帝 塚山大 学 心理学 部 紀要2015 年 第4 号pp. 109-114
アカデミック・スキ ルの 評価と注意 欠 如/多 動性 障害 傾向1
問 題 近 年, 発 達 障 害 と考 えられ る児 童 や 成 人 が 急 増し てい る。 文 部 科 学 省(2012) の 調 査 によると,発 達 障 害 によって 行 動 面 や 学 習 面 で 著しい 困 難 が みられると担 任 の 教 師 が 回 答 した 児 童 生 徒 の割 合 は約6.5 % で あった。 さらに 大 学 等 の 高 等 教 育 機 関 でも ,何らか の 発 達 障 害 を 持 ち ,学 習 や 対 人 関 係 など, 学 生 生 活 を 送る 上 で 問 題 を抱 え てい る学 生 が 多く在 籍し てい ると考 えられ る。こ れらの 学 生 の 実 態 を把 握 す るととも に そ の 支 援 を行 うことが高 等 教 育 機 関に お ける 目 下 の急 務で あると言 える。 そこで, 私 ども は 大 学 生 の 発 達 障 害 傾 向と生 活 上 の 困 難 につ い て 検 討 を 始 め た。 林(2013) は, 質 問 紙 調 査 を行 い ,自閉 症スペ クトラム 障 害 の 疑 い のある学 生 が6.5% ,注 意 欠 如 / 多 動 欧 障 害(AD/HD) の疑 い が,24.3 % に のぼ ることを示 す とともに そ れらの 学 生 が ,生 活 上 の 困難, 抑 うつ 傾 向 などを強く感じてい ることを示した。 本 研 究 で は ,一 般 学 生 の 学 業 上 の 困 難 につ いて 調 査 す るとともに 学 業 困難 とAD/HD傾 向 の 関 連 性 につ いて 探 索 的 な 検 討 を 行った。 した がって, 本 研 究 で は, 統 計 学 的 に 整 った質 問 紙 を作 成 す るので は なく,そ の 前 段 階とし て, 学 業 上 の 困 難 や, AD/HD傾 向 に つ い て判 断 で きる項 目を 収 集し, そ れらの 質 問 へ の 回 答 に つ い て 分 析 を 行っ た。 方 法 調 査 対 象 者 4 年 制 大 学 に在 籍し 心 理 学 関 連 科 目を受 講 す る2-4 年 次 生116 名( 女 性,74 名; 男 性,42 名) を調 査 対 象 者とし た。 そ の ほとんど の 学 生 が 文 科 系 の学 部 に所 属し てい た。 質 問 紙 本 研 究 で 用 い た尺 度 は ,1)アカ デミック・スキル に 関 す る質 問 紙, 2)AD/HD 傾 向 に 関 する質 問 紙, ならび に3) ス トレス 関 連 尺 度 の3 種 類 であっ た。 1)ア カデミック・スキ ル に 関 する 質 問 紙:Minskoff & Allsopp(2002) が 開 発し たActive Learner プ ログラムに お い て 用 いら れるアカ デ ミック・スキル に 関 す る質 問 紙 を 参 考 にし て65 項 目 からなる 質 問 を 構 成し た[ア クティブ・ ラー ナ ー 学 生 用 質 問 紙] を用 い た。 下位 尺 度 は, 組 織 化: 時 間 の 管 理, 組 織 化:も の の 管 理, 試 験 を受 け る, 学 習 ス キル, ノートをとる, 読 書 語 彙, 読 書: 理 解, 筆 記:メカニ ク ス, 筆 記: 作 文, 数 学: 基 礎 的 数 学 スキル, 数 学: 代数 の 基 礎, 高 度 な 思 考 の12 尺 度で あった(Table l)。 2) ストレ ス 関 連 項 目:8 項 目 で, ストレ スとサ ポ ートの2資料論文
大久保 純一郎
つ のグ ル ー プ か らなるストレ ス に 関 係 す る 項 目 を用 い た (Table l)。 3)AD/HD傾 向 に関 する 質 問 紙:成 人 用 のAD/HD につ い て の ユタ診 断 基 準(Wender, 1995) を参 考 に 作 成し た 「AD/HD傾 向 尺 度」 を用 い た。 質 問 は,28 項 目で, 多 動 , 注 意 困 難, 感 情 の易 変 性, 無 秩 序・ 課 題 完 遂 不 能, か ん し やく,情 緒 逎 活 動, 衝 動 性 の7 下 位 尺 度 から構 成 され た (Table l)。 各 尺 度 の 下 位 尺 度 と項 目はTable 1に示 され たとお り で ある。 全 て の 尺 度 で, 各 項 目 に「は い(1)」 から「い い え (3)」 の3 段 階で 回 答 を求 め た。 各 下 位 尺 度 得点 は そ の平 均 値 とした。 全 て の 下 位 尺 度 で, 高 い 数 値 は ,困 難 や 問 題 が少 ないことを示 す。 サ ポ ート下位 尺 度 の場 合 の み, そ の逆 で 低 い 数 値 が,困難 や 問 題 の少 ないことを示 す。 手 続き: 講 義 時 間 中 に 質 問 紙 を 配布 し, そ の場 で 回 答 を 求 め 回 収した。 倫 理 的 な 配 慮: 調 査 前 に, 調 査 内 容 の 説 明 を 行うととも に 個人 情 報 や プ ライバ シ ー の保 護 に つ い て説 明した。 ま た, 質 問 紙 へ の 回 答 は対 象 者 の 自 由 で, 途 中 で 辞 め るこ とも可 能 であることを伝 え 実 施した。 調 査 用 紙 の 回 収 や 保 管 に は 十 分 な 注 意 を行 っ た。また, 得 られ た 情 報 は 本 研 究 以 外 の 目的 には 使 用しな いとし, 対 象 者 に伝 え た。 結 果 質 問 紙 の 項 目 単 位 の 分 析 す べて の 質 問 項 目へ の反 応 をTable la,b に示し た。 表 に みら れるように ほとん ど の項 目に お い て反 応 の 偏りが みられ た。 また, 対 象 学 生 数も多 くない た め ,多 変 量 解 析 等 の 分 析 が 困 難 で あり,実 際 に 分 析 を行 っ たが 適 切 な解 け 得られ な かった。 した がって, 本 論 文 で は, 項 目 単位 の 検 討 から行 うこととした。 また, 全 体 的 な分 析 で は, 分 析 結 果 によらず, 項 目の 意 味 による下位 尺 度 を用 い た。 アカデミック・スキ ル に つ い て アクティブ・ ラー ナ ー 学 生 用 質 問 紙 の 各 項 目 に つ い て, 反 応 パ ター ン から 困 難 を感 じて いる 程 度( 困 難 度) を算 出し た。 平 均 値 を 各 項 目 の 困 難 度とし た。 そ の 上 位25 %(・ とマ ー ク)と下 位25 % ( 口 とマ ー ク)を 表 に 示した。 受 験 スキル や 学 習 スキル の 一 部, 読 書 語 彙, ならび に 作 文( 筆 記) に 困 難 を感 じて い る学 生 が多 いと言 える。 また, 数 学 的 スキ ル や, 筆 記 の 基 礎 的 技 術( メカ ニ クス)に お い て 困難 を感 じて い る学 生 は 少 ないと言 え る。しかしな がら, 質 問 の設 定 のしか た によっ て 反 応 は 変 化 す るた め, こ れらの 結 果 が「真 の 困 難 度」 を110 帝 塚山 大学 心理学 部 紀要2015 年 第4 号 Table la 各 質 問 項 目 へ の反 応(1) ア ク テ ィ ブ・ ラ ー ナ ー 学 問 紙 組 織 化: 時 間の 管 理 私 は, 手 帳 や カレンダ ーを使 わな い。 私 は, 試 験 や 宿 題 の 記 録 はつ け ない。 私 は, 授 業 に 出るの に 苦 労す る。 1 − り 乙 7 1 7」 O 」 Q * 3" Q り 4 7 ク ﹄ 1 1 n / ﹄ 9 り 4 0 り り 4 ︵ h り 1 1 り 乙 1 組 織 化: もの の管 理 私 は ,そ れぞ れ の授 業 に別 々 のノートを 持っ てい ない 。 授 業 に 必 要なものを持 って行くのを忘 れ てしまう。 64 42 試 験 を 受 け る 私 は, 試 験 を受 けるときとても強く緊 張 する。 私 は, 試 験 の 答案 を 時 間 内 に 書き上げ ることが難しい 。 私 は ,(試 験 の )指 示 や 質 問 文を 注 意 深く読 まな い。 私 は, 多 肢 選 択 式 の 問 題を 理 解 するの が苦 手 だ。 私 は, 0 × 式 の 試 験 が苦 手 だ 。 私 は, 論 文 式 試 験 が 苦 手 だ。 073381R y 355773 り り 9081827443214R y 027526 ︵ hり n /︶ 9 ﹄ 口 ■ 私 は, 勉 強 を凵 まじめるの に苦 労 する。 私 は, 勉 強してい る時 に集 中し続 けることができない 。 勉 強してい る時 に周りで 起こっ たことで, 簡 単 に妨 害され てしまう。 学 習 ス キ ル 自分 のノ→ で 勉 強 するのは, むつ かしい 。 本 で 勉 強 するの は, む つかしい 。 私 は, 本 とノート で 調 べ た情 報を ,どうまとめ れ ばよい か わからな い。 試 験 の ため の情 報 を忠 い 出 す のに 苦 労 する。 251376 ″ひ 123756 ″0 4042967454222 り り 244426 ︵ h り 4 n y X n /︶ 1 1 261 229 2.53 225 -2.37 239 286 -209 254 246 268 276 204 230 -1.71 202 207 2.69 2.45 259 248 私 のとったノート は、 まとまっ てい ない し、 理 解 す ることが むつ かしい 。 ノー トを と る テ ープ に録 音された 講 義をノート に 取ることは むつ かしい 。 自分 のとっ たノート を 読ん でも、 役 に 立 だない。 私 は、 混 乱しや すい の で(気 が散りや すい の帽 、ノートを 取るの が苦 ノ  ̄J ̄ ・ii− 晶171 生 用 質 臨 書 語 果 む つ か し い ことば を 読 ん で 理 解 す る の は 、苦 手 だ 。 私 は 、学 ん だ ことば を す ぐ に 忘 れ てし まう。 O り / ﹄ り /﹄ り / ﹄ ク ﹄ り 乙 ″ 0 ″ひ 7 ︵ h り り 乙 り 乙 り 乙 り 乙 ` 7 ︶ 4c ( O ID 9 り g り ︵ h り 7 7 0 ク ︶ Q り Q ″ n O R y Q り 1 −11 4744Q ″ 1 1 3734 3950 2214 口 文 章を 読 ん だ時, そ の 中 心となる意 見を 理解 するの に苦 労 する。 文 章を 読 ん で, そ の 細かな 点 に つい て 理解 することに苦 労をする。 読 書: 理 解 文 章を 読 ん で, そ のストづ ーを理 解 するのに 苦 労 する。 私 は, 読 む のが 遅い 。 私 は, コンピ ュータの 画 而 に書 い てあることを 理 解 するの に 苦 労す 私 は, い つも読 む ため の 補助 器 具を使 わない 。 私 は, 漢 字 を 書くの が 苦手 だ 。 私 に は, うまく送りがなをつ けることがむ つ かしい。 筆 記: 私 は, 句 読 点 を正 確 に 書くの に苦 労 する。 メカ ニ ク ス 私 は, 文 の 係り結 び( 主 語と述 語 の 関係) をうまくできな い。 私 は, よい 文 章を書くの に 苦 労 する。 私 は, 漢 字, 送りがな, 係り結 び, 文 章など校 正 す ることがうまくできな 私 は, まとまっ た文 章を 書くの に苦 労 する。 私 に は ,自 分 の言 い たいことを 表 すことばを 見 つ けることが難しい。 私 は, 文 章を 書くとき,自 分 の意 見 をまとめるの に 苦 労 する。 筆 記・ 作 文 私 に は, 文 章 の導 入と結 論を 書くことが難しい 。 ・ ・ 私 は, 研 究レ ポ ートや 小 論 文を 書くとき, 情報 を 見つ け 出 す のに 苦 労 私 に は, 特 定 のテ ー マにそっ て文 章を 書くことが難しい 。 私 は ,自分 の 書い た 文 章 が 筋の 通っ たものか どうか調 べ るため に校 861912 ︵ h り 44465R ︶ 833628734422n /﹄ 204358R y 1− 1− l CM C O 41089R y 788827 66686nO 111 − 41 91324R y り乙 76507 只 ︶ 323434 10755Q り 45334 り り 12746nOny X n y X n y X n 乙 1 1 216 220 -235 236 227 2.66 226 254 1 22 -265 280 2.77 286 205 271 -216 2.04 208 216 222 230 0.67 0.82 0.58 0.72 -0.89 0.56 0.35 -0.71 0.55 0.64 0.57 0.49 0.76 0.58 -0.69 0.71 0.74 0.55 0.71 0.62 0.63 -0.68 0.64 0.74 0.54 0.66 -0.76 0.68 -0.70 0.67 0.70 0.54 0.85 0.65 0.56 -0.65 0.44 0.50 0.42 0.73 0.56 -0.75 0.70 0.79 0.79 0.71 0.76 口 口 口 ■ 数学: 基 礎 的 数学 スキ ル 私 は, 整 数 や 分 数 の 問 題を 解くため の 計算 をす るのに 苦 労 する 私 は, 数 字 の 桁 の値 を判 断 す るのに 苦 労 する 私 は, 数 を比 較 す るのに, 大 なり,小 なり,イコール など判 断 に苦 労 を、 下 位25 % に 口 をつ け た 。 004 11 35 2.16 0.73 85 2.81 0.49 83 2.78 0.55 95 2.96 0.20 81 2.78 0.47 口 口 口 口
大 久 保: アカ デミック・スキル の評 価 と注 意 欠 如 / 多 動 性 障 害 傾 向 Table lb 各 質 問 項 目 へ の反 応(2) 1n ア ク テ ィ ブ・ ラ ー ナ ー 学 生 用 質 問 紙 ス トレ ス 関 連 項 目 1 5 24282R y 8 1 1 Q ″ ︵ h ︾ り ’ ︶ 5280263 り り 1 − 1 − 1 − 1 − n / ﹄ 43 7 1 0 り り ク ﹄ 9 り 4 R y 93 82 88 85 94 75 83 70 -47 61 59 52 3310681」 O 9 ﹄ ︵ h ︾7119 り 94021742265 り り 952867 CM t ︱ t ︱ IO 81 12 6 2.91 0.34 2.78 0.53 2.86 0.42 2.81 0.49 2.92 0.35 266 281 265 -239 250 250 246 221 -1 92 245 274 1.99 216 1 47 -1 24 0.63 0.46 0.59 口 口 口 口 口 口 0。64 0.69 0.67 0.62 0.65 ■ 0.71 0.75 0.50 0.61 0.68 0.60 -0.55 AD/HD 傾 向 項 目 9 5 6 3 8 ″ 0 688854556767 46585033212n /﹄ 5080671755563Q ︰y 198729nO232324CM 9 り O ク ﹄ 1︲ 1︲ 9 り O 111111 1 5 9 り ︵ h り 9 り 20 2.47 2.53 2.63 2.75 2.57 2.69 -2.72 2.40 2.46 2.40 2.55 2.23 2.51 0.67 0.60 0.60 0.51 0.65 0.57 -0.52 0.67 0.72 0.68 0.69 0.68 0.68 16 68 2.53 0.75 R y 1 0 n O り / ﹄ 9 り 9 り 9 り 71 51 56 40 C O I D C O ︵ ` ︰ y 4 ︵ ` ︰ y 7 C O ) D り / ﹄ 9 り り / ﹄ ( o i n c d 1 2.68 2.35 2.42 2.20 -2.60 2.30 2.63 0.54 0.75 0.72 0.76 -0.60 0.73 0.60 私 は ,計 算 や 問 題 を 解 くた め に 交 換 法 則 を 使 うの に 苦 労 す る 。 私 は, 計 算 や 問 題 を 解 くた め に( 数 式 の) 結 合 法 則 を使 うの に 苦 労 す る 私 は, 計 算 や 問 題 を 解 くた め に( 数 式 の) 分 配 法 則 を使 うの に 苦 労 す る 数 学: 代 数 私 は ,問 題 を 解 くの に 演 算 の 順 序 を 使 うこ とに 苦 労 す る の 基 礎 私 に は, 負 の 数 と正 の 数 を 足 す ことが 難 し い 。 私 に は, 数 の 平 方 根 を 計 算 す ることが 難 し い 。 私 に は,1 元 方 程 式 を 解 くこと が 難 し い 私 に は, 文 章 題 の 代 数 問 題 を 解 くことが 難 し い 。 私 は, 継 時 的 な 情 報 を まと め ることに 苦 労 す る 。 私 は, い ろ い ろ な 意 見 を 比 較 し たり, 対 比し た りす るこ とに 苦 労 す る 。 t 度 た 田 考 私 に は, ど 0 ように す れ ば バ 固々 0 情 報 が カ テ ダリ ー に ま とめ ら れ る O 『Sl` ふ ″゜ か 理 解 す るこ とが 難 し い 私 に は, も の ご との 因 果 関 係 を 見 つ け 出 す こと が 難 し い 。 私 は ,問 題 解 決 す る の に 苦 労 す る 。 日 頃 ストレ スを よく感 じ る 睡 眠 が よくとれ な い ス ト レ ス 反 食 欲 が な い 応 い ら い ら す ること が あ る 憂 うつ な 感 じ が す る 楽 しく 生 活 で きる 。 自 分 か 困 っ たとき 助 け てく れ る 友 人 が い る サ ボ  ̄卜 家 族 は 自 分 か 困 っ た とき 必 ず 助 け てくれ る 落 ち 着 き が な い リラッ クスで き な い 神 経 が 高 ぶ っ て い る( 不 安 とい うの で は なく) 多 動 じ っ と座 っ て す る 活 動( 映 画 や テ レビ を 見 る な ど) が 続 けら れ な い い つ も 何 か を し てい る 活 動し て い な い と 不 快 に な る 会 話 に 耳 を 傾 け るこ とが で きな い 注 意 散 漫( 関 係 な い 刺 激 に い ち い ち 気 づ い てし まう) 「 読 む」 活 動 に 集 中 で きな い 注 意 困 難 物 忘 れ が 多 い 車 の 鍵 や 財 布 な ど を しょっ ち ゅうなくし た り置 き 場 所 が わ から なくな る 今 し ようと忠 っ て い たこ とを 忘 れ る 「 心 が どこ か へ 行 っ てし まう」ような 状 態 に な る 感 情 の 正 常 な 気 分 か ら 抑 うっ へ, あ るい は 穏 や か な 多 幸 感, 興 奮 へ と劇 的 易 変 性 に 変 化 す る 課 題 や 仕 事, 作 業 を 最 後 ま で 終 わら せ ること が で きな い 無 秩 序・ 課 題 ひ とつ の 仕 事 か ら 次 の 仕 事 へ 無 計 画 に 移 ろ 完 遂 不 能 活 動を 行 う上 で の 時 間 の 組 み 立 て を 秩 序 立 て て 行 うこ とが で き な い 粘 り強 さに 欠 け る 統 制 を 失 い や す い か ん し ゃ く い ら い らし や す い か っ となり や す い ,圭 ヽ X 抑 うつ, 混 乱, 不 安, 怒 りな ど に 過 剰 に ま た は 不 適 切 に 反 応 し 適 切 隋 緒 過 活 動 な ,問 題 解 決 が 妨 げ ら れ て しまうこ とが 多 い 物 事 をき ち ん と考 える 前 に 話 す " 性 他 者 の 会 話 に 割 っ て は い る 衝 動 短 気( た とえ ば 運 転 の 時 な ど) 衝 動 的 に な りや す い n O O Q ″ Q ″ 4 り り 1 り /﹄ 」O ^ CD C D 1 36 2.21 0.69 65 2.61 0.57 74 2.68 0.58 63 2.57 0.62 を、 下 位25 % に 口 をつ け た 。
n 2 帝 塚山 大学 心理学 部 紀要2015 年 第4 号 示 す とは 言 え ない た め, 解 釈 に は 慎 重 な 注 意 が必 要 であ る。 ストレ ス関 連 尺 度とAD/HD傾 向 ストレ ス反 応 項 目は , 比 較 的 反 応 の ひ ず み が 少 な いと言 える。しかし 厂 睡 眠 が よくとれ な い」 厂 食 欲 が ない」 厂 楽しく生 活 で きる」 は, 反 応 の 偏りが 強く,問 題 のあ る反 応 を 示 す 対 象 者 は 少 数 で あ った。また, ソーシ ャル・ サ ポ ートに 関 す る項 目も8 割 以 上 が友 人 や 家 族 のサ ポ ートを受 けら れると応 えて い る。し た がって, こ れらの 項 目で, ネ ガ ティブ な 回 答 を 行っ た 者 は, 問 題 を持 つ 可 能 性 が 高 いと言 えよう。 また,AD/HD 傾 向 項 目で は ,ほとんどの 項 目 で反 応 の 偏りが みられ, ポ ジティブ な 反 応 を 示 す 者 が 多 数 であ ると 考 えられ た。 質 問 紙 の 下 位 尺 度 の 分 析 質 問 紙 の 各 下 位 尺 度 に つ い て 分 析 を 行 っ た 。ア クティブ・ ラ ー ナ ー 学 生 用 質 問 紙 は, Minskoff & Allsopp(2002) の 分 類 にした が って, AD /HD 傾 向 尺 度 は, Wender (1995) の 分 類 にした がって 下 位 尺 度を 構 成 した(Table la, b参 照) 。アカ デミック・スキル 尺 度 の 各 下 位 尺 度 の 平 均 値 と標 準 偏 差 をTable 2 に 示し た。 各 下 位 尺 度 の 平均 値 が2を 超え てお り,強い 困難 や 問 題 を感 じて いる学 生 は 少 な いと言 え る。 特 に数 学 は, ほとんど の 学 生 が 困 難 を感じ てい なかっ た。 これらの 結 果 は, 項 目 単 位 の 分 析 と同 様 であっ た。 次 に ア クティブ・ ラー ナ ー 学 生 用 質 問 紙 の 各 下 位 尺 度 とAD/HD 傾 向 ,ならび にストレ ス関 連 尺 度との 相 関 係 数 をTable 2 に 示した。 AD/HD 傾 向, 特 に多 動, 注 意, 無 秩 序, か んしやくの 下 位 尺 度 は, アカ デミック・スキル のほ とん どす べ ての 下位 尺 度 と有 意な 相 関 が みられ た。 また , 学 習スキル とノート・テイキング に つ い て は ,困 難 の 少 な さ と学 年 は 有 意 な 負 の 相 関 を示し た。 つ まり,学 年 が 高くな るほど, 学 習 スキル や ノート・テ イキン グに 困難 を感じて い ると言 える。 考 察 ア カデミック・ス キ ル に 関 す る 質 問 紙 に つ い て アクティブ・ラー ナ ー 学 生 用 質 問 紙 の 項 目単 位 の 分 析 にお い ても,下 位 尺 度 単 位 の 分 析 にお い ても,多 くの学 生 が, アカ デミック・スキ ル 尺 度 に お け る学 修 上 の 困 難 を 感じ てい な かっ た。 特 に 数 学 技 能 や 筆 記 の基 礎 技 術 に お い て ,困 難 を 示 す 者 は 少 な かっ たと言 える。日 本 にお い て 数 学 教 育 が 比 較 的 充 実して い ることや ,日 本 語 の正 書 法 が 英 語 のそ れと比 較して 明 確 であ ることなどが 影 響し て いると言 えるかもし れ ない。 しかしな がら, 質 問 の設 定 に よっ て反 応 は 異 なると考 えられ るた め, 本 質 問 紙 の 単 純 な 評 価 から学 修 困 難 を判 断 す ることはできない 。 個 々 の学 生 にお ける学 修 困 難 を 見い だ す た め に は, 適 切 な標 準 デ ー タとの 比 較 が 必 要 になる。 そ のた め に は, ア カ デミック・スキル の 構 造 を 明 確 にし, そ れらを評 価 する質 問 項 目 の 表 現 を 適 切 なも の に する必 要 か おる。さらに そ れらの 質 問 紙 を多 数 の 学 生 に 実 施し, 標 準 的 な デ ー タを 得 る必 要 かおる。 今 回 用 い た尺 度 で は, 学 修 に 困 難 を示 し た 学 生 は 少 数 に 隕 られ た が, 本 尺 度 を用 い て, 少 数 の 学 修 困 難 学 生 をスクリー ニン グで きる可 能 性 が 示 唆 され た。 また, アカデミック・スキル の 構 造 とし て, 読 書, 筆 記 など の 基 礎 学 力 因 子, 時 間 の 管 理,ノート・ テイキングなど の , 学 力 そ のもの で は ない が, 学 修 基 礎 スキ ル 因 子, 数 学 的 技 能 に 関 す る因 子 の3 つ の 因 子 が 想 定 される。 大 学 にお ける学 修 に必 要 な技 能と言 えるが, 現 実 的 な 支 援 を行 うた め には, より詳 細 な 因 子 を 同 定 す る必 要 かお る。そ のた め には, 項 目内 容 をより厳 密 に検 討 し, 数 多 くの 対 象 を用 い た 分 析 が 必 要 に なる。 また, 尺 度 得 点と実 際 の 学 習 困 難 の 関 連 性 に つい て 検 討 す る必 要もあ る。 ア カデ ミック・ス キ ル とAD /HD 傾 向 と の 関 連 性 に つ い て アクティブ・ ラー ナ ー 学 生 用 質 問 紙 の 下 位 尺 度 はAD/ HD傾 向と有 意 な相 関 が 見られ, AD/HD 傾 向 の学 生 が学 Table 2 アクティブ・ラー ナ ー 学 生 用 質 問 紙(アカ デミック・スキル 尺 度)の 記 述 統 計と AD /HD傾 向 詩 尺 度 ならび にストレス関 連 尺 度 のとの相 関係 数 アクティブ・ラー 、、 ナー 学生 用質 問紙 平均 メカニ クス 2.639 0.388 .299** 基 礎 的 スキ ル 2.832 0.316 -.068 .372** ,385** ,386** .363** .378** ,563** .364** .288** .412** .327** .251** .319** .203* 288** .065 −.007 .340** ,363** .219* .171 -.243** -.129 -.093 -.049
大 久 保: アカ デミック・スキル の評 価 と注 意 欠 如 / 多 動 性 障 害 傾 向 修 上 の 問題 を持 ち, そ の 支 援 が必 要 であることを示し てい る。 本 研 究 結 果 の 限 界 なら び に 今 後 の 展 望 本 研 究 で 用 い た 質 問 紙 は, 十 分 な 項 目 分 析 や, 信 頼 性, 妥 当 性 の検 討 を経 てい な い た め, 結 果 の解 釈 に は 注 意 が 必 要で ある。 また, 対 象 者 数 は 少 なく,結 果 の安 定 性 も不 十 分 であ ると考 えらえ る。 今 後, 質 問 紙 の十 分 な検 討 を経 た上 で, より多 数 の対 象 者 による研 究 が 望まれ る。 文 献 林 恭 平(2013). 潜 在 的 発 達 障 害 を 持っ 大 学 生 の 相 談 施 設 利 用 に 関 す る調 査 一対 人 恐 怖 心 性 と 比 較 検 討・ 困 難 感 尺 度 の 作 成 を 通 して 一 帝 塚 山 大 学 大 学 院 心 理 科 学 研 究 科2013 年 度 修 士 論 文.
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文 部 科 学 省(2012). 通 常 の 学 級 に 在 籍 す る発 達 障 害 の 可 能 性 の ある 特 別 な 教 育 的 支 援 を 必 要 とす る 児 童 生 徒 に 関 す る 調 査 結 果.
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material/_icsFiles/afieldfile/2012/12/10/l328729_01. pdf (2014/8/29) 注 1本 研 究 は 平成26 年 度 帝 塚 山 学 園学 術 教 育 研 究助 成 基金 により助 成を受 けた。また, 研 究 の一 部を 日本 応 用 心 理 学 会 第81 回 大会 にお いて発 表した。 n3
n 4 帝 塚山 大学 心理学 部 紀要2015 年 第4 号
An assessment of academic skills and tendency of
attention deficit / hyperactivity disorder
Junichiro OOKUBO
Abstract
Background and Objectives: Recently, the number of college students with attention-deficit/hyperactivity disorder (AD/HD) has been increased in higher education. Students with AD/HD have many difficulties with social, emotional, and academic adjustment in campus. The purpose of present study was l) to identify academic difficulties which average students were eχperienced, 2) and to eχamine the association between academic difficulties and AD/HD tendencies. Method: Participants were 116 college students (74 females and 42 males). Students have completed questionnaire consisted of items about l) academic difficulties, 2) AD/HD tendencies, and 3) stress responses. Results: Fewer students (less than 5%) reported that they have experienced difficulties with basic mathematical skills and basic writing skills. And, 20% or more students reported that they have experienced difficulties with learning methods skills and skills of composition (writing essays).Scores of AD/HD tendency significantly related to many items of academic difficulties. And, scores of learning method skills and note-taking skills were significantly related to grade of students. Conclusions: Results revealed that AD/HD tendencies may have negative effects on academic performance in college. And, present study suggested that it was imperative to provide academic supports to students with ADHD tendencies.