公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団
2014(平成26)年度(後期)指定公募④
完了報告書
テーマ
地域包括ケアシステム構築のための
地区医師会による小中学校への
出前講座用基本スライドの開発
一般社団法人 松戸市医師会
平成28年2月29日
目次 本研究の要旨 ………2 Ⅰ.研究の背景 ………3 1. 住民の自助・互助・共助・公助のバランスの上に成り立つ地域包括ケアシステム ………3 2.Child-to-Community アプローチ ………3 3.社会に貢献する医師会モデル ………3 4.松戸市医師会による Child-to-Community の実践 ………4 Ⅱ.本研究の目的………4 Ⅲ.研究方法と結果 ………4 1.スライド開発に資する知見の収集 ………4 1)Semi-Structured Interview の概要 ………4
2)Focus Group Interview の概要 ………50
2.スライドの開発 ………57
1)いのちの尊さ ………57
2)認知症 ………58
3.宿題 ………58
本研究の要旨 国策でもある地域包括ケアシステム構築の基盤となるソーシャルキャピタルの蓄積や 住民の自助・互助・共助・公助に対する認識は、自らの健康や疾患の予防に関する考 え方、死生観、地域とのつながりなど、幼い頃からの教育や体験による価値観形成に 依るところが大きい。また、地域のプライマリ・ヘルスケアを担っている地区医師会が、 いのちの尊さや医療・介護の仕事の重要性、そして地域のつながりの価値を含む小中 学生に対する健康教育を担うことは、地域全体の地域のソーシャルキャピタルの蓄積 や自助・互助・共助・公助の重要性に関する認識の向上に貢献し得るのではないかと 考える。 したがって、我々が提唱する Child-to-Community の理念に則り、地区医師会が地 域包括ケアシステム構築に資する出前講座を市内小中学校で実施し、子どもたちの健 康や地域に対する関心を高めると同時に、その波及効果によって地域社会全体の関 心をも高めていくことを目的とし、以下の 4 つのねらいを柱に据えた出前授業を企画し た。 ・ 健康とは自ら守り育むものであり、そのために知識や行動が大切になる ・ 自分や家族の重大事を決めるために日頃から相談を積み重ねておく ・ 地域社会における地縁などコミュニティでのつながりを深めていく ・ いのちや家族の健康について相談できる‘かかりつけ医’等を持つ 本研究では、1)健康または地域とのつながりの重要性について出前講座を実施し ている医療者や自治体職員を対象とした Semi-Structured Interview、2)中学生および 中学校教諭を対象とした Focus Group Interview を実施した上で、先行知見の整理を 行い、Child-to-Community の理念に則った基本スライドの開発および宿題資料を作 成した。 基本スライドは、いのちの尊さ、認知症をテーマとした 2 種類を作成したが、いずれも 出前授業を通してねらいの 4 本柱の項目について児童生徒自らが自身の考えを深め ることができるよう配慮されている。 また、受講した児童生徒が自分自身の知識や認識を向上するのみならず、家族や 地域のプロモーターとなり、地域全体の変化をねらうべく、子どもが受講内容を家族や 地域の知人と共有することを基本的な宿題として設定した。 地区医師会による小中学校への出前授業のモデルは、多くの地域にとって参考に なるものであり、子どもから高齢者まで、また予防から看取りまで、さらに障害があるなし に関わらず、すべての住民が自分らしい生活を営める地域包括ケアシステムの確立に 資することが予想される。また、本研究で作成された講義用の基本スライドや出前講座 の準備から評価までの一連のプロセスの公開については、これらの効果検証が終わっ た段階で検討していく予定である。
Ⅰ.研究の背景 1.住民の自助・互助・共助・公助のバランスの上に成り立つ地域包括ケアシステム 地域包括ケアシステムの構築は、自助・互助・共助・公助のバランスの上で成り立つ ため、そのアプローチについては、人口規模のみならず、歴史や文化、住民の健康や 医療介護への認識、また医療・介護資源等の各種地域資源の状況によっても異なると される。わが国では少子高齢化が進み、人口も減少の一途をたどっており、限りある財 源や地域資源、そしてソーシャルキャピタルを有効に活用し、自助・互助・共助・公助を 組み合わせた上で、いかに地域の中で好循環 させるかが大きな課題となっている。し かし、地域のソーシャルキャピタルの蓄積や住民の自助・互助・共助・公助に対する認 識には、自らの健康や疾患の予防に関する考え方、死生観、地域とのつながりなど、 幼い頃からの教育や体験による価値観形成が大きく関与しているとされており、子供た ちに向けた取り組みが重要であると考えられる。 2.Child-to-Community アプローチ Child-to-Child というアプローチがある。これは、プライマリ・ヘルスケアの考えに基 づくと同時に、特に子どもたちに焦点をあて、彼らの能力を評価し、地域社会のメンバ ーとして子どもたちが重要な役割を果たす権利と責任があるという信念に基づいている。 しかし、もともと Child-to-Child アプローチは、発展途上の国々において、年長の子ど もが幼い弟や妹たちに衛生面や栄養に関する知識を伝授するというコンセプトである。 我々は、わが国の地域包括ケアシステム構築に資する地域のソーシャルキャピタルの 蓄積や住民の自助・互助・共助・公助に対する認識の向上の策として、また Child-to-Child アプローチの発展系として、「Child-to-Child-to-Community」というアプローチを提案した い。つまり、子どもたちに地域のソーシャルキャピタルの蓄積や住民の自助・互助・共 助・公助に関する教育をすることで、彼ら自身の健康や地域に関する関心や認識を高 めるだけでなく、その波及効果として地域全体の認識の向上や活性化を目指すという ものである。 3.社会に貢献する医師会モデル 地区医師会は、最も住民に身近な医師の職能団体として、その所轄地域の住民の 健康をマネジメントするというミッションを常に掲げ、実際、乳幼児健診から保育園の園 医、小・中学校の校医、各種検診や予防接種への協力、健康啓発の講演会、自宅で の看取りなど、地域のプライマリ・ヘルスケアを担っている。また国のモデル事業から発 展し、現在、県の地域医療再生基金で運用されている「在宅医療連携拠点事業」にお いても、その活動を点から面へ発展させるという点で地区医師会のコミットが切望され ている。
しかし、これまでの地区医師会の地域に貢献する活動が「目に見える形」で、かつ 「継続的に行われている」ということは、残念ながら広く知られているとは言えない。 4.松戸市医師会による Child-to-Community の実践 上述の背景から、松戸市医師会では平成 26 年に「健康啓発委員会:川越正平委 員長」を新設し、この委員会が主に「地区医師会による地域包括ケアシステム構築のた めの小中学校への出前講座」に取り組む方針がすでに決定している。つまり、地区医 師会が小中学生に対して、いのちの尊さや医療・介護の仕事の重要性、そして地域の つながりの価値を含む健康教育を担い、また教育を受けた子どもたちが地域の大人た ちに啓発していく。これは、まさに Child-to-Community の実践となると考える。さらに は、病床の機能分化や連携といった医療政策を踏まえ、住民の身近な「かかりつけ医」 が患者の病状に応じて適切な医療機関を紹介することをはじめ、望ましい救急受診の ありかた等について教育することにより、地域の限られた医療資源を有効に利用する土 壌の形成が期待される。 Ⅱ.本研究の目的 本研究は、Child-to-Community の理念に則り、松戸市医師会が実施する市内小 中学校での出前講座に使用する基本スライドの開発および宿題資料の作成を目的と する。 Ⅲ.研究方法と結果 1.スライド開発に資する知見の収集 1) Semi-Structured Interview の概要 既に小中学生に対し、健康または地域とのつながりの重要性について出前講座を実 施している医療者や自治体職員 13 名を対象に、「自分や家族の重大事を決めるため に日頃から相談を積み重ねること、地縁など地域社会におけるつながりを深めていくこ とや、いのちや家族の健康について相談できる‘かかりつけ医’等を持つことの重要性 について、分かりやすく小中学生に教授する方法」や、「学年に応じた適切なテーマ選 択 の 仕 方 」 、 「 宿 題 と し て 可 能 な 内 容 」 な ど に 関 す る 面 接 ま た は 電 話 に よ る Semi-Structured Interview を行った。 (1)A 氏(医師) ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○講義形態については、対象人数に応じて、講演方式(50 人~)、ピアラー ニングの形式(~40 人)を選択している。
○実際に A 氏が実施されているピアラーニング ・学校の教員に依頼し予習をしておくよう児童生徒に伝えてもらう(たば こについて図書館などで調べるなどの宿題を出すことが多い)。 ・当日は、児童生徒同士のグループディスカッション(講師から出された 8 つの質問についての答えを話し合う)からスタートする。 ・後半は、児童生徒に司会を務めてもらい、1 問ずつ各グループからディ スカッションの結果を発表しあい、最後のグループの発表後、司会から 解答を発表、講師が 8 つの質問の解答に対する解説を行う。 ○「児童生徒が自分自身で考える」「友人の考えをよく聞き、さらに自分の 考えを深める」という 2 点において、ピアラーニングの効果を実感してい る。 ○講義形式、ピアラーニングいずれも 60~90 分程度としている。 ○対象学年は小学校 6 年生、中学校は学校により 1 年~3 年。 ・ 講義内容 ○喫煙防止教育を実施しており、たばこの健康被害、受動喫煙の害、たばこ の断り方の練習を主な教育内容としている。 ○たばこの健康被害 衝撃的すぎる画像は、よろしくない。特に、小学生や中学 1 年生に対して は、画像を見て気分が悪くなったり、ただの恐怖だけが残るということのな いよう、使用する画像の選択については配慮が必要。 ○たばこの断り方の練習 これは、各学年とても盛り上がる。突然、講師が「たばこ吸ってみなよ」 と生徒にふってみると、たいていの子は、もごもごしてしまう。つまり、実 際に喫煙を勧められると、急には言葉が出てこないということだ。しかし、 一度どう断るかを自分たちで考えさせ、友達同士で練習すると、パッと断る ことができるようになる。「理由を言って、はっきりと断ることが一番大事」 と伝えると、各自、真剣に理由を考え、「これこれこういう害があるので吸 いません」などと短時間で上手に断ることができるようになる。実際に誘わ れた時に、この練習が活きていくだろう。 ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○お説教がましい講演は嫌われる。 ○小学生は物語やエピソードを盛り込んだり、中学生には科学的な根拠やデ ータを示して知的好奇心を刺激するなど、対象学年によって、かなり教授 法を変えている。
○対話形式や問題解決方式が児童生徒には受けがいい。また、教育効果をね らうなら、できるだけ 1 クラス毎に実施し、生徒参加方式、生徒主導形式 が推奨されるだろう。 ○グループワークを通して、自らが考える、参加する、自分のこととして考 える、周りの人間との協働をする。これらは、まさに防煙を通じたライフ スキル習得のための教育であると感じている。そして、これらは非常に効 果的である。 ○大人数を対象にした講義形式は、一方的な講演になってしまいがちだが、 質問形式(Q&A)、動画などと組み合わせることにより、テンポもよくな り、生徒は飽きないようだ。 ・ 教材の工夫 ○できるだけ生徒が興味をもつような内容にするよう心がけている。 ○ビデオ、アニメなどの動画は、生徒のうけが良い印象がある。 ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について) ○押しつけやお説教にならないように、生徒の自主性を重んじている。 ○たばこの小売業は減っているが、たばこ産業で働く親を持つ生徒はいるこ とがある。したがって、たばこ会社の批判はしない。あくまで、喫煙行動 による影響、自分を守る術を身につけるという教育内容を忠実に守り、域 を出ないようにしている。生徒が傷つくということは避けなければならな い。 ・ その他、学校における出前講座を実施する上での留意事項やアドバイス ○生徒が主体となって授業が進められるよう、生徒、先生、保護者等の協力 を得て、実施することが肝要。 ○講座のタイトルは、「保護者と共に学ぶ防煙教室」「親子で考えよう“たば こを吸うという意味”」などとし、保護者には、事前に出前講座のお知ら せを学校から出してもらう。 ○実際は、平日の日中に出前講座は開講するので、(特に共働きの多い北陸 では)多くの親の参加は難しい状況。しかし、毎回、1 クラス当たり 5 人 程度の参加はあり好評である。 ○必ず、生徒には、家に帰ったら、おうちの人に今日習ったことを教えてあ げてくださいということは伝えている。 ○生徒たち自身から、喫煙する親に喫煙の弊害についてきちんと伝えたいと いう声があがることも多い。使命感に燃える生徒もいるので、「親子げん
かにならない程度に、やさしく教えてあげるんだよ」と声をかけることも ある。 ○子どもに禁煙のお願いをされるということは、医者が何千回禁煙を勧めた としても適わないくらいの効力を持つであろうことは想像に難くない。ま た、喫煙経験を持つ児童生徒の家庭環境として、両親が喫煙、母親が喫 煙、父親が喫煙の順に多いことからも、児童生徒たち自身が正しい知識を 身に着け、断る術を習得し、そして周りの大人たちに働きかけていくこと は非常に有用であると考える。 (2)B 氏(医師) ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○形態としては、1 単元 45 分間。 ○学校のほうであらかじめ“調べ(事前学習)”をしてもらって発表しても らうようにしている。自分で調べることはとても大事。発表については、 10 分くらい時間とってやっている。 ○“調べ”の発表の形は学校ごとで自由にしてもらっている。担任の先生に お任せして、自分たちで図書室やネットで調べてもらう。 ○1 人ひとりが発表する場合と、いくつかのグループごとに分かれて発表す るというのが学校ごとで分かれるが、それも担任の先生におまかせする。 一番シンプルなのは、手を挙げてくれた子に発表してもらい、そのほか何 人か指名すること。あるいは、学校のほうで発表者を指名してある場合も ある。 ○グループの場合は、代表者が発表したり、リレー形式で原稿を考えて 4、5 人で読みあったり、模造紙に書いたり、寸劇をやっている学校もある。 ○対象は、小学校 6 年生。中学校でかなりの率がたばこを吸っているという 実態が分かったため、中学からの教育では遅いと考えた。授業を 1 回しか 出来ないとなると、一定の理解力が期待できる 6 年生となった。 ○学年単位で行う場合(100~300 人)、クラス単位(30~40 人)で行う場合 がある。教育効果を上げるのであれば、絶対に少人数のほうがいい。しか し、学校の事情もあるため、受講者数に関しては、講師側の要望はあまり 通らない。 ・ 講義内容 ○まずは自己紹介からで、私は何者で、なぜここにきたのかということを簡 単にお話する。
○次に学校の HP などから、その学校の OB、OG のこと、その学校で行われて いる様々な活動など興味のありそうな情報などで、アイスブレイク。 ○続いて、事前学習の発表。 ○たばこの害についての講義。 ・動画を見てもらいながら説明する。たばこを吸う人と吸わない人の肺を 写真で比べてタールの害について説明する。 ・ニコチンによりたばこをやめられなくなることを、図を使って脳へどの ように影響するのか説明する。 ・たばこを吸うと血管が収縮することを、動画を使って説明する。心臓が 動くためのエネルギーを心筋に与えている細い血管が、たばこによって 細くなったり死んでしまったりすると、心臓に影響があると話す。 ・一酸化炭素はヘモグロビンの話をしたいが、学校や時期によって学んで いないこともあるため、酸素を運ぶトラックが乗っ取られると体に酸素 が運べなくなる…などと置き換えて話す。 ・肺がんの 85 パーセントがたばこによるもので、血管系、特に心臓の病気 に罹りやすいという害もあるが、もっと大変なのは受動喫煙であること も伝える。 ・たばこは害であることについて、日本のたばこのパッケージにはあまり 大きく書かれていないが、国によっては写真つきで警告文が載っている ことも伝える。 ・おなかに赤ちゃんがいるお母さんがたばこを吸うと、おなかの赤ちゃん も煙を吸わされているのと同じ。動画を見せながら、妊婦がたばこを吸 うと酸素供給が少なくなり、胎児の肺の動きが止まったり、出生体重・ 身長が小さくなったりすると医学的に証明されているという言葉で印象 づける。 ・有害物質を 3 つに絞り、文章を声に出して読んでもらいながら説明す る。 ○最後にロールプレイングを行う。 ・誘われた時の断り方は、実際 1 回声に出して練習する必要がある。いざ 誘われたときに、きちんと声に出して断れるかどうかということが大事 だと思う。 ・全員にやってもらうわけには行かないので 1 人か 2 人に。昔は 2 人出て きてもらって、1 人が悪役で、1 人が誘われる役をやっていた。K 市の教 育委員会から、児童に悪い役をやらせないでと 10 年くらい前に言われた ため、今は指導する側(講師自身)がいろんな役をやっている(例え
ば、クラブの先輩、違う小学校から来た友達、近所の兄ちゃん、同じ小 学校だったけど違う中学にいった子など) ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○“調べ”のときに生徒から出てきたキーワードがあるため、講義中に意識 して繰り返してあげると、発表した児童はまた思い出すし、他の子も印象 が強くなると思う。 ○有害物質に関してはニコチンとタール、一酸化炭素の 3 つだけに絞ってい る。物質の影響について、なるべく印象が強くなるように最近は動画を繰 り返し使うようにしている。 ○キャラクターを使っている。動物とか赤ちゃんは年齢層が近いので関心を 持ちやすいので、赤ちゃんのことを引っ張ってきて説明している。 ○ロールプレイングの際、特に講義をあまり聞いていなかった児童に、前に 出てやってもらう。 ○能動的に学ぶ、アクティブラーニングを心がけている。受身的なものでな く、自分のほうから勉強していく方法をとり、印象深くする工夫をしてい る。 ○事前のアンケートや事前学習の発表の段階で、たばこの印象や知識の状況 がわかる。たばこをかっこいいと思っている子もいるので、その子たちの 反応をよく観察しながら、授業を進めるようにしている。 ・ 教材の工夫 ○難しい漢字や専門用語は使わない。 ○どうしてもたくさん教えたくなるが、これを抑えてなるべくスライドは少 ないほうが良い。 ○はじめた 2000 年ごろは、smoking guy(たばこを吸うと肺の色が変わる人 形)を持っていって、たばこ 1 本を吸わせていた。しかし、部屋中が臭く なるため、1 年やってやめた。それで受動喫煙になるため。今は、動画で たばこ吸った後はこんな風になってしまうということを見てもらう。視覚 的に目で見てタールというものの影響を分かってもらう。 ○授業中にスライドの横に座って PC を見ながら教えていても印象が薄いた め、ずっと歩き回っている。クリッカーでスライドを動かして、いろんな 子のリアクションを見ながらやっている。どうしても一方通行の授業にな りがちなため、それを少しでも双方向的とまでは行かないが、できるよう に活用している。
○配布プリントは、現在使っていない。プリントをうちに持って帰って、お 父さんやおじいちゃんに説明したりする子もいるようで、本当は復活させ たい。 ある程度の資料的はあったほうがいいかなとは思う。ただこれ は、授業中には配らないようにしないと集中がスクリーンに行ったり、資 料に行ったりしてしまう。授業中はスクリーンに集中してもらうほうがよ い。 ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について) ○ご両親や親類が、たばこ産業に勤務されていたり、たばこを販売している という児童が必ずいるため、配慮は必要(K 市は昔、有数のたばこの産 地)。 ○仕事を否定することは絶対にせずに、「たばこは体に害があるので、それ をみんなに伝えに来た」と言っている。 ○たばこを吸っている人がダメ人間のような言い方はしないように、気をつ けないといけない。元気で長生きをして欲しいというような考えで、児童 からも家族や大切な人たちに禁煙を促していこうと伝えるのがいいと思 う。 ・ その他、学校における出前講座を実施する上での留意事項やアドバイス ○自己紹介の前に学校の先生方の話があり、これが結構長い。養護の先生に なるべく、学校の先生方の話はカットでとお願いしておくのもよい方法だ と思う。 ○特に気をつけているのは、機器のトラブルである。前日に担当の先生に PC の接続など確認してもらうようにしているが、必ず自分の PC も持参して いくようにしている。古いプロジェクターだと PC と繋がらないというこ ともあった。できれば事前にデータを送っておいて、PC でちゃんと開くか など確認してもらうほうがいい。 ○もうひとつ結構大事なのが部屋の明るさ。 ○学校には 30 分前くらいには行くようにしているが、まず校長室に通して もらってお茶を出されることが多い。しかし、部屋の明るさの調整、機器 の確認など準備を先にすることも大事だと思う。 ・ K 市医師会の取り組み ○K 市医師会としては、学校医に生徒の防煙教育に参加してもらいたいと考 えている。そこで、学校医を年 1 回集めて資料を渡して、指導方法等ノウ
ハウを伝授したうえで、学校医による防煙教室の開催を奨励している。し かし、なかなか増えないのが実情。 ○K 市で防煙教育を行っている学校は 80 パーセントほどである。平成 21 年 に学校医にアンケートをとった結果、学校から依頼されたことが無い学校 医がいたため、学校にアンケート結果を示して活動してもらうように働き かけている。 ○防煙教育には、教育委員会も関わっている。学校側の希望を教育委員会が 受け、医師会に依頼する。その後、医師会の中で誰を派遣するのか調整を 行って派遣している。このシステムができたのが 3~4 年前である(以前 は、学校が直接医師個人に依頼していた)。 ○教育委員会から医師会に依頼するシステムになってから、講師手当てが出 るようになった。それまではボランティア。学校医がなかなか増えないた め、医師会の禁煙ねット会員が派遣されている状況である。 ・ 禁煙ねットの活動 ○子どもをたばこの害から守ることを目的とする NPO 法人の団体。 ○禁煙は挫折しがちだが、マラソンに例えて、みんなで励ましながらやろう という考えで、さまざまな活動を行っている。 ○K 市医師会で、防煙教育を実施している医師は、ほぼこの禁煙ねットに加 入している。 ・ 成人式でのアンケート ○禁煙ねットの活動の一環として、ここ数年、成人式でアンケートを行って いる。今年の結果も、防煙教育を行ったグループのほうが喫煙率は少なか った(回収率 75 パーセント、nが少なく、統計的有意差は出せず)。この 結果から児童への防煙教育は効果があるのではないかと考えている。 ○成人式でアンケートを実施するのは非常に労力がかかった。市の協力を得 られるようになってからは、受付でアンケートを配ってもらい、アンケー ト記載場所にボランティアが誘導するなどして回収率を上げる工夫をして いる。 ○K 市の場合、成人式は小中学校区で行われるため、防煙教育を実施した学 校と実施していない学校を分けやすい。 ・ 禁煙ポスターコンテスト ○防煙教育を受けた児童が描いたたばこの害についてのポスターのコンテス トを 2 年に 1 回のペースで行っている。毎回 200 名ほどの児童から応募が
ある。コンテストで受賞したポスターは、県庁に、それ以外のポスターに ついても市役所、市内の店舗に貼る。 ○2008 年に K 市で禁煙学会があったため、それにあわせてポスターコンテス トを企画したが、その後も、禁煙ねットがこの活動を支援し続けている状 況。 (3)C 氏(医師) ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○スライドを使い講義形式で知識の伝授の後、グループワークを実施してい る。 ○時間は、40〜50 分、一コマ分である。 ○小学生高学年を対象にしている。理由は、小学校 6 年生から中学 2 年生に 初めて喫煙する率が高いためである。 ○一学年を対象とすることもあれば、1 クラスが対象の時もある。人数が少 ないほうが授業はやりやすい。 ・ 講義内容 ○スライドによる講義(たばこの害:健康・美容、ニコチン中毒) ○ロールプレイ(喫煙を進められた時の断り方) ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○講師に伝えたいという強い気持ちが必要。伝えたい気持ちがなければ、子 どもたちには何も伝わらない。 ○講師の力量が非常に求められる。児童とのキャッチボールができないと、 ただの棒読みでは意味がない。 ○スライドによる講義の際、あまり集中できていない児童をあえて、ロール プレイヤーに指名する。その際、その子のところに歩いて行って、肩を抱 いて前に連れてくるなどの演出をすると、全体の期待感が高まる。 ○授業中も前に立って話すのではなく、児童たちの間を歩きながら話すこと により、私語や手悪さを食い止めることができる。 ・ 教材の工夫 ○絵や動画を多めにすると、児童は飽きずに見るようだ。配布資料はなし。 ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について)
○父兄から、「親の生活習慣にまで口出しするのか」という苦情が何度かあ った。 ○たばこ会社勤務の親を持つ児童がいるかどうかは、事前に担任の先生に尋 ねるようにしている。 ・ その他、学校における出前講座を実施する上での留意事項やアドバイス ○松戸市医師会の取り組みは、多くの医師が講師になられるとすると、その 質の担保をどうしていくのかが課題だと思う。 (4)D 氏(医師)、E 氏(保健師)、F 氏(住民・活動家) ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○対象は小学校(5、6 年生)、中学校(1 年生)、高校。実施数は P 市 46 校、P 市外 40 校、計 86 校(盲・聾学校も含む)。中でも中学校を対象とす ることが多い。その他に看護学校 15 校。最初は数校から始め、徐々に実 施校数が増えていった。 ○参加体験型の授業を行っており、どうしても時間がかかってしまうので、 2 コマ分時間をいただいている。 ○参加体験型の理想受講者数は 120 人まで。180~200 人くらいが限界。 ○学校によって、6 クラス一緒に体育館での講義を希望する学校や、2 クラ ス×3 クールに分けて視聴覚室での講義を希望する学校などがある。 ○教育効果をねらうなら、少人数を対象に複数クールに分けて授業を行うこ とが望ましいのかもしれないが、その分、開業医のスケジュール調整が大 変になる。 ○防煙教育に協力してくださる職種としては、P 市内の学校の場合、NPO・P 市保健センター職員・市の教育委員会・学生ボランティア・実習中の看護 学生など。 ○P 市外の学校の場合は、保健所職員・市町の保健センター職員・地域病 院・学校薬剤師など。またエリアによって保健センターが主体となって健 康サポーター(一般人)をつくっているところもあり、そういった方が参 加してくださることもある。 ○基本的には医師を含めて 4 人くらいで学校に赴き、必要に応じて教員に協 力してもらいながら授業を行っている。地域の保健師は、ここ 3 年ほどは ほとんどの授業に 1~2 名参加してくださっている。 ・ 講義内容 ○プログラム
・講義 たばことはどんなものか、受動喫煙について、ニコチン依存症につい て、日本と外国の防煙に対する取り組みやたばこの売られ方の違い、 なぜたばこは売られているのか、など ・動画 日本と海外でのたばこのパッケージや値段の違い、各国の防煙キャン ペーンの CM、NHK の禁煙に関する番組の一部など ・児童生徒の記述・創作の時間 ・たばこを勧められたときの断り方(小学生向け) ・喫煙者に禁煙を促す際の優しい声かけとは ・防煙に関する川柳づくり、イラスト作成 ・クイズ、クロスワード など ・体験コーナー 喫煙者は塩分濃度の味覚判別がつきづらいという実験への参加、有害物 質 の展示品の見学、パネルクイズ ・まとめ、優秀作品(授業時間内に子どもたちが作った作品の中から)の 発表 ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○一方的に講義を行うのではなく、興味に応じた展示品の見学や実験への参 加、川柳やイラストの作成など、児童生徒自身の体験参加型の授業を実施 するようにしている。 ○最も重要なことは、子どもが防煙問題を“自分のこと”として考えられる ということであり、それを促すことを心がけている。 ○たばこによる癌罹患の可能性などの話は、児童生徒にとって、縁遠いこと のように受け取られてしまいがちである。したがって、息切れ、肌荒れと いった身近なことを中心に部活動や勉強、人付き合いへの影響という切り 口で話すようにしている。 ○動画をふんだんに用いて、授業を分かりやすく、子どもの興味を引くよう にしている。とにかく、動画はアテンションバリューが大きい。 ○スライドは、できるだけ文字を少なく、カラーを取り入れるなどして、見 やすくすることは重要。 ○講師は、ただスライドを読み上げるだけでなく、自分の言葉で伝えるよう 意識したほうが子どもには伝わりやすい。 ○医師一人が講義を行うのではなく、多職種のスタッフで分担して話をする ようにしている。さまざまな立場のさまざまな年代の人がリレートークで
講義を行うことで、講義内容がバラエティ豊かになるほか、子どもが地域 の医療職・福祉職などを知る機会にもなる。 ○創作物で優秀賞を取った児童生徒には、賞品(行政が作ったグッズ等)を 渡している。 ○スライドや資料の漢字表記を小学生向けにひらがなに改めるなどの配慮は しているが、基本的にスライドの内容は小中高で共通している。児童生徒 によっては、小学校で聞いた講義を中学や高校でまた聞くことになるが、 「小学校のときはこの部分が印象に残ったけれど、高校に入ってからもう 一度聞いたら今度はこの部分が印象に残った」という感想や「以前も聞い たから内容を覚えた」という感想が挙がっている。繰り返し子どもに防煙 の重要性を伝えることが大切なのだと感じている。 ・ 教材の工夫 ○動画をふんだんに用いて、授業を分かりやすく、子どもの興味を引くよう にしている。 ○たばこバルーン(1 日 20 本×1 年(7,300 本)分のたばこの量をあらわす 風 船模型)、タール瓶(1 日 20 本吸う喫煙者が、1 年の間に肺に取り込 む発がん性物質の量を示す)、肺気腫モデルなど、たばこが人体に及ぼす 影響を視覚的に訴える教材を導入すると、児童生徒の理解を促進すること に大いに貢献してくれる。 ○児童生徒の興味・関心に応じた 4 つの展示コーナーの設置。 ・喫煙が与える体への影響(肺気腫モデル、喫煙者にはわかりにくい食塩 水の濃度判別) ・卒煙支援(禁煙グッズ、禁煙宣言書配布) ・世界と日本の防煙取り組みの違い(たばこのパッケージ、価格の案内な ど) ・たばこには何が入っているか(有害物質の展示品の見学) ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について) ○誰かを悪者にしないということは徹底している。たばこを作る人、売る人 にも生活があり、大人たちはたばこ販売のシステムを容易には変えられな いことを児童生徒に説明する。その上で、システムを変える唯一の方法が “あなたたちが吸わない”という選択であることをきちんと伝える(たば こ製造業やたばこを販売する小売店の子どもたちの心情にも配慮する)。
○喫煙者は意志の弱い人でなく、依存状態にある犠牲者・被害者であること を説明し、身近に喫煙者がいる子どもが、やめられない人に対してネガテ ィブな印象を持たないようにする。 ○喫煙の文化がなぜ脈々と続いているのかということや、その文化を創り上 げた国に問題があるというスタンスで話している。喫煙者は悪者ではな く、たばこ文化、たばこ販売システムの被害者という位置づけで話すよう にしている。 ○「未成年は吸ってはいけない」と言われることで、むしろ吸いたくなる子 どもや「大人になったら吸っていいのか」という考えが生まれる可能性も ある。「たばこを吸ってはいけない」と頭ごなしに価値観を押し付けるの ではなく、講義・体験・参加を通じてたばこに対する“自分の考え”を深 めてもらうようにしている。 ・ その他、学校における出前講座を実施するうえでの留意事項やアドバイス ○児童生徒への講義を通して、教員にもたばこについて改めて考えてもらう ように意識し、幅広い世代に防煙教育を行っていくことを心がけている。 ○小学校、中学校、高校、大学など、繰り返し教育の機会を設けて伝えてい くことが大切であることを体感しており、そのシステム作りを模索してい る。 ○子どもに書いてもらうアンケートは、誘導的な選択方式でなく記述式にし たほうが子どもに何が伝わった・伝わっていなかったかが分かりやすい。 その結果を踏まえつつ授業の内容を検討していくことで、より良い講義が つくられていくと考えている。 ○喫煙している生徒とどう向き合えるのかは、学校の方針に左右されること もある(喫煙生徒の存在をオープンにしたうえで禁煙を促す学校もあれ ば、喫煙の事実を伏せようとする学校もある)。いずれにせよ、その児童 生徒のことを心配して、喫煙を目指して一緒に頑張ってくれる大人が地域 にいるということを伝えることが大事だと思う。 ○防煙教育の実施校が増えるに従い、医師のスケジュール調整が難しくなっ てくる。学校医とも協力しておこなうことが望ましいが、その場合、学校 医が講演を行える力をつけていくことが必要であり、今後の課題でもあ る。 ○医師会が主体となれば、行政や他職種との連携もとりやすいように感じ る。(まちっこプロジェクトは)非常に良い試みだと思う。 ○医師だけに負担が集中しないよう、今後は、医療に携わっている人々すべ てが参加していけるようなシステムを考えていきたい。看護師・保健師は
既に参加しているが、今後は学校薬剤師などの参加も期待している。ま た、多人数で取り組むことでスタッフ養成も自然と行えるのではないかと 考えている。 (5)G 氏(大学教員) ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○小学生向けに、防煙および食育の授業を行っている。 ○1 コマで授業を行う。 ○1 コマ 40〜45 分しかない。加えて最初と最後は学校の先生方の話などが入 る ため、実際に授業ができるのは 35 分くらいである。 ○2 コマ連続になると 1 コマ目終了時にチャイムが鳴り、児童生徒の集中力 が下がるうえ、オーバーワークになるように感じる。したがって、1 コマ が適切ではないかと考えている。 ○小学校の場合、食育教育は小学 6 年生、防煙教育は小学 5 年生をメインに 行う。ただし中学生になると喫煙経験者が増えるため、それを予防する意 味で小学 6 年生を対象に防煙教育を行うこともある。 ○受講者数の単位が大きいと伝わりにくいので、クラスごとに分けて教室で 授業を行うようにしている。学校によっては、音楽室や視聴学室で 3 クラ ス合同の授業を行うことはある。 ○中学校の場合は、体育館などで 3 学年に対して授業を行うことが多い。し かし、防煙教育に関しては、先輩に喫煙を誘われる機会の多い中学 1 年を メインに行っても良いように感じている。 ・ 講義内容 ○スライドを使った少人数でのレクチャー方式が望ましい。 ○児童生徒が参加できるクイズや寸劇も取り入れている。スライドの枚数は 53 枚くらいで文字数は少なく、一言しか書いてないものもある。 ○授業の最後の方に、「お家の人にも教えてあげましょう」というスライド を入れている(宿題という形ではない)。追跡調査の結果、伝えた子ども の親はなんらかの行動変容を起こしていることが分かっている。 ○授業の流れ(食育、防煙共通) ・演者の自己紹介、全体説明(約 10 分) ・クイズなど ・補足説明 ・ロールプレイ(防煙)/個人ワーク(食育)(10 分弱) ・まとめ
※子どもたちに質問してもらい、それに答える形で授業を進めると理解度 も深まる。 ○授業の具体的内容(食育) ・おやつは、どんな食べ方をする? ・適切なおやつの量(カロリー、塩分量) ・適切におやつをとる方法、飲み物(ジュース)との飲み合わせ ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○事前アンケートの実施は、リサーチ目的ではあるが同時に、子どもたちに とっては事前学習となるのではと考えている。 ○アニメーションをつけたパワーポイントは小学生にウケが良い。言葉より もイラストなどを見せたほうが子どもは理解しやすいように感じる。 ○対象学年の子どもが読める漢字・読めない漢字に配慮したスライド作りは 重要である。熟語はあまり使わない。 ○話すスピードに注意する。低年齢ほど、ゆっくりと話した方が良い。 ○クイズを入れたり挙手を促したり、⚪×問題を出して児童生徒を動かした り、声を出してもらったりといった要素を取り入れることで、子どもたち の興味関心が高まる。ただし、児童生徒に動いてもらう際は、移動に時間 がかからないような工夫も必要である。 ○人気アニメのキャラクター(喫煙者)を紹介して、それらのキャラクター が海外では非喫煙者に設定変更されていたり(タバコではなく、棒付の飴 をくわえているなど)、喫煙シーンがカットされている事実を伝える。子 ども達にとって身近な要素、普段の授業では目にしない要素を取り入れつ つ話をすることで、子どもの聞く態度が変わる。 ○「喫煙を誘われたらどうする?」というテーマで寸劇を入れて、子どもに 断る人の役をやってもらったりもしている。その際は演者の説明時間を短 くし、子ども自身に考えてもらいロールプレイをやってもらうようにして いる。 ○演者がいかにエンターテイナーになれるかで、子どもの理解度が変わって くる。児童生徒に「教える」だけでなく、「授業に参加してもらいながら ともに考える」方向で進めると良いように思う。 ○児童生徒は、多くのことは覚えられないので、今日覚えてほしいこと 3 つ (防煙の場合はたばこの害、たばこの依存性、断り方など)を決め、授業 中に何度も子ども達に確認して、覚えてもらうようにしている。また、授 業後のアンケートにも書いてもらうなど、なるべく記憶に残るように工夫 している。
○体育館で行うと、スライドも見づらく、こちらの言うことが伝わっていな い感覚がある。その場合、前で話すのではなく、子どもたちの間に入って 話をするなどの工夫をしている。 ・ 教材の工夫 ○スライドにイラストやアニメーションを取り入れると子どもは喜ぶ。遊び 心 を持ってスライド作りを行った方が良い。 ○視覚的に伝わるように工夫している(塩分や糖分含有量を星マークで表す など)。 ○学校ですでに教えている内容は盛り込まず、特に教科書や資料集に掲載さ れている画像などを使ってもあまり意味がない。 ○できるだけ具体的に、子どもたちの普段の生活に即した内容を取り入れる ようにしている(数日前に食べたおやつの袋を持ってきてもらう、おやつ の袋に表示された栄養表示を示しながら適切な摂りかたを考える、身近に ある小売店(コンビニやファーストフード店)で売られているおやつのカ ロリーを示す、など)。 ○授業後に⚪×クイズを配布し、正解者にはおやつマイスター認定カード (T大で作成)を渡すよう担任の先生に依頼している。 ○授業後に、テーマに沿った既存の小冊子を配布することもある。 ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について) ○JT 関係に親が勤めている子どもやたばこ農家、たばこ販売店の子どももい るため、喫煙者を悪者にはしないように気をつけている。 ○寸劇の中で、たばこを勧める役は子どもにやらせないように配慮してい る。児童生徒側(学校教職員も含む)から喫煙を誘う言葉は発せさせない ようにしている。 ○子どもにとって衝撃的な写真を使用する際は、事前に「こういう写真を出 すから、嫌な子は目を閉じていてね」等の声掛けを行うようにしている。 ・ その他、学校における出前講座を実施するうえでの留意事項やアドバイス ○子どもが言うことで親が変わる、ということは大いにある。松戸市の“親 をまきこむ、地域をまきこむ”という組織的な取り組みはとても良いアイ デアだと思う。 ○30 代、40 代の女性の喫煙率が問題になっているが、その年代の女性に一 番近い存在が、小中学生の子どもたちである。子どもたちを禁煙のツール として使うのはとても効果的であると考えている。
○担任の先生や校長先生が喫煙者の場合、授業に積極的に関わってくれない こともあるため、その場合、養護教諭の先生などに関わってもらう。 ○授業を聞いた直後に聴講者の意識が変わるのは当然だが、数か月経過する とその意識はかなり薄れてしまう。授業がもたらす意識変化に関しては、 時間をかけて追跡調査をしてもいいのではないかと思う。 ・ 学校との連携の仕方について ○学校によって授業に対する取り組み方は様々である。一生懸命取り組んで くれる学校もあればそうでない学校もある。講師は、くじけない気持ちを もつことが大切。 ○学校からのフィードバックを共有する体制が取れると、実施の意味や意義 を考えることができる貴重な機会になると思う。 ○学校の先生とのやりとりはあまり密に行っていない。学校教職員の負担を できるだけ増やさないよう必要最低限のやりとりを行っている。教育委員 会が入っていればまた違うのかもしれない。養護教諭はキーパーソンであ るが、最終決定者ではないのでやりとりに時間がかかることも多い。 ○学校側の設備は古い場合もあるので、プロジェクターと PC の相性が悪か ったりすることがある。プロジェクターと PC は持ち込んだ方が良い。 ○教室で授業を行う場合、前の授業との兼ね合いで 10 分前からしか会場に 入れない。スムーズに準備ができるような体制作りが大切だと思う。 ○授業終了時間が近づくと子どもたちはそわそわし始めるし、授業が延長す ると集中力が切れる。授業終了 2 分前くらいに終わるのが望ましい。時間 を守ることが大切。 ・ T 大学、T 市などの取り組み ○大学生(医学生など)に、小中学校の授業に参加してもらう取り組みを 5 年ほど前から T 市で行っている。児童生徒は、年齢の近い兄さん、お姉さ んから話を聞く機会を得ることができる。また大学生にとっても“伝える こと”を学ぶ場となる。T 大学の場合、学生には、オリジナルでスライド を作らせ、教員が監督を行う。 ○医師は病気を治すだけでなく、健康を維持することも役割の一つ。健康教 育の重要性を学生の頃から実感してもらう意味でも、大学生が小中学校の 授業に参加することは意義が大きい。 ○医学部 3 年生に対して、ヘルスプロモーションの授業を行い、それを受講 した医学生が市民に対して授業を行うという取り組みも行っている。
○児童生徒だけでなく広く市民に健康教育を行う事業も増えつつある。T 市 では今年度から、歯科医師が保育園で保護者に対して口腔ケアに関する授 業を行う取り組みも開始した。 (6)H 医師会 ・ 対象学年と受講者数 ○(対象学年) 県内の中学1年生の生徒及び小学6年生の児童 学年ごとに実施 ○(受講者数) 中学1年生:10,629 人(全員) 小学6年生:8,743 人(全員)(平成25 年度実績) ・ 講義内容 ○防煙教育:知らないことの怖さ。受動喫煙。 ○認知症:脳の疾病であること。人間として認めること。 ○いのちの大切さ:人間ひとり存在するということは奇跡に近いこと。 ○ひとりひとり違うこと。 ○相手に対するおもいやり。 ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○生徒の理解度に合わせるため、防煙教育スライドを「小学生低学年」「小 学生高学年」、「中学生用」に分けて作成、使用している。 ・ 教材の工夫 ○県下統一教材として、S県医師会喫煙対策委員会で作成、改訂している (小学生低学年、高学年、中学生用)。 ○防煙教育スライドは本編及び資料編を作成しており、使用者によりスライ ドを選択できる。 ○S県医師会HPに防煙教育スライドを掲載している。 ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について) ○喫煙している先生を軽蔑してはいけない(20歳以上は法律で吸ってもよい ことになっている)。 ○誘われても断る勇気が大切だということを伝える。誘う人が悪いのではな い。
・ その他、学校における健康講座を実施する上での留意事項 ○学校側の協力と熱意が必要で、特に性教育に関しては事前に話し合うこと が大切。 ○学校教育では、講師陣の質の均一性が確保できていることは非常に重要。 (7)I 市福祉こども部 福祉総合相談課 ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○小学校 6 年生、中学 3 年生を主な対象としている。 ○約 8 年前、ある小学校 1 校から認知症の出前講座はスタートした。数年間 は、この小学校 1 校のみ、その後徐々に活動の範囲を広げ、現在、市内の 全小学校(12 校)および全中学校(4 校)で、認知症に関する出前講座を 展開している(各校 1 学年 1~2 クラス、多い学校で 3 クラス)。 ○双方向の授業でないと教育効果が期待できないため、対象は 1 クラス(30 ~35 人)、多くて 2 クラスとしている。 ○小学生は 1 コマ(60 分)、中学生は 2 コマをもらって講義をすることが多 い。 ○市の保健師と市の認知症キャラバンメイトの方々5~6 名、時には地域包括 支 援センターの職員らが一緒に学校での出前講座を行っている。 ・ 講義内容 ○「認知症を正しく理解してもらう」「高齢者を敬う心を育てる」「高齢者が 加齢の過程でできなくなることを自分たち地域住民皆が支えるという助け 合いの意識の醸成」をこの出前講座の目的としている。 ○小中学校共に、事前学習の宿題を出すようにしている(『いつだって心は 生きている』1)の第 2 話「くしゃくしゃ笑顔と や・さ・し顔」の読書感 想文を宿題とする)。 ○プログラム ・小学 6 年生 ‐ 認知症はどんな病気? ‐ 認知症の方ができることとできづらいこと ‐ 認知症の方々に自分たちができることとは? ・中学 3 年生 ‐ 認知症の方々の人格を尊重しながら接するには? ‐ 認知症の方ができることとできづらいこと ‐ 認知症の方々に必要な社会資源とは?
‐ 介護者の方々の思いと苦労 ‐ 認知症の方々に自分たちができることとは? ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○グループワークを必ず取り入れるようにしており、1~2 グループ(1 グル ープ 5~6 人)に 1 人の大人のファシリテーターがつくような形にしてい る。ファシリテーターが、グループ内の理解度をみながら、丁寧に各生徒 をサポートしつつ進めることができるので、手間暇はかかるが、講師側・ 生徒側ともに満足度が高く、この方法で今後も続けたいと考えている。 ○中学生は年代的に、自分の気持ちや考えを素直に話したがらない子もいる が、各グループのファシリテーターが丁寧に関わることで、うまくその子 の考えを引き出すこともできるようになってきている。 ・ 教材の工夫 ○小学生は紙芝居、中学生は認知症者とその介護者のインタビューの動画な ど、理解を助ける教材を使うようにしている。 ○小学生は紙芝居のストーリーの中で、また中学生は当事者の声から、大い に 感じ、大いに考えることができていると感じる。 ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について) ○最近は、高齢者と同居している児童生徒は、かなり少ない。しかし、中に は認知症者と同居していたり、祖父母が認知症という子もいる。そのあた りの情報共有も含め、事前に学校の各担任の先生方と内容の打ち合わせ、 すり合わせを行うことは非常に重要。 ○しかし、出前講座の内容的に、認知症者のマイナス面ではなく、できるこ とを支える、また支えるために自分たちには何ができるだろうということ を主体的に考えてもらうことを柱としているので、特別な配慮をするとい うことは今までない。また、認知症者と同居している児童生徒がいること がわかっていても、無理にその子の話を引き出そうとすることは決してし ないようにしている。 ○中には、グループワークの際に、「おばあちゃんが認知症で、お母さんが たいへんやねん」という話を自発的にする子もいる。その場合は、そのグ ループのファシリテーターの判断で、その子の話をグループで共有し、お ばあちゃんのために何ができるか、お母さんにどんな言葉をかけてあげた らいいかなどを話し合うこともある。
・ その他、学校における出前講座を実施する上での留意事項やアドバイス ○貴重な授業時間を割いて実施する出前講座なので、学校の先生と共に学習 のねらい、何を伝えたいかなど、綿密な打ち合わせをすることが重要。 ○また、出前講座自体も、導入部分や司会は担任の先生に担っていただくな ど、協働体制の構築は不可欠だと考えている。外部講師が来て勝手にやっ ているというのでは、児童生徒にとってもその場限りのことになってしま う。 ○小中学校への出前授業は、子どもたち自らができる認知症者への支援を考 えるという地域住民への啓発の意義も大きい。必ず、授業内容は家族に伝 達するよう児童生徒には話すようにしている。また、出前講座の感想や今 後自分ができることに関して各自記載してもらい提出をお願いしている。 ○毎月、ニュースレターを発行し、どこの学校のどのクラスで出前講座を し、提出された児童生徒たちの感想や今後に向けての気持ちを紹介し、保 護者や地域に発信している。まさに草の根運動だが、いずれ出前講座を受 講した子どもたちが地域に大きな実を結んでくれると信じている。 ○書籍 ・認知症ケア研究会著 『いつだって心は生きている ー大切なものを見 つけようー』中央法規出版(2006 年) 認知症を親子で学ぶための絵本教材。「認知症」というテーマを通して、 人間の尊さやいのちの大切さ、家族・地域との絆づくりなど、「大切なも の」を子どもたちに伝えていく。また、大人向けにも解説を収載。子ども たちに伝えるときのポイントや本書の使い方などについて解説する。 ・第 1 章 3 つの物語 ‐ 第 1 話 「こわい夢」 ‐ 第 2 話 「くしゃくしゃ笑顔と や・さ・し顔」 ‐ 第 3 話 「ぼくのおじいさんは冒険家」 ・第 2 章 解説 -「認知症」ってなあに? ・第 3 章 子どもたちと一緒に、語り合うために… (8)J市社会福祉協議会 ・ J市の子どもたちを含む地域住民を巻き込んだ認知症に関する取り組みの 紹介 ○J市の対象地区には、「地域ケアプラザ」という施設が 8 か所ある(中学 校区に一つずつ整備されている)。
○地域ケアプラザは、基幹型の地域包括ケアセンター機能を持ち、医療福祉 コーディネーターという地域横断的な活動をする人材が配置されている。 各地域ケアプラザは、市内各区に設置された社会福祉協議会とも密な連携 を取りながら活動している。 ○社会福祉協議会は、地域の社会福祉教育を担う使命があり、学校、地元企 業からの講演依頼が頻繁にある。最近は、郵便局、銀行、信用金庫、商工 会などから、認知症の高齢者への対応方法を教授してほしいという依頼が 多くなっていた。 ○一方、認知症キャラバンの講習を市から委託されている地域ケアプラザの 悩みは、講習を受けた認知症キャラバンメイトの方々がその知識を地域に 還元できる仕組みができないかということであった。 ○こうした背景があり、J市の主導で、認知症キャラバンメイトの方々を中 心に認知症講座を開催するというJ市全体の現在のシステムが構築され た。 ○J市は、まず講座で用いる「寸劇」のシナリオ、基本的知識の資料を含 む、ベースとなるプログラムを作成し、各地域ケアプラザに提示した(ベ ースとなる教育資料は、各地域ケアプラザの裁量で修正や追加は自由とさ れている)。 ○小中学校からの社会福祉教育の依頼は、秋に集中する。学校においても、 キャラバンメイトの方々が中心になり認知症に関する出前講座を行っても らっている。 ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○学校からの依頼によって、対象人数は異なる。クラス単位での講座を依頼 されることもあれば、学年ごとという場合もある。さすがに全校生徒対象 にというご依頼は、教育効果が薄れるという点で、対象人数を絞っていた だくことをお願いするようにしている。 ○中学校からの依頼が多かったが、最近は小学校からの依頼も多い。小学生 には、より易しい内容にするなどの工夫をしている。 ○講義形態は、講義+寸劇+グループワークを基本としている。 ・ 講義内容 ○キャラバンメイトと専門職がセットになって、出前講座を行うことが多 い。 ○まずは、専門職(保健師・看護師・社会福祉士が多い)から、認知症の基 礎知識を講義。その後、認知症キャラバンメイトの方々の寸劇を披露、そ
の寸劇を見てのグループワークを実施する。1~2 グループに一人配置され たキャラバンメイトは、グループワークをファシリテートする。 ○寸劇の内容は、例えば、可燃ごみの日に不燃物を持ってきた方にどう接し たらいいか、その方にどんなサポートが自分にはできるかなどを話し合っ てもらう。 ○寸劇の内容は、各地域ケアプラザごとに、工夫が凝らされ、前述のゴミ出 しだけでなく、道が分からなくなっている方、同じことを何度もお話しさ れる方、取られ妄想が出てきた方などへの対応を考えるなどのバージョン がある。 ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○寸劇は、生徒たちの受けがとてもいい。また、回を重ねるごとに、キャラ バンメイトの方々の演技や小道具の質に磨きがかかり、生徒たちが自分た ちのこととして真剣に考えるきっかけとして大きな役割を果たしている。 ○寸劇に、学校の先生が出演すると、これはものすごく盛り上がる。生徒た ちもより熱心に寸劇を見るようになる。 ○また、グループワークを行うことは非常に大事だと考えている。ただ話を 聞くだけではなく、自分で考えるということが重要である。 ○キャラバンメイトの方々にとっても、子どもたちとのこうした交流が「や りがい」に繋がっているとのことで、やはり大事な要素なのだと確信して いる。 ・ 教材の工夫 ○J市がベースとなる教材を提示してくれたのは有難かった。 ○専門職が担当することが多い認知症の基礎知識の部分に関しても、プレゼ ン内容のシナリオがあるため、質の標準化という点でも理に適っていると 感じている。 ・ 講義をするにあたり気をつけるべき点(特に倫理的な配慮について) ○認知症の方々への理解を深めて、自分たちに何ができるかを考えるという コンセプトなので、特段、倫理的配慮はしていない。 ・ その他、学校における出前講座を実施する上での留意事項やアドバイス ○1 回きりの学校での認知症講座だけで終わらせるのはもったいないという 声が、続けるうちに学校の先生やキャラバンメイトの方々からあがるよう になった。そこで、認知症講座で基本的な知識を習得し、自分たちができ
ることを考えた生徒たちは、第 2 弾として、地域ケアプラザに併設された デイサービスに出向き、認知症者を含む高齢者との交流体験を最近始めた ところである。 ○「その方の目を見て話そうね」「見えないところから声をかけるとびっく りなさる方もいらっしゃるから、必ずその方の前に座って声をかけてね」 などといった注意事項を生徒たちはすんなり受け入れ実施している。施設 職員よりも上手に認知症高齢者とコミュニケーションをとる子どもたちも 多い。 ○医師会がこのような事業を始められるとは、本当に羨ましい。新たな地域 のつながりをつくる仕組みとして先駆けとなる活動になると思う。 ○子どもたちにとっても、お医者さんが教えてくれた、お医者さんから教え てもらった、お医者さんと話をしたという経験は、それ自体が印象的な経 験になると思うし、地域住民の意識も高まっていくと思う。 (9)X 市保健福祉部 福祉総合相談課 地域支援係 ・ 講義形態、対象学年と受講者数 ○学校の教師、行政、そして認知症キャラバンメイトが一緒に作る講座とし て、小学校、中学校、高校で出前授業を行っている。 ○小学生は 4~6 年生、中学生は 1~3 年生を対象にしている。現在、対象学 校を増やしていっているところ。 ○教育効果をねらい、グループワークやロールプレイを取り入れているた め、できる限り 1 クラス毎に授業を行うようにしている。 ○中学生は 2 コマ、小学生は 1 コマで実施する。 ○高校については、夏休みに有志の生徒たちに授業を行うようにしている。 ・ 講義内容 ○学習のねらい ・認知症について知る (加齢に伴う脳の病変であること、身近で誰にも起こりうる病気であるこ と、感情があることを知る) ○認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく笑顔で暮らすために地域の 一員として自分たちに出来ることが何かを考える。 ○中学生のプログラムの詳細
内容 詳細 グループワーク 1 「認知症のイメージ」 あなたが今思う認知症のイメージは? 認知症と聞いて何を思いますか? 認知症講話 キャラバンメイトによる講話。 グループワークの「認知症のイメージ」と認知症パ ンフレットにより、認知症を理解する。 ビデオ鑑賞 「認知症サポーター養成講座用ビデオ」 認 知 症患 者への対応 、認知 症患 者 の気持ちを考え る。 グループワーク 2 ロールプレイ 自分が地域の一員として できること 認知症高齢者に自分だったら何ができるか… ゴミ出しのシーン、お店での対応のシーンなど具体 的なシチュエーションで、よい対応、悪い対応、そ して自分に何ができるかをグループで考える。 実際に対応してみよう…ロールプレイ まとめ 認 知 症高 齢 者の幸せと は … 認知症になっても住み 慣 れ た地 域 で安心して 自分らしく 笑顔で暮らすこ と。 一生懸命考えたこと=「それこそが福祉である」。 ○小学生のプログラムの概要 時間 内容 3 分 自己紹介 10 分 DVD 大好きなおばあちゃん(N 市社会福祉協 会のもの) 10 分 DVD のおばあちゃんから認知症の症状を学ぶ 10 分 認知症高齢者の気持ちを考える 10 分 自分たちが認知症の方々にできることを考え る 2 分 学習のまとめ ・ 児童生徒の理解度に合わせた進め方の工夫、効果的な教授法 ○中学生のグループワーク・ロールプレイの設定は、例えば以下のようなも のを提示している。こうしたシチュエーションの提示によって、生徒たち は身近な問題として真剣に考えることができる。
「今日は校外学習で道の駅に出店しました。多くのお客さんが販売ブー スに来てくださいました。困難なことがあったら助けてくださると M 先生 が店内にいます。でもできるだけ生徒でやり遂げたいと思っていす。認知 症を発症しているお客さんが Q 中学校のお店に来てくださいました。商品 を気に入ってもらえたようです。ところが支払いをどこでするのか迷って いるようです。支払いも認知症があるため困難なことが予想できます。お 店を担当しているあなたはどうしますか?」 「学校帰りに近所の N さんに「お帰りなさい」と声をかけられ挨拶をし た後に、N さんの隣の家に住む K さんに出会いました。K さんは認知症が あります。大きなゴミ袋を持っていて「ゴミはどうするの?」と聞いてき ます。どう考えても今日はゴミの日ではなく、しかももう夕方です。でも ゴミを出したいようで困っています。あなたならどうしますか?」 ○小学生でも、認知症を正しく理解できれば、自分たちができることはなん だろう?と真剣に考え、「怒ったりしないで優しくしてあげたい」、「いろ んなことをお話ししてあげたい」、「お散歩に付き添ってあげたい」、「周り の人たちにも認知症についてわかってもらいたい」などという意見があが ってくる。DVD に出てくるおばあちゃんが、いつも通学路で会うおばあち ゃんや近所でご挨拶するおばあちゃんと重なると、認知症が子どもたちに とってとても身近な問題になる。身近な問題として捉えてもらう工夫が一 番大事だと考えている。 ○この取り組みは、教師と行政とキャラバンメイトでつくる出前講座で、比 較的多くの協力者を得られるので、グループワークやロールプレイを可能 にしていると思う。講師陣が少なければ、やはりこれらは難しいと思う。 しかし、子どもたち一人一人にきちんと伝え、そして考えてもらうには、 グループワークやロールプレイは非常に効果的だと思う。 ○キャラバンの方々は一般の方々。老若男女いらっしゃる。彼らもまた、こ の活動を生きがいに、また生活の糧にしている。地域はね、こうしてつな がっているんですよ、やっぱりね。 ○授業で学んだものを活かさないのはもったいない。受講した小中学生のた めに、市内のデイサービスなどでの「学生ふれあい体験」「ボランティ ア」を積極的に受けるようにしている。学びが継続できてこそ子どもたち が地域の一員として何ができるのかを本気で考え実施していけるのではな いかと考えている。 ・ 教材の工夫