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電子温度制御による高効率負イオン生成

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Academic year: 2021

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(1)

著者

飯塚 哲

(2)

(課題番号07558061) 平成7年∼9年度科学研究費補助金(基盤研究(A) (2) )

研東成果報告書

平成10年3月

研究代表者飯塚 哲

(東北大学大学院工学研究科助教授)

(3)

1.はじめに 2.研究組織 畠'.研究経費 4.研究発表 4. 1学会誌等 4. 2口頭発表 4. 3共同出願特許 5.研究成果 5.1要 旨 5. 2研究成果 5. 3発表論文 6.総括 謝辞

(4)

1.はじめに

負イオンの生成はプラズマプロセス等のシース構造やプラズマ電位構造、プラ ズマの抵抗性を規定する上で極めて重要であり、その生成制御の必要性が提起 されている。本研究では負イオン生成の基礎過程を理解するため、プラズマの 電子温度を数eVから0. 0 5 evの室温程度まで大幅に連続的に変化させる 電子温度制御法を水素及びハロゲンプラズマ中に適用する。高周波放電及びマ イクロ波放電プラズマの電子温度制御特性を明らかにし、解離・励起及び負イ オン生成に最適な電子温度の空間分布を兄い出だし、それらが同一チャンバー 内で連続的に実現できる放電構造を明らかにする。以上により、電子温度制御 による高効率負イオン生成技術の実用化を図る。 (i)電子温度低温化プラズマ源の構築 プラズマ中での水素負イオン生成の電子温度依存性について詳細な実験はこ れまでなされていない。電子温度を大幅に変えることがほとんど不可能であっ たからである。本研究では、負イオン生成の基礎過程を理解するため、プラズ マの電子温度を数eVから0. 0 5 eVの室温程度まで大幅に連続的に変化さ せる電子温度制御法を水素プラズマ中で適用する。高周波放電プラズマの電子 温度制御特性を明らかにし、水素の解離・励起及び負イオン生成の電子温度依 存性について詳細に調べ、生成機構を明らかにする。 また、 (ii)負イオン生成の高効率化 水素の解離・励起に最適な電子温度、及び電子付着に最適な電子温度をそれ ぞれ明らかにし、それぞれ異なった電子温度をもつプラズマをプラズマ中に独 立に生成する方法を確立する。これにより水素の導入、解離・励起、そして負 イオン生成が連続的に行なえる放電構造を明らかになり、より効率的な負イオ ン生成法を確立する。この結果をふまえて、電子温度制御による高効率負イオ ン生成技術の実用化を図る。

(5)

(1)研究の背景 水素やハロゲン化物負イオンはプロセッシングプラズマの反応過程、シース. 構造やプラズマ電位構造、プラズマの抵抗性を規定する上で極めて重要であり、 その生成制御の必要性が提起されている。また水素負イオンの生成は核融合プ ラズマを達成するための水素中性ビーム生成に重要であると考えられている。 負イオン生成の高効率化を達成するには、電子による元ガスの解離・付着を 効率的に行う必要がある。特に、水素負イオンは第一段階で水素分子を高エネ ルギー電子により解離・励起し、高い振動エネルギー準位をもつ水素原子を作 り、第二段階で低い電子エネルギーを持つ電子と励起原子を衝突させ、電子付 着反応を起こす必要があると考えられている。 この様に、プラズマ中で水素負イオンを生成するには全く異なる電子エネル 半丁をもつプラズマをそれぞれの反応過程で同時に生成しなければならず、通 常のプラズマ生成法ではほとんど不可能である。これまで負イオン生成にはい くつかの方法が考えられている。高エネルギー電子と低エネルギー電子を磁気 フィルタを使って分離する方法が提案されているが、電子温度の系統的な変化 は難しく、効率的な生成が可能かどうかは疑問である。低温電子の直接付着に よる負イオン生成がSF6やC6。プラズマ中で観測されている。 0. 2 eV程度 の低温電子は高効率で負イオン生成に寄与することが明らかになっており、放 電プラズマ中にこのような低温電子をいかに生成させるかが大きな課題となっ ている。東北大学では、これまでプラズマ中の電子エネルギーを大幅に制御で きる方法を開発し、電子温度を数eVから0. 0 5 eVの室温程度まで大幅に 連続的に変化させる方法が兄いだしている。 この方法を負イオン生成制御に応用できれば、これまでとは全く異なった新 しい負イオン生成方法が確立する。本研究ではこの電子温度制御を負イオン生 成に適用し、高効率で負イオンを生成し、実用化を図るものである。 (2)研究の特色及び独創的・先駆的な点 これまでは水素を導入した通常の放電中に生成された負イオンについての研 究が主になされ、圧力や放電電流を変えるしか負イオン生成の効率化は望めな かった。本研究では反応過程を規定するプラズマ中の電子温度を制御して2つ の異なった電子温度をもつプラズマを放電容器内に実現し、水素の解離・励起 の最適化を図るとともに、より効率的な電子付着により負イオン生成の最適化 を図るものであり、国の内外を問わず全く新しい方法を使うところに独創性、 先駆性がある。この方法の原理、技術が確立され、実用化されれば、より効率

(6)

的でオリジナルな負イオン生成方法として産業界のみならず原千・分子の学問 分野にも多大なる寄与が期待される。      ( 水素負イオン生成には高エネルギー電子による解離・励起と低エネルギー電 子による電子付着が重要であると理論的にも指摘されている。また、これまで の東北大学における研究から、プラズマ中の電子温度の大幅な制御は確立され ており、この方法を水素プラズマに適用する。一つのプラズマ中に高エネルギ ー電子をもつプラズマ嶺域と低エネルギー電子をもつプラズマ領域を独立に作 ってやればよく、この配置は技術的には既に我々の研究でほぼ確立されている。 またS F6やC6。等水素以外の負イオン生成及び測定法についても既に多くの 蓄積と実績がある。したがって研究期間内に、水素放電で実際にどのような負 イオン生成が起こるかを詳細に測定し、その生成機構を朗らかにする事は充分 可能であり、実用化への見通しがある。 この方法が確立されれば、原子・分子領域への新たな見識を提起するととも に、核融合プラズマ加熱に不可欠な水素中性粒子ビーム生成の高効率化、宇宙 プラズマやプロセシングプラズマ中での負イオン生成機構の学問的発展に寄与 すると考えられる。

(7)

2.研究組織

研究代表者  飯塚 哲 (東北大学大学院工学研究科助教授) 研究分担者  畠山′力三(東北大学大学院工学研究科教授) 平田 孝道 (東北大学大学院工学研究科助手) 李 雲龍 (東北大学大学院工学研究科助手) (ただし、分担は平成7年度と8年度のみ)

3.研究経費

平成7年度 平成8年度 平成9年度 7, 300 千円 4, 500 千円 1, 600 千円 合 計   13, 400 千円

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4.研究発表

4. 1学会港等

1. R. Kato, S. Iizukn, and ∼. Sato, Process ofelectron temperature decrease,

Proceeding of The 12・th Symposium on Plasma Processing, Sendai, 2211

224 (1995).

2. A. Takahashi, S. Iizuka, K. Kato, and N. Sato, Plasma production for

control of surface reactions, Rroceedings of the 33-th RIEC Sympositm

on'Photo- and Plasma-Excited Processes on Surfaces, Sendai, 57・65,

1995.

3. G. Ganguly, T. Ikeda, Ⅰ. Sakata, K. Kato, S. Ii2;uka, N. Sato, and A. Matsuda; Modification of the structure of hydrogenerated amorphous

Silicon throughcontrolled energy lOn-bombardment, Proceedings of the 33-thRIEC Symposium on Photo・ and Plasma・Excited Processes on Surfaces, Sendai, 103・108, 1995.

4. K. Kato, S. Iizukn, and N. Sato, Ion-energy control in a low electron・

temperature plasma, Proceeding of The 13・th Symposium on Plasma processing, Tokyo, 183・166 (1996).

5. Y. Li, R. Nakagomi, a. Kato, S. Ii2;uka, and N. Sato, Electron

temperature control in large・diameter radio frequency plasma,

Proceeding of.the 3・rd Asia・Pasific Conference on Plasma Scienceand Technology, Tokyo, 429-433 (1996).

6. K. Kato, S. Iizuka, and N. Sato, Potential structures of low

electron-temperature plasma, Proceeding of The lnternationalConference on

Plasma Physics, Nagoya, 1370・1373 (1996).

7. K. Kato, S. Iizukn, G. Ganguly, T. Ikeda, A. Matsuda, and N. Sato, Ion

and Electron energy control in an RF silane plasma, Proceeding of the 3-rd International Conference on Reactive Plasmas, Nara, 413-414 (1997).

(9)

8. S. Ii2;uka, K. Kato, A. Takahashi, K. Nakagomi, and N. Sato, Control of negative ion production, Proceeding of the 3・rd lnternationalConference l on- Reactive Plasmas, Nara, 415・416 (1997).

9. a. Kato, S. Ii2;ukn, G. Ganguly, T. Ikeda, A. Matsuda, and N. Sato, Electronand ion energy controls in a radio frequency discharge plasma withsilane, Japan JournalofApplied Physics 36, 4547-4550 (1997). 10. S. Ii2lukn, K. Kato, A. Takahashi, a. Nakngomi, and N. Sato, Negative

hydrogen ions produced by electron temperature control in an RF

plasna, JapanJournalofApplied Physics 36, 4551・4553 (1997).

ll. K. Nakngomi, a. Kato, S. Ii21uka, and N. Sato, Control ofelectron energy in a large・diameter modified magnetron・typed RF discharge, Proceeding of The 15-th Symposium on Plasma Processing, Hamamatsu, 597-600

(1998). 12.飯塚哲、佐藤徳芳、大面積均一プラズマの生成と電子温度制御、電気学会 論文誌、 1998年. 4. 2口頭発表 1.飯塚哲、加藤公義、ガウタムガングリー、池田徹、松田彰久、佐藤徳芳; 高周波シランプラズマにおける低電子温度プラズマ生成、第5 6回応用物 理学会学術講演会、金沢、 1995年8月26日. 2.加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;電子温度の低温化に伴うイオン温度の変化、 日本物理学会秋の分科会、大阪、 1995年9月29日. 3.高橋陽、飯塚哲、加藤公義、佐藤徳芳、反応制御のためのプラズマ生成、 東北大学電気通信研究所、光・プラズマ表面励起過程シンポジウム、 1 9 95年11月30日.

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4. G. Ganguly, T. Ikeda, I. Sakata. a Kato, S. Iizuka, N. Sato, and A. Matsuda: Modification of the structure of hydrogenerated anorphousI

silicon through controlled energy ion-bombardment,東北大学電気通信

研究所、光・プラズマ表面励起過程シンポジウム、 1 995年1 2月1日. 5.加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;低電子温度プラズマにおけるイオンエネル ギー制御、第13回プラズマプロセシング研究会、東京、 1 996年1月 30日. 6.加藤公義、飯塚哲、ガウタムガングリー、池田徹、松田彰久、佐藤徳芳; 高周波シランプラズマにおけるイオンエネルギー計測、第4 3回応用物理 ‥ 学関係連合講演会、埼玉、 1996年3月29日. 7.李雲龍、中込孝二、加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;大面積高周波プラズマ における電子温度制御、第3回プラズマ科学技術に関するアジア太平洋会 議、東京、 1996年7月17日. 8.加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;低電子温度プラズマの電位構造、プラズマ 理工学国際会議、名古屋、 1996年9月12日. 9.加藤公義、飯塚哲、ガウタムガングリー、池田徹、松田彰久、佐藤徳芳; 高周波シランプラズマにおけるイオンと電子エネルギー制御、第3回反応 性プラズマに関する国際会議、奈良、 1997年1月24日. 1 0.飯塚哲、加藤公義、高橋陽、中込孝二、佐藤徳芳;負イオン生成の制御、 第3回反応性プラズマに関する国際会議、奈良、 1 997年1月24日. 1 1.高橋陽、飯塚哲、佐藤徳芳、プロセス用ECRプラズマの土ネルギ-刺 御、第44回応用物理学関係連合講演会、千葉、 1997年3月30日. 1 2.中込孝二、加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;低電子温度化に伴う水素負イ オンの高効率生成、第44回応用物理学関係連合講演会、千葉、 1 9 9 7 年3月28日. 1 3.加藤公義、飯塚哲、ガウタムガングリー、松田彰久、佐藤徳芳;反応性 RFシランプラズマにおけるイオンエネルギー分布制御、第1 5回プラズ マプロセシング研究会、浜松、 1998年1月22日.

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14.中込孝二、加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;大口径変形マグネトロン高周 波放電における電子温度制御、第1 5回プラズマプロセシング研究会、浜一 松、 1998年1月23日. 1 5.加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;グリッド間隔変化による電子温度制御、 第45回応用物理学関連連合講演会、東京、 1 998年3月30日. 1 6.中込孝二、加藤公義、飯塚哲、佐藤徳芳;電子温度制御による負イオン 生成の計測、第4 5回応用物理学関連連合講演会、東京、 1 9 9 8年3月 30日. 4. 3共同出席特許 1.李雲龍、佐藤徳芳、飯塚哲、プラズマ生成装置、出願中、 1997年 12月.

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5.研究成果

5.1要 旨 <平成7年度> (i)実験は真空容器をオイルフリーの環境内で行う必要があり、しかも放電の 圧力を安定に1 0 mTorr∼0. 1 mTorrの範囲で制御できる真空排気系が必 要である。本研究では広帯域ターボ分子ポンプシステムを導入し、上記の 条件を満足する真空系及びそのモニタ系を構築した。また、アルゴンガス 流量を制御し、一定圧力に保つガス排気系も新しく導入した。 (ii)高エネルギー電子温度と低電子温度をもつプラズマをそれぞれ独立に生成 するために放電空間を2つに区切り、プラズマ生成領域に高エネルギー電 子を、プラズマ拡散鏡域に低電子温度プラズマを生成するための実験系を 構築した。 (iii)プラズマ生成は高周波放電で行う。このため、プラズマ生成用電極を新た に設計、製作した。アルゴンガスを中心に放電を行い、拡散領域の電子温 度の低温化が、境界に置いた分離グリッドにプラズマ空間電位よりも低い 直流電圧を印加することにより可能となった。電極の形状、放電空間内の グリッド設置場所、グリッドサイズを変化させて、生成されるプラズマの 電子温度制御特性について詳細に調べた。この結果、電子温度が4 eV∼ 0. 4eVの範囲で制御可能となった。 (iv)負イオン生成となる反応性プラズマ中での電子温度制御のために、汚れ等 によって影響を受けにくいグリッド構造が新しく考案され、バイアス電圧 を印加することなしに電子温度制御が可能となった。 <平成8年度> (i)アルゴンガスプラズマ系で構築した高周波放電電子温度制御装置に水秦 ガスを導入し、水素負イオンの生成の特性を調べた。 (ii)実験は永久磁石付きの高周波(RF)電極により水素プラズマを生成す

(13)

る。真空チャンバ内にグリッドを設置し、プラズマ生成域と拡散域に分離 する。実験は水素ガス圧力をパラメータとして行った。 ■水素ガス圧力が§ mTorrのとき、生成域では電子温度が約3 e Vのプラズマが生成され、グ リッドに負バイアスを印加するに従って、拡散域での電子温度は低下した。 負イオンの生成の評価のためにプローブ電流の正負の飽和電流比を測定 するとその比はグリッ下電圧によって大きな変化は見られなかった。しか しながら、 2 mTorrとすると、電流比は約2 8から約1. 1程度まで急激に 減少した。この時、生成域での電子温度は約4 eVに上昇しており、水素 分子の励起が大きくなったことが考えられる。この時、低ガス圧力での電 流比から見積もった負イオンの密度はほぼ正イオン密度と同程度であり、 高効率でのイオン生成が分かった。 (iii)高効率な水素負イオン生成のためには、プラズマ生成域での水素分子の 高エネルギー電子による励起が重要であり,圧力変化によってその制御が 可能となることが分かった。また、プラズマ拡散域での低エネルギー電子 による解離付着は重要であるが、電子温度が2 e V以下であれば、水素負 イオン生成への影響は少ないことが分かった。本実験では、圧力を変える ことにより、生成域での励起しきい値の存在が初めて明らかにされた。 <平成9年度> (i)水素負イオン含有率を直接的に評価するために、永久磁石を内蔵したイオ ンセンシティブプローブを用いて、放電圧力、電子温度制御用グリッドバ イアス電圧と負イオン生成条件の関係について詳細に測定した。このほか 磁場偏向によるイオン種の測定、サイクロトロン共鳴を利用したオメガト ロン方式によるイオン種の測定が試みられたが、実験の圧力飯域ではイオ ンの中性ガス衝突が無視できず、飛行距離の少なくてすむイオンセンシテ ィブプローブによる測定が有効であることが分かった。

(ii)水素の圧力を前年度の結果をもとに2 mTorrと8 mTorrを基準として、電

子温度を変えて負イオン生成の効率を調べた。電子温度はプラズマ生成領 域と拡散額域の境に設置したグリッド電位によって制御する。イオンセン シティブプローブは電子捕集電極とイオン捕集用のコレクタ電極とからな る。 2 mTorrのとき電子捕集電極の電圧をプラズマの空間電位よりも高く 固定しておき電子を捕集し、コレクタ電圧の電圧を変化させるとグリッド

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電位が負の時、空間電位以上の額域で負イオンによるコレクタ電流は上昇 した。グリッド電圧を正にすると負イオン電流は減少した。 8 mTorrでは 負イオン電流は減少した。以上により低圧力で電子温度の低い場合に負イ オンが効率的に生成されることが分かった。 (iii)プローブの正イオン電流値と負電流値の値からプラズマ中の負イオンの 正イオンとの密度比を評価した。プローブ前面には正イオンシースが形成 されているとの仮定のもとでnー/n十を求めると低気圧で低電子温度の時 にはn-/n+∼9 5%にも達することが分かった。これは低気圧ではプラ ズマ生成敵城の電子温度は数eVと高く、充分に水素分子は励起され得る。 一方拡散領域では電子温度が下がっているため、嘩温電子による解離性付 着が起こることが可能である。負イオンの生成効率は圧力を高くしたり電 子温度を高くするとこの比は減少することが分かった。 (iv)本研究で構築された電子温度可変高周波プラズマ源の特許申請を行った。 この可変温度高周波プラズマ源は、負イオンの高効率生成に極めて有効で あることが示された。また、この装置は電子温度制御によるプロセシング プラズマ中の反応制御が可能なプラズマ源として、さまざまな分野への応 用が期待できる。

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5.2 研究成果●)

第4章-電子温度低温化法を用いた水素負イオンの生成

4.1 グリッドバイアス法による水素負イオン生成機構

水素負イオンは,高エネルギー電子が関与する励起分子生成過程と,低エネルギー電子 が関与する負イオン形成過程の二段階過程により生成すると考えられている.このエネル ギーの異なる電子を生成する方法として,グリッドによる電子温度制御法を採用する.図 4-1にグリッドバイアス法による水素負イオン生成機構を示す.プラズマ生成領域では, RF放電により高エネルギー電子が生成される.このうちごく一部の電子が,グリッドの 負の電位を通過して新たな電離を起こし,プラズマプロセス領域において低エネルギー電 子の多いプラズマを生成する.またプラズマ生成領域では,高エネルギー電子との衝突に より,振動励起状態の水素分子が生成される.この励起分子がグリッドを通過して,プラ ズマプロセス領域において低エネルギー電子との解離付着反応により,水素負イオンが生 成される.

(1)プラズマ生成領域

く励起分子生成過程) H2+eh - H;+elk (2)プラズマプロセス領域

く負イオン形成過程)

H;+e1 - H-+H *)中込孝二:修士学位論文(4章、 5章の一部抜粋) 、東北大学大学院工学研 究科電子工学専攻、 1998年3月

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4.2 実験装置及び測定方法 ( 実験装置としては,東北大学PPT真空装置を用いる.図4-2は実験装置全体図であ り,この電極付近の拡大図を図4-3に示す. 13.56MHzのRF電源からの電力が,マッ チング回路を通じて電橿(直径18,cm)に入射する.電極の裏には永久磁石が同心円状に 3列配置されており,プラズマはマグネトロン方式によって生成される. 電橿中心から10cmの位置にステンレス製グリッド(直径34cm,メッシュサイズ6.5 mesh/inch)を設置する.グリッドに印加する直流電位vGを変化させることにより,プ ラズマ拡散域の電子温度が制御される.グリッド一叢地問にはコンデンサーをはさんでお り,一高周波によるプラズマの空間電位の振幅がグリッド電位に影響を及ぼすことを防いで いる. 電子温度Te,電子密度n.,空間電位V.の測定には,ワイヤプローブを用いる.また, 負イオンを直接測定するために,先端に永久磁石を取り付けたイオンセンシティブプロー ブ(図41) 【42,43】を用いる.これは,電子と負イオンのラーモア半径の違いを利用し たものであり,プローブ先端の磁場にラーモア半径の小さい電子を捕捉し,負イオン(あ るいは正イオン)のみをコレクタで検出できるというプローブである.コレクタは直径4 mm,先端からの深さは7mmである.永久磁石の外側は鉄板で囲まれており,磁場のプ ラズマへの影響を抑えている.プローブ内側の電子輔集電壇は,内径6 mmの円筒型で ある.この電庵にプラズマ電位よりも正の電位を印加することにより,プラズマ中の負イ オンと電子をプローブ内に引き込むことができる.しかし,ラーモア半径の小さい電子は この電極に吸収される.プローブ先端の磁場強度は約500 Gであり,プラズマからの加 速電圧が10Vのとき,水素負イオンのラーモア半径は9.14mm,電子のラーモア半径は 0.21mmであり,負イオンのみがコレクタに到達できることがわかる. 実験条件は表4-1に示すとおりである.

(18)

PmanentMagnets Lmgnuir Pmbe Vacuum Chamber H2  Ar 「JTり]l

i;- W

⊂> LL} くり l ′ヽ \ \ノ uirProbe

\世血

図4-2: PPT真空装置全体図. 図4-3: PPT実験装置拡大図.

(19)

図4Jl:イオンセンシティブプローブ. 背景真空度 禿 モUF''" 使用ガス 買"ト "ト R ガス圧力 モゆ ユF '" 周波数 2經dヤ RFパワー 鉄 モ3 r 表4-1:実験条件.

(20)

4.3 実験結果 ( 4.3.1 ワイヤプローブによる測定 4.3.1.1 グリッド電位依存性 アルゴンプラズマにおいて,グリッドに印加するDCバイアスを変化させたときの,プ ロセス領域(I-15cm,r=0cm)におけるプラズマパラメータを図4-5,図4-6に示 す. RFパワーは100Wであり,図4-5はアルゴンガス圧力8mTbrr,図4-6はアルゴ ンガス圧力2mTorrの場合である.アルゴンガス圧力8mTbrrのとき,グリッドの電位 を3nVから-30Vまで変化させることにより,電子温度が2.7eVから0.3eVの間で 連続的に制御できる.また,アルゴンガス圧力2mTbrrのときも同様に,グリッドの電 位を変化させることにより,電子温度が2.5eVから0.3eVの間で連続的に制御できる. 図4-7は水素ガス圧力8mTorrのとき,グリッドに印加するDCバイアスを変化させ たときの,プロセス領域(I-15cm,r=0cm)におけるプラズマパラメータを示してお り,そのときのワイヤプローブのVp - Ip特性を図418に示す. RFパワーは100Wで ある.グリッドの電位を30Vから-30まで変化させることにより,電子温度が3.OeV から0.2eVの間で連続的に制御できる.またグリッドの電位を負にしたとき,アルゴン プラズマにおける空間電位は約17Vであるのに対し,水素プラズマにおける空間電位は 約5Vと低い値を示している. 図4-9は水素ガス圧力2mTorrのときの,プロセス領域(I-15cm,r-0cm)にお けるワイヤプローブのVp - Ip特性のグリッド電位による変化を示したものである.グ リッド電位を正から負にしていくと,電子電流は減少し, V0--20Vにおいて,曲線は ほぼ対称な形になる・このとき,ワイヤプローブのVp - Zp特性から正確な電子温度, 電子密度の値を求めることはできなくなる.このワイヤプローブの測定結果より求められ る正イオン飽和電流I+と飽和電流比r/I+のグリッド電位依存性を図4-10に示す. グリッド電位を正から負にしたとき,正イオン飽和電流の減少はほとんど見られないのに 対して,飽和電流比は急激に低下していることがわかる.このことから,グリッドに負電 位を印加したとき,負イオンがかなりの割合で生成されていると予想される.

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(>otx)S^'(^o)。ト 4 2 -30「20-10 0 10 20 V(; (V) (?∈060LX)。u 図4-5:プロセス領域におけるグリッド電位依存性(PA,- 8 mTbrr). 6 (>○【×)ゞ■(>o)。ト 4 2 -301≧0-10 0 10 20 30 VG (V) 2 (?∈UもLX)。u 図4J:プロセス領域におけるグリッド電位依存性(PA, - 2 mTorr).

(22)

4 321 (>oLX)S^■Fo)。ト 401≧0-10 0 10 20 VG (V) (?∈060LX)。u 6    4    2 図417:プロセス領域におけるグリッド電位依存性(RE, = 8 mTorr). PH2= 8 mTorr 図4-8:ワイヤプローブにおけるV, - Ip特性(PH2 -8mTorr).

(23)

PH2 ≡ 2 mTorr 0  10 vp(Ⅵ 図4-9:ワイヤプローブにおけるVp - I,特性(pE2 -2mTbrr)・ -30-20-10 0 10 20 30 VG (V) (l!un.qJt2),I 図4-10:正イオン飽和電流t+と飽和電流比Z /t+のグリッド電位依存性(RH, = 2 mTbrr).

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4.3.1.2 RFパワー依存性 ( アルゴンプラズマにおいて,グリッドの電位を-20Vに固定し, RFパワーを変化させ たときの,プロセス領域(a-15cm,r-0cm)におけるプラズマパラメータを図4-ll, 図4-12に示す・図4-11はアル亨ンガス圧力8mTorr,図4-12はアルゴンガス圧力2 mTorrの場合である.どちらの場合も, RFパワーの増加とともに電子密度は上昇するが, 電子温度と空間電位は一定であるという傾向を示している. 図4-13は水素ガス圧力8mTbrrのとき,グリッドの電位を-20Vに固定し, RFパ ワーを変化させたときの,プロセス領域(Z=15cm,r=0cm)におけるプラズマパラ メータを示しており,そのときのワイヤプローブのV, - tp特性を図4-14に示す.こ のときもアルゴンプラズマの場合と同様に, RFパワーの増加とともに電子密度は上昇す るが,電子温度と空間電位は一定であるという傾向を示している. 図4-15は水素ガス圧力2mTorrのときの,プロセス領域(I- 15cm,r-0cm)にお けるワイヤプローブのVp - Zp特性のRFパワーによる変化を示したものである.この ワイヤプローブの測定結果より求められる正イオン飽和電流∫+と飽和電流比∫-/∫+の RFパワー依存性を図4-16に示す. RFパワーの増加とともに正イオン飽和電流は上昇 しているが,飽和電流比はほぼ一定となっている.このことから, RFパワーを増加する ことにより負イオン密度は上昇しているということが予想される.

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(?EoolOLX)。u 5       5 2   1   1   0. I -- 白 イ メメ I Vs -一■ brJ ィ爾 FR 一一 ▲ 8 2 ▲ l 鳴 l 1 00   200   300 RF Power (W) 4321 (>oLX)S^■(>e)01 図4-ll:プロセス領域におけるRFパワー依存性(P.h - 8 mTorr , VG = -20 V). (e_∈060LX)。u 2 1     QV     6     3 l一 n○ 鳴 VS 辻メ

㌢IT.I 8 "

A___ tl 唯 1 00   200   300 RF Power (W) 321 (>oLX)S^.(^0)81 図4112:プロセス領域におけるRFパワー依存性(P.u= 2 mTorr , VG= -20V).

(26)

ー・6 1 ・2 0・8 0・4 (>oLX)S^■(>0)。_i A 「▲ ne 白2 ▲T○▲ e2 一 」′ l I 鳴 1 00   200   300 RF Power (W) (?∈960LX)。u 1 O 8 6 4 2 図4-13:プロセス領域におけるRFパワー依存性(RH, - 8 mTorr , V6 - -20 V)・ 図4114:ワイヤプローブにおけるVp I Ip特性(PH2=8mTorr,V0--20V)・

(27)

図4-15:ワイヤプローブにおけるVp - tp特性(PH,-2mTorr,V0--20V). 102 +

F 101

PH2 =2mTorr

;.ll/

I-/l+ 1 00  200  300 RF power (W) (l!un.qJt2),l

図4-16:正イオン飽和電流I十と飽和電流比I /I+のRFパワー依存性(pH2 = 2 mTor-r , VG_- -20V).

(28)

4.3.2 イオンセンシティブプローブによる測定 ( 4.3.2.1 イオン電流検出メカニズム 負イオン電流を実際に測定するために,イオンセンシティブプローブを使用する.この イオンセンシティブプローブのコレクタに正イオン,負イオンを引き込むときの電位構造 を図4-17に示す.国中のVaはプラズマの空間電位, veはプローブ内側の電子捕集電極 の電位, vcはコレクタの電位を表している. 電子捕集電極の電位を空間電位よりも低くすることにより,電子および負イオンはプ ローブに入れなくなる.このとき,コレクタの電位が空間電位よりも低ければ,プラズマ 中の正イオンはコレクタに到達する(図4117(a))が,空間電位よりも高ければ正イオン ははねかえされ,コレクタ電流は検出されない(図4-17(b) )・ 一方,電子捕集電極の電位を空間電位よりも高くすることにより,正イオンはプローブ に入れなくなる.ラーモア半径の小さい電子は,電子捕集電極に吸収され,コレクタには 到達できない.このとき,コレクタの電位が空間電位よりも低ければ,プラズマ中の負イ オンははねかえされ,コレクタ電流は検出されない(図4-17(C))が,空間電位よりも高 ければ負イオンはコレクタに到達し,負イオン電流が検出される(囲む17(d)).

(29)

(a)Ve <Vs ,Vc <Vs

Ve <Vs ,Vc >Vs

(C)Ve >Vs ,Vc <Vs

プラズマ 電子稀集電極 コレクタ (d)Ve >Vs ,Vc >Vs 図4-17:イオンセンシティブプローブの電位構造.

(30)

4.3.2.2 アルゴンプラズマ・ヘリウムプラズマにおける測定 く 図4-18,図4-19は,負イオンが存在しないアルゴンプラズマ中におけるイオンセン シティブプローブのVc - Zc特性を示している.アルゴンガス圧力は2mTorrで,図 4-18はV0--20Vの場合,図4-19はVG-20Vの場合である. VG=-20Vのとき の空間電位は17Vであり,電子捕集電極の電位を-10Vとしたとき,正イオン電流が 多量に検出されるが,負電流はほとんど検出されない.電子捕集電極の電位を40Vとし たとき,正イオン電流は検出されるが,負電流はほとんど検出されない.一方, vG=20 Vのときの空間電位は30Vであり,電子捕集電極の電位をovとしたとき,正イオン 電流が多量に検出されるが,負電流はほとんど検出されない.電子捕集電庵の電位を50 Vとしたとき,正イオン電流は検出されるが,負電流はほとんど検出されない. 図4-20,図4-21は,負イオンが存在しないヘリウムプラズマ中におけるイオンセン シティブプローブのVc - tc特性を示している.ヘリウムガス圧力は8mTorrで,図 4⊥20はVG--20Vの場合,図4-21はVG=20Vの場合である. VG=-20Vのとき の空間電位はllVであり,電子挿集電極の電位を-10Vとしたとき,正イオン電流が 多量に検出されるが,負電流はほとんど検出されない.電子輔集電極の電位を30Vとし たとき,正イオン電流はわずかに検出されるが,負電流はほとんど検出されない.一方, V6-20Vのときの空問電位は26Vであり,電子捕集電極の電位を10Vとしたとき, 正イオン電流が多量に検出されるが,負電流はほとんど検出されない.電子捕集電極の電 位を40Vとしたとき,正イオン電流はわずかに検出されるが,負電流はほとんど検出さ れない.また,このヘリウムガス圧力が8mTorrのときの,イオンセンシティブプロー ブの正イオン電流Ic+ ,負電流(電子電流) I.-の電子捕集電極電位ve依存性を図4-22, 図4123に示す.図4-22はVG--20Vの場合,図4-23はVG=20Vの場合である. 正イオン電流は,空間電位(vG--20Vのとき11V,VG=20Vのとき26V)よりも Veを高くすると,急激に減少する.一方,負電流(電子電流)は, Veによらずほとんど検 出されていない、 よって,このイオンセンシティブプローブは,電子電流をほとんど検出しないというこ とがわかる.

(31)

VG.=-20VlcLJLAJv:.i10V

VS=17V 乏

-500 鉄 f2 -0.5 -1 図4-18:イオンセンシティブプローブにおけるVc - Ic特性(PA,-2mTorr,VGニー20 V).

VG=ZUV VS=30V 椿7G紋ァfSヨ

b

-500 二0.5 -1 鉄 d 図4-19・.イオンセンシティブプローブにおけるVc - Ic特性(PA,-2mTorr,V0-20 V).

(32)

VG ≡-20V▼uv、 VS=11Vo.5 池ufSメモ b ー50 -0.5 鉄 f2 図4-20:イオンセンシティブプローブにおけるVc - Ic特性(pEe-8mTorr,VG--20 V). luT-YT VS.=26V 一 葺 BufSモ b ー500 ● -1 鉄 f2 図4-21:イオンセンシティブプローブにおけるVc - tc特性(PH.-8mTorr,V0-20 V).

(33)

(vTf)。一 -1 0  0  1 0  20  30  40 V。 (V) 図4-22‥コレクタ電流tcの電子輔集電極電位ve依存性(BE. = 8 mTorr , VG = -20V). (vd)。L -10  0  10  20 V。 (V) 0 4 0 3 図4-23‥コレクタ電流Zcの電子捕集電極電位ve依存性(PHe - 8mTbrr , V0- 20V).

(34)

4.3.2.3 水素プラズマにおける測定 ( 図4124は,水素ガス圧力2mTbrr,グリッド電位V0--20V, 20VにおけるVc - Ic 特性を示している.電子捕集電極の電位を空間電位よりも約20V高くすることにより, プラズマ中の負イオンをコレク列こ引き込む. V0--20Vのときの空間電位は7Vで あり,電子捕集電庵の電位を30Vとしたとき,負イオン電流が検出される.一方, VG-20Vのときの空間電位は23Vであり,電子捕集電極の電位を40Vとしたとき,負イオ ン電流が検出されない.このことから, VG=20Vのときは電子温度が高いため,負イ オンが存在していないと考えられる. 図4-25は,水素ガス圧力8mTorr,グリッド電位vG=-20V, 20VにおけるVc - Ic 特性を示している.電子捕集電壇の電位を空間電位よりも約20V高くすることにより, プラズマ中の負イオンをコレクタに引き込む. V0--20Vのときの空間電位は5Vで あり,電子捕集電極の電位を30Vとしたとき,負イオン電流が検出される.一方, V0-20Vのときの空間電位は27Vであり,電子挿集電極の電位を50Vとしたとき,負イ オン電流が検出されない.よって,ワイヤプローブの特性では,水素ガス圧力が2mTbrr のときのように顕著には現れなかったが,水素ガス圧力が8mTorrのときもvG-- 20 Vのとき,負イオンが生成されていると考えられる.また, VG=20Vのときは電子温 度が高いため,負イオンが存在していないと考えられる. 次に,グリッドの電位vGを固定し,電子輔集電庵の電位veを変えたときの,イオン センシティブプローブのVc - Zc特性の変化について考える.

(35)

VG=-20VlclJL八Jv=30V Vs=7Vo.5 乏 =500 鉄 f2 -0.5 図4-24:イオンセンシティブプローブにおけるVc - Ic特性(RH, -2mTorr,V0--20 V,20V). VG=「20Vlc VS=5Vo.5 優、ト ァfSモ3 b

0 1).5 鉄

f2

vG=20Vlc VS=27Vo.5 仲 庸SモS b -500 -0.5 鉄 d2 図4-25:イオンセンシティブプローブにおけるVc - Ic特性(PH, =8mTorr,VG--20 V,20V)・

(36)

・水素ガス圧力PH, = 2 mTorrのとき ( 図4-26,図4-27は,水素ガス圧力が2mTb汀のときの,イオンセンシティブプ ローブのVc - Zc特性の電子捕集電極電位veに対する変化を示しており,グ.)ッ ド電位がそれぞれ-20V, -20Vの場合である. VG= -20Vのときの空間電位は 7Vであり, veをこれよりも負にしたときには正イオン電流が検出され,正にした ときには負イオン電流が検出される.一方, VG-20Vのときの空間電位は23V であり, Veをこれよりも負にしたときには正イオン電流が検出されているが,正に したときには電流はほとんど検出されない. また,この水素ガス圧力が2mTbrrのときの,イオンセンシティブプローブの正 イオン電流tc+ ,負イオン電流Zc-の電子輔集電極電位ve依存性を図4-28,図 4-29に示す.図4128はVG=-20Vの場合,図4-29はV0-20Vの場合であ る・ V0--20Vのとき, veを空間電位(7V)よりも低くしていくと,正イオン電 流は増加していくが,負イオン電流は検出されない.また, Veを空間電位よりも高 くしていくと,正イオン電流は検出されず,負イオン電流が増加していくことがわ かる・一方, V0-20Vのとき, veを空間電位(23V)よりも低くしていくと,正 イオン電流は増加していくが,負イオン電流は検出されない.また, Veを空間電位 よりも高くしていくと,正イオン電流・負イオン電流はともに検出されないことが わかる. このことから,グリッドの電位を負にバイアスし,電子温度が低下しているとき, 負イオンが生成されるということが確認される.

(37)

ヽ′ヽ 0.5 ネ ツ ヤ辻 e- 「500 鉄 d2 .5 tc( 0.5 庸Sモ3 b 二5U0 --0.5 鉄 f2 b lC( 苗モS b 0.5 イ 二500 鉄 f2 -..0.5 図426:イオンセンシティブプローブにおけるVc I Zc特性のVe依存性(PE2 -2 mTorr , V0 - --20 V).

(38)

0..5 - 致7G エァfSモ b -50 -0.5 鉄 d8ur 0.5 - 鰭 ウモ3 b -50 -0.5 鉄 f2 b 図4-27‥イオンセンシティブプローブにおけるVc - Ic特性のVe依存性(RH。 = 2mTorr , V0- 20V).

(39)

0 0 Ji 0 0 LJl 20 30 40 50 V。 (V) 図4-28:コレクタ電洗Zcの電子捕集電極電位Ve依存性(RE, - 2 mTbrr , Vo= -20V)・ -10 0 10 20 30 40 50 V。 (V) 図4-29:コレクタ電流Zcの電子輔集電橿電位ve依存性(PH, - 2 mTorr , VG- 20 V)・

(40)

・水素ガス圧力BE, - 8 mTorrのとき ( 周4130,図4-31は,水素ガス圧力が8mTorrのときの,イオンセンシティブプ ローブのVc - Ic特性の電子捕集電極電位veに対する変化を示しており,グリッ ド電位がそれぞれ-20V,-20Vの場合である. VG=-20Vのときの空間電位は 5Vであり, Veをこれよりも負にしたときには正イオン電流が検出され,正にした ときには負イオン電流が検出される.一方, VG=20Vのときの空問電位は27V であり, Veをこれよりも負にしたときには正イオン電流が検出されているが,正に したときには負イオン電流はほとんど検出されない. また,この水素ガス圧力が8mTb汀のときの,イオンセンシティブプローブの正 イオン電流tc+ ,負イオン電流Zc-の電子掃集電極電位ve依存性を図4-32,図 4-33に示す・図4-32はVG=-20Vの場合,図4-33はVG=20Vの場合であ る・ VG=-20Vのとき, veを空間電位(5V)よりも低くしていくと,正イオン電 流は増加していくが,負イオン電流は検出されない.また, Veを空間電位よりも高 くしていくと,正イオン電流はほとんど検出されず,負イオン電流が増加していく ことがわかる・一方, vG=20Vのとき, veを空間電位(27V)よりも低くしてい くと,正イオン電流は増加していくが,負イオン電流は検出されない.また, Vcを 空間電位よりも高くしていくと,正イオン電流がわずかに検出されるが,負イオン 電流は検出されないことがわかる. このことから,水素ガス圧力が2mTbrrのときと同様に,グリッドの電位を負に バイアスし,電子温度が低下しているとき,負イオンが生成されるということが確 認される.

(41)

lc (yA) ve =-20V 0.5 蒜Sヨト b 「〒3-U-0 鉄 f2 -0.5 0.5 鰭 ウモ3 b 0 鉄 f2 -0.5 図430:イオンセンシティブプローブにおけるVc Ic特性のVe依存性(RES -8mTorr , V0 - -20 V).

(42)

lc (JLA) ve = 0.V Ve=10V ー500 -0. -1 鉄 d2 0.5 、8 &d エ「 Ve=30V -500 -0.5 鉄 f2 0.5 蒜SモS b -500 鉄 f2 -0.5 図431:イオンセンシティブプローブにおけるVc  Zc特性のVe依存性(PE2 -8 nTorr , Vo - '20 V).

(43)

-1 0  0  1 0  20  30  40 V。 (V) 図4-32:コレクタ電流tcの電子輔集電極電位ve依存性(PE, - 8 mTorr , VG= -20V). 0  1 0  20  30  40  50 V。 (V) 図4-33:コレクタ電流Zcの電子捕集電極電位ve依存性(RH。 - 8mTorr , V0 - 20V)・

(44)

第5章 考察

(

5.1 ワイヤプローブによる水素負イオン密度の評価

プラズマ電位に対してプローブの電位を十分に正およ▲び負にバイアスしたときの飽和 電流Z-および∫+を測定し,その比Z-/I+から負イオン密度n-を評価する【44,45]・ 正および負のイオン種は一価で-種類ずつとし,それらの質量をM+およびM._ ,そし て電子の質量をmeとする.飽和電流I-およびJ+は次式で表される. kT_ 2q M_ ] (5・1) (5.2) ここで, S-およびS+はそれぞれ,負飽和電流および正飽和電流測定時におけるプロー ブの実効的表面積を表している.式(5.2)の右辺の係数3/5は,プラズマ領域とシース端 との間の正イオン密度の差に起因するもので, Boltzmannの関係式より求められる【46]. 式(5.1), (5.2),および電荷中性の関係式n+ = ne + n より飽和電流比r/I+を求め ると,次のようになる. ∫     5 g 戸  3S+

荒[1一芸〈

1 (5・3) ここで, T_ ≪ Teの関係より,式(5.3)の右辺最終項は無視できる.このとき,負イオ ン密度と正イオン密度の比n-/n+は次のようになる. _空1_ヱfli= n n+     5 S-I+ (5.4) ここで,ワイヤプローブの飽和電流比から負イオン密度を評価する式における面積比 S-/S+を,負イオンの存在しないアルゴンプラズマ・へ7)ウムプラズマから実験的に 求める.負イオン密度n--oという条件を式(5.3)に代入すると,面積比S /S+は次 のようになる. S1   3 I_ S+   5 Z+ (5・5) 図5-1は,アルゴンガス圧力2mTorr,グリッド電位vGが-20V, 20Vのときの, ワイヤプローブのVp - Zp特性を示している・ RFパワーは100Wである・この特性に

(45)

おける飽和電流比Z /I+を式(5.5)に代入し,面積比S-/S+を求めると表5-1のように なる.      ( また,図5-2は,ヘリウムガス圧力8mTorr,グリッド電位vGが-20V, 20Vのと きの,ワイヤプローブのVp - Zp特性を示している. RFパワーは100Wである・この 特性における飽和電流比I-/I'妄式(5.5)に代入し,面積比S-/S'を求めると表5-2の ようになる. 表511,表5-2から,負イオンが存在しないプラズマにおいて,プローブの面積比S-/S+ は約0.9程度となることがわかる. 与の面積比S-/S'-0・9を用いて,正イオン種を仮定することにより,式(5・4)から密 度比n-/n+を求めたも■のを表5-3,表5-4にまとめる.グリッドの電位を-20V, RF パワーを100Wとし,表5-3は水素ガス圧力が2mTorrの場合,表5-4は水素ガス圧力 が8 mTbrrの場合である. この表から,ガス圧力が2mTbrrにおいて,水素負イオンが高効率で生成されている といえる.

(46)

200 ■ Budsレ( ・Ub 耳爾

0 鼎

g

200 棉 └ト 妖x耳蔘# b 爾

0 鼎

g

図5-1‥ワイヤプローブにおけるVp I Ip特性(PA,-2mTorr,VG=-20V,20V)・ グリッド電位vG メ 2イ -20V 繝 20V 纉 2 表5-1:アルゴンプラズマにおける面積比S-/S+ (PA,- 2 mTorr , V0 --20V , 20V)・

(47)

200 100 I 滅 G"wFナdsメモ# b H爾

「200 -100

C

g

図512:ワイヤプローブにおけるVp - Ip特性(PEe-8mTorr,VG-120V,20V). グリッド電位vG メ 2イ -20V 纉3 20V 纉 B 表5-2:ヘリウムプラズマにおける面積比S-/S'(PH.=8mTorr, VG=120V, 20V).

(48)

正イオン種 問メ 箚 〟+ 纉S H2+ 纉cR H3+ 纉s" 表5-3:正イオン種を仮定したときの密度比n-/n+ (V0-120V , PE2 - 2 mTorr). 正イオン種 問メ 箚 H+ # H2+ 紊C H3+ 經C 表5-4:正イオン種を仮定したときの密度比n-/n+ (V0- 120V , RH, - 8 mTorr).

(49)

まとめ

・円筒型グリッドを用いることにより,次世代におけるウェハーの大口

径化・素子の超微細化に対応可能な,電子温度を制御できる直径30

cmの大面積で均一なプラ/ガマを生成することに成功した.

・フローテイング電位における電子温度制御法として,メッシュサイズ

による制御法,スリット幅による制御法を適用し,反応性プラズマの

電子温度を制御することに成功した.

・グリッドによる電子温度制御法を純粋水素放電プラズマに適用し,グ

リッドの電位を変化させることにより,水素負イオンの生成を制御で

きることを明らかにした.

(50)

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