する。そして X5の変数は,つまり現 地において子供教育に対する苦衷という結果及び推 定値の中にある Exp(1.388)=4.006と表示され,こ れは他の変数値を一定にめぐって,現地における 子供教育の苦衷が 1 単位増加すれば,セブ(Cebu) 地域に進出している韓国の事業家が撤退する確率が 撤退しない確率より4.0倍(0.005)ほど増加すると いうことを意味する(「表 4 - 3 」)。これは,セブ (Cebu)地域に進出した韓国の事業家の進出目的が 「ビスニーズ」という目的の以外に,子どもの英語 教育を目的に入国し,現地(Cebu)生活中に事業 し始めるケースが多かった。そのため,子供の教育 目的が達成されたり,あるいは達成できなかったり

(7)

フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究 77 した場合,それは「撤退」の要因として作用する確 率が高い。しかし,事業目的にセブ(Cebu)地域 に進出した場合には,事業に対する満足度が概ね高 いため,事業が成功するかどうかが「撤退」を決め る要因には働かないと考えられる。 一方,X1(情報取得の困難)と X2(資金調達の 困難),そして X3(現地人に対する対応の苦衷)が 統計的に有意ではない。その理由について説明する と,この三つの要因はセブ(Cebu)地域に進出す る過程では困難という要因として現れるのは事実だ が,セブ(Cebu)地域から「撤退」を決定する重 要な要因ではないといえる。例えば,X1の場合, 情報取得の困難はあるが,その自体が「進出」を制 限するほどの,そして「撤退」を決定する程度の情 報制限があるのでもなく,また資金が不足するから と言って「撤退」まで考えるほどの規模でもないた めであると思う。なぜならば, 1 億ウォン(約1000 万円)程度の企業規模が全体の45.2%も占めている からである。また X2の場合,つまり現地人に対す る対応の困難という理由で「撤退」を決定するには 韓国事業家らの事業が基本的に Cebu 地域に観光に 来る,あるいは留学に来ている韓国人を対象に事業 するために少なくとも現地人との関連からくる難し さ(苦衷)やそれによる撤退決定は殆どないと思わ れる。しかし,逆に現地にいる韓国人との関係ある いは対応に関する問題で「撤退」を決定する可能性 はその分高くなるということを暗示する。ただ, セブ(Cebu)地域にいる韓国人との対応関係から くる困難(苦衷)のために「撤退」を決定する確率 は,統計的に有意であり,その確率は比較的に低 い。しかし,その要因自体の問題からの「撤退」に 対する確率はかなり低く,むしろセブ地域での子ど もの教育に対する苦衷からくる要因のために「撤 退」を決定する確率が極めて高い。

Ⅳ.整理と示唆点

ロジスティクの回帰分析の結果をみると,フィリ ピンのセブ(Cebu)地域に対する主要な撤退要因 としては,現地における教育環境の要因に該当する 現地での子女教育の困難(X5)と人間関係の要因 といえる現地での韓国人に対する対応の苦衷(X4) が「撤退」の主要な要因と言える。しかし,創業及 びセブ(Cebu)進出に関連のある基礎環境の要因 に該当する情報取得の困難(X1)と資金調達の困 難(X2),そして現地人に対する対応の苦衷(X3) は,統計的に有意ではない。この三つの要因は進出 の過程で苦衷(困難)として現れるのは事実である が,セブ(Cebu)地域で「撤退」を決定する重要 な要因ではないということである。韓国人の事業家 が基本的に現地の観光や留学に来ている韓国人を対 象とする事業のため,少なくともそれに関連した情 報取得の苦衷や現地人と係わる苦衷,資本規模から くる苦衷も比較的小さいため,また事業の成功のよ うなもの,そのような自体が「撤退」を決める主な 要因ではないと言える。むしろ,現地での子供の教 育に対する苦衷という要因のために撤退する確率が 極めて高い。 こうした分析の結果が示唆している点は,フィ リピンのセブ(Cebu)に進出している韓国人の事 業目的の一つが「子女の教育」という別の重要な 目的および動機の上で事業が進められるため,こ の「教育に関する目的」が達成されたり,あるい は期待していた教育が達成されなければ,すぐに セブ(Cebu)地域から「撤退」を決定する確率 が,資本金の負担からくる「撤退」の決定要因ほ ど重要な要因として働く。これが,他のアジア地 域に進出している韓国人の事業家と異なる点であ ろう。このような側面からみて,フィリピンのセ ブ(Cebu)地域に進出している韓国の事業家たち は,資本規模の面で小規模であるので,また他の 中国人あるいは日本の事業家に比べて,事業期間 が短くなるしかない。したがって,事業の連続性 と現地化に向けた努力,そして商品開発に対する 熱意が相対的に低調にならざるを得ない。また, セブ(Cebu)都心地域に進出した目的自体が「英 語教育」であるため,韓国人の「ビスニーズ地域」 が集団化する可能性も相対的に高い。このような 側面からみれば,セブ(Cebu)都心部に進出して いる韓国人の事業規模は,撤退まで考慮した事業 の規模を設定する必要性がある。

(8)

脚注 (1)オユンア · シンミングム(2013)『フィリピン経済 の構造的な問題点と韓国・フィリピン経済業力方 案』対外経済政策研究院。   金日植(2016)「海外事業満足度に関する決定要因 ―セブに進出した韓国商工人の実態調査『貿易保 険研究』第17,第 4 号。

(2)SPSS Version 17.0 for windows を使用した。 (3)模型の適合度検定(Hosmer と Lemeshow の検定) 値が0.05より大きくならないといけない。すなわち 留意確率が0.748>α=0.005から模型は成立する。 参考文献 オユンア・シンミングム(2013)『フィリピン経済の構 造的な問題点と韓国・フィリピン経済業力方案』 対外経済政策研究院。 キム・ソングク(2014)「中国進出企業の国内復帰決定 要因に関する研究」『貿易学会誌』第39冊 2 号。 金日植(2016)「海外事業満足度に関する決定要因―セ ブに進出した韓国商工人の実態調査―」『貿易保険 研究』第17 ,第 4 号。 金容正(キム・ヨンジョン)・鄭鎮燮(チョン・ジン ソプ)(2013)「韓国物流企業のフィリピン市場進 出戦略に関する研究:代わりに宅配汁ジェウン宋 事業部の投資調査の事例を中心に」『国際経営レ ビュー』第18号 2 号。 ナウォンチャン・金ヨンウ(2016)「中国進出の韓国製 造企業の資金の撤収補正要因:華北や東北 3 省進 出,親企業の特性分析を中心に」『中国学研究』第 75集。 シン・サンホン(2001)「日本企業の投資回収の実態に 関する研究」『社会科学論叢』第20冊 1 号。 ジャンヨ・鄭鎮燮(チョン・ジンソプ)(2013)「海外 進出企業の復帰決定に関する研究:中国や東南ア ジアに進出したある汁企業を中心に」『国際通商研 究』第18冊 2 号。 チョンインウ・ムンソンウン(2011)「韓国の海外進出 企業の国内への復帰決定要因分析と示唆点:中国, ベトナム,インドネシアへの進出企業を中心に」 『GRI 研究論叢第』13冊 1 号。 平川均・石川幸一編(2001)『新・東アジア外交経済論 ―グロール化と模索する東アジア外交』ミネルバ 書房。 關満博(2003)『北東アジア外交の産業連帯/中国北方 と日韓の企業』新評論。 菱 UFC・歯磨き粉に関する論文は,済州の顕と今後の 展望好調は長続きするのか ?(2015)『三菱 UFC 調 査室』。 日本海外貿易開発協会(2014)『フィリピン進出日系中 小企業の経営課題とその対応税務・労務』。 猪木武徳・高木保興(1993)『アジア外交の経済発展― ASEAN,NIES,日本―』同文舘。 梶原和(1995)『アジア外交の経済発展―工業化波及と 地域経済圏』東洋経済新報社。 渡辺利夫・小浜裕久訳(1987)『モンスーンアジアの経 済発展』勁草書房。

Il-Sik Kim(2006)“A Study on the Difference of Economic structure in East Asia and Currency crisis”,Journal of International Trade and Industry Studies, Vo1.11, No1.

Il-Sik Kim (2017) “A Study on Satisfaction of Entry to Korean Business in Cebu Area Philippiness: Results using Logist-ic Regression analysis”, Jour-nal of InternatioJour-nal Trade and Industry Studies, VoI.18, No 3, 2017.9.

Michae, M.Alba, Why has the Philippines Remained a Poor Country? Some Perspectives from Growth Economics, De La Salle University, 2006.

(9)

フィリピンに進出した韓国商工人の撤退要因に関する研究 79

A Study on the Factors of Korean Businessmen Withdrawal into the Philippines

Il-Sik Kim

KwangWoon University (Korea) [email protected]

Abstract: This paper is a study on what factors (difficult environment) the Korean businessman in the

Cebu region of the Philippines decides to withdraw. According to logistic regression, a major withdrawal factor for Korean businessmen(commercials and firms) from the Cebu region can be seen as a factor in the difficulty of local child education (X5) and human relations. And the difficulty of responding to Koreans in the region (X4) is a major factor in the withdrawal. However, the difficulty in obtaining information related to start-ups (X1) and in financing (X2), and in responding to locals (X3) are not statistically significant. The Korean businessman basically does business with Koreans who have come to tourism or Cebu to study, so the difficulty in obtaining information, the difficulty associated with locals, and the difficulty in the size of capital are also relatively low. Rather, when the difficulty with their children’s education(X5) in the Cebu area is great, the Korean businessman decides to withdraw, and the probability is very high than other withdrawal factors.

Key Words: Cebu (Philippines), Logistic Regression, Difficulties in local education, Probability

ACKNOWLEDGEMENT

参照

関連したドキュメント

Us- ing the Danilov-Stanley theorem to characterize the canonicale module, we deduce that the base ring associated to this polymatroid is Gorenstein ring... The notion of

「新老人運動」 の趣旨を韓国に紹介し, 日本の 「新老人 の会」 会員と, 韓国の高齢者が協力して活動を進めるこ とは, 日韓両国民の友好親善に寄与するところがきわめ

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

 本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出通関又は輸入通関された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したもので

23)学校は国内の進路先に関する情報についての豊富な情報を収集・公開・提供している。The school is collecting and making available a wealth of information

本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出通関又は輸入通関された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したもので

 貿易統計は、我が国の輸出入貨物に関する貿易取引を正確に表すデータとして、品目別・地域(国)別に数量・金額等を集計して作成しています。こ

本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出通関又は輸入通関された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したもので