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クローン病患者の自己への慈しみに影響する心理社会的要因検討

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Academic year: 2021

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(1)クローン病患者の自己への慈しみに影響する心理社会的要因検討                 学校教育学専攻               臨床心理学コース                    M10081D                   中尾久美子           問題・目的. サポートについて話してもらった。.  我が国でクローン病患者を支橡とした研究は,臨床症. 使用した質問紙①フェイスシ』ト:年齢,暢リ,病型,櫓患. 状や治療負担といった医学的変数とQOLの関連を明ら. 期間,治療法,入院歴,手術歴,合併症の有無と種類,薬物療法,. かにした研究が多く(橋本ら,1999),先行研究から,病状. 栄養療法の治療コンプライアンス,重症度:IOIBDスコア. の程度がQOLに影響を与える(森瀬ら,1993)ことが明ら. ②炎症倒易疾患QOL尺度(IBDQ:八尾ら,1994):37項目. かになっているが,心理社会的変数との関連については. 5下位尺度コ③selfmmpassion日本語版尺度(SC尺度:. 検言切ミ不十分である。. 有光ら,2011)126項目6下位尺度崎,Sk,I,Ch,M,.  本研究では,se件。ompassion(以下,SCとする)に注目. 0D。②③は,r発病から現在まで最も辛かった時期」r現. する。SCとは,困難が生じた時に,他者と比較をしたり. 在(最近1ヵ月)」の2時点で回答を求めた。. 何かに執着するのでなく,自身の経験に注意を向ける姿. 分析方法 患者毎に,認矢口,感情,対処,サポート授受. 勢であり,①自分自身に対する優しさ,②「人間みな同. に当てはまる逐語録を抜きだし分類した。分類した各要. じ」という感覚,③マインドフノレネスの3要素から構成. 素の意味を2者で独立に評価した後,時系列に沿ってま. される。SC尺度㎞tsu,2011)では,3要素を6下位. とめた。次に,IBDQおよびSC尺度の得点を,「最も辛. 尺度で測定している【①自分自身に対する優しさ. かった時期」「現在」の2時点で,W1coxonの符号1風立. (se巧udgment:笥,se正㎞dn鵬:鋤,②「人問みな同u. 和検定を行った。. という感覚:㎞atim=I,oommo旺h㎜㎞y:Cb,③マイン. 結果と考察. ドフルネス出鵬:肌㎝出n舳m:O)】。先行研.  患者全体に共通する特徴として,「発病当初」は,病気. 究では,scは,抑うつや不安に負の影響,QOLに正の影. の告知にショック・混乱がみられるとともに,r他の人と. 響を与えること,6下放度のうち,Sj項目とI項目が,QOL. 同じように生活したい」と思い病前と同じ生活を求め,. に負の影響を与えることが示されている跳㎜血。. r無理をする」対処を取っていた。しかし,入院や手術.  以上から,本研究では,SCがQOLに与える影響につ. といった畦状の悪化」に伴い,「病気をもった状態を基. いて,症状の程度を考慮した上で質的および量的に検討. 準に生活」するようになる。そして,新治療の導入によ. することを目的とする。. り「症状の改善」がみられた患者は,活動範囲の拡大,.            研究I. 対処効力感の増大により,治療に積極的に取り組むよう. 日的. になることが明らかになった。また,病気に対する認知.  発病から現在に至るまでのSCの変化プロセスを明ら. については,ネガティブな認知がポジティブな認知に変. かにし,SCの促進要因鮒処行動やサポートを整理する。. 化するといった直線的なプロセスではなく,ネガティブ. 方法. な認知とポジティブな認知を行き来戻りつする,円環的. 調査協力者と手続き 患者会代表者を通じて協力が得ら. プロセスであることが明らかになった。. れた,現在外来通院中で過去3ヵ月以内に入院していな.  サポートについて,発病当初は,医療従事者からのr病. い成人クローン病患者5名に,質問紙への回答を求めた。. 気や治療の情報提供」が重要で,同じ患者から,病気管. その後,1時間程度の半構造化面接を実施した。面接では,. 理の実体験を聞き,気持ちを共有することにより,不安. r発病当初」「発病から現在まで最も辛かった時期」r現. 在」の3時点で,当時の気持ち,SC,生活状況,対処,. が軽減され安心感を持っていた。また,家族からのサボ 』トはどの時期においても必要で,道具的サポートに加. 一154一.

(2) え,r見守ってくれる」といった情緒的サポートも重要で. QOLを高めること,自分の欠点や不十分なところに注目. あることが明らかになった。. しやすく,自分自身に厳しいことはQOLを低下させ,自. Wiooxonの符号順位和検定の結果,「最も辛かった時. 分自身に優しくなることがQOLを高めることが示唆さ. 期」と「現在」の間で,IBDQとSCに1o%水準で有意. れた。. 差がみられた。SCスコアの下位項目では,Sk,Sj,Ch.           総合考察. の3項目で有意な差がみられた(psく.05)。各項目は,Sk.  量的検討から,症状の改善幸こ関わらず,SC項目がQOL. 項目が高くSj項目が低い程,Ch項目が高い程,SCは高. を高め,中でも,自分に優しくなるといったSe正㎞㎞eSS. いことを意味している。以上から,「最も辛かった時期」. を高めることがQOLの向上に有効であることが示され. と比べて「現在」の方が,自分自身に優しく接し,失敗. た。質的検討から,SCを高める要因として,発病当初の. や困難に遭遇しても,「人として生きる以上は避けられな. 医療従事者からの情報的サポート,病状が悪化したとき. いこと」と普遍的に捉えるようになり,SCが上昇したと. の同じ患者からの情報的,情緒的サポート,定期的な家. 考えられる。. 族からの道具的・情緒的サポートが有効であることが示.            研究2. 唆される。今後,自分自身の不十分なところに注目しや. 方法. すい認知を緩和する要因を明らかにし,どんな支援や対. 目的SC,重症度,重症度とSCの交互作用項がQOL. 処が有効か検討する必要がある。. をどの程度予測するのか,横断的に検討する。.           引用文献. 対象者と手続き 現在外来通院中で過去3ヵ月以内に入. Admitsu,K(2011)  Se吐Compassion, automatic. 院していない成人クローン病患者33名に,患者会代表者.  thoughts,we1being,depression,and anxie蚊. を通じて質問紙を患者に郵送した。調査内容は,①フェ.  卿加た醐地0㎜∂ノ αη騨鵬 0〆 0初が昭. イスシート,②IBDQ,③SC尺度であり,「現在」につ いて回答を求めた。.  却曲0伽榊 橋本英樹ら(1999)慢性期クローン病患者QOLのモテ  ル化の試み 日本消化器病学会雑誌,96(11),1258・1265. 分析方法 QOLを従属変数,sc合計値,重症度,重症 度×SC合計値を独立変数とする階層的重回帰分析をお こなった(変数選択はステップワイズ法)。ステップ1で基. 伊藤義徳(2010)自己への慈しみse吐。ompassion 心理学  ワーノレド50,13−16. 森瀬公文ら(1993)炎症性腸疾患患者におけるQua」i蚊. 本属性,ステップ2で重症度,ステップ3でSC合計直,.  ofL曲の評価 日本大腸肛門会誌,46,147−159. ステップ4で重症度×SC合計値を投入した次に,QOL. Nicho1as T et a1(2011),Se吐。ompassion is a better. を従属変数,重症度およびSC各下位項目を独立変数と.  pre砒dDr thきm min舳ess of symp施m severi蚊  and qua」i蚊。f1地in m虹ed amde蚊εmd depmssion. し,同様の階層的重回帰分析を行った。. ゐ㎜〃舳吻泌。幽燗2ξ123,130. 結果と考察. 八尾垣良ら(1994)炎症性目嫉急患者のQu出城。f L曲.  SC合言十値,重症度,重症度×SC合計直とQOLの関 連については,重症度,重症度×SCの合言十値は有意な差. がみられず,sc合剤直がQOLに正の影響を与えるこ とが示された(ステップ3のF(2.30)=2.59,刈R2=.285,. についての検討難治炎症性腸管障害研究班H5年度, 74’77.             主任指導教員(中村菜々子)               指導教員(中村菜々子). △R2=.311,β=.607,pく.01,)。次に,SCの下位項目. ごとQ0Lの関連について,se旺judgment(Sj)がQOLに 負の影響を与え(β=・637,pく01),self一㎞dness(Sb がQOLに正の影響(β=.348,Pく.05)を与えることが示 された(ステップ3のF(2,30)=,AjR2=.370,△R2=.085,. pく.05)。以上から,病状の程度に関わらずSCが高いと. 一155一.

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