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適応障害患者におけるWechsler式知能検査所見と臨床的特徴の検討

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Academic year: 2021

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適応障害患者におけるWechsler式知能検査所見と臨

床的特徴の検討

著者

和迩 健太

著者(英)

Wani Kenta

学位名

博士(医学)

学位授与機関

川崎医科大学

学位授与年度

平成29年度

学位授与年月日

2018-03-15

学位授与番号

35303乙第78号

URL

http://doi.org/10.15111/00001903

(2)

氏 名(本 籍) 学 位 の 種 類 学 位 授 与 番 号 学 位 授 与 日 付 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 和迩わ に 健太け ん た ( 滋賀県 ) 博士(医学) 乙 第 78 号 平成30 年 3 月 15 日 学位規則第4 条第 2 項該当 適応障害患者におけるWechsler 式知能検査所見と臨床的特徴の検討 教授 岡 三喜男 教授 森谷 卓也 教授 佐々木 環 論文の内容の要旨・論文審査の結果の報告 本研究は、発症要因が明確でない適応障害に対し、最近注目されている精神疾患と認知機能障害 との関連から解析を行った。今回、精神疾患において最も頻用されている認知機能検査の成人用 Wechsler 式知能検査第 3 版(WAIS-III)を用いて、適応障害の認知機能を評価する初めての研究 を計画した。WAIS-III は、全検査知能(指数 FIQ)を言語性(指数 VIQ)と動作性(指数 PIQ) に二分して評価し、さらに言語性は言語理解(VC)と作動記憶(WM)、動作性は知覚統合(PO) と処理速度(PS)に分けて、規定の下位検査によって指数化し、平均を 100 として比較検討した (FIQ<70 の精神遅滞は除外した)。 本研究は、川崎医科大学倫理委員会の承認(受付番号 2657)を得た後、川崎医科大学附属病院 心療科を受診した適応障害(DSM-5)患者で、WAIS-III を実施した患者 50 名(男/女 29/21、14 〜48 歳、平均年齢 27.6 歳)を対象とした。具体的には、認知機能評価 WAIS-III、全般的機能評 価(GAF)、臨床症状評価(初診時主訴と社会参加の有無)で評価した。WAIS-III は群指数パタ ーンによって、対象者をWard 法によってクラスタ解析し分類した。 結果的に3 分類され、クラスタ 1(n=17)、クラスタ 2(n=17)、クラスタ 3(n=16)は、FIQ、 VIQ、PIQ で評価すると、IQ はクラスタ 3>クラスタ 1>クラスタ 2 の順に有意差をもって高かっ た。さらに各々のクラスタは知能指数と群指数によって、クラスタ1 は中 IQ 低 WM 群、クラスタ 2 は低 IQ 低 PS 群、クラスタ 3 は高 IQ 低 PS 群として、有意差をもって特徴づけられた。臨床的 な特徴の解析では、クラスタ3 は有意差をもって他クラスタに比較し身体主訴が少なかった。また 全般的機能評価(GAF)と各群指数の関係では、GAF は作動記憶(WM)とのみ有意な正の相関 が認められた(p=0.38)。 結果のまとめ:適応障害患者のWAIS-III 群指数パターンによるクラスタ分析では、3 分類され た。適応障害患者はWM と PS が低い。クラスタ 3 高 IQ 低 PS 群は身体主訴が低い。適応障害患 者ではGAF と WM に正の相関がある。

(3)

学位審査会(最終試験)の結果の要旨 適応障害は、ストレスを原因とする情緒および行動障害で、心的外傷後や急性ストレス障害では なく、うつ病や不安障害に該当しないものを指す。近年、学校や職場でのストレスによって抑うつ 状態になり、心身の不調による休職や不登校など社会的または職業的(学業上の)障害を起こす適 応障害患者が増加し、大きな社会問題となる精神疾患である。現在、教育や社会現場において多く 潜在していると推測される適応障害(約100 万人)について、認知機能の視点から解析した画期的 な臨床研究と評価される。認知機能とは、感覚、運動、注意、記憶、言語、思考、意志など局所的 ないし連合的な脳機能に関連している。本研究の最終目的は、適応障害の患者毎に認知特性を評価 して、患者の治療に連携させることにある。とくにクラスタ解析によってクラスタ1(中 IQ 低 WM 群)、クラスタ2(低 IQ 低 PS 群)、クラスタ 3(高 IQ 低 PS 群)の 3 分類し、その特徴を認知 機能の面から明確にし、各々の弱点を明らかにした点は評価できる。その弱点は、診療面において 補うべきまたは指導する点において極めて有益と判断される。一方、この研究の限界として、症例 数が少ないこと、対象患者に偏りが生じている可能性、様々な症状に対応した解析が必要であるこ と、遺伝的および成育段階での環境の問題などを考慮する必要があり、申請者も承知していた。以 下に審査委員からの質問と申請者の回答の一例を示すが、いずれの質問に対しても真摯かつ明解な 回答が得られ、申請者の幅広い専門領域の知識も確認された。質問:高IQ 群と低 IQ 群で PS が低 い原因について、回答:低 IQ 群では全体の指数が低く、高 IQ 群は症状が強い傾向にあったと回 答していた。 審査の結果、申請者は学位を取得するに価する知識と見識を備え、合格とした。

参照

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