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ライト・エンジニアリング -- 機械産業の曙光 (特集 気がつけばバングラデシュ -- 芽吹く新産業)

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Academic year: 2021

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(1)

ライト・エンジニアリング -- 機械産業の曙光 (特

集 気がつけばバングラデシュ -- 芽吹く新産業)

著者

山形 辰史

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

231

ページ

17-18

発行年

2014-12

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003323

(2)

17

アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1) エンジニアリング産業とは、機 械産業と金属加工業のことである。 バングラデシュで生産される機械 や金属加工品が、主として軽工業 的な機械部品や小型機械であった ため、 ﹁ライト ・ エ ンジニアリング﹂ という呼称が定着している。 ライト・エンジニアリング産業 は、バングラデシュ製造業におい て 、その存在感はまだまだ小さ い。金属加工と一般機械、電気機 器、輸送機械の四業種の、製造業 全体の付加価値に占めるシェアは たかだか二 % である。輸出のシェ アも小さいが、機械輸出には、注 目すべき特徴がある。二〇〇九/ 一〇年度において、機械輸出の五 五 ・ 七 % が﹁鉄道車両以外の車両﹂ であり、その過半を占めているの が自転車であった︵三八・〇 % ︶。 ●貿易摩擦の間 を縫う︱自 転車︱ バン グ ラ デ シ ュ の 自 転 車 産 業 は 、 他国の貿易摩擦の間隙を縫って発 展した。世界の主要自転車輸出国 のひとつである中国から E U への 自転車輸出に対し、一九九三年か らダンピング相殺関税が課された。 相殺関税率とその他諸々の加算税 を合計すると六〇 % 以上の高率と なる。この相殺関税は現在も課さ れているので、二〇一二年の、 E U の自転車輸入に占める中国製自 転車の割合は二 % 未満に過ぎない。 相殺関税が課されていないアメリ カにおいて、同年の自転車輸入の 約三分の二が中国製であることか ら、 E U 市場における中国製自転 車の少なさは、相殺関税の賦課に 拠っているものと考えられる。 バングラデシュの E U への自転 車輸出は、中国製自転車に課せら れた相殺関税を機に伸長した。一 九九〇年代初めから増加が始まり、 図 1 にみられるように、二〇〇〇 年代には飛躍的に伸びている。 バングラデシュの主な自転車輸 出企業は、 メグナ︵ Meghna ︶ 、 ア リタ ︵ Alita ︵ BD ︶ Limited ︶ 、 ジ ャ ーマン ・ バングラ ︵ GermanBangla Bicycles Ltd. ︶の三つである 。メ グナは現地資本であるが、アリタ とジャーマン・バングラはそれぞ れ台湾、ドイツ系である。 メグナの創業者は、現会長兼社 長ミザヌル・ラフマン・ブイヤン の父親のアブドゥル・カレク・ブ イヤンである。アブドゥル氏は一 九六〇年代終わりに自転車や自転 車部品の輸入を始め、一九七〇年 代初めには自転車のスポークの生 産を始めた。一九八六年にアブド ゥル氏が亡くなったのち、現会長 兼社長が後を継いだ。 メグナは一九九九年頃に、イギ リスの伝統的自転車ブランドであ るラレー ︵ Raleigh, 一八八七年創 業︶の相手先商標製品製造︵ OE M ︶の契約を得たことをきっかけ に、ヨーロッパ市場進出を本格化 した。その後、多くのイギリスや その他ヨーロッパの自転車ブラン ドの OEM 契約を結んでいる。二 〇一三年の輸出向け生産量は年間 約五〇万台で、同社によれば、二 〇一〇年には E U 市場において第 五位の輸出企業であった。 このようにバングラデシュの自 転車産業は、中国と E U の貿易摩 擦の間隙を縫う形で成長している。 この発展パターンは 、縫製業が 、 欧米の貿易制限によって発展の契 機を得たことと酷似している。

ライト・エンジニアリング

︱機械産業の曙光︱

︻第

後発性利益の享受︼

特  集

気がつけばバングラデシュ

―芽吹く新産業ー 図 1 バングラデシュの自転車輸出 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 (100万タカ) 1990/91 1991/92 1992/93 1993/94 1994/95 1995/96 1996/97 1997/98 1998/99 1999/00 2000/01 2001/02 2002/03 2003/04 2004/05 2005/06 2006/07 2007/08 2008/09 2009/10 (出所)Bangladesh Bureau of Statistics (BBS). Foreign Trade Statistics of Bangladesh, Dhaka:

(3)

●生活の電化を担う︱家電と IT機器︱ バン グ ラ デ シ ュは 堅 実 な 経 済 成 長を 続 け て お り 、 そ れ に と も な い 、 かつ て は 一 般 庶 民 の 手 が 届 か な か っ た 、 冷 蔵庫 や 洗 濯機 、 エ ア コ ン とい った 家 電 製 品 や 、 携 帯 電 話 や パソ コ ン と い っ た I T 機 器 の 需 要 が高 ま っ て い る 。 こ の よう な需 要 増に 対 し て 、 地 場 資 本 が 即 座 に 国 内生 産 で 応 え る こ と は 通常 無理 な ので 、こ の 需 要 増 に 輸 入 増 で 対 応 する こ と と な る 。 バ ン グ ラ デ シ ュ の 場 合 に は 、 Rangs Electronics, Electro Mart, Butterfly Marketing, Singer Bangladesh, MyOne Electronics Industries と いった企業が電気機器の輸入販売 を行っている 。例え ば Ra ng s は ソニー 、 Electro Mart は中 国 ブ ラ ンドの 康 佳 や 格 力、 Butterfl y は 韓国 の L G の 製 品を 販 売 し て い る。 し か し 近 年 、 バングラデシュ の家電や IT 機 器の輸入代替は、 顕著に進んでい る。図 2 は、冷 蔵庫に関して、バングラデシュ市 場への主要輸出国である中国とタ イの輸出額の推移を示している 。 両国とも二〇一〇年ごろから頭打 ちとなり、その後、減少へと転じ ている。これはバングラデシュの 冷蔵庫の国内生産が、輸入品を代 替して生産を伸ばしていることの 傍 証 である。 ●家 国内生産を増加させている企業 の代表がウォルトン社 ︵ Walton Hi-Tech Industries Ltd. ︶であり、 バングラデシュ初の自国ブランド としても注目されている。 ウォルトンの主力商品は、⑴冷 蔵庫、エアコン、洗濯機、といっ た家電、⑵液晶テレビ、携帯電話 ︵カラーディスプレイでアンドロ イド搭載︶といった IT 機器、⑶ オートバイである。なかでも市場 占有率が高く、スラムの茶店・雑 貨屋にさえ普及しているのが冷蔵 庫である。二〇一三年八月三〇日 付の﹃ファイナンシャル・エクス プレス﹄ ︵バングラデシュの英字 経済新聞︶によれば、バングラデ シュ冷蔵庫製造者協会は、ウォル トンの冷蔵庫の市場占有率が、二 〇一二/一三年度に六四 % であっ たと報告している。残りはほとん どが輸入品である。 ウォルトンの販売戦略の特徴は、 ⑴全国にサービスセンター網を張 ってアフターサービスを強化して いること、⑵分割払いでの購入を 受け容れていること、の二点であ る。同時に、首都ダッカのみなら ず、バングラデシュ全土の幹線道 路に広告を打ち出している。 今のところ、ウォルトンの製品 の中核部品は輸入に依存している。 参考文献①の同社でのインタビュ ーに拠れば 、冷蔵庫 、エアコン 、 液晶テレビ、オートバイの中核部 品は、日中韓の著名企業からの輸 入に依存している。今後ウォルト ンが輸出を拡大していくためには、 中核部品の内製化を進めることが 課題となる。二〇一四年五月六日 付の﹃ファイナンシャル・タイム ズ﹄に拠れば、ウォルトンは二〇 一六年操業開始を目標に、年間二 〇〇万個の冷蔵庫・エアコン用コ ンプレッサーを生産する工場を建 設する計画である。 ●おわりに 今のところバングラデシュは 、 ﹁縫製業モノカルチャー ﹂の国と 認識されている。しかし自転車や 電気機械を生産する企業が増えて くれば 、﹁東アジア的工業発展が バングラデシュに波及した﹂と理 解されることであろう。メグナや ウォルトンがどれだけ成長するか、 そしてそれに続く企業が現れるか、 が今後の焦点となる。 ︵やまがた   たつふみ/アジア経済 研究所   国際交流研修室︶ ︽参考文献︾ ①大木博巳 ・ 鈴木隆史 ・ 北見創﹁国 内に製造業を根付かせたい︱初 の家電 ・ 自動二輪製造企業、ウ ォルトン︱バングラデシュ﹂ ﹃通 商弘報﹄二〇一一年一〇月一九 日号。 ウォルトンの冷蔵庫の出荷(2012 年 8 月 筆者撮影)

(出所)中国は China Customs データ、タイは Thai Customs Department データ。 貿易システムの World Trade Atlas から抽出した。

(注)冷蔵庫の HS コードは 8418 である。 図 2 中国、タイのバングラデシュへの冷蔵庫輸出 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 (100万ドル) 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 中国 タイ

参照

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