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頸動脈ステント留置部評価における非造影 T1 強調 3次元高速スピンエコー法の有用性

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Academic year: 2021

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原著論文

頸動脈ステント留置部評価における非造影

T1 強調

3 次元高速スピンエコー法の有用性

井土川敦子1)、阿部喜弘1)、吉川和行1)、江面正幸2)、栗原紀子1) 、佐藤明弘1) 1) 国立病院機構 仙台医療センター 放射線科 2) 同 脳外科 <<抄録>> 目的)CAS 後の MRI 画像評価では、ステント部は磁化率 artifact により TOF-MR angiography (TOF-MRA) で信号欠損像となり、同部の評価は困難である。一方、3D‐T1-TSE 法 (Volume ISotropic Tse Acquisition:VISTA 法) では描出できる可能性がある。本研究の目的は、VISTA 法を用い、ステント留置 部におけるVISTA 法の有用性を検討することである。方法)対象は CAS が施行された 48 症例中、Carotid Wallstent®が挿入された16 例である。術後ステント留置部の拡張を TOF-MRA と VISTA 法で検討した。

CAS 前後に VISTA 法が施行された 9 例では CAS 前後での DSA と VISTA 法で拡張の程度とプラーク病変 の描出を検討した。結果)CAS 後の TOF-MRA では、全例でステント挿入部が欠損像になり、VISTA 法で は、全例でステント留置部での内腔の拡張を確認できた。CAS 前後で VISTA 法が施行された 9 例では、 DSA と VISTA 法で計測された開存率は、いずれも正の相関を示し、ステント辺縁に圧排されたプラークが 確認できた。結語)VISTA 法は Carotid Wallstent®を用いたCAS 後のステント部評価において内腔拡張の

程度及び、ステント辺縁に圧排されたプラークを描出でき、CAS 後の病変部評価に有用であった。 キーワード:CAS、TOF-MRA、3D-TSE、磁化率アーチファクト、Carotid Wallstent® (平成28 年 3 月 30 日受領、平成 28 年 4 月 26 日採用) 1 はじめに 近年、内頸動脈狭窄症の治療法において、不安定 プラークを持つ症例に対し、遠位塞栓を予防する protection device を使用した頸動脈ステント留置 術(Carotid Artery Stenting: CAS)が増加してい る1-3)CAS 後の評価には X 線被ばくがなく、非造

影で行える MRI の頭蓋内 Time Of Flight-MR angiography (TOF-MRA) 及び頸部 TOF-MRA が用いられてきた4)。しかし、gradient echo 法で

ある TOF-MRA は頭蓋内の血流改善の評価には有 効であるが、頸部のステント留置部ではartifact に より信号欠損像となるため(図1)、同部の評価は 困難であった。今回我々は磁化率artifact が少ない

シーケンスであるTurbo Spine Echo 法をベースと した新しい撮像法である 3D‐T1 Turbo Spine Echo 法(Volume ISotropic Tse Acquisition:VISTA 法)を用い、CAS 後のステント留置部における非 造影VISTA 法の有用性を検討したので報告する。 2 方法

対象は 2014 年 2 月から 2015 年 12 月までに、 CAS が施行された 48 症例中、Carotid Wall stent®

が挿入され、かつ術前、術後(全例で3 日以内)に 当院でMRI 検査が施行された 16 例 (男性 15 名、 女性1 名、平均年齢 70.8 歳)である。全例で術前 後に非造影TOF-MRA が、術後に VISTA 法が施行

(2)

図 1 CAS 直後の頸部 TOF-MRA(maximum intensity projection:MIP 像)ではステント部は信号欠損になり描出 されない。 されている。また、9 例では CAS 前にも VISTA 法 での評価が施行されている。撮像は 1.5T超伝導装 置 (Achieva・Philips 社製)にて、8ch NVcoil を 用いて行った。撮像条件は、 TOF-MRA(FOV:240mm×240mm, Matrix:272× 122, ReconVoxel size: 0.47mm×0.47mm×1mm, TR: 20msec, TE: 6.91msec)

Thickness: 1mm(200 slice, SENSE factor: 1.5, WFS(pixels)/BW(Hz):1.5/144.7, NEX :1,TA:5’18) VISTA 法(FOV:200mm×200mm, Matrix:208× 163, Recon Voxel Size: 0.5mm×0.5mm×0.5mm, TR:500msec, TE:15msec, TSE factor:26,

Refocusing control angle(deg):50,

Thickness:0.5 mm(120 slice, SENSE factor: 1.5 , WFS(pixels)/BW(Hz): 0.28/788.1, NEX:1 ,

Fat suppression:SPIR, TA:4’06)とした。

CAS 前の TOF-MRA と比較して、術後ステント 留置部の拡張が確認できた症例を MRI 評価有効例 とし、TOF-MRA と VISTA 法それぞれで検討した。 また、CAS 前後に VISTA 法が施行された 9 例では Workstation (GE 社製) 上で血管径の計測を行 い、開存率(狭窄部径/健常部径)(図2)を算出

し、CAS 前後での DSA での拡張の程度と VISTA 法での拡張の程度を比較し、相関関係を求めた。

また、同 9 例では、CAS 後にプラークがステン ト辺縁に圧排されているかどうかについても検討 した。

図 2 Workstation 上で開存率(狭窄部径/健常部径)を算

出。CAS 後の DSA 像(左)と VISTA 像(右) 3 結果 CAS 前の TOF-MRA では 16 例全例で血管狭窄 が確認できたが、CAS 後の TOF-MRA では全例で ステント挿入部が欠損像となり、ステント部の評価 はできなかった (図3a,b)。一方 VISTA 法では、 全例でステント留置部での内腔拡張を確認できた (図3d)。

CAS 前後で VISTA 法が施行された 9 例では、CAS 前の開存率は DSA で 11~64% (平均 30%)、 VISTA 法で 17~52%(平均 33%)であった。一方 CAS 後では、DSA で 41~86%(平均 66%)、VISTA 法で44~84%(平均 70%)であった(図4)。DSA とVISTA 法で計測された開存率の相関は、CAS 前 CAS 前の VISTA 法では、9 例全例で高信号のプラ ークが認められた(図3c)。CAS 後では、高信号 のプラークが、全例でステント辺縁に圧排されてい いた(図3d)。

(3)

図3 a:CAS 前 TOF-MRA (maximum intensity projec-tion: MIP 像)で左 IC のプラークによる高度狭窄(矢印) が確認される。b:CAS 後(術後1日) TOF-MRA MIP 像 でステント挿入部が信号欠損(矢印)になっている。c:CAS 前 VISTA MPR(multi planar Reconstraction:MPR 像)

で左IC のプラーク病変(矢頭)が高信号で描出されている。 d:CAS 後(術後1日) VISTA MPR 像でステント部の血管 内腔の拡張(矢印)とステント辺縁に圧排されたプラーク(矢 頭)が高信号で描出されている。 4 考察 VISTA 法では CAS 後ステント部の評価が可能で あったが、TOF-MRA では全例で不能であった。 TOF-MRA は、GRE 法を用いるが、これは SE 法

図4 CAS 前(A)と CAS 後の DSA と VISTA の開存率の

相関 。いずれも高い相関を示している。

と異なりRefocusing pulse(180°RF pulse)がな く、傾斜磁場の反転でエコーを収集するため位相の 乱れにより磁化率の影響を大きく受ける。一方、SE 法は、Refocusing pulse を用いているため、位相の 乱れが小さくなりステントによる磁化率アーチフ ァクトの影響を少なくすることができる 5)。Kono

らによると、Carotid Wallstent®でのCAS の場合、

術直後は TOF-MRA での内腔の評価は困難であっ たが、3 か月後以降ではステント部の血流を捉えら れ評価が可能になったと報告しているが4)、我々の 検討では CAS 後 3 日以内でも VISTA 法では良好 な評価が可能であり、CAS 直後の内腔評価には VISTA 法が優れていると考える。

CAS 前後の計測では、DSA と VISTA で求めた 開存率は近似し、高い正の相関を示していた。 Isotropic 3D 高速 SE 法による高分解能撮像では、 血管内腔と血管壁の分離が容易になり正確な血管 径の計測が可能となる6)VISTA 法は Isotropic を

(4)

目的とした3D の高速 SE シーケンスであり7)、実 際の表示マトリックスサイズは0.5mm の isotropic の高分解能撮像となっているため今回のDSA との 計測においても高い相関を示したと思われる。 VISTA 法では、CAS 前後のプラークの形態を非 侵襲的な非造影撮像で把握することができた。これ までCAS 前のプラーク評価には、心電同期併用 BB (Black Blood)法、SE 法、TSE 法、MP-RAGE (Magnetization prepared rapid gradient echo) 法を用いた評価が数多く報告されている8, 9)。一方、 CAS 後のステント部の評価には造影 MRA や CT Angiography など造影剤を使用した報告が主であ った10-12)。今回検討したVISTA 法では、心電同期 なしにBB イメージを収集できるため、TOF-MRA より短い撮像時間で、プラーク内出血を伴う不安定 プラークを高信号で描出する。また、3D 収集のた め一度の撮影で多断面の再構築ができ、プラークの 立体的評価も可能である。VISTA 法は、CAS 後の 内腔評価ばかりでなく、CSA 前後のプラークの評 価にも適している。 今回の検討で、Carotid Wallstent®を用いた症例 では、CAS 直後の内腔の評価やプラークの評価に、 VISTA 法が有用であることがわかった。ただし、 CAS に使用されるステントは種々あり、実際当院 でも3 種類のステントが主に使用されている。ステ ントの違いにより内腔の描出が異なる可能性があ り13, 14)、今後Carotid Wallstent®以外のステント でも、VISTA 法の有用性を検討する必要がある。 5 結語

Carotid Wallstent®を用いた CAS 後のステント

部評価において、VISTA 法はステントによる内腔 の拡張の程度と、また、ステント辺縁に圧排された プラーク病変を高信号で描出でき、CAS 後の MRI 画像評価に有用であった。

6 文献

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(5)

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Pelton A, eds. Proceedings of the Inter-national Conference on Shape Memory and Superelastic Technologies SMST2000. California: TIPS technical Publishing Inc.; 2001;p585-604

14) Gerge P, William G, Barry D. MR Imaging Artifacts, Ferromagnetism, and Magnetic Torque of Intravascular Filters, Stents and Coils. Radiology 1988;166:657-666

図 1  CAS 直後の頸部 TOF-MRA(maximum intensity  projection:MIP 像)ではステント部は信号欠損になり描出 されない。 されている。また、9 例では CAS 前にも VISTA 法 での評価が施行されている。撮像は 1.5T超伝導装 置  (Achieva・Philips 社製)にて、 8ch NVcoil  を 用いて行った。撮像条件は、  TOF-MRA(FOV:240mm×240mm, Matrix:272× 122, ReconVoxel size: 0
図 4  CAS 前(A)と CAS 後の DSA と VISTA の開存率の 相関  。いずれも高い相関を示している。

参照

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