(1987) 105-117頁
1986
年 8
月
24
日長野県東部の地震調査報告申
気 象 庁 地 震 観 測 所 料 1 . 緒 言 1986年(昭和61年) 8月24日1
1
時35分頃長野県東 部を震源とする中規模の地震が発生し,小県郡丸子 町 周 辺 で 軽 微 な 被 害 が 生 じ た 震 度 分 布 を 図1に示 す.本震の震源は気象庁発表の他,地震観測所の群 列地震観測網によっても求められており以下に示す. 気 象 庁 発 震 時 1986年 8月24日1
1
時34分58.9秒 震 央 : 北 緯36度 19.2分 東 経138度 19.6分 深さ 4km マグニチュード:4.9 群列地震観測システム 発 震 時 1986年 8月24日1
1
時34分58.98秒 震 央 : 北 緯36度 19.8分 東 経 138度 14.4分 深さ 5.7km マグニチュード:4.2 また気象官署で観測された有感地震とその震度を表 1 R:示す. t 'ヘヘ r↑ (
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つの余震活動をと もなった活動経過はよく似ている.本震の余震活動 は順調に減衰したが 13日後には最大余震 (M3.8) が起乙り本震よりはむしろ活発な余震活動をともな っ た こ れ ら2つの活動について震源の深さ分布, 統計的性質,発震機構等について比較調査をお乙な った.また今回の地震発生にともない地震観測所の 歪地震計では歪ステップが観測され同時に地震に先 立つ変化がみられたので詳細な解析をお乙なった.2
.
地震観測および解析 気象庁各宮署他,地震観測所の群列地震観測シス テムlとより本震,余震の観測が行われ,多数の余震 について震源やマグニチュードが求められた.さら に気象官署・大学・国立防災科学技術センター(以 下防災センターとする)のデータを用いて,本震等 の震源の深さ,メカニズムについて調査した.*
Report on an Earthquake in the Eastern part of Nagano Prefecture, on August 24 1986. CReceived ]an.16, 1987 ) 寧 牢 SeismologicalObservatory, ]apan Meteological Agency 関 彰 ・ 泉 末 雄 ・ 牧 正・柏原静雄・涌井仙一郎・北村良江・長田芳一・三上直也・柿下毅・永井章・ 西 脇 誠 ・ 流 精 樹 F H U戸 。
106 験震時報第 50 巻第 3~4 号 2 -1 地震活動 8月23日から10月31日までの期間,松代群列地震 観測システムlとより震源が決定された地震総数は 453個である.その時間別回数を図2!C示す.地震 活動は本震 (M=4.2)の余震活動(第1活動期) と9月 4日以降の最大余震 (M=3.8)の活動(第 2活動期)とに分けられ,第2活動期の方が地震数 では約
2
倍程度活発である.また両活動とも前震活 動をともなっている. M主主1.1の地震420個の規模 別累積度数分布を第1,第2活動期ζl分け図3!乙示 す.Gutenberg-Richterの式logN (M) = a -bM (N :累積度数, M:規模)の b値は各々1.03,0.97 となり両活動期のb値に大きな差は見られない. 2 つの活動期について経過時間と日別余震回数の関係 を図4に示す.改良大森公式N(t)=K・(t+c)-p のp値は各々1.11,1.18で群発地震でみられるよう な小さい値ではない. 30 ー 制 活 動 剛 一 -i\ 2i~fJJ制ー 20 防・4日 2 震 4 本 阿 / 〆 柑 8 ¥ 大 3 a 問 図2. 1986年8月24日長野県東部地震の時間別地 震回数 第1・2活動期の余震は各々本震(M4.2), 最大余震(M3.8)に伴う 全期間の震央分布(図 5) において北東一南西に 約 4km・幅 2kmのほぼ楕円の余震域がみられる.本 震・最大余震の震源の深さを調べるため気象庁の他, 大学・防災センターのデータを用いた.Mikumo (1966)のC4A3地殻構造モデノレでのアレイ震源に対 する走時残差と震央距離との関係を図6!C示す.標 準偏差は約1秒であるが,残差の距離変化が少ない 乙とから,用いた地殻構造モデノレは適切だと考えら れる.震源の深さの最適値を求めるため震源の深さ に対する残差の標準偏差の変化を調べ本震,最大余 震について図7に示した.走時データの範囲を小さ くすると震源が深くなる傾向がある.標準偏差の極 小値を示す値から本震の深さは4.0km,最大余震の 芝N3 10 .~ ι 掛 一 日 震月大一肘 川 河 g 最 一 o m 日 一 期 工 動 3 動 一 日 活 2 活 一 4 一 月 二 -月 第 8 篤 9。
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10 M 図3
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規模別累積度数分布 (a)第1
活動期:8
月23日--9
月4
日,(
b
)
第 2活動期:9月4日--10月31日. マクーニチ ュードは松代の速度振幅による. N 3 10 2 10 0 1抱一括勘111($震J !I.EJ2 3日- 9,JJa日 ..ニ活鋤111(1聖 火 余 震J 9Jj4百二10月31臼 10丸
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0.1 10 100 図4. 日別余震回数の減衰 (a)第1活動期:8月23日--9月4日,(
b
)
第 2活動期:9月 4日--10月31日 深さは2.5kmが最適と考えられる ルーチンの場合,験測者間でP波及びS波初動時 刻を統ーして験測することが難しく,余震の震源分 布を詳しく比較するため, p波初動の明瞭な比較的 大きな地震 ( M孟2.0)61個について統ーした再験 測を行い震源の再決定を行った第1活動期の震央 分布を図8
a に,第2
活動期の震央分布を図8b
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示す.第1活動期の余震分布は北北東に配列し,第 2活動期は本震震央付近に集中する傾向が強調され p o c u1 9 8 6壬 芋81=著書を堅手..."恒音信 0::>企 也 -活5こ調・E 荻さ‘Sに之f~ 1J事会3トヰ有ll'?I ιPICENTEA 円向P "‘--町"~~~,,~ .
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松代アレイによる1
9
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年8
月2
4
日長野県東 部の地震の余震分布 +印はアレイ観測点を表す. {al 本 鍵 1986/8/2411:34:58.9836.33・N 138.24・E :;. 7klllH~. 2 . , ・2 つ I もc心^,ν 0..ぅペ i 。M 内 平 ", 内 内 4 品 。f^,." j h"5.7klll 0.13・(-0.96回 2雪宍 ~IJ".h.!1I 品川 桟 ・o 差 f~ -1 2 Od “A::ìl~ 1986/9/52:29:12.9436.33・N138.24・E -l.5kIltH3.8 .' . ーi
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4
日).(
b
)
最大余震(9月5日). 震源はアレイ観測により,地殻構造はMIKUMO' C4D
(19
6
6
)
による. ている.2-2
発震機構とモーメントの推定 気象庁・大学及び防災センターの観測点における P波初動のデータから本震と最大余震のメカニズム を求めた.図9に初動分布 表2にメカニズム解を 1 .10 1.10 旬5u s
‘ b c o 一 童 話 司 1 1.00 La r g e s t →ta5 a f t e r s ho c k"
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4
日),(
b
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最大余震(9
月5
日). 138.23 わ け 益 'i,Coj!lJ1fJ1<;t,:震〉 138.24 内r a 4 4 w -p o 内 4 U R J U 内ノ﹄•
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① 乏生こ震建 36.34 36.33 36.32 図8. 再験測による主な余震の震央分布図の比較 (M;:;三2.0,n = 61) (a)第1活動期 (8月23日--9月4日) 示す.本震は西北西一東南東方向に主圧力軸をもっ 逆断層型の地震で2
つの節面の走行はともに北北東 で第l活動期の余震分布(図8a参照)の走行と調 和している.最大余震は本震とほぼ同じメカニズム で起乙っている.他に前震と余震についてもメカニ ズムを調べたが8月23日21時04分, 21時57分の地震 では主圧力軸が北北西一南南東のメカニズム解が得 られた 松代群列地震観測システムの長周期地震計によっ て観測された本震の波形と理論地震記象の比較によ って本震の地震モーメントの推定を行った理論記 象は表3のような水平成層構造を仮定し,前述のメ-67-1
0
8
験 震 時 報 第50巻 第3-4号 138.23 (1. )第一活動rtg(;',1.大余震) 138.24 SEP.4 00:00-OCT.31 24:00 N=44。
① 轟受メζ看主主震婁 138.25 ・ 一 寸 一i36.35 36.34 36.33 36.32 (b)第2
活動期(
9
月4
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月3
1
日). < a ) *11健 ( b ) .量声ζ婚
、
-N N 1986 8/24 llh35m 19869/5 2h29m 図9. 初動分布と発震機構(下半球投影) (a)本震(
8
月2
4
日1
1
時3
5
分,M 4
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2
)
,(
b
)
最大 余震(9月5日02時29分 M3
.
8
)
.
黒丸は 押し白丸は引き,P; T
軸は主圧力軸, 主張力軸を表す. 表2. メカニズ、ム解 節 面1 節 面2 P純 T軸 傾 斜 方 向 傾 斜 角 傾 斜 方 向 傾 斜 角 傾 斜 方 向 傾 斜 角 傾 斜 方 向 傾 斜 角 本 震 1 1 5・ 3 9・ 2 8 5・ 5 1・ 2 9 0・ 6・ 71・ 8 2・ 最 大 1 1 6・ 4 3・ 2 7 5・ 4 9・ 2 0 5・ 3・ 31・ 7 9・ 余 震 傾 斜 方 向 は 北 か ら 時 計 回 り に , 傾 斜 角 は 水 平 か ら 下 方 ま で 計 っ た 値 で 晶 る カニズム解について DWFE法 (Olsonet a,.l1
9
8
4
)
で 計 算 し た 図10に観測波形と震源の深さ 6.2kmの 場合の理論波形の比較を示す.主としてS波部分で 振幅を合わせると,本震のモーメントは0.7---1.0 x T 1門E(5ECI D.日日 目.日日 obs.m
岬
L
obs. obs 図10. 松代局長周期地震計の観測波形と合成波形 (3成分) 合成波形は表2の地殻構造モデ、ルとモーメ ント0
.
8
x1
0
23d戸le・
cmによる. 表3. 松代の理論記象の計算のため仮定した地殻構造 居の!草さ(km) V p (km/s) V s (km/s) 密 度 (g/ c m) 1. 4 4. 4 2. 5 2. 5 2 O. 2 6. 0 3. 4 2. 7 J 5. 0 6. 8 3. 9 3. 0 7. 8 4. 4 3. 21
0
23d
y
n
e
・
cmと推定され,他の観測点での5
9
型地震 計の波形の計算やストレインステップの量ともほぼ 調和している. 乙の地震モーメントの値からモーメ - 68一
ン卜マグニチュードM w(Kanamori, 1977)を求め ると M w= 4.5 --4.6になる.また表面波マグニチュ ード(Dziewonski and woodhouse, 1983) を推定 すると4.4--4.5となり,気象庁の M値はこれらに比 べやや大きい. 2 -3 波形を用いた解析 最大振幅を記録した位相について 各地の気象台, 測候所の地震記象IC,表面波と思われる波が観測さ TIME 13:35 13:36 13:37 13:38 50
EW
200 図11. 1986年 8月24日長野県東部の地震の 59型地 震計東西成分の地震記象 実線は表面波,破線はS波の到着時を表す. 芝 正 50 13:35安
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図12. 1986年 8月24日長野県東部の地震の59型地 震計上下動成分の地震記象 実線は表面波,破線はS
波の到着時を表す. れているものが幾っかあった.それらは主に関東地 方のものであり,松代地震の際に東京など関東地方で 近地表面波が観測されている(気象庁, 1968).図11, 図12にそれぞれ59型地震計東西,上下動成分の記象を 震央距離順に示す.破線は図11では S波,図12では P 波の発現時刻を結んだものである.これからP波の 速度は約7.1km/sec,S
波の速度は約3.7km/secとな る.実線は表面波らしき波の到着時刻を結んだ、もの である.これから東西動成分では約2.5km/sec,上下 動成分では約2.3km/secの速度が得られる. 図131C 東京(e)
,宇都宮(0),態谷(古)の上下動成分の記 象から読み取った周期と群速度の関係を示す.群速 度の値が吉井(1967)の結果と対応する乙とや分散 性が認められることからも乙れらの波は表面波であ ると考えられる. o .:東京 0"宇都宮 o 食:熊谷 。 〉ト・ *: 。5
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図13. 表面波の山谷の到着時刻から読み取った群 速度と周期の関係 (・:東京,0:
宇都宮,古:熊谷) 表層の構造に対する理論波形を計算し表面波の部 分を観測波形と比べた.計算には, DWFE法 (Olson et al,. 1984)を使った. 図14の aは前橋(震央距離 70km), bは宇都宮(同144km)の東西動成分の計算波 形と観測波形を,また cIC計算ζl使った地殻構造 のモデル(Imagawaet al,.1984)を示す.震源の深 さは,松代アレイでは5.7加1,気象庁では4
km, 他 機関のデータも加えた再計算では4kmであるが, 乙 乙では表層の最深部あたりという乙とで3.74kmとし た宇都宮,前橋ともに観測波形と似た表面波が得 られたまた,今回のように表面波のあらわれた近 地地震のマグニチュードを決定する際,最大振幅を 表面波でとらえがちとなり,そのためやや大きめに -69-験震時報第 50 巻第 3~4 号 110 1.C"~, - :=;OU.F:CE T 1 t'lE a
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20 . '40 '60 で;;; -174km,
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E : ¥ ¥:.; Q ", ; > 1Ll 10 ︽ U ( E V 4 ) A H v n U Q (b)伝播経路による (d)速度型地震計記 図15.速度波形の合成 (a)震源変位の時間関数 減衰波形 (c)速度波形 録 図14.計算波形と観測波形の比較 (a)前橋の東西動成分 (b)宇都宮の東西動成 分 (c)地殻構造モデノレ 見積る傾向がある.表面波の観測されている記象で, 表面波の出現前の最大振幅からマグニチュードを決 krn/sec,減衰係数 Q =100の場合の変位波形を c 定し直すと,全体の記象での最大振幅による値と比 にはその速度波形を, d ICは速度型地震計記録波形 べ, 0.1--0.5程小さく見積られた.松代アレイによ を示す. d上の点 1--5の計測により速度波形の特 るマグニチュードの決定は 最大振幅がS波部分で 徴を表す乙とができる.波形の立ち上がり lからゼ 求められており,表面波部分で最大振幅を求めた観 ロクロス3までの時間をすべりの拡大に要する時間, 測点を含む気象庁の値より小さくなっている. 次のゼロクロス5までの時間を停止時間と考えるこ パルス幅の計測 小地震の断層ノマラメータをP波パ とができる. jレス幅から求める方法が検討されてきた(0'Neill, 松代アレイ 7観測点での観測速度波形 0986年 8月 1984 ;牧, 1985). 小地震の震源を円形断層面のす 25日10時02分,M=
2.7)を距離順に図 16a IC示すが, べりと考える場合(Satoand Hirasawa, 1973),一 半サイクノレ後の波形の違いが各観測点聞にみられる. 定の速度で半径rまですべりが拡大する過程と,そ また,アレイの西側 (WDR,MAT, TKM局)では の後の停止過程に分ける乙とができる.また,これ P波到着の遅れがうかがえる. ここでは,滝本局の ら二つの過程の聞に破壊の成長過程を入れる考えも ,波形についてのみパルス幅の計測を行った.実際の ある(Boatwright,1980).震源において拡大と停止 計測はグラフィック・ディスプレイに波形を表示し からなる変位は,その速度記録からみれば 2つの半 てカーソノレで 1--5の 点 の 読 み 取 り を 行 っ た 図17 サイクルをなす.図 15の aIC震 源 で の 三 角 形 変 位 にはパノレス幅とマク守ニチュード(松代)の関係を示す. (0.10, 0.0, 0.10 sec), b には距離25krn,速度 6.
4
乙乙に示したパノレス幅は図 16bの 1--3の時間差を n u 円 ta U '"二 一一一一一一 一ー 二三二戸手口土===~己--二耳、:=.-:z::.=こコニ==-~ιニ二三 :0:ゃhご ι JZ且』ζ一一一一ー一一一一一一一一-~~~- 一一一一ーーι一一ー『一一 " ぬTHZ 560HZ J守 _._~ Jア " 1
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~ v V 図16. 余震のアレイ観測記録とパノレス幅の計測 ( 1986年 8月25日10時02分, M 2.7) (a)地 震 記 録 (b)滝本局のパノレス幅計測 sec0
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2 3 4M(MA T
)
5 図17. 速度パルス幅のマグニチュード依存,マグ ニチュード(M)は松代局の速度振幅による。 *印は第1
活動期,白印は第2
活動期の余 震を表す. 表す.速度記録の第1パルス幅で表されるすべりの 拡大時間即ちすべりの拡がりは,地震規模と直線関 係をもっていることが示されている.また, この関 係において8月24日からの第1活動期(*印)と9 月4
日からの第2
活動期(白印)の間には顕著な違 いは認められない。 3. 地殻変動観測 石英管伸縮計および水管傾斜計による地震の前駆 的変化及び地震時のステップ変化について述べる. 石英伸縮計は,NS
,EW
の2
成分からなり,いずれ も最大スパン 100mで, 図181と示す様に基線の中聞 に,NS
では2
ケ所,EW
では3
ケ所センサーが設け られている.今回の調査では各センサーによる観測 結 果(NS
30,NS1
∞等)の他に,各センサー閣の伸 縮量を算出(NS
30一7
0
,N
S
7
0
-
1
o
o
等)し,抗内の伸縮 分布についても述べる.図18中,例えばNS
30とある のは,基点から 30mの伸縮量を,NS
30-7
0
はNS
30とNS7
0
聞の伸縮量を意味する.水管傾斜計はNS
, W成分共スパン約100mである 図18. 石英管伸縮計の概念図 3 - 1 地震の前駆的な変化 図19は 1985年 1月 1日から 1986年 9月27日の期 聞における伸縮,傾斜の変化を示し,点線は地震の 発生時を示す.伸縮計,傾斜計とも記録の変化の大 きい箇所は降雨時に対応している.図23は地震を含 む 8月24日00時から 8月26日00時にかけての記録で, 約12時間周期の変化は地球潮汐である.伸縮計NS
成分において8月24日09時ごろの縮みが伸びに変わ TI日1
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山 川 川 日 日 m J~~::いJII川川11凶川IU巾仙制H山山川川
11川|比l
図19. 地震前の伸縮・傾斜変化. 唱 EA 守 t1
1
2
験 震 時 報 第50巻 第3-4号 る時点(谷)からステッフ。変化まではやや急な伸びに なっており,地震発生2--3時間前からの変化がみ, られる. 乙の傾向はEW成分にも認められる.図20 の bはこの地震直前の変化をより詳しく見るために 地球潮汐成分を除去したものである.地球潮汐の除 去はペルチェフ・フィルターで地球潮汐成分以外を 除いた後,K2
,S2
,M2
,N2
,K1
,P1
,0
,1Q1
の主要8分潮を仮定し最小2乗法lとより,振幅,位 相を決定した後,潮汐成分を再合成(図中 A) し観 測データ(図中 B) から差し引くことで行った.図 から地震の約3時間前から急激な変化のある乙とが わかる. しかし図中の1
9
日-
-
2
1
日にも似た様な変化 が認められる. この様な変化の原因としては真の地 殻変動の外に観測抗内の気圧及び温度変化の影響が < a. ) STRAIN 19.00 21.00 23.00 25.I∞
dd.hh < b ) NSIOO A(Iide) A ぴ -m T β X 4 F 巳 V B E E E E E ι [ 2,0・
1♂
ト→l pre-seismicl strain movement I step ..'._ ~L ~-.I.:-
:
J
=
=
-
dd .hh 24.00 叩 2412. 24.1 S 2?OO 1 9 B 6. A U G 図20.伸縮変化から潮汐成分を除去した記録. (a)伸縮計NS
成分の潮汐成分除去(8月1
9
日-
-
2
5
日)(b)地震前後のデータの潮汐成分 除去A
,潮汐成分B
,観測値,B-A
;潮汐成分を除去した記録. 考えられる.図2
1
は伸縮変化と抗内の気圧・温度変 化の関係を 1時間から6時間の周期についてフィ ノレター処理をほど乙して対比したものであり,いず れの帯域でも伸縮変化は気圧又は温度の影響を受け ている.抗内の温度変化は気圧の断熱的変化による 川﹀
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、
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ノ ふ / v 川 六 ト
L
図21.伸縮変化(NS 100)と気圧,温度変化の関係. ことが知られている(永井他,1
9
8
5
)
ので今回の伸 縮変化は気圧の直接的な影響よりも温度の影響によ るものと考えられる.図22は伸縮変化が温度のみに 依存するとして温度係数を求め温度補正を施した後 地球潮汐成分を除去したものである.図20に見られ た地震前2--3時間の変化は認められなくなる 〈 品 〉 STRAIN NS100 19.∞
21.∞
< b ) 23.00 A(Tide) ¥.f 'co-selSffilC movement Z時00 24.06 24.12 2418 . 25.00 dd.hh 1 9 8 6, A U G. n 3 -n U -a n u t 4 . 日 T I l l ﹄ H hH AU A u n u n u T 1 E 3 勾 , ‘ n 3 - n u -- " n u T ι ' 句 v a n 守 E B B -a E A E ﹂i
制ポ
図22.伸縮変化に温度を補正した後に潮汐成分を 除去した記録. -72-長野県東部の地震は地殻変動測器の更新(1980年) 以後観測所近傍で発生した最大の地震であったが, 図19及び図22!c示したように地震発生の前兆は認め られなかったこととなる. 3 -2 地震時のステップ変化と余効変動 本震に伴う地震時のステップ変化を図
2
3
及び図2
4
に示す.図中の太い実線は本震の発震機構において 地震モーメントを4
x
1
0
23d
y
e
n
・
c
m
とした時に観測 所で期待されるステップ量をS
a
t
oa
n
d
M
a
t
s
u
'
u
r
a
(1974)の方法で計算したものである.図25の伸縮計 によるステップ量はNS
30を除き計算されたステッ プ量よりかなり大きく 仮に岩盤の一部分に構造的 に弱し、部分や岩質の異なる境界などがあるとその部 DC 1986.235.00.日o -1986. 238. 00. 00. H= 12 S t r・
in _El<T 12.0E.開 strain L 一一一一L一 一 Theoret.icatStrainStep .51田 . (b) E¥l1曲・ 印 7佃 EW30・
BII-NS WT-HS (~ ) 制'.E¥I 1986 AUG 図2
3
.
地震に伴う歪及び傾斜のステップ 日C 1986司235.00.00 - 1986.238.00.00. H= 12 1蜘l¥/¥J¥
〆 ¥ / ¥ ノ
t :W45-7o. 一一一一一一一一一ー一一 一τ 2. 25 I 26 1986 AlIG 図2
4
.
地震に伴う歪のステップ(各センサ一間の値) 分の特性を反映して図示したような大きなステップ となる可能性がある.各センサ一間の伸縮量(図2
4
)
のうち,NS
3u-70やEW
30-45のように大きな値をも たらす箇所には岩盤の特異性があると考え,計算し たステップ量と観測したステップ量の比較には,最 も小さいステップ量が観測された成分を用いた.ス テッフ。変化としてNS
∞-30の2
.
1
X 10
-
9, 及びEW
初 一1∞の5.6X1
0
-
10をとりあげると計算値はNS
成 分が5
.
0
9
X1
0
-
9及びEW
成分が1.3
5
X1
0
-
9と得ら れているので観測値に比べ両成分とも約2
.
4
倍大き い.この相違は地震のモーメントを約1.5
x
1
0
23d
y
-n
e
・
c
m
とすると解消される.傾斜計によるステップ は図25に示す様ζl計算値に較べかなり大きく,またBU
(泡式ー埋設型)-NS
!c見るようにセンスが反転 している成分もあり地震の震源過程を直接反映して いるとは考えにくい.図2
4
でステップ後の変化を見 ると約6
時間(
2
4
日17時頃まで)の変化は前後に較 べやや特異で,ステップによる変動を補う動きをし ている事がわかる. 乙れは余効変動のセンスがステ ップのセンスと逆になる乙と(大塚.1986)やマグ ニチュードと時定数の関係(山内, 1975)から一種 の地震の余効変動と考えられる. しかし図2
4
に見る 変動量はステップ量とほぼ同量で,余効変動の大き さは大塚の結果と一致しない.温度補正はなされて いるが,変動量が約3
X1
0
-
9とかなり小さいために 気圧の影響も考慮する必要がある. 4. 現地調査8
月2
4
日1
1
時3
5
分の地震で震央に近し、小県郡丸子 町では軽微な被害が発生した. 8月25日には地震観 測所,長野地方気象台が共同で,翌26日は地震観測 所で、丸子町周辺の被害と震度の現地調査を行った. 被害の地点(図25)は小県郡丸子町消防署の報告に もとづくもので,現地調査でも確認されている.被 害状況(表 4) はブロック塀の崩壊,屋根瓦のずれ, ガラス(ショーウインドウ)の破損,庭及び路肩に 亀裂の発生(写真1-3)
などいずれも軽微なもの であった.また被害地点が丸子町の中丸子及び八日 町に集中し南北に配列しているのは依田川に沿う河 岸段丘の段差近くの地形の影響によると思われる. 中丸子保育所の庭には地割れが現われた.全体の模 式図を図26!C示す.走向N800Wに沿って長さ約17 m にわたって地割れが現れ,それぞれの地割れの長 さは数1
0
c
m
から2mで雁行状の配列をしている.ま た,震度調査は地震観測所作成の震度調査票に基づ つ d 円t114 験 震 時 報 第50巻 第3-4号 写真2 破れた障子戸(上丸子))
q
・E ・a叩 1叩m 図25.小 県 郡 丸 子 町 に お け る 被 害 地 点 番号は表4参照 写真3 サッシ窓のわれ C伊 茅1二子f呆 曹司『月斤Gコ属豆 4こ 王 見 れ た 主 也 審 リ 才 、 19B6. B. 26 劃定吋金叉…弘政~~
@
込七、
N80・w 図26.中 丸 子 保 育 所 の 庭 に 現 れ た 地 割 れ (1986年 8月26日測量) 25 19a6~a"ヨ E周監""....・~G白"
・
-3 23.3'4 3 3 4 4 4 3 3 -・ 4 3620 III置2 図27.地震観測所及び長野地方気象台調査による 震 度 分 布 A せ 司 i表4. 1986年8月24日長野県東部の地震による 小県郡丸子町の被害地点 ① 中 丸 子1279'1依 田 忠 夫 宅 : 大 谷 石 積 場 の101. ② 中 丸 子1287 中 山 和 夫 宅 : 屋 恨 瓦 の 搭 下.nに 亀 裂 ③ 中丸 子1290 中 村 房 一 宅 . 塵 恨 瓦 の ず れ @ 中 丸 子1178 中丸子保育所:庭に亀裂,窓ガラスが1')れる ⑤ 中 丸 子1173 土 肥 好 人 宅 : 石 坦 の 崩 落 @ 中 丸 子1023-1崎 川 逸 失 宅.道路簡に亀劉,窓ガラスが1')れる ⑦ 上丸 子162 吾 妻 利峰宅・石燈純白 ~if 下 @ 上 丸 子172 竹 花 洋 一 宅 : 鎖 土 場 〈 コ ン ヲ リ ー ト7ロ ッ ク 楓 み 〉 の 愈 瓦 の ず れ 及Uif下 , 門 柱 と 場 と の 聞 の ‘ 製 ③ 上 丸 子174 岩 崎 高 子 宅 . 大 谷 石 積 場 の 亀 裂 ⑩ 上 丸 子175-11 木 島 悟 宅 : プ ロ ッ ヲ 婦 の 亀 裂 及 び 刷 嶋 ⑪ 上 丸 子438-6 栗 木 増夫 宅 : 虚 恨 瓦 のずれ @ 上 丸 子441ι 小 山 信 利 宅 プ ロ ッ ヲ 場 の 胸 懐 @ 上 丸 子447-1板 国 昭 二 宅 ・ 僚 瓦 の ず れ 及 び 落 下 , 石 垣 の ず れ . ⑩ 上 丸 子447 同 上 所 有 ・ 水 田 陥 没 〈 段 差 の 晶 っ た 水 図 の 経 目 〉 ⑮ 上 丸 子447 ・墓地の墓 石 の ず れ 写真1 屋根瓦のずれ落ち(上丸子) き上田市役所,丸子町役場,同消防署,北御牧村役 場及び近傍町村職員189名の協力を得 て 行 っ た 震 度分布を図271L示す.最大震度として丸子町を中心 に震度4が 報 告 さ れ 震 度3. 4が混在しているの は地盤の影響によるものと思われる 5. 結論と議論 1986年8月24日の長野県東部の地震について,気 象官署・松代群列地震観測網・大学・防災センター 各観測網 Kよる観測データ また長野地方気象台・ 地震観測所による震度被害調査により以下の乙とが わかった. (1) 本震は上田市・小県郡丸子町境界付近の極浅発 地震(深さ約4同)であり 地震規模として気象 庁M4.9,松代4.2であった.余震域の広がり,松 代長周期地震計記録の解析から地震モーメントは 1023d戸 le・cmと 求 め ら れ た 地 震 メ カ ニ ズ ム は 西 北西一東南東主圧力の逆断層である.本震に伴う 余震活動は約10日間続いた
(
2
)
本震の発生にともない小県郡丸子町上丸子・八 日町地区においてほぼ南北に並んで瓦崩落・ガラ ス破損・石積塀の崩壊などの被害が生じ,中丸子 保育所の庭ではN800 Wの 方 向 に 約17mにわたっ て雁行状の地割れが現れた.長野地方気象台・地 震観測所の震度調査において 丸子町隣接の上田 市,東部町,北御牧村,立科町,長門町,武石村 では最大震度4が観測された. 血 白 自 由.f;J!.0 ~司S司..,.‘...AISc/.>J W: 1略 図28.本震震央,余震域,被害地点及び活断層の 比較 (3) 最大余震は本震後13日ILM3.8 (松代)の規模で 起乙り余震活動をともない,本震と比べ震源の深 さと余震分布の形状が異なると考えられる.本震 ・最大余震には各々前震活動がともなった (4) 地震観測所の歪地震計では本震にともない10-9 のストレイン・ステップが観測された. (5) 今回の地震の震源域は周辺に比較して低活動域 にあたり, 1912年(大正元年)の上田の地震とは 異なる.図281Cは本震位置,余震域,被害地点及 び活断層のリニアメントの位置を示す.震源域は 乙の活構造との関連が強いと思われる 謝辞 震度・現地調査にあたりお世話頂いた上田市, 小県郡丸子町,北佐久郡北御牧村役場関係者に御礼 申し上げます.とくに丸子町消防署の皆様には被害 調査の資料を使用させて頂きました.観測データの 照会 lと乙乙ろよく応じて頂いた東京大学地震研究所 地震予知観測室・信越地震観測所,京都大学防災研 究所付属鳥取微小地震観測所・北陸微小地震観測所 ・上宝地殻変動観測所 名古屋大学地震予知観測地 域センタ一,国立防災科学技術センターの各機関の 関係者に感謝申しあげます また長野地方気象台を 始め各官署・測候所ζlは地震記象・資料の提供を頂 p h u 司 t116 験 震 時 報 第50巻 第3-4号 き ま し た 東 京 大 学 地 震 研 究 所 松 田 時 彦 教 授 に は 中 丸子保育所の地割れについての有意義な助言を頂き 感 謝 致 し ま す 参考文献 Boatwright
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守 ta ~事観樹点の 7 レー短周期地震計上下動記録 (T.=). 0秒. h=O. 70)