巻頭言:教職大学院の拡充・充実期に向けて
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(2) 巻頭言. 教職大学院の拡充・充実期に向けて 森. 省 造*. 現在、本学も含めて教職大学院は全国で国立と私立あわせて25校に設置されている。このうち国立. 大学は19校であるが、文部科学省によると、今後2年ほどで20校程度が新たに設置される見込みであ るという。教職大学院制度がスタートしてから7年が経過し、既存の修士課程ではなしえなかった高. 度専門職業人養成の機能を果たすことを目的に創設された教職大学院は、草創期を終えて一つの大き な区切りを迎えようとしている。. 平成18年7月に出された中教審答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」は、教職大学 院制度創設の必要性の背景を述べる中で、教員養成系修士課程について次のように断じた。 「(前略)我が国の大学院制度が研究者養成と高度専門職業人養成との機能区分を暖昧にしてきた. こともあり、また実態面でも、高度専門職業人養成の役割を果たす教育の展開が不十分であったこと から、教員養成分野でも、ともすれば個別分野の学問的知識・能力が過度に重視される一方、学校現. 場での実践力・応用力など教職としての高度の専門性の育成がおろそかになっており、本来期待され た機能を十分に果たしていない。」. 創設された教職大学院は一部の大学を除いて既存の修士課程と併存しており、教職大学院の創設が この中教審答申が指摘したような修士課程の状況に本質的な変化をもたらしたといえる状況にはな く、教員養成系の修士課程は指摘された課題に十分な対応を示さないまま時の経過を許したといえる。 こうした中、教員の資質向上の改善方策の実施に向けた協力者会議は、平成25年10月、「大学院段 階の教員養成の改革と充実等について」をまとめ、「教員養成を主たる目的とする修士課程については、 (中略)原則として教職大学院に段階的に移行する」という方針を示し、さらに「すべての都道府県 に教職大学院が設置されることが望ましい」と拡充を求めた。これを受けて文科省は、平成25年12月. に公表された国立大学教員養成分野のミッションの再定義において、教職大学院未設置の国立の教員 養成系の26大学に対して教職大学院を設置することを明記するよう求める一方、修士課程については、. 教職大学院への移行については含みをもたせた表現にとどめているが、実践的課題解決に資する研究 指導体制を構築し高度専門職業人としての教員養成にシフトすることを明確に求めている。. こうした状況の中にあって、先行した各教職大学院には創設以来の教育実践を検証し、大学院段階 での高度専門職業人としての教員養成に関して、基本理念、教員の研究指導組織、コース編成、教育. 課程の構造、授業方法等について、成果と課題について発信していく責務があると考えている。 このような認識のもと、紀要第5号の特集は「教職大学院における教育実践とは」とした。本紀要 が、本学教職大学院の充実の契機となることを願い、さらには、今後の教職大学院制度の拡充発展の. ために、そして教員養成系修士課程が高度専門職業人としての教員養成を実現するために、加えてそ の一部を将来的に教職大学院へ移行していくために、幾ばくかの貢献が果たせればと願うものである。 大方のご批正を願う次第である。. *北海道教育大学教職大学院(大学院教育学研究科高度教職実践専攻)札幌.
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