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共創の場の設計とそれに伴うコミュニケーションの検証

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Academic year: 2021

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共創の場の設計とそれに伴うコミュニケーションの検証

A Verification of Team-communication through Design a Co-creative Activities

池田 晃一

Koichi Ikeda

株式会社 岡村製作所 オフィス研究所

Office Research Center, Okamura Corporation

Abstract: It is increasing that requests for co-creative activities . There are few papers have been focused

on detail of activities that co-creative team had done. In this paper, we try to clarify their characteristics by analyzing the communication which co-creative team had taken. A results of analysis show that many ad hoc communication with small number of people occurred and most of them were done online. We also found that SNS group pages and messengers play a useful role for co-creation.

The result show that members of executing co-creative activities are not necessarily at the same time and in the same place. If they can get information about confirming each other's situation, they can work proceeding by self-direction.

1.共創する集団の特徴を捉える

近年,共創(Co-creation)という言葉が頻繁に使わ れるようになり,企業間,大学間などに限らず,さま ざまな場で多様な人が交流し,新たなモノやサービ スを作り上げていく活動が活発に行われるようにな ってきている. それに伴い,「共創の場」や「共創空間」が設計さ れているが,それらが共創を行っている人たちの行 動に基づいて設計されているかといえば,そういっ た事例は少ないのが現状である. 本稿では,人工知能学会市民共創知研究会におい て,第 2 回研究会の開催のために実務に携わったメ ンバーを対象に,コミュニケーションを記録し,その 実態から共創を行うチームの活動の特徴を明らかに する.それらの特徴から,彼らの活動を支援するため にはどういった環境が必要なのかについての提案を 行う.

2.コミュニケーションの分析

2.1 共創的な集団の定義と対象

柴崎ら1)によれば,共創とは映画『七人の侍』にお いて,野武士から集落を守るという「共通善」のも とに異能な 7 人の侍(メンバー)が集まり,それぞれ が力を出し切って戦ったように,共通善のもとに異 能なメンバーが集まり,それぞれが過度に足並みを そろえることなく,自律的に活動する状態であると される.共通善とは集まったメンバー誰もが実現で きたら良いと考える大きな課題である. 足並みをそろえずというポイントは,ネガティブ な意味ではなく,共創に求められるスピード感を保 つためには,実作業や意思決定の停滞が大きな阻害 要因になることから導かれている. 本稿において分析の対象になるのは市民共創知研 究会第 2 回研究会のプログラムをつくるために集ま った 8 名のメンバーであり,メンバーの所在地は東京 (2 名),横浜(2 名),名古屋(3 名),長崎(1 名)と日本 全国に所在し,一堂に会して作業や打ち合わせを行 うことが難しい状況にあった.また,メンバーの専門 性も情報工学,建築学,コミュニケーション研究者, 地域コミュニケーターと多岐にわたる. 研究会の開催という「共通善」のもとに異なる専 門性をもった,遠隔地に生活するメンバーが集まり プロジェクトを進めたことから,このチームが共創 的なチームであると判断した.

2.2 コミュニケーションの記録

堀田ら2)によれば共創においては 1)学習,2)共有と 対話,3)プロジェクト化,4)行動促進の 4 つのフェーズ があるとされ,本稿で記録するコミュニケーション は 3)と 4)の期間にとられたものである. コミュニケーションの記録は 2016 年 12 月より 2017 年 6 月末まで 7 か月間にわたり行い,メールや SNS 上でのやり取りを逐一記録した.結果として 482

(2)

件のコミュニケーションが記録された.記録された コミュニケーションは「オンライン/オフライン」, 「双方向/一方向」「同期/半同期/非同期」といったタ グをつけて管理した.

3.分析結果

3.1 オンライン/オフラインの割合

得られたデータにおいて全コミュニケーションに 占めるオンラインの割合は 94.8%であった.(図 1) 一方,一部のメンバーがリアルに対面してとった コミュニケーションは 5.2%にとどまり,メンバー間 のコミュニケーションのほとんどはネットワークを 介して行われていたことがわかる. さらに,オンラインコミュニケーションで用いら れた手段をみると,一番多かったのは SNS 上につく られたメンバー限定のグループページでのやり取り であった.SNS のグループページは事務的な連絡を 記載する以外に制作段階のファイルを順次アップし, 互いに確認するために用いられていた. 次に多く用いられていたのは SNS のメッセンジャ ー機能を用いてのやり取りであった.グループウエ アにおけるチャット機能と同様に,直接案件に関わ っているメンバーをグルーピングし,ちょっとした ことを聴きたい時に用いたり,質問を投げかけてお いて,手が空いたときに答えてもらうなどのやり取 りが行われていた.

3.2 同期/半同期/非同期の割合

コミュニケーションがとられていた場所と同期性 をしめしたのが図 2 である.場所は一緒の場所にいる 「ローカル」と遠隔地にいる「リモート」,同期性は 即時に応答が求められる「同期」,状況を見てタイミ ングをずらせる「半同期」,即時の応答を求めない「非 同期」の 3 分類となっており,利用するメディアに よって選別した. 内訳をみてみると,実に 92%以上のコミュニケー ションが「半同期」または「非同期」で行われてい たことがわかる.プロジェクトメンバーは他に本業 を持っており,自由がきく時間を使ってプロジェク トを行っているため,無理に即時の応答を求めず, 情報や質問を投げかけておいて,都合の良い時に返 事をするという形態が好まれたと考えられる. 本データを時系列でみていくと,プロジェクト初 期は F to F や音声会議などでお互い状況を共有しな がらコミュニケーションをとることが多く,中盤に はメールのような「リモート+非同期」の手段が活 用されていた.プロジェクトの後半では,SNS メッセ ンジャーのように,即時性は求めなくても,なるべ く早く,簡潔にやり取りが行える「リモート+半同 期」の手段が多用されていた.

3.3 コミュニケーションの規模

コミュニケーションに参加していた人数,規模の 内訳をしめしたのが図 3 である. プロジェクトのコアメンバーは 8 名であったが, 半数以上のコミュニケーションは P2P(一対一)で行 われていたことがわかる.これに 3 名でコミュニケー 5.2% 24.1% 30.3% 10.6%

94.8

%

27.2% 2.7% FtoF メール メンバー限定SNSページ 公開SNSページ SNSメッセンジャー 音声会議 図 1 記録されたコミュニケーションにおける オンライン/オフラインの割合 図 2 記録されたコミュニケーションにおける 同期/半同期/非同期の割合

(3)

ションをとっていた件数を加えると全体の 6 割を占 める. また,一人のコミュニケーションも 3 割にのぼる. 一人のコミュニケーションとは,SNS ページにアウ トプットを投稿し,「既読」になるものの返事が書き 込まれない場合などがこれにあたる.この場合,SNS の特性から,コメントなどの反応がなくとも「既読」 で内容は確認されており,とくに意見がないとして, 「承認」とみなされる.議論の必要がないものに関す る判断の確認がいち早く行える点で,とても経済的 なやり取りが行われていたことがわかる.

4.考察

以上の結果から共創時のコミュニケーションの特 徴として 1)必ずしも F to F で会う必要はなく,人と なりを知ったり,重要な意思決定をする際以外はオ ンラインで活発なコミュニケーションをとる,2)即 時の対応を求める同期のコミュニケーションをベー スとするのではなく,返信可能になった時点で返す 半同期や,熟考して返す非同期のコミュニケーショ ンを軸にやり取りを設計する,3)プロジェクト全体 で足並みをそろえるのではなく,2 ~3 人のコアな 関係者がアドホックに集まり,素早く議論し,その 結果を全員で共有することが求められていたという 3 つを挙げることができる.(図 4) 通常,企業や大学などで仕事や作業を行う際,労働 集約的な観点から,すべてのメンバーが一つの場所 に同時に集まることが良いと考えられてきた.しか し,情報通信技術が浸透し,SNS のようにネットワー ク上で多様なコミュニケーションを行うためのプラ ットフォームが整備された現在においては,必ずし も全員が同じ場所に集まり,同じ時間に作業を行わ なくとも共創を起こすことができる,その可能性の 一端を本研究の結果は示唆するものである. しかし,本研究で記録したコミュニケーションの うち,リアルに対面して行っていたものの内容を見 ると,互いの人となりを知るために自己紹介をし,打 ち解けるための機会であったり,実際にイベントが 開催される土地に赴いて,調査を行い,地元の人との 関係を構築したりとなかなかオンラインで行うこと が困難な場面が多く見受けられた. 多くの作業やコミュニケーションはオンラインで できたとしても,完全にそれだけで終わらせるので はなく,必要に応じて,現場を見たり,互いに理解が及 ばない点については膝を突き合わせて話し合うとい ったことも重要だと考えられる.

5.今後の展開

本稿では共創的な活動を行っているチームでとら れていたコミュニケーションに焦点をあて,その活 動の一端を明らかにした.現状では一事例の分析に とどまるため,今後はより多くのチームを対象とし, コミュニケーション以外にも,プログラムが作られ ているプロセスについても分析を行っていく所存で ある. オンラインコミュニケーションが基 本である が,キックオフ時,重要な意思決 定の際には 実際に会ってじっくり話し合う。 相手にリアルタイムの応答を求めず ,互いに 手が空いたときにやり取りする。 常に全員の足並みをそろえたり,了 解を得る のではなく,最も関係の深い少人 数グループ を編成して手を動かす。 図 4 共創下におけるコミュニケーションの3 つの特徴 図 3 記録されたコミュニケーションにおける 規模の割合

50.9

%

1人

P2P

3~5人

6人以上

50.9

%

30.0

% 4.0%

15.1

%

(4)

<補足> 本稿で対象としたチームの目標である第 2 回市民 共創知研究会(2017 年 6 月 30 日~7 月 2 日,長崎県対 馬市開催)であるが,イベント自体は計画以上に多く の参加者が集まり,活発な議論が起こるとともに, アンケート結果(図×)から参加者の高い満足度が明 らかとなり,十分な成果をあげたと判断した. 参考文献 [1]富士通 Forum2014Web より http://www.ashita-lab.jp/special/2532/ [2] Ryoji Horita, Minoru Mitsui, Takayuki Ito, Shun

Shiramatsu, Akihisa Sengoku, Katsuhide Fujita and Naoki Fukuta, A Design of Research Group Workshop to Generate Co-Creation Between Researchers and Citizens, The 12th International Conference on Knowledge, Information and Creativity Support Systems (KICSS 2017), Nagoya, Japan, Nov 9-11, 2017.

参照

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