第2学年○組 国語科学習指導案
1 活動主題
「
『走れメロス』を読んで感じたことや考えたことを、読書レビューにまとめよう」
単元教材 表現をみつめて「走れメロス」(光村図書)
2 指導観
小説「走れメロス」は、親友セリヌンティウスを身代わりとすることで、王から処刑前の三日間の
猶予を与えられた主人公メロスが、様々な試練を乗り越えて約束通りに走り帰る姿が描かれている。
走る途中、メロスは疲労からあきらめかけるという経験を経て、
「単純な男」から「勇者」へと変容し
ていく。また、メロスとセリヌンティウスが共に信頼し合う姿を目の当たりにしたことで、他人を信
じることの出来なかった王までもが変容する。人間の内面が状況や周囲との関わりの中で変化し、形
成されていく様子が、劇的に描かれている。第三者の視点で書かれながら複数の人物の内面が語られ
ているため、生徒は登場人物それぞれに感情移入がしやすく、人物像や人物の心情の変化を捉えやす
い。様々な視点から読むことで、生徒の多様な読みを引き出すことのできる作品といえる。また、比
喩や情景描写などの多彩な言語表現や、躍動感あふれるリズミカルな文体が用いられており、表現の
効果を存分に味わうこともできる。人間の内面の揺れや葛藤、苦悩、変化の過程などが、詳細な心理
描写で描かれており、人間に対する理解を深めることができる作品である。このように、本教材は、
文章を読んで解釈したり、自分の考えを形成したりするのにふさわしい文学的文章であると考える。
本学級の生徒は、1学期に「アイスプラネット」、2学期に「盆
土産」などの文学的文章を学習している。登場人物の言動や会話
文から、登場人物の人物像や、心情の変化、表現の工夫などを解
釈し、自分の考えを広げたり深めたりすることに力を注いでいる。
9月に実施した実態調査によると、「想像するのが楽しい」「非日
常的な世界が味わえる」という理由から、文学的文章を読むこと
に対する興味・関心は 3.0(4段階尺度評定による)と比較的高か
った。また、「想像力が豊かになる」
「表現力がつき、語彙が広が
る」
「自分の見方、考え方が広がる」など、文学的文章を読む意義
を感じており、言葉や文を根拠にして文章を読んだり、疑問や課
題を自分で解決したりできるようになりたいという気持ちも強
い。しかし、長い文章の内容を理解したり、作者の思いや考えを
考えたりすることについては、苦手だと感じている生徒が過半数
を占めた。また、右の資料に示す通り、叙述を根拠にして自分の
考えを述べる問題では、根拠となる適切な叙述を示して解釈する
ことができた生徒が 28~52%に留まった。これは、4月の標準学
力分析検査で、文学的文章の「読むこと」の分野における得点率
が全国平均を 2.6 ポイント下回っていたこと、特に、叙述に基づ
いて文章を読み取る問題の得点率は、全国平均を 6.2 ポイント下
回っていたことに関連する。これらのことから、文学的文章の学
習に対する興味・関心は高く、その意義を理解していて、おおま
かな文脈をつかむことはできるものの、叙述に基づいて文章を解
釈したりすることは不十分であると考える。また、登場人物の生
き方や考え方に対して考えたことを記述する問題では、全員が自分の考えを記述していたが、そのう
ち 42%の生徒は、根拠となる適切な叙述を挙げることができず、46%の生徒は不十分な考えを述べて
いた。これは、6月に実施した福岡県学力検査において、読み取ったことを基に自分の考えを述べる
問題の正答率が、県の正答率を 1.3 ポイント下回っていたことに関連する。このことから、形成した
自分の考えを述べる際に、文章の解釈が不十分なまま、文章の一部のみを捉えて記述する傾向が強い
※ 本指導案は「福岡県教育センター長期派遣研修」における主題研究に基づき作成されています。 教育センターホームページの「長期研修報告書:平成 30 年度:各研修報告書」と併せて御覧ください。と考える。
そこで、本単元では、叙述に基づいて文章を解釈し(精査・解釈)、登場人物の考え方や生き方を
十分に捉えた上で、作品に対する自分の考えをもつこと(考えの形成)ができるように指導する。具
体的には、メロスや王、セリヌンティウスの言葉や行動に着目して、人物の設定や心情の変化、表現
の工夫、話の展開について捉えることができるようにする。また、文章に書き表されている登場人物
の考え方や生き方について考えることで、自分のこれまでの生活や考え方を見つめ直し、作品の魅力
や価値を見いだすことができるように指導する。そのために、次のような手立てを講じる。
・学習への興味・関心を喚起するために、「アイスプラネット」の学習で生徒が書いた読書レビュー
や読書レビューの構成を示した拡大シートを提示する。
・見通しをもって学習に臨むことができるように、学習の流れと個人の学習目標・振り返りが一目で
きる振り返りシートを準備し、毎時間記入する活動を設定する。
・目的意識をもって学習することができるように、初読段階での作品の魅力や価値を考えさせ、作品
の魅力や価値を考えるための追究課題をつくる活動を設定する。
・追究課題がつくりやすいように、初発の感想を、印象に残ったこと・疑問に思ったことの観点から
書き、その内容を追究課題に発展させることができるワークシートを準備する。
・複数の読む観点から文章を読むことができるように、シンキングシートの㋑について(Ⅰ「人物
の設定」、Ⅱ「人物の変容」、Ⅲ「表現の効果」、Ⅳ「話の展開」
)、二つ以上の観点を選ぶ活動を
設定する。
・手掛かりとした叙述と自分の考えたことを整理することができるように、付箋とシンキングシート
の㋑を使って文章を解釈する活動を設定する。
・手掛かりとなる叙述を見付けることができるように、Ⅰ~Ⅳごとに着目すべき言葉や文を提示する。
・自分の考えを広げたり深めたりすることができるように、交流の内容によって、同じような追究課
題をもつ者同士のグループ①と、異なる追究課題をもつ者同士のグループ②を、意図的に編成する。
・充実した交流活動ができるように、拡大シートに付箋を貼ったり、そのコピーを配布したりして、
根拠となる叙述を可視化する。
・登場人物の考え方や生き方について様々な捉え方ができるように、学級全体で交流する活動を設定
する。
・登場人物の考え方や生き方に自分の知識や経験と結び付けて考えることができるように、共感する
部分を挙げて、その根拠となる自分の知識や経験を考える活動を行う。
・広がったり深まったりした自分の考えを確認し、作品に対する自分の考えをまとめることができる
ように、文章中の叙述を引用しながら、読書レビューを書く活動を設定する。
3 単元の目標
・
「走れメロス」という作品に興味をもち、自分で考えたり、他者の考えを聞いたりしようとす
る。 【国語への関心・意欲・態度】
・
「人物の設定」
「人物の変容」
「表現の効果」
「話の展開」の観点から、叙述を基に文章を解釈する
ことができる。 【思考力、判断力、表現力等 読むこと-イ】
・広げたり深めたりした自分の考えを読書レビューにまとめることができる。
【思考力、判断力、表現力等 読むこと-オ】
・言葉や表現の意味を前後の文脈から正しく理解することができる。 【知識及び技能 (1)-エ】
単元計画(全8時間)
次
時
学習活動・内容
教師の主な手立て
評価規準(方法)
一
つ
く
る
1
②
1 「アイスプラネット」の読書レビ ューを見て、単元の課題を確認す る。 2 振り返りシートを見て、学習の見 通しをもつ。 3 本文を通読し、初読段階での作品 の魅力や価値を考える。 ⑴ 新出漢字や言葉の意味に気を付け ながら、本文を通読する。 ⑵ 登場人物と場面を確認する。 ・メロス(中心人物)、王(対人 物)、セリヌンティウス ・全四場面 ⑶ 初読段階で考えた作品の魅力や価 値を、一文で表現する。 4 初発の感想を基に、自分の追究課 題をつくる。 ⑴ 初発の感想を書く。 ・印象に残った言動、気持ち、話の 展開、表現 ・疑問に思ったこと、納得がいかな かったこと ⑵ 追究してみたいことを考える。 ⑶ 追究してみたいことを班で出し合 い、追究する価値がある課題かどう か検討する。 ⑷ 検討し合ったことを踏まえて、自 分の追究課題を決める。 ⑸ 自分の追究課題に対する予想を 立てる。 5 シンキングシートの使い方を確認 して、㋑の種類を選択する。 ⑴ シンキングシートの㋑の部分の使 い方を確認する。 ・内容面(人物の設定、人物の変 容)、形式面(表現の工夫、話の 展開) ・注目すべき言葉や文 人物像=行動、言動、性格 心情=心内語、気持ち、情景描写 表現=表現技法、情景描写 展開=出来事、行動 ・Ⅰ~Ⅳの関連のさせ方 ⑵ どの観点で何を読むのか考え、Ⅰ ~Ⅳから二つ以上選択する。 ○ 学習への興味・関心を喚起する ために、「アイスプラネット」の 学習で生徒が書いた読書レビュー や、「走れメロス」が大人になっ ても心に残る作品であることを示 す資料を提示する。 ○ 見通しをもって学習に臨むこと ができるように、振り返りシート や読書レビューの構成を提示す る。 ○ 初発の感想が書きやすくなるよ うに、通読前に感想を書く観点 (印象に残った人物、場面、表現 /疑問に思ったこと、納得がいか なかったこと)を提示し、線を引 きながら読むように指示する。 ○ 作品の全体像を把握することが できるように、登場人物や場面、 三人称の語りで描かれていること を確認する。 ◯ 作品の魅力を一文で表現するこ とができるように、「『走れメロ ス』は~作品だ」という文型を提 示する。 ○ 感想を基に追究課題をつくるこ とができるように、感想と追究課 題を関連させることができるワー クシートを準備する。 ○ 追究価値がある課題かどうかを 考えることができるように、追究 課題を検討するポイントを示す。 ○ シンキングシートの㋑の使い方 について理解しやすくするため に、ICT を用いて構造化の仕方や 関連付け方を説明する。 ○ ㋑の種類については、文章を二 つ以上の観点から読んで解釈する ことができるように、Ⅰ(人物の 設定)、Ⅱ(人物の変容)、Ⅲ(表 現の効果)、Ⅳ(話の展開)の四 つを用意する。 ◯ 追究課題を解決するために、Ⅰ ~Ⅳから二つ以上の観点を選択さ せ、どの観点から何を読むのか見 通しをもたせる。 【関・意・態】 初読段階での作品の 魅力や価値を考えよ うとしている。 (ワークシート) 【関・意・態】 感想を基に、追究課 題を考えようとして いる。 (様相観察、ワーク シート) 単元課題:「走れメロス」を読んで感じたことや考えたことを、読書レビューにまとめよう (例)・メロスは殺されると分かっていて、なぜ走ったのだろう。 ・王がメロスをすぐに殺さなかったのはなぜだろう。 (例)・「走れメロス」は熱い友情に感 動する作品だ ・「走れメロス」は人を信じることの大 切さを教えてくれる作品だ など (例)・セリヌンティウスを助けたいと思ったから走った。 ・メロスを利用して、人は信じられないと証明しようとしたから、 一旦願いを聞いた。二
追
究
す
る
1
③
6 手掛かりとなる叙述を見付けて、 追究課題に対する自分の考えをつく る。 ⑴ 付箋に手掛かりとなる叙述と考え たことを記入し、シンキングシー トの㋑に貼って構造化する。 ・人物像 ・心情の変化 ・表現の工夫 ・話の展開 ⑵ 追究課題に対する自分の考え① を、シンキングシートの㋒に記述す る。 ・叙述の関連付け 7 同じような追究課題をもつグルー プ①で交流する。 ⑴ 交流の内容と方法を確認する。 ・追究課題に対する自分の考え①と 根拠となる叙述 ・拡大シートの使い方 ⑵ 拡大シートに付箋を貼りながら考 えを出し合う。 ⑶ 出し合った叙述や考えを基に、根 拠となる叙述が適切かどうかについ て話し合う。 ⑷ 追究課題に関連する発問について 考える。 ・(例)フィロストラトスの登場に は、どのような意味があるのだろ う ⑸ 交流で新たに気付いたことや疑問 に思ったこと及び参考になった他者 の考えを、シンキングシートの㋓に メモする。 8 異なる追究課題をもつ者同士で交 流し、考えを広げたり深めたりす る。 ⑴ 付加・修正した追究課題に対する 自分の考えとグループ①で話し合っ たことを出し合う。 ⑵ 出し合った考えを基に、Ⅰ~Ⅳ からそれぞれ分かることを話し合 う。 ⑶ 交流で新たに気付いたことや疑問 に思ったこと及び参考になった他者 の考えを、シンキングシートの㋓に メモする。 ○ 手掛かりとなる叙述を見付ける ことができるように、注目すべき 言葉や文をⅠ~Ⅳごとに提示す る。 ◯ 様々な人物の視点から作品を読 むことができるように、中心人物 と対人物の両方の視点から手掛か りとなる叙述を見付けるよう指示 する。 ◯ 解釈したことを整理することが できるように、追究課題に対する 自分の考え①をまとめさせる。 ○ 手掛かりとした叙述やその関連 付け方について検討することがで きるように、拡大シート上に付箋 を貼りながら交流するように指示 する。 ○ 手掛かりとなる叙述の関連付け 方や解釈の妥当性について考える ことができるように、同じような 追究課題をもつ者同士でグループ ①を編成する。 ◯ スムーズに交流することができ るように、追究課題に対する考え とそのように考えた根拠・理由に ついて発言するよう指示する。 ○ 自分の考えを付加・修正するこ とができるように、話合いで参考 になった考えがあれば、青ペンで 直接㋑に書き込むよう指示する。 ◯ 追究課題に対する考えを広げた り深めたりすることができるよう に、追究課題に関連する発問をグ ループごとに行い、考えさせる。 ○ グループ①での交流を踏まえて 自分の考えを整理することができ るように、交流で新たに気付いた ことや参考になった考えをメモす るように指示する。 ○ 文章を様々な観点から読むこと ができるように、異なる追究課題 をもつ者同士でグループ②を編成 する。 ○ 交流を充実させることができる ように、グループ①の交流で使っ た拡大シートのコピーを使って交 流するよう指示する。 ◯ 自分の考えを付加・修正するこ とができるように、話合いで参考 になった考えがあれば、青ペンで 直接㋑に書き込むよう指示する。 【読むイ】 文章中から手掛かり となる叙述を見付け て、関連付けながら 自分の考えをつくっ ている。 (シンキングシート の㋐㋑㋒、付箋) 【読むイ】 根拠となる叙述の関 連付け方や解釈の妥 当性について交流 し、追究課題に対す る自分の考えをつく っている。 (シンキングシート ㋑㋓、拡大シート、 付箋、発言内容) 【読むイ】 Ⅰ~Ⅳから分かるこ とについて交流し、 交流を踏まえて追究 課題に対する自分の 考えを再構築してい る。 (シンキングシート ㋑㋒㋓、拡大シー ト、付箋、発言内 容) ・追究課題に対する自分の考え① (例)メロスは、友達を救うために 走った。 人物像(Ⅰ) =「邪悪に対しては人一倍に敏感」 「のそのそと王城へ」 →正義感が強くて、すぐに行動して いる 変容(Ⅱ) =「身代わりの友を救うために走る のだ」「ああ、もうどうでもい い」「信じられているから走る」 →信じられていることを大切にして いる。 =本
時
1
二
追
究
す
る
三
ま
と
め
る
2
①
1
②
9 グループでの交流を基に、追究課 題に対する自分の考え②を書く。 10 登場人物の考え方や生き方につい て、自分と結び付けて考える。 ⑴ 三人の登場人物が、どのような考 え方や生き方をしている人物なのか を考える。 ・個人思考 ・全体交流 ⑵ 印象に残った人物の考え方や生き 方について、自分の知識や経験と結 び付けて考えをもつ。 ・個人思考 ・グループ②の交流 12 シンキングシートを活用して読書 レビューを書く。 ⑴ 読書レビューの書き方を確認す る。 ・タイトル、作者名 ・三段落構成の文章 ①文章を読んで解釈したこと/ ②自分の知識や経験と結び付け て考えたこと/③作品の魅力や 価値 ・結論の一文 ◯ 追究課題に対する自分の考えを 再構築することができるように、 グループ①、②での交流で参考に なったことを踏まえて、シンキン グシート㋒に追究課題に対する自 分の考え②を書くように指示す る。 ○ 叙述を基に考えることができる ように、シンキングシートの記述 や交流したことを基に考えるよう に指示する。 ○ 登場人物の考え方や生き方につ いて様々な捉え方ができるよう に、学級全体で交流し、登場人物 の三人が皆、弱さや矛盾を抱えて いることに気付かせる。 ◯ 登場人物の考え方や生き方につ いて、自分と結び付けて考えるこ とができるように、共感する部分 を挙げ、その根拠となる知識や経 験をシンキングシートに書く活動 を設定する。 ◯ 考えを広げたり深めたりするこ とができるように、グループ②で 結び付け方を検討する活動を設定 する。 ◯ 結び付け方について自分たちで 検討することができるように、 「アイスプラネット」の例を挙 げ、登場人物や自分の短所を結び 付けただけで終わらないように指 示する。 ○ 解釈したことや交流したことを 基に自分の考えをまとめることが できるように、シンキングシート の記述を活用して、読書レビュー を書くように指示する。 ◯ 解釈したことを基に自分の考え をつくることができるように、三 つの段落を関連させて書くように 助言する。 【読むイ】 文章中に描かれてい る登場人物の考え方 や生き方について考 えている。(シンキン グシートの㋔) 【読むオ】 登場人物の考え方や 生き方を、共感の観 点から、自分の知識 や経験と結び付けて いる。 (シンキングシート ㋕) 【読むオ】 文章を読んで解釈し たこと、自分の知識 や経験と結び付けて 考えたこと、作品の 魅力や価値につい て、文章にまとめる ことができる。(読書 レビュー) (例) ・Ⅰ:メロス、王、セリヌンティウスはお互いにどのような影響を与えたか =メロスは王によって、自分にも弱さがあることに気付かされた/王はメロ スとセリヌンティウスによって、互いの弱さを認め合うことが真実だと気 付かされた ・Ⅱ:メロスと王の心の距離は近づいた(分かり合えた)のか =分かり合えた。メロスが自分の弱さを知ったことで、王の苦悩を想像する ことができたのではないか。 ・Ⅲ:作品の表現にはどのような特徴と効果があるか =情景描写によってメロスの前向きな気持ちが表されている。 ・Ⅳ:作品中で最も重要な場面(出来事)はどこ(何)か =メロスが倒れて弱音を吐く場面。王が言っていたような、メロスの醜さが 見えるから。 ・(例)メロスは、自分の信念を 貫くために走った。なぜなら、 「もっと恐ろしく大きいものの ために走っている」「訳のわから ぬ大きな力に引きずられて走っ た」という言葉から、もはや友 達のためではなくなっているか らだ。また、メロスは「誠実な 男」であり、決めたことをやり 抜く強さがあるからだ。本
時
2
⑵ シンキングシートを見直して、構 成メモをつくる。 ⑶ これまでの学習で考えたことを関 連付けながら、読書レビューを書 く。 14 読書レビューを読み合って、感想 を交流する。 15 単元のまとめをする。 ○スムーズに読書レビューにまとめ ることができるように、読書レビ ューの手引きを提示する。また、 文章を書くことが苦手な生徒に は、パターン文等を書いたお助け シートを提示する。 ◯ 他者の読書レビューの内容につ いて感じたことを、ワークシート の左側に書き込むよう指示する。 ◯ 単元のまとめをするために、初 読の段階で考えた「走れメロス」 の魅力や価値と読書レビューを比 較させ、自分の考えがどのように 変わったかについて数人に発表さ せる。 【読書レビュー例文】 ☆「走れメロス」 太宰治 ☆ メロスが殺されると分かっていても走り続けたのは、人間としての使命感に突き動かされたから だと思う。最初メロスは、「あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう」「身代わりの友を救 うため」と思って走っていた。それが、最後には「人の命も問題ではない」「もっと恐ろしく大きい もののために走っている」と変化している。王に勝つためでもなく、友を救うためでもなく、メロス 自身が、こうありたいと思う自分の生き方を貫くために走っている。このように変わったきっかけ は、メロスが途中で動けなくなり、自分の中にある弱さに気付いたことだと思う。自分を正当化し たり、「悪徳者として生き延びてやろうか」と開き直ったりするメロスの葛藤は、人を信じられずに 殺してしまう王の苦しみと似ている。人間の弱さや苦悩を知ったメロスだからこそ、気持ちを覆す ほどの影響を王に与えることができたのだと思う。 私は、メロスが長々と弱音を吐いているところに共感する。メロスは自分の弱さと闘っているの だと思う。私もいつも途中であらめてしまうし、人からどう思われるかが気になって言いたいこと が言えない。自分の嫌なところを、ごまかして生活している。でもメロスのように闘ったことはな い。自分の弱い部分と闘ってみると、少しは成長できるかもしれない。 「走れメロス」を読んで、私は、信念をもつことの大切さについて考えることができた。人は、「こ んなふうに生きたい」という強い思いに突き動かされることがあるのだと思う。自分の将来の夢や 目標はまだ決まっていないが、「こんな生き方がしたい」と思ったら、メロスのようにそれを貫きた い。そして、それを実現させるだけの、強さも身に付けたい。 ☆「走れメロス」は、信念を貫く生き方を知ることのできる作品だ! まとめ:(生徒の言葉)「走れメロス」は、信念を貫く生き方を知ることのできる作品だ。 「走れメロス」は、人の心を信じることの難しさを感じる作品だ。など