飯鮨の研究(II) : 飯鮨の熟成と微生物との関係
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(2) . 第7巻 第1号. 北海道学芸大学紀要 (第二部). 飯. 館. の. 研. 昭和31年7月. (=). 究. 飯脂の熟成と微生物との関係 吉. 村. 花. 子. 北海道学芸大学函館分校家政学教室. ’(ja anease s) Hanako YOSHIMt ‘ 丁RA ; A St ial l i udy on‘ IPi shr a ckl e p tec of Fi sh ce) , Vegetables and Ri. Par l i t =, Re on between Ri at i pning and Micro‐organisms of ”l zushP. I. 序. 著者は第一報1月こ於て熟成期間中の酸度 糖分量 窒素量等の変化について 報告した 本報告はそ 、 、 。 の熟成に関与せる微生物の発育状態を検べ 熟成との関係を考察した 猶原料と していか肉とほっ 、 。 け肉を用いた場合 の両者に於ける著しい 化学変化の差異を生じた1 )原因に就いても明にした 此方 。 ・究は今日まで 微々たるもので市原富美氏2 面の研 )が漬物中の微生物と して糠漬 野菜 責の酵母と酸 、 生成菌の発育状態を検べて居るに過ぎない 即同氏 はoo~ C の低温にては菌の発育を認めず5oC 。 前後でよく発育 し、 熟成後はooCに貯蔵すると永く保存出来ると報告さる 依て第一報と同一方法 。 により調製せる飯脂の汁につき好気菌 嫌気菌 酵母 酸生成菌 澱粉糖化菌及びかび等の各種微 、 、 、 、 生物の発育状態を′ 多 1 ミベ、 其間最も活躍した酵母及び乳酸菌についての検索を行った 。 =. 実 験. 方 法、. 1 . 好気菌の検出 : 普通肉汁寒天の培地 2 . 嫌気菌の検出 : 肉汁寒天に2%の葡萄糖を加え高層培地とす 3 , 糖化菌の検出 : 馬鈴薯エキスに2%、 葡萄糖と1%の可溶性澱粉を加えた寒天培地 4 , 酵母及びかびの検出 : 馬鈴薯エキスに2%葡萄糖を加え之に乳酸を加えて酸性とした培地 5 , 酸生成菌の検出 :馬鈴薯エキスに2%の葡萄糖及び2%の CaC03 を加えた寒天培地. 以上の培地を用い漬汁 取を 声. 声 声声、(諭. こ稀釈し、 その各 如 を直径 蜘. の普通 シャー レ (滅菌) に探り、 常法に従い培養液を流し込みかためて 27oCに 2~3 日培養する 。 之に現われた票落数が5 0~2 00に現われたものを撰んで票落数を教え 稀釈数を乗じ実数を算出し 、 た。 結果は次表の如くである。 m. 実験結果及び考察. 以上の実験は 季節が5月の為気温高きためく特に低温研究所の6~7oC の予備室に於て熟成を行. った。 従っていかの場合 冬季間に作ったものは1~2週の間に泡 (ガス) を生じ2週間後に被膜形成 oCにあった為4~5日にして泡を発生 し8日目に被膜を が起るのであるが、 上の実験に於ては温度7 形成し分解が速に進行した事を認めたので15日目に4oCの冷蔵庫に貯蔵する事にした (勿論より低 -ー59-.
(3) . 村. 吉. 第一表 ほ. 度. 菌数の測定日 漬込後の 日数 好 嫌 糖. 気 気 化. 歯 菌 菌 母. 酵. ひぐ. 力). 酸 生 成 菌 註. oC 60. し. 1 -. 15 5 .. 1日. 万 4 9. 19 5 , 4日. 万 2 1 4. 6. 0. 0. 7. 0. 0. 0. 0. 0. 書1日6 菱 。. 14。C. 晶 福音 麗 裏 」. . 50日 ……-- 万. 28. 万. 万. I. 2. 4 2 . 200. I. 儀をbるj 16{』. 0. 万. 万. n 15000 26000 4000 m 1 5被 q UU . 膜 ノノ } I 4 I ○ 5 1 3形 . . 成 0 1 0 m I 、 1) 1370 3800 始 0 0 0 02 0 7る ・. 3. 8. l. 5 9 .. 26 23 5 5 . . 7日 10日. 万 ” 1. 5oc. ,. ーlooo. lo 200 0. {. 8. 酸生成菌の強いものは主として乳酸菌であるが弱いもの 〉中には酵母が認 められるo. 実 験 期 間. 度. 温. 菌 数測 定 日 漬込後 の日数 好 嫌. 気 気. 菌 菌. 糖. 化. 菌. 力). け ず. っ. 80c~ 肝 c 1. oc C ~ 8. 第二表. 酵. 子. 7日 1955 . 6 月1 . 5 月14日 ~1955. 実 験 期 間1 温. 花. 母. 、 ぴ. 酸 生 成 菌. ず. か. い. し. 0日 1955 . 6 月2 . 5 月24日 ~1955 4oc. 9oc~ 肝 c. 70C~80C. !誓言 ← 霜 E喜一員 E菅 フ EI 8 8日被 8 3 1 i l588 li i 8 0 0 . 10 1 i o 4400 60 日 0 1膜 7 ヨ. 形 l成 1 1ユ1 t i10 2 始る 06 lti. 11 ー0000 -. 0. 200 Q3. 強 Q7 89 06 弱 51 22 l e” ” ” ” い 十 穏 はる ・. 7 7. i 棚i 0. 4ooo 0. 1. 晶キー -- 霜 … . -… l 7. 40 3. 760. 00. 0. 0. =0. 0. /. 試食して見た時は冬季間のものより味ははるかに劣って居た。 い温度が望ま しい が) 14日目にョ いかに比しほっけはよく水洗し可溶成分が除かれている為、 潰込後 麹菌の働により可溶成分が生 じ後微生物により利用 せられる為分解が緩慢に行われ、 冷蔵庫に入れる前24日日に試食して味はま. だ相当よかった。 上表で明な如く、 好気菌の消長は第一日目はいかもほっけも大差がない が、 4日 欺こなるといか の方は非常に菌数が増加して後漸次減少して居る。 ほっけの方は増加することなく漸次減少して居 る。 即ほっけは熟成に対しては好気菌の影響を余り受けて居らない。 此好気菌は温度を低く保つ事 によって防ぎ得るのではなかろぅかと思われる。 熟成期間中最も活躍したと思われる菌は酵母と酸 生成菌である。 之等は被膜形成後非常に増加し、 いかの場合酵母は14日日に 1 億に達し、 酸生成菌 00万に達している。 之に反しほっけの方は増加の割合ははるか 70万、 弱いものは 90 は強いものは5 に遅 く25日 日 に 酵 母 は3800万、 酸 生 成菌 は 強 い も の16万、 弱 い も の1000方 な る 値 を示 した。. 先に市原氏が糠漬について行った酵母と酸生成菌 の実験結果を比較の為次に示すと、 -i60-.
(4) . 飯. 館. 実 験 期 間 1. 渥一. 度」. -定 日 菌′ 数ぐ 測. 研. の. 班L I ~ヂC 12 ・5. ・究 (丑). ~. 勝2 ,4. - oエ. 1. L1 0. ー. 12 20 ・. 1 lo .. l 30 ・. 2 27 ,. 漬込後の日数. 30日. 50日. 70日. 100日. 酵 母 菌 数. 4500万. 酸 生成 菌 数. 8500万. 50日 則万. 200万. l ooo万 0万 50. 糠漬 の場合、 始め15日間は酵母も乳酸菌も認められない。 之は材料が非常に異る為と低温の影響. 0日後には酵母4 5 00万、 酸生成菌85 00万と相当量の菌数を示して居る。 1月に入ってから もあって3 00日後 温度が C以下に降る為、 菌数も減少し熟成が徐々に進行して居る事が察せられる。 味も1 に最もよくなって居るとのことである。 干したみがき陳を用いた鯨満に比し、 生魚と鞠を用いて作 った飯焔 (第一報) の醗酵は甚だ容易であると思われるので、 此点より出来る丈低温の時季を選ん. で作られる事が望ましい。 之により飯ずしの中毒事件も防ぎ得るし、 味のよいものが出来る。 よく 飯館は潰込後3週間経なければ味がよくならないと民間で云われて居るが、 熟成が其位で進む様な 条件を与える事が望ましいと云う事になる。 酢かびが出来てから数日後甘味と程よい酸味が増し、 叉微生物として酵母と酸生成菌が最も盛に活躍して居る時季が食 べ頃と云う事になり、 其後はooC 近 く に 保 存 す る こ と が よ い。. 次に嫌気菌の菌数について見る時、 之が酵母及び酸生成菌と全く平行して増減して居る点より見 idium) て酵母及び乳酸菌が関係して居るものと考えて差支えないものと思う。 一方嫌気 菌 1ostr. を見る目的の為に行った高層培地にガスを発生するものがあるので、 之を分離して検べたろに醗酵 力旺盛な酵母菌を可なり認められた。 叉澱粉糖化菌について見るに、 ほっけには常に1万~4方位が認められたが、 いかには始め多数認. められ後殆 どなくなって居る。 従って菌数としては多くはないが、 ほっけが熟成の後期にも猶糖分 含量7%以上を保って居る (第一報) 事に何等か関係があるのではなかろぅか、 勿論いかには強い 酸生成菌の菌数が多い、 念の為此実験に於ての摘定酸度を比較して見ると次表の如くである。. 以上の如くいかの方が酸生成量は常に相当多くなって居る。 かく して飯脂は酵母及び乳酸菌が多. 数増殖して、 之がもっぱら作用して居るものと考えられる。 従って之を食品として用うる時酵母は Vi tamin B を作る栄養剤の役目をなすことも考えられ、 乳酸菌は酸生成により味を整えるの ibi i 1 952 ot みならず、 抗菌性物質なる Lactolin2) 0, Ant cs5 ( ) )を分泌するものがある等の点よ. 自身. り衛生的な食物となるものと考えられる。 只一度此味を覚えると量を過す恐れがあるので適量を越 さ ぬ 事 が 望ま しいo. 次に酵母及び乳酸菌の検索を行う目的で実験を行い、 酢かびと称せられる被膜形成の微生物を純. 粋分離し、 之は殆 ど酵母である事を認め、 猶ほっけの場合に髪を多く作る種類と、 いかの場合器壁 に Ring を作る種類の酵母を分離した。 之等三種類は何れも表面の隣形成に関係あるものである。 0%の濃度によく発育し、 1 5%以上の濃度では殆 ど発育しないものである。 今一つ全期間中活 食塩1 一161一.
(5) . 吉. 村. 花. 子. 躍し皮膜を作らない醗酵力旺盛な酵母を一種類分離し、 之が葡萄糖ガラク トースをよく醗酵し 叉 、 酸を幾分作る事を認めた。 常温でよく発育し1%前後の濃度の食塩を含む培養基でよく発育するが 5%以上では発育 しない酵母である。 叉酸生成菌と して Streptococcus l. n 皿 を 分 離 した . 。 N. 結. 論. 1 ,飯脂の熟成中最も影 響を与える微生物は酵母と乳酸菌とである。 而して之等は皮膜が形成され oC前後に保ち 皮膜形成後1週間位の後はより低 た後最も盛に発育する。 従って潰込後5 温に保ち 、 つ}後郭 作用を緩慢にさせる事が衛生的であり且製品の味もよろしい。 俗に飯脂は漬込後3週間と 云われて居るが、 之は温度により左右され3週間位で出来上る製品がよいと云う事になる 。 2 .酵母及び乳酸菌以外の菌の発育は時間を経るに従い減少するがホッケ脂の糖化菌のみは例外で あ る。. 3 t ,飯館に酵母の多数発育する事はその材料のもつ各種栄 養成分の外に Vi ami n B が加わる可能 性もあり且乳酸菌の活躍は衛生的な食品とも考えられる。 従って適量を越さぬ様摂取することは野 菜と蛋白質の給源となり、 冬期間の貯蔵食品として好ましい。 4 ,本実験に於て皮膜を形成する酵母3種及び皮膜を作らず、 最も熟成に関係が深いと思われるも. の 1種を分離し其検索を行った。 叉乳酸菌 (S t t r ococ ) 1, n. m, 3種を純粋分離検索を行 ep cus う。. 本研究は北海道大学農学部農芸化学 応用繭学教室に於て行わせて頂き、 終始 御懇篤なる御指導を 賜った佐々木酉二博士 を始め、 中根正行助教授に厚く感謝申上げる。 猶教室 関係の方々に種々御便 宜を頂いた事を併せて感謝する。 0年10月食糧栄養学会に於て発表する 附記 本報告は昭和3 。 引. 用. 女. 1 ) 吉村花子: 北海道学芸大学紀 要6巻2号 ( 19 55) .71-74 . 2) 市原富美 : 学芸 1 95 0 2 .195 . 2) 児玉礼次郎 : J i i i b 195 2) t o c s5( .Ant .. --162 一. 献.
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