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多言語表示に自動対応するデジタルサイネージシステムの開発

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 78 回全国大会. 6D-04. 多言語表示に自動対応するデジタルサイネージシステムの開発 小荷田 樹之†. 廣井. 裕一‡. 慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科†. 1. はじめに 2020 年の東京オリンピック開催に伴い,日本 を訪れる外国人観光者が増加している.そのた め,外国人観光者の使用言語に対応した情報提 供の必要性が高まっている.近年,外国人観光 者向けの案内板等は,英語や中国語,韓国語等 の複数言語表示が行われるようになってきたが, 全ての使用言語に対応することは不可能である. 本研究では,目の前にいる利用者の使用言語を システムが自動に識別し,表示言語を自動的に 切り替える多言語デジタルサイネージの開発を 行った.この際,利用者の使用言語を自動的に 識別する方法として,iBeacon を用いたスマートフ ォンのバックグラウンド通信の仕組みを使用し た[1].以下,本論文では,多言語デジタルサイ ネージのシステム構成,表示言語切り替え方法, 評価実験等について論じる.. 小木. 哲朗†. 慶應義塾大学理工学研究科‡. 語に対応した言語表示に切り替えるために,サ ーバに書き込まれる使用言語情報を監視し,使 用言語に変更があるとデジタルサイネージの表 示を,その言語に合った情報に切り替える.こ の方法で,ユーザはデジタルサイネージの近く に来るだけで,そのユーザの使用言語にデジタ ルサイネージの表示言語に切り替えることが可 能になる. ま た , 設 定 された領域外に端末が移動し, iBeacon の電波を受信できなくなると,再びアプ リケーションはバックグラウンドでスマートフ ォンが領域外に出たことを通知した後,アプリ ケーションを停止する.これにより,デジタル サイネージは近くにユーザがいなくなったこと を認識する.. 2. 多言語デジタルサイネージの構成 多言語デジタルサイネージでは,デジタルサ イネージの近くに来たユーザの使用言語を識別 し,ユーザの使用言語に対応した表示言語にデ ジタルサイネージを切り替える.この際, ユー ザの使用言語を識別する方法として,ユーザの 所持するスマートフォン(Apple iPhone)の設定 言語を抜き取る方法を用いた. 具体的には,ユーザの所持するスマートフォ ン の 言 語 情 報 を 取 得 す る 方 法 と し て , BLE (Bluetooth Low Energy)を用いた iBeacon(Aplix, MyBEACON MB001 Ac)を利用した.図 1 は本 システムの構成を示したものである.ユーザが デジタルサイネージに取り付けられた iBeacon の 電波の領域内に入ると,スマートフォンはバッ クグラウンドでアプリケーションソフトを 10 秒 間起動することができる.この際,スマートフ ォンが何語に設定されているかの情報を1秒間 隔でサーバに送信する. デジタルサイネージ側では,ユーザの使用言 Development of Multi-Lingual Digital Signage System Shigeyuki KONITA†, Yuichi HIROI‡, Tetsuro OGI† †Graduate School of System Design and Management, Keio University ‡Graduate School of Science and Technology, Keio University. 4-31. 図 1:システム構成. 3. ユーザ検出領域 本システムでは iBeacon を使用してデジタルサ イネージの近くに来るユーザを識別するが,そ の際に適当な位置でユーザを検出するためには, iBeacon の領域を適当な距離に設定する必要があ る.そのため,本システムでは,iBeacon の電波 強度を調整することで,スマートフォンが検知 される距離を調整した.図 2 は使用した MyBeacon の 電 波 強 度 を 変 更 し た ( 0dBm と 20dBm)際の iPhone の検出距離を示したもので ある.検証には,iPhone5s を 1 台,iPhone6 を 2 台の計 3 台を使用した. この計測結果から,iPhone の個体ごとに電波 検知精度に差があることがわかる.ここでは,. Copyright 2016 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 78 回全国大会. 図 4:利用について. 図 2:電波強度調整による iPhone 検知距離. ユーザの歩行速度を考慮して電波強度を弱める ことで,デジタルサイネージから 6m 前後でユー ザを検知するように設定した.. 4. 評価実験. 図 5:使用言語を知られることへの抵抗. 本システムの評価として,大学構内に多言語 デジタルサイネージを設置し,被験者 20 名(母 国語が日本語の日本人学生 10 名,母国語が日本 語以外の留学生 10 名)に利用してもらい(図 3 参照),アンケート及びインタビューによる評 価を行った. 実験では,デジタルサイネージに 学事情報を表示して被験者に見てもらった.留 学生に対する案内は通常英語で行われているた め,ここでも留学生に対するデジタルサイネー ジの表示は全て英語表示で統一した.日本人学 生に対しては,自分が外国に留学している時の 利用を想定して答えてもらった.. 回答は 90%あり,本システムに対するニーズが 高いことがわかった.また,日本人学生は全て スマートフォンの使用言語を日本語に設定して いたが,母国語が日本語でない留学生は必ずし もスマートフォンの使用言語を母国語に設定せ ず,英語で使用している例が多かった. またインタビューの結果から,日本人学生か らは,「海外だと日本人であることが知られる と,危険(強盗,盗難)な目にあいそうで不安」と いう意見がある一方,留学生からは,「日本の 観光地に行くと看板が日本語で書かれているの で,本システムがあれば便利」,「海外の空港 はその国の母国語でしか案内情報が表示されて ない場所が多いので,本システムがあるといい」 等の肯定的な意見が多かった.. 5. おわりに 本研究では,iBeacon を用いたバックグラウン ド通信により,外国人に対して自動的にその人 の使用言語を識別し,表示言語を切り替える多 言語デジタルサイネージの開発を行った.今後 は実証実験を通して,複数利用者に対する対応 等の問題を検討し.2020 年の東京オリンピック を目指して実用化を進めていきたい.. 図 3:被験者の利用風景 被験者には,本システムを利用後,「本シス テムを利用したいか」「使用言語を知られるこ とに抵抗があるか」について回答してもらった (図 4,図 5 参照). アンケート結果から,本システムを利用した い(「利用したい」「やや利用したい」)という. 4-32. 参考文献 [1] 田中,井上,”コンテキストアウェアな情報表 示端末における近距離無線を用いた視聴者情報 の検出とコンテンツ選択”,情報論文学会誌 デジ タルコンテンツ vol1.2 No.2 48-56,Aug.2014. Copyright 2016 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(3)

図 2 :電波強度調整による iPhone 検知距離 ユーザの歩行速度を考慮して電波強度を弱める ことで,デジタルサイネージから 6m 前後でユー ザを検知するように設定した. 4

参照

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