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南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第二報 沖永良部島および奄美大島の住宅の温熱環境実測調査

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(1)

南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第

二報 沖永良部島および奄美大島の住宅の温熱環境

実測調査

著者

黒木 荘一郎, 赤坂 裕, 岩下 剛, 小原 聡司, 山中

博志

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

37

ページ

159-166

別言語のタイトル

A Field Study on the Thermal Environment of

Dwellings in Nansei Islands : Part 2 . Field

Measurement on Thermal Environment at Detached

Dwellings in Okierabu and Amami Island

(2)

南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第

二報 沖永良部島および奄美大島の住宅の温熱環境

実測調査

著者

黒木 荘一郎, 赤坂 裕, 岩下 剛, 小原 聡司, 山中

博志

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

37

ページ

159-166

別言語のタイトル

A Field Study on the Thermal Environment of

Dwellings in Nansei Islands : Part 2 . Field

Measurement on Thermal Environment at Detached

Dwellings in Okierabu and Amami Island

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黒 木 荘 一 郎 ・ 赤 坂 裕 ・ 岩 下

小 原 聡 司 ・ 山 中 博 志

(受理平成7年5月31日)

AFieldStudyontheThermalEnvironmentofDwellings

inNanseiIslands

Part2.FieldMeasurementonThermalEnvironmentatDetachedDwellings

inOkierabuandAmamiIsland

SoichiroKUROKI,HiroshiAKASAKA,GolWASHITA,

SatoshiOHARAandHiroshiYAMANAKA

南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究

第二報沖永良部島および奄美大島の住宅の温熱環境実測調査

の屋根・天井断熱仕様の異なる住宅3棟の測定も行い, その影響を比較検討したので報告する。調査対象とし た島と測定場所の位置を図−1に示す。

2.沖永良部島の住宅の温熱環境に関する

実 測 調 査

2.1沖永良部島の調査対象住宅の概要 調査した住宅の内,和泊町のRC造教員用住宅の 新・旧2棟と伝統的民家1棟について温熱環境を比較 する。住宅仕様の概要は下記の通りである。図−2∼ 図−4に各棟の平面図・断面図を示す。また写真1∼4 に住宅外観と新RC棟の小屋裏内部を示す。 ○新RC棟(和泊町皆川,RC造平屋) 勾配屋根スラブ(@120+モルタル@30,切妻) には発泡ポリスチレン25mmが打込んであり,天井断 熱は無い。パッシブクーリング手法として,押入下 部の換気ガラリ(高さ115m,無双窓仕様)から床 下冷気を室内に導入し,室内→天井換気レジスター (150×200)→小屋根→妻換気口及び軒下通気管の経

1 . 緒

一一一巨 鹿児島県は南西諸島をいれると南北約600kmにおよ ぶ広さを有しており,それに応じて気候特性も大きく 異なっている。第一報')では奄美大島および喜界島の 住宅を対象として夏季および冬季の温熱環境について 報告した。奄美大島では鹿児島県住宅供給公社の協力 により,2棟の新築住宅を提供して頂き,1棟は標準

仕様,他棟は屋根・周壁断熱を取り入れた断熱仕様と

して,屋根断熱と日射遮蔽効果に関して調査を行った。 また,喜界島では公営住宅の木造とRC造の2棟につ いて,棟換気・屋根断熱・床下冷気導入の効果の比較 実測を行った。これと同時に各島の伝統的な民家につ いても調査を行い,その温熱居住環境の実態を検討し てきた。 今回,さらに南方に位置する沖永良部島の和泊町 (27.26'N,128.42'E)の2棟の鉄筋コンクリート造戸 建て住宅と伝統的民家を対象とした同様の調査を行っ

た。また,奄美大島の名瀬市(28.23'N,129.30'E)

(4)

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鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 160 1 2 0 0 ○○の 図−1沖永良部と奄美大島の位置図 図−2新RC造棟平面図・断面図 図 − 3 旧 R C 造 棟 平 面 図 ・ 断 面 図

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¥ 16] 琴: 路で換気を考慮している(図−2参照)。南側の軒の 出は700mm,床高は600mmである。 居住条件は開口部を就寝時に閉め,測定室(和室) にはエアコンが設置されている。なお,押入下換気 ガラリは害虫等の進入に対する不安感があるという ことで全日閉じられていた。 ○旧RC棟(和泊町皆川,RC造平屋) 本棟は新RC棟の南側に約10m離れて位置してい る。屋根スラブは平坦であり,発泡ポリスチレン25 mmを屋根断熱として打込んでいる。小屋裏通気には 通気管を使用している。南側の軒の出は1200mm,床 高700mmである。居住条件は昼間不在のため閉めき られがちであり,測定室(和室)にエアコンは無い。 ○I別邸(和泊町和泊,木造平屋,築50年) 田の字型間取りの気密性の低い伝統民家である。 屋根はトタン葺きであり,日射遮熱対策として木毛 セメント板を裏打ちしているのが特徴である。床下 は全面開放であり,敷地周囲にはガジュマル・ふぐ 木等の高木が植栽され防風林となっている。 2.2測定方法 測定点の位置を図−2∼図−4に●印で示す。データ 収録には,新・旧RC棟では30chデータロガー(サー モダックE,江藤電気)を使用した。センサーは温度 :0.3mm#T熱電対,日射量:シリコン光電池(LI-200S,LI-COR)を用いた。I別邸では自記温湿度計 を2台使用し,アスマン通風乾湿計で校正を行った。 外気温は通気を考慮したアルミ箔製カバーで覆った熱 電 対 を 旧 R C 棟 北 側 窓 の 庇 下 に 設 置 し た 。 日 射 量 は 旧RC棟パラペット頂部で計測した。 黒 木 ・ 赤 坂 ・ 岩 下 ・ 小 原 ・ 山 中 : 南 西 諸 島 の 住 宅 の 温 熱 環 境 に 関 す る 調 査 研 究 写 真 2 新 教 貝 住 宅 小 屋 製 内 界 確 かなり広い小屋裏である。しかし,唯式柵造のため束IjIi を2分する形で界壁がある。界壁の通気孔2個と天井而に 換気レジスタが見える。

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(床の冊170画) 図−41別邸平ImIxIoI祈面lxl 写 真 4 1 別 邸 外 観 写 真 1 教 員 住 宅 外 観 新教員住宅と旧教員住宅は,約10mの│冊隔で隣接している。 # 写 真 3 新 教 貝 住 宅 小 屋 裏 ( 妻 壁 方 向 ) 姿換気1.1(の100mmが3個)が見える。 一 一 = = 戸 口 孝 毒 羅 鋳一.一一一一 匙 罰 駒 函

(6)

162 8 / 0 3 8 / 0 4 8 / 0 5 8 / 0 6 図−5南側居室空気温度の比較(夏季) 測定は新・旧RC造住宅では居住状態,伝統的民家 では非居住状態(管理人が日中窓を開ける)で行った。 窓の開閉・エアコンの使用時間帯を調査用紙に記入し てもらい考察の参考とした。 2.3沖永良部島での測定結果と考察 2.3.1南側居室空気温度の比較 夏季実測期間のうち8月3日から6日の4日間の測 定結果を図−5と図−7に示す。図−5の日射量から8月 4日は曇天日であり,前線の通過による外気温の急激 な変化(約5℃低下)が認められる。他の3日間は晴 天日である。 3棟の居室空気温度の比較を図−5に示す。新RC 棟の室温の急激な変化はエアコン使用のためである。 旧棟の測定室はほとんど使用されず全日閉めきった状 態 に 近 い 。 新 R C 棟 で は 8 月 5 日 の 午 後 以 降 不 在 の ため開口部は全日閉めきられていた。晴天日における RC両棟の室温の最大値は外気温程度までしか上昇し ていない。新棟では8月5日の午前中までは,日中窓 を開放し通風しているので,旧棟より若干低い温度を 示している。両RC棟の午前中の室温上昇は急激であ り,軒・庇の出が小さいため,日射遮蔽効果が少ない ものと考えられる。I邸では日中のみ通風を行ってい るので,新棟と同程度の値を示している。夜間は閉め きっており外気温より約3℃高くなっているが,RC 棟より最大で2℃程度しか低くなっていない。RC棟 は熱容量が大きく夜間になっても温度低下の速度は遅 い。従って,開口部閉鎖時の夜間排熱促進の必要'性が 45 ▼■ワワ句■●■■■■□■■巳●■ 40 35

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3.奄美大島の住宅の温熱環境に関する

実 測 調 査

第一報で調査した在来棟と断熱棟に鹿児島県住宅供 給公社が開発した「南の家」仕様の住宅を加え,主に 屋根断熱仕様の影響に着目して調査を行った。 3.1奄美大島の調査対象住宅の概要 調査対象とした3棟の2階建て住宅は名瀬市近郊の 小宿住宅団地に1991∼2年に新築されたものである。 図-10∼12に各棟の2階平面図を,図-13に屋根部分の 断面詳細を示す。以下に各棟の特徴を述べる。 ○在来棟(名瀬市小宿,木造2階建) 鹿児島県住宅供給公社の標準仕様の住宅であり, 寄せ棟(石綿セメント板)の木造在来軸組構法,外 壁無断熱,2階天井有断熱(グラスウール50mm)で ある。 ○断熱棟(名瀬市小宿,木造2階建) 在来棟標準仕様に対し,全外壁に断熱材(グラス ウール50mm)が充填され,屋根断熱が強化(発泡ポ リスチレン100mm,天井無断熱)されている。 ○「南の家」棟(名瀬市小宿,木造2階建) 鹿児島県の南方型住宅として,企画分譲されたも のである。在来棟標準仕様に対し,西側外壁のみ断 熱材(グラスウール50min)が充填され,屋根断熱 (発泡ポリスチレン50mm)と天井断熱(グラスウー ル50mm)を併用した仕様となっている。 指摘できる。 冬季の最も寒かった期間(2月3日∼6日)の南側 居宰空気温度の比較を図−6に示す。日射量より2月3. 4日はほぼ晴天日であり,2月5.6日は曇天日である ことが推定できる。RC棟2棟における急激な温度変 化は暖房の使用によるのである。旧RC棟は日中不在 でありカーテンも閉め切った状態であった。 2月3日から2月4日の朝方にかけては外気温は10 ℃をきり,年に数回のかなり寒い気象条件となった。 朝方の放射冷却も強いと推定され,I邸の室温は旧 RC棟より2℃程度低くなっている。後半の曇天日で はその影響も少なく室温は旧RC棟より高くなってい る。従って,放射冷却緩和効果としての屋根断熱の強 化が必要と思われる。 新RC棟は全日居住者が生活しており,暖房使用に よる急激な温度変化はあるものの,傾向としては日中 の日射熱取得の効果で他棟より高い温度で推移してい る。 2.3.2小屋裏中央空気温度の比較 図−7に夏季の小屋裏中央空気温度の比較を示す。 RC棟では8月3.5日の明け方に旧棟が1℃程度低 くなっている。しかし,その他はほぼ等しいが,新棟 の居住者が不在になる8月5日の午後以降は新棟が約 1℃高い状態となる。これは,新棟では押入下換気ガ ラリが閉じられたままになっていること,また小屋裏 内に東西を2分する界壁が屋根スラブまで立ち上がっ ていることにより(写真−2.3参照),小屋裏の換気 が十分行われないため,熱のこもりの傾向が生じてい ると思われる。I邸では外界気象条件の影響を大きく 受けている。しかし,第一報で報告した喜界島のトタ ン屋根の伝統的住宅では50℃程度まで小屋裏温度が上 昇しているのに比較すると,木毛セメント板による日 射遮熱効果は大きく現れている。 冬季の小屋裏空気温度の比較を図−8に示す。RC 棟では,測定期間を通して新棟の方が旧棟に比べ1℃ 程高く推移している。日射のある時間帯において,I 邸の方が両RC造棟に比べ約2∼5℃程高く屋根断熱 の仕様の違いが表れている。2月3.4日朝方の放射 冷却の影響でRC両棟より低くなっているが,他は RC棟より高い傾向があり,住宅回りのガジュマル・ ふぐ木等による防風林による保温効果も無視できない ように思われる。 2.3.3新RC造の床下温度の比較 図−9は新RC棟の夏季における床下内各部位の温 06121824612182461218246121824 8 / 0 3 8 / 0 4 8 / 0 5 8 / 0 6 図−9新RC棟床下温度の比較 黒木・赤坂・岩下・小原・山中:南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 35 。●一m﹂. 20 …・・・・。……・部屋中央空気温度 一→−−押入下換気ガラリ空気温度 − − 記 − − −床下中央空気温度 −−-四一一一床下地中温度(深さ30cm)■

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164 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 7 号 ( 1 9 9 5 ) 図−10在来棟2階平面図 図−11断熱棟2階平面図 図−12「南の家」棟2階平面図 小屋裏通気に3棟とも軒天換気口を設置しているが, 「南の家」はアルミ製の棟換気口(1800mm長×2)を 追加し小屋裏換気の促進を図っているのが特徴である。 3.2測定方法 測定装置は断熱棟・南の家棟では6chポータブル 温度計(2423,横河)を各棟に設置し,0.3mmウT熱 電対を使用した。在来棟では自記温湿度計を2階南側 居室と小屋裏に設置した。測定点位置は図-10∼12中 の●印で示す。また,冬季測定は在来棟と南の家の2 棟のみで断熱棟は行っていない。外気温は断熱棟(夏 季)・南の家(冬季)の2階北側窓外で計測した。日 射量データは名瀬市街地内の名瀬測候所(対象住宅よ り北西3.5kmに位置)より後日入手した。 測定は各棟とも居住状態で行った。夏季測定では窓 在 来 棟 断 熱 棟 階 洞

西 側 外 壁 の み 園 T 蕊 南 の 家 図-13屋根部分の断熱仕様 、 F の開閉・エアコンの使用時間帯等を調査用紙に記入し てもらい考察の参考とした。 3.3奄美大島での測定結果と考察 3.3.12階居室空気温度の比較 夏季実測期間(8月2日∼5日)の測定結果を図-14 に示す。同図の日射量から8月3.4日は曇天日であ り,他は晴天日であった。なお,外気温設置位置(2 階北側軒下)に午前中日射が直射するため,急激な温 度上昇が記録されていた。2階南側居室空気温度は, 3棟とも東側に窓を有しており,晴天日の午前中に日 射を受け温度上昇が大きい。東面の日射遮蔽も重要で あることがわかる。 8月2日の窓の開閉状況は,断熱棟:9:00∼18:00 開,在来棟・南の家:14:00∼20:00開である。この

(9)

20 165 06121824612182461218246121824 8 / 0 2 8 / 0 3 8 / 0 4 8 / 0 5 図−16小屋裏空気温度の比較(夏季) 40 50 5

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一○一m﹂.]の﹂①ロ二m﹄ 043210 2 −,本Eへつエ一・匡・m・画 25 0 6 1 2 1 8 2 4 6 8/02 12182461218246121824 8 / 0 3 8 / 0 4 8 / 0 5 図−142階南側居室空気温度(夏季) 黒木・赤坂・岩下・小原・山中:南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 可 10 O 6 1 2 1 B 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 2/112/122/132/14 図−152階南側居室空気温度(冬季) ] 一○●一⑳﹂.︺厄﹂の。Eα﹄ 一○●一四﹂.︺の﹂①ロ巳四﹄ 一m*Eへつ圭一・匡・、◇画 20 15 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 2 / 1 1 2 / 1 2 2 / 1 3 2 / 1 4 図-17小屋裏空気温度の比較(冬季) 通風条件の違いにより午前中の温度上昇の差異が現れ ており,断熱棟の上昇の程度は小さい。夜間も断熱棟 が他の棟を下回っている。夜間や曇天日の密閉状態で は断熱棟・南の家は約2℃近く在来棟より低い。心配 された断熱棟の熱のこもりはみられない。 冬季の最も寒かった,曇りから晴れの期間(2月11 日∼14日)の2階居室空気温度の比較を図-15に示す。 日射のある時間帯を除くと南の家は在来棟より2∼3 ℃低く推移している。南の家の早朝の最低温度は外気 温より3∼5℃高い。 3.3.2小屋裏空気温度の比較 夏季測定期間の小屋裏空気温度の比較を図-16に示 す。在来棟に設置した自記温湿度計の測定温度範囲は 45℃が上限であり,8月2日のピーク温度は上限を越 え不明である。8月3.4日のように屋根断熱仕様に 対応した日中の温度変化が出現している。断熱棟の午 前中の温度上昇は外気温以下であり,屋根断熱強化の 効果が現れており,最高でも外気温もしくは数度高い 30

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166 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 7 号 ( 1 9 9 5 ) 程度までに温度上昇が抑えられている。南の家では垂 木間に断熱材(発泡ポリスチレン50mm)を取り付けて いるため,施工精度による隙間も生じ易く,断熱効果 の低下が生じ温度上昇が大きい。今後改善する必要が あると思われる。夜間は3棟とも同程度の温度まで低 下している。 冬季の小屋裏空気温度の比較を図-17に示す。曇天 日には両棟とも外気温とほぼ同じ温度で変化している。 晴天日は全日夏季の温度変化と同じ傾向を示している。 晴天日の明け方の温度低下はほぼ同じであり,「南の 家」の屋根断熱による保温効果は棟換気口による放熱 と相殺されているようである。従って,天井断熱の併 用は必要であるといえる。

4 . 結

居住状態で測定を行ったため,居住条件の相違によ り3棟の室内温熱環境の相互比較は困難であったが, 今回の調査の結果はパッシブ手法を中心にして以下の ようにまとめられる。 ①屋根断熱強化は夏季の日射遮熱と冬季の放射冷却 緩和に対して効果は大きい。工法などを考慮すると 発泡ポリスチレン100mm厚相当の断熱性能が必要で ある。 ②夏季の太陽高度の低い朝夕の日射遮蔽も重要であ り,東壁面・西壁面に対する工夫が必要である。 ③RC造住宅では夏季の蓄熱による熱気のこもりの 影響が大きいので,夜間の排熱促進や床下冷熱の利 用を考慮する必要がある。 ④木造断熱棟の夏季の熱のこもりはみられなかった。 ⑤冬季の温熱環境に対して周壁の断熱強化が効果的 であるのは言うまでもないが,今回の調査地域のよ うに季節風が強い地域では住宅回りの防風林による ある種の保温効果も無視できないと思われる。 ⑥南の家は屋根断熱の納まりを改良する必要があり, 屋根断熱・小屋裏通気・天井断熱の併用により,温 熱環境の改善が期待できる。 夏季蒸暑度の高い地域では冷房使用の必要性は元来 高い。しかし,周壁の断熱化・日射遮蔽・通風・夜間 排熱(換気)・地中冷熱利用などパッシブ手法を活用 し,一年を通してバランスのとれた温熱環境を形成す る住宅を開発していく必要’性があると言える。 謝辞:本調査に協力いただいた鹿児島県住宅供給公 社,和泊町教育委員会,武田建築設計事務所,和田建 設,松元建設および調査対象住宅の皆様に深く感謝し ます。本研究の一部は(財)日本住宅総合センターの助 成により行われた。また実測調査およびデータ整理に あたり,湯田茂技官,院生の遊喜純子さん,平成5 年度卒論生大神陽・後藤秀一君らの労は大きく末尾 ながら謝意を表します。

参考文献

1)黒木,赤坂,小原,二宮:南西諸島の住宅の温熱 環境に関する調査研究,第一報奄美大島および 喜界島の住宅の温熱環境実測調査,鹿児島大学工 学部研究報告第36号,pp、155-171,平成6年9月

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