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電気装置設計製作実習におけるグループディスカッションの思考分析

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(1)職業能力開発研究誌,33 巻,1 号. 2017. 研究資料. 電気装置設計製作実習におけるグループディスカッションの思考分析 Analysis on Thought of Group Discussion in Electrical Equipment Designing Production Training 篠﨑 健太郎, 和田 浩一 Kentaro Shinozaki and Koichi Wada. A training curriculum of Kinki polytechnic college application course production electric system technology department is doing a working group learning system. When I observed the group discussion in practice, the brainstorming session did not proceed well. Therefore, in this study, we collected the thought contents before group discussion and analyzed the characteristics and connection of thought elements. As a result, four characteristics were found by analysis.①A group with high work evaluation has a large number of thought elements per person, and is considering a wide range of contents. ②Students are divided in thoughts within the group, and group leaders and members are not communicating. ③A group with high work evaluation has multiple key words and has a complex content. ④The group with higher work evaluation was promoting discussion while linking what the group members are thinking. Based on these results, we developed an educational tool to promote discussion. Keyword: group discussion, thought element, teaching materials, language connection. はじめに. 1.. 思われる部分が見られた.それらの原因として,各グ ループのメンバーがメモ・資料を参照せずに会話だけ. ものづくりのプロジェクトでは,複数のスタッフが. に頼って意見を伝えられない,あるいは上手くリーダ. 関わりミーティングが幾度となく開催されて様々なこ. ーシップが取れていないことが推察された.これらの. とを考え巡らせながら進められている.グループでプ. 問題を解決するために,とりわけ初歩的な思考を発散. ロジェクトを進める際は,相乗効果を上げることが望. するためのツール(以下,ディスカッションツール). まれ,特にグループディスカッション(以下,ディス. の開発が必要である.ものづくり教育現場において教. カッション)の内容が完成品の評価に大きく影響する.. 育実験を行った近年の研究に和田らの研究 [2]. [1]. [3] があ. 「思考は,思考者が思考対象に関して何らか 波頭 は,. る.建築設計演習において学生に開発した教育ツール. の意味合いを得るために新しく入手した情報と現在持. を提示し,その教育効果を検証している.設計中に思. っている知識を頭の中で加工することである」と述べ. 考していることを発話してもらい,その言葉の内容を. ている.ディスカッションは,学生のものづくりにお. 文章化し分析することで,設計者の連続した思考の特. けるコンセプチュアルスキルとしても重要な要素であ. 徴を明らかにしている.また,益子ら [4]は学生を対象. る.ディスカッションには,思考を発散させる場面と,. とし,エスキスを行う前にイメージした内容をシート. 発散した思考を収束させる場面があり,それを繰り返. に記入させ,思考内容を分析して空間生成の特徴を明. しながら結論へと向かってゆくことが望ましいと考え. らかにしている.国外の言葉の内容分析研究では,Omer. られる.. Akin[5]が,学生に対して図面を描く課題を与え,その. 職業能力開発大学校応用課程生産電気システム技術. 様子をビデオに撮って言葉の内容分析を行っている.. 科のカリキュラムでは,専攻実技にワーキンググルー. その結果,設計者の図面の認知できる単位を明らかに. プ学習方式を採用しており,実習中にディスカッショ. している. 本研究は,建築設計分野における思考内容分析を電. ンを行っている.応用課程1年次の専攻実技において, ディスカッションを観察したところ,積極的な発言が. 気装置設計製作実習に適応するものである.学生のデ. 少なく,初歩的な思考を発散する場面がうまく機能し. ィスカッションにおける思考の現状を把握するため,. ておらず,思考の収束まで至っていな様子が見られた.. ディスカッション前に考えたことを学生に自由に記述. その結果,完成品に意思疎通の不完全が要因であると. してもらうアイディアシート(以下,アイディアシー. - 117 -.

(2) TRANSACTIONS OF JASVET VOL. 33, NO. 1 2017 ト)を用意し,そこへ記述してもらい,それを分析し. 表 1 調査対象. て電気装置設計製作実習における学生のディスカッシ ョンの特徴を明らかにする.その後,分析結果を基に. 項 目. 内 容. 電気装置設計製作実習で利用できる初学者のためのデ. 調査対象教科. 電気装置設計製作実習. ィスカッションツールとその運用方法を考察する.. 実習期間 調査対象. 2015年4月~2015年9月 近畿職業能力開発大学校 応用課程 生産電気システム技術科 2年生 22名 1年次にグループワークを体験 5グループ FAメカトロ実習の成績により評価が 均等になるよう編成. G1:5名 G2:5名 G3:4名 G4:4名 G5:4名. 2.. 研究方法. 2.1.. 調査対象. グループ. 教育調査は,近畿職業能力開発大学校・生産電子シ ステム技術科 2 年生(以下,学生)を対象に電気装置 設計製作実習で行った(表1).調査対象の学生は 22 名で,1 年次の創造的開発技法においてディスカッシ. アイディアシート 利用方法. 授業の進行. 製作課題実習(標準課題)においてグループによる実 験・実習を体験している. 2.2.. <実習終了後>. <実習期間中>. ョンの手法について学び,電動車両走行システム設計. 分析内容. 利用説明(初日). ①思考要素の特徴. シート配布. ②グループ内の意思疎通 ③思考要素のつながり. 授業開始時. グループ編成. 電気装置設計製作実習では,グループ学習方式を取 っているため学生を 5 グループに分けた.各グループ. ディスカッション前. 考えたことをシートに 記入させる. ディスカッション中. シートを参照させる. 授業終了前. シートを回収する. 分析を基にした教材の提案. の人数は,グループ 1 及び 2(以下,G1,G2)を 5 名, 図 1 研究全体のプロセス. グループ 3,4,および 5(以下,G3,G4,G5)を 4 名とした.グループのメンバーの構成は,専門課程・. 表 2 思考要素の分類. 電気エネルギー制御科 2 年次に行われた FA メカトロ 実習の成績を基に,学生の成績が均等になるよう調整 大分類. した.次に,専門課程・電子情報技術科出身の学生が. 中分類. シーケンス制御についての知識が少ないことから,各 設計. グループに電子情報技術科出身の学生を1人ずつ振り 装置. 分けた.電子情報技術科出身学生の不足した知識や技 術をグループ内でフォローアップするように促した.. 要求. グループリーダーの選定は,各グループで互選により 決定した. 実習の最終日に教員2名が,グループ毎の総合的な. グループ ワーク. 作品評価を行った.評価の視点は,電気回路図面など. 小分類 環境 製図 ハード ウエア ソフト ウエア 使用 時間 安全. 定 義 装置を設置する場所に関する思考要素 装置の製図に関する思考要素 使用機器およびその機構に関する思考要素 機器を作動させるためのプログラムに関する思考要素 装置の操作に関する思考要素 装置の動作にかける時間に関する思考要素 使用者の安全に関する思考要素. 管理. 役割 工程 製作. 作業者の役割分担に関する思考要素 作業工程に関する思考要素 製作を行う行動に関する思考要素. プレゼン テーション. 発表. 発表会に関する思考要素. の提出資料や発表内容,作品の完成度である.その結 果,上位から順に G3,G2,G5,G1,G4 となった.. 本研究では,学生が書いたアイディアシートの文章を. グループメンバーの人数と評価が一致しない結果とな. テキスト電子データにして思考内容の分析を行った.そ. った.G3,G2,G5 を上位グループ(以下,上位グル. の際,収録したビデオを分析の参考にした.分析結果を. ープ) ,G1,G4 を下位グループ(以下,下位グループ). 考察し,新たにディスカッションを促進するシート(以. とした.. 下,ディスカッションシート)とその運用方法を考察す. 2.3.. る(図 1) .. 研究全体のプロセス. 電気装置設計製作実習は半年間で 18 回実施され,そ. 2.4.. アイディアシートの利用方法. のうち 10 回の授業において学生がディスカッション. アイディアシートには,学生の氏名とディスカッショ. する機会があった.ディスカッションする内容は,グ. ンを行った日時に加え,考えたことを妨げないよう自由. ループにより製作の進度が異なっていたためグループ. に記述できるスペースを設けた.利用方法は,初日にア. リーダーに任せた.学生がディスカッションする際は,. イディアシートの利用方法を説明し,ディスカッション. アイディアシートを学生に利用することを促し,学生. 前に考えたことをアイディアシートに記入させ,ディス. のディスカッションにおける内容を記録するため,毎. カッション中は,アイディアシートに記入した内容を参. 回の授業後にアイディアシートのコピーを採った.さ. 照しながらディスカッションを進めさせた.授業終了の. らに,中間発表,および最終発表の際に発表の様子を. 際にアイディアシートを提出させ,コピーを採った後に. ビデオに収録した.. - 118 -.

(3) 職業能力開発研究誌,33 巻,1 号. 2017. 学生に返却した.2 回目以降も同様に繰り返した.. 思考要素分析. 3. 2.5.. 思考内容の分析方法 学生がディスカッションを通して電気装置設計製作. 思考内容を分析するために,学生全員のアイディア シートに書かれた手書きの文章をデジタルテキストデ. を行う過程で思考していた内容を捉えるために,アイデ. ータにした.これらの文章を文節ごとに区切り,一つ. ィアシートに書かれた言葉の内容を分析することで思. 一つの言葉を思考要素(以下,思考要素)として分析. 考内容の特徴を捉える.次にグループディスカッション. を行った.中間発表,および最終発表の際に録画した. におけるメンバー間の意思疎通がディスカッションの. ビデオは,分析の参考とした.. 活発化に影響を与えていると考え,グループごとに思考 内容の比較を行う.さらに,ディスカッションで発散を. 2.6.. 増やすためには,話す内容の連鎖が必要だと考え,思考. 思考要素の分類. 内容のつながりについて分析を行う・. 学生が思考内容を分析するために,学生全員のアイ ディアシートに書かれた言葉を整理して分類した.そ の結果,制御装置設計製作で求められる要素を「装置」 ,. 思考要素の特徴. 3.1.. 各グループの思考内容の特徴を把握するために,グル. グループワークに求められる要素を「グループワーク」 として大別した.さらに「装置」の内 容を中分類として「設計」 「要求」に, 小分類として「環境」 「製図」 「ハード ウエア」「ソフトウエア」「使用」「時 間」 「安全」の 7 項目に分類した.ま. 0% G1. 10.9. 11.8 1.6. 類として「管理」「プレゼンテーショ. G4. ン」 ,小分類として「役割」 「工程」 「製. G5. た(表 2) .. 11.9. G2 G3. は,これら 11 項目の分類を基に行っ. グループワーク 80% 100%. 60%. 40%. グループ. た,「グループワーク」の内容を中分. 作」「発表」の 4 項目に分類した.分析. 20%. 装置. 平均. 18.2 4.4 7.4 3.7 9.9 2.9 11.6. 14.4. 5.9 9.9 5.9 2.0 3.0 2.0 3.0 18.2 25.2. 29.7 4.2 7.7 1.0 1.3 24.8. 4.4 0.9 2.8 1.6 4.6 3.7 2.8 2.8. 1.9 39.8. 30.1 1.6 14.8. 22.4 0.3 2.9 1.3 1.3 0.6 6.1 20.5 0.61.8 3.5. 44.4. 3.2 3.62.5. 30.6. 4.9. 1人 平均 [要素 評価 数] 順位. 15.8. n=101 21/人. 4. 14.7. n=314 63/人. 2. n=319 80/人. 1. n=108 27/人. 5. n=313 78/人. 3. 9.4 20.4 10.9 14.2. n=231 52/人. 環境. 製図. ハードウエア. ソフトウエア. 使用. 時間. 安全. 役割. 工程. 製作. 発表. 系列12. 図 2 思考要素の割合. 図 3 活発にディスカッションが行われた際の思考内容. - 119 -.

(4) TRANSACTIONS OF JASVET VOL. 33, NO. 1 2017 ープごとの思考要素の割合を示したのが,図 2 である.. 考要素の総数は,比例していない.一人当たりの思考要. 思考要素の総数は,G3 が最も多く,次に G2,G5,G4,. 素数が多い順に並べると,G3,G5,G2,G4,G1 とな. G1 となった.ここでも,各グループのメンバー数と思. った.G3,G5,G2 と G4,G1 の数に大きな差がある.. n=20. n=61. n=66. n=66. n=12. 凡. 例. n=69 語句の数 要素数. 3-5. 6-8. 9-11. 12-14. 15以上. 共起関係 弱い. 強い. 語句のつながり 少ない. 図 4 共起ネットワークによる思考要素のつながり. - 120 -. 多い.

(5) 職業能力開発研究誌,33 巻,1 号 グループの評価と比較すると,上位グループは一人当た. 2017. を増やすツールが必要であると考えられる.. りの思考要素数が多いが,下位グループは思考要素数が 少ない傾向にある.このことから,思考要素数と作品評. 3.2.. 価が関係していることが考えられる.. グループ内の意思疎通. 各グループ内の意思疎通を明らかにするため,思考要. 思考要素の平均では, 「ハードウエア」 「製作」の割. 素数が多い時に活発にディスカッションが行われている. 合が高く,「使用」「安全」が少なく,思考が偏ってい. と考え,グループ全員の思考要素数が最も多い授業の回. る. また,最も評価が高かった G3 は, 「グループワ. に着目した.各グループの思考内容を比較したのが,図. ーク」である「製作」の割合が他の班に比べて高かっ. 3 である.リーダーとメンバー全員の思考要素が最も多. た.このことからグループディスカッションでは,思. い項目に着目すると G3,G5,G1 は,リーダーとメンバ. 考要素を増やし幅広い内容の思考ができるように気づ. ーの最も多い思考要素が「ハードウエア」で同一である. かせ,グループ内でのリーダーシップが必要な「製作」. のに対し,G2 はリーダーとメンバーの思考が類似して. G3 環境 製図. 10. ハードウエア. 8 23. ソフトウエア 使用 時間. 4. 安全. 2. 役割 工程. 1. 製作. 1. 発表. 1. 1. 2. 1. 1. 3. ー. ハ ソ つ 共 フ ド ト な 起 が 関 ウ ウ 環 製 エ エ 使 時 安 役 工 製 発 合り 種係 境 図 ア ア 用 間 全 割 程 作 表 計の 類の. ー. ハ ソ フ つ 共 ド ト な 起 が 関 ウ ウ 環 製 エ エ 使 時 安 役 工 製 発 合り 種係 境 図 ア ア 用 間 全 割 程 作 表 計の 類の. G1. 0. 0. 環境. 1. 1. 1. 10. 1. 製図. 3. 3. 1. 31. 2. ハードウエア. 4. 0. 0. ソフトウエア. 0. 0. 4. 1. 2. 1. 安全. 0. 0. 役割. 1. 1. 工程. 3. 3. 製作. 7. 4. 発表. 58. 13. 1. 11. 3. 1. 3. 4. 2. 使用. 0. 0. 時間. 0. 0. 1. 1. 0. 0. 環境. 1 2. 1. 1 2. 1. 1. 2. 2. 0. 0. 7. 5. 29. 15. ー. G2. 1. ハ ソ つ 共 フ ド ト な 起 が 関 ウ ウ 環 製 エ エ 使 時 安 役 工 製 発 合り 種係 境 図 ア ア 用 間 全 割 程 作 表 計の 類の. ー. ハ ソ つ 共 フ ド ト な 起 が 関 ウ ウ 環 製 エ エ 使 時 安 役 工 製 発 合り 種係 境 図 ア ア 用 間 全 割 程 作 表 計の 類の. 6. G4. 0. 0. 環境. 0. 0. 4. 2. 製図. 0. 0. 27. 3. ハードウエア. 0. 0. 4. 1. ソフトウエア. 0. 0. 使用. 0. 0. 使用. 時間. 0. 0. 時間. 4. 2. 9. 3. 8. 2. 工程. 4. 3. 製作. 25. 6. 発表. 85. 22. 製図. 1. 3. ハードウエア. 2. 5 20 4. ソフトウエア. 安全. 3. 役割. 3. 工程. 1 2. 4. 2. 製作. 1. 2. 発表. 3. 1. 6 1 3. 1. 6 11. 0. 0. 1. 1. 安全. 0. 0. 役割. 0. 0. 1. 1. 1. 1 1. 2. 1. 2. 1. 2. ー. ハ ソ つ 共 フ ド ト な 起 が 関 ウ ウ 環 製 エ エ 使 時 安 役 工 製 発 合り 種係 境 図 ア ア 用 間 全 割 程 作 表 計の 類の. G5 環境 製図. 7. ハードウエア ソフトウエア. 15 3. 0. 0. 7. 1. 15. 1. 1. 4. 2. 4. 2. 使用. 2. 2. 時間. 2. 1. 4. 3. 安全. 1. 0. 0. 役割. 0. 0. 工程. 1. 2. 製作. 5. 5. 5. 3. 発表. 8. 6. 4. 3 15 11. 9. 3. 2. 27. 5. 47. 6. 111. 22. 共起関係の数. 1 ~5. 6 ~10. 11 ~15. 16 ~20. 21 ~25. 枠内の数字は、思考要素のつながりの個数を示す。. 図 5 思考要素のつながり. - 121 -. 2. 4. 3. 7. 4. 13. 9.

(6) TRANSACTIONS OF JASVET VOL. 33, NO. 1 2017 いるが「製図」 「ハードウエア」 「役割」 「製作」など分散. が,下位の G1,G4 よりも多い.最も評価が高い G3 の. している.一方 G4 は,リーダーが「製作」を中心に思. 語句の数が 61,最下位の G4 が 12 となり,5 倍の差と. 考しているのに対してメンバーは,「ハードウエア」「ソ. なった.上位グループは,ディスカッションと作業を繰. フトウエア」 「発表」を中心に思考しており,思考要素が. り返しながら広い内容を思考していたと考えられる.ま. 少ないことに加え異なった要素を思考している.このこ. た,全てのグループにおいて 9 回以上出現する中心的な. とから,上位のグループは,下位グループよりも意思疎. 語句があるが,上位グループはそれが複数あるのに対し. 通をしている傾向があると考えられる.しかし,上位グ. て下位グループは一つしかない.上位グループは,下位. ループである G2 でも思考が分散しており,リーダーと. グループに比べてキーワードとなる言葉がいくつかあり,. グループメンバーの意思疎通を図るツールが必要である. 複合的な内容になっているが,下位グループは単一の内. と考えられる.. 容になってディスカッションが進められていたと考えら れる.次に,思考要素の共起関係に着目すると,共起関. 3.3.. 思考要素のつながり. 係が強いのは,G3 の「サイズ」 ,G2 の「設計」 ,G5 の. ディスカッションにおける思考内容の連鎖の状況を把. 「パワポ」 ,G1 の「ターゲット」 ,G4 の「発表」となっ. 握するために,共起ネットワークにより分析を行った.. た.上位グループと下位グループ共に,設計の際に出現. 分析は,KH Coder[注 1]を用いた.共起ネットワークとは,. する「装置」ではなく, 「グループワーク」 ・ 「発表」の共. 文章中で使われている語句の状態を円の大きさとそれを. 起関係が強いグループがあった.. 結ぶ線の太さで視覚的に表現したものである.本研究で. さらに,思考要素間のつながりを示す線に着目すると,. は,共起ネットワークに次の条件を適応した.①3 回以. 全ての上位グループの数は,下位グループの 2 倍以上と. 上出現した語句のみ表示させ,語句の出現数が多いほど. なった.最も数が多かったグループは G5 の 111 で最も. 大きな円とする.②語句と語句に共起関係があると線で. 少ない G4 の 13 と比較すると 8 倍の差があった(図 5) .. 結ぶ.③媒介中心性が高いほど色が濃い.. 全ての上位グループは「ハードウエア」を中心に思考し. グループメンバー全員のアイディアシートを1つに. ているが,下位グループは「ハードウエア」を思考して. まとめ,共起ネットワークを使い分析した結果,図 4 と. いなかった.言葉のつながりにおいても上位グループは,. なった.上位グループと下位グループを比較すると,語. 下位グループに比べて内容を連鎖しながらディスカッシ. 句の出現数を表す円の数において上位の G3,G2,G5. ョンを進めていたと推察される.. ディスカッションシート(気付き) グループ名: . ディスカッションシート(ディスカッション内容の整理) 1/2. 授業科目名: 学籍番号: 氏名: 年 月 日 時間: 時 分. 2/2 ディスカッション内容の整理(次の要素を意識しましょう) 設計(環境,製図,ハードウエア, ソフトウエア). 要求(操作性,処理時間,安全性). 管理(役割分担,工程管理,製作). プレゼンテーション. ディスカッション中の気付き. リーダーのキーワード: 作業中の気付き. 図 6 開発したディスカッションシート. - 122 -.

(7) 職業能力開発研究誌,33 巻,1 号. 2017. これらの結果より,ディスカッション中に一つのことに. を明らかにし,ディスカッションを進めるためのツール. 固執せず, 「装置」の「ハードウエア」を中心に幅広い内. としてディスカッションシートを作成した.. 容を連鎖的に思考させるツールが必要であると考えられ. (1) 上位グループは,下位グループよりも一人当たりの. る.. 思考要素数が多く,思考要素の数が作品評価に影響 している.しかしながら,上位グループの学生でも. 今後の展開. 4.. 思考要素は,「ハードウエア」と「製作」に偏って いるため,思考要素を増やし幅広い内容の思考がで. ディスカッション補助教材の提案. 4.1.. きるように気づかせるツールが必要である.. 分析結果と考察よりディスカッション中に思考を発散. (2) 学生の製作課題を進める際に,グループ内の思考が. させて思考要素を増やし,内容のつながりをつくること. 分散しており,グループリーダーとメンバーの意思. が必要であると考え,ディスカッションシートを作成し. 疎通ができていない.グループリーダーとメンバー. た(図 6).ディスカッションシートは,初学者でも判り やすくするために,ディスカッション中や作業中のメモ. の意思疎通を図るツールが必要である. (3) 上位グループは,下位グループに比べてキーワード. として使える「気づき」とそれを自己分析させるための. となる言葉が複数あり,複合的な内容になっている.. 「整理」にした.また,思考内容の分類についても迷わ. ディスカッションシートを用いてディスカッショ. ないように類似の項目をできるだけまとめ,4 項目とし. ンの内容を複合的にすることは難しいと考えられ,. た.さらに,リーダーを意識させるために「リーダーの. 複合的な内容を図るツールは次の段階のツールだ. キーワード」を設けた.. と考えられる. (4) 思考内容の共起関係を分析した結果,上位グループ. ディスカッションシートの運用方法. 4.2.. は,下位グループに比べて思考内容を連鎖しながら. ディスカッションシートの運用方法は,図7である.. ディスカッションを進めていた.これらの結果より,. ディスカッション中は,メンバー全員が気付いたことを. ディスカッション中に一つのことに固執せず,「装. ディスカッションシートの「ディスカッション中の気付. 置」の「ハードウエア」中心に広い内容を連鎖的に. き」欄に記録する.ディスカッション後,グループリー. 思考させるツールが必要であると考えられる.本研. ダーはグループ内の意思疎通を図るために「リーダーの. 究は,ディスカッションの一部分を分析しているた. キーワード」欄に「ディスカッション中の気付き」欄か. め,今後は電気装置設計製作実習全体の思考連鎖の. ら製作中に考えて欲しいことをキーワードとして挙げる.. 分析が必要である.. その後,メンバーはキーワードを意識しながら分担の設. (5) 明らかになった特徴を基にディスカッションを促. 計製作作業を行い,気づいたことをディスカッションシ. 進するためのツールを考察した.本ツールを用いて. ートの「作業中の気付き」欄に記入する.授業終了前に. 次回の電気装置設計製作実習でディスカッション. ディスカッションシート(気付き)のページを参考にし,. 中の思考の発散状況を確認する予定である.. 思考内容を中分類である「設計」 「要求」 「管理」 「プレゼ ンテーション」に整理して次のディスカッションに備え る.中分類にしたのは,小分類にすると内容が細か過ぎ. 参考文献 [1]. 阻害してしまうと考えたためである.これを繰り返しな がら電気装置設計製作実習を進める.. 波頭亮著: 「思考・論理・分析・ 『正しく考え,正し く分ること』の理論と実践」産業能率大学出版部,. るため,思考の自由度がなくなり,ディスカッションを. pp.16-pp.20 [2]. 和田浩一,斎藤孝晴,種村俊昭,棒田恵,西村伸也: 建築プロセスにおける空間創造の思考法に関する. 授業の進行 ディスカッション中. ディスカッション中の気付き. ディスカッション後. リーダーのキーワード. 設計製作作業中. 作業中の気付き. 授業終了前. ディスカッション内容の整理. 図7. 研究. ディスカッションシートに 記入させる欄. の教育的試行-,日本建築学会計画系論文集,第 80 巻, 第 713 号,pp1535-pp1545,2015 年 7 月. 次回のディスカッ ションで参考 にさせる. [3]. 和田浩一,府川直人,西村伸也,高橋鷹志:建築設計者 の思考の連続--エスキスにおける設計プロセスに 関する研究,日本建築学会計画系論文集 74(645), 2379-2387,2009 年 11 月. ディスカッションシートの利用方法. [4]. 益子光徳,西村伸也,高橋鷹志,和田浩一,小林信 子「思考過程における行動の想定を用いた空間生成. まとめ. 5.. -空間で展開される場面を用いたエスキース. に関する研究」日本建築学会大会学術講演梗概集,. 電気装置設計製作実習で行われたディスカッションを. pp.537-pp.538,1999 年 9 月 Omer Akin: An exp1oration of the Design process,. 観察し,学生全員のアイディアシートに書かれた言葉を 整理して 11 項目に分類して分析を行った結果,次の特徴. - 123 -. Development in Design Methodology,Edited by Nigel. Cross,John. Wiley. &. Sons. Ltd..

(8) TRANSACTIONS OF JASVET VOL. 33, NO. 1 2017 *和田 浩一, 博士(工学) 職業能力開発総合大学校,能力開発院 〒187-0035 東京都小 平市小川西町 2-32-1 email:[email protected] Koichi Wada, Polytechnic University of Japan, 2-32-1 Ogawa-Nishi-Machi, Kodaira, Tokyo 187-0035. pp.189-207,1984 樋口耕一作:KH coder_manual, http://khc.sourceforge.net/,pp.57-pp.58,2015 年 12 月 12 日 (原稿受付 2017/01/10,受理 2017/03/31) *篠﨑 健太郎 近畿職業能力開発大学校,生産電気システム技術科 〒596-0817 大阪府岸和田市岸の丘町 3 丁目 1 番 1 号 email:[email protected] Kentaro Shinozaki, Kinki Polytechnic College of Japan,3-1-1, Kishinooka-Machi, Kishiwada, Osaka 596-0817. 注 [注 1]. KH Coder とは,樋口耕一氏[6]により開発されたテキスト. データを計量的に内容分析することができるフリーソフトウエ アである.多く出現していた語の確認や語と語の結びつき(共 起ネットワーク)を分析できる.. - 124 -.

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