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底棲有孔虫による炭酸カルシウム生産量の推定と付着型有孔虫について-与論島を例として-

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Academic year: 2021

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(1)

底棲有孔虫による炭酸カルシウム生産量の推定と付

着型有孔虫について-与論島を例として-著者

八田 明夫

雑誌名

南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers

42

ページ

15-20

別言語のタイトル

An estimation of Calcium Carbonate with

foraminiferal reproduction, and as for the

attached foraminifera in the Yoron Island

(2)

底 棲 有 孔 虫 に よ る 炭 酸 カ ル シ ウ ム 生 産 量 の 推 定 と

付 着 型 有 孔 虫 に つ い て

-与 論 島 を 例 と

して-八

鹿児島大学教育学部

本研究は生きている有孔虫の生態及び繁殖した幼形の個体数を調べ、有孔虫の生産量を

推定した。また、これまで詳 しい報告の少なかった付着型有孔虫について調べた。

キーワー ド:生 きている有孔虫、有孔虫の繁殖回数、幼形の個体数、付着型の有孔虫

H omotrema rubrum

An estimation of Calcium Carbonate with foraminiferal reproduction, and as for the attached foraminifera in the Yoron Island.

HATTA Akio

Department of Science Education, Faculty of Education, Kagoshima University

Abstract In

this study, living foraminiferal ecology and reproduction was observed, and production capacity of Calcium Carbonate with foraminiferal reproduction was calculated. Also attached forammifera was observed in the surrounding areas of the Yoron Island.

Key words: Living foraminifra, reproduction, Calcium Carbonate, attached foraminifera

1 生 き て い る 有 孔 虫 研 究 の 理 由

(3)

16 成 す る こ とで あ り、 現 在 の 環 境 との 関 わ りを 明 らか にす る こ とで あ る。 ま た 、有 孔 虫 そ の も の に 対 す る 興 味 ・関 心 で も あ る。 繁 殖率 を知 る こ とで 有 孔 虫 に よ る炭 酸 カ ル シ ウム の 生 産 量 を推 定す るデー タの一部 を提 供で き る。 また、幼 形 の標本 と成体 の標 本の連続 性を明 らかにす る ことがで き、 化石 種で推 定 してい た こ とが現 生種 で確 定 でき るこ とに なる。 正確 な生息環 境、深度、水域 を知 る こともで きる。 本研 究では生 きてい る有孔 虫の生態 を知 る ことで、有孔 虫の生産 量を推 定 し、有孔虫の存在が環境 に どの よ うな影 響 を与えてい るかを調べ、また、これまで詳 しい報告 の少 なかっ た付 着型 有孔 虫につ いて述べ る。 現在 の生 きてい る有孔 虫の生態 はあま り知 られて いな い。有孔 虫が環境 とどの よ うな関わ りを持 ってい るか知 ら れ ぬ うちに、環境 が人為的 に改変 され るこ ともある。失 う 前 にそ の重 要性 を知 ってお かな ければい けない。 生息環境 の 中での関 わ りについ ては、海岸砂 中の有 孔 虫の割合や 量を調査す るこ とと、海藻 、海 草、珊瑚遺骸、 海底 の小石 な どに付着 して生 息 して い る有孔 虫を採取 し 繁殖 間近 な個 体を選 び 出 して実験室 で観察 し、繁殖 の様 子 や 量を知 る ことで有 孔虫 に よる炭酸 カル シ ウムの生産 量 を推 定 した。 繁 殖 の観 察 は生産 量のみ な らず 、幼形 の標 本 と成体標 本 との連続 性の確 認 とい う意 義 もあ る。 また 、正確 な生息 図1  繁 殖 中 のMarginopora vertebralis Quoy & Gaimard

図2繁 殖 中 のCalcarina gaudichaudii D' ORBIGNY 環 境 、 深 度 、 水 域 を知 る こ とで 化 石 有 孔 虫 の 情 報 を よ り正 確 に解 釈 で き る よ うに な る。 2  与 論 島 の 調 査 地 域 現 地 調 査 を3回 実 施 し、 有 孔 虫 の 採 取 を行 っ た。 兼 母 海 岸 は 、 島 の 西 部 に位 置 し、 ヨ ロ ン プ リシ ア リ ゾー トの 北 西 海 岸 は600m沖 に リー フが あ り砂 演 毎岸 で あ る。 一部 タイ ドプ ー ル な どの 出 来 る岩 場 が 北 側 に広 が る 。 兼 母海 岸 の 南 部 は200m沖 に リー フ が あ り、 大 量 の砂 が 堆積 した 砂浜 毎岸 が 広 が る。 島 の北 東 部 の 寺 崎 海 岸 は 、600m沖 に リー フ が あ り、 海 岸 に は ビー チ ロ ック が 発 達 す る。 島 の 東 部 の 大 金 久 海 岸 は最 も広 い バ リア ー リー フ の海 岸 で 、約2kmの 砂浜 毎岸 が 発 達 す る。1500m沖 の リー フ との 間 に 「百 合 ケ浜 」が あ る。島 の 南 東 部 の赤 崎 港 西 の赤 崎 海 岸 は 、 600m-25m沖 に リー フが 発 達 した砂 浜 海 岸 で あ る。南 西 部 の キ ビナ 浜 は250-300㎞ 沖 の リー フ と陸 地 に 東 側 を 挟 ま れ た 海 岸 で狭 い 砂 浜 が 発 達 す る 。

(4)

3 海 岸 砂 中 の 有 孔 虫

赤 崎 海 岸 や 大 金 久 海 岸 な ど に はCalcarina defrancii d'OrignyやCalcarina

gaudichaudii d'Orbigny な どの 棘 の部 分 が とれ た個 体 が 大 量 に海 岸 砂 を形 成 して い る。 そ の 中か ら試 料 を採 取 し、無 作 為 に4.5gの 海 岸 砂 を計 量 した所 、 珊 瑚片 、小 石 、 貝殻 片 、 ウニ の棘 な どが1.3g、 有 孔 虫 が3.2gを 占め て お り、3.2gの 有 孔 虫 の個 体 数 は981 個 体 で あ っ た 。 ま た 、 海 藻 に付 着 した生 き て い る有 孔 虫 の 中 か ら繁 殖 が1回 観 察 され 、 175個 体 の 幼 形 を確 認 した。こ の数 値 は これ ま で の 観 察 例 の72個 体 か ら302個 体 とい う 値 の範 囲 内 に あ る。こ れ らの値 は 有 孔 虫 に よ る炭 酸 カル シ ウム 生 産 量 の 推 定 の根 拠 の一 部 を提 供 して い る。 これ らの 数 値 を も と に有 孔 虫 の繁 殖 量 の 数 値 化 を試 み る 。 ・ 場 所:大 金 久 海 岸 の 砂

・ 有 孔 虫:Calcarina defrancii d'OrbignyやCalcarina gaudichaudii d'Orbignyな ど

・4 .5gの 海岸砂:珊 瑚片 、小石 、貝殻片 、 ウニの棘な どが1.3g、 有 孔虫が3.2gを 占め て お り、3.2gの 有 孔 虫 の個 体 数 は981個 体 。 ・ 大 金 久 海 岸 の 砂 の 有 孔 虫:約70%が 有 孔 虫 ・ 小 サ ン プル 袋 中 の 海 岸 砂 の 堆 積 と重 さ の 関係:485cc=646g ・485ccの 海 岸 砂 中 の 有 孔 虫重 量:646(g)x3 .2/4.5≒460(g) ・485ccの 海 岸 砂 中 の 有 孔 虫個 体 数:460/3 .2x981≒141,000(個 体) ま た 、海 藻 に付 着 した 生 き て い る有 孔 虫 の 中 か ら繁 殖 が1回 観 察 され 、175個 体 の 幼 形 を 確 認 した。 この 数値 は これ まで の観 察 例 の72個 体 か ら302個 体 とい う値 の 範 囲 内 に あ る。 先 ほ どの141,000個 体 の 有 孔 虫 が 何 回 の繁 殖 で 形 成 され た か を推 定 す る。 これ まで の 研 究 結 果 か ら鹿 児 島 近 海 の 有 孔 虫の 繁殖 回数 は1年 に2回 とい うこ とが示 され て い る(八 田 ・渡

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18 辺,1988)。 これ らの デ ー タを 基 に一 回 の繁 殖 で200個 体づ つ 増 えて 年2回 の 繁 殖 と して 推 定 す る と3個 体 →3x200→600x200→120,000と な る。 繁 殖2回 、 つ ま り1年 で約500cc の有 孔 虫 が 海 岸 砂 とな っ て い る とい え る。 これ らの 値 は有 孔 虫 に よ る炭 酸 カ ル シ ウ ム生 産 量 を 推 定 す る と きの 根 拠 の 一 つ で あ る。 4付 着 型 有 孔 虫 試 料 の 分 析 の 過 程 で付 着 型 有 孔 虫 の 存 在 が 明 らか とな り、 そ の種 の鑑 定 を行 った 。 これ ま で筆 者 は 堆 積 物 中 の 有 孔 虫 を 分 類 す るた め、 珊 瑚 の 遺 骸 や 小 石 の 表 面 の 付 着 物 を、 歯 ブ ラ シ で軽 くそ ぎ落 と して い た の で 強 く付 着 して い た 種 類 を単 体 で み る機 会 が 無 か った 。 最 近 、 沖縄 県 慶 良 間諸 島 阿 嘉 島 沿岸 の 有 孔 虫の 中 に歯 ブ ラ シで は削 ぎ落 とせ ない 種 類 が い る こ とが 分 か っ て き た の で 、 生 き て い る有 孔 虫の観 察 時 に付 着 型 に注 目 した 。 そ の 結 果 、 与 論 島赤 崎 海 岸 で も特 徴 的 な付 着 型 の 有孔 虫 が 見 つ か っ た 。赤崎 海 岸 の 深 度1mの 海 底 で 珊 瑚 の遺 骸 に付 着 して お り、 色 はred,scarlet(深 紅 色 、 緋 色)で 、 とて も剥 が れ 難 い 。 本 種 は H

omotrema rubrumかMiniacina miniaceと 思 わ れ た の で 、 これ ま で の分 類 学 的研 究 の 記 載

を 比 較 し た 。

先 ずMiniacina miniacea (Pallas)はPallasに よ り 1776年 にMillepora miniaceaと し て 記 載 さ れ た 。

BRADYが1884年 にPolytrema miniaceumと し て miniaceaの 図 を 示 して い る 。Heron-Allen & Earland(1922)

はPolytrema miniaceumと し て 図 を 示 し た 。 彼 ら の M iniacina miniaceaの 中 に は 明 らか にHomotrema rubrum と 思 わ れ る も の も 含 ま れ る 。 Galloway(1933)は こ の 種 がPolytremaと 属 レ ベ ル で 違 う こ と を 明 ら か に し 、Miniacina属 と い う新 属 を 設 立 して 記 載 し て い る 。 図4はGalloway(1933)の 示 し たMiniacina miniaceaで あ る 。 日本 沿 岸 で はHasegawa&Takayanagi(1981)が 富 山 湾 のMiniacina miniaceaを 記 載 し て い る 。殻 の 形 はDendroid test、Juvenile stageはglobularな 形 を し て い る 。 基 礎 部 分 の 断 面 に 見 ら れ るpillar wallはHomotremaと の 関 連 を 推 測 させ る 。 図4 Galloway(1933) のM. miniacea 図5 Hofker(1927) のHomotrema rubrum

Homotrema rubrum (LAMARCK)は こ れ ま で に 次 の 様 に 記 載 さ れ て い る 。 本 種 はMamarckに よ り1816年 にMillipora rubraと して 新 種 記 載 さ れ た 。Dujardin(1841)はPolytrem rubra と し て 記 載 した 。Hickson(1911)はHomotrema rubrumと し て 記 載 し た 。Hofker(1927)はMiniacina

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Hofker(1927)はLoeblich & Tappanも 引 用 す る 図 を 残 し て い る 。H.rubrumで 群 体 の も の はmicrosphericで あ ろ う と 予 測 して い る 。Poag(1981)もHomotrema rubraと して 記 載 し て い る 。Loeblich & Tappan(1988)もH.rubrumとM.miniaceaを 示 し て い る 。

Hasegawa & Takayanagi(1981)は 、 バ ル バ ドス 産 の 標 本 を 研 究 しHomotrema rubrumに は ふ る い 状 の 小 孔 が 確 認 で き る こ と を 示 し て い る 。

Homotrematidの 有 孔 虫 でMiniacina miniaceaとHomotrema rubrumの 概 念 的 な 殻 表 面 の 違 い はH.rubrumがCribrate areola(ふ る い 状 の 小 孔)を 持 ち 、 円 錐 形 の 殻 、 部 分 的

に枝 を伸 ば す な どの 特 徴 が あ る。

与 論 島 赤 崎 海 岸 にお い て 大潮 の 時 の 最 干 潮 時 に深 度1m に な る海 底 の珊 瑚 遺 骸 に付 着 して い た 有 孔 虫 はLamarck

が1816年 にMillipora rubraの 名 前 で記 載 し、Hickson

が1911年 にHomotrema rubrum(LAMARCK)と した 種

で あ る こ と が 分 か っ た 。 与 論 島 赤 崎 海 岸 のHomotrema rubrumは 殻 の 先 端 に細 い 枝 と薄 い膜 が 見 られ る。2か 月 ほ

ど実 験 室 で飼 育 して た が この 薄 い 膜 に は 変化 が な い 。 日本

で は前 述 の様 にHasegawa & Takayanagi(1981)が 富 山

湾 で産 出 した 近 縁 種 のMiniacina miniacea(Pallas)を 記 載 した 時 に 、バ ル バ ドス産 の標 本 を比 較 研 究 した例 が あ る。 学 名 はHomotrema rubrum(LAMARCK)で 、 動 物 図 鑑 に 「砂 子 」 の名 前 で 和 名 まで つ い て い る。 与論 島 赤 崎 海 岸 のH.rubrumは 、 この 種 の特 徴 と して 円錐 形の 殻 で 、 部 分 的 に枝 を伸 ば し、 ふ るい 状 の 小 孔(Cribrate areola)が あ り、殻 の先 端 に 細 い 枝 と薄 い 膜 が 見 られ た。 本 種 の 生 き て い る 時 の 色 は 、 深 紅 色 、緋 色 で あ る。 他 に 、 見 られ た 付 着 型 の 有 孔 虫 は 、Acervulinidae科 、

Planorbulinidae科 の 有 孔 虫 で 、Miniacina miniacea

の 可 能 性 の サ ン プ ル もの 種 が 見 られ た 。 これ らの 種 の 遺 骸 は 剥 が れ 易 く 、石 西 礁 の 有 孔 虫 に 含 ま れ て お り記 載 され て い る 。 図6 与論島赤崎海岸の Homotrema rubrum 図7 殻の先 端に細 い枝 と 薄 い膜が見 られ る 引 用 文 献

Hasegawa and Takayanagi(1981): Notes on Homotorematid Foraminifera from Toyama Bay, Central Japan. Tohoku Univ., Sci. Rep., 2nd ser. (Geol.), v.51, nos.1-2, p.67-86, pls.16-19.

(7)

20

Monogr., 4: 1-78, pl.1-38.

Galloway(1933): A manual fo foraminifera. 483pp. 42pls. Principia press, Bloomington, Indian.

八 田 ・渡 辺(1988):現 生 底 棲 有 孔 虫 の 教 材 化 に 関 す る 基 礎 的 研 究-鹿 児 島 県 串 木 野 海 岸 の 有 孔 虫 群 集 の 年 間 変 化-鹿 児 島 県 地 学 会 誌 、61号 、p.22-32.

参照

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