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エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革

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(1)エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 論 説. エクイタブル生命の経営危機と 英国保険監督制度改革 山本 裕子 1.はじめに 2.エクイタブル生命の経営危機 2-1 GAR 年金 2-2 保険会社に対する監督の体制 2-2-1 DTI と政府アクチュアリー庁 2-2-2 2 つの規制主体―健全性規制と適合性規制― 2-3 エクイタブル生命の財務状態に対する監督 2-3-1 エクイタブル生命の配当方針 2-3-2 将来利益潜在資産項目 2-4 介入権限の行使と契約者の合理的期待 2-5 エクイタブル生命の経営陣に対する監督 3.エクイタブル生命の教訓 3-1 ペンローズ報告の示唆 3-2 FSA の創設とタイナー ・ プロジェクトの始動 3-3 保険監督当局の組織 3-4 FSA による効率的な保険監督の指針 3-4-1 リスクベースの監督アプローチ 3-4-2 保険業界と監督当局との効率的な連携 3-4-3 保険監督を担当する FSA 内部組織の変化 3-4-4 新しい監督アプローチの下での監督体制の整備 4.おわりに 145.

(2) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). 1.はじめに エ ク イ タ ブ ル 生命 は、1762 年 に Society for Equitable Assurance on Lives and Survivorship と称するパートナーシップとして創業し、世界最古の生命保 険相互会社といわれている1)。1913 年に年金商品の販売を開始したエクイタ ブル生命が 2000 年 12 月には新規契約の募集を停止し、事実上の経営破綻状態 に陥ったのは、1957 年から 1988 年にかけて販売された年金支給率保証年金(以 下、 「GAR 年金」という。 )が、1990 年代以降の投資環境の悪化を受けて逆ざ やを発生させたことを契機としている2)。同社の経営破綻を受けて、英国では、 原因究明と保険業界への信頼回復に向けた広範な議論が行なわれ、様々な報告 書が公表されている。その中でも、2004 年3月に公表されたペンローズ卿に よる独立調査委員会の報告書(ペンローズ報告)は、保険監督行政、相互会社 におけるコーポレート・ガバナンス、アクチュアリーの役割等、広範囲にわた る問題の指摘を行っている。このペンローズ報告を受け、 財務省(以下、 「HMT」 という。 )は、相互会社に関するコーポレート・ガバナンス、およびアクチュ アリーに関する2つの独立委員会を立ち上げ、保険監督行政については、2001 年の金融サービス機構(以下、 「FSA」という。 )の創設を受けてタイナー ・ プ ロジェクトと呼ばれる保険監督制度改革が開始されている。 歴史的に見ても、英国では 1870 年生命保険会社法の制定以来、保険会社の 経営危機が生じたり、保険会社の経営が破綻したりする度に、それまでの保険 監督法規や保険会社に対する監督行政の不備が問題になり、保険会社の監督体 制が見直されるということを繰り返してきたということができる3)。そこで本 稿では、近年の英国における保険監督制度改革の出発点となったエクイタブル 生命の経営危機について、また、保険監督制度の問題点について、ペンローズ 報告の検討を通じて検証を試みる。. 146.

(3) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 2.エクイタブル生命の経営危機 2-1 GAR 年金 1970 年代前半までのエクイタブル生命は、相対的に小規模で保守的な保険 会社であった。同社の主力商品は、大学教職員向けの退職年金(FSSU 事業) であったが、1960 年代の半ばには、年金制度に関する税制の改正によって、 この FSSU 事業を喪失する危機に見舞われた。税制改正後の 1975 年以降は、 FSSU 事業の顧客であった大学市場での新規契約が急速に落ち込み、エクイタ ブル生命は、FSSU 事業に代わる新しい市場で顧客を開拓するという積極的な マーケティング方針を採用するか、給付金を支払う度に会社を縮小させていく かの岐路に立たされた4)。エクイタブル生命は前者の道を選択し、 富裕層をター ゲットとして、特色ある商品の開発を行なった5)。 RAP(退職年金)商品は、エクイタブル生命の経営危機を招いた GAR 年金 (年金支給率保証年金)の原型となったもので、その商品開発において、1972 年まで同社の CEO を務めたオグボーンは、RAP 商品に下記のような特色を持 たせていた。第一に、全てのケースにおいて、満期までの全期間で契約におけ る変換率を保証した(この変換率が、一般に保証年金支払レートと呼ばれるも のである。 ) 。第二に、契約者は内国歳入制限に反しない限り契約上の最低額を 上回るという予め決められた条件の下で、自由に保険料を設定することが可能 であった。第三に、年金支払開始年齢も自由に設定することができた。第四に、 契約者には利用可能な契約上のオプションがあったが、エクイタブル生命の負 うべき第一義的な義務は、一定額の年金を支払うことであった6)。 GAR 年金は有配当保険といわれる保険商品の一種で、FSA の定義によれば、 「生命保険契約であって、保険契約者に対して、保険会社の生命保険事業から 生じる剰余金の全部または一部に参加する資格を与えるもの」である。 「生命 保険事業から生じる剰余への参加」とは配当を指し、保証保険金額増加の形で 毎年支払われる通常配当と、契約消滅時に保証されている保険金額に加えて支 147.

(4) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). 払われる最終配当( 「消滅時配当」と呼ばれることもある。 )とに分けられる7)。 エクイタブル生命が販売していた GAR 年金は、年金支払開始時に積立てら れた年金原資をもとに、年金支払開始時の「市場レート」または「契約時に決 定した保証レート」のいずれか高い方で終身年金を購入することができるとい うオプションのついた商品である。他の有配当保険商品と同様に、GAR 年金 でもスムージングと呼ばれる仕組みを採用し、年金原資積立て期間中、運用環 境が良好なときには運用収益を積立て、運用環境が悪化したときにはそれを取 り崩していた。このスムージングによって、契約消滅時に残余の剰余金の精算 という形で消滅時配当が決定される。GAR 年金では、終身年金支払開始後に、 保証レートによる毎年の年金支払額が市場レートによる支払の水準を上回ると き、逆ざやが発生する8)。 1970 年代半ばまで、一般的に利率が上昇傾向にあったことを反映して運用 利回りおよび変換率も上昇していた。しかし、市場における利回りが低下し始 めた 1980 年代以降、エクイタブル生命が市場の動向に対応して、運用利回り や契約上の保証に潜在的に含まれている変換率を見直すことはなかった9)。. 2-2 保険会社に対する監督の体制 1998 年以前は貿易産業省(以下、 「DTI」という。 )が保険会社に対する監督 を行なっていたが、友愛組合については友愛組合登記所の管理下に置かれ、ロ イズ保険組合については自主規制が行なわれていた。さらに、投資業務につい ては、他の先進諸国が法定の機関による監督規制を行なう体制を採用した後に も、1986 年金融サービス法の下で自主規制を行なっていた。しかし、自主規 制機関同士の縄張り争いが恒常化し、個人年金商品の不適正販売問題が生じる など、自主規制機関による二重構造の規制は、次第に国民の信頼を失っていっ た 10)。 1997 年の総選挙後、財務相のゴードン ・ ブラウンは、実質的に全ての金融 部門の監督規制業務を行なう単一の組織、すなわち後の FSA を新設すること 148.

(5) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. を公表した。このとき、保険業に対する監督についても新しく創設される機関 が担当することが確認され、同年に FSA が発足している 11)。FSA は業界横断 的な単一の金融監督機関であるが、その内部機構において、金融サービス業全 体に共通する問題に対処することと同時に、保険業であれば保険業に特有のリ スクにも対処できる体制を整えていることが要請される。このような業界横断 的な監督システムについては、賛否両論があるとされるものの、現代の金融市 場のニーズに適合したものであると評価されているようである 12)。 エクイタブル生命の財務状態が下降の途を辿っていた 1980 年代後半から新 規契約の募集停止に至る 2000 年 12 月までの間、保険事業の監督にあたる監督 当局は、1998 年までの DTI から、HMT に移行し、翌 1999 年には、HMT に 代わって FSA が委託命令に基づいて監督権限を行使することとなった。HMT は個別の金融機関に対する監督権限を FSA に委譲したが、FSA のボードメン バーの任命権や FSA の監督責任を調査する権限等を保持している。さらに、 2000 年 12 月1日には金融サービス・市場法が発効したことに伴い、FSA が保 険監督についても直接、制定法上の責任を負っている。 2-2-1 DTI と政府アクチュアリー庁 FSA 創設以前には、保険会社の数理面での監督は監督当局(1998 年までは DTI、1999 年までは HMT)から政府アクチュアリー庁(以下、 「GAD」とい う。 )に委託する形式を取っていた 13)。エクイタブル生命の財務状態に対する 監督が問題となっている期間において、ペンローズ報告では、DTI の体制が 不十分であったことを指摘している。DTI の人的資源の中でも、ライン監督 者として従事していたスタッフは、規制・監督プロセスに貢献する能力を欠い て お り、DTI 保険部 の 監督担当者 は、数理的準備金、潜在資産項目、一般的 な技術的事項、そして監督権限行使の端緒となるべき「保険契約者の合理的期 待」に関する指導・助言について、エクイタブル生命の状態を独立して判断す るための技能・経験を有しておらず、GAD に依存しきっている状態であった。 そのため、保険会社に対する監督は、実質的に GAD が掌理していた 14)。 149.

(6) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). GAD のアクチュアリーは監督当局から厚い信任を受けていたが、同業の専 門家集団の内部にとどまり、同業者であるアクチュアリーの中でも、とくにそ の判断について絶大な信頼を寄せられていたアポインテッドアクチュアリーの 間で採用されていた見解の中から最大公約数をとるような形で判断を下す傾向 があった。その結果として、GAD は数理評価の基礎となるアクチュアリーの 意見や評価について十分に異議を唱えることもなく、監督プロセスは堅牢性を 欠くものであったと、ペンローズ報告は指摘している 15)。 2-2-2 2 つの規制主体―健全性規制と適合性規制― 健全性規制とは、顧客が財務的に健全でない、または不適切な事業者に投資 するのを防止すること、保険会社が保険契約者に対して約束したことを実現さ せるようにすることを目的とする 16)。1982 年保険会社法の下では、保険会社 に対して、要求されている水準の資産を保持すべきこと、財務状況に関する情 報を監督当局および社会一般が入手可能な状態にすることを要求する一方で、 監督当局には、保険契約者の利益を保護するため、保険会社に対する介入権限 を与えていた 17)。 これに対して、適合性規制は、顧客のニーズに合致しない金融商品に投資さ せないこと、すなわち、保険契約者が購入を勧められた商品は当該保険契約者 が欲する商品となるようにすることを目的とする。適合性規制は、投資業務に 対する規制の枠組みを定めた 1986 年金融サービス法に基づいて行なわれてい た。1986 年金融サービス法によって規制される事業を営もうとする者は、証 券投資委員会から事業免許を受けるか、より一般的な方法として、各種の自主 規制機関のメンバーとなることが必要とされていた。エクイタブル生命が販売 していた生命保険および年金商品を含む投資性商品の販売、並びに投資アドバ イスの提供もまた、1986 年金融サービス法による規制を受けるもので、 同社は、 生命保険・ユニット投資信託自主規制機構および投資顧問業務規制機構という 自主規制機関のメンバーとなっていた 18)。 これらの2つの規制は、明らかに別個のものである。健全性規制は保険会社 150.

(7) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. の運営全体に焦点を当てているのに対して、適合性規制はその性質から、特定 の事業がどのように運営されていたかに着目する。監督当局は、その違いに応 じて異なるアプローチを採用している。健全性規制は、保険会社全体について、 報告書ベースで行なわれていたのに対して、適合性規制の中心となるのは、サ ンプル抽出法を用いた特定の取引の調査、現地調査である。健全性規制の監督 者の役割は、保険会社の財務上の健全性を監視すること、経営陣が適切かつ適 正(fit and proper)であるか、また、会社全体として健全かつ慎重な(sound and prudent)経営が行なわれているかを考慮することであった 19)。 健全性規制と適合性規制とを分離して、それぞれ別個の監督規制機関を創設 すべきであるという議論は、金融システムの保護という健全性規制の目的と消 費者保護という適合性規制の目的とには、潜在的に相反する要素があることを 根拠として主張する。しかし、保険に限らずどのような金融商品であろうと、 消費者保護が機能しなければその金融商品を提供する事業者への消費者の信頼 が著しく低下するおそれがあり、金融システムの保護と消費者の保護という目 的は必ずしも相反するものではない 20)。 1980 年代の段階では、健全性規制と適合性規制という2つの監督主体の相 互作用は、限定的なものにとどまっていた。この当時の健全性規制の監督担当 者がペンローズ卿による調査委員会に対して陳述したところによれば、適合性 規制の監督者とコンタクトを取るのは専ら政策課題についてであって、個別の 保険会社の問題について行なわれるのは稀なことであった。しかし、より下位 の実務者レベルでは、日常的な情報交換が行なわれていたようである。これら 2つの監督当局の間では、コミュニケーションが不十分であるというよりも、 2つの別個の規制主体が、保険会社法と金融サービス法という2つの異なる法 に基づいて、2つの別々の建物の中で働いているという認識を持っていた 21)。 ペンローズ報告では、これら2つの規制主体において保険会社全体に対する 監督の義務を適切に配分することができなかったことを、エクイタブル生命の 監督上の問題点として指摘している。また、2つの規制の中間点に落とし込ま 151.

(8) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). れてしまった契約後の資料に関する精査といった個別の問題への対応ばかりで はなく、それぞれの担当分野について、関連資料を相互に入手可能とするよう なコミュニケーション体制を構築し、維持することにも失敗していたとも指摘 されている 22)。. 2-3 エクイタブル生命の財務状態に対する監督 エクイタブル生命では、監督当局向けにソルベンシーを見かけ上改善させる ような措置として、劣後債の発行、潜在資産項目の適用などを行なっていた。 このような措置は将来の利益を当て込み、または犠牲にするものであって、将 来到来する満期その他の支払はリスクに晒される結果となった 23)。2000 年 12 月末まで契約価値が資産を上回る数値の上昇が続き、契約価値総計のうち積立 不足が約 30 億ポンド、そのうちの 18 億ポンドは給付金の支払が具体化してお り、エクイタブル生命が将来にわたって独立して事業活動を継続することが困 難な状況に陥っていた。既存契約の維持 ・ 管理会社となった 2001 年の間にも、 過剰な配当の支払は継続され、株価の下落も相まって状況はさらに一層悪化し ていった 24)。 2-3-1 エクイタブル生命の配当方針 1980 年代末以降、エクイタブル生命は通常配当よりも消滅時配当を重視す る方針に転換し、通常配当の配当率が 7.5%に維持されていたのに対して消滅 時配当は4%から9%へと引上げられたという記録がある。しかし、当時の監 督当局の注意がこの点に向けられることはなく、専ら保険契約に基づく支払責 任に対応するソルベンシー ・ マージンのみに注意が向けられていた。1989 年 には、監督当局およびその助言にあたる GAD は、市場での運用環境が悪化し ていることを知っていたにもかかわらず、将来発生する消滅時配当については 何ら考慮していなかった 25)。 1993 年7月には、適切な配当率に関する情報が各保険会社から監督当局に 提出される監督報告書に含まれていないことを理由として、GAD が全ての生 152.

(9) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 命保険会社のアポインテッドアクチュアリーに対して、契約者配当に関する 調査を依頼している。この調査に対してエクイタブル生命が回答した結果から 明らかになったのは、第一に、エクイタブル生命の定款では、利益配当に関し ては完全に会社の裁量に委ねられていたこと、第二に、契約者に対してスムー ジングの時期や範囲の情報は与えられていなかったが、通常では3年から5年 のサイクルでスムージングが行なわれていたこと、第三に、契約者に対して消 滅時配当率の変更が見込まれる頻度についての情報が提供されていなかったこ と、の3点である 26)。 英国の有配当保険では、保険契約者にとって契約時に決定された約定保険金 額ではなく、通常配当によって増額された保険金額、あるいは、契約消滅時に 支払われる消滅時配当を含めた金額が実質的な保険金の額として認識されてい る。しかし、その給付額は契約時には確定しておらず、配当割当てなど当該 保険会社の裁量権によって決定される部分が大きく 27)、エクイタブル生命の GAR 年金もこのような特徴を備えたものであった。 監督当局が公表した 1993 年の精査報告書によると、この時期には監督当局 もエクイタブル生命が消滅時配当に高い割合で傾斜しようとしていることに気 付き、同社の保険契約者に対する配当方針の表明について警戒を抱く状態に なっていた 28)。しかし 1994 年末まで、監督当局では異なる年代の保険契約者 の関係、とりわけ、継続する契約に対して現在満期を迎える契約の関係につい ては評価せず、ファンドの価値にのみ着目していた 29)。 1996 年には、精査報告書において、エクイタブル生命は契約者配当の保証 レートを引き下げ、より多くの収益を会社内部に留保することが望ましいとま で言及されたが、最終配当の支払は依然として高い水準を維持していた 30)。 エクイタブル生命の財務状態に関するペンローズ報告の結論は、以下の通り である。1990 年代後半に GAR 問題が顕在化する以前から、過剰配当が慢性的、 継続的に行なわれており、その結果としてエクイタブル生命の財務状態は悪化 し、さらに同社からは過剰な給付金が支払われ続けるというプロセスが存在し 153.

(10) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). ていた。エクイタブル生命は劣後債の発行など、規制上のソルベンシーを改善 させるためにいくつかの対応を行なっているが、これらの対応策によって、エ クイタブル生命の財務状態の弱体化は一層亢進していった 31)。 2-3-2 将来利益潜在資産項目 エクイタブル生命が見かけ上のソルベンシーを改善するために採用した手法 として、将来の利益を潜在資産項目として算入したことがあげられる。保険会 社は、1982 年保険会社法第 68 節命令に基づいて正味資産を算出する際に、将 来の利益、チルメル式調整による含み益などを一定の限度まで資産に算入する ことができ、この資産を潜在資産項目と呼ぶ 32)。エクイタブル生命では、将 来の利益を潜在資産項目として算入し、規制上のソルベンシーを維持していた。 保険会社が要求最低ソルベンシー ・ マージン(以下、 「RMM」という。 )を算 出する際に、有効な契約から将来得ることができる数理的準備金に含まれた マージンを資産に算入することが監督当局の裁量によって認められたものであ る 33)。 1996 年の精査報告書の中で、エクイタブル生命が潜在資産項目の適用を初 めて申請したことが示されている。1990 年代後半には、エクイタブル生命は この潜在資産項目への依存を高めていくのだが、1997 年の時点で、表向きの RMM は 2.51x という水準を維持していたものの、潜在資産項目および劣後債 を控除した後の RMM は 1.66x となって、所謂早期警戒レベルを下回る財務状 態となっていた。 また、2000 年9月に潜在資産項目の適用を認めた監督当局の裁量権の行使 にも疑問が呈されている。この時点でのエクイタブル生命は、売却か、または 新規契約の募集を停止するか、いずれにしても同一の事業主体として事業を継 続することが困難であることは周知の事実であったにもかかわらず、潜在資産 項目の適用が認められているのである 34)。潜在資産項目適用にあたって、財 務状態の評価の資料となったエクイタブル生命の監督報告書は、1999 年の 12 月末日を基準とするものであるが、2000 年9月の時点では、潜在資産項目適 154.

(11) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 用の前提、つまり、保有契約から将来にわたって継続的に収益を確保できると いう根拠はなくなっていた。エクイタブル生命が前者の道を選択し、売却に成 功したとしても、その後は新しい事業主体となる以上、事業主体変更後の財務 状態を評価しなければならなかったはずである 35)。 ペンローズ報告では、生命保険会社が現実には将来の利益を資産として算入 するといった要素に依存しなければならないものの、規制ソルベンシー・マー ジン(以下、 「RSM」という。 )を維持するためにこのような価値要素に依存 すればするほど、監督当局が保険会社に強制的に介入して財務状態を全体とし て精査する必要性が高まることを指摘している 36)。. 2-4 介入権限の行使と契約者の合理的期待 1960 年代の英国では、自動車保険安売り会社(Vehicle and General 社)の 経営破綻が生じ、マスコミにも「ナショナル・スキャンダル」として大々的に 取り上げられるような事態が生じていた 37)。最初の保険監督法規である 1870 年保険会社法にも、保険会社の保険金支払不能時には、監督当局が当該保険会 社の解散を申立てることができる旨の規定がおかれていた。また、1933 年お よび 1935 年保険会社(解散)法において、監督当局が保険会社の資力に疑い があると認めたときに、当該保険会社の業務を検査することができる旨の規定 が設けられ、1967 年保険会社法では、保険会社の支払不能を防止するという 観点から、 監督当局には介入権限の行使が認められていた。しかし、 このナショ ナル・スキャンダル当時の監督当局である商務省は、その権限行使について消 極的な態度をとっていたといわれている。当時の監督当局の解釈によると、保 険会社に支払不能のおそれがあるときに当該保険会社の検査を行なうには、納 得のできる根拠がない限り有効な手段を講じることができないとされていた 38). 。. 1973 年保険会社修正法の制定は、監督当局による介入権限行使の非効率性 が Vehicle and General 社の経営破綻によって明らかになったことへの対処を 155.

(12) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). 主要な目的としていた。保険会社の経営危機時に生じる可能性のある状況には 多種多様なものがありうる中で、保険契約者の救済またはリスクの最小化のた めに適切な選択をするためには、監督当局が介入権限を行使するための要件が あまりに厳格で制約の多いものであると考えられたために、法改正によって監 督当局の介入権限を再構築しようと試みられた 39)。 1973 年保険会社修正法 で は、監督当局 が 保険会社 に 対 し て 介入権限 を 行 使 す る 根拠 と し て、 「保険契約者 の 合理的期待(Policyholders Reasonable Expectations. 以下、 「PRE」という。 )を充足できない危険性」という要件を 導入した。このように広範な監督権限行使の端緒を操作することについては、 当時の監督当局であった DTI の内部においても、DTI が広範な裁量的権限を 持つことによって、避けることができなかった監督上の失敗が生じたときには 後知恵で批判される危険があること、保険会社に対して予見不可能な要求をす ることが可能になるような広範な介入権限を DTI という行政庁に与えるには、 議会で必ず反対意見が出るという危険があること、を理由として消極的な意見 も根強く存在していた。しかし、現実にこのような広範な介入権限が必要とさ れたのは、将来の保険会社の経営危機時に直面することが予想されるリスクと、 それに対応する救済の全ての組み合わせを予見することが不可能だからである 40). 。. 保険監督法規の中に監督権限行使の端緒として PRE が導入されたが、その 内容は明確なものということはできず、将来の非約款保証の金銭的利益にも及 ぶ幅広い内容を持っていた。英国の保険契約者にとっての実質的な保険金額は、 有配当保険の場合、配当の割当てなど保険会社の裁量によって決定される部分 も含めた給付額を指すものと考えられており、この額は契約上保証されていな いものであるが、 「保険契約者の合理的期待」と呼ばれていた 41)。保険会社の 財務書類を検査することとは別に、保険監督法規に基づいて介入権限を行使す ること、またはその行使を検討することが、現在、および潜在的保険契約者の 利益に適うことかを考慮する義務を監督当局は負っていた。それにも関わらず、 156.

(13) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 保険会社に毎年提出を要求する監督報告書のフォーマットは、保険会社からソ ルベンシー以外の点で介入権限行使に関する情報を引き出すことができないも のであった 42)。 1990 年代後半には、監督当局による規制の対象が専ら契約上のソルベンシー に着目したものとなっていた一方で、契約上の給付ではないが事実上保険契約 内容の一部として扱われていた PRE のような、契約上の権利によって保証さ れていない保険契約者の利益を考慮すべきであるという要請が高まっていた 43). 。当時の監督当局の体制は、PRE を根拠とする介入権限を適切に行使する. には重大な欠陥を抱えていた。しかし、監督担当者は、このような欠陥のある 監督システムを改良するのに最も適した立場にいたはずであり、エクイタブル 生命の財務基盤が脆弱であることを理解していたはずであるが、日常的な監督 業務の中で、既存のシステムで課されている範囲の内部で業務を遂行するのに とどまっていた 44)。. 2-5 エクイタブル生命の経営陣に対する監督 1982 年保険会社法 で は、監督当局 は 保険会社 が「健全 か つ 慎重 な(sound and prudent) 」経営 を す る こ と が で き る よ う な「適任 か つ 適正 な(fit and proper) 」人物をその経営陣に置くことを、当該保険会社に要求することがで きる。保険会社は CEO など経営責任者が交代する際には、監督当局の承認を 受けなければならないという規定もおかれていた(1982 年保険会社法 60 条・ 61 条等参照)45)。このような規定は、監督当局が保険会社から役員の候補者 として提案された人物の能力および適性を評価しなければならないという責任 を負っていることを示すものであった 46)。 しかし、エクイタブル生命では、その財務状態が悪化しつつあった 1990 年 代において、CEO とアポインテッドアクチュアリーを1人の人物が兼任する という事態が生じていた。これは、1991 年にエクイタブル生命の CEO が退任 した際、1982 年から同社のアポインテッドアクチュアリーを務めていた R. ラ 157.

(14) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). ンソンがその後任として CEO に就任したことによる。監督当局は当初、ラン ソンが CEO とアポインテッドアクチュアリーを兼任するのは、当時の社内 アクチュアリーが実務経験を積んでアポインテッドアクチュアリーとなるま での 12 ヶ月から 18 ヶ月程度の一時的なものと判断してランソンの CEO 就任 を認めた 47)。しかし監督当局は、ランソンから、このような条件は自分がそ の役職に適した人物であるかという点に関する批判であるという抗議を受け、 CEO とアポインテッドアクチュアリーの兼任は 12 ヶ月から 18 ヶ月に限った 暫定措置であるという条件を取り除いてしまった。また監督当局内部では、エ クイタブル生命のアポインテッドアクチュアリーを交代させるべきであるとい う議論があったものの、DTI がこの問題について効果的な規律を実行する機 会はなかった 48)。ランソンによる CEO とアポインテッドアクチュアリーの兼 任は 1997 年まで継続する。 エクイタブル生命の内部で、ランソンという1人の人物に権限が集中してい る状態の理不尽な面を監督当局は十分に理解していたにもかかわらず、この ような事態を防止するための措置は監督当局において何もとられなかった 49)。 また、エクイタブル生命の取締役会では、1994 年に監査委員会を設置したも のの、同委員会が負債評価に関する権限を持つようになったのは 1998 年であ り 50)、1990 年代後半までは、同社の数理シニアスタッフやアポインテッドア クチュアリー、すなわちランソンの作成した報告書に依存して経営上の意思決 定を行なっていた 51)。 ランソンが CEO とアポインテッドアクチュアリーを兼任したことによっ て、エクイタブル生命の内部では、数理管理に関するチェックが働かないばか りでなく、利益相反の危険性がますます増大した一方で、数理的準備金、潜在 資産項目、または PRE の計算の基礎の妥当性について、アポインテッドアク チュアリーが検証し、取締役会に報告すべき事項であるにも関わらず、監督当 局が独自にまた客観的に監視するという責任が増加することとなっていた 52)。. 158.

(15) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 3.エクイタブル生命の教訓 3-1 ペンローズ報告の示唆 保険会社の監督制度に内在する問題点と、監督システムの運用から生じる問 題点の双方が、エクイタブル生命の経営危機を引き起こした。FSA では、こ の度のエクイタブル生命の経営危機を契機に、保険業の監督システムに必要な ツールを整備しようとしている。しかし、ペンローズ報告では、どれほど監督 上のツールを精緻化しようと、あるいはそのツールが現実の保険監督上の要請 に適合したものになろうと、監督ツールを用いる監督担当者がそれを効果的に 適用するために必要なスキルと経験を備えていなければ全く役に立たないとい うことを、その最終章の冒頭で強調している 53)。 エクイタブル生命については、当時の監督当局が同社の消滅時配当を適切に 監督できなかったことが問題として指摘されている。その監督の失敗の原因と して、保険会社から監督当局に提出される報告書の中で利用されていたソルベ ンシーの基準が生命保険業界の実務から遅れたものとなっていたこと、特に消 滅時配当に関して責任準備金を積み立てているかといった点について、十分に モニターすることができなかったことがあげられる 54)。この経験から得られ る教訓として、監督システムは、現在行なわれている業界の実務に適合したも のとなっている必要性があるとペンローズ報告は指摘している 55)。 エクイタブル生命に対する監督体制については、健全性規制と適合性規制と が分断され、情報の共有や協働して問題に取り組むことができなかった点も問 題とされている。ペンローズ報告では、エクイタブル生命の直面していたリス クについて、健全性規制・適合性規制いずれの監督当局も適切な認識をもって いなかったのではないかとの疑問を呈示しているが 56)、今後、単一の金融監 督機関である FSA の内部において適切な責任の分担が行なわれることによっ て解決されることを期待している 57)。 エクイタブル生命の事例について言えば、担当者は与えられたシステムの中 で誠実に職務を行なっていたものの、保険監督システムそのものが時代に適合 159.

(16) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). していなかったことをペンローズ報告では指摘している 58)。絶えず変化を続 ける保険業界の実情に対応し、その要請に応えられるような監督システムを備 えることができていたならば、エクイタブル生命の経営陣が 1990 年代を通じ て行なってきたような実務を継続することは不可能であったはずだとペンロー ズ報告は結論づけている 59)。 監督システムの運用という面から見たとき、監督当局は保険会社が健全かつ 慎重に(sound and prudent)経営されているかについて評価する責任を負う ようになっていたにもかかわらず、その責任を十分に果たしていたかという 点が問題となる。1982 年保険会社法の下で、監督当局は当該保険会社の経営 陣に関する承認権を持っていたにもかかわらず、CEO とアポインテッドアク チュアリーの兼任を許容し、エクイタブル生命内部のガバナンスは全く機能し ない状態に陥ってしまった。ペンローズ報告では、エクイタブル生命の破綻要 因の中で最大のものとして経営陣の問題を挙げているが 60)、このような経営 陣の存在を許容したのは監督当局自身であった。後述するように、FSA によっ て行なわれるリスクベースの監督アプローチでは、リスクの高い保険会社を抽 出し、監督当局の資源を優先的に配分する基準として、コーポ―レート・ガバ ナンスを含めており 61)、従来行なわれてきた個別の取締役についての承認権 限から、取締役会としてどのようにその権限を行使するかという点を考慮する ことの重要性に配慮したものとなっていることが期待される。 この他にも、監督システムの運用に関連する問題点として、将来の利益を潜 在資産項目として適用する際に監督当局の裁量権の行使が適切であったかとい う疑問 62)に加えて、1999 年 1 月には、PRE に基づく介入権限の行使が可能な 状況であったにもかかわらず、監督当局がこの権限を行使せず、助言と警告と いう手段を選択したことによって、エクイタブル生命が再建のための第一歩を 踏み出せなかったことが指摘されている 63)。エクイタブル生命が新規契約の 募集を停止したのはこの約2年後の 2000 年 12 月であり、特に貯蓄性の高い長 期商品(同社の主力商品であった GAR 年金を含む。 )の契約者について、当 160.

(17) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 該保険会社の経営破綻から生じる経済的損失が大きくなる傾向を考えると、こ のような問題も看過することはできないであろう。. 3-2 FSA の創設とタイナー・プロジェクトの始動 2001 年 12 月の金融サービス・市場法の発効に伴い、保険会社の監督権限は HMT から FSA へと委譲されたが、HMT と FSA はそれぞれに生命保険業界 の改革を目的とした複数の調査委員会やプロジェクトを立ち上げている。これ らの重要な契機となったのがエクイタブル生命の経営危機であることは先に述 べたとおりである。HMT がこの問題に着目したのは、英国では公的年金が手 薄な一方で、老後を安心して暮らすために必要とされる額よりも、英国民の貯 蓄額は年額で 270 億ポンドも少ないと見積もられていることから、生命保険会 社を含む民間企業が提供する長期貯蓄商品の販売を促進していることも背景 にある。また、FSA はエクイタブル生命の危機を契機に、監督体制を含めて、 生命保険業界を巡る問題が一般の保険契約者に広く知られるところとなったた め、生命保険業界の信頼回復に向けて動き出したとされている 64)。 2000 年 12 月には、HMT の指示により FSA がエクイタブル生命に対する 監督責任についての調査を開始し、その結果は 2001 年 10 月にベアード報告 (Baird Report)として公表されているが、同報告が調査の対象とした期間は 1999 年1月からエクイタブル生命が新規契約の引受を停止する 2000 年 12 月 までの2年間という短い期間に限られていた。ベアード報告について HMT 経 済局長のルース ・ ケリーは、FSA のチェアマンであるハワード ・ デイビス宛 の書面において、同報告書は生命保険会社の監督についていくつかの有益な勧 告を行なうものであるが、エクイタブル生命の 40 年余りに及ぶ問題のうちの わずか 2 年間についてのみ言及するもので、エクイタブル生命事件という大き な絵画の中の、重要ではあるが限られた一部分を呈示しているに過ぎないと述 べている 65)。 タイナー・プロジェクトは、FSA の発足に先駆け、2001 年 9 月に保険会社 161.

(18) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). に対する監督規制と他の金融サービス業者への監督規制との比較調査を開始し たことから始まり、同年 10 月のベアード報告の公表を受け、翌 11 月に保険監 督規制の将来像を呈示する報告書 66)を公表した。この報告書は、エクイタブ ル生命の経営危機を受けて生命保険会社への監督上の問題点を示したベアード 報告での勧告を踏まえ、保険監督行政一般についてその改革の方向性を示した ものである。同報告書では、当時の保険業界において収益性が低下している理 由として、市場の縮小、投資環境の悪化、費用の上昇、そして、特に年金商品 については、寿命が長くなったことを挙げている。また、いくつかの生命保険 会社については、そのリスクマネジメントに失敗した結果として、不適切に販 売された年金や給付率保証付きの年金商品を含む過去の長期保険商品が高額な 負の遺産となっていることに苦しめられているとの認識を示している。また、 有配当保険を販売する会社については、そのファンドを充実させることよりも、 契約者や株主 67)への配当を優先させる傾向があることを指摘する 68)。エクイ タブル生命の経営危機を招いた要因とも共通するこれらの問題の認識に基づい て、タイナー・プロジェクトとともに FSA の下で保険監督制度改革がスター トしたといわれている。. 3-3 保険監督当局の組織 保険業を営む事業者 69)の監督は、専門家によって構成される複数の機構が 一貫性のある、協力した方法で行なうことが要請される。FSA では、全ての 金融サービス事業者の監督を職務とするが、以下のように保険業の監督にあた る9つの部署を設けている 70)。 ①主要金融グループ部(MFGD) :最大規模の保険会社、および主要な金融グ ループの保険子会社を監督する。この部は、大規模な金融グループ企業の監 督に適したアプローチとして 2001 年4月から創設されている。 ②保険部(Ins. FD) :MFGD の監督に服さない他の全ての保険会社、 友愛組合、 およびロイズの監督を担当する。アクチュアリー部を内部に包含し、2001 162.

(19) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 年4月から GAD のスタッフが移籍している 71)。2001 年の時点では、約 125 名のスタッフが保険部に在籍しており、その大半は旧 HMT から移籍したも のであり、GAD から移籍したアクチュアリーは約 20 名であった 72)。 ③健全性規制部:保険業を含む全ての金融サービス事業者について健全性の基 準を策定する。リスク評価のための立入調査を行なう専門家チームを内部に 包含する。保険会社のソルベンシー基準について、日常的な監督に従事する MFGD、および保険部に助言を行なう。 ④適合性規制部:保険業を含む全ての金融サービス事業者について適合性の基 準を策定する。行為規制(Conduct of Business)について、日常的な監督に 従事する MFGD、および保険部に助言を行なう。 ⑤消費者部:全ての金融サービス事業に関する消費者への対応を担当し、金融 オンブズマンもこの部に属する。 ⑥リスク評価部:業界や市場の動向、消費者問題などに関する分析結果を監督 担当者に提供する。特定の企業のリスク評価を補助する。保険業について は、業界横断的な分析に加えて、保険業界に特化した分析が必要ではないか と FSA は考えている 73)。 ⑦事業免許部:事業免許の申請を受付ける。当該会社、およびその経営陣(取 締役、CEO など)に関する情報を、日常的な監督を担当する MFGD、およ び保険部に提供する。 ⑧法執行部:MFGD、および保険部から法執行の必要なケースを回付され、法 執行を実行する。 ⑨訟務部:日常的な監督を行なっている MFGD、および保険部に対して法的 な助言を行なう。. 3-4 FSA による効率的な保険監督の指針 FSA の制定法上の目的として、第一に金融システムへの信頼を維持するこ と、第二に金融システムへの一般の理解を深めること、第三に適切な程度の消 163.

(20) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). 費者保護を行なうこと、第四に金融犯罪の減少、の4つが掲げられている 74)。 政府の政策の中で重要なことは、それを必要とする全ての人に金融サービスを 利用可能にすることである。消費者は自己の投資上の決定について最終的な責 任を負うのであるが、適切な情報を与えられていれば、正しい判断をすること ができる。FSA が金融サービス・市場法の下で負う責任は、消費者が金融商 品の内容を適切に理解するようにすることについてである 75)。FSA は金融シ ステムの中において、あらゆる事業者の破綻や事業活動上の過失を防止しよう とは考えていない。このようなことは、莫大なコストを最終的には消費者に負 担させることとなり、また、消費者にとって入手可能な金融商品の範囲が厳し く限定されてしまうからである 76)。 FSA はまた、良い監督規制のための 7 つの指針を掲げている。その第一の ものは、FSA の資源を最も効率的かつ経済的な方法で活用する必要があるこ とである。第二は、規制を受ける事業者の経営責任者に自己の経営意思決定に ついて責任を持たせることである。第三として、規制を受ける法人または個人 に課された制約は、その制約から引き出される便益に見合ったものとなること である。第四にイノベーションを促進することは望ましく、第五に競争を促進 することもまた、望ましい。さらに、第六として、英国の競争的地位を確保す ることも望ましい。最後に第七として、FSA がその役割を果たす上で、反競 争的な効果を生じさせるのは、最小限にとどめるべきである 77)。 この指針に従って効果的かつ効率的な保険業の監督を実現するために、FSA は、第一にリスクベースの監督アプローチを確立すること、第二に高度なリス クに直面している会社や保険業界との効率的な連携を図ること、第三に既に進 行中の組織改革を進展・強化させること、第四に FSA が新しい環境の下で効 率的に機能するために監督担当者の体制を整備することといった、広範な要素 を実現する組織を確立し、維持しようとしている 78)。この組織改革によって、 ペンローズ報告で指摘された問題点、すなわち、実務の現状に対応していない 監督システム、健全性規制と適合性規制の分断、経営陣に対するチェック機 164.

(21) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 能が働かなかったこと、ライン監督者の能力不足に起因する GAD への依存と いった問題の改善に向けて踏み出したということができる。 3-4-1 リスクベースの監督アプローチ リスクベースの監督アプローチとは、制定法上の目的に照らして最も深刻な リスクに FSA の資源を集中的に配分しようとするものである 79)。リスクベー スの監督アプローチは、保険会社の実質的なリスク評価を総合的、かつ体系的 な方法で行なうこと、および専門家による報告や専門家による当該会社への立 入調査といった監督上のツールを備えたことによって、既に実現されつつある 80)。 FSA の監督責任者は、各保険会社をより密接に監督している監督担当者か らの報告によって、当該保険会社が要注意の存在であることを認識する。保険 会社が監督当局にとって要注意の存在となるのは、異例のコーポレート・ガバ ナンスやビジネスモデルの採用、当該保険会社の他の事業分野と比較して急速 な、あるいは当該保険会社が新規参入した事業分野における成長、市場の動向 と調和しないような保険料、損害率、その他の金融上の成果、健全性または適 合性のいずれかにおいて既に実質的な基準違反をしていることなどである 81)。 FSA の監督は主として個別の保険会社を対象としたものであるが、特定の事 業分野全体について、特定の市場全体について、または特定の消費者・保険契 約者群全体について、問題が生じることもありうる。特定の保険会社を対象と した監督を補佐し、強化するためのプロセスとして、課題別の監督手法を発展 させていくことも必要となる 82)。 健全性規制または適合性規制の基準を充足できない保険会社が登場すること は避けられない事態である。このような事態が生じたとき、FSA は関連する全 ての部署において、実質的な情報を速やかに共有し、当該保険会社への対応を、 協力的、包括的かつ時宜を得て行なう。タイナー ・ プロジェクトでは、このよ うな手続に着目し、深刻な事態に対処することのできる適任のスタッフを短期 間のうちに招集することのできるプロセスを作り上げようと企図している 83)。. 165.

(22) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). 3-4-2 保険業界と監督当局との効率的な連携 FSA は影響の大きい保険会社との間で、より効率的な連携を構築すること を企図している。保険業界は相対的に集中度が高いために、大手の保険会社は 保険監督法規の目的に反するようなリスクを生じさせないという信頼に基づい て、FSA がこれらの保険会社との間で協働していることは合理的である。そ こで FSA は、第一に、当該保険会社のマネジメント能力とその信頼度の高さ、 第二に、当該保険会社の経営戦略が保険監督法規の目的に照らしてみたときに リスクを発生させるものか、第三に、当該保険会社の支配構造の堅牢性といっ た点に着目して、これらの保険会社についての判断を下している。これらの点 について FSA は、立入調査や専門家による報告などを通じて検証している 84)。 FSA は保険会社が適切な支配体制を維持することを期待している。そこで FSA は、影響力の大きい保険会社が非効率なコーポレートガバナンス、取締 役会、リスクマネジメント、リスク報告体制などを実施しているときには、何 らかの措置をとることとしている 85)。 監督担当者および FSA のリスク評価の専門家は、保険会社への立入調査に 時間(特に影響力の大きい保険会社についてはその大半の時間)を割いてい る。このことによって FSA のスタッフは当該保険会社の業務とリスクについ てより十分な理解を得ることができる 86)。また、銀行の監督では以前から行 なわれていたことだが、保険会社の監督においても、外部監査その他外部の専 門家を活用する機会が広がっている。監督対象となる会社が特定の監査法人と あまりに密接な関係にあると FSA が判断したときには、別の外部監査人を任 命した上で監査を受けるように要請する。この監督手法を用いる程度はリスク の評価に依存し、高いリスクを示している保険会社は、より頻繁な専門家によ る監査を受けることとなる 87)。 将来的には、このような監督上の連携が適切な監督と保険業界による対応へ と充実することが望まれており、保険監督の担当者は市場の実務家や専門的な 助言者とのより効果的な連携を構築することが望まれている 88)。 166.

(23) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 3-4-3 保険監督を担当する FSA 内部組織の変化 保険会社の統合的な監督が実現されることを企図して、FSA はその内部組 織について重要な変更を行なっている 89)。大規模な金融グループの監督に適 したアプローチとして、2001 年4月より、大規模な保険企業グループおよび 主要な金融グループの保険子会社については、保険部による監督ではなく、 MFGD が監督を行っている。そこで、MFGD と保険部の間では緊密な連絡を 取ることが重要になる 90)。 MFGD および保険部の内部で生命保険会社の監督の責任を負う者は、健全性 規制と適合性規制の両面において監督上の責任を負うこととなっている。この 統合によって、個別の保険会社への監督アプローチが統一的になるばかりでは なく、消費者の利益も効率的に認識し、優先的に対処することが可能になる 91)。 ペンローズ報告で指摘されていた、健全性規制と適合性規制の分断という問題 点は、このことによって克服されつつある。 さらに、2001 年4月より GAD のアクチュアリーが FSA に移籍し、 アクチュ アリー部が保険部の内部組織となり、保険会社を監督する際にアクチュアリー 部から保険数理面での助言を受けることが可能になった。同じ部署に監督担当 者とアクチュアリーを配置することのメリットは、より多くの知識の共有が可 能になること、迅速な専門家へのアクセスが可能になること、保険業界全体に ついて懸念される潜在的な問題点をより早期に認識できるようになることであ る。また、アクチュアリーは、業界横断的な問題への対処も含めて、今までよ りも広範囲に保険会社の監督プロセスに関与することができるようになる 92)。 3-4-4 新しい監督アプローチの下での監督体制の整備 FSA は、金融サービス業に対する新しい監督体制の下で、新しいリスクベー スの監督を実行していくことができるようにするために、保険会社の監督にあ たる担当者を含めたスタッフに、適切な技能、訓練、ツールを備えさせること の必要性を認識している 93)。 FSA はそのスタッフに対する総合的な訓練プログラムとして、技術的なト 167.

(24) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). レーニング、および管理能力を向上させるためのプログラムを実施する予定で ある。また、保険監督担当者については、リスクベースの監督アプローチに対 応するために、訓練を行なう必要があると考えられている 94)。 業界全体の構造的な問題であれ、特定の企業内部の問題であれ、問題がある と疑われるような商慣行は消費者の利益を損なうばかりではなく、その業界全 体の評価を低下させる。さらに保険業では、保険会社の経営破綻によって損害 を被った保険契約者に対して、保険業界が直接補償を行なう。そこで、FSA に対して疑わしい商慣行を行なっている企業や個人についての情報を提供する ことは業界全体の利益に資する行為といえる。FSA は提供された情報を審査 するものの、早い段階で懸念される行為についての情報を得ることは、当該保 険会社の経営破綻のリスクをも減少させる可能性も期待しうる 95)。 FSA のリスク評価部には、様々な市場のリスクに関する専門家が在籍し、 複合的な金融リスクの評価も行なっているが、保険に関する専門知識を有する スタッフも加わる。リスク評価部では、保険部門について専門家による立入調 査を行なっている 96)。 タイナー ・ プロジェクトでは、保険監督法規に基づく事業報告書の審査など について、事業監督の効率性を向上させるための技術が利用できるようにする ための試みを行なうとしている 97)。. 4.おわりに ペンローズ報告が明らかにしたように、エクイタブル生命の経営危機は、同 社が自ら招いたものであると同時に、保険監督制度にも問題点があったことが 明らかにされた。この当時、監督当局がエクイタブル生命のような保険会社の リスクを適切に把握することができないような、実務の現況に対応していない 監督体制を保持し続けていた点、監督当局の内部で権限と情報が分断され、エ クイタブル生命のリスクを総合的に評価していなかった点など、監督システム 168.

(25) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. そのものにも問題が山積していた。また、監督システムを整備するだけではな く、そのシステムを運用する担当者についても、適切な技術と経験を備えてい ることが必要であると指摘されているように、監督システムの運用という面で も問題が存在していた。タイナー ・ プロジェクトでは、保険業の監督という観 点から FSA の内部機構における権限の配分を行なうにあたって、エクイタブ ル生命の教訓を踏まえて、組織間での連絡・調整が必要であることも認識して 保険監督制度改革にあたっていることが示されている。また、DTI による監 督を行なっていた時代にはその能力が不十分ではないかと指摘されていた監督 担当者が適切なスキルと経験を備えるための方策も整えつつある。 さらに、エクイタブル生命の内部においても、このような状態をいわば黙認 したのが監督当局ではあるものの、利益相反の危険がありながら CEO とアポ インテッドアクチュアリーの兼任を継続し、取締役会が機能不全に陥っていた ことなど、同社のガバナンスに関する問題点も多数、指摘されている。 保険会社の事業においては、保険契約者から払い込まれた保険料がその財務 基盤の中核にあるにもかかわらず、保険契約者が当該保険会社の経営に関与す る機会はきわめて少なく、その経営に対するコントロールを働かせる余地は ほとんどない 98)。その一方で、契約締結後も、保険契約者は長期間、当該保 険会社との契約関係を継続することとなる。このような状況のもとで、監督当 局に保険会社の経営陣の承認を通じた監視・監督という役割が期待されること は、保険契約者保護という監督目的にも適うものとなろう。その監督の手法と しては、経営陣の承認権限といった監督権限の行使に加えて、私企業である保 険会社のコーポレート・ガバナンスの中に、当該保険会社の財務的健全性の確 保、保険契約者の保護といった監督目的を実現するような仕組みを組み込もう としているようにも見受けられる。例えば FSA では、良い監督規制の7つの 指針で経営責任者に自己の意思決定に責任を持たせることを挙げている。その 一方で FSA も当該保険会社のマネジメント能力とその信頼度の高さ、当該保 険会社の支配構造の堅牢性といった点に着目し、立入調査や専門家による報告 169.

(26) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). などを通じて検証しているほかに 99)、外部監査その他外部の専門家を活用す る機会を拡大している。さらに現在、英国において金融監督の指針として採用 されているプリンシプル・ベースの監督では、予め詳細なルールを定めるので はなく、経営者が与えられた裁量権の中で、経営者の責任において、事業者が 遵守すべき根本原則である事業原則に従った経営を行い、その結果に対して責 任を負うのも経営者であるとされている。とはいえ、この仕組みを円滑に機能 させるためには、FSA による経営陣の承認が適切に行なわれ、その人的適格性 が担保されること、当該保険会社の内部統制システムが整備されることが必要 であるとされており 100)、監督当局による権限行使と保険会社のコーポレート・ ガバナンスの整備とは、いわば車の両輪のような関係に立つものであろう 101)。 さらに、市場の機能が十分に働き、顧客である保険契約者の利益を最大化す るには、市場における高い自由度と高い信頼度を両立させる必要がある。保険 監督法規を中心的手段として従来から行なわれてきたルール ・ ベースの監督や 監督当局による介入権限を強化することは、信頼度を高める反面、市場の自 由度を低下させるおそれがある。ペンローズ報告、タイナー報告においても、 FSA は全ての事業者の経営破綻を未然に防止しようと考えてはいないこと、 そのようなことを実現する莫大なコストは、入手可能な金融商品が少なくなる といったことも含めて、消費者・保険契約者の負担に帰することを繰り返し、 強調している 102)。そこで、市場における自由度と信頼度を両立させるために、 市場に参加する者の自己規律が不可欠であると指摘され 103)、これを担保する ために監督を受ける側のコーポレート・ガバナンスの強化が求められるように なっている。 本稿では、エクイタブル生命の経営危機を材料として、その原因究明のため の独立調査委員会の報告書であるペンローズ報告の分析を中心にして、保険会 社と監督当局の関係を中心に検討してきた。保険会社の経営危機は保険契約者 にとってもその経済的利益が損なわれる危機であり、保険会社に対する監督の 目的として第一に掲げられているのが保険契約者保護であることから、保険会 170.

(27) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 社の経営危機時には、保険契約者との関係もまた、検討を要する問題を数多く 含んでいる。エクイタブル生命の経営危機に対する保険監督当局の対応につい ては、年金受取額が減少した保険契約者に対して政府が補償すべきであると結 論づけた報告書を 2008 年に議会オンブズマンが公表しているが、本稿では紙 幅の制約もあり、保険契約者との関係を十分に検討することができなかった。 この点については、別稿において検討の機会を持つこととしたい。. (注) 1)H. ブラウン(水島一也訳) 『生命保険史』明治生命百周年刊行会(1983)181 頁 2)Lord Penrose, Report of The Equitable Life Inquiry, 8 March 2004, Appendix A. 3)John Birds, Bird’s Modern Insurance Law, 6th edition, Sweet & Maxwell, 2004, p.22. 4)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 4. 5)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 5. 6)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 13. 7)山本祥司「英国の有配当保険規制改革について―契約者の合理的期待と会社の裁量権行 使に着目して」 『生命保険論集』152 号(2005)228-229 頁 8)魚住裕=キャサリン・グリーン「英国エクイタブル生命の経営危機問題」 『生命保険経営』 72 巻 6 号(2004)71-72 頁 9)Lord Penrose, op. cit ., chapter19, paragraph 15. 10)ハワード・デイビス=デイビッド・グリーン(五味廣文監訳/野村総合研究所訳) 『金融 監督規制の国際的潮流』金融財政事情研究会(2009)144 頁 11)Lord Penrose, op. cit., chapter15, paragraph 30. 12)ハワード・デイビス=デイビッド・グリーン(五味廣文監訳/野村総合研究所訳) 前 掲注 10)146 頁 13)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 157. 14)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 158. 15)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 169. 16)Lord Penrose, op. cit., chapter15, paragraph 25. 17)OECD, Insurance Solvency Supervision: OECD Country Profiles, OECD, 2002, p.278. 18)Lord Penrose, op. cit., chapter15, paragraphs 24-25. 19)Lord Penrose, op. cit., chapter15, paragraph 26. 20)ハワード・デイビス=デイビッド・グリーン(五味廣文監訳/野村総合研究所訳)前掲 171.

(28) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). 注 10)157-158 頁 21)Lord Penrose, op. cit., chapter15, paragraph 28. 22)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 229. 23)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 166. 24)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 58. 25)Lord Penrose, op. cit., chapter16, paragraph 16. 26)Lord Penrose, op. cit., chapter16, paragraphs 105-106. 27)山本祥司 前掲注 7)230 頁 28)Lord Penrose, op. cit., chapter16, paragraph 165. 29)Lord Penrose, op. cit., chapter16, paragraphs 171-172. 30)Lord Penrose, op. cit., chapter16, paragraph 247. 31)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 164. 32)木村栄一監訳『ベネット 保険辞典』損害保険事業総合研究所(1996)217 頁 33)Lord Penrose, op. cit., Appendix C. 34)Lord Penrose, op. cit., chapter18, paragraphs 71-73. 35)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 178. 36)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 182. 37)一矢治慧「英国における自動車保険会社の倒産事件と保険会社法改正の動き」 『ジュリ スト』375 号 74 頁 38)Richard A. Chapman, The Vehicle and General Affair: Some Reflections for Public Administration, [1973] Public Administration, pp.279-281. 39)Lord Penrose, op. cit., chapter13, paragraph 16. 40)Lord Penrose, op. cit., chapter13, paragraph 24. 41)山本祥司 前掲注7)226 頁、231 頁 42)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 210. 43)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 213. 44)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraphs 215-216. 45)Robert Merkin ed., Colinvaux’s Law of Insurance, 7th edition, Sweet & Maxwell, 1997, p.272. 46)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 224. 47)Lord Penrose, op. cit., chapter16, paragraph 36. 48)Lord Penrose, op. cit., chapter16, paragraph 39. 49)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 225. 50)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 86. 51)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 104. 52)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 227. 172.

(29) エクイタブル生命の経営危機と英国保険監督制度改革. 53)Lord Penrose, op. cit., chapter20, paragraph 4. 54)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 240. 55)Lord Penrose, op. cit., chapter20, paragraph 43. 56)Lord Penrose, op. cit., chapter20, paragraph 64. 57)Lord Penrose, op. cit., chapter20, paragraph 67. 58)Lord Penrose, op. cit., chapter20, paragraph 70. 59)Lord Penrose, op. cit., chapter20, paragraph 84. 60)Lord Penrose, op. cit., chapter20, paragraph 50. 61)FSA, The Future Regulation of Insurance, November 2001, paragraph 5.2.8. 62)Lord Penrose, op. cit., chapter19, paragraph 178. 63)Lord Penrose, op. cit., chapter17, paragraph 110. 64)青山麻里「英国の生保販売規制改革の動向」 『ニッセイ基礎研 REPORT』 (2002 年 11 月) 26-27 頁 65)HM Treasury, Press Notices 113/01, 17 October 2001.(http://www.hm-treasury.gov.uk/ press_113_01.htm より入手した。 ) 66)FSA, The Future Regulation of Insurance, November 2001. 67)エクイタブル生命は相互会社であるため、株主は存在しない。 68)FSA, op. cit., paragraph 2.2.4. 69)英国の場合、友愛組合やロイズなど、会社組織をとらない保険事業者も存在し、これら の者も FSA の監督の下にある。 70)FSA, op. cit., paragraphs 2.8.1-2.8.2. 71)FSA, op. cit., paragraph 5.4.7. 72)OECD, op. cit., p.279. 73)FSA, op. cit., paragraph 5.5.3. 74)FSA, op. cit., paragraph 2.4.3 75)FSA, op. cit., paragraph 2.3.1. 76)FSA, op. cit., paragraph 1.4.9. 77)FSA, op. cit., paragraph 2.4.4. 78)FSA, op. cit., paragraph 1.4.6. 79)FSA, op. cit., paragraph 5.2.1. 80)FSA, op. cit., paragraph 5.2.2. 81)FSA, op. cit., paragraph 5.2.8. 82)FSA, op. cit., paragraph 5.2.9. 83)FSA, op. cit., paragraph 5.2.14. 84)FSA, op. cit., paragraphs 5.3.1-5.3.2. 173.

(30) 横浜国際経済法学第 18 巻第3号(2010 年3月). 85)FSA, op. cit., paragraph 5.3.3. 86)FSA, op. cit., paragraph 5.3.4. 87)FSA, op. cit., paragraph 5.3.5. 88)FSA, op. cit., paragraph 5.3.6. 89)FSA, op. cit., paragraph 5.4.1. 90)FSA, op. cit., paragraphs 5.4.2-5.4.3. 91)FSA, op. cit., paragraph 5.4.5. 92)FSA, op. cit., paragraph 5.4.7. 93)FSA, op. cit., paragraph 5.5.1. 94)FSA, op. cit., paragraph 5.5.2. 95)FSA, op. cit., paragraph 5.5.4. 96)FSA, op. cit., paragraph 5.5.5. 97)FSA, op. cit., paragraph 5.5.8. 98)銀行業について同様の指摘をするものとして、 「< 座談会 > 銀行法制における行政と司 法の交錯とあるべき姿―拓銀最高裁判決から学ぶべき金融危機への制度的処方箋」 (落 合誠一発言)西村高等法務研究所[責任編集] 『金融危機 の 教訓―行政 と 司法 の 役割分 担と処方箋』商事法務(2009)29-30 頁 99)FSA, op. cit., paragraphs 5.3.1-5.3.2. 100)松澤登 「英国と日本におけるプリンシプル・ベースの監督」 『生命保険論集』161 号 (2007) 198-200 頁 101)なお、 相互会社のコーポレート・ガバナンスに関する独立調査委員会の報告書 (マイナー ズ報告)が 2004 年末に公表されている。 102)例えば、Lord Penrose, op. cit., chapter20 paragraph 70.FSA, op. cit., paragraph 1.4.9. 103)五味廣文「ここ 10 年の金融行政を振り返って」西村高等法務研究所[責任編集]前掲注) 98 134 頁 【献辞】來生教授には、修士課程入学から就職するまで8年間という横浜国立大学での学生 生活を通じて、そして現在でもご指導を賜っております。文字どおり不肖の教え子 でありますが、厳しく、そして温かく見守って下さることに感謝申し上げます。. 174.

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