堆積実験装置の教材化ならびに授業での位置づけ
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(2) . 平 一弘:堆積実験装置の教材化. 堆積実験装置の教材化ならびに授業での位置づけ 一. 平. 目 1. 緒. 弘. 次. 一. 2 川の働き A 杉並区の河川の起源 B 堆積実験装置 C 野外観察 3 地 層 A 堆積実験装置の利用 B スライ ドの映写 C 堆積岩の観察 ・ 堆積実験装置の教材化のまとめ 4. 1. 緒. 言. 自然環境を学校教育の中 でいかに把えるかは現代理科教育の中で重要課題の1つといえる. 地学 分野は巨視的意味の自然の醍醐味を味わわせ, 人間と自然の調和を説くため生きた教材と考えられ る. それと同時にこの分野は総合的, 流動的に自然をとらえる点 で他の自然科学の分野と異なる.. この意味で地学分野を児童にいかに教えるかは環境教育という点から大切といえる, u 著者は4学年の ぃ川の働き. , 5学年の 地 層. に つ い て, 昭和 46 年 か ら 51年ま で東京都杉並区 科学教育センター で約2,000人の子供達と接触し授業を実践してきた, これらの授業に堆積実験装. 置 (幅2cm, 長さ 95cm, 高 さ 25cm;丸東製作所製;鈴木康司考案) を購入し, 教育効果を上げ た. この実験装置を周囲の自然環境と対応させていかに利用したかをここに報告する, 2. 川. A. の. 働. き. 杉並区の河川の起源. 杉並区の河川は全部が全部その水源は池であり, 東京都の中 でも古来地下水の自噴地域として有 名 であった. 地質学的に見ると表層は第4紀のロームと砂磯層が大部分である. 科学教育センター のボーリン グ資料から推定するに, この科学センター地域は大部分が河床堆積物と考えられる, し. たがっ て地下水の流動も良好なわけ である. 地形の起伏から考えて, この地域の川は南あるいは北 に向っ てかなり変動したと推定される.. 杉並区の川は善福寺川, 妙正寺川に代表され, また関東西部の川のうちで杉並区の児童たちが良 く知っ ているi Hは多摩川 である, これらの川の水の起源について児童に問うと, その答えは次に示 す様に, 設問をくりかえして行くうちに, 次第に変化していっ た.. 63.
(3) . 平 一弘:堆積実験装置の教材化 川 の 水 の 起 源 は どこ か.. 第1問. 解. 答. 池. 地下水 雨 第2問. 割合 (%). 1,800 140. 90. 60. 3. 7. 池の水の起源は どこか 解. 答. 水道水 地下水 雨水 第3問. 人数 (人). 人数 (人). 割合(%). 1,600 200. 80. 200. 10. 10. 多摩川の水の起源は どこか 答. 解. タム. 人数 (人) 1,900 100. 雨. 割合 (%) 95 5. 最後に ダムの水の起源を問うと, 雨または地下水と解答する者が多くはなるが全体的に半信半疑 の様子であっ た, これらテストの結果によっ て, 都会の 児童は川のごくわずかな部分しか 観察して. ないし, またその機会にめ ぐまれてない, 実際杉並区の川は堤防がきずかれその本来の自然らしさ を失い,排水路化していることから考えてこれら児童の解答結果はむしろ自然であるかもしれない, 児童の川に対する一面的な物の見方をとりはぷくために川の全体的姿を再現 できる教材として, こ. こに堆積実験装置を導入した. B 堆積実験装置 (図1). この装置は川の全体的働き, 川の発生と消滅の過程を説明 する手段として利用した, 現在ま での i 」 経験から, 川の数具として最も有効な手段と考えられる. 野外に作られた′ ・ Hの模型は単に外側か ら川を観察するもの であっ て, 川の立体的な働きを子供達に認識させるには構造があまりにも平面 であった. そこ で今回初めて堆積実験装置をこの授業に導入したのである. a ,構. 造. 図1に示した様にこの実験装置は 流量測定器 (図1の1) と実験槽 (6) からできている, 流量 測定器 (1) は給水管 (2) と給水槽 (4) , 余剰水排水管 (5) から成る. 給水管 (2) を水道口. に接続し, 給水槽(4) に水を送る. 給水槽 (4) は図1に示した様に 2 つ の室 A, B に 区切 られ, 水道水は初めAに入り, 送水管 (9) で実験槽 (6) に流出する, ここ で送水管で (9) で流出し. f l え な い 余剰 の 水 は over ow し給水槽(4) のもう一つの室Bに流出し, 余剰水排水管(5)を通し. て排水される, この流量測定器 (1) は上下可能 で, 送水管 (9) の水量はこの測定器を上下する ことにより適当な値に保たれる. 流体力学の法則によると, 送水管 (9) の流量は実験槽 (6) の. 送水管(9) の口と給水槽 (4) の水面との落差Hの平方根に比例する, すなわち送水管内の流速 ダニJ2gH であ ・らわせられる. これが流水測定器といわれる理由である. 実際にこの落差と送水管 64.
(4) . 平. 一 弘: 堆積 実 験装 置 の 教 材 化. 1 }によっ て求められているが 今回の実験では定量的意味はあまり の毎秒平均流出量の関係は鈴木( , 重視しなかっ たので, 流出量の測定は実施しなかった,. 実験槽 (6) には給水口と排水口が取り付けられ, 排水口には7個の排水管が接続さ れ, これら の各々にコッ クが取り付けられている, 実験槽 (6) 内の水位はこの7つの水位調節排水管 (8). に取り付けられたコッ クを開閉することにより調節される. 水位調節排水管は上から下 へ No .7~. No .1 の 番 号 がつ い て いる. No .7, No ,6, No ,5 の 水 位調 節 排 水 管 は 開 放 のま ま に し, そ の 他 は 閉 じたま ま に し て お い た. 最 下 位 の No 1 排 水 管 のコッ クのネジの 位置 を変 え るこ とに よっ て水 域 の .. 水位の微量調節を行っ た, ic t 実験槽の底には2~3 cm の 厚 さ の P1 as. lをしいてある woo. . この上に実験用 ガラス砂を実験 糟に半分く らい入れる. この砂は粒度の異なる3種類のガラス砂を混合したもの で, 粒子の大きさ で色 を違 え て い る (白, 直 径 1.5mm: 赤, l mm ; 青, 0.5mm) . こ れ ら の 砂 を 水 で濡 ら し て 成 形. し易い状態にし実験用ヘラで陸を作る (図2-1) .1を . 次に水位調節排水管の最下位の排水管No 水道口に接続し, この排水管より水を実験槽に流入させる. これで海ができる, ここで特に注意し なければならないことははじめに海と陸を作る時, 水を水位調節排水管 No .1から逆に流しこむこ. とが必要 である. このとき徐々に少量ずつ水を流しこまなければならない. なぜならはじめに送水 管から水を流入すると山が崩壊してしまうか らである, … ….1… …・2. ー B ム′. ア. T H. ▲… … … … … …,.6 … 川 … … … … …J. に リ 1 1 I J I. 3. 子. 8. ,, -,... : 一r *〆 .二 二 二; .; ’ , ・. ‐‐ ‐. ‐. … き. 11. N “. 9 5 Cm. 図1 堆積実験装置 流量測定器,2 給水管,3 水位測定管, 4 給水槽 5 余剰水排水管 6 実験糟 , , , 7 砂止めフィ ルター, 8 水位調節排水管, 9 実験槽送水管,10 支持台,11 プラス チックウール. 1. b. 実験方法と展開. 1 ( ) 海と陸の分布状態, 海底地形, 海水面などの始めの状態をガ1 生マジッ クペンで実験槽の上に. 記入する (図2-1) ,. 65.
(5) . 平 一弘:堆積実験装置の教材化 .. [. 士. . .. ・. 蹴. 士. ’,. 海. . ・. 図 2ー1 ー 十 十 十 ←ヤ 十 ←T 十 .. ー メ 二 ン. 圭 T i IT 十 ←. 圭T 十. ′ , ..≧ 彩 .. キ ” ≧‐ .. ←. ・ ・ ー ; ‐ ‐ ディ ‐ .‐. 一 十1. ′′-ーー-- - - r - ---. 丁← - ー. T←. T十 - T←. ‐ ー .:. 図2 ー2. 1 T1. メジ. .. .. .. .. ′ ;;. ” . 2 , ・ ‐ ′ー ≧ % /% ′ ン だ . . ・ . .. ′ ′ ′ ′ ‐ ‐ ・ ▼ ‐. .・ ・ ・. .,. 、. ‐ .‐ :. .. ・ ・.. ・. / ,. 図2ー 3. ( 2 ) 送水管から水をごく 少量ずつ, 連続的に実験槽に流しこむ, 水は陸地に少しずつ浸透し, 一 1 1 の出来始めの段階が観察させる. ( 3 ) 陸地に浸透した水は徐々に山をくずしはじめて川 が 出来始める,. @ この段階になっ たとき送水管からの水の流量をやや多く して, i - -が山を浸食し, 岩石を運搬 する過程が観察される, これによっ て幼年期の地形と川の浸食の様子が明確に理解される (図2- 2) .. ( 5 ) さらに流量を多くする. この流量の調節は流量測定器の上下運動によ らず, 送水管のピンチ コッ クの開閉の度合いを変えることによ っ て実施した, この時期になると, 粒子の運搬のされ方を. 観察させる. すなわち粒子が川底をころがっ て行く粒子, 連続的に跳びはねるもの, 水の中に懸濁 状態で運搬されるものなどが観察さ れる. ( 6 ) これらの観察に伴っ て海底の方も観察させ 海の底 で粒子が沈積する様子を観察させる こ , . ing を作るためには川の流速を周期的に変化させる必要がある これ こ で大切 な こ と は 明 確 な Grad. , には排水管 No ,1を手 で瞬間的に開閉するとよい, この方法によ って海底に明確 な堆積岩の特長を ing が 現 わ れ る も っ た Grad . 66.
(6) . 平. 一 弘: 堆積 実 験装 置 の 教 材 化. ( ) 送水時間 が長く続くと運搬,堆積作用は徐に減退し, 浸食地域と堆積地域が平衡状態になる 7 . ここで川の一生涯の仕事が完了 し, 川としての生命も一応終了したことが判る (図2-3) .. ) 川の働きとして浸食 運搬 堆積というもの があることが一般的結論としていわれるが こ ( 8 , , , こ で児童に特に強調した点は新しい土地を作るという こと であっ た 人間の生活場の中心である平 , 坦な土地は大部分川の働き で生じたの である. 同時にこの平坦化された土地は2種類あること す , なわち浸食されて平坦 .化された土地と堆積して作られた新しい土地があることを示した. 沖積平野 - は海と一 -の働きの共同による ゞのと考えられる. 関東西部の平坦面は大部分浸食面であり, 東京湾 沿いの低地帯は堆積 面と考えられ, これらのことは上記の実験の結果と対応して考えることができ た. さらに現代の川 が人工的堤防によ っ てその周囲をかためられている様子は本来の川の働きが失. われ, 人間のための排水路の役目 しかしていないことを強調 した また時間が許すなら今世紀最大 . の自然改造の例 としてナイル川とアスワン ダムの例を掲げ, i - -と人間生活の密接な関係を述べた. ( 9 ) 次に川によ っ て水中に形成された堆積物が何故陸上に分布するかという疑門に答えるため排 水管 No ,1から海水面にして 2 ~ 3 cm の水を流出させた. この結果新しい土地 が海面上に現われ 新しい海岸平等が形成された様子が観察される(図2-4) それゆえ平坦な土地を掘り返すと何が . でるかという教師からの質問に対し児童側は即座に砂, 磯と解答した 同時に少人数 であるが化石 . と解答した子供もいた. これらの知識をもとにして, 子供達が良く行く 多摩丘陵の形成の過程を多 少論じ, 生田緑地, 向 ヶ丘遊園地の岩石から現在の東京湾に生息する貝殻がでる原因に ついて論じ. た. すなわち古東京湾が多摩丘陵まで達していた頃 の話から, 多摩川の浸食 運搬 堆積の過程を , , 地形図を見ながら論じた, Tt f ←. 1. 1. ー 十←. T十 主. ′ ′ ′. ←T 十 * T I ふ. 壬 →←. ′ ・ ノ ・ ‐ ン多 彩 , 多・ .. ・’ .. ≠. -, 下 …, ′--- / … 〆′. .. ‐ ‐ .. ・. ・・ ‐ .. 図 2ー 4. ( 1 0 ) 最後に実験装置の堆積面の上に水性マジッ クペン で厚さ 2 ~ 3 cm の ロ ー ム 層 を 書 き 入 れ る. ここで授業をうけている杉並区の子供達は自分の周囲の環境のなかで磯とか砂とかはあまり 見. ることができない. 子供達の足元に接するものはこの地域では赤土 であり, この赤土の由来は5年 生の地層 の単元で説明する必要があろぅが, ここ では土地の成立の過程といっ た点から赤土を説明. する必要があっ た. 同時に子供達の疑問もここに集中した. このローム層は富士山, 箱根山の火山 の火山灰で空から降っ てきたと説明してもあまり理解した様子を示さなかっ た. しかし桜島, 三宅 島の例を示しながら火山灰の説明をした. その結果, ローム層の成因について理解度はかなり進ん だ と思 わ れ た.. 皿. ここま でくると子供の頭に起る大きな疑問は川の浸食作用 が長い間続くと土地は全部が全部. 平坦化するの ではないかという事 であっ た。 これに答えるには土地の隆起と山岳の形成という地質. 学的大問題に触れなくてはならないの であるが, 富士山, 昭和新山を例として土地がその内部エネ ルギー で隆起するという事実があるということにと どめた. この実験が終りに近ずくにしたがっ て 何故海は川の流入により海水があふれることがないのかという大きな問題にぶつかった. しかしこ 67.
(7) . 平 一弘:堆積実験装置の教材化. の問題は子供達の中 で自然に解決された. すなわち海水の蒸発という言葉が少数の子供の中から発 せられた.これに伴っ て雲と雨と川という自然界の水のサイクルを実験装置に漫画的に書き入れた. この結果子供の頭の中に自然界の水の流れが図式化されたよう であっ た. この自然のサイクル的メ カニズムは自然現象一般について共通する概 念である. この概 念こそが自然環境教育に重要である ことを強調しておきたい. 我々 が自然環境を語る時, あるいは現代の公害問 題を論じる時の自然認 2 )は 識の立場は,自然のシステムを子供の時から概念として でなく皮膚 で感じ取る必要がある.渡部{ u自然環境問題と教育″ という講演の中 で自然認識の立地を次の ごとく述べている .. い( a ) 人間の文化的社会的生活は自然を人為的に改変することに よ っ て成立しており, 自然の改. 変は自然システムを破壊する方向を指る可能性がある. 自然環境は地球進化の必然的法則によっ て 調和のとれた閉じたシステムと見ることができる, 短期的には保持され, 長期的に見れば改変して いくの で, 大きくみれば変化に適応し, その範囲内 で改善, 改変するという認識が要請される, b ( ) 自然に対する対応の基本は将来の自然システムの維持と文 化的社会生活の関係を考え得る自 然の見方, 態度を身につけることにある.″ さらに現代理科教育の目標を彼はまた次の様に述べて いる. u理科教育における自然の探究は将来社会人となる生徒を対象とするもの であるから 分析的思考 ,. による微視的立場と直観的思考に総 、合判 断を加えた巨視的立場とが調和 した科学の方法によっ て, 将来の人間生活の基礎となるべき自然環境に対する予想や適応が可能になる大きな自然法則を見い だすという自然の見方も必要 である. ここから引き出されるものは大 自然の理であるが, 人間がこ. の科学的自然観として理を認めなければならないとすれば, 理科教育の具体的活動の背景にある真 の目標は人間科学と同様に理科教育にはたす べき役割りを自覚すること ではないであろうか, これ. は具体的活動の背後にある教師の側の心がまえ であ る.. 著者もこの意見には賛成 であり理科教育の教材あるいは授業が断片的 であるため自然の総合的あ るいは有機的結合がいかにあるかを 忘れる場合が往々に してあっ た。 それ故初等理科教育が学年毎. に断片的になされていることに不満を感ずる. 現代科学の細分化, 専門化を初等理科教育に持ち込 ん ではいけない. 理科教材も教材のための教材 であっ てはならない. 今回の川の実験にしても最終. 的には自然界の水のサイ クルという大きな問題に到達しなければならない. 探究の過程において, ; 1 1 , 山, 平野, 雨, 海という断片的な自然の対象物が一本の糸 で結ぶことができ, この総合化が大 切 である. これが自然像なの である. この自然像を形成する過程において, 人間の自然界での位置 ずけを明記しなければならない. この位置ずけとは人間と自然の単なる対応関係 でなく, 自然の- 部としての人間のこと である. 常に自然と人生という原点にも どる姿勢を覆すべきでない.. 推積実験装置を観察し, 次の2つの質問を児童に与えた. 学寺1問 川の 水の起源はどこか 解. 雨. 地下水. 答. 人数 (人). 割合(%) 95. 1,900 100. 5. 第2問 一 =の動き 解. 68. i. 人数 (人). 1. 割 合 (%).
(8) . 平 一弘:堆積実験装置の教材化. 山をけずる, 砂をはこぶ, 土地を作る 山をけずる, 砂をはこぶ, 海をうめる 山をけずる, 砂をはこぶ. 800 1,000 200. 40 50 m. 第1問の解答結果はこの 論文の最初の児童に対する同様なテスト結果と比較すると, 堆積実験装 一 置の教育効果が大なることを示した. また第2問の解答は3つにわかれた, しかし 土地を作る“ , ぃ海をうめる という解答結果は 4学年の児童において同じ感覚であることから考えて 90%近い , 正 解 であ っ た,. C. 野外観察. 堆積実験装置での観察が終了 すると実際に野外の人工的小川(科学教育センター設備;図3)で川 の野外観察を実施した. はじめに次の問題を子供に配布した, ( 1 ) 川の上流, 中流, 下流で流れの速さをピン ポン球を流し観察せよ, ( 2 ) i Hの上流, 中流, 下流での川原の石を 観察せよ.. 3 ) 川の曲流する所で砂のたまる所とねずられる所を示せ. またピンポン球は曲流部の外側と内 (. 側のどちらを流れるか. この小川の下流部は ダムで水量の調節ができ, 海といわれる部分すなわち排水槽の手前では 立派 な三角州も観察され, また流量の調節によ り川の沿岸部に段 丘の形成も見ることができる, また段 丘面に小型の家の模型 をおき洪水によっ て川の流路が変わり, 段丘面の地形が変化することも授業 の最後に実施した. この結果多摩川の 決壊がどのように起ったかを動的に再現することができた. 、どろんこ遊 び 的要素が強いため小学4学年の 理科実験として最も適当と これらの一連の実験は 、 、 、 考えられる,. A. 2 o. 3. o. た. o o 。 ’ o 、o oo く O o 。 o. . ソ ミ , 図3 野外流水実験装置(A:平面図,B:断面図) 1. 給水タンク, 2. ダム, 3. 排水管. 69.
(9) . 平. 一弘:堆積実験装置の教材化. 上記の問題の結果は室内で集計され次のような結果を得た. 問1の解答結果 . 解. 答. 上流が速く下流が遅い 下流が速く上流が遅い 上流も下流も速 い所と遅い所がある. 人数 (人). 割合 (%). 1,400 400. 70. 200. 10. 20. 、上 流 の 石 は 大 き く ごつ ごつ し て い た 中 流 は 中く ら い の ま る い 問 2 の 解 答 結 果 は 次 の と お り,、 , .. 石が多く, 下流は大部分砂であっ た. 00%近く正解であっ た. 、 この解答1 、 問3の解答結果. ( ィ ) 曲流部 での砂のけずられ方. 解. 答. 外側 でけずられ内側 で砂がたまる 内側 でけずられ外側 で砂がたまる. 人数 (人) 1,800 200. 割合 (%) 90 10. ( ) 曲流部 でのピンポン球の流れ方. ロ 解. 外側を流れた 内側を流れた. 答. 人数 (人) 1,600 400. 割合 (%) 80 20. 問1の解答結果の中 でい上流が速く 下流が遅い. が70%の値を示した, これは理想的には正解で あるが必ずしも満足すべき結果 ではない. これらの解答の大部分は理科実験の観察の結果というよ. り, 単なる蓋然的な解答であり, あるいは教師の口から既に つたわっ ていた知識だからである, こ の人工的川は子供達の一般的な知識通りに作成されてはいないの である. よく 注意して観察すると. 上流より下流の方が流速の速 い所もあり, 川の一般的法則に合わない例外的な面の方が多いのであ る. 自然をありのまま観察する態度が現代の子供に全般的に欠けている様 である. このことはこの 実験に限らず他の物理実験 でも同様 で, 探究の過程より概念が常に先行している様 であっ た. 子供. 達の実験探究の過程より概念が先行すると いう現象は, 現代教育の欠陥の反映であり, また現代の 児童の情報過剰を示しているように思われる.それ故実験の過程で多少なりとも自然対象物に対し, 考え正確に観察する児童は集団 で実験する理科教育の中 で取り残される. 実験の結果も一般的認識. とずれたものに到達している子供が見受られる. 今回の実験 でもこの少数集団が見受けられ, 真の 正しい解答はこの少数者の観察とその結論の中に見いだされる. 著者は小学生の理科実験の難しさ. はこの辺と こあると考える. 高校生, 大学生には試験制 で選択され, 大体同じ様な能力の集団である. 小学生の集団はその才能において多岐 であり, 全く雑然とした集団である. これらの子供の実験態. 度は毎日の生活の反映と考えられる. また肉体的, 精神的格差が個人間に顕著にあらわれている. 著者は目下これら雑然とした集 団に理科実験を実践する最も有効な方法を模索しつつ ある,. 問3の解答結果は表に示した様に80~90%の正解を得た. しかしテストの結果の不正解の大部分 は女子の 児童にあっ た様 である. 今回の実験 で男女を区多しなかっ たの で定量的にわからないが, この一連の野外実験の最終段階 での児童との質疑応答から多少これらの事実が理解された. 70.
(10) . 平. 一 弘: 堆積 実 験 装 置 の 教 材 化. Hは何故曲流するかということであっ た. この問題は専 最後に 児童から出された大きな問題は, i 門的な本でも明瞭な解答がなされてない故, 今回の授業 でも子供に対しても納得しうる解答する こ 2 )は meander の 論 文 を 発表 し た こ れ ら も 含め s{ とができ な か っ た.し か し 最 近 ア メ リ カ の J .Lewi .. て子供に曲流を如何に教えるかを別の機会に発表した. 地. 3. 層. 関東の山々は堆積岩から構成されている山と火成岩から 成る山がある. これらの山の姿, 形から 山の過程の違いを子供に説明した. 子供達の身近な山として富士山, 筑波山, 高尾山……があるが, 1 1 地層はこれらの山 で実際に観察していた. 地層の存在する場所を問うと海岸, 一 , 山の崖と答える ●の返答はない, 何故海岸, ものが大多数であっ た. 次に u地層のできる場所はどこか“ と問うとそ 山に地層が見られるかは同様に答えはなかっ た. それでは地層の特長は何かと問うと縞模様が観察 されたと解答した. これらの子供との質疑応答からして地層の授業は次の過程で実施される べきと 考えた.. 1 ( ) 地層の成立の場所, 2 ( ) 何故地層は山の中にあるか.. ) 地層の成立の過程から, その特長はどの点にあるか. ( 3 は) 地層と人間生活の関係,. これは堆積実験装置, 堆積岩のスライ ド , 堆積岩の標本などを教材に して授業を行っ た. A 堆積実験装置の利用 これは前章の川の流れの所で詳細に述べた様に, はじめに実験装置に海と陸を作る. 陸, 海, 海 底地形をオぐ性のサイン ペンで実験装置の側面に記 入し,つ ぎに送水管から流速一定の水を流しこむ,. 前章の流水実験のときと同様な操作を実施する (図2-1, 2, 3, 4) . この単元で問題とするの は海底に砂, 泥が堆積する様子を観察させることである. この実験 で大切なことは排水管あるいは 送水管を手で圧迫し海水面あるいは送水量を断続的変えることが必要 である. これによっ て海底に i i ng と ad ng の様子も観察 できる.Gr ad 堆積した堆積物にリ ズミカルな互層が出来あがり,同時に Gr. は堆積岩に観察される粒子の配列の パターンを示す術語である. 海底堆積物の下部ほど粒子は大き く, 上部になるにしたがっ て細かく なるという一般的傾向が見られる. 互層の場合これが繰り返し. 0cm くらいの周期 でくりかえす, これが堆積 岩の内部 あらわれる, 自然の堆積岩では 、つ う 20~3 構造の最大の特長と考えられる, 堆積岩の第2の特長は化石が入ることである, これらの観察結果は堆積岩が海の底で生成され,.その生成の様子が子供達にもよく理解でき たよ う である, 次に大きな問題は海で生成したものが何故陸上に分布 しているかという疑門 であるが,. それに答えるにはまず海水面2~3 cm 下げこの結果海岸線が動くため, 次岸地域の崖に地層 が観 5分間く らい少量の水を流 察されることを示した, 次に海面低下していた状態 で再び送水管から1. す. この結果新しい小川 ができ, 第2次的浸食作用 が観察され, 川の流域に新しい地層 ができるこ とを観察される. これが一 =の崖に地層が発見される理 由であることを理解させる. ing をもっ と拡大して子供達に観察させる目的 で径4cm-長さ 70cm の ガ ラ ス 管 に 8 次 に Gr ad. 分目く らい水を入れ,堆積実験用の粒度のことなるガラス砂の混合物15 g をこ の ガラ ス 管 の 中 に 上 から入れる,ガラス管の中で各々の粒子はその大きさに応じ沈積する.すなわち白色(大) , ,赤色(中) ・返すと J 青色 ( ) の各々の粒子はガラス管の底に縞状に沈積する. この作業を4回同じことを繰り ′ ・ ing が 観 察さ れ る, こ れ は 3 ~4人の グループ実験 で実施した 立 派 な Gr ad . B. ス ラ イ ドの 映 写. 71.
(11) . 平 一弘:堆積実験装置の教材化 こ の ス ラ イ ドは ロ ー ム, 化 石, 地 層 を 示 す 15 枚 の スラ イ ドか ら な っ て い る. こ れ ら は す べ て 著 者. の作成したもの で, 子供達が良く知 っ ている地域から取材した. 古い化石例えば三葉虫, アンモナ イ ト, ナウマン象などだけは大学の標本から作成 した. 子供達は化石の種類, 地層の様子からこの 地域一帯が過去において海の底 であっ たことを知ることができる, その後火山活動が起りこの地域 が火山灰 でおおわれた事実を示した, また子供達にとっ てロームの起源ほ ど理解に苦しみ, 不思議 な土はないらしい. ロームは堆積岩の様にラミナがないことが最大の特長 で, 大部分は赤色化し縦. の割目がある. これらの特長をもとにしてロームの起源について子供に説明し, 人間の遺跡がこれ らのローム層から出土する意味にもふれておいた. 最後に化石のスライ ドによっ て生命の進化の発 見の糸口がこの地層に入っ ている化石が時間と共に変化している事実か らとらえられ, 地球の環境 が変化すると共に生命もそれに対応して変化する事実を認識させた. これらのことは人間も地球の. 生命の大きな流れの中の L点でしかないこと強調し, これからも同じく変化する であろうことを強 調した. 地層の研究はこの様な大きな問題に通じていることの重要性を知 らしめた これに対する . 子供達の反応は非常に大きく, 人間の自然界での位置を知らしめ るには大なる効果がえられた. C. 堆積岩の観察. 次に子供達に肉眼的あるいは双眼顕微鏡下 で堆積岩 (砂岩, 泥岩, れき岩, 石灰岩, チャート, i 凝灰岩)を観察させた. この観察の ポイ ントは( 1 )Gr 2 )粒子の大きさ,( 3 )粒子の配列状態,( ng 4 ) ad ,( 化石が入っ ているかどうかである. は じめの3項目に ついては子供達は理解 できたが, 化石につい ては教師の説明を要した. 岩石は上記の( 1 )~( 3 )のファ クターによ って分類することができた. しか しチャート, 石灰岩については 子供達の間 でこれらに粒子があるか どう かと いう点 で混乱した.. チャート, 石灰岩に粒子があると言っ た子供と粒子がないという 子供が半分にわかれた. これらは 次の様に説明 した, 石灰岩とチャートを希塩酸の中に入れ, その溶ける様子から貝殻と石灰岩は同. 一成分 であり,石灰岩は海中 で貝殻が集合して固結した岩石であることを 子供達に説明した チャー . トは成分的に石灰岩とことなり, その割れ方からガラスと同一成分 であることを説明した, 凝灰岩 は子供達にとっ て大変身近な石である が流水の産物としての証拠はなかっ た. それ故この石は川の 流れの働きが全然関与しない岩石の代表として取扱った. すなわち火山灰が空から海中に直接沈積 した岩石と考えた. これら堆積岩の観察が終ると野外の岩石園 (科学センター設備 で約600m2 あり, 大小20個近い 岩石がおかれている) で堆積岩の種類の判定の遊 びを試みた. この庭園の岩石は堆積岩, 火成岩,. 変成岩から成り, 堆積岩の種類は7 種くらいである. 班毎に岩石の名称を つけさせたが, その結果 80%近く正解を得た. しかし古い堆積岩は大部分間違っ ていた. これは専門化 でも無理 であるから し か た が な い,. 4. 堆積実験装置の教材化のまとめ. この実験装置は小学生の教材として非常に有効 であることが判明 した. 特に川の全体的働き, 土 地のでき方, 堆積岩の生成のメカニ ズムを直観的に掌握する点においてその有効性を発揮した 今 . 回は全部教師実験 で取扱ったが,子供自身で実験を実践するには知的水準からいって無理であった , 見学の教師から子供に実践させてはという意見があっ て実際に実験を実施させたが小学校4~5年 生には不適当 であった.. この装置自体の問題として, 教師実験 で実施するには現在の実験槽の大きさ では1クラス観察す るには小さすぎる, 実験槽は現在の2倍にし, 移動式ワ ゴンに固定する必要 がある. また観察しや すい様に どこかに照明を取り付ける必要がある. ガラス砂のサイ ズももう2段階 (例えば直径2 72.
(12) . 平. 一 弘: 堆 積実 験 装 置 の 教 材 化. mm,2.5mm)くらいの大きいものが必要 であっ た. これは自分達の熱意があれば製作可能である. しかしこれら教材の利用は大型化するほど教材のための教材になりやすいため常に自然環境との対 応で教材を開発, 利用すべき である. 最後に, 本論文作成の際に種々の批判ならびに論文の校閲をして頂いた揮田孝士教授に深く御礼 を申しあげます. 参. 考. 文. 献. 97 0年 東精工業株式会社 ( 1 ) 鈴木康司:流水とその働きに関する新しい実験法の研究. 1-51頁 1 97 4 ( 2 ) 渡部景隆:自然環境問題と教育, 第19回茨城県教育研究集会講演資料 (茨城大学) ,1 , 1 ~9頁 inedsed iment l l i i l i t ) Lewin,J rmsand meander sincoar segr a ( 3 at onofbedfo , , ,Bu ,Geo ,Soc ,Amer , ,v ,1976 ,ln 87 281-285 . . ,p. (本学助手・旭川分校). 73.
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