南九州産二三紅藻類の寒天原藻としての利用
著者
太田 冬雄, 田中 剛
雑誌名
鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of
Fisheries Kagoshima University
巻
13
ページ
38-44
別言語のタイトル
On the Utility of Some Red Algae as Agar
Source in the Southern Sea of Kyushu
URL
http://hdl.handle.net/10232/14331
38
南九州産二三紅藻類の寒天原藻としての利用
太 田 冬 雄 ・ 田 中 剛 ontheUtilityofSomeRedAlgaeasAgarSource intheSouthernSeaofKyushu FuyuoOHTAandTakesiTANAKA Abstract Theutility,asagarsource,ofthreespeciesofredalgaecollectedfi・omthesouthernsea ofKyushu,Gγα‘伽伽‘rru‘"α(HuDs.)PAPENFuss,砂'‘α‘ノセar0伽LAMouRouxandGrα"加一 がa0kam"αjYAMADA,wasinvestigatedwiththeapplicationofalkali-treatmentmethod・ From伽‘伽iaand助ウ‘αpre-heatedwithalkali,agarshavingaconsiderablyhighgel‐ strengthwerepreparedinordinaryyields・ThefrondofG7α〃0”iadisintegratedalmostcom‐ pletelyduringpre-heating,theresultantsolutionshavingonlyweakgellingcapacity(Table l).WhenGγα仙叩iawaspressure-cookedwithalkaliundercertainconditions,agar-product couldbepreparedfromitsextract(Figs,land2). Sul勉tecontentofagarfiPomthealkali-cookedGrα"ノ0"iawasslightlylessthanthatof driedmaterial(Table3).Thissuggeststhatthee鮭ctofalkali-cookingmightbebrought aboutbysomeotherfactorsbesidesthedecreaseofsulfatecontent・ GelationoftheGrajeJo”jaextractwasenhancedbythepresenceofsomesalts(Fig.3). AdmixtureofGrajeJ0”jatoGeM"mreducedthegel-strengthofagar,leadingtoanincrease ofitsyield(Table2).寒天製造の工業的主原料は,周知の様に,紅藻類海藻のテングサ類及び他の若干の種類で
ある.これら藻類の寒天原藻としての適性には,その粘質物中の結合硫酸基及びカルポキシ
ル基の密度が関係し,特に前者の値が他の藻類よりも低い事に関連するといわれる')2).従
って凝固‘性の低いエゴノリ,オゴノリ等の粘質物でも,その結合硫酸を適当に減少せしめれば寒天質化し得るとされ3),すでにこの原理に基ずき,オゴノリよりアルカリ処理法によっ
て寒天を製造する方法が工業的に行なわれている.そしてこの硫酸量の減少は,船木ら4)に
よれば,アルカリ処理によって非凝固性の爽雑粘質物が除去されたためであるとされている。
しかし従来の結果を詳細に観察すると,アルカリ処理によって硫酸量が適当にされても,凝固性は殆ど高まらない例がみられ5),又同じオゴノリでも産地を異にしたものでは,アル
カリ処理によらなくても十分寒天原料としての価値を有するものもあり6),更にアルカリ処
理による寒天質化が硫酸量の点からは説明し難い例も報告されている7).従って,アルカリ
処理法が直ちに他の紅藻の寒天原藻としての開発に有効であるとはいい難く,又この処理に
よる効果を硫酸量の減少のみに帰する事にも問題がある様に思われる.一方寒天の需要は世
界的にも年々増加しつつあるが,限られた種類の原藻には当然資源的制約があるから,原藻
の開発特に未利用藻類の活用が望まれる.そこで著者らは,たまたま南九州産オゴノリ外二三の未利用紅藻類を入手したのを機会に,
これらの紅藻類がアルカリ処理法の適用によって寒天原料として活用できるかどうか,又活
用されるためにはどの様な処理条件が必要であるか,更に結合硫酸量の変化は,寒天質化に
太田・田中:南九州産二三紅藻類の寒天原藻としての利用 39
どの程度関連するか等を明らかにするため若干の実験を行なった.本文では予備的実験結果
の概要について述べる. 実 験 試 料 下記の干燥物を水洗,日干後細切して貯え実験に用いた.オゴノリ(a)Gγ”〃zγ/〃zノ"γ"coJ〃(HuDs.)PAPENFuss,鹿児島県,奄美大島
(1962,5)( b ) 〃 〃 , 熊 本 県 , 八 代 ( 1 9 6 3 , 1 )
〃イバラノリH〃β〃伽γ0/虎JLAMouRoux,鹿児島県,出水(1963,8)
キ ョ ウ ノ ヒ モGγα鋤”/‘z吻沈"γ”YAMADA,鹿児島県,大根占(1962,7)
テングサ,G8"〃""z〃"”/LAMx,鹿児島県,種ケ島(1961,5)
寒 天 の 調 製試料の一定量を稀アルカリ溶液中に浸漬,室温に放置又は加熱処理し,十分水洗した後日
干し,次の処理に移した6即ち,処理物に30∼50倍量に相当する水又は稀アルカリ溶液を加
えて,加圧抽出u布漁した後又は更に畦藻土層を通して吸引嘘過し,得られた抽出液を一
夜,室温又は0∼2°Cに放置しゲル化させた。次にゲル化物を適宜細切して約-10°Cの冷蔵
庫におき凍結した後,水中で解凍,水洗,脱水した後(水中解凍中に吸水するものは空気中
で解凍後),日干して粗寒天を調製した. ケル強度の測定一般に用いられる方法に従い,粗寒天の1.5%溶液又は前記抽出液を室温に一夜おきケル
化させた後,その強度を日寒水式測定器で測定,その値を約20°Cにおける値に概算し,それ
ぞれのゲル強度とした(Tablesl,2).但しゲル化能の弱い試料の場合には0∼2°Cでケル化
させ,ほぼその温度における強度を同様に測定,相対的ゲル強度とした(Figs、1∼3).
分 析粗寒天について,品質規格上の成分である全一N及び灰分を常法により,水分を赤外線法
によりそれぞれ測定した.又,原藻,アルカリ処理藻及び粗寒天中の全硫酸を試料の3%
HCl分解液について,又その灰分中硫酸を灰分の1N−HCl抽出液について,共に重量法
によって定量した. 結 果 アルカリ前処理法による寒天の製造オゴノリを原料とする工業的製法に利用されているアルカリ前処理法が,上記各試料にも
適用し得るかどうかを明らかにするため,概ね小島ら4)の適用条件に従って処理し粗寒天を
調製,そのゲル強度及び品質規格成分量を測定した.その結果がTablelでこれによると
鹿児島県,大島産オゴノリ及びイバラノリから得られた寒天は,いずれもかなりのケル強度
を示し,特にNaOHとCaCl2の混液によって前処理されたものから得られた寒天は,全一
N,灰分量の点で必ずしも十分な純度とはいい難いが,著しく高いゲル強度を示した.これ
Species lDatelLocalitylagent 40 鹿児島大学水産学部紀要第13巻(1964)
は小島ら4)のいうCaCl2の作用効果が表われているためであろうが,後述の様にケル強度が
共存塩類によって影響される点からみて,灰分量の高い事にも関係している様に思われる. 又収量も一例を除き,一応の値であった.なお又,全般的に純度は十分といい難いが,これ は調製上の注意によって更に高められる事が期待できる.従ってこれら紅藻は,アルカリ前 処理法の適用によって十分寒天原藻として利用し得るものと思われる. しかし,熊本産オゴノリは,加熱前処理中に藻体がかなり崩壊し,処理藻からの抽出液の ゲル強度も低かった.一方,キョウノヒモの場合は,前処理温度約50°Cで藻体が殆ど溶解 し,勿論溶解液は冷却後僅かにゲル状態を示したに過ぎなかった.ゆえに,この場合のオゴ ノリに対しては,幾分低い温度での前処理が有効と思われるが,キョウノヒモに対しての前 処理法の適用及び効果には問題がある様に思われる. キ ョ ウ ノ ヒ モ 粘 質 物 の 凝 固 性 a ・ ア ル コ ー ル 不 溶 粘 質 物 の 凝 固 性 キョウノヒモは植物分類学上からもオゴノリと種属を異にするから,オゴノリと同様の処 理法が適用し得ないのは当然かもしれない.しかし寒天原藻としての適‘性に関連するといわれる硫酸量は,既往の結果1)によれば12.79%(粘質物),著者らの結果では10.6%で,この
点オゴノリ中の値に近似している.ゆえにアルカリ処理の適用は必ずしも無意味とは思われ ない.そこで,キョウノヒモの粘質物を分離しこれについて,その凝固性及びこれに対する アルカリの影響をしらべた. 先ず,キョウノヒモを熱水に殆ど溶解させて滴過し,その猿液に種々の濃度になる様にエ タノールを加えて不溶物の生成状況を観察した.その結果,アルコール濃度50%では生成がなく,60%では僅かに,70%以上で顕著に生成された.そこで同様の方法で,少しく大量の
試料から70%アルコール不溶物を分離し,そのケル強度を測定した.即ち,不溶粘質物の収 量は約38%,そのゲル強度は1009/cm2以下であった.ゆえにキョウノヒモ粘質物の凝固性 本来低い様である.しかし,この分離粘質物を50倍量の0.5%NaOHに溶かし,加圧加熱 は(約115°C,1時間)した所,冷却後のゲル強度は約3倍に増加した.ゆえに,キョウノヒ モ粘質物もアルカリ処理によってある程度寒天質化し得るものと思われる. Table1.Yieldsandqualitiesofcrudeagarsfromredalgaepre-heatedwithalkali a・Atabout90oCb・Agarsolutionswerepreparedbypressure-cookingthepre-treatedalgae withwaterc・Indicatethegel-strengthoftheextracts 21.00.0513.8 16.7 ″″〃 〃熱…聯紬
Material Pre-heatinga Yield
ofagarb (%) Gγ”ノarjα(a) 〃 〃 〃 〃(b) 助''α GrajeIO叩ia e m句 1r、 t
9914
●●●●
2335
3
4
0
1
藍
:
1
(
1
2
0
)
。
|
(
<
i
器
)
。
’
17.5 18.0 20.0 22.0 0.039 0.046 0.045 0.049335
27.8 27.5 16.1 25.5│珂馳弱K吐賦宮91 ,回四 日、、 E■■ 41 。 ' 凸 . 牽 旬 = Ⅱ ・ ・ r ” 五 一 画 5 画 …!(:・督舎・'‘ ■Q 1厘弓凶郡拶ロム、m召堕P別0画 2.0 │『 b・アルカリ処理と凝固性の変化 キョウノヒモを直接種々の条件でアルカリ煮熱した場合の凝固性の変化をしらべた.先ず 室温で稀アルカリ処理した試料に種々の濃度(0.1∼10%)のNaOHを加え加圧加熱(約
120.C’2時間)した後,波過し,得られた抽出液のゲル強度を比較した.その結果がFig.1
で,試験されたNaOH濃度の差はやや粗いが’0.5%濃度の時に最も高いゲル強度を示し, 10%以上ではゲル化能が殆ど兄ら 115 120 125柵
脇
(
鰯
)
'
−
9
…
諾
。
r
o
W
g
に
現
‘
れ
阜
謡
ら
つ
急
0
5
%
N
鼠
。
Ⅲ
一 塁 階 を 用 い 加 圧 加 熱 の 条 件 を 異 に し た 場合の抽出液ゲル強度の変化を比 較した.その結果がFig.2である. 即ち,アルカリ加熱によってゲル 強度は増大したが,その程度は加 150000 0...・・・ 001370 1 n B m 豚で頃T虻悪玉帝 115 120 125 1 . 曲 毎 甲 号 各 唾 垂 も 邑 碩 。 E f a,Cookingsolution;0.5%NaOH Fig、2.EEGectsoftimeandtemperatureinalkali-cooking ongel-strengthofGγαZCZ0”iaextract. 熱 温 度 , 加 熱 時 間 に よ っ て 相 異 し , a,Cookingcondition;aboutl20・q2hr、 この実験の範囲では約115.C, Fig.1.EBFectofalkali-concentrationinalkali-cooking l時間の場合に最も高い値を示し ongel-strengthofGraZ8j0“iaextract・ た.しかし,これらの各条件で得 られた抽出液から寒天を調製した場合の観察によると,抽出液ゲル強度の低いものは,水中 解凍では勿論空気中解凍でも外少乍ら吸水し調製処理が困難であった.その点ゲル強度の高 いのものは,水中解凍によっても殆ど吸水せず,得られた粗寒天は着色度が少なく,且つそ の寒天ケル強度もかなり高かった.ゆえに,キョウノヒモの如き種類も適当な条件でのアル カ リ 煮 熟 法 に よ れ ば , 少 な く も 凝 。 P 弘 o r 岱 痔 帝 1.0 0.5 太 田 ・ 田 中 : 南 九 州 産 二 三 紅 藻 類 の 寒 天 原 藻 と し て の 利 用 一屋.一一 W軍︾..﹃︾ なお,前記の実験(Tablel参 照)で,その抽出液のゲル強度の 低かったオゴノリからも,上述の キ ョ ウ ノ ヒ モ に 対 し て と 同 様 の 直 接煮熟法によって,かなり商いケ ル強度をもつ抽出液が得られた. c , 処 理 液 中 の 塩 類 の 共 存 が 凝 固 性 に 及 ぼ す 影 響 寒天中の塩類の存在は,品質規 格 上 好 ま し い 事 で な い が , ア ル カ リ 処 理 に お け る 処 理 液 中 の 塩 類 の 共 存 が 処 理 効 果 に ど の 様 な 影 響 を 及 ぼ す か , 又 ゲ ル 中 の 共 存 が そ の 強 度 に 如 何 な る 影 群 を 及 ぼ す か は 一 応 明 ら か に し て お く 必 要 が あ る と 思 わ れ る 。 よ っ て , キ ョ ウ ノ レ050223
111
l ‐ 2 : 狸 Z ‐ F 1 牟 一 − 1 1 1 』 、 帥 0 Ⅷ . 』 . 、 , . 。 ・ 喧 一一 画 ■ ■ ■ ■ − ■ ■ ■ ■ 鹿児島大学水産学部紀要第13巻(1964) 42 察 = 画 ■ ■ ■ ■ 考 モを食塩及び二三の燐酸塩を含 むNaOH溶液で加圧加熱した場 合の抽出液ゲル強度の変化をし らべた.その結果がFig.3で, 食塩又は第2燐酸カリを含む場 合の抽出液ゲル強度は,アルカ リのみによる処理の場合よりも 高かった. しかし,食塩又は燐酸塩のみ による加熱処理では,凝固性の 増大は殆ど見られず,又,例え
ば1.5%量の食塩の混和で抽出
液ゲル強度は,約2倍に増加し Cookingsolutiona Gel-strengthofextracts(g/cm2) 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 a,Cookingcondition;aboutl20oC,2hr・ による加熱処理では,凝固性の b,Sodium-tripolyphosphate 増大は殆ど見られず,又,例え Fig.3.Gel-strengthofextractsfromGγα"ノ0“iacookedwith alkalicontainingsalts・ば1.5%量の食塩の混和で抽出
液ゲル強度は,約2倍に増加したから上述の抽出液ケル強度の増加は,塩類が加熱処理中の反応に関与したためではなく,
単にゲル中に電解質として存在したためであると思われる.
d・テングサに混和された場合の影響キョウノヒモ粘質物が他の凝固‘性粘質物に混和された場合,その凝固,性がどの様に影響さ
れるかを明らかにするために,テングサに低温でアルカリ前処理したキョウノヒモを種々の
割合に混和し,各混和物から同一条件で粗寒天を調製,その収量及び寒天ゲル強度を測定比
較した.その結果がTable2で,キョウノヒモを混和されたもののケル強度は,その混和量の増加
に従い逆比例的に減少したが, Table2.Yieldandqualityofagarfi・om 収量はキョウノヒモを混和され 、ixtureofGe肺UmandGra仙叩jα ナチ未、/7,+具ノ△、ハゴ竺剖〆1条+苗-hrT1 0.5%NaOH 〃 +1.596Nacl 〃 + 〃 〃 〃+0.5%Na2HPO4 〃 +〃K2HPO4 十〃Tppb 〃 1.0%NaCl 3 . 0 〃 〃 5 . 0 〃 〃01121
−11210
G8"伽加,Gγα〃ノ0”iα (ratiobyweight) 22.4 27.1 28.8 27.2 たものの場合いずれも増加し, 且つその程度は混和量に拘らず, ほぼ同様であった.従って,キ ョウノヒモの混和はゲル強度に 対してはむしろ負の付加的影響 を及ぼすが,収量に対しては僅 が乍ら相乗的効果がある様に‘思 われる. 既述の様に,アルカリ処理されたオゴノリが寒天原料として利用され得るのは,アルカリ処理によってオゴノリ中の硫酸量が減少されるからであり,船木ら4)によればこの減少は爽
雑する非凝固性粘質物が除去されるためとされている. 従って,この実験におけるキョウノヒモのアルカリ処理によるゲル化能の増大も,一応硫酸量の減少によるものと推定されるが,分析の結果(Table3)によると,キョウノヒモ寒天
600 190 380 160 <lOO Agar Gel-strength(g/cm2),Yield(%)太 田 。 田 中 : 南 九 州 産 二 三 紅 藻 類 の 寒 天 原 藻 と し て の 利 用 43 中 の 硫 酸 量 は , 一 般 に い わ れ て い る 寒 天 中 含 量 よ り も か な り 高 く , し か も 原 藻 中 の そ れ よ り も 僅 か に 減 少 し て い る に 過 ぎ な か っ た . ゆ え に , ア ル カ リ 処 理 に よ る ゲ ル 化 能 の 増 大 は , 単 なる硫酸量の減少では説明し難く,むしろ他の因子の関与が大きい様に思われる.小島ら7) も ア ル カ リ 処 理 に よ る ゲ ル 化 能 の 増 大 が , 必 ず し も 硫 酸 量 の 減 少 に 帰 し 得 な い 例 を 述 べ て い る . 硫 酸 に 関 す る 限 り , 単 な る 含 量 の 外 に そ の 結 合 位 置 の 如 き 質 的 状 態 が 関 係 し て い る の か もしれない.勿論硫酸に結合する金属の問題もあるであろう. と も か く , ア ル カ リ 処 理 に よ っ て ゲ ル 化 能 の 増 大 す る 事 実 は , 凝 固 性 の 低 い か 殆 ど な い 紅 藻粘質物からある程度の凝固性粘質物を製取し得るという考え方を一層強めるものである. そ の 点 ア ル カ リ 処 理 は , こ の 目 的 に 対 す る 簡 易 法 で あ る が , 単 純 に 考 え て 硫 酸 の 減 少 と 同 時 に 当 然 , 本 体 の 糖 成 分 に 対 し て も 分 割 的 Table3.SulfatecontentinGrajcJo“ia anditsproduct に 作 用 し て い る も の と 考 え ら れ る か ら , (%moist・freebasis) そ れ だ け に 処 理 の 方 法 及 び 条 件 に 工 夫 検 s o 3 計 が 望 ま れ る . そ の 意 味 で 最 近 の γ 線 照 t o t a l i n a s h 射の応用U「究に深い関心が持たれるが, D r i e d a l g a e 1 . 9
1 0 . 6 勝 浦 ら 8 ) の 結 果 で は γ 線 照 射 は 主 鎖 の 分
AIkali-treatedalgae9.11.8 裂 を も た ら し , ケ ル 強 度 の 増 大 に は 殆 ど 効果がなく,天野ら9)も収量の増大,品 C r u d e a g a r 7 . 5 1 . 5 質管理の点で有効と思われるが,ゲル強 度 の 上 昇 は 期 待 し 得 な い と し て い る . 一 般 に 粘 質 物 熔 液 の 物 理 的 性 質 は 塩 類 の 共 存 に よ っ て 影 響 さ れ る . 例 え ば 寒 天 の ゲ ル 化 速度は共存する塩類の種類,並によって影響されることが明らかにされている'0).又,糊性粘
質物は本来粘性を主体とするが塩類の存在によって粘性が低下し,反対に凝固性をもつ事が知られており,その程度は粘質物,及び塩類の種類でかなり相異するといわれる'1).この実
験におけるキョウノヒモのアルカリ加熱抽出液のゲル強度が二三塩類の共存によって噌大し たのも,上述の例と同様の原因によるものであろう.そしてこの原因には,粘質物の荷電と 共 存 塩 類 の イ オ ン と の 関 係 が 関 与 し て い る と 思 わ れ る . 一 方 こ の 様 な 事 実 は , す で に 実 際 へ の応用の点からも関心がもたれている'2)から,この意味でも一応注目してよいと思う. 総 括 南 九 州 産 の 数 種 紅 藻 類 を 試 料 と し , こ れ ら を 寒 天 原 藻 と し て 活 用 し 得 る か ど う か を 主 と し て ア ル カ リ 処 理 法 の 適 川 に よ っ て し ら べ た . 1 ) ア ル カ リ で 前 処 理 さ れ た オ ゴ ノ リ 及 び イ バ ラ ノ リ か ら , か な り 高 い ケ ル 強 度 を も つ 寒 天 が 一 般 的 な 収 量 で 製 取 さ れ た . し か し , キ ョ ウ ノ ヒ モ は 同 様 の 前 処 理 中 に 藻 体 が 殆 ど 崩 壊 し 且 つ 処 理 液 の 凝 固 性 は 耕 し く 低 か つ た . 2)キョウノヒモのエタノール不溶粘質物の凝固性は低かったが,アルカリ加熱によって増 大し,その程度は加熱条件によって加異した.この実験における最適条件で処理されたキ ョ ウ ノ ヒモ 煮 熟液から粗寒天 が 製 取 さ れ た . 3)キョウノヒモ寒天中の硫酸量はかなり多く,原藻のそれに比し僅かに少なかった.ゆえ にアルカリ処理の効果には,硫酸の減少以外の因子も関与していると思われる. 4 ) キ ョ ウ ノ ヒ モ の ア ル カ リ 処 理 液 の 凝 固 性 は , 二 三 塩 類 の 共 存 に よ っ て 増 加 し た . 又 キ ヨ文 44 ウノヒモとテングサとの混合物から得られる寒天のゲル強後は,テングサからのものより も低かったが,収量においては高かった. 最後に,この実験の実施に際して御助言を賜わった下関水産大学校の田川昭治教官,及び 試料の入手について御配慮いただいた鹿児島水産試験場の新村技師に対して深謝の意を表す る.又,この実験の遂行に協力援助された本学部西元詳一講師及び山本将雄,郡司徳忠の両 君に謝意を表する.更にこの試験に支出した費用の一部は鹿児島大学南方科学研究委員会援 助金(昭和38年度)によったものであることを付記し併せて謝意を表する. 鹿児島大学水産学部紀要第13巻(1964) 献 柳川鉄之助(1946):‘〈寒天''’342-343(産業図書,東京). 勝浦嘉久次。鈴木昭三郎(1956):工化.,59,1061−1063 柳川鉄之助(1946):“寒天''’345(産業図書,東京). 船木好右術門。小島良夫(1951):日水誌.,16,401-405 柳川鉄之助(1946):“寒天''’321-335(産業図書,東京). 田川昭治。立山嘉彦。小島良夫(1961):水講研(下関).,11,71−78 田川昭治。小島良夫(1962):日水学会,(東京). 勝浦嘉久次。鈴木昭三郎。岡野利昌(1962):工化,65,lO76-lO78 天野慶之。山田金次郎。尾藤方通。大竹茂夫(1960):日水学会(東京). 岩瀬慶三(1921):“海藻工業",(高橋武雄),56-57(工業図書,東京). HuMM,H、』.(1951):‘‘MarineProductsofCommerce,,,(,.K,TREssLERandJ.M・ LEMON,eds.),47-93(ReinholdPubl・CO.,NewYork). GLrcKsMAN,M、(1962):“Ad、inFoodRes、''’11,124-125(AcademicPress,NewYork).