円の国際化と円建BA市場ee
有 馬 敏 則
1 は じ め に 円の国際化とは,円が国際的に使用され,また保有されることをいい,①貿 易取引や金融取引で円建表示が行われる表示通貨としての機能,②貿易決済や 資金貸借が円で行われる取引通貨としての機能,③公的機関,民間を問わず資 産価値維持のために保有される準備通貨としての機能,の三機能を備える必要 がある。 近年,日本経済が国際化し,自由主義世界第2位の国民総生産に達するなど 世界経済における地位を向上させてくるとともに,円が世界経済で果たす役割 について内外で強い関心が持たれ,円の国際化への要望も強くなっている。 また,日本の貿易は,多くの世界経済の変動があったにもかかわらず,順調 な拡大を続け,1984年の世界の輸出入全体のシェアの8.5%を占め,10年間で 1.1%ポイントのシェアの上昇をもたらした。そして内外の金融・経済環境の 変化とともに貿易取引形態も変化してきた。それにともなって貿易金融に新し い動きが生じつつある。しかし,貿易金融における円建比率は,まだ諸外国に 比べて低水準である。 そこで本稿では,円の国際化の流れの中で貿易金融,とくに1985年6月1日 から開設された円建BA(Bankers’Acceptances,銀行引受手形)市場の意義 と問題点を,欧米諸国のBA市場との比較を中心に考察し,貿易取引形態の具 体的な変化については別個に譲ることにする。 *本稿は財団法人伊勢丹奨学会の補助金による研究成果の一部である。なお本稿作成に あたり,片山貞雄教授より貴重な資料を提供して戴いた。記して謝意を表したい。36 彦禿艮言禽叢 第237号
巫 BAの定義と英米のBA市場
1. BAの定義
BAとは,通常「銀行引受手形」を指しているが,貿易決済のための手形と いう意味からは「銀行引受貿易手形」というべきかもしれない。BAは商品の 輸出入または三国間貿易のファイナンスのため,資金需要者(輸出者あるいは 輸入者)により当該企業名で外国為替公認銀行(以下為替銀行)宛に振り出さ れ,為替銀行により引き受けられた期限付為替手形である。為替銀行は引受け と同時に手形(BA)を買い取り(割り引き),さらにディーラーを通じて最: 終投資家に売却する(再割引きに出す)ので,為替銀行や貿易業者はBA市場 から円滑に資金を調達することが可能となる。この場合,為替銀行は,割引き と同時にBA市場に売却するとは限らず,自行で期日まで保有したり,一時保 有後,資金繰りの必要や金利の先行き見通し等により売却することもある。 BAは為替銀行による支払承諾表示があるため信用度が高く,市場での割引 き,二次市場における流通,中央銀行による再割引きなどが可能で,資金需要 者は,一般に低利で資金調達を行うことができる。法律的にいえば,BAは譲 渡可能証書であり,振出人および引受銀行の両者が支払i義務者で,商品が担保 となり,高度に安全性を有し,信用度が高いもあとなる。2.ロンドン市場
BA市場は,大規模なものとしてeik Ttンドンとニュ・’一ヨークに存在してい る。しかし歴史的に,より自然発生的に発展したのはロンドン市場である。ま た銀行引受手形の起源は12世紀まで逆のぼることができる。そして18∼19世紀 1) にはすでにロンドンに活発なBA市場が存在していた。ロンドンでのこの種の 市場は「割引市場(Discount Market)」と呼ばれ, T B(Treasury Bill)とと もに銀行引受手形(Bank Bill)が売買されている。 イギリスにおけるAcceptance残高は第1表に示されている。割引市場にお 1) M. Stigum, The Money Market, Dow Jones−lrwin, lllinQis, 1983, p. 601.第1表 イギリスでのAcceptance残高の推移 (単位,100万ポンド) 年 イングランド末 銀行
陣受商社
外国銀行 合
計 1978年末 1979 // 1980 // 1981 // 1982 // 1983年8月 1983年12月 1984年2月 638 1, 496 1, 287 2, 978 3, 822 3, 687 4, 194 4, 676 1, 512 1, 892 2, 051 2, 480 2, 978 2, 822 3, 030 3, 357 1, 687 2, 876 2, 220 3, 972 6, 659 6,891 7, 686 8, 252 3, 837 6, 264 5, 558 9, 430 i3, 459 ユ3,400 !4, 910 !6, 28ro 〈出所>Bank of England,(2uarterly Bulletin各号より作成。 ける主要ディーラーは割引商社!3社で,Bank Billはイングランド銀行の買い オペの対象とされている。ロンドン割引市場は,割引商社,引受商社,銀行, イングランド銀行が参加しており,事業法人や非居住老の投資のために直接的 には開放されていない。また市場で流通する手形の範囲は明文化されておら ず,市場の慣行によっている。 3. ニューヨーク市場 (1) アメリカのBA市場規模 アメリカにおける銀行引受手形は南北戦争前から存在していたが,1913年に 連邦準備制度(Fedeエal Reserve System)が設立されるまでは,それほど一般 ラ 的な金融手段ではなかった。しかし1913年にロンドン市場に範をとって創設さ れたBA市場育成のため連邦準備銀行は, BAを常に市場レートで割り引き続 き けた結果,1920年代後半にはBA残高が17億ドルに達した。その後,大恐慌, 第2次大戦の影響で低迷したものの1944年に1億ドルを軽え,1960年代後半に は17億ドルを回復し,第2表に示されているように1頂調に拡大してきた。そし て1984年6月末には821億ドルに達し,1985年9月末で687億ドルとなっている。 2) M. Stigum, ibid., p. 601. 3)」.R. MonhQllon(ed.), Instrumentsげ伽MoneツMarket, Federal Reserve Bank of Richmond, Virginia, Aug. 1970, p. 71.38 彦…根論叢i 第237号 1985年9月末現在での取引形態別にみたアメ リカのBA残高の内訳は第3表に示されてい るが,残高の57.1%の392億ドルが三国間取 引とくに日本等アジア諸国の貿易にかかわる 金融手段として使われ,きわだった特徴とな っている。そしてアメリカのBA市場の心心 はニューヨ・…一ク市場であり,アメリカのBA 4) 残高の約50%のシェアを占めている。 このような第2表に示されているドル建B A残高の変化は,世界の貿易量,決済期間の 長短等に大きく影響されるが,これらの要 因に変化がなくても金利裁定 第3表 (interest arbitrage)取引に 第2表 アメリカにおけるBA残高の推移 (単位,100万ドル)
末 月
年”””””””””靭
567890123457777788888899999999999
ーユー11111111
18, 727 22, 523 25, 450 33, 700 45, 321 54, 744 69, 226 79, 543 78, 309 75, 470 68, 728 <出所>Federal Rθ5θrηθ飾∬θ励 各号。 アメリカのBA市場残高(1985年9月末) (単位,100万ドル) より,他通貨からの,あるい は他通貨への金融手段シフト 5) が生ずる。 (2)ニュ・一一ヨークBA市場 の特徴 アメリカの輸入金融 アメリカの輸出金融 三国間商取引金融 合 計 16, 677 ( 24.3%) 12, 810 ( 18.6%) 39,241 ( 57.1%) 68,728 (100.0%) 〈出所> Federal Reserve Bulletin, Jan.1986. ニュ・一一ヨークBA市場の特徴は,三国間取引に使われる割合いが高いという 6) 他に,次のような点をあげることができる。 ① 連邦準備銀行による再割引きは,現在行われていないが,連邦準備銀行 の再割引きの適格性の要件を,市場に流通するBAのほとんどが充足してい る。これは適格性を充足しないBAの売却による銀行の資金調達は,準備預金 の対象となるためである。 4) M. Stigum, ibid., p. 604. 5)たとえば,円の金利と対ドル先物相場の動向で発生する円シフト,1970年代初頭の ドル・ポンド相場の動きの結果行われたポンド建BAへのドル建貿易金融のシフト。 6) Federal Reserve Bank of New York, Qz‘arterly Reviezv, Summer 1981. Federal Reserwe Bulletin, Jan. 1986, pp. 1−12・② BAの引受限度が銀行に設けられている。銀行の取引先1社への引受限 度は,銀行の広義の自己資本の10%以内とされ,引受総額は広義の自己資本の 150%(特に認められた場合200%)とされている。 ③ BA市場の投資家としては,地方公共団体,銀行,企業,保険会社,個 人,年金基金,外国投資家等々で門戸が広く開かれており,事業法人,非居住 者の購入も多い。 ④市場ではアコモデーション手形(Accommodation Bill)の比率が高い。 アコモデーション手形は,市場単位(通常100万ドル)に揃えるため,原BA の振出人に,この手形を別途振り出してもらうもので,ニューヨーク市場では 一般によく振り出されている。アメリカやイギリスでは,手形に収入印紙が不 要なことが,盛んに振り出される要因にもなっているようである。 ⑤ 市場では小口のBAの流動化を促進するため,割り引いた銀行が同一期 日のBAを合算して,自己名でリファイナンス手形(Refinance Bill)を振り 出し,他銀行に再割引きを求める方法もとられており,外国銀行に広く利用さ れている。 ⑥アメリカでは,一般にBA市場を通じたファイナンスが定着しており, 市場のBAレートに0.5∼2%のスプレッドを上乗せした金利で,引受け’や割 引きによる対顧客金融(BA金融)が行われている。したがって,準備預金コ ストを加えたCD発行コストやユーロ・ダラー金利よりBA市場金利は低く, 企業にとって銀行からの通常の借入れコストよりBA金融の方が,有利となる 場合も多い。またBAの流通利回りはTBについで低く, BAの中でも大手の アメリカの銀行が引き受けたBAは,その他の銀行が引き受けたBAより流通 利回りが低いのが一般的である。 最優良企業では,無担保の単名約束手形であるCP(Commercial Paper)発 行のほうが低利となる場合もあるが,付帯コストを加えると必ずしもCPが低 利とはいえず,BA金融とCP発行は代替関係にある。 ⑦BAの期間は180日以内(通常の商取引期間内)とされているが,一般 に3ヵ月物が主流となっている。またBAの額面は自由であるが,通常50万∼
40 彦根論叢第237号 100万ドルが取引単位とされている。 ⑧ 市場におけるBAディーラーは,公認20社が主として担当しているが, 一般ディーラーも参入が可能である。.また流通市場は整備されており,.活発に 取引きが行われている。 ⑨ 市場の利用者は,日本の輸出入者が多く,市場の約50%が日本の輸出入 アラ 者であるという推計もある。 皿 円建BA市場創設の意義 1.円建BA市場創設までの経緯 円建BA市場の必要性については,1970年代から日本の産業界を中心として すでに議論されており,とくに第1次石油ショック後,日本の貿易金融のドル 依存に対する反省から,貿易の決済と貿易金融円建化促進のための円建BA市 場論が盛んになってきた。しかし1980年代の日本の金融・資本市場開放の議論 において,円建BA市場創設の気運が高まるまでは,具体化されることもなく 一部の議論にとどまっていた。 円建BA市場創設のきっかけとなったのは,1983年7月に提出された通産省 貿易局長の私的諮問機関である「貿易金融為替問題研究会」の報告書での「円 建貿易金融整備のためのBA市場創設案」であったといえる。その後1983年10 月の政府の「総合経済対策」 (対外経済政策を眼目として策定された)にとり 入れられ,同年11月のレーーガン大統領来日にともなう日米蔵相共同声明の金 融・資本自由化のための主要8項目に盛り込まれた。そして1984年5月の「日 米円・ドル委員会作業部会報告書」と同年5月大蔵省が発表した「金融の自由 化および円の国際化についての現状と展望」の中で円建BA市場創設が謳わ れ,さらに同年6月の金融制度調査会の第2次中間報告「金融の国際化の現状 と今後の対応」の中では,市場の基本的枠組みが示された。そして同年12月大 蔵省は「円建BA市場の創設について」という最終案をまとめ,それを金融制 度調査会に諮問し,その結果を踏まえたうえで,1985年4月1日付けで「円建 7)山口公生「円建BA市場創設に至る論点と課題」『金融財政事情』1985年4月8日。
銀行引受手形の取扱いについて」の大蔵省銀行局長通達(蔵銀667号)を出し 1985年6月1日から円建BA市場がスタートした。 2. 日本における円建BA市場の起源 ところで,日本において円建BA市場が創設されたのは,今回が初めてでは ない。第1次大戦直後の1919年(大正8年)5月,日本銀行は銀行引受手形の 再割引きを開始して,銀行引受手形の市場流通を促進したが,これが日本にお け’るBA市場の噛矢である。 当時日本が,イギリスで発達しアメリカにおいても盛んに行われるようにな った銀行引受手形制度を採用した第1の理由は,貿易金融のいっそうの円滑化 にあった。すなわち本制度の導入により,信用度の高い銀行を貿易金融に参加 させて,一般銀行の遊休資金放出を誘導し,為替銀行(当時は横浜正金,台湾 の 銀行等)の市場での資金調達を容易にすることが期待されたのである。 そして銀行引受手形制度導入の第2の理由は,第1次大戦中に拡大した産業 の維持・整理資金調達の円滑化であった。銀行引受手形のうち「金融手形」も 本制度の対象にされたのは,銀行が融資に警戒心であったことから,企業の経 営が困難となっていたという背景があったためである。しかしこの銀行引受金 融手形は,日本銀行が再割引きを行う場合も,銀行引受貿易手形に比べ格段に 厳しい取扱いがなされた。これは後述する「直バネ手形」の議論にも,有益な示 唆を与えるものである。このようにして創設された銀行引受手形市場も,1927 年(昭和2年)の金融恐慌で破綻してしまった。 3. 日本における円建BA市場未発達の理由 英米諸国の場合,前述のように第2次大戦後BA市場が戦前よりも発達した のに対し,日本ではBA市場創設の気運が最近まで盛り上がらなかった理由と 8)詳しくは,「開放経済下の為替・貿易金融について」日本経済調査協議会,1929年 1月の岩佐委員長報告を参照されたい。 9) 『金融法務事情』1984年8月5日,p.3,『銀行実務』1985年4月, p.67.
42 彦根論叢第237号 して,次の点をあげることができる。 ① 円建による輸出入そのものが少なかったこと。第4表に示されているよ うに,日本の輸出入決済の通貨別比率では,円建輸出決済比率が増加傾向にあ るものの,1984年でさえ33.7%にすぎない。このように日本の貿易取引の円建 比率は,輸出が30∼40%,輸入は2∼3%程度とあまり進んでおらず,自国通 貨建決済比率も外国に比べて低水準にあるのが実情である。 第4表 日本の輸出入決済の通貨別比率 (単位,%)
xiii l ig70/ig75
1980 1982 [ !983 i 1984出入出入出入出入出入
輸血輸輸輸輸輸恐慌輸
︷ ︷ 一 ︷︷
ル ド ツク 他
円ド轟耽の
米 英 西・ そ
Qゾ8
93401858110000780218
17.5 0.9 78. 0 89.9 1.9 3.8 1.1 1.5 1.5 3.9 29.4 2.4 65.7 93.1 1.1 0.9 1.9L4
L9
2.2 32. 2 n. a 62.3 n. a. 1.4 n. a. 2.1 n. a. 2.O n. a. 34. 5 n. a. 60. 4 n. a. 1.O n. a. 2.1 n. a. 2.O n. a. 33. 7 n. a. 61.4 n. a. O.9 n. a. 1.9 n. a. 2.1 n. a. (注)上記比率は,輸出は輸出信用状接受高,輸入は輸入承認届出統計による。 〈出所〉 『大蔵省国際金融局年報』昭和60年版,p.62,より作成。 円建化が進まない主な要因としては,輸出入とも国際競争上相手に円建化を 要求できないことがあげられる。また輸出では(i)ff易相手国がドル圏に属して いることが多い,(ii)円の国際化がすすんでいないため,貿易相手国が円の運用 や調達が容易にできない,㈹現地での販売価格を維持するため外貨建にしてい ることも要因としてあげられる。輸入では(i肝油価格や一次産品価格がドル建 で決まるなど,国際取引の慣行がドルやポンドなど外貨建で行われる場合が多 い。(ii)円建化を要求すると輸出相手から価格引上げ等不利な条件を押し付けら れる恐れがあることが大きな要因である。 ② 銀行にとって円建貿易金融を行う場合,BAで流動化しなければ円資金 が不足するという状況になかったこと。③貿易金融を受ける輸出入者にとって,紐付き市場金利ベースの金融(ス プレッド貸付け)になじみが薄かったこと。 第1図 従来からの日本の貿易金融決済制度
畔編「π「
「本爾
貨物 アメリカの輪出入者 日本の為替銀行 (ユーロダラー金利) アメリカの銀行x
Xeft/sasfa ,,;
ユーVダラー市場 アメリカのBA市場 (注} →は本邦輪出時のドル決済資金,一・一うは円決済資金の流れ 吟は本邦輪入時のドル決済資金の流れ 〆はBA金利, rは上乗せ金利、 r*はBA金利への上乗せ金利を示す。 第1図は,従来からの日本の貿易金融決済制度を示したものである。すなわ ち輸出入がドル建で行われると,日本の為替銀行は,在米支店を通じてアメリ カのBA市場でドル資金調達をし,円建の輸出入が行われると,為替市場や日 本の金融市場で円資金調達をすることにより,最終的に日本の輸出入者に金融 がつけられるようになっている(しかし最近では,日本の為替銀行は,アメリ カのBA市場金利よりもユーロダラー市場金利が低い場合,ユーロダラー一市場 から資金を調達するなど資金調達の多様化を進めている)。 このため対外支払いの90%以上がドル建で決済される輸入の場合,輸入者は 一定期間借り入れたドルに対し,為替市場でスワップ取引(直物ドル買い・円 売り,先物ドル売り・円買い)を行い,金利裁定を働かせることにより実質的 に国内市場金利水準(公定歩合+r)で資金を調達することが可能であった。44 彦根論叢 第237号 ところが輸出が円建で行われる場合,輸出者への金融は国内金利水準(公定 歩合+r)が適用されるのに対し,ドル建の場合,輸出者へ「アメリカBA金 利+上乗せ金利=ゴ*+プ*」が適用されてきた。したがってドル建輸出の場合, 支払金利は,(i*十r*)×直物円相場となり,アメリカの金利と日本国内の金利 ㊦間に金利裁定が成立せず,i*上昇が輸出者の負担増となっていた。 そこで輸出金融を中心に,借入通貨をドルから円へ切り替える「円シフト」 が強まってきたものの,一般の輸出入者には,まだ紐つき市場金利ベースでの 金融になじみが薄かったといえる。 ④円建金融は外貨建金融よりアベラビリティ(信用の利用可能性)がない という認識が強かったこと。すなわちユーロ市場の信用不安は時々生ずるけれ ども,日本国内の金融が引き締められると,円のほうが外貨(とくにドル)よ りアベラビリティ・リスクが大きいと主張する人が多かった。 ⑤為替銀行にとって,円建金融より外貨建金融のほうが,収益的にうまみ があったこと。1980年12月の新外為法施行以前は,海外からのインパクト・ロ ーン(外貨の貸付け)は許認可が義務づけられていた。したがって,日本の主 要為替銀行14行の実務担当者の集まりである「二水会」は,インパクト・ロー ン金利よりはるかに高金利な人為的輸出入ユーザンス(外貨建ユーザンス)金 ユの 利を設定することが可能であった。 インパクト・ロ 一一ン金利は,ユーロダラーの標準的金利であるLIBORと呼ば れる金利に為替銀行マージン(約0.5%)を上乗せして決定される自由金利で ユ ある。これに対し外貨建ユーザンス金利は,BA金利(≒LIBOR)に銀行引受 手形手数料(1.5%)と為替銀行マージン(1∼1. 75%)を加えた規制金利と 10) 岡 憲策「新外為法施行で大揺れの金融界」『エコノミスト』1980年12月9日。 11)輸入ユーザンスの種類は以下の通りである。
に螺粥二二豊野隠∴
(BCディスカウント,外銀ユーザンス)なっていた。ところで,日本の為替銀行がニューヨークのBA市場から調達す る場合のBA金利は,アメリカの一流銀行に適用されるより0.25∼0.5%割高 となっていた。しかし二水会がユーザンス金利に適用するBA金利は,これよ りもさらに約1%高いものとなっていたのである。 輸出入金融の大部分をニューヨーク市場に依存していた時代は,ニューヨー クの銀行に支払う銀行引受手形手数料(1.5%)も必要であった。しかし今日で は,為替銀行はその信用力を背景に,ユーロダラー市場から自由に資金調達が 可能となっている。したがって,為替銀行がユーザンス金融を行う場合,ユー ロダラー市場から資金調達することが多く,銀行引受手形手数料は為替銀行の 収益を押し上げる要因となっていたのである。 しかし,1980年12月のインパクト・ローン自由化により,ユーザンス金融へ の依存度が弱まってきている。またインパクト・ローン金利が,ユーザンス金 利に大きな影響を与えている。さらに現在では銀行と企業の力関係が変化して おり,銀行にとって外貨建貿易金融が,従来ほど高い収益があるとはいえなく なっているようである。 ⑥ 銀行側にとって,他商品との競合,預金からのシフト問題そして無担 保の単名約束手形であるCP創設の議論が生じる可能性が強く, BA市場の議 論をすること自体が危険であると考えられていた。 ⑦ 金融行政当局は,金融新商品や金融機関の新資金調達方式の導入に対 し,規制的に対応していたこと。 ⑧ 金融慣行上からも,一般に銀行の割引手形が,国債等と同様なポートフ ォリオ対象資産とは考えられていなかったこと。 ⑨ 貿易手形は小口のものが多く,一定の流通単位にまとめる作業が繁雑だ ったこと。したがって銀行自身が,BA市場創設を自らすすんで行おうという インセンティブが働かなかったといえるだろう。 このように日本の円建BA市場が未発達であったことに対しては,種々の要 12) 岡 憲策,前掲論文,p.26.
46 彦根論叢 第237号 因が考えられるが,これらの要因を生じさせていた金融環境も,金融の自由化, 国際化の進展にともなって変化しはじめ,銀行の対応も大きく変わってきた。 4. 円建BA市場創設の背景と意義 (1)円建BA市場創設の背景 円建BA市場創設の本格的検討が始まって,2年足らずで円建BA市場が実 現した背景には,次の点をあげることができる。 ①日本の大幅な貿易収支黒字を縮小するため,円建BA市場創設により輸 入を増加できないかという対外経済政策の観点からの要請があったこと。すな わち貿易金融を整備することにより,輸入の2∼3%しかない円建比率を高め て為替リスクを極小化し,輸入を増加させようと意図したのである。また輸入 は円建化しないにしても,貿易金融を円建化することにより,為替リスクがヘ ッジできるのではないかという主張も多かった。 しかし前述のように,石油や食料等の国際市況商品取引には国際商慣習上, ドルが使用されていることや,為替変動リスクを海外の輸出業者に転嫁するこ とは,極めて困難な状況にあり,円建BA市場を創設しても,すぐに輸入の円 建化促進効果は期待できない。したがって短期的には,輸入拡大に結びつかな いといえるだろう。また輸入に比べ円建比率の高い輸出手形が,同市場での流 通主体となり,逆に輸出促進効果をもたらし,貿易収支黒字縮小と逆方向に作 用する場合もあるといえる。 したがって,貿易取引における円建比率の上昇は,円に対する世界的信認の 高まりと,円利用のメリットや簡便さが貿易決済において浸透するまで,自然 の発展に委ねざるをえないものの,その間,金融環境整備や短期金融市場整備 という面から円建BA市場創設は,十分意義があるといえるだろう。 ② 過度のドルに対する依存体制を反省し,貿易金融の正常化を行おうとい う動きが出てきたこと。現在日本は,資本輸出国となっているにもかかわら ず,貿易金融の多くをドルに依存している。したがって,経常収支が大幅黒字 でありながら,貿易金融のため恒常的に大量の短期資金を導入しているのは不
合理であり,日本から流出する円資金を国内で活用するため,貿易取引がどの ような通貨建であろうと,貿易金融を円で行おうという考えが,強まってきた のである。 ③ アメリカの金利水準が高く,ドル建BA金融が円建金融よりコスト高に なって,「円シフト」が強まってきたこと。したがって円建BA市場創設は, 為替相場の動向や金利の先行き見通しによって生じる円シフトの受け皿にもな り,銀行にとっても円金融がつけやすくなるといえる。 しかし円建BAへの移行が,貿易金融金利の低下につながるか否かは,一概 に即断できない。アメリカのBA金利が上昇すると,相対的に金利コストの低 い円建BA市場での資金需要が強まり,円建BA金利に上昇圧力がかかる。逆 にアメリカのBA金利が日本より低ければ,資金調達が円建BA市場からアメ リカのBA市場で行われるようになり,円建BA金利低下につながる。このよ うに円建BA金利は,アメリカの金利や日本国内の他の市場金利の動向に大き く左右されるようになる。 ④ 1971年創設された手形売買市場は,円建輸出手形のリファイナンス市場 として十分機能しているとはいえず,為替銀行の貿易金融の裁量的な再調達が できる市場,あるいは海外に開放された市場の必要性が強まったこと。 これは手形売買市場が,広義の金融機関のみ参加できる限定されたクローズ ド・マーケットであり,しかも買い手と売り手が区分されているため,市場内 部での裁定ができず,他市場との裁定にも限界があり,手形売買市場の金利が 自律的・伸縮的動きに乏しいことによるものである。 ⑤ 輸入金融はその大部分を,外貨建輸入ユーザンス(本邦ロ 一一ソとBCデ ヨラ ィスヵウントが中心)に依存しているが,本邦ローンの場合,前述したように 金利決定において為替銀行のマージンが高すぎるという批判が強いこと。 最近ではこのマージンも為替銀行と企業との力関係で縮小傾向にあり,多く 13) BCディスカウントとは.輸出者が振り出した日本の輸入者を支払人とする信用状 なしの期限付輸出手形を,外国の銀行が買い取って,日本に取り立てに仕向けてくる ものをいう。
48 彦根論叢第237号 の企業が相対的に低マージンであるBCディスカウソトヘシフトする等状況は 変化しつつあるものの,いぜんとして為替銀行にとって収益のある分野である。 ⑥ 本邦ローンのように,対外決済が終了しているにもかかわらず,その後 改めて外貨で金融を受けることへの疑問が強まったこと。つまり円建金融が緩 和基調にあり,円建金融が外貨建金融より金利が低い状況下では,ユーザンス 期間中の為替リスクを負ってまで外貨建金融を受ける合理的理由がなく,最初 から円で金融を受ける「直バネ金融」を実現するため,円建貿易金融市場整備 の要望が高まってきたのである(詳しくは後述の第6図を参照されたい)。 ⑦一連の貿易摩擦解消の議論の中で,アメリカから「日本の短期金融市場 を充実させ,海外の投資家にとっての円投資機会の拡大を通じた円の国際化と 円安是正」策を要望する声が高まり,これが最も強力な推進源となった。 (2)円建BA市場創設の意義と影響 以上のような諸点を考慮して,1985年6月1日から円建BA市場が創設され たが,その意義と影響は次のような点である。 ①日本の短期金融市場の整備,拡充に資する。すなわち円建BA市場創設 は,新しい短期の自由金利商品をつくり出す機会を与え,預金金利自由化の動 きが加速化される。それとともに,市場金利連動型の貸出しが増加し,固定金 利化されていた短期プライムレート制度の形骸化を促進し,日本の金利自由化 の動きに拍車をかける要因となる。 ② 円建BA市場創設が,中長期的にはアメリカのBA市場のように,取引 の円建化を促進し,円の国際化につながる。もちろんアメリカBA市場の現在 の発展は,国際通貨ドルによる貿易金融円滑化と拡大に負うところが大きい。 第2次大戦後ドルは,イギリス経済とポンドの凋落により,金とともに全世界 で使用され,結果としてBA市場が発達したのであり,アメリカBA市場の存 在によりドルが国際決済通貨化したわけではないことに注意すべきである。 したがって,国際決済通貨としての円の役割の増大は,前述のように円への 信認の高まりと円利用の有用性が一般に認識されるまで待たねばならない。し かし円建BA市場育成を通じて,非居住者の短期円投資の場を多様化させた
第2図 三国間貿易手形(本邦為銀引受原手形) 輪 出 者 輪出貨物 輪 入 者 原手形: 輪出地の銀行 輪入地の銀行 引受けl i B本の為替銀行 BAディーラー
iii:;::””
BA売却
投 資 家 (注) ←一一一一一一原手形の流れ PtBAの流れ ←・一・輪出関係書類の流れ一一資金の流れ
り,海外の銀行に対して短期円資金調達の場を供給できるようにすることは, 世界経済における日本の応分の負担として必要なことである。その意味で前述 のアメリカの連邦準備制度のBA市場育成策は,示唆に富んでいる。 また円の国際化が進むためには,非居住者が対日貿易取引だけでなく,第2 図に示されているように,三国間貿易においても,取引通貨として円建化を促 進することが必要となる。そのためには,円建債権・債務の金融調整の場とし て,日本の金融市場が機能できるよう整備されることも不可欠な条件となる。 そして円建BA市場は,円の国際化の進展につれて深さと厚みを増し,短期 的には円建金融の円滑化,中長期的には円建貿易比率の上昇促進および貿易取 引の安定的拡大に寄与すると考えられる。 ③ 為替銀行の短期対外ポジションが改善される。すなわち外貨は,円より50 彦根論叢 第237号 もアベラビリティ・リスクが高く,為替銀行が貿易金融を外貨に依存しすぎる ことは,危険が大きくなることを意味する。これは国際的な信用不安を生じさ せた場合の,ユーロ市場での外貨調達難などからも明らかである。 ④ 円建BA市場の存在により,貿易にともなう金融面の阻害要因(たとえ ば外国為替相場の変動,代金決済の遅延等)が除去されることである。日本は いままでドル建で大部分の貿易取引を行い,アメリカのBA市場を積極的に活 用することにより,貿易にともなう金融面の阻害要因を回避し,貿易を拡大し てきた。 近年,太平洋圏諸国内貿易における日本の地位の高まりとともに,太平洋圏 諸国の貿易(三国間貿易)に円を使用することにより,金融面の阻害要因の除 去が可能となった。したがって円建BA市場は大きな貢献がでぎるであろう。 IV 円建BA市場の概要 1. 円建BA市場での取引対象手形 円建BA市場での取引対象手形は,日本所在の為替銀行が引き受けた貿易関 係の円建期限付為替手形で,①信用状付円建貿易手形,②アコモデーション手 形,③輸入決済関係手形(直バネ手形),④リファイナンス手形,⑤表紙手形 のいずれかに該当するものである。ただし日本の輸出者が振り出した手形は, 船積後30日以内,⑤を除くその他の手形は船積後45日以内に引き受けられたも ので,かつ船積後6ヵ月に郵便日数(通常2週間以内)を加えた期日前に満;期 日がくるものに限られている。 (1)信用状付円建貿易手形 まず信用状付円建貿易手形(輸出の場合)の仕組みは第3図に示されている。 この手形は,日本または外国の輸出者が信用状に基づき,貿易決済のため日本 所在の為替銀行を支払人として振り出した円建期限付為替手形のことで,BA の基本型である。銀行の経理処理では邦貨買入外国為替(輸出),邦貨取立外 国為替(輸入)で処理されているが,円建BA市場に出回る手形は,円建輸入 比率が低いため,大部分が円建期限付輸出手形である。
第3図 信用状付円建貿易手形(輸出の場合) 輪 出 者 ①輪 出 輪 入 者 引受け @ 割引き
e
日本の為替銀行 @海外の銀行
@ @ 投 資 家 @ BAディーラー (注) 第3、4、5、6、7図では Pt 円建BAの流れ 資金の流れ ←一一一……原手形の流れを示す しかし輸出手形でもBA対象となるのは,当所引受け(自己引受け)・同行 割引分のみで,邦貨買入外国為替(輸出)に占めるこの手形の比率は,低水準 にある。また日本所在の他銀行が支払人となっている手形を買い取った為替銀 行は,当該手形をBA市場で売却することができない。なぜなら支払人となっ ている日本所在の他銀行が引受けを行っていないからである。 なお三国間貿易でも,外国の輸出者が振り出した手形の支払人が,信用状に より日本の為替銀行となっているものは,円建BA市場の対象手形として認め 14) られている。 (2)アコモデーション手形 アコモデーション手形(輸出の場合)の仕組みは第4図に示されているが, 14)詳しくは『為替市場』1985年1月号.5月号を参照されたい。52 彦根論叢第237号 この手形は,日本の輸出者が貿易決済のために振り出し,日本所在の為替銀行 の買取りを受け’た円建期限付為替手形(上記(1)の信用状付円建貿易手形を除 く)を見合いとして,当該輸出者が日本所在の当該為替銀行を支払人として振 り出した円建期限付為替手形,および外国の輸出者が貿易決済のため振り出 し,日本所在の為替銀行の外国にある本支店の買取りを受けた円建期限付為替 手形(上記(1)の信用状付円建貿易手形を除く)を見合いとして,当該輸出者が 日本所在の当該為替銀行を支払人として振り出した円建期限付為替手形のこと である。 第4図 アコモデーション手形(輸出の場合) 輪 出 者 @ @ @② 一⋮−−⋮⋮⋮i ①輪 出 引受け @ 割引き 日本の為替銀行 輪 入 者 cz) @ @ ド コ り の
テ
③ Ee海外の銀行
投 資 家 @ BAディーラー すなわち.原手形が輸出代金取立てのため外国に送付されてしまう場合など に,輸出者が日本所在の為替銀行宛に振り出す便宜的な円建期限付為替手形を 意味している。また信用状付円建貿易手形を見合いとして振り出されるアコ モデーション手形は,DP(Documents against Payment,支払渡し)条件や, DA(Documents against Acceptance,引受渡し)条件といった信用状がっか円の国際化と円建BA市場 53 ないものでも手形の創出が可能である。 日本の企業にとり,いままでアコモデーション手形の振出しを為替銀行から 要求されたことはなかったし,この手形を振り出さないという理由で貿易取引 が解消されたり,いままで受けていた貿易金融が無効になるわけでもない。ア コモデーション手形は,東京アクセプタンス(信用状をつけた日本の為替銀行 が麦払人=引受人となっている手形)以外のものについても,円建貿易金融を 行っている日本の為替銀行が,円建BA市場でリファイナンスできるよう,円 建BA市場の対象とするため導入されたものである。アコモデーション手形の 引受けを行う為替銀行は,二重金融を防止する観点から,アコモデーション手 形と原手形との対応関係を確認することが必要で,そのため明細表を作成する こととされている。 ⑧ 輸入決済関係手形(直バネ手形) 輸入決済関係手形(直バネ手形)の仕組みは第5図に示されているが,この 第5図 輸入決済関係手形(直バネ手形) 輪 入 者 ①輪 主 輪 出 者 引受け @ ca @ 日本の為替銀行
海外の銀行
@ 1@ 投 資 家 @ BAディーーラー54 彦根論叢第237号 手形は,日本または外国の輸入者が一覧払条件等による輸入代金決済のために 受けた円資金融資を見合いとして,当該輸入者が日本所在の為替銀行を支払人 として振り出した円建期限付為替手形のことである。 現在,輸入の97∼98%が外貨建であり,輸入金融もドルを中心とする外貨建 ユーザンスが主体である。外貨建ユーザンスは,前述(44ページ,脚注11),の ように,アクセプタンス方式,リファイナンス方式,BCディスカウント方式, 本邦ローン方式等があるが,その中でも日本の為替銀行が日本の輸入者に直接 外貨(ドル)を貸し付ける本邦ローン方式が,これまでの輸入金融で大きな役 割を果たしてきた。 第6図本邦ローン方式と直バネ方式 ①本邦ローン方式 船積日 対外決済日 本邦ローン ハネ金融 (外貨) (円) (外貨) ②直バネ方式 船積日 対外決済日 (外貨) 八目ネ(円) 第6図の①に示されているように輸入者は,外貨を2∼4ヵ月問,為替銀行 から借り入れ(本邦ロ ・一ソ),その後,追加資金が必要になれば当該為替銀行 から円を借り入れる(バネ金融)方法をとってきた。 第6図の②の「直バネ」方式は,対外決済に必要な資金を外貨でなく直接円 で借り入れるものである。円建BA市場の規模拡大の願望を込めて,多くの異 論や反対がある中で,BAの対象に認められた「直バネ手形」は,必ずしも貿 易取引が円建でなくても可能である。しかし円建貿易金融であることを明らか にするため,①輸入代金決済および輸入代金決済のための円資金融資が,この 手形を引き受ける為替銀行で行われること,②輸入代金決済およびそのための 円資金融資が,この手形の振出日において行われることを必要としている。 ところで円建輸入の場合は,一般に円資金供与が行われる。したがって,こ
の場合に振り出された円建期限付為替手形も,当然,円建BA市場の対象とな るが,この種の手形は「直バネ手形」より広い概念であり,「輸入決済関係手 形」と呼ばれる所以である(しかし便宜的に直バネ手形と呼ばれる場合が多 い)。また外国の輸入者が,円で輸入資金を供与された場合も,日本の輸入者 と同様の条件下で,円建BA市場を利用することが可能である。 (4)リファイナンス手形 リファイナンス手形の仕組みは第7図に示されているが,この手形は,円建 貿易金融〔輸出者が貿易決済のために振り出した上記(1)の信用状付円建貿易手 形を除く円建期限付為替手形の買取り,または輸入代金決済のために供与する 円資金融資〕を供与した外国の銀行が,日本所在の為替銀行(振出人たる外国 銀行の在日支店を除く)を支払人として振り出した円建期限付為替手形のこと である。 第7図 リファイナンス手形 ⑤ 返済 円建貿易金融 ! 引受け ② ① 日本の為替銀行 @ 割 ⑤返済
海外の銀行
@ 投 資 家 @ BAディーラー 円建BA市場の創設は,非居住者に短期円資金運用手段を与えるだけでな く,円建貿易金融を供与した金融機関に,円資金調達手段を与える必要がある。 その意味からも,従来コルレス先に供与していた外国他店貸しという手段の他 に,日本に支店がない外国の銀行にも,円建BA市場からリファイナンスが行56 彦根論叢i第237号 えるよう,リファイナンス手形が導入されることになった。 リファイナンス手形は,上記(1)(2)⑧の手形と異なり,貿易金融を受けた輸出 入者が振出人ではなく,貿易金融を供与した外国の銀行が振出人となって.お り,貿易決済にともなって振り出された手形ではない。そのため,この手形を 引き受ける為替銀行は,当該外国銀行が供与した円建貿易金融の内容を確認す るとともに,二重金融防止の観点から,当該外国銀行より当該円建貿易金融に ついて他の資金調達を行わない旨の確約を書面により徴収することが義務づけ られている。なお同一銀行の本支店間で振出しと引受けが行われるような手形 は,リファイナγス手形として認められない。 リファイナンス手形は,円建BA市場がある程度の残高になって,初めて利 用の可否を検討するのが一般的で,まだ創設されて問もない現時点では,多く を期待できないという意見も多い。
㈲ 表紙手形
表紙手形の仕組みは第8図に示されているが,この手形は上記(1)∼(4)の手形 を担保として日本所在の為替銀行が,自行を支払人として振り出した円建期限 付為替手形のことである。 表紙手形は,日本の代表的短期金融市場である期間が1∼4ヵ月の手形割引 第8図 表 紙 手 形 円建貿易金融 日本の為替銀行 @o
②引受け 投 資 家 @ BAディーラー市場において主として利用されているもので,日本独特の制度である。上記(1) ∼(4)の手形には,小口で金額に端数がついているものも多いことから,円建B A市場取引に馴染む金額にまとめるため導入されたものである。 表紙手形の担保となる手形は,手形割引市場においては付随担保として資金 の取り手から出し手へ引き渡されている。しかし円建BA市場は,オープン・ マーケットであることから,インターバンク・マーケットの手形割引市場と同 様の流通形態をとれば,表紙手形と担保になった手形が別々に流通する危険も あり,担保になった手形は日本銀行で集中管理されることになっている。 2. 円建BA市場の取引条件と付随事項 円建BA市場の取引条件と付随事項としては,前述のほかに次のような点を あげることができる。 ①為替銀行は1億円以上のBAを,事業法人,非居住者を含む一般投資家 に売却できる。しかし輸出入者が,為替銀行からBA金融を受ける場合の最低 単位は,とくに制限なく,小口金額でも良いことになっている。 ② 手形は為替銀行が引受けを行うと同時に為替銀行が割り引き,最初に市 場でBAを売却するのは,当該銀行に限られている。したがって手形を為替銀 行が引き受けた後,BAを輸出入者に返却することは認められず,振出人であ る輸出入者は,円建BA市場でBAを直接売却することができない。これはア メリカのBA市場と大きく異なる点である。 ③ 市場での売買や媒介に参加できるBAディーラーは,予め所管行政庁に 届け出た金融機関(銀行,相互銀行,信用金庫,信用金庫連合会,商工組合中 央金庫,農林中央金庫),短資業者および金融機関の関連会社で,証券会社は, 1986年4月から参加できる(為替銀行はBAディーラーを兼ねる場合が多い)。 ④ BAの期間は,アメリカのBA市場が6ヵ月以内(3ヵ月が主流)であ ること,過去の貿易の標準決済が6ヵ月であったこと,CD市場との競合等を 考慮して,6ヵ月(プラス最:大限2週間の郵便日数)以内となった。 ⑤輸入決済関係手形(直バネ手形)にかかわる円建金融が日本銀行の大口
58 彦根論叢 第237号 融資規制や窓口指導の枠から除外されたこと。すなわち直バネは対外決済後の 国内金融であり,一般貸出しとみなされて,日本銀行の貸出枠規制の適用を受 けるべきであるとする議論がなされた。しかし円建BA市場育成の観点から, 円建貿易金融の供与であることを明確にする条件をつけることで,大口融資規 制,窓口指導の対象から直バネ手形を除外することになったのである。これに 15)対して金融政策の有効性低下の懸念が出されている。 ⑥円建BA市場育成の観点から,市場に対する参加者の信頼を確保するた め,円建BAを日本銀行のオペ適格手形とすることが決定された。 ⑦ 現行の円建手形には,手形金額に応じて階級別定額税率(200円∼20万 円)が課せられているが,従来の貿易金融の場合,貿易手形には印紙税の問題 が生じなかった。しかし円建BAには現行の印紙税が適用され,直バネ手形や アコモデーション手形のように原手形を直接売買する場合,階級別定額税率に したがって印紙を貼る必要が出てきた。しかし印紙税がすでにかかっている小 額原手形を合計した表紙手形については,印紙税法の特例により振出人と受取 人が金融機関であれば,200円の印紙を貼るだけでよい。また信用状付輸出円 建手形は200円の印紙が必要だが,リファイナンス手形は非課税である。 ⑧ 円建BA市場の経理処理にあたっては,資産,負債の水ぶくれの回避, 経理処理の簡素化・合理化,貸倒引当金計上の確保等の観点から,相殺方式と 両建方式を折衷した新方式を導入し,同時に円建BA市場と類似した手形割引 ユの 市場の経理処理方法も,円建BA市場と同じ新方式を採用することになった。 V 円建BA市場の現状と問題点 1. 円建BA市場の現状 このように1985年6月1日に,内外注視のなかで発足した円建BA市場であ ったが,当初;期待されたほど利用されず,停迷を続けている。第5表は6月中 の円建BA市場残高の推移を示したものである。6月1日は土曜日にもかかわ 15) 『三井銀行調査月報』1983年11月,pp.13−14。 16) 『金融財政事情』1985年4月8日,7月29日。『銀行実務』1985年7月。
第5表円建BA市場残高 (単位,億円)
1985年 6月1日 6月28日6月末
月中増減第富住三三東太三協大埼拓東
一勧
陽 神銀士友菱和海戸井和州白銀銀
054!631468707
05752623 ! ー
ユ5763726211340
42646415132 4
ユ9766727561291
826364 5!31 3
△△△△ △△
U288154121142110135124
△ 都 銀 計 482 567 488 6 長そ 合 扇 銀 の 他 0ρ01Qゾ9
20
8
22
A 8 A 14 計 588 659 572 A 16 〈出所〉 「金融財政事情』1985年7月22日号,p.3!より作成。 らず,都市銀行の初日という意識と政策当局の協力姿勢により,588億円とま ずまずのスタートであった。 しかし6月3日以降,売却が期待されていた直バネ手形は,銀行の利鞘(ス プレッド)と印紙税負担の問題が,銀行と企業の間で合意できなかったことか らあまり持込まれず,6月末残高572億円と6月1日残高比16億円減のまま越 月し,7月末430億円,8,9月は持ち直したものの,10月末310億円とさらに ユつ 縮小し,なんらかの対応策を講じざるをえない状況になっている。 2.円建BA市場残高の阻害要因と対応策 円建BA市場残高の増加を阻害している要因とその対応策としては,次の点 17) 『日本経済新聞』1985年11月21日,1985年12月31日。60 彦根論叢 第237号 をあげることができる。 ① 6月中に市場で流通したBAの70%は,信用状付円建期限付輸出手形で 18) あった。しかし現在,貿易取引の大部分を占めるのは,輸入者の送金で決済さ れるRemittance Billや,手形なしの後払い(Defferred Payment)であり,円 建期限付輸出手形でBA市場残高を飛躍的に増加させるには無理がある。 ② 輸出金融の場合,従来は(公定歩合+r)の短期プライムレート水準で 銀行から借り入れ可能であったのに対し,円建BAを利用するとそれ以上の金 利水準になるため,円建BAの利用が少ないこと。これはBAレートそれ自身 は厳密な意味の金利ではなく,割引率のため源泉徴収税が課されず,他の短期 金融市場商品より低利であるものの,0.5%を上回る銀行マ・・一ジンや前述の印 紙税により,結果的セこは金利水準が上昇するためである。 ③ 信用状付円建貿易手形は,当所引受け・同行割引きとなっているが,こ れを「同一銀行が引受け・割引きをする必要がない」と緩和すれば,地方銀行 等の1,000億円程度の引受手形が円建BA市場に出回ることが予想される。 ④6月に市場で流通したBAの20%は,アコモデーション手形といわれて いるが,これは市場創設にともなう銀行の残高確保の動きと,企業の御祝儀に よる一時的現象であったようである。 アコモデーション手形は,一取引に対し手形を二枚振り出すもので,前述の ように印紙税のないアメリカではよく利用されている。しかし日本ではアコモ デーショγ手形に階級別定額税率が適用される。たとえば手形金額10億円の場 合,20万円の印紙税が必要で,手形期間3ヵ月とすると,年率0.08%の負担増 となる。 実質的には一つの取引であるにもかかわらず,手形が二枚振り出されている ために,二回,階級別定額税率で印紙税を課されているわけである。為替銀行 の確認を前提として,通常の外貨表示手形並みの200円にアコモデーション手 形の印紙税を引き下げるべきであろう。 ⑤ リファイナンス手形は6月中に,都市銀行下位行が数億円取り扱ったに 18)『金融財政事情』1985年7月22日,p.31,『銀行実務』1985年7月, pp.24−28.
円の国際化と円建BA市場 61 すぎない。これは細部まで統一ルールが検討されていないことや,国内金利体 系への影響を考えると無理のないところである。将来,統一したルールが確立 すれば,ユーロ円との金利裁定により,かなりの利用を期待できるだろう。 ⑥ 直バネ手形は,前述のように現行の円資金調達コストに比べ割高である こと,銀行のマージンが高いこと,印紙税分だけ調達コストが割高になること 等により,現在あまり利用されていない。銀行のマージン引き下げについての 早急な合意が必要であり,印紙税の再検討も行うべきである。 ⑦表紙手形の導入は,市場拡大のためには望ましい制度であるが,担保の 日本銀行での集中保管が最大のネックとなっている。なぜなら,担保となる手 形の大部分が小口の円建期限付貿易手形であり,事務コストが嵩むからであ る。証券会社による国債担保金融が「出保管」方式で行われているのに,なぜ 円建BAが日本銀行に保管されなければならないのかという疑問も強まってき ており,極力,手続きの簡素化が必要であるといえるだろう。 ⑧外国為替相場において,先行き円高基調にあるため,資金の借入側から すれば,外貨建債務を持っていた方が有利であるという判断から,円建BA市 場利用を回避している面も無視できない点である。
3.円建BA市場の展望
以上のような阻害要因を除去し,円建BA市場を健全に育成していくために は,①為替銀行のマージンを銀行の自助努力により,大幅に縮小するとともに, 金利の弾力化を促進する,②印紙税の軽減を図る,③取引金額1億円をもう少 し小口化する,④証券会社をはじめ多様なBAディ ・一ラーのの市場参入を早め る,⑤ニューヨーク市場のように貿易業者によるBA市場への直接売却を行う 方向で対処する,⑥国内における短期金融市場の整備を図る(とくにTB市場 の育成・整備を図る),⑦アメリカのBA市場育成策を見習う。とくに非居住者 の保有を促進するため税制面と投資面での制度的改正を行うこと,⑧円の国際 化を側面から促進する諸方策をとるとともに,円相場の安定を図る諸政策をと り,また三国間貿易に円が使用されるよう環境整備を行う等々が考えられる。62 彦根言出叢 第237号 ニューヨークやロンドンが国際金融市場として発達し,ドルやポンドが国際 通貨として利用されてきた背景には,米英両国ともBA市場が発達し,世界貿 易の資金決済・資金調達市場としての機能を果たしてきたことを無視すること はできない。日本が今後,円の国際化を推進し,また国際金融市場のひとつと てしの役割を果たすためにも,円建BA市場の健全な発達が是非とも必要であ るQ 〔参考文献〕 〔1〕 R.L. Cooper,‘‘Bankers’Acceptances,”Federal Reserve Bank of New York, セ Monthly Reviexv, June 1966, pp.127一一135. 〔2〕 H.H. Hackley, Lending Functionsげtke Federal Reserve Bαnks:AHistory, Washington, Federal Reserve Board,1973. (3〕 H.Harfield, Bank Credits and Acceptαnces,5th ed., New York, Ropald Press, 1974. 〔4) R.T. Helfrich,‘‘Trading in Bankers’Acceptances=AView from the Acceptance Desk of the Federal Reserve Bank of New York,”Federal Reserve Bank of New York, MonthlrV Rewiew, Feb.1976, pp.51−57. 〔5) J.LHervey,“Bankers’Acceptances,”Federal Reserve Bank of Chicago, Business Conditions, May 1976, pp.3−11. (6〕 J.S. Joines,‘‘Bankers’Acceptances,”Federal Reserve Bank of Richmond, Inst− ruments Of the Money MarfeeちVirginia,1974, pp.73−80. 〔7〕 C.J. McCardy,“The Dealer Market for the United States Government Secur. ities,”Federal Reserve Bank of New York,Ωt‘arterly Reviezv, Winter 1977/78, pp.35−47. 〔8〕 R.Solomon&F・M. Tamagna,“Bankers’Acceptances Financing in the United States,”Federal Reserve Bulletin, May 1955, pp.482−494. 〔9〕赤羽総一郎「短期貿易金融の新しい動き」『東京銀行月報』1985年12月,pp.4−28。 10)秋山 収「最近における通商と為替の諸問題」『国際金融』1985年9月1日,pp.16 −27。 〔11〕 天野明弘編『どう変わる国際金融と円』通商産業調査会,1983年。 〔12〕有馬敏則「国際通貨発行特権と金融の国際化」『世界経済評論』1983年4月,pp. 17−25. 〔13〕一,「金融の国際化と東京オフショア市場」『彦根論叢』第220号,1983年5月, pp.47−68. 〔14〕 一,『国際通貨発行特権の史的研究』日本学術振興会,1984年。
〔15〕 福田龍介「円建BAは3国間取引に適用を」『金融財政事情』1984年12月10日,pp. 35−370 〔16〕福原基夫「躍進する東京ドルコール市場」『金融ジャーナル』1985年8月,pp.25 −290 〔17〕船橋太郎「円建BA市場の創設(上)(下)」『金融財政事情』1985年3月25日, pp.33 −35,4月!日,pp.34−36。 〔18〕 行平豊雄「我が国金融機関業務の国際化とそれに伴う諸問題(上)(下)」『ファイナ ンス』1983年12月,pp.50−58,1984年2月,pp,38−47。 〔19〕伏見信彦「円建B/A市場創設の意義と問題点」『金融ジャーナル』1984年6月, pp. 25−30. 〔20〕原信・森田達郎編『東京マネー・マーケット』有斐閣.1983年。 〔21〕入江恭平「貿易金融の現状と問題点」『証研レポート』1982年8月30日,pp.1−9。 〔22〕 石田定夫「金利機能活用に欠かせないTB市場の整備・育成」 『金融ジャーナル』 1984年6月,PP.13−18。 〔23〕上東三徳「円・ドル委員会報告書と国内金融への影響」『富±タイムズ』1984年8 月,PP.2−8。 〔24〕 金融制度調査会「金融の国際化の現状と今後の対応」『国際金融』1984年7月1H, pp. 82−93. 〔25〕木森 賢「円建BA市場創設と銀行取引への影響」『営業促進’85』1985年1月, pp. 74−82. 〔26〕幸島祥夫編『金融国際化一未知への挑戦』東洋経済新報社,!983年。 〔27〕楠本 博「環太平洋圏確立のための貿易金融市場(B・A)の育成」 (政策経済学 会報告)1981年5月30日。 〔28〕一,「円建BA市場創設一法人取引の変貌と営業戦略」『営業推進’85』1985年2 月,pp,55−61。 〔29〕村岡茂生「円建BA手形市場について」『国際金融』1984年11月1日, pp.8−13。 〔30)中島将隆「日本の金融国際化の現状と問題点」『季刊・現代経済』M45,1981年11 月,pp,116−124。 〔31〕 日:本経済新聞社編『金融の国際化 論集・現代の金融問題⑧』日本経済新聞社, 1980年。 〔32〕野村総合研究所「10年後の世界経済と金融・資本市場」『金融財政事情』1986年1 月6日,PP.122−129。 〔33〕 大久保良夫「円建銀行引受手形の取扱要領」『金融財政事情』1985年4月8日,pp. 28−30. 〔34〕一,「円建BA市場一その対象手形と取扱要領」『金融』1985年5月, pp.4−11。 〔35〕大蔵省「金融の自由化および円の国際化についての現状と展望」『金融と銀行』
64 彦根論叢 第237号 1984年8月16日,pp.32−38。 〔36〕大蔵省銀行局「円建BA市場の創設について」『金融財政事情』1985年4月8日, pp. 38−39, 〔37〕 岡田弘道『外国為替取引百科』金融財政事情研究会,1984年。 〔38〕 岡垣憲尚「円建BA市場と取引形態の研究」『銀行実務』1985年4月, pp.59−68. 〔39〕 坂本 嵩「整備された円建BA手形取引の経理処理」『金融財政事惰』1985年7月 29H, pp. 48−50. 〔40〕佐竹一郎「円建BA市場創設の影響について」『三菱銀行,調査』1984年2月,Pp 15−190 〔41〕 澤木敬郎・石黒一憲監修『国際金融取引(1)』有斐閣,1985年。 〔42〕柴田淳一「円建BA市場の概要とその問題点」『営業推進’85』1985年1月,pp.71 −740 〔43〕竹内一郎・原信編『国際金融市場』有斐閣,1981年。 〔44〕戸城信二・白井半次郎・高杉英雄『概説・送金・資本取引 外国為替基礎構座国』 銀行研修社,1985年, 〔45〕津田嘆信「最近の外為法令の改正について」『地域金融』1985年6月,pp. 23−30。 〔46〕塚越 博「円建BA事務フP一の概要とその留意点」『銀行実務』1985年9月, pp. 24−31. 〔47〕吉野昌甫編『貿易・為替小辞典』有斐閣,1983年。 〔48〕 湯本佳信・川口哲児・江藤雄四郎『輸出取引 外国為替基礎構座圃」銀行研修社, 1985年。 〔49〕 雑喉良祐・飯島建・中村一彌『輸入取引 外国為替基礎構旧藩』銀行研修社,1985 年。