大学生の自伝的記憶とアイデンティティ
10
0
0
全文
(2) 甲南女子大学大学院論集第 6号. 40. 表 自我 同一 性 地位. 自我 同 一性 地位 (無 藤 ,1979) 傾任. 経験 した. して い る. 幼児期 か らの在 り方 につ い て確信 が な くな りい くつ かの可 能 性 につ いて本気 で考 えた末 ,自 分 自身 の解決 に達 して ,そ れ に基 づ いて行動 して い る。. そ の最 中. しようと してい る. い くつかの選択肢 について迷 っているところで,そ の不確か さを克服 しようと一生懸命努力 してい る。. 経験 して い な し. して い る. 自分 の 目標 と親 の 目標 の 間 に不 協和 が無 い。 どんな体験 も 幼児期 以来の信念 を補 強す るだけになってい る。硬 さ (融 通 の きか な さ)が 特徴 的。. 経験 して い なし. して い なし. 危機前 (pre_cHsis)三 今 まで 本 当 に何 者 か で あ った経 験 が無 いの で ,何 者 かであ る 自分 を想像す る こ とが不可能。. 経験 した. して い な し. 危機後 (pOSt― crisis):全 ての こ とが 可 能 だ し可 能 な ままに し ておか なければな らな い。. (Idcntity Achicvement). モラトリアム. (Moratonum). (Foreclosure). ). 危機. 同一性 達 成. 早期完 了. 1. 人間科学研究編 (2008年 3月. 概. 1. 略. ,. 同一性 拡 散 (Identity Diffusion). (1993)は 面接 法 を用 い て ,職 業領域 と価値 観 領域 の. れ る。 そ して達成群 で は,自 伝 的記憶 の命題 へ の 関連. 同一性 地位 を決定 した。 また,大 学 ,専 攻 ,将 来 ,尊. 性 も高 い だろ う。. 敬 ・影響 を受 けた人 , よい と考 える基 準 ,生 きて い く 上 で大切 な こと, とい う 6項 目につ い て ,そ れぞれの. また ,自 伝 的記憶 の機能 に関 して も,モ ラ トリア ム >達 群 成群 >拡 散群 の順 で 自己 の一 貫性 を必 要 と し. 命題 (項 目の 答 え。 大 学 な ら,現 在 通 つて い る大 学. これか らど う生 きて い くか の検討 を行 わな くてはな ら. 名 )と. ,そ うす る よ うに考 える よ うにな った きっか け. ない。 したが って ,こ の順 で 自伝 的記憶 が 自己機能や. にあたる 『事象 の記憶 』 を尋 ねた。 ここで言 う命題 と. 指示機能 をはたす 度合 い が 高 い と考 え られ る。 自伝 的. は,自 己 の 問題 につ い ての 明確 に認識 された見解 であ. 記憶 の機能 を測 定す るため には, 日下 (2000)の 回想. る。次 に,各 項 目につい て ,記 憶 の構成度 を特定性. 機能尺度 を使 用す る。仮説 と しては,自 伝 的記憶 の 自. ,. ,. 精緻性 ,自 我 関与 ,命 題性 ,関 連性 とい う 5つ の カテ. 己機能 ・指示機能 に対応す る と思 われる 自己確認 ・方. ゴ リー ご とに 4段 階 で評定 した。分析 の結果 ,達 成群. 向づ け因子 の得点 が ,モ ラ トリアム群 >達 成群 >拡 散. の 『事象 の記憶』 は命題 との 関連 が 高 く,記 憶 が再 構. 群 の順 で高 くなるだろ う。. 成 されて い る こ とが わか った。そ して ,ア イデ ンテ ィ. なお ,自 我 同一性 地位面接 の結果 の有効性 を確 かめ. テ イの形成過程 にお い て 『事象 の記憶』が繰 り返 し参. る た め に ,谷. 照 され ,現 在 の 命題 との 関連 を深 め るのではな い か と. (MEIS;Mulddimensional Ego ldentity Scale)を 使 用. 考 察 した。 しか しこの 研 究 で は ,職 業 領 域 の 拡 散 群. し,同 一性 地位 と,多 次元 自我 同一性尺度 の 関係 を検. と,価 値観領域 のモ ラ トリア ム ・拡散群 のサ ンプ ル数. 討 す るこ ととす る。達成群 >モ ラ トリア ム群 >拡 散群. が少 な く,達 成群 と対照 で きて い な い。 そ こで本研 究. の順 で多次元 自我 同一性尺度 の 下位尺度得点が高 くな. で は,全 ての 同一性 地位 が 出現す る よ うなサ ンプ リ ン. れば ,自 我 同一性 地位面接 の結果 が 有効 で あ る と言 え. ヽ グを′ が ける こ とと した。 亡. るだろ う。. (2001)の 多 次 元 自我 同 一 性 尺 度. 仮説 と しては,モ ラ トリア ム群 はア イデ ンテ イテ イ を達成 しようと して い るので ,自 己 の定義付 け を行 う. 白 勺. ため に 自伝 的記憶 を多 く想 起 す るだ ろ う と考 え られ る。 一 方 ,達 成群 はすで に達成 して い るので ,そ れほ. そ れぞ れ の 同 一 性 地位 にお け る 自伝 的記 憶 に つ い. ど多 くの 自伝 的記憶 を想起す る必 要 はないだろ う。 ま. て ,以 下 の 2つ の仮説 を検討 す る。. た ,植 之原 (1993)に み られ る よ うに,命 題 との 関連. 仮説①. が 高 い だろ う。拡散群 で は独 自の ア イデ ンテ ィテ イを. モ ラ トリアム群 >達 成群 >拡 散群 の順 で,自. 想像す る こ とが不可能 であ り,現 時点 で はア イデ ンテ. 伝的記憶 の主観的な想起頻度が増 え,自 伝的記 憶 を自己機能 ・指示機能 として用 い ることが多. イテ イの達成 を放 棄 して い る と考 え られ る。 したが っ. くなるのではないか。. て ,他 群 よ りも自伝 的記憶 を想起す る こ とが 少 な いの. 仮説②. 達成群 >モ ラ トリアム群 >拡 散群 の順で自伝. で はない か。 つ ま り,自 伝 的記憶 の想起頻度 は,モ ラ. 的記憶 はよ り再構成 され,命 題 との関連が高 い. トリア ム群 >達 成群 >拡 散群 の順 で 多 くなる と予想 さ. だろ う。.
(3) 高城裕佳子 :大 学生の自伝的記憶 とアイデ ンテイテ イ. 秒 だった。. 方. 評定 は,各 項 目に対 して,記 憶 の構成度 を①特定 性 ,② 精緻性 ,③ 自我関与 ,④ 命題性 ,⑤ 関連性 と. 法. 調査 者 :臨 床 心理 学 コー ス ,博 士 前期 課 程 2年 。 20 代前半 ,女 性 。本論文執筆者。 被 調 査 者 :女 子 大 学 生 50名 1.76)。. (平 均 20.24歳. ,SD. 『事象 の記憶』 の発話 ,④ は項 目の答 え,⑤ は項 目 の答 え と,『 事象 の記憶』 の発話 を評定対 象 と し た。なお,植 之原 の評定基準 で 『事象の記憶』 とな. 専攻 は多義 に渡 る。. 実施方法 :1対 1の 面接 法 で行 った 。面接 は録音 し. ,. 会話 の概 要 を記述 した上 で分析 した。 また,質 問紙 も使 用 した。実施期 間 は 2006年 10月 ∼ 12月 だ っ た。 調査 の構成. い う 5つ のカテ ゴリーで 4段 階評定 した。① ∼③ は. っていた点 を「 自伝 的記憶」 に読 み替 えて評定 し た。 しか し,植 之原 の基準 は不明確 な部分が多 々あ った。そ こで,カ テ ゴ リーごとで評定 したいことを 明確 にし,植 之原 の基準 を崩 さない ようにしなが ら も,評 定基準 を明確 に規定 し直 した。 これを,筆 者. :. 0面 接① 自我同一性地位面接 :無 藤 (1979)が ,Mar_. cia(1966)の 手 法 を 日本 の青 年 向 け に修 正 し,評. 独 自の詳細 な基準 として,表 2に 示 した。 また,わ か りに くい基準 には,同 時 に例文 も載せた。. 定方法 を改善 した ものであ る。無藤 (1979)は 研 究. 次 に,記 憶 の構成度 の 5つ のカテ ゴリーご とに. の 結 果 ,〈 宗教 〉領 域 を廃 止 し,代 わ りに 〈価 値. 6つ の質問項 目の うち,職 業領域 に属す る (1)∼. 観 〉領域 を設 置 した。 また ,危 機 と傾倒 の評定方法. (3)項 目の得点,価 値観領域 に属す る. をそれぞれ 4段 階評定 とした。. 目の得点 をそれぞれ合計 し,各 領域 におけるカテ ゴ. 本研 究 で は,植 之原 (1993)に 基 づ き,3領 域 の うち 〈職業 〉と く価値観 〉の 2領 域 を実施 した。 ま た ,無 藤 (1979)は 導入 とい う領域 も設 け てお り. ,. 大学 や専攻 につい て尋 ね る項 目が あ る。 これ は,自 伝 的記憶面接 で取 り上 げ る項 目 と関係 が ある ため. ,. 本研 究 の参考資料 となる と判 断 し,判 定 はせ ず ,質 問 のみ 実施す る こ とに した。 面接 時 間 は 8分 43秒 ∼43分 50秒 で ,平 均 21分. ,. (4)∼. (6)項. リー得点 を算出 した。 質問紙①多次元 自我同一性尺度 (谷 ,2001):「 全 く あてはまる (7点 )」 か ら「全 くあてはまらない (1 点)」 の 7段 階評定。20項 目を使用 した。 下位尺度 は 4因 子 (各 因子 は 5項 目ずつ)で ,Erik― sOnの 記述 に基づい て下位概念が設定 されている。 第 1因 子 は「 自己斉一性 ・連続性」因子 で,ア イデ ンティテイの感覚 における自己の不変性 ,お よび時. ・面接② 自伝 的記憶 面接 :植 之原 (1993)が (1)大. 間的連続性 についての感覚 を意味する。第 2因 子 は 「対 自的同一性」 因子 で,自 分 自身が 目指すべ きも. 学 ,(2)専 攻 ,(3)将 来 ,(4)尊 敬 ・影響 を受 け た. の,望 んでいる ものなどの,自 己意識 の明確 さの感. 人 ,(5)よ い と考 える基準 ,(6)生 きて い く上 で大. 覚 を意味す る。第 3因 子 は「対他 的同一性」 因子 で,他 者 か ら見 られているであ ろ う自分 自身が,本. 43秒 だ った。. 切 な こと, とい う 6項 目につい て ,そ う考 える よ う に な った き っか け を質 問 した もの で あ る 。 (1)∼. (3)は 自我 同一 性 地位 面接 の職業領域 ,(4)∼. (6). は価値観領域 に対応す る項 目であ る。 これ らは無藤. (1979)の 自我 同一 性 地位 面接 か ら取 り出 した項 目 であ るので ,(3)将 来 は「将来 の職業」 として 質問 した。 質問 は まず ,「 大学 は どこで す か」 な ど,項 目に. 来 の 自分 自身 と一致 している とい う感覚 を意味す る。第 4因 子 は「心理社会的同一性」因子 で,現 実 の社会 の中で 自分 自身 を意味づ けられるとい う,自 分 と社会 との適応的な結びつ きの感覚 を意味する。 質問紙② 回想機能尺度 (日 下 ,2000):「 よ くあ る (6点 )」 か ら「全 くない (1点 )」 の 6段 階評定。41 項 目を使用 した。. ついて尋 ねた。次 に「 どうい うところか らそ う考 え. 下位尺度 は 4因 子 である。第 1因 子 は「 自己確認. るようにな りましたか」 と尋 ね,質 問内容がわか ら. ・方向づ け」 因子 (13項 目)で ,自 分 が どの よ う. ない場合 は「そう思 うようになった きっかけはあ り. な人間なのか, どのように して今 の ような自分 にな. ませんか」 と表現 を変 えて質問 した。具体的 な記憶 に遡れそ うな場合 は更 に質問 を重ね,「 特 にない」. ったのかをより理解 し,そ れを参考 に して これか ら. 「なんとな く」 といった回答 の場合 は質問 をやめた。 面接時間は 5分 49秒 ∼45分 1秒 で,平 均 19分 37. の事 を考 えるための回想 である。第 2因 子 は「気分 安定 ・ 自己高揚」 因子 (13項 目)で ,現 在 のネガ ティブな状況 に対 し,ポ ジテイブな状態 に持 ってい.
(4) 42. 甲南女子大学大学院論集第 6号. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). 表 2 自伝的記憶面接 における,筆 者独 自の評定基準 評定 に当たっての注意 ※命題 について,そ う考 えるようになったきっかけの自伝的記憶が い くつか出てい る場合 は,そ の人にとって最 も大 きく,詳 しく述べ られたもので評定す る。 ※ 自伝的記憶は,評 定 に必 要な発言 のみ得点 に値す る。 したがって全ての発言 を評定 に用 い るわけではない。 ※ 自伝的記憶で同 じ内容 を言つてい るものは,2回 以上表現 されていて も 1つ とみなす。 ※ 自伝的記憶面接では,6つ の項 目ごとにその命題 と,そ う考 えるようになった きっかけを尋ね る。 これ よ り,自 伝 的記憶 のカテ ゴ リー①特定性 。②精緻性 O③ 自我関与 は, きっかけにあたる 自伝的記憶 の発言か ら評定す る。④命 題性 は,命 題 の発言 のみか ら評定す る。⑤関連性 は,命 題 ときっか けにあたる自伝的記憶の両方か ら評定する。 ※前 の項 目で発言 した自伝的記憶 の内容が,以 降の項 目の きっか けにもあてはまりそ うな場合は,本 人に確認 した上 で,前 の項 目での発言 も以降の項 目の評定対象 に含めた。 評定基準 (植 之原 の評定基準 に付加. ). ①特定性 (記 憶 が特定化 される程度 を示す指標 (1)時 空間が明確か → 「この時」 と特定 で きるか 例 )高 3の 冬 の進路指導 の後 で (2)(a)一 度 だけの特定事象か (b)何 度 も繰 り返 された ものか → 一度だけの特定事象 とは,き っか けとなった,一 度だけの特定 された出来事 をはっきりと思 い出せる場合 →何度 も繰 り返 されてい るもの とは,漠 然 としてお り特定 の時が出てこない場合 (3)(2)(b)の 場合,短 期的なものか長期的なものか →短期的 とは,出 来事が限定で きる時 例 )高 3の 冬 →長期的 とは,漠 然 とぼや けてい る時 例 )高 3 ). ②精緻性 (記 憶 の詳 しさを示す指標. ー い マ れ れ 趨す 引こ て ど お る テ な る 異 か 替げ 馨 Tて 哺明卜 8籍 婚 薯 ). ③ 自我関与 (自 己の関 わ りの程度 を示す指標 (1)自 己の思考 (「 ―と考 えた」「一と思 った」 など (2)自 己の感情 (「 うれ しくて」「感動 して」 など ). ). ). ④命題性 (自 己に関連する問題 についての認識 の明確 さを示す指標 過去 の出来事ではな く,現 在 の問題 に対す る考 えを評定対象 とする。 (1)明 瞭に定義づ け述べ た もの (3点 )例 )花 ヽ 理学 楽 しいこ と (2)(1)に 加 え,形 容詞な どで修飾 した りより詳 しく述べ た もの (4点 (3)命 題 を述べ るがそれほど詳 しくない もの (2点 (4)迷 い 。曖味 さがみ られるもの (1点 ). ). ). ). ⑤関連性 (現 在 と過去 との結 びつ きの程度 を示す指標 命題 と,そ の きっかけとなった出来事の記憶の関連 の程度。 (1)(a)自 伝的記憶 を整理 し,関 連付 けて用 いるとは,記 憶 を順序立てて,過 去か ら時系列 に乗 って説明す るも の,話 の流れがわかるもの (b)直 接的 に用 い るとは,原 因 となった事実 のみを述べ るもの 例 )家 が近 いか ら (2)(1)(b)で 述べ られた 自伝的記憶が 2項 目以上か (3点 )1項 目か (2点 )述 べ ないか (1点 ) ). くための 回想 で あ る。第 3因 子 は「反省 ・振 り返. Erber&Erber(1994)は. ,「 人はネ ガテ ィブな感情. り」因子 (8項 目)で ,過 去 の出来事 の意味づ けの. の とき,ポ ジテ ィブな自伝的記憶 を想起する」 と述. 変化 を促 した り,自 己嫌悪や 自責 によって不安 にな. べ てい る。 ポジテ ィブな 自伝的記憶 を想起する こと. った り自己評価 を下げた りする ことに繋がる回想で. でネガテ ィブな気分が緩和 される こともあるので. ある。第 4因 子 は「会話 ・情報伝達」 因子 (7項. 自伝的記憶 には気分安定 の機能 もあ る と考 え られ. 日)で ,過 去 の 自分 の経験 を人に話 して役立てるた. る。 したがって,本 論文 では 自伝的記憶 に気分安定. めの回想 である。. 機能があると仮定 し,回 想機能尺度 の第 2因 子 に対. 回想機能尺度 は,各 因子 を自伝的記憶 の機能 に照 らし合 わせ ることがで きる。回想機能 の 第 1因 子 (自 己確認 ・方向づ け因子 )は 自伝的記憶 の 自己機 能 ・指示機能,第 3因 子 (反 省 ・振 り返 り因子)は 高齢者 にお ける機能,第. 4因 子 (会 話 0情 報伝達因. ,. 応すると考 える こととした。 回想機能尺度は,自 伝的記憶 にお ける機能 を調べ るために,「 回想」 を「 自伝的記憶」 に読 み替 えて 使用 した。 ・質問項 目① 自伝的記憶の主観的な想起頻度. :「. よく. 子)は 社会機能に対応すると考 えられる。第 2因 子 (気 分安定 ・ 自己高揚 因子 )は 自伝的記憶 の機能 と. 評 定 。「 普段 , 自伝 的記憶 の 回想 を よ く します. 対応す るものが無 い。 しか し榊 (2006)に よると,. か ?」 とい う 1項 目のみであ った。. する (5点 )」 か ら「全 くしない (1点 )」 の 5段 階.
(5) 43. 高城裕佳子 三大学生 の 自伝 的記憶 とアイデ ンテ イテ イ. 調査 手続 き :自 我同 一性 地位面接 ,多 次元 自我 同一性. に選 んだ 10名 のデ ー タを用 い て ,コ ーエ ンの κ に よ. 尺度 ,回 想機 能尺度 ,自 伝 的記憶 の主観 的 な想起頻. っ て 求 め た 。 領 域 ご とに ,〈 職 業 〉 κ=。 62,〈 価 値. 度 をこの順 で実施 した。数 日後 ,自 伝 的記憶面接 を. 観 〉κ=。 70で あ つた。〈価値観 〉領域 での一 致率 は許. 実施 した。. 容 で きる値 であ るの に対 して ,〈 職業 〉領域 で の一 致 率 がやや低 く,今 後検討すべ き課題 である。各被調査 結 果. 者 の く職業 〉と く価値観 〉領域 の 同一 性地位 の組 み合. と 考 察. (%)を 表. わせ につい て ,パ ター ンご とのサ ンプ ル数. 3に 示 した。〈職 業 〉領 域 と 〈価 値 観 〉領域 の 同 一 性. (1)自 我 同一性地位 の評定 と分布. 地位 が 同 じ人 は少 な い と思 われ る。〈職業 〉領域 で は. 無藤 (1979)の 評定基準 に よ り分類 した ところ,ア. H名. イデ ンテ イテ イの く職業 〉領域 で は ,達 成群. 各 同 一 性 地位 に 同数程度存在 して い るの に対 し,〈 価. ,. 値観 〉領域 で は早期 完 了群 が 多 い 。 したが って ,〈 職. ,モ ラ トリア ム群 17名 ,拡 散群 12 名 だ った。〈価値観 〉領域 で は,達 成群 13名 ,早 期完 了群 24名 ,モ ラ トリア ム 群 4名 ,拡 散 群 9名 だ っ た。評定者 間 の一 致率 (調 査者 と,大 学 院博士後期課 程心理学専 攻 の女性 )を ,被 調査 者 50名 中 ラ ン ダム 早期 完 了群 10名. 業 〉領域 の どの 同一 性 地位 の 人 も,〈 価値観 〉領域 で は早期 完 了群 で あ る人 が 多 い とい う こ とが 表 れ て い る。 また,一 方 の領域 で は達成群 であ るの に対 し, も う一 方 で は拡散群 であ る人 も居 た こ とが わか る。 アイ. 表 3 職業 と価値観領域 の同一性地位 の組 み合わせ ごとのサ ンプル数 (%). 達成群. 域量 職 領 業 萌ム 琴 言 丁 群 拡散群 ︿口. 13(26). 計. モ ラ トリアム群. 早期完了群. 3(0 2(4) 5(10 3(0. 達成群. 7(14) 6(12) 6(1つ 5(10 24(48). ︿口. 価値観領域. 00) 1(2) Oω ) 2(4) 3(6) 3“ ) 1(2) 3(6) 4(8). 計. 拡散群. H(22) 10( 20) 17( 34) 12( 24). 9(18). 50(100). 表 4 同一性地位 (職 業領域 )と 多次元 自我同一性尺度 の下位尺度 の平均値 (SD)と 分析結果 拡散群 (D). F. 箆2× 6初. 箆 2ズ 4". 2.04. ■ はゆ. 贈 漁 切. 7.91. ** A>MOD,F>M・ D. 達成群 (A)早 期完了群 (F)モ ラトリアム群 (M) 自己轟. │∫ 亀. 続性. × 5ズ 4°. 壻. 晶目重′ 性. Z“. 鋪. 晶目二′ L. Z6イ. 杷 羅基風言 424ス. η. 40■ 初. 5■ 区切 %■ Ⅸ2Я )Ⅳ. 2∝ 4劾 別 に ②. "Л 卿. p. 多重比較. nos.. 回. り. a期. 3.20. *. A>(M)・ D. 国. “ 陽 につ. 2.84. *. A>(D). lo,十 は p<。 lo,*は p<.o5,**は p<.olを 表す。 注)nos.は p≧ 。 多重比較 より有意差 (p<.05)が 生 じた結果に不等号 を示 した。 ( )内 は有意差 の傾向 (p<。 10)が ある事 を示す。. 表 5 同一性地位 (価 値観領域 )と 多次元 自我同一性尺度 の下位尺度 の平均値 (SD)と 分析結果 達成群 (A)早 期完了群 (F)モ ラトリアム群 (M) 第 1因 子 自己斉 一 性 0連 続 性 第 2因 子 対 自的 同 一 性 第 3因 子 対 他 的 同一 性 第 4因 子 心 理 社 会 的 同一性. 拡散群 (D). F. 23.00(6.00). 23.79(5.55). 21.50(2.70). 25.89(3.64). 0。 78. 21.77(5.81). 22.21(5.58). 13.50(1.12). 19.89(4.65). 3.09. 21.46(3.86). 22.33(4.74). 18.25(2.59). 20。 33(3。. 27). 1.27. 21.62(4.40). 21.46(5。 38). 19.00(2.83). 21.44(3.75). 0。 32. lo,十 は p<。 lo,*は p<.05,**は p<.olを 表す。 注)nos.は p≧ 。 多重比較 よ り有意差 (p<.05) が生 じた結果 に不等号 を示 した。. p. 多重比較. A>M,F>M.
(6) 甲南女子大学大学院論集第 6号. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). デ ンテ ィテ ィにお い て領域 は独 立 した もので あ り,関. る。 さらに,自 分 の信念 を明確 に表現 して い るので. 連性 は少 ない と予想 で きる。. 他者 か らもその よ うに見 られ るこ とが 予想 で きる。 し. ,. たが って ,他 者 か ら見 られて い るであろ う自分 自身が. (2)同 一性 地位 と多次元 自我 同一性尺度 によ り測定 さ. 本来 の 自分 自身 と一 致 して い る と感 じる こ とがで きる とい う,対 他 的 同 一 性 も高 くな ったの だ と考 え られ. れ る ア イデ ンテ ィテ ィとの 関連. 多次元 自我 同一 性尺度 の項 目の得点 を,因 子 ご とに. る。 また ,こ の よ うな傾倒 がで きて い る人は,自 分 の. 合計 した。 多次元 自我 同一性尺度 と 自我 同一性 地位面. 信念 を持 って社会 とどの よ うに結 びつ き,自 分 を どの. 接 の結果 の 関係 を検討す るため に,自 我 同一性 地位面. よ うに社会 に位 置 づ けるか とい う こ とも考 えるであろ. 接 の結果 を独立 変数 ,多 次元 自我 同一性尺度 の結果 を. う。 したが って ,自 分 と社会 との適応 的 な結 びつ きで. 従 属 変 数 と して ,ア イデ ンテ ィテ ィの領 域 ご とに. あ る,心 理社会的同一 性 も高 くな ったのだろ う と推測. ,. ANOVA 4を 用 い て 1要 因分散 分析 を行 った。 各領 域. され る。. にお ける,同 一性 地位 ご との 多次元 自我 同一性 尺度 の. 谷 (2001)に よる と,Erikson(1959)は 「 ア イデ. 下位 尺度得 点 の平均 値 (SD)と 分析 結 果 を,領 域 ご. ンテ ィテ ィの感覚 とは,内 的 な斉 一性 と連続性 を維 持. とに表 4と 5に 示 した。. す る個 人 の能力 (心 理学的意味 での個 人 の 自我 )が. ,. 分散分析 の結果 ,ア イデ ンテ ィテ ィの 〈職業 〉領域. 他者 に対 して 自分が持 つ意味 の斉 一性 と連続性 とに調. で は,多 次元 自我 同一 性尺度 の 第 2因 子 (対 自的同一. 和 す る こ とか ら生 じる 自信 で ある」 と述 べ て い る。 ア. 性 )に お い て ,要 因 の効 果 が 有 意 だ った (F(3,46)=. イデ ンテ ィテ ィの感覚 にお い て まず重要 だ と考 え られ. 7.91,p<.01)。 Ryan法 に よる 多 重 比 較 の 結 果 ,達 成. るの は,自 己 の斉 一性 ・連続性 で あ るので はないか。. 群 と早期完了群が ,そ れぞれ モ ラ トリア ム群 と拡散群. これ よ り,自 己 の斉 一 性 ・連続性 は,同 一 性 地位以前. よ りも 5%水 準 で 有意 に高 い こ とが わか った。第 3因. の 問題 で あ るのか もしれない。 したが って ,第 1因 子. 子 (対 他 的同一性 )に お い て ,要 因 の効 果が有意 だっ. (自. た (F(3,46)=3.20,p<.05)。. Ryan法 に よる多 重比 較. 己斉 一 性 ・連続性 )は 要 因 の効 果 が 有意 で なか っ. たので はないか と思 われ る。. の 結 果 ,達 成群 が拡 散 群 よ りも 5%水 準 で 有 意 に高. 〈職業 〉領域 で は 同一 性 地位 に よる差 が 3つ の 因子. く,モ ラ トリア ム群 よ りも高 い傾 向が あ るこ とが わか. に認 め られ たの に対 し,〈 価値 観 〉領域 で は 1つ の 因. った。第 4因 子 (心 理社 会的同一性 )に お い て ,要 因. 子 に しか認 め られ なか った。 つ ま り,〈 職業 〉領域 で. の 効 果 が 有 意 だ った (F(3,46)=2.84,p<.05)。 Ryan. は差 が 出やす い が ,〈 価値観 〉領域 で は 出 に くい と言. 法 に よる多 重比較 の結果 ,達 成群が拡散群 よ りも高 い. える。 多次元 自我 同一性尺度 の得点 が 〈価値観 〉領域. 傾 向があ る ことが わか った。. にお け る 同 一 性 地位 とは一 致 しに くい の か も しれ な. 〈価値 観 〉領域 で は ,第 2因 子 (対 自的 同 一 性 )に. い 。 ま た 自我 同 一 性 地 位 面 接 に 関 して も ,無 藤. お い て ,要 因 の 効 果 が 認 め られ た (F(3,46)=3.09,p. (1979)が Marcia(1966)の 面接 の うち く宗教 〉領域. Ryan法 に よる 多 重比 較 の 結 果 ,達 成群 と早. を 〈価値観 〉領域 に変更 した もので あるが ,欧 米 にお. 期完 了群が ,そ れぞれモ ラ トリア ム群 よ りも,5%水. ける 〈宗教 〉領域 と日本 にお け る 〈価値観 〉領域 とで. 準 で 有意 に高 い こ とが わか った。. は 同 じとは言 えな い 。更 に大 学 生 の 女性 にお い て. <.05)。. ,. この結果 か ら 〈職業 〉領域 で は,第 2因 子 (対 自的. 〈職業 〉領域 は具体 的 に 日前 にあ る もので あ り,達 成. 同一性 )と 第 3因 子 (対 他 的同 一性 )は ,達 成 ・早期. へ 向 か う段 階 であ るの に対 し,〈 価値 観 〉領域 は抽 象. 完 了群 が ,モ ラ トリア ム ・拡散群 よ りも得点が高 い と. 的 で掴 み に くく,明 確 に しておか なければ い けない と. 考 える こ とがで きる。 また第 4因 子 (心 理社 会的同一. い う こ と もな い 。 したが って く価 値 観 〉領 域 よ りも. 性 )に もこの傾 向が認 め られ る。 ここで ,達 成 ・早期. 〈職業 〉領域 の 方 が ,差 が 見 られ たので はない だ ろ う. 完了群 は よ り命題 に傾 倒 して い るの に対 し,モ ラ トリ. か。. ア ム ・拡散群 はあ ま り命題 に傾倒 して い ない。命題 に. 上 で述 べ た よ うに,達 成 ・早期完了群 が ,モ ラ トリ. 傾倒 して い る とい う こ とは 自分 の信念 を明確 に意識 し. ア ム ・拡散群 に比 べ て下位尺度 の得点 が 高 か った。 こ. てお り,そ れ を表現 し,そ れ に基 づ い て行動す るこ と. れ は,大 方 2領 域 とも同 じような結果 で あ る。 モ ラ ト. がで きる こ とを意味す る。 この よ うな人が ,自 分 自身. リア ム群 と拡散群 にお い て有意差 が 認 め られ なか った. が 目指す べ きもの や望 んで い る もの な どを明確 に意識. ので ,達 成群 >モ ラ トリア ム群 >拡 散群 の順 で 多次元. で きる とい う,対 自的同 一性 が 高 くな るのは当然 であ. 自我 同一性尺度が高 くな った とは言 えない が ,本 研 究.
(7) 45. 高城裕佳子 :大 学生 の 自伝 的記憶 とア イデ ンテ イテ イ. で行 った 自我 同一性地位面接 の結果 は,あ る程度妥 当 な もので あ る と考 え られ る。. り,〈 価値観 〉領域 における多次元 自我 同一性尺度 の 全因子 と回想機能尺度 の第 1因 子 (自 己確認 ・方向づ け)・ 第 2因 子 (気 分安定 ・ 自己高揚 )に お いて,有 意 ではないが,拡 散群 がモ ラ トリアム群 よ りも得点が. (3)同 一性地位 に よる 自伝 的記憶 の想起頻度 の差 の 関係 を検討 す るため に,自 我 同一 性地位面接 の結果. 高 いことがわかった。 さらに,多 次元 自我同一性尺度 の第 1因 子 (自 己斉一性 ・連続性 )に おいては,有 意. を独 立 変数 ,想 起頻度 の結果 を従属変数 と して ,ア イ. ではないが,拡 散群 が達成 ・早期完了 0モ ラ トリアム. デ ンテ ィテ ィの領域 ご とに,ANOVA. 因分散分析 を行 った。各領域 にお ける,同 一性 地位 ご. 群 よ りも得点が高 いこともわか った。拡散群がモ ラ ト リアム群 よ りも多次元 自我同一性尺度 が高 い とい うこ. との ,自 伝 的 記 憶 の 主 観 的 な 想 起 頻 度 の 平 均 値. とは,拡 散群 はモラ トリアム群 よ りもアイデ ンテイテ. (SD)と 分析結果 を,領 域 ご とに表 6と 7に 示 した。. ィを形成 してい るとい うことである。 これは,先 述 し. 分散分析 の結果 ,ア イデ ンテ イテ イの どの領域 も. たように,多 次元 自我同一性尺度 の得点が 〈価値観 〉. 要 因 の効果 は有意 で なか った。 したが って ,モ ラ トリ. 領域 における同一性地位 と一致 しに くい か ,あ るい. アム群 >達 成群 >拡 散群 の順 で 自伝 的記憶 の主観 的 な. は,そ もそ も自我同一性地位面接 の 〈価値観 〉領域 に. 想起頻度が増 えるので はないか , とい う仮説① は証 明. 問題 があるためではないか と考 えられる。. 自伝 的記憶 の想起頻度 と自我 同一性 地位面接 の結果. 4を 用 い て 1要. ,. され なか った。 この結果 か ら,同 一性 地位 によって 日常 の 自伝 的記 憶 の 想 起 頻 度 には差 が無 い ので は な い か と考 え られ. (4)同 一性地位 と自伝的記憶 の機能. (回 想機能)と. の. 関連. る。 しか し本研究 で は「普段 どの程度 自伝 的記憶 を想. 回想 機 能尺 度 の 項 目の 得 点 を,因 子 ご とに合 計 し. 起 して い るか」 を 5段 階 で評定 し,具 体 的 に質問 しな. た。 回想機能尺度 と 自我 同一性地位 面接 の結果 の 関係. か った。例 えばアイデ ンテ ィテ ィの領域別 に想起 頻度. を検討す るため に,自 我 同一性 地位面接 の結果 を独 立. を尋 ねた り,想 起量 を数値 で尋 ねた りす るな ど, もう. 変数 ,回 想機能尺度 の結果 を従属変数 として ,ア イデ. 少 し具体 的 に聞 い て い く必 要 が あ るだろ う。 また ,同. ンテ イテ イの領域 ご とに,ANOVA. 一性地位 にお い て 問題 なのは,想 起す る内容や深 さ. 分散分析 を行 った。各領域 にお け る,同 一性 地位 ご と. 時 間 ,そ の 時 の環境 な どで はない か とも推測 され る。. の 回想機 能尺度 の 下位 尺 度得 点 の 平均 値 (SD)と 分. これ らについ て も尋 ね る必要があ るので はない か。. 析結果 を,領 域 ご とに表 8と 9に 示 した。. ,. 4を 用 い て 1要 因. を多 く想起す る と想定 したが ,こ の考 え方 で行 くと. 分散分析 の結果 ,ア イデ ンテ ィテ イの 〈職業 〉領域 で は,回 想機能尺度 の 第 4因 子 (会 話 ・情報伝達 )に. 拡散群 の想起頻度 は他群 と同程度 なの に,な ぜ アイデ. お い て 要 因 の 効 果 が 有 意 だ っ た (F(3,46)=3.43,p. ンテ ィテ ィが拡 散 して い る と判断 され るのか とい う疑. <.05)。. 間 が残 る。拡散群 は,自 伝 的記憶 を想起 しなか った り. 散群 よ りも 5%水 準 で有意 に高 い こ とが わか った。. アイデ ンテ イテ イが確 立 されて い るほ ど 自伝 的記憶 ,. アイデ ンテ イテ ィの形成 を放 棄 した りして い るので は. Ryan法 に よる多 重比 較 の 結 果 ,達 成群 が拡. 〈価値 観 〉領域 で は どの 因子 も要 因 の効 果 は有 意 で. な く,自 伝 的記憶 を想起 して い て も記憶 を再 構成 して. なか った。 したが って , どの領域 も第 1因 子. 自己 を定義付 けで きない ため に,こ の よ うな結果がみ. 認 ・方 向づ け)に は有意差 が 認 め られ なか ったので. られたのか もしれ ない 。 また ,表 5と 後 に示す 表 9よ. モ ラ トリア ム群 >達 成群 >拡 散群 の順 で 自伝 的記憶 を. 表. 6. 同一性 地位 (職 業領域 )と 自伝 的記憶 の主 観 的想起頻度 の平均値 (SD)と 分析結果 達成群 (A). 想起頻度. 4.000。 74). 早期完 了群 (F) 3.70(1.00. モラトリアム群 (M) 3.880。 90). 拡散群 (D). F. 3.58(0.86). lo,十 は p<。 lo,*は p<.o5,**は p<.01を 表す。 注)n.s.は p≧ 。. 表 7 同一性地位 (価 値観領域 )と 自伝的記憶 の主観的想起頻度 の平均値 (SD)と 分析結果 達成群 (A) 想起頻度. 3.920。 9". 早期完 了群 (F) 3.88(0。 83). モラトリアム群 (M) 3.00(1.00). lo,十 は p<.lo,*は p<.o5,**は p<.olを 表す。 注 )nos.は p≧ 。. 拡散群 (D) 3.78(0。 79). F 1.20. (自. 己確 ,.
(8) 甲南女子大学大学院論集第 6号. 46. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). 表 8 同一性地位 (職 業領域)と 回想機能尺度 の下位尺度の平均値 (SD)と 分析結果 達成群 (A)早 期完了群 (F)モ ラトリアム群 (M) 第 1因 子 自己確 認 ・方 向づ け 53.82(14.53) 第 2因 子 気分安定 ・ 自己高揚 44.91(11.07) 第 3因 子 29。 55(7。 11) 反省 ・振 り返 り 第 4因 子 95) 云達 32.91(5。 会話 01青 幸風イ. 拡散群 (D). F. p. 45.60(10。 35). 49。 76(10。 70). 47.08(11.63). 30(13。 98). 44.18(11。 92). 45。 92(10.01). 29.70( 7.96). 30。 76( 6。 79). 26。 58( 5。 82) 0。 82. 30。 20(. 29。 29( 5。 37). 26.17( 4.41). 45。. 2.82). 多重比較. 0。 93. 0.05. A>D. 3.43. lo,十 は p<。 lo,*は p<.o5,**は p<.01を 表す。 注)n.s.は p≧ 。 多重比較 よ り有意差 (p<.05)が 生 じた結果に不等号 を示 した。. 表 9 同一 性 地位 (価 値 観領域 )と 回想機能尺度 の 下位尺度 の平均値 (SD)と 分析結 果. 達成群 (A)早 期完了群 (F)モ ラトリアム群 (M) 第 1因 子 自己確認 ・方 向づ け 第 2因 子 気分安定 。自己高揚 第 3因 子 反省 0振 り返 り 第 4因 子 会話 ・情報伝 達. 50.31(11.59) 46。 54(. 6.37). 30.62( 6。 10) 29。 31(. 4.84). 51.96(11.83) 46.00(13.37). 拡散群 (D). F. 37.25( 9.86). 45。 44(10.53) 2.12. nos.. 35。 25(14.57). 44.33( 9。 64) 1.04. nos。. nos.. 29。 29( 7.53). 29.75( 2.17). 27.11( 8.03). 0.42. 29。 17( 6。 21). 32.00( 4.74). 29.67( 3.50). 0。. 30. nos。. 注 )nos.は p≧ .lo,十 は p<。 lo,*は p<.o5,**は p<.01を 表す。. 自己機能 ・指示機能 と して用 い る こ とが 多 くな るので. 役立 て るための回想 で あ る。 この 因子 にお い て達成群. ,被 調査者 50名 中 ラ ンダム に選 んだ lo名 の デ ー タを用 い て ,コ ーエ ンの κ に よって 求 め た 。 自 伝的記憶 の構成度 のカテ ゴ リーご とに,① 特定性 ;κ =。 73,② 精緻性 ;κ =.71,③ 自我関与 ;κ =。 76,④ 命題性 ;κ =.89,⑤ 関連性 ;κ =.79で あ つた。 いず. が拡 散群 よ りも得点が高 か ったの は,危 機 を経験 した. れ も,ほ ぼ完全な一致か ら実 質的 に一致 してい ると言. 達成群 の ほ うが他者 に役立 つエ ピソー ドを多 く持 って. える率 である。 したが って,自 伝的記憶 のカテ ゴ リー. い るだろ う し,傾 倒 して 自分 の信念 を しっか り持 って. 得点 は信頼性があ ると言 える。. はな い か , とい う仮説① は証明 され なか った。 〈職業 〉領域 の 同 一 性 地位 に よる差 が み られ た 第 4 因子 (会 話 ・情報伝達 )は ,過 去 の経験 を人 に話 して. よる)を. い るので ,過 去 の経験 を他 者 に話 しやす い か らで はな. また,自 伝的記憶面接 の項 目をアイデ ンティティの. い か と推測 され る。 また他 の 因子 は 自分 に対 して の機. 領域 で職業 と価値観 の 2つ に分け,そ れぞれの得点 を. 能 で あ るの に対 し,第 4因 子 は他者 に対 しての機能で. 自伝的記憶 の構成度 のカテ ゴリーご とに合計 した。 自. あ る。 したが って , 自伝 的記憶 の機能 につい ては,他. 伝的記憶面接 と自我同一性地位面接 の結果 の関係 を検. 者 へ の機能 にお い て 同一性 地位 に よる差が現 れやす い. 討す るために,自 我 同一性地位面接 の結果 を独立変. のか も しれ ない。. 数,自 伝的記憶面接 の結果 を従属変数 として,ア イデ. しか し,〈 価値観 〉領域 につい ては,〈 職業 〉領域 と. ンテ ィテ ィの 領域 ご とに,ANOVA. 4を 用 いて 1要 因. 同 じような差 が み られ なか った。 これ は ,〈 価値 観 〉. 分散分析 を行 った。 この とき,独 立 変数 と従属変数 は. 領域 の アイデ ンテ ィテ ィ形成 には 自伝 的記憶 が関与す. 同 じ領域 ど う しを対応 させ た。各領域 にお ける,同 一. る度合 い が低 い か らであ る とも考 え られ るが ,先 に述. 性 地位 ご との 自伝 的記憶 の構成度 の カテ ゴ リー得 点 の. べ た よ うに同一性 地位 面接 の 〈価値観 〉領域 自体 に概. 平均 値 (SD)と 分 析 結 果 を ,領 域 ご とに表 10と. 念 的あ るいは方法論 的 な問題が存 在す るため なのか も. に示 した。. しれ ない。. 11. 分散分析 の結果 ,ア イデ ンテ ィテ ィの 〈職業 〉領域 で は,自 伝 的記憶 の特定性 にお い て ,要 因 の効果 が 有. (5)同 一性地位 と自伝 的記憶 の構成度 との 関連. 意 だ った (F(3,46)=3.28,p<.05)。. しか し,Ryan法. 自伝 的記憶 の構成度 を植 之原 (1993)と 筆者独 自の. に よる多重比較 の結果 ,有 意差 は認 め られ なか った。. 評定基準 に よ り評定 した。評 定者 間 の一 致率 (2名 に. また ,命 題 性 にお け る 要 因 の 効 果 も有 意 だ っ た (F.
(9) 47. 高城裕佳子 :大 学生の自伝的記憶 とアイデンティテイ. 表 10 アイデンティティの職業領域 にお ける同一性地位 と自伝的記憶 の構成度 のカテ ゴ リーの平均値 (SD)と 分析結果 達成群 (A). 3.27(0。 45) 特定性 精緻性 10。 36(2.06) 自我 関与 8。 73(2.38) 9。 18(0.57) 命題性 関連性 10。 27(1。 96). 早期完了群 (F)モ ラ トリアム群 (M). 拡散群 (D). 10(1.00. 4.00(1.08). 3.53(1.09). 11.50(0。 67). 11.12(1.13). 10.50(2.55). 00(2.19) 20(0.75) 10。 60(1.02). 9.53(1.97) 8.00(1.08). 8.62(2.62) 8.63(8.66). 10.00(0。 97). 8.64(2.37). 4。. 9。 9。. F. p. 3.28. 多重比較. *. 1.27. nos.. 61. nos.. 0。. 5.67 O.50. **. 認 め られ なか った. A>MOD,F>M・ D. nos.. lo,十 は p<。 lo,*は p<.o5,**は p<.olを 表す。 注)nos。 は p≧ 。 多重比較 よ り有意差 (p<.05)が 生 じた結果に不等号 を示 した。 ( )内 は有意差 の傾向 (p<。 10)が ある事 を示す。. 表 11 アイデンテイティの価値観領域 における同一性地位 と自伝的記憶 の構成度 のカテ ゴ リー の平均値 (SD)と 分析結果 達成群 (A) 特定性 精級性 自我 関与 命題性 関連 1生. 早期完了群 (F)モ ラ トリア ム群 (M). 3.000.00. 3.33(1.07). 9.62(2.24). 10.25(1.90. 92(2.34). 8.25(2.22). 8.75(1.79). 8.46(2.41) 9.54(2.06). 8.79(1.71). 9。. 7。. 9。. 42(1.87). 3.440。 96). 3.000.00 10。. 拡散群 (D). F 0。68 ns.. 9.89(1.45) 0。 39 ns。 7.67(1.83) 0。 29 ns。. 50(1.12) 25(1.09). 9。. 44(1.07). 9.56(1.57). 10.00(1.22). 0.56. nos.. 0。 1l. nos。. lo,十 は p<。 lo,*は p<。 o5,**は p<.olを 表す。 注)nos.は p≧ 。. 表. 12. アイデ ンテ イテ イの職業領域 にお け る同一性 地位 と「将来」項 目におけ る 自伝 的記憶 の構成度 の カテ ゴ リー の 平均値 (SD)と 分析結果 達成群 (A). 特定性 精級性 自我 関与 命題性 関連 1生. 早期完了群 (F). モラトリアム群 (M). 1.090。 29). 1.40(0。 49). 1.18(0。 51). 3.00(1.13). 3.80(0.40). 3。. 3.27(1.05). 3.30(0.90). 3.180.57). 3.20(0。 75). 45(0。 99). 3.50(0.67). 3。. 拡散群 (D). F. p. 多重比較. 1.12(0.43). 1.85. 3.35(1.03). 3.30(1.07) 3.07(1.08). 1.34 0。 94. 2.00(1.08) 3.35(0。 97). 2.44(1.12) 5。 67 ** A>MOD,F>MOD 3.25(1.02) 0。 16 nos.. 53(0。 98). nos。. nos. nos。. lo,十 は p<。 lo,*は p<.o5,**は p<.olを 表す。 注)n.s.は p≧ 。 多重比較 よ り有意差 (p<.05)が 生 じた結果 に不等号 を示 した。. (3,46)=5.67,p<.01)。 Ryan法 に よる多 重 比 較 の 結. が 高 い だろ う,と い う仮説② は ,〈 職業 〉領域全体. 果 ,達 成群 と早期完 了群 が ,そ れぞれ モ ラ トリア ム群 と拡 散 群 よ りも 5%水 準 で 有 意 に高 い こ とが わ か っ. と,〈 職業 〉領域 の うち「将来」項 目においてのみ 達成群 >モ ラ トリアム・拡散群 ,早 期完了群 >モ ラ ト. た。. リアム・拡散群 の順 で命題性 が高 い, とい う形 で証明. 〈価値観 〉領域 で は ,自 伝 的記憶 の どの カテ ゴ リー にお い て も要 因 の効果 は有意 で なか った。. ,. された。〈職業 〉領域 , と くに「将来」 は,大 学卒業 後 の進路 として重要な問題 である。 また「将来」 につ. また ,自 伝 的記憶 にお け る差 をよ り細 か くみ るため. いて一定 の方向性や信念 をもつ ことは,こ れか らの人. に,自 伝 的記憶面接 を構成す る 6つ の 質問項 目それぞ. 生 をどう生 きるか とい う重要 な問題 なので,そ れだけ. れ につい て ,同 一性地位 に よる差 を分 散分析 に よって. 大 きな危機 を経験 し, しっか り傾倒す る必要がある。. 検討 した。 この 結果 ,〈 職業 〉領域 に入 る「将来」 項. そのためには,繰 り返 し自伝的記憶 を想起 し,再 構成. 目の命題性 のみ に同一 性 地位 による有意 な差が認 め ら. す ることが重要 になって くる。 このような理由か ら. れた。 (F(3,46)=5.67,p<.01)。 Ryanに よる多 重比較. 特 に命題性 とい うカテ ゴリー に差がみ られたのだ と考. の結果 ,達 成群 と早期完了群 が ,そ れぞれ モ ラ トリア. えられる。. ム群 と拡散群 よ りも 5%水 準 で有意 に高 い ことが わか. 植之原 (1993)自 身の研究 では,〈 職業 〉領域 の命 題性 のカテ ゴリー において,達 成群 >早 期完了 ・モ ラ. った。「将来」 にお け る 同一 性 地位 ご との 自伝 的記憶 面接 の カテ ゴ リー得 点 の 平均 値 (SD)と 分析 の 結 果 を表 12に 示 した。 これ らの結果 よ り,達 成群 >モ ラ トリア ム群 >拡 散 群 の順 で 自伝 的記憶 は よ り再構成 され ,命 題 との 関連. ,. トリアム群 とい う差がみ られた。 この結果 は,本 研究 の,達 成 0早 期完了群 >モ ラ トリアム・拡散群 , とい う結果 と類似 してい る。本研究 では達成群 と早期完了 群 の間に有意な差が認 め られなか ったが,今 後 ,サ ン.
(10) 甲南女子大学大学院論集第 6号. 48. プ ル数 を増 や して確 かめ る必 要 が あ るだろ う。 また. ,. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). 異 なるため実施 しなか ったが ,ア イデ ンテ ィテ イの一. 植 之原 (1993)で は ,〈 価値 観 〉領域 の 関連性 の カテ. 方 の領域 で 同一 性 地位 を達成 して い るの に他方 で は拡. ゴ リー にお い て ,達 成群 >早 期完 了群 , とい う結果 が. 散 して い た り,自 伝 的記憶 の想起頻度 に同一 性地位 間. 出て い るが ,本 研 究 で は そ の よ うな結果 はみ られ なか. で差がみ られ なか った りした こ とか ら,今 後質的分析. った。 この理 由 は推測す るこ とが 難 しく,今 後 さらに. をす るこ とに意 義 が あ るだろ う。. 検討 を続 けな くてはな らない 。. ま とめ と 今 後 の 課 題 青年期 におけるア イデ ンテ ィテ イの形成 と 自伝 的記 憶 の 関係 を検討 す るため に,大 学 生女性 に面接 と質問 紙調査 を実施 した。 ア イデ ンテ ィテ イの 〈職業 〉領域. 引用 文 献 日下陽子 2000 青年期の回想 一 自我同一性 との関連 か ら一甲南女子大学大学院 修士論文 Marcia,J.E。 1966 1Development and validation of Ego― identity statuso Jθ. 自伝 的記憶 の構成度 に関 して ,将 来 の職業 につい て 間 題認識が明確 で あ るこ とがわか った。 また,ア イデ ン テ ィテ ィを達成 して い る人 にお いては拡散 して い る人 よ りも,人 に話 して役立 てるため に自伝 的記憶 を用 い. 今 後 の 課題 と して は ,ア イデ ンテ イテ イの 〈価 値 観 〉領域 におけるモ ラ トリア ム群 のサ ンプル数 が少 な か ったので ,全 体 的 にサ ンプル数 を増 や して検討 す る 必 要が あ る。 また ,男 性 に も調査 す る必 要が あ る。本 研 究 で は,面 接 内容 の 質的分析 は,本 研 究 の 目的 とは. 1998 Things. lcarncd in early adulthood arc rcmcmbcrcd best.. ハ イ ι θrソ & “. Cθ gれ liriθ れ ,. 榊 美 知子 佐藤浩 -. 26,3-19.. 2006. ぼす 影響. 自己知識 の 構 造 が 気 分 不 一 致 効 果 に及. 心理学研 究,77,217-226。. 2002 5章. 自伝 的記憶. 井上. 毅 0佐 藤 浩 一. (編 著 )日 常認知 の心理学 北大路書房 Pp.70-87. 佐 藤浩 一 ・槙 洋 一 。下 島裕 美 。堀 内 孝 ・越 智 啓 太 ・. 大 田信夫. (2004)。. 自伝 的記憶研 究 の理論 と方法. 日本. 認知科学 会 テ クニ カル レポー ト No.51 谷. 冬彦. 2001. 青 年 期 にお け る 同 一 性 の 感 覚 の 構 造 一. 多次 元 自我 同 一 性 尺度. テ イの形成 と自伝 的記憶 の想起頻度 には関連 が無 い こ とが わか った。. 教育心理学研 究 ,27,178-187.. ,Rahhal,T.A.,&Poon,Lo W。. Rubin,Do C。. る こ とが 多 い こ ともわか った。 自伝 的記憶 の想起頻度 にお い ては 同一性 地位 に よる差が な く,ア イデ ンテ イ. Pッ θ んοι P`rsθ れ α′αれグSθ θ Jα ′ θgッ 。3,551-. 1979「 自我 同 一 性 地位 面接」 の 検 討 と大学生. の 自我 同一性. そ の 結 果 ,〈 職業 〉領域 にお いて ア イデ ンテ イテ イ を達成 , も しくは早期 に完了 して い る人 は,想 起す る. α′(グ. 558。. 無藤清子. と 〈価値観 〉領域 の 同一性地位 を判 定 して ,自 伝 的記 憶 の特徴 を分析 した。. r“. “. (MEIS)の 作 成 ― 教 育 心 理 学. 荷汗グ邑, 49,265-273. 谷. 冬彦. 2004. 第 1節. ア イデ ンテ イテ イの 定 義 と思. 想 谷 冬 彦 ・宮 下 一 博 (編 著 )さ ま よえ る青 少 年 の ヽ ′ 一ア イデ ンテ イテ イの 病 理 ―発 達 臨床 心 理 学 的考 察 亡 北大路書房 植 之原薫. 1993. p.3 同 一 性 地位 達 成 過 程 にお け る 『事 象 の. 記憶』 の働 き 発達心理学研 究 ,4,154-161..
(11)
図
関連したドキュメント
(1)自衛官に係る基本的考え方
話者の発表態度 がプレゼンテー ションの内容を 説得的にしてお り、聴衆の反応 を見ながら自信 をもって伝えて
職員参加の下、提供するサービスについて 自己評価は各自で取り組んだあと 定期的かつ継続的に自己点検(自己評価)
子どもたちが自由に遊ぶことのでき るエリア。UNOICHIを通して、大人 だけでなく子どもにも宇野港の魅力
今日のセミナーは、人生の最終ステージまで芸術の力 でイキイキと生き抜くことができる社会をどのようにつ
自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から
【フリーア】 CIPFA の役割の一つは、地方自治体が従うべきガイダンスをつくるというもの になっております。それもあって、我々、
●生徒アンケート質問 15「日々の学校生活からキリスト教の精神が伝わってく る。 」の肯定的評価は 82.8%(昨年度