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通信と放送の融合:6.放送と著作権

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Academic year: 2021

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(1)特集 通信と放送の融合. 6. ).  . (. 放送と著作権. (株)毎日放送 メディア開発局デジタルセンター. 放送と通信の融合が大きくとりあげられるようになり,著作権が大きく注目されるようになった.放送番組などの 映像コンテンツは,原作・脚本・音楽・実演家など複数の権利を利用することによって構成され,権利の固まりとよ く言われる.また,同じ知的財産権でも特許権などが産業的なモノを扱うのに対して,著作権は文化的なモノを扱っ ていることから,一見抽象的で複雑なように思われるかもしれない.さらに,ネットに放送番組がなかなか出てこな いことにより,放送事業者が番組を出し惜しみしているのではないかという声もある. そこで,放送をいろいろな角度から整理しながら,今一度,放送番組における著作権について考察する.. 供する広告市場の2つの市場を持つと言える.同時に広. 放送事業者のビジネスモデル. 告主と視聴者も,広告の財・サービスの売り手と買い手.  民間放送(以下,民放)ができて50年強になる.広告収. など利害関係にあるということを考えると,放送産業は. 入だけを財源にしてきた地上波民放事業者は,日本経済. 放送事業者,広告主,視聴者の他社間取引と考えること. の成長とともに順調な成長を遂げてきた.1975年には新. ができる(図-1).. 聞広告費を上回り,1980年にはテレビ,ラジオを合わせ.  また,放送事業者における商品としての広告は,番組. て,産業規模が1兆円を突破した.さらに,1997年には. 本編を提供する形態で放送されるタイム広告および番組. 2兆5千億円を超え,現在まで同規模に推移している.. と番組の間の時間(ステーションブレイク)を切り売り販.  これまでの放送産業におけるビジネスモデルを考えて. 売するスポット広告に分けられており,放送番組の製作. みた場合,視聴者に放送番組などのコンテンツを提供す. 費はタイム広告からというのがおおまかな構造になって. る番組提供市場と,広告主に視聴者等へのアクセスを提. いる.. 番組供給市場. 広告市場. 番組料金 番組 CM視聴. 視聴者. 放送事業者. 広告料 CM枠 (視聴者への露出). (広告主の財の市場) 広告主の財・サービス取引. 広告主. 図-1 多者間取引の放送産業 IPSJ Magazine Vol.47 No.2 Feb. 2006. 143. 特集   通信と放送の融合   6   放送と著作権. 横山 孝文.

(2) 放送番組の著作権. 作にかかわるスタッフなどについては,番組制作委託契 約によって,契約をかわしている.原作,脚本,音楽な.  次に放送番組における著作権について整理する.著作. どの著作権者であるクラシカルオーサーや実演家として. 者が持つ権利は, 「人格権」と「財産権」の2つが基本とな. の著作権および著作隣接権,および放送事業者と権利者. っており,通常は,著作者人格権と著作権(財産権)を合. 団体との間で交わしている団体協約についてまとめる.. わせて著作者の権利と呼んでいる.著作権 (財産権)およ び著作者人格権は,著作物を創作した時点で発生し,権. 1)文芸作品(小説,随筆,詩,小説など). 利を得るための手続きを一切必要としない無方式主義を. ア)日本文藝家協会 (著作権管理事業者). とっている (著作権法第17条第2項).. 実務協定で取り決められている事項.  著作権(財産権)は,著作者の財産的利益を保護する. ・ドラマ化の場合の原作使用料. 権利であり,財産的価値のある著作権は,物権や債権の. ・小説(詩および短歌,俳句,川柳など)の使用料. ように,その一部または全部を譲渡したり相続したりす. ・小説などの朗読形式の使用料. ることが可能である(第61条) .したがって,通常,権利. ・演芸物の原作使用料. が発生した時点では,著作者と著作権者は同一であるが,. ・再放送時の料率. 著作権が譲渡されたり相続されたりすれば,著作者と著. ・その他(単独放送の場合の原作使用料,舞台中継の. 作権者は異なることになる.. 使用料など).  また,著作者人格権は著作者の人格的利益を保護する. 2)放送脚本(ドラマ脚本,構成脚本). 権利であり,著作者以外の第三者にこの権利を認める. ア)日本脚本家連盟 (著作権管理事業者). ことは適切でないことから,著作者人格権を譲渡したり,. 実務協定で取り決められている事項. 相続したりすることはできないとされている(第59条).. ・執筆委託時の最低脚本料.  さらに,テレビやラジオドラマの役を演じたり,芝居. ・既成脚本を使用する場合の料率. や音楽の演奏などによって,著作物を世の中に伝える人. ・演芸著作物の使用料. たちの権利を認め保護する制度として著作隣接権が存在.  ・再放送時の料率. する.著作隣接権は, 「実演家」, 「レコード制作者」 , 「放.  ・その他脚本執筆についての諸条件. 送事業者」,「有線放送事業者」の4者が持つ権利であり,.  ・地上波局製作番組をBSディジタル社へ番組販売す. 著作隣接権も,著作権と同じで一切の手続きなしで保護. る場合の料率 (覚書). される(第89条第5項) .. イ)日本シナリオ作家協会 (著作権管理事業者).  ところで,映像コンテンツである放送番組は多数の著.  ・日脚連会員の場合と同様に処理する. 作権が介在していることから権利の塊といわれている..  ・BS社の局制作番組の最低脚本料や地上波番組のBS. 放送番組を制作するためには,小説,論文,絵画,写真,. 社への番組販売については,日脚連とは別途の暫定. 映画,音楽等の著作物や実演やレコードなどの多数の権. 的な取り決め. 利物を利用する必要が生じるためである.これらの利用. 3)音楽(歌詞・楽曲). については,著作権,著作隣接権,肖像権等の権利が働. ア)日本音楽著作権協会 (著作権管理事業者). くため,それぞれの権利者から事前に使用許諾を得る必.  ・放送と放送に付随する限定的な録音については,. 要がある.このために放送事業者は放送番組の一般的な. JASRACとの包括的な協約により処理(外部プロダク. 利用範囲と方法を想定して権利者団体と契約を結び,そ. ションへの発注番組も含む). の範囲に限定した使用許諾を受けるとともに,著作権使 用料を支払っている.  著作権者のなかでもモダンオーサーとよばれる番組制.  ・平成13年度から17年度までの5年間適用する協約を 締結 4)商業用(市販)レコード ア)日本レコード協会 (著作権管理事業者)  ・レコード放送使用料の包括契約(2次使用および複製 使用料) イ)日本芸能実演家団体協議会 (著作権管理事業者)  ・レコード放送使用料の包括契約(2次使用および複製 使用料) 5)実演家 ア)日本芸能実演家団体協議会 (著作権管理事業者). 144. 47 巻 2 号 情報処理 2006 年 2 月.

(3) 【ユーザ側】 映画制作者(映画会社) 放送局 外部プロダクション. 「協定・契約」 【権利者団体】. 映画の著作物の帰属(第29条第1項) 著作者の擬制 職務著作(第15条第1項). 加盟 日本文藝家協会(旧保護同盟) 日本脚本家連盟(日脚連) 日本シナリオ作家協会(シナ協) 日本音楽著作権協会(JASRAC ) 日本レコード協会(レコ協). 利用. 原作 脚本. 【クラシカルオーサー】 参加 俳優(実演家) ナレーター(実演家) 奏者(実演家) 【著作隣接権 】. 著作権 スタッフ. スタッフ (著作権). 著作者 人格権. 代表:監督. 【モ ダンオーサー】. 日本映画監督協会(監督協会). 図-2 著作権から見た放送番組の構成.  ・再放送などの際の使用料(最初の放送における出演 料は各社規定)  ・地上波局制作番組のBS社への番組販売などについ て暫定的規定. しておきたい事項である.  地上波放送は総合編成である.いわば専門チャンネル ではなく,ニュース番組,ドキュメンタリー,ドラマな ど,さまざまなジャンルに分けることができるが,ビデ. イ)実演家著作隣接権センター(著作権管理事業者). オパッケージ化やネット配信などの放送番組の2次利用.  ・再放送などの際の使用料(最初の放送における出演. を考えた場合,放送番組の性質の違いによる2次利用先. 料は各社規定)  ・地上波局制作番組のBS社への番組販売などについ て暫定的規定. の違いが発生することにも注意が必要である.また,契 約上などからも2次利用できる放送番組ジャンルはかな り限られてくると言える(図-3) .  次に制作形態の点から放送事業者が主体となって番組.  なお,これらの団体に著作者や著作隣接権者が,非信. を企画・製作する局制作番組について考えてみる.この. 託もしくは委任していない場合は,著作権者や著作隣接. 場合の収録(録音・録画) 番組は,いわゆる 「映画」ではな. 権者と直接協議が必要になる.. いが,物に固定されていることを考えると 「映画」として.  以上をまとめ,図-2に著作権から見た放送番組の構. の条件は満たしていると言える( (定義)第2条第3項,第. 成図を示す.. 29条第2項)のだが,第29条第3項にいう「もっぱら放送事.  これら各著作権団体との団体協約については,地上波. 業者が放送のための技術手段として製作する映画の著作. 放送の利用だけではなく,地上波放送番組のマルチユー. 物」というのが局製作番組の実態であり,その番組に関. スとして国内BS放送,国内CS放送,海外送出,国内ケ. 係する権利者に対して「映画」 としての利用を目的とした. ーブルテレビ供給,市販用ビデオグラムに関しても協定. 契約を結び,許諾を得ない限り通常の 「映画」としての利. が結ばれている.. 用はできないのである.  現在多くの放送番組については,「映画」としての契約. 放送番組の2次利用. を結んでいないことから,放送番組は放送のみに限定さ れた利用になっており,パッケージ化やネット配信など.  放送番組は,ジャンルや制作形態・権利処理体系が多. 2次利用するためには,あらためて関係権利者に対して. 様である.これも放送番組の著作権が複雑とされる原因. 許諾を得る必要があるのである.もちろん,先に「映画」. の1つと言え,放送番組を考えた場合にはぜひとも整理. としての契約を結ぶのであれば,対価を支払うか支払う IPSJ Magazine Vol.47 No.2 Feb. 2006. 145. 特集   通信と放送の融合   6   放送と著作権. 加盟 日本芸能実演家団体協議会 (芸団協) 日本音楽事業者協会(音事協) 日本俳優連合(日俳連) 日本音楽家ユニオン 日本制作者連盟(音制連) 映像実演権利者合同機構(PRE). プロデューサー 監督 ディレクター アシスタントディレクター カメラマン(撮影) 美術監督 音声マン スタイリスト タイムキーパー 他.  . 音楽(作詞・作曲家) 音楽(レコード会社) 写真・借用素材 建築物.

(4) 番組ジャンル  ニュース番組  天気予報  ワイドショー  スポーツ  ドキュメンタリー  旅行・紀行もの. BS・CS ,海外番販への供給は可能だが, パッケージ系の2次利用には不向き. 外国メディアとの契約等で制約を受ける 場合もある.. Webにてテキスト・画像による情報が中心. レコード会社と歌手の専属契約等により,原則不可能.  劇場用映画.  アニメーション. ニュースは一部の海外配信やスポーツ素材を 除き配信.天気は画像・テキスト情報が多数. スポーツは契約により徐々に増加傾向. ドキュメンタリーは著作権以外の問題で困難.. 紹介した店・宿等の確認作業が必要であり, パッケージ系の2次利用は事実上不可能.  歌謡番組.  ドラマ  情報バラエティ. ネット利用の現状. 一般的な番組 2次利用に関する事項. 原則,放送権の購入のみ 放送で人気を博すこと が商品として大前提. 具体的な権利処理へ. 企画・制作形態等により,2次利用の扱いが異なる. 局制作ドラマの暫定ガイドライン 動画配信が増加. スポーツなどの放送権契約等での制約も受ける 注) 上記の他,放送時のスポンサー,地上ネットワーク,. 図-3 放送番組のジャンルと2次利用 (基本事項). ことを前提とせねばならず,放送番組を広告収入にて制 作しているこれまでの放送事業者のビジネスモデルを大. 放送事業者としてやるべきこと. きく変更せねばならないといえよう..  まずは,これまでのビジネスモデルにとらわれずに,.  ただし,2005年3月22日に日本経団連から2006年3月31. 新たなビジネスモデルの開発であろう.放送番組のマル. 日までの期限付きで,局制作のテレビドラマをブロード. チユースもその1つとするのであれば,本来,放送事業. バンド配信する場合のガイドラインが発表され,局制作. 者が得意とするライツコントロールをしっかりとやるべ. ドラマに限って言えば配信が可能になったと言える.暫. きである.そのためには,権利情報を整理するためのデ. 定料率の内訳は文芸著作として日本文藝家協会,日本. ータベース構築も必要であろうし,権利の集中管理部門. 脚本家連盟,日本シナリオ作家協会の3団体については,. も必要になってくるであろう.また,ライツにかかわる. 情報料収入の2.8%.音楽著作であるJASRACには,情報. 業務は,実務を伴いながら経験知を重ねつつ,常にコン. 料収入と広告料収入のそれぞれ1.35%.レコードとして. テンツにかかわる状況を学習しながら進めるしか手はな. 日本レコード協会,日本芸能実演家団体協議会・実演家. く,著作権法だけでなく商法・不正競争防止法・下請け. 著作隣接権センターには情報料収入の1.8%を,日本芸. 法など番組制作に関係する法制や各種契約といったライ. 能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センターには. ツに関する専門的な人材が必要になってくるであろう.. 3%を支払うというものである.いずれも平成18年度以 降の著作権使用料については,改めて協議されることに なっている.  その他の番組制作形態で言えば,放送事業者が制作プ ロダクションに制作を委託するものや制作プロダクショ ンが独自に制作し放送事業者がその放送権を購入すると いった形態である制作委託番組や局制作番組の一部を制 作プロダクションに業務委託といった形式があるが,契 約によって2次利用について制限がかかっていることも ある.. 146. 47 巻 2 号 情報処理 2006 年 2 月. 参考文献 1) 菅谷 実,中村 清編著:放送メディアの経済学,中央経済社(2000). 2) 稲田植輝:最新放送メディア入門,社会評論社(1998). 3) 内藤 篤:エンタテイメント契約法,商事法務(2004). 4)平成14年度日本自転車振興会補助事業 デジタルコンテンツをめぐ る法的課題に関する調査研究 コンテンツ保護技術とその法的評価, http://www.dcaj.org/report/contents/contents.pdf 5)過去の放送番組の二次利用の促進に関する報告書 ,http://www.bunka. go.jp/1tyosaku/pdf/kakohousou_houkokusho.pdf (平成17年12月5日受付).

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参照

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