キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規
定
著者名(日)
笠原 俊宏
雑誌名
東洋法学
巻
51
号
1
ページ
235-254
発行年
2007-10-15
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000631/
キルギスタン共和国民法典︵一九九八年︶中の国際私法規定
笠
原
俊
宏
東洋法学
せ 刷 書 キルギスタン︵囚胃讐N馨彗︶は、一,八七六年以来ロシア帝国に属していたが、一九一八年から一九三六年ま でトゥルキスタン・ソビエト社会主義共和国の一部となり、その後、キルギスタン・ソビエト社会主義共和国と して編成された。ソビエト連邦の崩壊後、一九九一年八月三一日、キルギスタン共和国として独立し、一九九三 年五月五日、同共和国憲法を公布している。しかし、実際には、旧ソビエト連邦構成諸国の多くが、新たに独立 国家共同体構成国として、ゴシア連邦を中心に政治的・経済的に結束していたことは周知のところであり、キル ギスタン共和国も、一九九一年一二月二二日、独立国家共同体へ参加している。そして、それらの諸国の法体系 も、いわゆるモデル法を基準として、実質的な統一化が図られてきたという経緯がある︵拙稿﹁中央アジア諸国 の国際私法立法に関する研究ノートーカザフスタン及びウズベキスタンを中心としてー﹂東洋法学四五巻一号七九頁 235キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 以下︶。かような立法的統一に関しては、国際私法立法もその例外ではない。まず、民法典中に国際私法規定 ︵総則、人事、物権、債権、相続︶を置くのがモデル法に見られる立法形式であるが、それについては、一九九 七年三月一日施行のウズベキスタン法︵拙稿・前掲、とくに八五頁以下︶、一九九九年七月一日施行のカザフスタン 法︵拙稿﹁カザフスタンの新しい国際私法﹂東洋法学四六巻二号九七頁以下︶、同じく、一九九九年七月一日発効のベ ラルーシ法︵拙稿﹁外国国際私法立法に関する研究ノート︵10︶1ベラルーシ民法典中の国際私法規定︵一九九九 年︶1﹂大阪国際大学紀要国際研究論叢一四巻四号六五頁以下︶等が極めて忠実である立法例として挙げられる。 因みに、ロシア法も、その内容は基本的にモデル法に依拠するものであるが、形式的な側面から見る限り、かな りの独自性も認められる︵拙稿﹁ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について﹂東洋法学四六巻一号六九頁以 下︶。なお、一九九八年のトゥルクメニスタン民法典並びに一九九九年及び二〇〇〇年のタジキスタン民法典 ︵第一編及び第二編︶には国際私法規定は含まれていない︵霞巨貰寄凝9U器因o一一邑9段9耳αR襯冒げ爵 昏茜芭ω鼠P、s§蹄魯的ミ監ミ§&帖§ミ§、嵐ミ︸ミミ駄忘魯ミ§寮§ミω︵以下、鰭§として引用︶80合ψミO・︶。 このように、独立国家共同体構成諸国間の国際私法立法について仔細に見れば、それらの立法の間にも若干の 相違が見られており、必ずしも統一性の実現が徹底されていないことが知られる。ここに訳出される一九九八年 一月五日のキルギスタン共和国民法典第二編中の国際私法に関する諸規定も、その個々の法文の多くはモデル法 と全く同一であるか、若しくは、極めて酷似していることが看取されるが︵囚葺鴨さ騨鉾ρ”ψ曽。︵㎝︶●︶、や はり、随所においてモデル法との相違が散見されるものである。ここに、キルギスタン法の訳出を試みようとす
ることの理由もそこにある。 なお、モデル法においては、国際私法規定は独立した立法としてではなく、民法典の最終章に置かれ、また、 家族法関係の国際私法規定は家族法典中に別個に置かれるという形式が採用されている。これはソビエト時代か らの伝統を受け継ぐものである。一九九三年一〇月二二日のカザフスタン共和国婚姻及び家族法典︵拙稿・前掲 東洋法学四五巻一号八三頁以下及び九七頁以下︶や一九九五年一二月八日のロシア連邦家族法典︵拙稿﹁ロシア国際 私法の改正とその特質について﹂比較法三五号二二九頁以下、とくに一四八頁以下︶にそれを見ることができるが、 現在までのところ、キルギスタンにおいてはそのような家族法典は公布されていない︵因益鵬9騨鉾ρψ 曽8。それに対して、二〇〇〇年六月六日のアゼルバイジャン法においては、総則、人事法、相続法を含む財 産法に関する事項について規定した独立した国際私法典とともに、家族法典中に国際私法規定が置かれており、 また、一九九八年四月二八日のグルジア国際私法典及び二〇〇五年六月二三日のウクライナ国際私法典は、総 則、人事法、財産法、家族法に関する事項を包括的に含む独立した国際私法立法であり、これらの国際私法立法 は、その立法形式を見る限り、モデル法への依存からは離脱するものである。
東洋法学
二 邦 訳 次に掲げるのは、一九九八年一月五日のキルギスタン共和国民法典第二編中の国際規定の試訳である。 際しては、亀嚢8。♪ψ旨O斥所載の独語訳に依拠した。 訳出に 237キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定
キルギスタン共和国民法典第二編
第七章 私法的法律関係への国際民事法規の適用 第六四節 総 則 第二六七条渉外的要素を有する私法的法律関係へ適用されるべき法の決定 一 外国国民若しくは外国法人が関与する私法的関係へ適用されるか、又は、他の渉外的要素を含む法は、本民 法典、他の法律、国際条約、及び、承認された国際慣習に従い、又、当事者の合意に基づいて決定される。 二 法選択に関する当事者の合意は明臼に現れるか、又は、契約約款及び全体として考慮される個々の場合の情 況から明らかにならなければならない。 三 本条第一項に従って準拠法を決定することができないときは、渉外的要素を有する私法的法律関係と最も密 接に関連している法が適用される。 四 外国法規の適用は、基準となる規定が公法的性格を有することを理由として制限されてはならない。 第一一六八条 法的性質決定東洋法学
一 裁判所又は他の国家機関による法律上の概念の法的性質決定は、法律によって別段に定められていない限 り、法廷地国としてのキルギスタン共和国の法と一致したその解釈に基づいて行われる。 二 法律上の概念が法廷地国としてのキルギスタン共和国の法律に知られていないか、又は、他の名称の下にお いてか、若しくは、他の内容をもって知られており㌦かつ、キルギスタン共和国の法に従った解釈によって決 定されることができないときは、それの法的性質決定の際に外国法も適用されることができる。 第︸=ハ九条 外国法規の内容の確定 一 外国法の適用に際し、裁判所又は他の国家機関は、外国の然るべきその公的解釈、適用の実務及び学説に従 い、その規定の内容を確定する。 二 外国法規の内容の確定のため、裁判所又は他の国家機関は、基準となる手続に従い、法務省、並びに、外国 に所在するものをも含め、他の所轄地機関及ぴ官庁へ援助及び説明を依頼するか、又は、鑑定人を召喚するこ とができる。 三 争訟に関与した者は、それらの者がその請求若しくは異議の根拠付けの際に援用する外国法規の内容を確証 する文書を提出するか、又は、その法規の内容の確定の際に、他の方法をもって裁判所若しくは他の国家機関 を援助する権利を有する。 四 本条に従って執られた措置に拘わらず、外国法規の内容が相当の期間内に確定されないときは、キルギスタ ン共和国法が適用される。 239キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 第二七〇条 第三国法への反致 一 本章の規則に従った外国法へのいかなる送致も、本条によって定められた場合を除き、然るべき国家の実質 法への送致と見倣され、抵触法への送致とは見倣されないものとする。 ニ キルギスタン共和国法への反致、及び、第三国法への送致は、本法典第一一七七条、第一一七八条第一項、 第三項及び第五項、第一一八○条、並びに、第一一八三条に従った外国法の適用の場合に行われる。 第一一七[条法律回避の効果 本法典において規律される法律関係についての関係者の合意及び他の行為であって、法適用に関する本章の規 則の回避の下に、当該法律関係を別の法へ従属させることに向けれているものは無効とする。その場合において は、本章に基づいて適用されるべきである然るべき国家の法が適用される。
第二七二条 相互性
一 裁判所又は他の国家機関は、外国法の適用がキルギスタン共和国法による相互性の留保の下に定められてい る場合を除き、キルギスタン共和国法が当該国において類似の法律関係に適用されるか否かに拘わらず、外国 法を適用する。 二 外国法の適用が相互性に依存するときは、別条であることが証明されない限り、それが与えられているもの と推定される。 第一一七三条 公の秩序の違反東洋法学
一 外国法は、その適用がキルギスタン共和国の法秩序の原則︵公の秩序︶に反するときは適用されな龍その 場合には、キルギスタン共和国法が適用される。 一一外国法の適用の拒否は、当該外国の法的、政治的又は経済的制度がキルギスタン共和国の法的、政治的又は 経済的制度と異なることを理由とされてはならない。 第一一七四条 強行法規の適用 一 本章の規則は、準拠法に拘わらず、当該関係を規律するキルギスタン共和国の強行法規の効力に関わらな い。 二 本章の規則に基づくいずれかの国の法の適用に際し、裁判所は、基礎となっている法律関係と密接な関係を 有する他の国の法によれば、その国の法の強行法規がそれ自体の準拠法を顧慮することなく当該法律関係を規 律するときは、かような法規を適用することができる。その際には、裁判所は、かような法規の目的及び性 格、並びに、その適用の結果を考慮しなければならない。 第一一七五条 多数法国法の適用 多数の地域的又は別個の法制度が施行されている国の法が適用されるべきであるときは、その国の法に基づい て適用されるべき法制度が適用される。 第一一七六条 報復 キルギスタン共和国政府により、キルギスタン共和国の国民及び法人の権利の特別な制限が存在する国の国民 241キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 及び法人の権利に関し、相当する制限︵報復︶が発令されることができる。
第六五節抵 触 規 定
第一款自然人及び法人
第一一七七条自然人の属人法 一 自然人の属人法として、その者が有する国籍が帰属する国の法が適用される。 る際には、その者が最も密接に関係している国の法が属人法として適用される。 二個又は複数の国籍が存在す 二 無国籍者の属人法として、その者が平常的に居住している国の法が適用される。 三 避難民の属人法は、避難場所を与えた国の法が適用される。 第二七八条 自然人の権利能力及び行為能力 一 自然人の権利能力及び行為能力はその属人法によって決定される。 二 外国国民及び無国籍者は、キルギスタン共和国の法律又は国際条約によって定められた場合を除き、キルギ スタン共和国においてキルギスタン共和国国民と同様の民事上の権利能力を享受する。 三 法律行為、及び、加害の結果として発生する義務に関する自然人の民事上の行為能力は、法律行為が行われ たか、又は、加害による義務が発生している国の法に従って規律される。東洋法学
四 自然人の個人企業家となるための能力、並びに、それと関連した権利及び義務を有するための能力は、自然 人が個人企業家として登録されている国の法に従って規律される。登録国がない場合には、個人的企業活動が 主として実行される国の法が適用される。 五 自然人が行為無能力者であるか、又は、制限的行為能力者であることについての宣告は、然るべき裁判所が その本拠を有する国の法に服する。 第[一七九条自然人の失踪宣告及び死亡宣告 自然人の行方不明又は死亡についての宣告は、裁判所がその本拠を有する国の法に従って規律される。 第一一八O条 自然人の氏名 自然人の氏名権並びにその使用及び保護は、本法典第五四条第二項第三文及び第四文、第二八八条並びに第 一一八九条によって定められた規定から別段に明らかにならない限り、その属人法に従って規律される。 第︸一八一条 外国において生活するキルギスタン共和国国民の身分の登録 キルギスタン共和国外に居住しているキルギスタン国民の身分行為の登録は、キルギスタン共和国の在外領事 館によって行われる。その際には、キルギスタン共和国の立法が適用される。 第一一八二条 身分確認のために外国の機関によって交付される文書の承認 外国の所轄機関によって発行される文書であって、当該国家の法律に従い、キルギスタン国民、外国国民及び 無国籍者につき、キルギスタン共和国外において行われた身分行為の確証のためのものは、その認証が存在する 243キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 際には、キルギスタン共和国において承認される。
第二八三条後見及び保佐
一 未成年者、行為無能力者、又は、制限的行為能力を有する成年者に関する後見又は保佐は、然るべき裁判所 がその本拠を有する国の法に従って命令されるか、又は、取り消される。 二 後見︵又は保佐︶を引き受けるべき後見人︵保佐人︶の義務は、後見人︵保佐人︶とされた者の属人法に服 する。 三 後見人︵保佐人︶と後見の下に在る者との間の法律関係は、後見人︵保佐人︶を任命した官庁が帰属する国 の法に服する。但し、後見の下に在る者がキルギスタン共和国において生活するときは、キルギスタン共和国 の法がその者にとってより有利である限り、それが適用される。 四 キルギスタン共和国外に居住しているキルギスタン国民について命令された後見︵保佐︶は、後見︵又は保 佐︶の命令又はその承認に対し、然るべきキルギスタン在外領事館の側から何らの法的異議も提起されないと きは、キルギスタン共和国において有効として承認される。 第一一八四条 法人の会社定款 法人の法として、法人が設立された国の法が適用される。 第一一八五条法人の権利能カ 一 法人の民事上の権利能力は、法人の会社定款に従って決定される。二 外国法人は、法律行為の実行に際し、その機関又は代表者の代表権の制限が外国法人の機関又は代表者が取 引を行った国の法に知られていないときは、それを主張することはできない。 第一一八六条 キルギスタン共和国における法人の国内的取扱い 法人につき、キルギスタン共和国の法律によって別段に定められていないとき、民事立法が法人によるキルギ スタン共和国における企業活動及び他の活動の実行を規律する。 第ロ一八七条 渉外的要素を有する私法的関係への国家の関与 国家の関与の下における渉外的要素を有する私法的関係へは、法律上、何か別段に定められていない限り、本 章の一般原則に基づく諸規定が適用される。 第二款 人の無体的権利、著作権
東洋法学
第一一八八条 人の無体的権利の保護 人の無体的権利には、保護請求権についての基礎となる行為又は他の情況が行われるか、又は、発生する国の 法が適用される。 第一[八九条 著作権に対する権利 一 著作権に対する権利には、その権利の保護が求められる国の法が適用される。 二 著作権に対する権利を契約対象に有する契約は、契約上の義務に関する本章の諸規定に従って決定される法 245キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 が規律する。 第三款 法律行為、代理、出訴の時効 第︻馴九〇条 法律行為の方式 一 法律行為の方式は、法律行為の実行地が所在する国の法に服する。但し、外国において行われた法律行為 は、キルギスタン共和国法上の方式要件に合致されたとき、方式の不遵守を理由として無効と見倣されてはな らない。 ニ キルギスタン共和国の法人又は国民が少なくとも一方当事者である渉外的経済取引は、法律行為の実行地に 拘わらず、書面による方式の下に合意されなければならない。 三 不動産に関する法律行為の方式はその財産が所在する国の法に服し、又、キルギスタン共和国の国家登録簿 に登録されている不動産に関する法律行為の方式にはキルギスタン共和国の法が適用される。
第一一九ロ条代理権
代理権の方式及び有効期間は、代理権が授与された国の法に服する。但し、代理権は、キルギスタン共和国法 上の要件に合致されたとき、方式の不遵守を理由として無効と見倣されてはならない。第︸繭九二条出訴の時効
一 出訴の時効は、当該法律関係に適用されるべきである国の法に服する。東洋法学
一一出訴の時効が及ばない請求権は、キルギスタン共和国の国民又は法人が当該法律関係の少なくとも一方当事 者である限り、キルギスタン共和国法に従って規律される。第四款物 権
第二九三条 物権的関係の準拠法に関する総則 剛 不動産及び動産に対する所有権及び他の物権は、法律上、何らか別段に定められていない限り、その財産が 所在する国の法に従って規律されるものとする。 二 いずれかの財産の不動産又は動産への帰属、及び、財産のその他の法的性質は、その財産が所在する国の法 に従って規律されるものとする。 第︻一九四条物権の成立及び終了 一 財産に対する物権の成立及び終了は、キルギスタン共和国の法律によって何らか別段に定められていない限 り、物権の成立又は終了についての基礎となった行為又は他の情況が行われるか、又は、発生する当時、その 財産が所在した国の法に従って決定される。 二 法律行為の対象となる財産に対する物権の成立及び終了は、所定の法律行為の当事者が何らか別段に合意し ていない限り、法律行為が行われた国の法に服する。 三 取得時効の結果としての財産に対する所有権の成立は、財産が取得時効期間満了の当時所在した国の法に従 247キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 って決定される。 第一一九五条 輸送手段及び国家登録簿へ登録されなければならない他の財産に対する物権 輸送手段及び国家登録簿へ登録されなければならない他の財産に対する物権は、それらの輸送手段及び財産が 登録されている国の法に服する。 第一一九六条運送中の動産に対する物権 法律行為に基づいて運送中の動産に対する所有権及び他の物権は、法律行為の当事者が何らか別段に合意して いない限り、その財産が発送された国の法に服する。
第二九七条 物権の保護
一 所有権及び他の物権の保護には、原告の選択に従い、財産が所在する国の法か、又は、争訟を裁判する裁判 所がその本拠を有する国の法が適用される。 二 不動産に対する所有権及び他の物権の保護には、その財産が所在する国の法が適用される。キルギスタン共 和国の国家登録簿へ登録されている財産の場合には、キルギスタン共和国法が適用される。 第五款 契約上の義務 第一一九八条 契約当事者による法選択 一 契約には、法律上、何らか別段に定められていない限り、契約当事者によって選択された国の法が適用される。 二 契約当事者は、契約全体についても、又、その個々の部分についても、準拠法を選択することができる。 三 準拠法の選択は、契約当事者により、契約締結時においても、その後においても、いつでも行われることが できる。契約当事者はまた、契約の準拠法の変更につき、いつでも合意することができる。 第一一九九条 契約上の合意がない場合の契約の準拠法 一 契約の準拠法に関する契約上の合意がない場合には、契約当事者の設立地、住所又は主たる活動地が所在す る国の法が適用される。契約当事者とは、次に掲げる者をいう。
東洋法学
(9)(8)(7)(6)(5)(4)(3)(2)(1 売買契約の場合には、売り主 贈与契約の場合には、贈与者 賃貸借契約︵不動産資産に関する有償使用貸借契約︶ 財産の無償使用に関する契約の場合には、貸し主 労働業契約の場合には、事業主 運送契約の場合には、運送人 運送取扱契約の場合には、運送取扱人 貸付又は他のクレジット契約の場合には、信用供与者 委任の場合には、受任者 の場合には、賃貸人又は使用貸し主 249キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 ①
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⑯ 独占的権利の使用に関するライセンス契約の場合には、許可者 二 準拠法に関する契約当事者の合意がない場合には、本条第一項の規定に拘わらず、次に掲げる契約の場合に られた成果が発生する国の法 ㈹ 競売、競争の結果としてか、又は、取引所において締結された契約の場合には、競売若しくは競争が催さ れたか、又は、取引所が所在する国の法 三 本条第一項及び第二項に挙げられていない契約には、準拠法に関する当事者の合意がないとき、当該契約の れる。契約の内容について特徴的である遂行すべき履行を決定することができないときは、契約が最も密接な 内容について特徴的である履行を遂行する当事者の設立地、住所又は主たる活動地が所在する国の法が適用さ 2 共同活動に関する契約、及び、建築契約の場合には、当該活動が実行されるか、又は、契約によって定め 1 不動産に関する契約の場合には、その財産が所在する国の法 ま、次に掲げる国の法が適用される。 担保契約の場合には、 担保設定者 保証契約の場合には、 保証人 保険契約の場合には、 保険者 寄託契約の場合には、 受託者 取次契約の場合には、 仲員人関係を有する国の法が適用される。 第]二〇〇条 外国の資本参加を伴う法人の設立に関する契約の準拠法 外国の資本参加を伴う法人の設立に関する契約には、法人が設立された国の法が適用される。 第=一〇一条準拠法の適用範囲 一 本款︵第五款︶の諸規定による契約の準拠法は、とくに次に掲げる事項を含む。
東洋法学
契約の解釈 契約当事者の権利及び義務 契約の履行 契約の不履行又は﹁不完全な﹂履行の効果 契約の終了 契約の不存在又は無効 債権の譲渡、及び、契約による債務引受 の準拠法のほか、契約履行が行われる国の法も考慮されるものとする。 3 2 1 ( 4 5 ( 6 7 二 契約履行の方法、及び、 ﹁不完全な﹂契約履行の場合に行われなければならない措置に関しては、 それ自体 251キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定
第六款契約外の義務
第一二〇二条 単独行為による義務 単独行為による債務︵懸賞広告、委任のない事務管理、その他︶には、本章第四款の諸規定が適用される。 第一二〇三条損害惹起による義務 一 被害の惹起の結果として成立する債務による権利及び義務は、損害賠償請求権の理由となる当該行為又は他 の情況が生じた国の法に従って規律される。 二 外国における被害の惹起の結果として成立する債務による権利及び義務の当事者が同一国家の国民又は法人 であるときは、当該国家の法が適用される。 三 損害賠償請求権の理由となる行為又は他の情況がキルギスタン共和国の立法によれば違法でないときは、外 国法は適用されない。 第一二〇四条 消費者の損害についての責任 商品の購入、労務の遂行︵作業の給付︶、又は、サービスの給付に関連して消費者に生じる損害賠償請求権に は、消費者の選択に従い、次に掲げる法が適用される。 ① 消費者の住所が所在する国の法 ω 製造者、又は、作業若しくはサービスの給付を提供した者の住所又は居所地が所在する国の法㈹ 消費者が商品を取得したか、その者が作業を受け取ったか、又は、サービスの給付がその者に提供された 国の法 第一二〇五条 不当利得 一 不当な利得の結果として発生する債権には、利得が生じている国の法が適用される。 二 不当な利得が、財産が取得されたか、又は、減少を免れた法律上の根拠の欠落に因るときは、その法律上の 根拠が服する国の法に従って規律される。不当な利得の概念はキルギスタン共和国法に従って決定される。
第七款相続権
東洋法学
第一二〇六条 相続法的関係 相続法的関係は、被相続人が、その遺言において、その者が国民である国の法を選択していないときは、本法 典第二一〇七条及び第二一〇八条において別段に定められていない限り、被相続人がその最後の住所を有した国 の法に従って規律される。 第一二〇七条 人の遺言を作成及び撤回する能力、遺言及び撤回の方式 人の遺言を作成及び撤回する能力、並びに、遺言及びその撤回の方式は、被相続人が、その遺言において、そ の者が国民である国の法を選択していない限り、被相続人が、遺言作成ないし撤回の当時、その恒常的な住所を 有した国の法に従って規律される。但し、遺言及びその撤回は、方式が作成地ないし撤回地又ばキルギスタン法 253キルギスタン共和国民法典(1998年)中の国際私法規定 上の要件を満たすとき、それの不遵守の結果として無効と見倣されてはならない。 第一二〇八条 不動産及び国家登録簿へ登録されなければならない財産の相続 不動産の相続はその財産が所在する国の法に従い、又、キルギスタン共和国の国家登記簿に登録されている財 産の相続はキルギスタン共和国法に従って規律される。 ︵訳者付記︶ 第一一八○条に挙げられている民法典第五四条第二項第三文及び第四文の諸規定は、 内容を有する。 第五四条第二項第三文 氏名変更を債務者及び債権者へ通知する義務 第五四条第二項第四文 氏名変更を旧氏名文書へ記載する権利