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〔資料〕『准西國稻毛 三十三所緫縁記』翻刻と解題

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全文

(1)

〔解

題〕

武蔵国橘樹郡稲毛領平村所在芥志山供養塔薬王庵主山田平七道本が宝暦

十四年

(一七六四)

中夏に



述した

准西國稻毛 三十三所







翻刻紹介する。

道本は平村狢澤の名主で、通称平七、狢澤軒と号した。入寺入院の形跡は

伝わらず、法名風の道本号は自ら称したものであろう。道本は神仏に対す

る信仰心きわめて篤く、宝暦十四年四月、西国観音霊場を橘樹郡稲毛領内

に写した准西国稲毛三十三所観音霊場を独力で開創した。

准西國稻毛 三十三所







』はそれを

して

したもので

特集号」平成二十六年十一月 『学苑』 八八九号 「資料紹介

に紹介した『

准西國稻毛 三十三所

じゆんれいうた』とほぼ同時期の開版と思われる。

翻刻の底本には結願寺院泰平山東泉寺所蔵本を採った。霊場の午歳開帳

に合わせ、昭和五十三年五月に東京都千代田区神田神保町所住の篤志家根

本隆介氏が印施した復刻版であって、永

代保存を配慮して本文全丁を厚手の楮紙



り、堅牢な装幀を施し書帙に納めて

いる。

なお

准西國稻毛 三十三所







の題簽を

貼付した表紙は新調と思われ、

准西國稻毛 三十三所

じゆんれいうた』

の装幀から推して、

おそらく上掲した復刻本の扉が宝暦十四

年版の表紙だったと考えられる。

底本とした復刻版は扉題に示された、

「法の詠めまつ



の玉章」

(四十三丁)

「浮丗の詠めまつ



の玉章」

(二十二丁)

「栄花の詠めまつ



の玉章」

(六丁)

の三章の後に、

版芯の柱題に

「増こう」

こう」は増補の意味ではなくて、熊野権現の神徳の増劫をいうのであって、

その第一丁目表の版面を示せば左のごとくである。

平村の熊野権現の神徳の増劫を讃えた

四丁分





れるが、復刻版の制作を企図した根本隆

介氏が当時薬王庵に所蔵されていた板木

から新

さらに復刻版には巻頭に二種類の文字

の神徳を讃したものである。なお巻

「法の詠めまつ

川崎市

してしかる

これが巻

本時にお

な手

いに

丁と思われる。

准西國稻毛 三十三所







』に

れば、

准西国稲毛三十三所観音霊場を開いた平

村狢澤の山田平七道本は

痰咳

い、その十

「たと

せなかにゆきしも

きに

りはしのしたに

になし

給へ

と観音に念願し、

から観音称名を

めたところ、一年

学苑 資料紹介特集号 第九一三号 一二四 ~ 一六五(二 〇 一六 一一)

准西國稻毛 三十三所







』翻刻と

〔資

料〕

(2)

七はそれの報恩感謝の意を示すために母親をともない西国三十三所巡礼を

したが、それは平村の熊野権現に、無事に帰郷できたなら三十三体の観音



像を身命財を擲って建立するという誓願立ての旅立ちだった。しかし

無事に帰郷したものの誓約を果たせぬまま忸怩たる思いで日々を過ごすう

ちに、ある日、かつて宝暦五年四月十九日夜の夢に、富士浅間から歌詠の

題を授けられた吉夢を見たことを思い出し、欲心を捨て至心に富士を信仰

したところ、神仏の像を新たに建立するよりは近在の寺院を巡礼したほう

が利益もあつかろうと思い至り、熊野権現に祈請して西国観音霊場に准え

た三十三の観音札所を稲毛領内に定め、みずから三十余首の御詠歌



和讃

を作り、

数度も納経の札を打った。

宝暦十三年

(一七六三)

十二月には百

日巡拝を行じ、ついに翌十四年四月、准西国稲毛三十三所観音霊場の開創

を果たしたのだという。

平七道本は観音霊場開創の証明として芥志劫山薬王庵境内に西国観音霊

場第一番那智山青岸渡寺の本尊如意輪観音に倣って如意輪観音を主尊とし

た「准西國稻毛三十三所供養塔」を建立した。おそらく霊場開創宣言の日

に除幕されたものと推測されるが、道本はこれを図して「法の詠めまつ



の玉章」の末尾に載せ、また単独に紙ふだとしても版行した。左掲するの

がそれである。なお供養塔は薬王庵本堂前に現存する。

復刻版に綴じ込まれていた右の二種の紙ふだはともに熊野権現の神徳を

讃したもので、本来は「增こふ」に付されるべきものである。道本の神仏

に対する崇敬はまことに深く、神仏が衆生に垂示する大慈を父に大悲を母

と観念するほどであって、それはながく患った痰咳を観音の霊験によって

息災に導かれたと考えたことに起因し、准西国稲毛三十三所観音霊場の開

創に及ぶのである。それについて山田平七

な財

し、

学殖

かであったことが







記述

はないが、

道本は

公訴

されたことがあり、それが

れのない

している。また

業技術

改良

進ん

えたい思いが

ってもいる。道本は和歌を

信仰心の

出と考えていたようで、その詠歌をさか

いる。ついて

刻にあたっては道本の

表記

市中

館蔵

の無

本で

った。

データ 入 力 等 々に 歴史文化 学 科 二年生 金 亜美 諸氏 の 助 力 を 得 た。 また 板木 等 平七の行 住 職上形卓 道 師 からさま ざ ま慈恩を 施 された。謝意

(3)

」表表紙 (白丁) 」表表紙見返 准西國稻毛 三十三所







准西國稻毛 三十三所







浮丗の詠めまつ



の玉章

法の詠めまつ



の玉章

栄花の詠めまつ



の玉章

(4)

じゆん

西國

さいこく

いな

三十三所

しよ



そう



ゑん



のり

の詠

なが

めまつよの玉

たま

づさ

ちよ 如 によ 來 らい のときたまわくむりやう百千万 おくのしゆじやうあつてもろ  のくなふを うけんに一しんにこのくわんぜおんぼさつ のなをよばゝすミやかにかたちをげんじ てそのくにかわりたすけんと云 うん 々  賤 しず 痰 たん 咳 せき の病 やまひ にくるしむこと十余 よ 年 ねん におよひす でに身 しん 命 めい あやうきにのぞミ 観 くわん 音 おん ゑ きせひし奉りたとゑせなかにゆきしも ぢきにふりはしのしたにやどるみとなる とも一たび無 む 病 びやう の身 ミ となし給へとねん 願 ぐわん し宝 ほう 暦 れき 四年戌の八月十四日の夜 」上 01オ ○のり 一  より万 よろず の欲 こと 德 のは をおもひすて 観 くわん 音 おん の 御 ミ 名 な をしやうし奉り十余 よ 年 ねん 一日もやす からぬやまひついにいゑて無 む 病 びやう の身 ミ と なりぬ御 ご 報 ほう 恩 おん わすれまじきためさいこく 三十三しよへじゆんれいせんと念 ねん 願 ぐわん して翌 よく 年 ねん 亥 い の七月廿四日母 はゝ をいざなひさいこくへ おもむきけるまづしきいとなみをすぐる身 なれハ孝 かう 養 よふ ハおもへどもこゝろにまかせず せめて五 こ 障 しやう 三じうのつミすこしもかろし め奉らんとおもふもひんきんのあまりなり たがひに身 しん 命 めい をなげうつて大ひのみのりに すがり乞 こ 食 ぢき の身となつてさいこくたび のことのはハ毋とによらいのほかしるひと 」上 01ウ もなくくまのにさんろうし奉りなにとぞ 三十三しよをめぐりおさめ堅 けん 固 ご にて本 ほん 國 ごく へ おくりとゝけ給ひなば三十三たいのくわんゼ おんをしんめいざいをなげうつてもこんりう し奉らんと御けいやく申奉りついに念 ねん 願 ぐわん じやうじゆしてたちかへり早 さつ 速 そく やくわう あんに 願 くわん 書 しよ をさゝげ奉りじせつをまて ども金 きん 銀  のきたることもなく年 ねん 月 げつ むな しくすぐるしかるに宝 ほう 八年寅 れき とら の 三月秩 ちゝ 父 ぶ じゆんれいしみづくゞりのしも さいこくどうにまいりくわんおんおはいし見 れば古 こ ぶつ新 しん ぶつふ同 どう にしてあつめ 奉るくわんおんと見へたりいそぎたちかへ ○のり 二  り新 しん ぶつにこんりうせんより三十三 たいもらいあつめんとおもひ四五たいけい やくし奉れどもぢきにもらいとらるゝほ とけもなくたゞけいやくのミなり三十三たい けいやくしてとりあつめんとおもへどもくふ にしてこゝろにまかすることなくとしつき うつりゆくまに露命 ろめい のほどはかり かたくもはや今 こん 生 じやう にてハじやうじゆしがた しかさねてハふくじんになし給へむまれ かわりてこんりうせんとごんげんへ御わび 申奉り比ハ宝 十三 癸 ミつのと 未 ひつじ の三月薬 やく 王 わう 庵 あん にさゝげおきし 願 くわん 書 しよ そのまゝにすて おかば後 こ 日 にち のちじよくなりほとけハにくし

(5)

とハおほしめさじとぐわんしよを申さげひらき 見れば三十三たいをこんりうし奉らんこと身 しん 命 めい 財 ざい をかけなのした印 いん 判 ばん をすゑおきた ること九年いぜんのことなれハさらにおぼへ なしほとけものをいひたまわねばとて このしやうもんいかでほごとなさるべきやこれ をほごとなすならばしよてんのかごも今 こん 日 にち ぎりたちまちもとのやまいさいほつして こんじやうのゑんつきんこれよりせい くわんをたてなをしてしんめいさいをなげ うたばたちまちにじやうじゆせんことを よくしんのはなれなきゆへなり今日よ りよくといふことをおもひきりふ 」上 03オ ○のり 三  たゝびかへり見まじぞとおもへども三どく のわかれなり  しかる るにあたる三月八日ハ父 ちゝ 十三ぐわいきのめいにちなりふたゝびはかを ほつてこつをひろいおひとなして今 いま ひと たびさいこくへのぼらんとつね  ねんぐわん するといゑども四百四病にあしをとぢら れとかくこゝろにまかすることなしこれによつて そのこつをおい父十三くわいきついふくの ためさいこくになぞらゑて近 きん 郷 ごう をじゆん れいしはいし奉るべき三十三たいのくわん ぜおんぼさつをみちびき給へと熊 くま の こんげんへ祈 き 誓 せい し奉りおよばずも三 十余首 しゆ をもうけ三十三しよに奉 ほう 納 のふ し 」上 03ウ しよにんのみちびきとももしならば三十三 たいしんぶつをこんりうしたるよりりやく あつからんとおもひ納 のふ  きやう 札 ふた をうち数 す 返 へん をめぐり同十二月八日よりあくる三月十八日 まで百日の日 につ 參 さん じゆんれいし奉るときに 冨 ふ 士 じ 淺 せん 間 げん の印 いん 文 もん らいかうの三ぞんハおいづり 円 のかたにあつてにち  しゆごし給ふこと やうやくとおもひしりぬすぎつる宝 五年さいこくへくわだちのころ四月十九日 の夜 よ のことなるにふじの中ぐうにて見 あぐれバたけのゆき見おろせハうみおもて のふうけいをながめけるにふじせんげんより 歌 うた の題 だい をくだされしとおもへハゆめさめ ○のり 四  廿日のあさなりゆめハ一ふじといゑり吉 きつ さうのごれいむなれハ金 きん 銀  をもふくる か又ハしよさくみのることふじさんのごとく ならん今日よりぎやうに入 いり てふじさんへ さんけいせんとおもひ神 かん 主 ぬし 小 こ 泉 いづミ 出 で 羽 わ の父 ちゝ 白 はく 翁 おう にかたり神 さ 酒 ゝ をけんじてさんけいの けいやくをいたし同七月朔日ふじさん けいをとげさだめてきつさうのきたるらん といよ  しん  おこたらす六年さんけいし けれともついに金銀をもふくることもなく まづしきおもひのやむことなくもつたいなく もせんげんをうらミ奉り吉 よし 田 た 前 まい せんげん にがくをおさめてゑかうしおわん神 かミ ハ神 じん

(6)

づうのごれいむなれどもぼんぶのあさ ましくよくしんにくつたくしけるゆへしよぐわん じやうじゆすることおそしよくしんをはな れて見れハたちまちにじやうじゆする ものをはなれなきがゆへにかへつてせんげん をおうらみもふしにち  じゆごし給ふこと 今こそハおもひしりぬ十年のあいだ心 かわりへんかわりやうやく三十三しよと なるしよぐわんじやうじゆして見れハ熊 くま の ごんげんハ此さとのちんじゆとなつていく百 年を滿ちて三十三しよの先 せん 達 だつ をし 給ふかさいこくばんどうちゝぶそのほか しよ  に三十三しよのひろまること熊 くま 」上 05オ ○のり 五  ごんげんの御 の こ 先 せん 達 たつ にあらずんハいかで かじやうじゆすることをゑんやしかれは 准 じゆん さいこく三十三しよを一しんにじゆんれいし 奉るにおいてハ利 り 益 やく いかでべつならんや 觀 くわん 音 おん  ぎやう にいわくたとへいかなるふいきう なんたりともねがふところにけんじて そのなんにかわりたすけんとのごせいぐわん なり又くまのごんげんののたまわくわが まいに三十三どきたらんより一たび順 じゆん れいしたるともがらハたとへ十あく五ぎやく のざいにんたりとも十しゆのとくをあた ゑ六くわんおんのいんもん六こんにさづけ 給ふもしげんとうのりやくあらずんハ 」上 05ウ まつせにごんげんとハいわれまじと云 うん  今 いま ひろむるところのじゆんさいこくもし 仏 ぶつ 教 きやう のことのはにそむけひと  を あくどうへみちびかばしずの身ハさ きだつてぢごくのくるしみをうくべき ものなりよつてあまねくくわんおんの ちかひをめいじて後 こう 代 だい に性 しやう 名 めう をく たさん尓時宝 十四甲申四月吉日 武州橘樹郡稻毛領平邑 狢澤軒山田平七道本敬白

天下

泰平

國土

安全

○のり 六  凡例 歌 うた ハつきやはなをながめあるひハしき のありさまあるひハしきよくうきよの ありさまにこゝろをとゞめばおもしろき ことのはもいやしきくちよりもまれにハ いづべきなりされどもめん  のなが めわけてくわんおんのりやくをあげ りをたすくることをおもとしはべるその みそのまゝにりをすくいなをもと むるゆへめづらしくおもしろきことのは ハあらし哥 か どうをまなぶちしやのな がめとハべつなり 聲 こゑ をもつてはべるところハよみをもつて ○ ○

(7)

理 り をしるべしこれハほうべんの道 どう 理 り なり寺 じ 号 ごふ 山 さん 号 ごふ をよミくだくときハ むりにことばをつゞるゆへかゑつて理 り を ころす其 その 實 ミ 其 その 儘 まゝ にはべり理 り をす くひ句 く をたすくることをおもとしはべる 三十三しよをつらね奉ることわたくしに そなふるにあらず古 こ 仏 ぶつ れいぶつをゑらむ にもあらずくまのごんけんへきせいをかけ ゑんぶつをたづね奉るわがよくもなく 人のよくもなきやうによねんなき老 ば 女 ゝ 童 わら 子 べ にとひしぜんとしれ給ふをごん げんのおしゑと决 けつ 定 じやう してつらね奉る 三十三たいなり又あきらめがたきことハ 」上 07オ ○のり 七  託 たく 籖 せん をもつてくわんおんのおしへに まかせはべる 熊 くま 野 の 権 ごん 現 げん へ祈 き 誓 せい し奉り西 さい 國 こく を こゝにうつし奉る さいこくにてるつきこゝにながむれば かゞみにうつすミくま のやま みづすミたるときハつきまとかにやどらせ 給ふ身 ミ ハすミたるみづのこゝろになりて いながら西 せい 山 ざん のつきをなかむれハあわせ かゞみとなつてうつらせ給ふことみづにやど れるつきのごとしおのがこゝろのきよきかゞ みにうつらせ給ふハ神 かミ のたいなりよつて これをじゆんさいこくとなづけ奉る 」上 07ウ

のり

の詠

なが

めまつよの玉

たま

つさ

觀 くわん 音 おん ゑい哥 か 三十余 よ 首 しゆ

だい

一番

ばん

まつ

もと

くわう

ふく

じ たのめなを廣 ひろ きふくじゆの海 うみ なれば 大ひの波 なミ のたゝぬ日もなし ふくじゆのうみのはかりなきぐぜひの 寺 てら なれば利 り 益 やく ひゞにいやまして りやつこふふしぎの波 なミ のたゝぬ日もなしと この哥 うた ハ觀 くわん 音 おん にそなふる古 こ 哥 か なるゆへ おそらくハりやくしがたしたゞすこしそのこゝ ろをさつしぬ余 よ ハみなあらたに侍 はべ る

第二番五

たん

くわん

おん

じ もらさじとみちびきたまへくわんおんじ ○のり 八  しるもしらぬもみてのはちすに しるものもしらぬものも自 じ 他 た 平 びやう 等 どう に 御 ミ 手 て の糸 いと にて道 ミち 曳 びき たまひて極 ごく 楽 ら 浄 じやう 土 ど へ おくらせ給ふとおもひていひける

第三番細

ほそ

やま

かう

りん

じ たづねいるこゝろほそ山みちのべの 草 くさ 葉 ば にやどるつゆの身 み なれハ 大慈 じ 大ひのたつときミのりにあひ奉らん とまよひふかくおろかなる身 ミ ハくさばに やどるつゆにおなじまもなくかわきて あすもまたくさにおく露 つゆ の命 いのち 生 しやう 死 じ のおもひをなしけるに大悲 ひ のうてな にいたらんとたづねいるこゝろぼそきハ生 しやう ○ ○ ○

(8)

死 じ のみちのはかなきをおもひやりつゝ

第四番仙

せん

ごく

しゆ

ふく

し 補 ふ 陀 だ 落 らく の美 ミ めうの法 のり ハじゆふくじに いつもたゑせぬまつかぜのおと 補 ふ 陀 だ 落 らく ハくわんおんのみくになりわがくにハ 須 しゆ 弥 ミ のみなミにあたつて南閻 なんゑん 浮 ぶ 州 しう と いふ佛 ふつ 界 かい にてハなんぼうふだらくかいと もいふや仙 せん 谷 ごく の甚 じん 深  たる峯 ミね の枩 まつ 風 かせ ハ ふだんどくじゆのきやうほうとやおもわれ けにたぐひなくこゝろことばにのべがたき ていハみめうのミのりとやいわんうつくしく たゑなることすがたことばのいふにいハ れざるをみめうといふ也妙 めう 法 ほう のこゝろに似 に 」上 09オ ○九  たるべし妙法ハすゑにくわしく

第五番谷

くち

めう

かく

じ たづねくるこゝろハすぐにめうかくじ ほかにほとけのみちハあらじな 山をこしたにをこし身をせつしてたづね くるこゝろのほかにハほとけのちかひもなく みちもなしとさとりて見れハわがこゝろハ すぐにわれにそなふるところのほとけなり 佛 ふつ 性 しやう の實 ミのり とならんところの妙 めう 覚 かく の花 はな の露 つゆ をあじわひてしるべし ある人のいゑるにハ聲 こゑ にて歌 うた をはへるハ 俗 ぞく 語 ご なりといふ人あり妙 めう 覚 かく の二 に 字 じ をよ みくだくときハことばをむりにつゝるゆへ 」上 09ウ 理 り をよミころさん其 その 實 ミ 其 その 儘 まゝ にた やすく幼 よふ 童 どう の耳 みゝ にたもちうることを おもとし智 ち 者 しや のいゑることのはとハべつ なり歌 うた をもつて禅 ぜん 禄 ろく をさばき給ふ 祖 そ 師 し がたのれいもありよみをもつて 理 り をさとるか理 り をよミくずしてうし なわんより妙 めう 覚 かく と此内 このうち に理 り をふかくこめ おくなり

第六番中

なか

しま

くわん

おん

じ ほつしやうのみやこにうかぶなかのしま やつのくどくのいけのみきわに 今 いま まさにほつしやうしんによの極 ごく 楽 らく 浄 じやう 土 八 はつ 功 く 德 どく 池 ち のみきわにうかび ○のり 十  しやうじたるれんげのうへにあそびた のしむとおもひていひけるくわしくハ 三 さん 部 ぶ  きやう の中 なか にあるべし

第七番宿

しく

わら

しやう

セう

じ 曇 くもり なきしんによのつきハ 常 しやう 照 セう 寺 し なをもはれよとおのがこゝろを くもりなきしんによのつきハつねに てらしたまへどもにごりくもるものハ おのがこゝろなりはれけるうへにもなを もはれよとおのがこゝろのあくをしりぞけ て見ば晴 せい 天 てん のつきならんとおもひて

第八番堰

せき

りう

ごん

し 慈 じ 悲 ひ ふかくのりのしがらミせきとめて

(9)

はつせのみづのよどまぬもなし 濁 ぢよく 丗 に生 むま れおろかなるわれらあく 道 どう へながれおつべきをかなじみ給ひて ちかひをふかく法 のり のしがらミをしてふせ ぎとゝめ給ふくわんおんの弘 く 誓 ゼひ なり こゝろなきみづだにもしがらミすれハすこ しハよどまぬみづもなしましていわんや 人としてこのみのりにこゝろをよどめ ずといふことあるまじとおもひていひ侍 はべ る しがらミといふてハいやしきことばなりと いふひとあり 山川 かわ に風 かセ のかけたる しがらミハながれもあへぬもみぢなりけり と春 はる 道 ミちの 列 つら 樹 き の哥なり 」上 11オ ○のり 十一 

第九番長

なが

ゆき

が坂

さか いつしかとかしらにつもるゆきがさか たれかのがれんおひのとふげハ 佛 ほとけ のみのりをしらずふかくまよひう き のことのはにばかりこゝろをよせ いつの に都 ミやこ の花 はな を見んとおもふこと もなくたゞうか  と光 かう 陰 いん をおくりし うちにいつしかとわがかしらハゆきのふり つもれるがごとくとなるあさましいかな 草 くさ にやどる露 つゆ とひとしき身なれば ついにハかわきはつべきをしらずのぼり つめてハかへられぬおひのとふげよわい まだしきうちにこゝろがけべき道なりとお 」上 11ウ もひていひはべる

第十番押

おし

ぬま

ちやう

こく

じ 枩 まつ 風 かぜ や鹿 しか のなくねも身にぞしる いまはせでらのあきのゆふぐれ 無 む 常 じやう の理 り をくわんずれハまつかぜも 身にしみ鹿のなくねも 随 こつずい に てつしいまこそハあきハきぬとおもわず もたもとをぬらすつゆの身のおしつけか わきはつべきとおもひしりつゝ秋 あき の夕 ゆふ ぐれハものやう  おもひていひける

第十一番長

なか

さわ

しう

げつ

いん たくさんに願 ねか ひもみつるあきのつき あまねきかとにじひのかげかな ○のり 十二  つきハいつとてもてらし給ふものなれ どもわけてあきのそらのすみわたり たるときハ月もいとゞさやけく古 こ 人 じん も 歌 うた によミ詩 し につくりたまふ大じ大ひの 月かげハあまねくしすのいゑ  まで てらしたまふ慈 じ 悲 ひ のこゝろをはべる 大じ大ひのたいをさとりあきらめて見る ときハ月といふも花 はな といふもながむる まなこのあてどなり釈 しや といひ弥 か ミ 陀 だ と いひ神 かミ といひ佛 ほとけ といひ花といひ實 ミ といふ もわがながめのまなこなり眼 まなこ の 残 ゑい を まく さりすてゝいま大じ大ひとさしてなが むるところハわが身にあつてハ父 ぶ 毋 も 天 てん 地 ち に

(10)

あつてハ日月なり父母のじひに二 ふた 重 へ なく 日月のかげにへだてなし 神 かミ と いひ佛 ほとけ といふも 明 あきらか にものねをおして 見れハ日月ながめにこそよれある 智 ち 者 しや のいゑるにハたくさんとハ平生 へいぜい いゑ ることのはにて俗 そく 語 こ なりといゑりおろか なるしずの身のはべることなれハ 尤 もつとも なり さりながらたくさんとハ山 さん 号 がう なり幼 よう 童 どう 愚 ぐ 痴 ち のともがらまでもものゝみち  た ることをたくさんとはやくこの理 り をさとる 又 また 此 この 語 こ も聲 こへ なりさわやまといふやうに 字 じ を讀 よミ 鈔 しやう しことばをつゝらばおそらく ハ理をころさん 」上 13オ ○のり 十三 

第十二番有

あり

ふく

わう

じ めぐりきてこゝにありまのふくわうじ むりやうじゆゑいのちかひたのもし 浮 うき 世 よ ハ三 さん 途 づ の旅 たび なりりんゑくわたく のふるさとをいでゝ極 ごく 楽 らく のみちハいづく ならんとたづねめぐりきて見れハさいわい なるかなこゝにありまのふくわうじじゆゑい ざんといゑハ弥 ミ 陀 だ の本 ほん 願 くわん こゝにこそと おもひてむりやうじゆゑいのちかひたの もしといひけり

第十三番山

やま

くわん

おん

きみがため山田のさわになをながす じひのころもハいまだかわかず 」上 13ウ 末 まつ 世 ゼ のじゆじやうをかなじミ給ひていか なる山さわにもいり火 ひ にもいり水 ミづ にも いり三十三身 しん にふんじしゆじやうのうれ いにかわらせ給ふその御 泪 なミだ いまだかわかず とおもひていひける君 きミ がためとハ末世を かなじみ給ふところのうへなきことばなり 君がため春 はる の に出てわかなつむと の 光 こう 孝 かう 天 てん 王 わう 天 てん 子 し の御身としておふせられし こと葉 バ なり山田のさわとハ其 その 儘 まゝ にて人 ハいかゞとやいわんみやこよりいなかをさし ていふ古 ご 哥 か にも見へたり きみがため 山田のさわにゑぐつむと古 こ 今 きん 集 しう に も見へたり ○のり 十四 

第十四番久

ひさ

すへ

れん

御 ミ 手 て をのべすくふ大悲 ひ ハひさすへの よろず までもたのもしきかな のすへ山のおくまでもゆくすへかぎり もなきおんちかひなればひさすへの千 ち 代 よ 萬代 よろずよ までもたのもしきことなりとおも いていひけるみてをのべとハしぜんにおもひ つきしことばなり  しかる るに とびら をひらいて 靈 れい 像 ぞう をはいし見れば 雀 ひだり にれんげを もちたまひ右 ミぎ の御 ミ 手 て をさしのべさせ給ふ 容 からよふ の 像 そんぞう なり

第十五番子

くち

しめ

しが

はら さしもぐさしめじがはらのみなしごや

(11)

悲 ひ 母 ぼ のごぐわんをうるぞうれしき 六 ろく に輪 どう りん し二佛 ゑ ぶつ のゑんにとをきいま 末代 まつだい のしゆじやうハ大 おふ 野 の はらにすてら れたるあさましき身なしごとやいわん しかるに悲 ひ 母 ぼ によらいの御 こ 誓 せい 願 ぐわん にて らされ大ひのれんだいにすくひとらるゝと おもひさだめすぎつる七月十六日はじめ てこの地 ち にいたり子 し 母 ぼ の二字 じ をいふべき ためかくいひはべるその後 のち 八月十六日に納 のふ せしおりから蓮 きやう れん 乘 ぢやう 院 いん 法 ほう 印 いん この観 音の立給ふところハさほさきの空 くふ 地 ち に て郷 ごう 中 ちう もちのぐわんおんなりとの御物 がたりなり 雀 あればくまのごんげんの 」上 15オ ○のり 十五  ごせんだつにて有 う の土 ゑん と 地 ち にゑひ 哥 か もほとけにそなわりあるといふ 證 しやう 固 こ にたち給ふくわんおんなりよつて このところに一札 さつ の起 き 請 しやう をかきてお さめおきぬしめじがはらといふハ三かい のうちにおいてハ六 りく 道 どう 中 ちう 有 う の空 くふ 地 ち をさし てしめじがはらといふ るに一郷 しか ごう のうちに おいてもなわのいらざるところなれば これしめじがはらなりくふちにたち 給ふといふことを賤につげたるひともし あらばほとけのまいに妄 もう 語 こ をかきおく このつミによつてながく地 ぢ 獄 ごく のくるしみを うくべきものなりしかれハしよにんこの 」上 15ウ ところにあゆミをはこびうたがひの ねん をはらし罪 ざい 障 しやう 懴 さん 悔 げ して大ひの稱 しやう 名 めう をねんじれいけんにあずからすと いふことなしいわんや末 まつ 代 だい はくちの ぼんぶ七なん八苦 く の愁 うれい くわんおんいじん のちからにあらずんばなとかたやすくまぬ がるべけんやわけて大なんくかいのせきに のぞまばたちまちにあくねんをひる がへしれいすいにとび入 いり 六 ろく 根 こん のあかを きよめ南無大じ大ひくわんぜおんぼさつ と一しんにしやうめうし三十三どらいはいく ぎやうし奉らばたとへ定 じやう ごふひつしにさだ まるいのちも三十三しよをめぐりうる ○のり 十六  まてハじゆめうのびすといふことあらじ

第十六番岩

いわ

がわ

ちやう

めい

岩川 いわかわ やこけむすみづに身をこらし こゝろをきよくくみてしるべし われもたつとき佛 ふつ 性 しやう なれども三毒 どく に くるしめ奉り自 じ 身 しん 如 によ 來 らい につひにま見 ゑずして一 生 しやう をさる の中 よ なか のていたら く露 つゆ のミのさとりあらばぢきにほと けによらいとひとしき身とならんとおも わばしん に身をこらしこけのしみ づにこゝろをきよめながれをくみてよ くよくあじわいて見ざれハわが仏 ふつ 性 しやう のみなもとありどころハさとりしめま

(12)

じきぞとふかきこゝろをいひける

第十七番神

かふ

せん

たく

じ つくりなすつミをバなにとせんたくじ こゝろのみづにあらいきよめよ 無 む 始 し よりこのかたつくりなすつミ とがハいかゞせんとおもひけるにさいわい なるかなこのてらの御ちかひしんによ のみづにくたしてこゝろのあかをあらい きよめよ無りやうのざいしやうたちま ちにきへながれてせいけつの身とな らんとおもひていひはべる

第十八番小

すぎ

西明

さいめう

紫 むらさき のくもたなびきてさいめうじ 」上 17オ ○のり 十七  ひ  にいる日を見るにつけても 日月の兩曜 よう だにも 紫 むらさき 雲 くも たなびき てひゞに西 にし へにしへといり給ふまして いわんやぼんぶのわれらハさいほうを ねがふべきはづなりとおもひてひゞに いる日 ひ を見るにつけてもといひてくわん おんへうたを献 けん じてたちいでけるすで にその日もくれがたいる日を見ておもひ つきぬくわんおんへさんけいせんとおもひて 宵よりこゝろにかけねむるまもなく おぼへけるに夢 ゆめ のこゝろにしうんたなひき て日 にち 輪 りん にし山の葉 は にかゞやきたまへハは や今日ハくわんおんへもまいられまじと 」上 17ウ おもふまにいりあいのかねかとおもへば ゆめさめて見れば夜 よ あけのかねなり すぐにおきあがりかんがへけるにあさ日を ゆめに見ばめでたかるべきにいり日をゆめ に見ることハわがぐわんじやうじゆせずにいのち おわるかとおもヘハしよくじもむねにおちかね こゝろおくれて同 とう 行 ぎやう にいざなわれ入日に むかつてゆきけるにて夢 ゆめ のことをおもひ つきぬさてハよあけのゆめハこのくわん おんのこれいむならん西 さい 明 めう 寺 じ をいわん ためにむらさきのくもといひはへる西明 寺をにしにあきらかといふて見れハ めん  の身のうへをおもひしるべきた ○のり 十八  めひゞにいる日を見るにつけてもといひ ける上 かミ の句 く ハなにごゝろなくおもひつきて ひさすへれんげじに書ておさめおきける におもひがけなきくわんおんにあい奉り さいめうじにて下 しも の句 く おもひつきし哥 うた と ゆめとのわりふのあいたるハまさしくくわん おんのこれいむ西 さい 明 めう 寺の院 いん 家 げ しずがし ぐわんをしつて是 ぜ 非 ひ に三十三しよの内に入れ 奉らんと観音へいのられし一念 ねん のつふ つるところかとみちすがら同行十一人かた りながらかへりぬ

第十九番北

きた

がた

正福寺

ふるさとをはる  こゝにきたミがた

(13)

いそげやにしにありあけのつき あるひハ三悪 あく 趣 しゆ 六道 どう りんゑのふるさ とをやうやくとはなれ今 いま 佛 ふつ 法 ほう 繁 はん 昌 じやう のこのどに生れきたれどもあさまし いかなわれをはじめ悪 あく 道 どう よりはじ めてむまれきたれハふるさとのくせ うせかねてなんぞのはしにハおのがふる さとふるさとのことのはをあらわしあさ ましきていたらくを見するひと  のあ りさま狐 きつね ハ尾 お をかくし馬 むま ハいななきを つゝしんて愚 ぐ 痴 ち をふるさとのはぢとしる へし曇 くもり なきまなこをもつてあまね くせかいを見れハ人 のふるさとハおそ 」上 19オ ○のり 十九  ろしくめのまへにあらわるゝはづかしき ものハわがふるさとわれしらすおもひの ほにいでゝ人目にハ見ゆる 雀 ハいひながら つゝしミなきハわれをはじめあさましき まよひの身なりしかればほとけの てらし給ふまだありあけのつきの あるうちにいそぐべきみちなりとおもひ ていひけるふるさとのことのはにつけて 又いひける つゝめどもかくれぬもの ハふるさとのほに出 で てあきのおのがたね かな はづかしきものハまきおくおの がたねみのらぬあわのなにてしるべし 犬 いぬ 粟 あハ とハみのらぬものをこそなづけ 」上 19ウ たりおもひのほにいでゝ畜 ちく 生 しやう かいより はじめてこの土 ど にむまれきたる人 にん 間 げん ハ因 いん こそよくして人 ゑん にん 界 がい へしやうじきたれ ども古 こ 郷 ぎやう ちくしやうかいのくせにわかにハう せかねいやしき身とむまれけんどんぐち にしてちゑなく財 さい 寳 ほう ハくらにつむとも 礼 れい 学 がく 射 しや 御 きよ 書 しよ 数 すう の六 りく 藝 げい ハそなへがた しこれふるさとのたねとんじんちの三つの くせハせひもなしみのるもみのらざるももと のたねによる悪 あく をしりぞけよりすてゝ よきたねをとりゑざれハ 宿 しゆく 植 しき 德 とく 本 ほん 衆 しゆ 人 にん 愛 あい 敬 きやう あるよき つぎの子をハ もうけまじきぞと仏 ふつ 性 しやう をちかく ○のり 二十  さとり此埋をもつておふむねをしる べししかれハ五たいを具 ぐ 足 そく するといふ ことおろかなるいんゑんにてハあるましきい く生 しやう がいのたねをとりゑらんて此身と ハなりぬるかとおもヘハもつたいなきことなり

第二十番諏

がわ

めう

わう

いん さほさしてはやのりはなせすわがわら いまぞほどよきのりのおひかせ 今 いま 佛 ぶつ 法 ほう 繁 はん 昌 じやう のおりこそよけれ はやくしやうじのきしをはなれて ふしやうふめつのみだのみくににおふ じやうすべしとハ 浄 じやう 土 ど 教 きやう に見へたり あくをすてゝ善 せん にちかよるハこれ

(14)

のりのおひかぜと理をちかくさとり しるべし

第二十一番川

かわ

のべ



よふしう

いん 川 かわ 邊 のべ のきしにのぞみてごくらくへ いまのりゑずハいつかわたらん われらしゆじやうハかわのべのきしにのぞ みしものなれば觀音ハじひのれんだい をかたむけ 聖 しやう 衆 じゆ 來 らい 迎 かふ まし  てい ざないたまふをさいわいこのときに穢 ゑ 土 ど をはなれ 浄 じやう 土 ど のうてなにわたらずん ばいつか 生 しやう 死 じ の岸 きし をはなれんと浄土教 のこゝろをりやくせり佛 ふつ 法 ほう 流 る 布 ふ の御 ミ 代 よ なれば教 おしへ の門 もん に入て悪 あく をとをざかつて 」上 21オ ○のり 二十一  善 ぜん 根 こん にちかよるべしと理 り をちかくさ とるべし

第二十二番久

ひさ

もと

たい

れん

じ いまハはやこゝろあんざの大れんじ うゑなきのりの身こそたのもし 佛 ぶつ 教 きやう の門 もん に入て悪 あく をはなれて見れハ こゝろもおちつき三千 ぜん 界 かい にあまねき 大 だい 蓮 れん 花 げ のうへにのりあんざしたる こゝろなり自 じ 他 た 平 びやう 等 とう に一れんたく しやうといふ義 き 理 り なりしかればたのもし き身なりとおもひて

第二十三番末長

すへなが

ざう

ふく

もらさじとふくじゆのうみのはかりなく 」上 21ウ まだすへながきちかひなりけり 福 ふく 聚 しゆ 海 かい 無 む 量 りやう とはかりつもられざる ところの御誓 せい 願 くわん なれハたゝ平 びや 等 うし に 泄 とウ さじとちかひ給ふまだいつまでと かぎりなくすゑながくかなじみ給ふこゝ ろをいひけるまだといふことの葉にハ はかりなき如 によ 來 らい のこせいぐわんをこ めおきぬ

第二十四番新

しん

ざく



よふふく

極 ごく 楽 らく とおもひさためてたのむべし 花 はな もあらたにさくとおもわは 今ハはやたのもしき身となりこれにす ぎたるごくらくハなしとあんじんけつ ○のり 二十二  じやうしてたのむべし 行 ぎやう 者 じや 一人 浄 しやう 土 と にしやうずるとき壱本 ほん のれんげあ らたにしやうずるといゑりところの名 な さへ新 しん 作 さく といゑばわかあんざすべき ところのれんげあらたにさきたるとおも い今こそハ極 ごく 楽 ら 浄 じやう 土 ど なりとおもひさ だめていひける

第二十五番馬

ぎぬ

せん

じゆ

どう ありがたやせんじゆのいともつゝみきて じひのみもとにいまハきぬらん 三界 かい 六道 とう 一切 さい 衆 しゆ 生 じやう あまねくすくわん がためにほうべんをめぐらしみちびき 給ふ数 す 千 せん のいともたぐりつゞみて

(15)

みてのれんだいにいまこそハいたりぬと二 ねんなくぞおもひていひ侍る

第二十六番同

とう

しよ



だいさか はちすばのみのりにのぼるこだいさか ながきすミかのみねさかもなし 其 その 門 もん に入て仏 ぶつ 法 ほう 修 しゆ 行 ぎう をはげミ身を こらしこゝろをくだきぶつしやうをたづね て見れハはちばのうゑのすミかなり たゞわがぶつしやうのたまをたつねんと おもふうちがこだいさか上 のぼ ればみね さかもなきなかきすミかなり理 り ハ現 けん 前 ぜん にちかくさとるべし

第二十七番作

さく

のぶ

ゑん

めい

じ 」上 23オ ○のり 二十三  一しんに大じ大ひとねんずれば みのりのはなハいろもさくのぶ この寺 てら にゆきほとけいかなる 形 ぎやう 像 ざう にましますやはいし奉らんといひけれ ハ一しんにねんすればおなしこと なりとおふせられしゆへかくいひける尤 もつと なるかな仏 ぶつ 體 たい ハあるにもあらずなき にもあらずたゝひとのしんずるところに 利 り 益 やく をあらわし給ふしかれハ一しんに ねんずれハわが仏性のはなひらかぬ ときもなしみのりのはなとハわがむねの れんげなり如 によ 來 らい これを法 ほつ 花 け との給ふ

第二十八番長

なか

ぼく

どう 」上 23ウ しんぼくのまつも後 ご 仏 ふつ のほんくわいを けふそよろこぶあかつきのそら 昔 そのかミ 神 じん 代 だい より仏法のひろまるをまち てこのくにゝしんとくをあらわし居 い 給ふ 漸 やうやく とぶつほうひろまりしやくそんにう めつまし  て後 こ 仏 ぶつ 今に見へたまわす 二仏 ぶつ のあとやさきとをくむまれしワれ らなれハいかゝせんとおもひみちすがらひ とりいにしへをぎんじけるに東天 とうてん はる かにあかつきの明 めう 星 しやう あらわれさせ給ふ をつく  と見れハそらもすみわたり げにたぐひなくかんじ見れハいまこそハ みろくしゆつせのあかつきな り とおもひ ○のり 二十四  ていひける

第二十九番長

なか

せん

じゆ

どう たゞたのめちゝに利 り 益 やく のいろまして せんじゆのひかりあらたなりけり かず  のみてをのべさせ給へハたのミ をかくるたびごとにりやくいやまし たのむほどなをりしやうあらたなるみ仏 ほとけ の御ちかひなるゆへかくいゑり

第三十番

たひら

ふる

でら ちかひおくほとけのあとハふるでらに のこるけむりハいまもかふばし いにしへの仏 ぶつ 塲 じやう なれハ蘭 らん やはちすのかふ ばしきたねのこりたつときほとけの

(16)

れいけんをあらわしたまふゆへかくいひける 本 ほん 尊 ぞん 十一面 めん 観 くわん 音 おん ハ傳 てん 教 ぎやう 大師 し わが朝 てう に なむあミだ仏 ぶつ の六字 じ をおしゑひろめんとお ぼしめすといゑどもいまだなむといふこと をきゝたることなきしゆじやうゆへさま  に おしへ給へどもきゝおぼゆるものなしこれに よつてすぐにしよこくしゆぎやうの身とな りてしゆじやうさいどせんことをおぼしめして わらぐつをはきみぎの御 ミ 手 て にしゆじやうを つきひたりの御手にハあまねくしゆ生 じやう をすくひのせ給ふところのれんだいをさゝ ぎせきじやうにたゝせ給ひてみづから おんすがたをこらんじてつくらせ給ふハ 」上 25オ ○のり 二十五  十一面くわんおんなり衆 じゆ 生 じやう 済 さい 度 ど のごせ いぐわんはじめてつくらせ給ふ無 む 二のれ いぞうなり乱 らん 世 せい のときゑいざんをくだら せ給ひ東 とう 地 ち にうつらせ給ふ 委 くわしく ハ傳 てん 記 き 別 へつ にあり賤 しず なかたひ三十三たいをもらい あつめんとおもひしとき 一番にけいやく せしほとけなれども三十三處 しよ につらね 奉るゆへ札 ふた 順 じゆん 三十番 はん に定 さだ めけるよつて 手 て 引 ひき のくわんおんとなづけ奉る後 のち につち はしふるでらに札をうつ 川 のかわ 西 さい 藏 ざう 寺 し も同じたとへハ仏 ほとけ の法 ほう にハそむけても衆 しゆ 生 じやう のこゝろにそむくときハ大 願 ぐわん じやうじゆ のさまたけとなるゆへ畢 ひつ 竟 きやう 方 ほう 便 へん の道 どう 」上 25ウ りなりよつていづれに札をうつもおなじ こゝろなり

第三十一番

たいら

くわん

おん

びやう

どう

なにごともいまハたいらになりにけり 自 し 他 た 平 びやう 等 どう といのる身なれば 何 なに 事 ごと もみなおもひすてへだてなく じたびやうどうといのりくわんおんのみて にのりて一れんだいうゑにたのしむ身 なれば今ハたいらにこゝろもおちつき しとおもひていひけり

第三十二番芥

ざん

よふ

とう

やく

わう

あん をてらす大ひのかげもあり  と とうぼうるりのひかりさしそふ ○のり 二十六  くわんおんといひやくしといひ今日てらし 給ふところハ大じ大ひのかげなりねんず るところにひかりをさしそへ給ふゆへかく いひけり此ところハしずが地 ち にして薬 やく 師 し のいほりなり三十三たいのくわんおんをたづ ね奉るいま一そんにしてくわんおんにあひ 奉らずこれによつて熊 くま ごんげんの宝 の ほう ぜんにおいて上 かミ と下 しも とに二本のみくじを おろし見れハ上にましますとのおしへに まかせこゝろあたりのところをたづねけ るにあひ奉らずよつてごんげんをおうら ミもうし又くさをちぎつて三本のくじ をこしらへてとりけれハかミにてもなく

(17)

しもにてもなくまぢかきところにまし ますとのみくじなりしかれハ三十三しよを じやうじゆせばくよふをなさんとおもふもし くよふぶつにてましますかとおもひてかへ り母にかたりいたるところに今はセの 冝 ぎ 長 ちやう 和 お 尚 しやう きたられこのよしをきゝ給ひ わがかたにれひぶつ一尊 そん ましますくよふ ぶつまだできさせたまわぬものなれハおく 本尊になし給へとありけれハおもひの ほかあしもとにてくわんおんにあひ奉る これくまのごんげんのおんさづけとおもひす ぐにその 形 ぎやう 像 ざう をはいし奉りいそぎくよふ 本尊となし發 ほつ 願 ぐわん わが地 ち にそなへ奉る 」上 27オ ○のり 二十七  ゆへ先 セん 達 だつ くわんぜおんとなづけ三十二番 の札をおさめけるくよふ塔 とう 本ぞんハ西 さい 國 こく 一番熊 くま 那ちさんに の 准 じゆんじ て如 によ 意 い 輪 りん 観音のぞうなりわけてしゆじやうゑんを あつくなぞらへて六十六くにを修 しゆ 行 ぎやう して 手の内ほうしやをあつめとぼしくけ しをつむがごとくこんりうしたるゆへ芥 け 志 し 山 ざん ともいふ地 ち 輪 りん より六字 じ のしやうめうを もつてつミあげくよふハ四月十五日貴 き 賤 せん 老 ろう 若 にやく ねんぶつ 行 ぎやう 道 どう 三べんづゝくわんおん をめぐりあまねく数 す 万 まん の人のこゝろをう つすことをてんげんとしもらさず行道し おわつてゑほう同おんの 仏 ねんぶつ ハ西 さい 方 ほう 極 こく 」上 27ウ 楽國 らくこく のゑひぐわになぞらへ大ねんぶつの おんじやうハ天につうじふるあめをとむる ことまことに天にふたをするがごとし数 す 万 まん のきせんくんじうするといゑどもこと  くみなぼたいしんをおこしたれか一にん いらゝかにものいふ人なししかれハじゆん れいするともがらハこのところにめぐり きて三十三しよの惣 さう ゑかうおもふほとけ のゑかうをなすべし毎年四月十五日ハ成 しやう 道 とう 勹 ゑ となづけてあつまつて 仏 ねんふつ 行 ぎやう 道 とう 有 う 無 ゑんむ のゑかうをなしてこと ゑん  くばんれいもうじやのよろこびをきくべし 後 のち に 川 のかわ さいぞうじに札をうつこと信 しん ○のり 二十八  じんのもだしがたく賤 しず がこゝろをわけて ひつきやう方 ほう 便 べん のために東 とう 方 ほう 西 さい 方とな づけ札を納 おさ めぬいづれにふたをうつ もおなしこゝろなり

第三十三番

ばん

たいら

とう

ぜん

補陀落院

ふだらくいん ふだらくのたからのふねもつきにけり ねがひもみちてのりのみなとに 三十三たいをはいしたてまつらんとおもふ ねがひもじやうじゆして見れハ百千 万のたからをふねにつミ本 ほん 國 こく わがみ なとにふねのつきたるこゝろなりこれ にすぎたるたのもしきことハなしと 大願 くわん 成 じやう 就 しゆ のことのはをのべり

(18)

こう

よふ

くとくのことのは

大日本ワがてうハ 大ひのくにゝさだまれる しるしハ六十六かこく もとハ三十三くにに あまつこくどをわけ給ふ これも大ひのきずいなり いなけ三十三がしよも くまのさつたのきすいなり ほうべんりきにあらずんハ などかじやうじゆすべけんや しかれハばんれいくよふとう ありのとうをつむごとく 一りう二りうをつミあげて 三十三しよのくよふとう 芥 け 志 し 一りうをしゆみせんと とぼしきざいをつミあぐる いだけとかねをつむとても おしミのざいハせんもなし とんぢんちの三どくの むねのほのふにこげうせバ つまざるものにおとるなり たゞ一りうのしやうめうぞ よねつぶ一りうほどこさバ 二せあんらくとくよふせよ 」上 29オ ○のり 二十九  あわつぶ一りうほどこさハ せんぞうくよふとゑかうせよ けしつぶ一りうほどこさハ けしこふくよふとつミあげよ けし一りうハかろからず につぼんごくにもかへがたき たんせいむ二のしやうめうぞ 一りうづゝひろいとり やう  とつミあげば こりかたまりてはんじやくこう あまのおどめがまいきたり 三ねんに一べんつゝ なでゝなできるときまても 大ひのかげのよをてらす あらんかぎりハちかひおく くちせぬいしのくよふとう ゑんなきしゆじやうハどしがたし 山おくたにのそこまでも もらさずすくひとらずんハ くわんおんほとけになるまじと ふかくちかひをたて給へハ じひせいぐわんに身をこらし くだくこゝろハたがためぞ きみがためとてわかなつむ わがでにしぼるつゆのそで とてもおしまぬみなりせば 」上 29ウ こかねのはやしをすぐるとも おしミのものハなにかせん 一りうなりとこゝろよく おしまずまくハわがたねぞ 身 ミ をまつだいのまろかせと もたぬむかしをわすれつゝ まずしきおもひをしらずんハ いまハてうじやとくらせども もとのむかしにたちかへらん かりのやどりのかりのミハ ひとたびむなしからざらん 身のゆくすへをおもひなハ 切にかおしミのあるべきぞ いかつにほうをすゝめつゝ おしミのものをもらいとり どうとふくよふをするとても ゑんしやうぐらにことならす じせつとうらいそのときに くずるゝことをおそるなり たゞねかわくハひんせんの ひにくをそひてちをたらし とぼしくゑたるしやうめうの 一りうこそハけしくよふ こめハかういのしよくじにて ひんしやのあわよりやすきゆへ 二せあんらくとたとへたり ○のり 三十  あわハげにんのしよくじにて あじわいうすくこつぶなり ひんかのとぼしきざいなれハ せんぞうくよふとたとへたり けしつぶ一りうほどこさば けしこふくよふとたとへしハ ごくひんにんのまことなり あらばありぎりなにほども ほとこすこゝろときこへても なきハかなしきごくひんの ひとのこゝろハけしにても くどくハしゆミのたかさなり みちんもつもれハやまとなる せんごんくどくのまくたねも 一りう万ばいときくからハ たからのたねもそのごとく よねつぶ一りうたねにまき 一ほんのいなぼとなる もみのつぶハかぞふれとも けし一りうをたねにまき 一ほんのけしとなる ひとふさのけしのたね なにほどぞといふことを かぞへつくすひとあらじ じひぜんごんのまくたねも このりをもつてさとるべし

(19)

けしのあんにんほどなりと まことをくよふするならハ くどくかうだいなることハ しゆミせんよりもまだたかし けし一りうハかろからず につほんごくにかへがたきハ いかなるけしそといふときに またもふたゝびこのさとに 三十三しよをしやうじゆして けしこふくよふのあるまでハ まだほどとをきちかひなり ほとけといふもなくなりて ほうといふもなくなりて くよふのいしもくちはてゝ 五十六おくすぎゆいて 七せんまんざいそのゝちまで じゆめうめでたふまつたふし またのくよふにおふひとハ ねんなきこともあるまじき さもなきろうしやうふじやうなる あしたをしらぬひと  の またとふたゝびあいかたき ワがみぶつどをさりす□ハ ふたつぶとなきけしくよふ ほとけのゑんにあいはぐれ むなしくさんづにかへるなら 」上又 30オ ○のり 三十  わうじやうこくしといふことも なきしまぐにか山のおく かい大くわんぎのかねのねを きくことならぬおんこくの せまきくにゝむまれなし たからつたなきかなしミハ せんぞをうらミよしゝそん  まかざるたねとそのときに りハげんぜんにおもひしれ わがめのまいのかゞみなり けしこふくよふのふくのたね ひとたびはへずといふことなし けしこふさんのいたゞきより そのたねこくとにまくときハ おのかでんちにしやうずるぞ いまごくひんのみなりとも しぜん天のめぐミあり いま又うとくにくらすとも まくぜんごんのたねうすく ひんしやのおもひをしらずんば これ又いんぐわのどうりなり そのときぢつほもたざれハ しよせんのくるゆきもなし つもるたからもそのごとし のあたことにいふごとく てんかハまわりもちといふ 」上又 30ウ しずかめがねのくらくんば をハかゞみと見らるべし しかれハけしこふ大くよふ 三十三しよのくわんぜおん たゝせ給ふくるわのうち につほんごくとかくごして 山おくたにのそこまても 一りうなりともちきたり くよふしたるそのひとハ けんざいにてほとけとなり しまわうこんのミとなると あまねくせかいへふれるとも もちきたつてくよふする ひとハおふくハあるましき 三どくまよいのしゆじやうなり しかれハミづからをもてゝ のすへ山のおくまでも あゆミをはこびいゑ しゆじやうのゑんをもとむるも じひをこくどにめくらさん 六はらミつのせいぐわんなり すべてしゆぎやうのにんひにて てのうちくよふいゑ  に とりにきたるとこゝろへな ひとにくれるとこゝろへな おのがてんぢにたねまきて ○のり 三十一  みのりてのちハたれかとる たゝねんごろにたねまけよ 壱斗まくたの五 ほど みだつハそまつとしられたり きやうじやハでんぢまくハたね 大じ大ひのしやうめうを まなこをねむつてくわんねんし いとたいせつにまくべきぞ さいほう二せのくとくなり だんばらみつのしゆきやうなり けしもつもれハ山となる こりかたまれハいしとなる おもきちかひのたまづさを くちせぬいしにきりつけて つゆのいのちやきへゆかん 如意輪観丗音 長一丈一尺 天下太平国土安全 四尺一尺七寸 準西國稻毛三十三所供養 四面圖三面見 五穀成就万民快樂 まよひぬる人のためとやありあけのたのまぬつきの夜 かれはてんのちのかたミになつくさのふるきちかひをしるしおきつゝ

(20)

○くよふのうたちかひのことのは

まよひぬるひとのためとやありあけの たのまぬつきの夜  のともし火 つきハさやかにてらせども まよふしゆじやうのミのうへハ あんやにすむがごとくなり みちをたがへ理 り をたがふ まよゑるひとのためにとて たのまぬつきのてらさせる ものとおふむねりハしれど たのまぬつきはいたづらに 大し大ひのくわんおんを しつかりとてにとらへ そのねをおして見るときハ 今月さまのほかになし 天ちひらけてこのかたハ たゞ一日もけだいなく ひがしよりでゝにしにいり やくそくたがへずいで給ふ しやうもんしたることのはも たがふハひとのこゝろなり 」上 32オ ○のり 三十二  一天四かいのそのうちハ はりでつくせきほどなりと よけもべたてもなきじひの おこゝろおもひやるために たのまぬつきといたづらに いわハぼんぶこゝろなら などかてらし給ふべき てらすはづにててらさせる ものとおぼゆるひとおふし ひがしよりでゝにしにいり いらせ給ふへハよるとなる くらきやミぢをかゝぐらん まよふしゆじやうのためにとて たれかたのまんつきいでゝ そらよりくわうめうひをとぼし せじやうにあかりを見せ給ふ 大じ大ひのおんこゝろ おもひやるべきそのために たのまぬつきと申すなり たのまぬひともなけれども かぎつてたのむひともなし かなぶつもくぶつせきぶつに こしらへてたておくハ ぼんぶのまなこのあてどなり またハまとゝも申なり たのまぬことにほねをおる 」上 32ウ けふのぼんぶハよもあらじ 大じ大ひといふぎりを てらさんためにかくいゑり

○ちかひのうたかたみのことのは

かれはてんのちのかたミになつくさの ふかきちかひをしるしおきつゝ めん  ひとのミのうへハ なつくさにことならず がんおうびぢよくのよそおいハ たれにおとらぬミなれども いやしきミとハむまれきて みハむさしのゝなつくさや こくさこしばとひとかまに かれハまくさとなりはつる しげれるうちハわすかにて あきしもがるゝそのゝちハ すぎつるにわのなつくさハ なにをたよりにたづぬべき じねんぢよよの山のいも つるのしげれるなつのうち しるしをさしておくならば ふゆもほらるゝものぞかし ○のり 三十三  かれはてゝのそのゝちハ いづくをたつねほりうべき まつそのごとくしずのミハ なつのこくさにさもにたり しげりさかふハわずかにて おしつけかるゝそのゝちハ なにをかたミにおくるべし きん  ざいほうたくわへて まごやひこらにゆづるとも まつせのたからになりもせず のちのかたミにおくものハ 大じ大ひのちかひより ほかにたからの山もなし おそれおふきことながら ゑかうにそなふ二しゆのうた くよふとうのりやうわきに きりつけしすが兩がんの たまとおもふてちかひおく まつせにおくるかたミなり こひねがわくハしずくさの かれてあとなきすへのよに 三十三しよをうちおさめ このところにめぐりきて こゝろあるへきひと ばんれいくよふともろともに なみだのつゆのたむけミづ

(21)

なむあミだぶつの一へんに しんめいさいをとりかへて あめかしたにすておわん

○しゆぎやうのこゝろへさとりのことの葉

ぶつどうさとりといふことハ おくぎのふかくむつかしき ものとおもへるひとおふし べつのしさいのなにあらん もつともさとりたるひとハ そのしん  のとくにより ひとのこゝろをよくしれり ぢつなきひとにかぎつてハ いよ  しれるものとなり されどもむかふへくるひとハ なにやかあつてなにをもち きたるなどゝいふことを こと  くしるものと せぞくのひとのことばなり あやまりのはなはだなり きたるひとのこゝろをしり うつわのうちのものをしり かげなるものを見とをすハ つうりきといふなるべし さとりのうへのじんりきなり 」上 34オ ○のり 三十四  ときにのぞんでたま  ハ つうりきじざいをうることあり せいぐわんりきのとくによる 三めう六つうつね  に ぐそくするといふことハ ほとけのゝちハおふくなし さとりとめうとつうりきハ べつなるものとこゝろへよ ほとけのさとりもふ同 どう なり つら  ふつどうしゆぎやうして よくしんのあかをすて しん  のとくをゑて ほとけのりやくにあづからハ たつときミのりのあじわいを こつずいにくいおぼへ ぶつどうじやうじゆするほかに おくぎのふかきことあらじ ぶつどうしゆぎやうといふことに こゝろかたぶくときまでが おもき三とくまよいのミ よつてさとるひとハなし いにしへのそしがたも おふせおかれしことならん ぶつどうさばきをしそこない はなはだこゝゑたかへある そのミちしるべきひとにあり 」上 34ウ ぐちのしゆじやうハこと  くさとしがたきものゆへに ほんぐわんによらいの一 いち 行 ぎやう あり さとりといふじのるいを見て しだいふどうをさとるべし ぶつどうしゆぎやうのさとりのじ 悟 ご 故 こ 十ほうくふならん ワがこゝろのそのほかに とりとゝむべきものもなし しかるにさとりといふものゝ すがたをたとへてにとつて おしあきらめて見るときハ しらきくてまりのごとくなり ほとけのたづさへもち給ふ によいほうじゆのごとくなり しゆにんこれをたつとんで めんかうふはいのたまといふ めんかうふはいにあらずんハ さとりのすがたにあるべからす これをたとへてしやかによらい めうほうれんげとの給ふか みなわがこゝろのすかたなり しからばさのミのことあらじ さとるなよさとりて見れハ ハすたる ○のり 三十五  よくあかほんなふおしむみならば

〇佛とぼんぶしやべつのことのは

さとれハほとけなりといふ ほとけといふハなにものぞ ぼんぶといふハなにものぞ ほとけにもぼんぶあり ぼんぶにもほとけあり ほとけもまよへハぼんぶなり ぼんぶもしんのとくあれハ ときのぞんでりやくあり りやくあらわすそのときハ なとかほとけがべつならん ほとけになつてもこんじやうの 一せのきしをのりはなれ ねはんにいらざるそのうちハ まつだいほとけといふでもなし ときにあつてのほとけなり ぶつどうじゆぎやうじやうじゆして 五たいをせいしおふせてのち ねはんのもんにいるならば まつだいふめつのほとけなり すでめうわうぼさつだに みをばせいしかね給ふ かりのやどりのミなりせハ

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ほとけもかくのごとくなり ましていわやわれらをや まつだいはくちのぼんぶなり されども一ねんほつきして しん  のとくをゑて まんぐわんじやうじゆするときハ などぶつりきにあらざらん ぶつそのことばをかんがミて じゆぎやうのうへにあきらめハ ほとけとほんぶのしやべつにハ これのミのさかひなり たとへハてんかのせいとうも しよこうひやうぢやうそのうへに ぜんあくぜひをあきらむる ぶつどうじゆぎやうもそのごとく ひやうぢやうさばきあしけれハ おふいなるまちがひあり おふせおかれしそしがたの ことのはもおふけれど せぞくにこのりをとりちかい こゝろへたかへあるゆへに このことのはをはんべりぬ われといふいたづらむまをもつうちハ しりとくちとのゆだんならねば 」上 36オ ○のり 三十六  のりのみちはしるむまにもむちうつて たつなゆるすなおのかこゝろに のりゑてもこゝろゆるすなかぢおぶね 呼 こ 吸 きう のかぜのあらんかぎりハ ○觀音をあきらむることのは かうめうべんじやうくわんぜおん 大じ大ひといままさに にち  じぶのかうめうに てらされながらぼんなふの とんよくぐちにめもくらミ じひのまなこをくゝがして いんくわのどうりさだまりて りんゑくわたくのめぐりきて むりやうのくるしみミにセまり しやうろうひやうしのくるしミに 大じ大ひのくわんぜおん たすけ給へとこゑをあげ さけびかなじむこゑ  ハ 八まんゆしゆんにうてひゞく ときに大ひのめうちき 十ほうゼかいしよこくどに 」上 36ウ せつしゆのれんだいさしのべて あまねくむせつふげんしん きゝつゝむなしからずして しゆじやうのうれいになりかわり たすけ給へるこのゆへに くわんぜおんとハ申なり しやくそんいんいのむかしより 八せんたびのごしゆぎやうハ 七せんよくにんにのへ給ふ 万ぜんぎやうのしよくどへも 万ぼう一によにけつじやうして む二のさとりをおしひらき われにしんによのぶつしやうハ こゝろ一つのほかなしと 一ねんほつきひるがへり じたびやうどうにへだてなく じひせいぐわんをめぐらさハ などかほとけになられまじ これをほとけといふぞかし すなわちけふの兩ようハ ほうおんせかひのぶもぞかし 大じ大ひの兩がんぞ しよあくまくさと のなかハ みをぶつてきといましめて 大ひのみちをさとりしれ ○のり 三十七  子をおもふおやのこゝろのふたゑなき こんにちさまをくわんおんとしれ

○三どくのやまひをけすことのは

つら  せけんをあんずるに とみとうれいハそいものか よくのかぎりをしらぬのか とみハしよぐわんのさまたげぞ かならずふくをうらやむな ひんをぼたいのゑんとして ながきゑいぐわのたねをまき のちのたからをかせぐべし おくれさきだつよのならい ろうしやうふじやうのミのほどを おもひつらだてくわんずれば しやうじやひつめつそのときに さだまるみちとしらずして いくせんねんもとことぶさを いわひかさるのあさましや 三あくくかいのはじめとハ のちにぞおもひしられたり さのミとしらでまよひいる つらきとゼひをたのしミて まづしき

参照

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