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フリーター対策は妥当か? : 高卒無業者の歴史的相対化を手がかりにして

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Academic year: 2021

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(1)フリータ一対策は 妥当か ? 一. 高卒無業者の 歴史的相対化を 手がかりにして 新谷. 学校教育講座. The@Validity@of@Policy@for@Job. 一. 康浩. ,Hopping. ・. Youth. -Historical@Sociology@of@High@School@Graduates,. Whose@Future@Course@is@UndecidedYasuhi. Ⅰ. o. Shi. tan. 課題 遊年フリーターを 巡る議論が盛んに 行われている。 その際、 フリーターはまっとうな 仕事につか. な い 若者の問題であ るとして、 いかにして若者を 働かせるかという 観点から議論が 進められている 傾向があ るといえよ. う. 。. その傾向は政策においても 同様であ る。 例えば、 学卒者の職業生活への 移行を推進するために 文 部 科学者 が キャリア教育を 提言している。 これは具体的には 児童生徒に勤労観や 職業観を身につけ させる教育であ る。 これが結果として 職業人としての 資質・能力を 高めることにっながると 想定さ れているのであ る (1)。. しかし、 このような形で 職業生活への 移行を支援することが 果たしてフリータ 一対策となるので あ ろうか。. ここには、 フリータ一の 増加が若者個人の 問題であ り、 それが現在問題となったという. 認識が見られる。 そのためフリータ 一対策も、 若者個々人にどう 対処すれば彼らをまっとうに 働か せることができるのかというように 短絡的に考えられているのではないだろうか。. では本当にその. 対策が有効なのであ ろうか。 フリータ一に 対する問題認識を 問い直すことから 考えてみよう。 その際に、 歴史的に比較することで 現状認識を相対化することが 必要ではないだろうか。 例えば、 しつけや青少年犯罪などについては、 歴史的に相対化することによって、 むしろ現状が 悪いのでは なくまなざしの 変化が重要であ ったことが分かる (2)。 であ るならば、 フリーター問題も 現在の問題. としてではなく、 歴史的視点に 立ってその問題を 相対化させることによって、 対策の妥当性を 検討 することが可能ではないだろうか。 そこで本稿では、 フリーター問題が 若者個人の問題なのかどうか、 またそれは近年の 問題なのか という二つの 観点から検討してみたい。 とりわけ本稿では 学卒後の職業生活への 移行に焦点を 当て て 、 それを歴史的に 相対化させることにする。 ここで着目するのは 学卒無業者、 特に高卒無業者層 の 推移であ る。 フリーターと 学卒無業者は 完全に一致するわけではないが、 学校の中で職業生活へ の 移行をすすめるための 心理的・職業的準備が 機能していないという 文部科学 省 の問題認識の 前提 を 歴史的に相対化させるのであ. れば、. を 対象としたのは、 それがフリータ. ここで扱. う. のは必然的に 学卒無業者であ るからであ る。 高卒. 一の主体となっている 点㈹、 政策的支援の 中核を占めているの.

(2) Ⅰ. 新谷. 4. 康浩. が 高卒者であ る点からであ る。. 2. 先行研究 まずフリーターという 用語について 概観する。 先行研究でフリーター 問題についてさかのぼって. いるのは 80 年代までであ る。 その理由として、 フリーターという 用語が 87 年の丁フロム・ エー 』に. 掲載されたことから 始まったという 歴史の浅さもあ る。 しかしフリータ 一に該当する part-time worker や Job.hoppingがそれ以前に 存在しなかったわけではない。 むしろフリーターという 用語が 用いられることによって 意味合いが変化したことが 特徴として挙げられる。 この用語が用いられた 当初は「正社員として 働けない」が 資格取得や自分の 夢を実現するために「自由に 主体的に生きる」 若者といった 意味合いで使われていた。 その後、 より広い意味で 使われるよ. う. になり、 「学校卒業後. に 、 未婚の非正社員として 働いている若者、 あ るいは働こうとしている 無業者の若者で 年齢層とし て 2(M代 、 あ るいは 30 代前半まで」といった 解釈が行われてきた。. このような意味合いの 変化の背景にはバブルから 不況期への移行による 雇用情勢の変化があ る。 しかし、 このような意味合いの 変化は、 フリータ一に 対するまなざしを 暖 味なものにしたといえよ ぅ. 。 第 1 に、 若者が自分探しの 一環としてフリーターとなっているというよ. う. に、 フリーター問題. を若者個人の 問題として捉えようという 見方が、 現在でも一定の 割合で存在している。 このことは、 フリータ一対策が、 若者対策として 取り扱われることを 指している。 第 2 に、 フリータ一の 定義が. 多様になっている。 例えば厚生労働省とリクルートの 定義では、 フリータ一の 人数にかなり 違いが 生じる。 厚生労働省の 定義は狭義であ り、 リクルートの 定義は広義であ る。 特に、. 第 1. の問題は本稿での 課題と関わってくるので、. 具体的な議論をみてみよう。. 例えば、 フリーターを 若者の自己責任とみなす 論調を整理しているものとして、 平塚 (2002) が 挙げられる。 その中で、 大企業会社員の 発言を「自己責任」問題とみなす 論調の具体何として 挙げ ている。. 平成 12年版労働白書においても、 フリーター増加の 背景として、 若い世代の就業意欲の 希薄化を 挙げている。 また山田昌腔のパラサイトシンバルとフリーターをダブらせる. 論調も散見される (4)。. この議論を発展させると、 親の経済的裕福さが 子のフリーターとしての 生き方を可能にさせている という予想が 成り立つ。. このほかに、 若者のフリータ 一志向が強まってきた 理由として、 門脇 (1999) は在学中のアルバ イト経験を挙げている。 しかしこれらの 若者個々人にフリーター 増加の理由を 見出そうとする 見方だけでは、 フリーター 問題の本質を 見誤っており、 結果としてその 対策も妥当なものとはなりえない。 第 1 にフリーター. 増加は若者の 問題としてだけではとらえることができず、 社会構造の要因も 大きな影響を 与えてい ることが先行研究によって 指摘されている。 後述する耳塚 (2001) 等は、 若者個人の変容と 同様に. 社会構造によって 作り出された 問題でもあ るとしている。 第 2 に、 社会階層とフリータ 一の関連に ついてであ る。 パラサイトシンバルとフリーターをダブらせる 論調は、 経済的余裕のあ る階層の子. どもがフリータ 一になるとみなしていたが、 実際には社会的に 下層出身者の 方がフリーターを 輩出 していた。 これらを先行研究の 知見から整理してみよう。 まず多様なフリーター 観の中で、 フリータ一の 特徴を明らかにしたものとして 日本労働研究機構 の - 連の研究が挙げられる。 この中でフリータ 一のタイプ分けが 行われ、 大別して「モラトリアム.

(3) 15. フリータ一対策は 妥当か ?. 型. 」. 4 割、 夢 追求型」 男 「. 2 割・. 女 3 割、 「やむを得ず 型」. 男 4 割・. 女 3 割に分けられることが 指摘さ. れた。 一概にフリーターをまとめて 議論することはできないが、 この研究によって、 フリーター. と. いっても幾つかのタイプに 分かれていることが 明らかにされ、 それをもとに 彼らに対する 職業支援 が 提唱された。. ここで注目すべきは、 若者個人の問題ではなく、 社会構造上の. と 考えられる「やむを. 得ず型」が. 人 に起因することができるが、. 男 4 割・. 女. 3. 間 題 によって生じた. 割を占めていることであ る。 前 2 者のタイプは 若者 個. このタイプは 若年労働市場の 変化によって 生じてきたといえよう。. この労働市場の 変化は、 学校と職業との 関連をも変容させた。 それは、 戦後広く行われてきた 学校 による職業紹介によって 卒業者を学校から 職業へと間断なく 移行させるシステムが 機能しなくなっ てきたという 構造的問題であ. る. (5)。 これによって、 学卒無業者が 増加したのであ る。 しかし学卒 無. 業者はすべてのタイプの 学校で均一に 生じたわけではない。 粒来 (1997) は無業者析出メカニズムを 分析し、 それによって 高校種別に よ る 違 いが無業者輩出 率の違いに影響を 与えていることを 明らかにした。. これらの先行研究を 踏まえて、 耳塚 (2001) は高卒無業者増加の 背景として、 高卒労働市場の 逼 迫 、 高校生文化の 変容、 教育理念や進路指導の 変容、 豊かな家計水準を 挙げている。 耳塚 (2001) はこの問題に 対する政策的対応として 職業支援システムや 職業スキルを 獲得するための 訓練システ ムなづ くるよ. う. 指摘している。. しかし新谷 (2002) はこの政策的対応が 有効でない人がいることを 示している。 新谷 (2002) は 、. 大都市に出て 正規雇用となることを 選ぶより、 フリータ一でも 良いから地元での 人間関係を重視し. ぅ よ. とする若者がいることを 聞き取り調査から 明らかにしている。 このような「地元 っが がり」と. いう若者の下位文化に 焦点を当てることによって、 個人に対する 職業支援が全ての 若者に有効なも のではないことが 分かる。 以上は教育社会学の 分野において、 職業と教育の 関連について 焦点を当てたものであ る。 それと は 別に、. 労働市場の側面からフリーター 問題を扱ったものとして 支出 (2001) が挙げられる。 支出. (2001) によると、 若者が個人の 明確な意識に 基づいてフリーターを 選択しているというより、 本 人 が自覚していない. 社会経済システムによって 知らず知らずのうちに 選択させられているという。. それが中高年の 雇用維持のため、 若年雇用者が 雇用の調整 弁 とされているというのであ る。 これに よれば、個人の意思がどうであ れ、社会システムがフリーターを 作り出しているということになる。 これら教育社会学や 労働経済学の 議論から、 フリーター増加が 現在の若者の 特徴からのみ 生じた わけではなく、 労働市場の変容といった 社会構造上の 問題からも生じたことがわかる。 また社会階層との 関連については、 まず日本労働研究機構 (2001) の中で耳塚が 指摘したのは、 フリーター と 非フリーターを 対象とした調査によって、 学卒後にフリーターやパート・アルバイト といった非典型的労働市場に 参入を余儀なくされたのが 大卒者よりも 高卒者であ った点、 また同じ 高卒者の中でも 、 一層多く非典型労働市場へ 参入したり無業者になったのが 相対的に低い 社会階層 出身者であ った点であ る。 また、 苅谷地 (2001) では保護者の 職業が「流動的雇用者」や「自営業」 の場合に、 生徒の進路が 無業になる可能性があ ることを指摘している。 それぞれの知見に 違いはあ るが、 社会的に恵まれた 層で無業者になる 可能性が低いという 点では共通している。 では、 フリーター問題が 社会構造上から 生じたとすれば、 その現状認識に 基づく対策は 果たして. 妥当なのであ ろうか。 例えば 乾 (2002) は、 職業や労働にかかわる 教育の充実や 高校普通科におけ る 職業教育の拡大を. 歓迎しながらも、. それが高卒無業者やフリーター 問題への主要な 対応策として.

(4) 16. 新谷. 康浩. 提起されることには 問題があ るという。 その理由として. 乾. (2002) はフリーター 問題の原因が 若年. 労働市場の変化にあ るにもかかわらず、 若者達の意識変化に 主要因を求めようとしている 結果だか らという。. 近年フリーターが 増加してきた 理由は、 支出 (2001) がい. う. よ. う. に、 労働市場の変動と 中高年の. 雇用維持のおおりを 若者が受けているというのが 妥当であ ろう。 また学卒無業者が 増加したことに より、 学校教育の正当性の 揺らぎが生じているという 耳塚 (2001) の指摘も妥当といえる。 これらの先行研究の 知見から、 フリーターや 学卒無業者の 増加は、 近年の就業構造の 変化、 及び 学校から職業への 移行システムにほころびが 生じていることによる 構造的問題であ り、 若者の意識 の変化といった 個人の問題だけを 扱えば対処できる 問題ではないことが 分かる。 そのため、 文部 科. 学省 がすすめているキャリア 教育によって 職業観を高めることが、 必ずしも無業者の 減少をもたら すとは言いきれないであ ろう。 ところで、 このような近年の 構造的変化が 学卒無業者を 作り出したのではなく 増加させたという. 点を見逃すことはできない。 問題になる以前にも 学卒無業者は 存在したからであ る。 であ るなら、 学卒無業者が 増加した原因を 探ることが学卒無業者を 減少させようという 根本的な対策になるとは 言いきれないのではないか。 むしろこの対策によって、 どの部分が解決できる 問題なのか、 あ るい はその対策によって 解決できない 問題とは何なのかを 探ることがより 必、 要なのではないだろうか。. これを探るためには、 近年の変化のみに 着目するのではなく、 より長期的なスパンでこの 問題をと らえ直す必要があ るのではないだろうか。 そのため、 次節では高卒無業者の 長期的な推移を 見てみ よ. う. 3. 。. 高卒無業者の 推移 本節ではまず、 学校基本調査に 掲載されている 高卒無業者数についてデータ 上の限界があ ること. を 示し、. その上で他の 指標を用いることでいかにして 高卒無業者数をより 正確に推計することがで. きるのかというデータ 分析上の問題を 扱うことにする。 それを踏まえて、 推計値の最大値と 最小値 を示し、 高卒無業者数がその 範囲にあ った場合に、 その人数が持っていた 意味を考察することにす る。. 高卒無業者の 推移を検討する 前に、 高校生といっても、 同一年齢層に 占める割合は 異なっている ことを踏まえておく. 必要があ る。 中卒者の高校進学率は 戦後急増した。 1954 年に 5 割を越え、 61 年に. は 6 割、 65 年には 7 割、 70 年には 8 割、 74 午には 9 割を超えている. (。 )。. このように急激に 大衆化した. 時期の高卒者を 対象としていることを 念頭に置く必要があ る。 まず学卒無業者数をどの 程度正確に把握することができるのかというデータ. 分析上の間題から 考. えてみよう。 この学卒無業者数は、 学校基本調査によって 把握可能であ る。 しかしそのデータは 1975. 午を境に別のカテゴリーを 含んでいるため、 単純にそのデータを 利用することはできない。 カテゴ リ一の詳細は 以下のようになる。 学校基本調査における 高等学校卒業者の 進路は 、 大きく分けると 進学・就職とそれ 以外に分かれ ている。 無業者のデータは 98 年までは「無業者」の 項目に入っている。 また 99 年以降は「左記以覚 の 音 」の項目に含まれている。 「左記以覚の 者」は「家事手伝いをしている 者」や「覚国大学等に 入. 学した者」、 「進学・就職者に 該当しない者で 進路が未定であ ることが明らかな 者」であ る。 このカ テゴリーは、 98年以前の無業者とは 基本的に変わっていない。 そのため 98 年と 99 年の間に人数の 変.

(5) フリータ一対策は 妥当か ?. Ⅰ. 7. 化があ ったとすれば、 それはカテゴリ 一の変化ではなく 無業者数自体の 変化であ る。 ところが、 75. 年以前の「無業者」のデータは、 リ. ー となってしまっている。. 練施設等入学. (所 ). 者 」の項目をど. う. 各種学校や公的職業能力開発施設等の. 人学者を含み、 別のカテゴ. 76 年以降はそれらのカテゴリーが「専修学校,各種学校,公共職業訓. 者 」の項目に分類されている。 では 75 年以前の「無業者」と 76 年以降の「無業. すれば比較できるのであ ろうか。 そのためには、 75 年以前の各種学校入学者や 公. 的職業能力開発施設入学者数がどれくらいあ ったのか把握する 必要があ るが、 それだけを検討すれ ばよいのであ ろうか。 75年以前の無業者のカテゴリーをより 具体的なレベルで 見てみよう。 粒来 (1997) によると、 75年以前の無業者のカテゴリ 一には、 家事手伝い、 臨時的仕事、 留学、 自宅浪人、 その他進学も 就職もしていない 者が含まれるという。 76年以降との大きな 違いは、 浪人 が無業者に含まれていることであ る。 浪人には自宅浪人と 予備校生が含まれるが、 予備校生も各種 学校入学者に 含まれていたため、 75年以前は浪人生がすべて 無業者に含まれていた。. そのため、. 場合、. 現在考えられている 無業者の定義に 合致する人を 抜き出そうとした. 各種学校入学. 者や公的職業能力開発施設入学者だけでなく、 浪人をデータから 除去する必要があ る。 まず、 76年以降との連続性から、7W 午 以前の無業者数を 推測できるのかという 図. 1. は、 高卒無業率の 推移を示している。. 点を考察してみよう。. これによると、 1975 年まで 20% 前後で推移しており、. 76 年. からは 10% 弱から 5% 程度まで減少しながらも、 近年また増加していることが 分かる。 76 年以降、. そ. れまでの無業者の 項目が無業者と 専修学校等への 入学者の項目に 分かれるため、 それらを合算する (7)76年で 24.4% となっており、 それ以前の無業者の 割合と連続性があ. と. るよ. う. にみえる。. しかし. 専. 修学校入学者と 無業者の割合を 75年以前にさかのぼって 推測することは 困難であ る。 なぜなら、 76年 以降の両者の 割合に違いがないのであ れば、 それ以前もその 割合でさかのぼるという. 方法もあ. りえ る. が 、 実際には両者の 割合が変化しているのであ る。 76 年以降の学卒無業者の 割合は年次による 増減が あ るとはいえそれほど 大きく変化していない。 も 増加している。. それに対し、 専修学校入学は 25% 程度から 35% 程度へ 10%. ゆえに、 76年以降の無業者と 専修学校入学者の 比率を 75 年以前に当てはめてそこか. ら 現在の無業者のカテゴリ. 一に該当する 無業者の人数を 推測することはできない。. では、 次に浪人生の 割合を推測することは 可能であ ろうか。 7w 午 以前の無業者に 含まれる各種芋 校 入学の中に予備校が 含まれ、 無業者の中に 自宅浪人も含まれているといっても、 浪人生がどの 程 度いたのであ ろうか。 耳塚 (2001) によると、 80 年までは学卒無業者が 2 割程度存在したが、 そこに は 大量の自宅浪人が. 含まれていたという。 浪人生の割合について 考える際に、 60 年代前半まで、 男. 性に比べて女性の 無業者率が上回っていたことに 注目する必要があ るだろう。 現役規範の強かった 女性に無業者が 多かったということは、 無業者の多くが 浪人であ ったとしても、 耳塚 (2001) のよ うに 80年以前の無業者の も、. 多さを浪人とみなすというのは 無理があ るのではないだろうか。 少なくと. 50 年代では、 実際に高校卒業後に 無業者になった 割合が多かったのだと 推察できる。. では、 浪人の割合を 除いた無業者数を 算出することはできないのであ ろうか。. 1. つの方法として. 粒来 (1997) が行った大学や 短大への入学志願者数をみる 方法が可能であ る。 粒来は 80 年代以降、 これを確認している。 80年代以降については、 年次による違いはさほど 大きくなく、 10.7% から 13.1% 。 で推移していたという。 高校卒業後の 進路のデータにおける 入学志願者数 (8) は、 卒業者総数のうち、 大学または短期大 学へ 願書を提出した 者の実数であ り、 同一人が 2 校. (学部 ). 以上に願書を 提出した場合も. て 数えるため、 前年度卒業者の 入学志願者数を 浪人とみなすことができるだろう。. 1. 名とし.

(6) 18. 新谷. 康浩. このデータが 存在しているのは 64 年以降であ り、 63 年以降は卒業翌年の 入学志願者を 計測するこ. とができる。 では、 浪人生以覚を 考慮する必要はな い のであ ろうか。 まず各種学校入学者を 考慮する必要はあ るのであ ろうか。 各種学校は修業年限 1 年未満及び 2 年未満. の短期間のものが. 7. ( そのほとんどは. 1 年だと考えられる ). 割程度を占めていた。 これは、 仮に高校卒業後すぐに 進学したとしても、 その. 修業年限の短さから 一時的な進学究であ ったといえる。 そのため、 修業年限修了後、 すぐに就職し なかったものが 多数出てくることが 予想、される。 実際に、 各種学校の課程の 主体となっていた 和洋 裁 ・編物手芸,家庭料理などは、 就職を念頭においているというより 主婦の準備をするための 学校 とみなされていた。 つまり職業には 結びつかないが 実生活で役立つという 課程も多かったことにな る。. また、 各種学校入学者の 年齢構成を見ても、 高卒直後に進学したとみなされる 18 、 19 歳での入学. 者は各種学校入学者全体の 半数にも満たなかった。 そのため、 各種学校入学者のうち、 高卒直後に 各種学校に入学した 者はどの程度いたのか、 各種学校のデータだけでは 確定的なことは 言えない。 そのため、 各種学校入学者のうち、 「職業につながる 課程」 (9) に進んだ学生が 最大限に見積もって どの程度いたのか、 浪人を除く各種学校入学者を 無視した場合にどの 程度学卒無業者が 存在したの か 、 この両者を考察すれば、 現在の意味合いでの 無業者数がその 間にあ ったと考えることができる. だろう。 なお、 公的職業能力開発施設への 入学者数は考慮しなくて 良いと思われる。 公的職業能力開発 施 設 というカテゴリーが 設けられたのは 1999 年以降であ る。 この年次における 高校卒業者に 占める 割 合が 1% にも満たないことから、 それ以前にさかのぼっても、 この進路は大きな 割合を占めていた. とは考えにくい。 そのことからここで 分析する際に、 これらの進学者を 無視しても差し 支えないと いえよ. う. ここから、 無業者数から 浪人数. (前年度牢入学志願者数 ). を減じた値を、 現在の無業者のカテゴ. リーとほぼ同程度のカテゴリ 一であ ったとみなす 場合には、 無業者数の最大値となる。 これを実質 無業率 A とする。 また、 無業者から浪人数と「職業にっながる 課程」入学者を 減じた値の場合には、. 無業者数の最小値となる。 これを実質無業率 B とする。 % 000000000. 505050505 44332211. 七高卒無業率. ". %". 無十専 %. モ実質無業率 " A. づ. 一実質無業率 B. 0 0 ・. 図 1. 高卒無業率の 推移.

(7) 19. フリータ一対策は 妥当か ?. まず、 前者の実質無業率 A から検討しょう。 図 1 によると、 卒業者に占める A の割合は 60 年代半ば から 70 年代半ばまで 8 ないし 9% で推移していたことが 分かる。 これはフリーターが 問題となって. いた現在の無業者率よりは 低いものの、 ほぼそれに匹敵する 割合であ るといえよ. う. 。 少なくとも、. 現在との比較で 用いられてきた 80 年代の 5% 程度の無業者率よりは 高かったことが 分かる。 次に、 後者の実質無業率 B を検討してみよう。 学校基本調査において、 各種学校年齢別人学者数 は 64 年データを除き 複数の年齢でまとめられている。 14 歳以下と、 15 ∼ 17 歳、 18 ∼ 19 歳、 20 ∼ 21 歳、. 22 歳以上であ る。 各種学校入学者のうち、 高卒直後に入学する 者の午綿屑 は 18 ∼ 19 歳であ る。 この 年齢層は 2 学年分を含むため、 18 歳のみの入学者の 割合を推測する。 唯 -18 歳と 19 歳の区分が行われ ている 64 年データによると、 18歳が若干 19歳を上回る程度であ るため、 努 めに見積もって 18∼ 19歳 の 6 割を 18歳とみなす。 次に、 職業につながる 課程の生徒数が 各種学校生徒数に 占める割合をみるこ. とにする。 その割合をみる 場合に、 卒業者数ではなく 生徒数に着目する。 なぜなら、 卒業者数の場 合、 修業年限 1 年未満の課程では、 同一年次で複数回卒業生を 出すことが可能であ り、 各種学校全体 0 課程構成から 偏ってしまうからであ る㎝。 また、 各種学校生徒のうち、 予備校生徒は 別に浪人と して扱. う. ので、 これを母数から 除いた。 その結果、 予備校生徒を 除く各種学校生徒数のうち、 「職業. につながる課程」の 生徒数の割合を 求めることになる。 先の実質無業率 A から「職業にっながる 課. 程」入学者の 割合を減じた 値を実質無業率 B とすると、 と. 図 1. のとおりとなる。 この値を S0 年代以降. 比べると、 80 年代とほぼ同水準であ ったことがわかる。 これは、 無業率を最も 少なく見積もった. 値であ るため、 実質無業率 A と実質無業率 B の間が、 この当時の無業率であ ったと考えられよ. う. 。. そうだとすれば、 80 年代と同水準というよりむしろ 若干無業率が 高かったとみなしたほうが 妥当で あ ろう。. このように、 学校基本調査をもとに 80 年代以前の高卒無業者率を 推測してみると、 近年になって 高卒無業者が 増加したというのは 短期的なスパンでみた 結果であ り、 より長期的なスパンで 見れば、 現在の無業者の 比較対象となっている 80 年代は比較的高卒無業者が 少なかった時期であ るといえよ ぅ. 4. 。 この分析結果からみる 限り、80 年代以前にはそれよりも 高卒無業者率が 高かった可能性があ る。. まなざしの変化か ? まなざしの変化に 着目することは、 フリーター問題に 対する政策的対応を 問題の作られ 方という. 点からも相対化させることになる。 これまでみてきたように、 フリータ一対策として 提案されてい るのは、 若者個々人への 職業支援が主体となっていた。 これは現在のフリーター 問題が現在の 若者 の 特徴からでてきたものとしているからであ ろう。 しかしながら、 そのような若者が 近年になって. 増加してきたということは 言い難い。 フリーターが 問題視される 以前から一定の 割合で学校を 出て も 進学もせず就職もしない. 若者がいたということは、 現在の問題というより 一定の割合で 若者には. 共通して見られる 特徴とみなしても 良いはずであ る。 であ るならば、 このような若者の 特徴が近年 になって問題視されるよ. う. になったのは、 現在の若者が 変化したというより、 その. ょう. な若者に対. する社会の側のまなざしが 変化したと捉えた 方が妥当ではないだろうか。 であ るとすれば、 現在のフリータ 一対策は、 現在の問題に 対処する方策ではなく、 一定の割合の 若者が以前から 行っていた行動に 対する方策であ るといえる。 それは現在のフリーター 問題の原因 から日をそらすばかりでなく、 学校を卒業してすぐに 就職も進学もしないことを 問題視しょうとす るまなざしの 変化と軌を一にするものといえよ. う. 。.

(8) 20. 新谷. 康浩. もちろん、 本稿ではまなざしの 変化を実証するだけの 十分なデータを 示すことはまだできていな い。. しかし、 例えば、. 家事手伝いに 対する意識を 考えてみると、 80年以前に学卒後に 家事手伝いに. なることが問題視されていたのだろうか。 そうではないとすれば、 学校卒業後に 何らかの仕事をす ることが当然であ るという規範が 強まった、 つまりフリータ 一のような仕事をすることに 対して 批. 判 的な見方が強まったのだといえるのではないか。. また、 日本労働研究機構がフリータ 一のタイプ. として出した 夢 追求型も、 現在になって 出てきたタイプというより 以前から一定の 割合で存在した タイプであ る。 また前節で示した 50年代の無業者の 多さも、 それを当時どの 程度問題視していたの かという点から 捉えなおしてみることが 必要ではないだろうか。 このようなタイプの 若者を問題視 すべきでないのはもちろんであ るが、 現在の政策的対応は、 このようなタイプこそ 問題にしている のではないだろうか。. 5. おわりに 本稿での知見をまとめると 以下のようになる。 第. 1. に、 現在のフリーター 増加が、 若者個人の問題からのみ 生じたのではなく、 労働市場の構造. 豹変動から生じたものであ るにもかかわらず、 その対策が若者個人への 就業支援に焦点を 当ててい ることを挙げることができる。 それはフリータ 一に対する問題認識の ズレ であ り、 かならずしも 有 効な対策とは 言えないのではないか。 第 2 に、 長期的スパンで 高卒無業者数の 推移を見ると、 先行研究が俳頭においていない 70 年代に は現在の無業者のカテゴリ 一に近い実質無業者の 割合が 80 年代より高かったことが 挙げられる。 そ. れは、 現在の学卒無業者が 歴史的に見て 著しく多いものとは 言いきれないという 歴史的知見でもあ る。 第 3 に 、 にもかかわらず 現在の問題としてフリーターが 問題視されるのは、 就業構造の変化のよ. うな現在的特徴だけでなく、 この問題に対するまなざしの 変化があ ったのではないか。 それにつ い ては本稿ではまだ 十分に検討することが 出来なかったが、 今後検討する 必要があ るのではないか。. ここまでの知見から 導き出される 政策 を 再検討する必要があ. 白り. インプリケーションとして、 若者個人への 対策の有効性. るのではないか。 70 年代以前にも 学卒無業者の 割合が高かったことを 考える. と、 学校卒業直後に 就職も進学もしないという 人はどの時代でも 一定程度いたと 考えた方がよいの ではないか。 つまりそういう 人に対策を立てても 有効なのだろうか。 むしろ近年の 構造的変化をど ぅ. 考えるかに政策のべ. ク・トルを移すべきではないだろうか。. ;主. (1) キャリア教育の 推進に関する 総合的調査研究協力者会議の 中間まとめによる。 (2) 例えば、 しっけについては、 広田 (1999) が階層差や地域差がしっけの 低下とみられていた ことを指摘している。 また青少年問題についても、 非行・犯罪統計から 近年の青少年の 凶悪 化が「仮想現実」に 過ぎないことを 示している. (3) 日本労働研究機構 (1998) を参照。 (4) 例えば、 小渕 (2002) を参照。. (例えば広田. 2000 など ) 。.

(9) 21. フリータ一対策は 妥当か ?. (5) このシステムの 特徴については 苅谷 (1991) や 苅谷・晋山・ 石田編 (2000) に詳しい。 (6) 学校基本調査による。 この割合には、 高等 学校の通信制課程進学者を 七目. (7) 図. 1. 含まず、. 高専や. 聾 ・養護学校の 高等部進学者を 含む。. (8) 入学志願者数のデータは 短大・大学調査の データもあ るが、 それは同一人物が 複数の. 志願した場合、. してしまうため、 ここで扱. 職業にっながる 課程 工業. タイプ. う. 理容 美容 看護婦. んま,鉱 灸箸. 助産婦 はり・あ. データとして. レントゲン 保健婦. を参照。 特定の職業人養成や 職業資格 の 取得を目的とする 課程を「職業にっなが 1. る 課程」とした。 簿記や珠算などのように、. 仕事の一部で 利用するための 資格取得を目 的とする課程は「それ 以外の課程」とした。. (10) 特に、 卒業者数に着目すると、 自動車操縦 の 割合が圧倒的に 多くなってしまう。 18 、. 各種学校生徒数の 母数に含めた。. 参考文献. 編物手芸 料理 栄養 家庭 茶 華道 書道 簿記珠算 簿記. 保母 柔道整復. 珠算 商業 d 般 教養. 歯科技工. 外国語. 医学技術. 自動車操縦. 経理. 音楽. 製帽 法律 教員養成. 舞踊 美術 宗教 外国人学校. 自動車整備. 農業 2@@ モ至加喬喬正 演劇 漁業 英語数学. 経営. 19 歳でも自動車操縦の 各種学校に入学した 者が多いと考えられるので、 自動車操縦は. それ以外の課程 和洋裁 和裁 洋裁. 無線通信 ラジオ・テレビ. 複数カウント. は 不適格であ る。. (9) 表. 職業につながる 課程. 速記. の「 無十専 % 」を参照。. 短大・大学を. 表 1. 叱. 電気 歯科衛生士 衛生検査技師 機械 化学 土木・建築 デザイン 臨床検査. 調理. その他. 2002, 「ストリートダンスからフリー. 新谷周平. タ一へ 」『教育社会学研究』第. 71 集, 1R1-170 頁. 支出有史. 2001, 『仕事の中の 暖味な不安山中央公論新社. 平塚真樹. 2002,. 「フリーター・. 青年の移行. (. トランジッション. ). 問題をめぐって」. T ポリテイーク. コ. 第 5 号, 258-267 頁. 広田照幸. 1999, 『日本人のしっけは 衰退したか』講談社現代新書. 広田照幸. 2000 ,『教育言説の歴史社会学コ 名古屋大学出版会. 乾彰夫. 2002,. 「職業教育・. 進路指導の充実は『フリーター 問題』を解決できるか」『労働の 科学』. 57 巻 2 号, 91-94 頁. 門脇厚司. 1999, 「高卒フリーター 増加の社会的背景と 価値観」『刑政. 苅谷剛彦. 1991,. 『学校・職業・. 苅谷剛彦・背山真次・ 石田浩 編. 選抜の社会学. コ. ヨ. 110 巻 10 号, 62-67. 頁. 東京大学出版会. 2000 ,『学校・職業と 労働市場一戦後新規学卒市場の. 制度化 過. 桂一』東京大学出版会 苅谷剛彦 他. 2001,. 「ポスト選抜社会の 進路分化と進路指導」『東京大学大学院教育学研究科紀要. コ.

(10) 22. 新谷. 康浩. 第 4 巻, 127-154 頁 耳塚 寛明. 2001, 「高卒無業者層の. 漸増」矢島正見・. 耳塚 寛明 『変わる若者と 職業世界』学文社, 89-104. 頁. 日本労働研究機構. 1998, 『新規高卒労働市場の 変化と職業への 移行の支援』日本労働研究機構調査. 研究報告書 114 号. 日本労働研究機構. 2000 ,『フリータ 一の意識と実態』日本労働研究機構調査研究報告書. 日本労働研究機構. 2000 ,『進路決定をめぐる高校生の意識と 行動. 一. 136 号. 高卒「フリーター」増加の. 実態. と背景山日本労働研究機構調査研究報告書 138 号 日本労働研究機構. 2001, 『大都市の若者の 就業構造と意識 一 広がるフリーター 経験と共感』日本労. 働研究機構調査研究報告書 146 号 小渕高志. 2002, 「不況化の労働市場における. の 険路 一. 粒 末香. 1997,. 」. 下. ソシ オ ロジスト』. 4 号, 1. 若年者の雇用問題 一 フリーターというく 自己実現 ノ. ∼ 24. 頁. 「高卒無業者層の 研究」『教育社会学研究』第 61 集, 185-209 頁.

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