﹁ウプサラに所在する北欧アフ
リカ研究所図書館は、巧みな方式
と体系的なやり方で現代アフリカ
について独自のコレクションを構
築した
。﹂
これは二〇〇六年度に
同図書館がスウェーデンの﹁ライ
ブラリー・オブ・ザ・イヤー﹂を
受賞した際の選評である。設立の
趣旨である北欧諸国に対する貢献
のみならず、世界に向けた研究素
材の提供を指向しつつ、地元への
サービスも忘れない姿勢が高く評
価されたのであった。
●開かれた専門図書館
北欧
ア
フ
リ
カ
研究所
︵
Nordiska
Af
rikainst
itutet
/
T
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N
ordic
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rica
Inst
itute
以下
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A
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サ
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学
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設
立
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た
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、
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機
関
とな
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今日に至
っ
て
い
る。
長
く
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カ
ン
ジ
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ビ
ア
・
ア
フ
リ
カ
研
究
所
︵
Sc
andinavian
Inst
itute
of
A
fr
ica
n
S
tu
dies
︶
として知られ
てきたが、改称されて現在のもの
となった。その名称にもあらわれ
ているように北欧諸国の共同研究
機関としての性格を有しており
、
デンマーク、フィンランド、アイ
スランド、ノルウェイ、スウェー
デンの五カ国から財政支援を受け
つつ、各国出身の研究員も配置し
ている。
現在、
N
A
I
はウプサラ市街の
中心部に位置する商業ビルの複数
のフロアを使用している。一階中
央のエントランスを入ると、すぐ
左側に研究所図書館があり、明る
くゆったりしたスペースがひろが
る。現代アフリカの専門図書館と
して、社会科学を中心に七万タイ
トル余りの単行書や報告書を所蔵
し
、一般の利用にも供している
。
開架方式で理論書以外は国別に配
架されており、数として多くはな
いがアフリカ現代文学や写真集も
並んでいて、各所にディスプレー
されている民芸品とともに来館者
を楽しませている。段差のないフ
ロア、採光にも配慮した閲覧者用
キャレル、一角に設けられたセミ
ナー用の会議スペースなど、施設
面もまたユーザー・フレンドリー
である。
北欧諸国の居住者なら誰でも借
り出すことができ、利用期間は三
〇日︵更新可能︶で、貸し出しの
上限は三〇冊とされている。主た
るターゲットである研究者や学生
はさらに優遇されており、他に利
用希望者がない場合には最長一五
〇日、
冊数も無制限とされている。
研究所が給付する奨学金により滞
在研究を行っている学生たちの共
同研究室には、いつも借り出され
た書籍がうずたかく積み上がって
いた。彼︵女︶らにとってさらに
有用なのが、憲法をはじめとする
アフリカ各国の公式文書類で、開
発計画や人口センサスはもとよ
り、経済、保健衛生、教育、ジェ
ンダー等に関する公式統計や報告
書が収蔵されている。開発分野を
はじめとして五〇〇種に上るアフ
リカ関連雑誌ともども、文献研究
のための豊富な材料がそろってい
る。研究所関係者に対しては、図
書館が定期的に新規受け入れ図書
の内覧会を催しており、いち早く
新しい文献を手に取ることができ
るのも大きなメリットである。
もうひとつ、
N
A
I
の所在地で
あるウプサラにおける図書館間の
連携にも言及しておきたい。歴史
あるウプサラ大学図書館はもとよ
り、社会科学系では元国連事務総
長を顕彰したダグ・ハマショルド
図書館も近隣であることから、そ
れらの間で相互利用が実現してい
る。訪問研究員や奨学金を受給す
る大学院生が研究所に到着する
と、
図書館員による﹁館内ツアー﹂
が用意されているほか、ウプサラ
大学図書館の訪問と利用案内がア
レンジされるので、複数の図書館
の活用にもすぐに習熟できる。
望
月
克
哉
特集
続・地域関連コレクション
︱
中東・アフリカ・ラテンアメリカ
︱
アフリカ
北の
国のア
フ
リ
カ
・
コ
レ
ク
シ
ョ
ン
18
アジ研ワールド・トレンド No.186 (2011. 3)
●
進
化
す
る
ド
キ
ュ
メ
ン
テ
ー
ション・センター
N
A
I
図書館のスタッフは約一
〇名と決して多くない。館内での
閲覧やレファレンス関連業務は一
∼二名で担われている。実際のと
ころ、新規受入数は二〇〇五年の
三三〇〇タイトルをピークに減少
に転じており、整理やカタログ化
に割かれる人員や労力も減っては
きている。しかしながら、このこ
とをもって図書館の進化の停滞と
みるのは誤りである。
試し
に
Af
ricaLit
と称さ
れ
て
い
る
図書館
カ
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ロ
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た
。
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刊行物
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、
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︵
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︶
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速に進み
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A
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は
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ル
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構
築
へ
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る
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の
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と
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う
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リ
カ
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究機
関
で
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こ
と
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な
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ら
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国
の
な
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トリー
構
築
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き
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国
の
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て
い
る
。
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え、
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フ
リカ関
連
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に
つ
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て
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り
、
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に伴
う
新た
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ス
が
展
開
さ
れ
て
い
る
こと
か
ら
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も
、
N
A
I
が
指
向
す
る方
向
性
は
正
し
い
と
言
え
る
だ
ろ
う
。
組織運営にも、この方向性が反
映している。
N
A
I
には、渉外活
動やウェブサイトの運営を行うコ
ミュニケーションズ部門が存在す
る。かつては図書館とは別の業務
分野と位置づけられてきたが、今
日では両部門の活動がますます
オーバーラップするようになって
いる。その背景にはインターネッ
トの発達があり、情報やデータの
共有化が格段に容易になった事情
がある。より広い意味でのアーカ
イブス機能を実現するにあたり
、
N
A
I
は単独での展開を図るので
はなくウプサラ大学図書館で開発
されたスウェーデン学術アーカイ
ブス
・
オンライン︵通称
D
i
V
A
︶
に加盟した。同国内の二〇大学が
メンバーとなっている
D
i
V
A
は、デジタル・アーカイブスとし
てのみならず、電子出版システム
としての機能も有している。
N
A
I
の担当者は、これをウェブサイ
ト上の﹁電子アフリカ図書館﹂と
も称しているのである。
●転機に立つ図書館
今年、
N
A
I
は現在の所在地を
去り、郊外に移転することが決定
している。その主たる理由は財政
的なものと言われている。実際の
ところ、ここ数年にわたり予算の
圧縮が続いており、図書館もその
例外ではない。そのプログラム予
算は毎年二〇パーセントもカット
されてきた。上述した電子化への
対応というのも、一面では経費削
減に対応するための方策でもあっ
たわけである。
アーカイブスという面では、す
でに単独での取り組みは放棄され
ており、大学群を基盤にしながら
オープン・アクセスの方向に進ん
でゆくのではないかと思われる
。
デジタル・リポジトリー構築をめ
ざす
N
A
I
図書館の動きも方向性
としては同じであり、その過程で
アフリカ諸国の大学・研究機関と
のパートナーシップが実現すれ
ば、
それは望ましいことであろう。
ドキュメンテーション・センター
としての進化の方向はもはや変え
ようがない、
ということでもある。
問題があるとすればアフリカ諸
国とのデジタル・ギャップであろ
う。
N
A
I
図書館のアフリカ・コ
レクションが真に生かされるの
は、決して北欧諸国においてだけ
ではない。研究素材の提供がなさ
れねばならない先は、他ならぬア
フリカ諸国の大学や研究機関なの
である。インターネットの発達は
そうした契機を与え、その地平を
拓いてくれたとはいうものの、そ
れが本当に成果を生み出すのか
は、今後の取り組みにかかってい
ると言えるだろう。
︵もちづき
かつや/アジア経済研
究所
研究支援部︶
19
アジ研ワールド・トレンド No.186 (2011. 3)
北の国のアフリカ・コレクション