特別支援学校における高等部修学旅行の保健管理(第2報) : 医療的ケア実施の有無
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第67巻 第₂号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 67, No.2. 平 成 29 年 ₂ 月 February, 2017. 特別支援学校における高等部修学旅行の保健管理(第2報) ― 医療的ケア実施の有無 ―. 菅原真由美・芝木美沙子* 北海道教育大学大学院養護教育専攻養護教育専修 *. 北海道教育大学旭川校 家庭看護学研究室. Health Management during School Excursions of High School Students in a School for Special Needs Education ― The Presence or Absence of Medical Care Implementation ―. SUGAWARA Mayumi and SHIBAKI Misako* School of Health Nursing, Graduate School of Education, Hokkaido University of Education *. Department of Home Nursing, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 修学旅行においては,事前に児童生徒一人ひとりの健康状態を把握し,関係機関と連携しな がら児童生徒の健康管理を行う必要があり,特別支援学校の場合,児童生徒の心身の障害や疾 病の程度に応じ,特別な配慮が求められ,なかでも医療的ケアを必要とする生徒については, 一層の配慮が必要となる。 特別支援学校における高等部の修学旅行の実施状況を医療的ケア実施の有無別に分析するこ とにより,事前準備や関係機関との連携のあり方など知るため,高等部を設置している全国の 肢体不自由及び知的特別支援学校を対象に調査を行い,次のような結果を得た。 保護者の同行は,「実施していない」7.5%に対し,「実施している」は22.4%と有意に多かっ た。 緊急時に備えた事前準備として,「実施している」が有意に多かったのは,「主治医からの指 示書(書類)」「保護者からの申請書」「個別の緊急時マニュアル」であった。 修学旅行での緊急時は,現場にいる引率者が適切に判断し,迅速に行動することが求められ る。健康管理や緊急時対応等,修学旅行の保健管理について,教職員や保護者,関係機関と共 通理解のもと,生徒の安全確保に努め,生徒にとって有意義な修学旅行にするための連携体制 を整えていきたい。. 173.
(3) 菅原真由美・芝木美沙子. Ⅰ はじめに 修学旅行における児童生徒の健康管理に関して. 養護教諭を対象に,一部自由記述を含む質問紙郵 送法により調査を実施した。回収数は209校(回 収率52.3%)であった。. は,事前に児童生徒一人ひとりの健康状態を把握 し,特別に配慮を要する場合は,個別に関係機関. 2 調査内容. と連携し児童生徒の健康管理を行う必要がある。. 1)学校概要. 特に,障害や疾病がある子どもたちが在籍する特. 2)過去1年間の修学旅行実施状況. 別支援学校においては,安全面や健康面への配慮. 3)修学旅行事前保健指導. が不可欠であり,個々の実態に応じ,特別な配慮. 事前保健指導の実施の有無,実施した場合の. がなされなければならない。. 実施者及び対象者と実施方法,教職員への事前. 筆者らは,調査事例が少ない特別支援学校の修. 研修及び打合せ。. 学旅行の実施状況を知るため,特別支援学校にお. 4)修学旅行の際に準備した医薬品と物品. ける高等部の修学旅行について調査し,各学校の. 緊急時に使用する薬品を含む生徒の処方薬,. 修学旅行の実施状況を障害種別に分析し,事前準. 衛生材料など,修学旅行の際に準備したもの。. 備として必要な事柄や物品,関係機関との連携の. 5)修学旅行中の医療的ケア実施状況. あり方などを前報で報告した1)。. 6)修学旅行後の反省及び検討事項. その中で, 「肢体不自由特別支援学校(以下, 「肢. 7)養護教諭の勤務実績. 体不自由」とする) 」の97.4%, 「複数の障害を併 せもつ生徒が在籍する特別支援学校(以下, 「重複」. 3 調査結果の解析. とする) 」 の88.9%, 「知的障害特別支援学校(以下,. 調査結果の解析は,χ2検定(5以下のセルが. 「知的」とする)」の40.6%が医療的ケアの実施. ある場合Yates補正値を用いた)を行い,有意水. 校であることが明らかとなった。. 準5%をもって「差がある」と判定した。なお,. 文部科学省の調査によると,医療的ケアが必要. アンケートの集計には「EXCEL 太閤ver.5」を. な幼児児童生徒の数は,平成26年度7774名,平成. 使用した。. 27年度は8143名と369名増加し,うち高等部の生 徒は1904名から1982名へとなっている2)。また,. 4 倫理的配慮. 特別支援学校に求められる医療的ケアの内容も,. 調査は,無記名自己記入方式で,結果は統計的. 年々,多様化・複雑化しており,医療的ケアの実. に処理されるので,学校・個人が特定されないこ. 施にあたり,健康管理と安全面への一層の配慮が. と,職務上の守秘義務等の都合上,記入が難しい. 求められる。. 内容等については答えなくて良いことを明記した。. そこで,今回は,医療的ケアの実施別に分析す ることにより,障害種別からはみられない,健康 管理上の配慮,事前準備や関係機関との連携のあ り方等について報告する。. Ⅲ 結 果 1 各学校の概要 医療的ケアの実施別では,「実施している」が. Ⅱ 研究対象及び方法. 65.1%(136校), 「実施していない」34.9%(73校) であった。. 1 対 象. 病院等との併設については,「併設なし」が. 高等部を設置している全国の肢体不自由及び知. 80.4%(168校)と最も多く,次いで「施設と併設」. 的特別支援学校400校(無作為抽出)に勤務する. が10.0%(21校), 「病院と併設」が7.7%(16校),. 174.
(4) 特別支援学校における高等部修学旅行の保健管理(第2報). 以下は,過去1年間に修学旅行を実施した204. (%). 校を対象とした。 14.3 6.3. 医療的ケア実施 (n=136). 74.6. 4.8 病院・施設と併設 病院と併設 施設と併設 併設なし. 医療的ケア実施なし (n=73). その他. 0.9 7.5. 90.6. 0%. ケアあり」18.7人,4.3学級, 「医ケアなし」は30.8. 100%. 人,4.6学級であった。. 図1 病院等との併設. 車椅子等を使用している学校の割合と,1校当 (%). 23.5. 14.0. 59.6. 常勤・非常勤で配置 非常勤で配置 配置していない. 98.6. 0%. 50%. たりの生徒数について,医療的ケアの実施別でみ ると,「医ケアあり」は96.3%(129校)で平均4.0. 2.9 常勤で配置. 医療的ケア実施なし 1.4 (n=73). 修学旅行に参加した生徒数と学級数を医療的ケ アの実施別でみると,1校当たりの平均は,「医. 50%. 医療的ケア実施 (n=136). 1)参加者及び引率者. 人,「医ケアなし」は98.5%(66校)で平均0.4人 であった。 疾患がある生徒の参加があった学校は80.9% (165校)であり,医療的ケア実施別では,「実施. 100%. 図2 看護師の配置状況. している」が80.6%(108校)で平均8.1人,「医ケ アなし」が83.6%(56校)で平均9.2人であった。 引率者については,学校内からは1~40人で,. 「病院・施設と併設」が3.3%(7校)であった。. 平均11.9人であった。その内訳は,「学級担任」. 医療的ケアの実施別でみると, 「施設と併設」が,. が94.1%(191校)で最も多く,次いで「養護教諭」. 「実施している」6.6%(9校)に対し, 「実施し. が76.8%(156校), 「副担任・学年付」70.0%(142. ていない」は17.1%(12校)と有意に多かった(p. 校)であった。医療的ケアの実施別でみると, 「副. <0.05) (図1) 。. 担任・学年付」は, 「医ケアあり」64.7%(86校). 看護師の配置については,65.1%(136校)で. に対し, 「医ケアなし」79.1%(53校), 「養護教諭」. 配置があり, 「非常勤」38.8%(81校) , 「常勤」. は,「医ケアなし」68.7%(46校)に対し,「医ケ. 15.8%(33校) 「 ,常勤・非常勤ともに配置」が9.1%. アあり」80.5%(107校)と有意に多く(p<0.05),. (19校)であった。医療的ケア実施別でみると,. 「看護師」では「医ケアなし」がなかったのに対. 「実施している」では「非常勤」が59.6%(81校). し, 「医ケアあり」は12.8%(17校)と有意に多かっ. で最も多く,次いで「常勤」23.5%(32校) ,「常. た(p<0.01)。. 勤・非常勤ともに配置」14.0%(19校) , 「なし」. 学校外からの引率者は,0~37人,平均1.5人. が4校,また, 「実施していない」では「常勤」. であった。その内訳は,「添乗員」が66.7%(136. が1校あった(図2)。. 校)で最も多く,次いで「保護者」17.2%(35校), 「看護師」9.8%(20校),「医師」5.4%(11校). 2 過去1年間の修学旅行の実施状況. であった。. 過去1年間に修学旅行を実施した学校は97.6%. 医療的ケアの実施別でみると,「保護者」の同. (204校) ,実施していない学校は2.4%(5校). 行は, 「医ケアなし」が7.5%(5校)に対し, 「医. であった。医療的ケアの実施別でみると,「実施. ケアあり」は22.4%(30校)と有意に多かった(p. している」 (以下「医ケアあり」とする)が98.5%. <0.01)。. (134校) 「 ,実施していない」 (以下「医ケアなし」 とする) が95.7%(67校),無回答が3校であった。. 175.
(5) 菅原真由美・芝木美沙子. 2)実施期間. 4)事前の保健指導. 実施期間は, 「2泊3日」が66.7%(136校)で. 養護教諭による保護者への保健指導及び健康相. 最も多く,次いで「3泊4日」が24.0%(49校),. 談等について,73.5%(150校)が行っており,. 「4泊5日」2.9%(6校)であった。. 医療的ケア実施別では, 「医ケアあり」72.2%(96. 医療的ケアの実施別でみると, 「医ケアあり」. 校),「医ケアなし」76.1%(51校)であった。保. では「2泊3日」より短期間が79.1%(106校). 健指導の内容については,「薬の準備と管理」. と有意に多かった(p<0.001)。. 96.7%(145校), 「旅行前の健康管理」86.0%(129 校),「緊急時の対応」86.0%(129校),「服装及. 3)現地医療機関等との連携. び所持品」66.7%(100校),その他8.0%(12校). 修学旅行を実施した学校のうち,事前に現地の. であった(表1)。. 医療機関や救急隊等と連携をとっていた学校は. 医療的ケアの実施別でみると,「旅行前の健康. 83.3%(170校)であり,医療的ケア実施別では,. 管理」に関しては, 「文書」による指導について,. 「医ケアなし」が71.6%(48校)に対し,「医ケ. 「医ケアあり」が42.7%(41校)に対し,「医ケ. アあり」は89.6%(120校)と有意に多かった(p. アなし」は64.7%(33校),「個人懇談」は,「医. <0.001) 。. ケアあり」12.5%(12校)に対し, 「医ケアなし」. 医療機関と連携する上で必要となったものがあ. 27.5%(14校)と共に「医ケアなし」が有意に多. るとした92.9%(158校)について,医療的ケア. かった(p<0.05)。また,「緊急時の対応」に関. 実施別でみると,連携に必要なものとして,「学. する「文書」による指導については, 「医ケアあり」. 校からの依頼状」は, 「医ケアなし」が82.6%(38. が41.7%(40校)に対し,「医ケアなし」が58.8%. 校)に対し, 「医ケアあり」が92.7%(102校)と. (30校)と有意に多かった(p<0.05)(表2)。. 有意に多かった(p<0.05)(図3)。. 教職員への保健に関する指導・助言を行った 92.2%(188校)について,医療的ケア実施別で 158校(%). 学校からの依頼状 参加生徒数 旅行計画書(行程表) 引率教員数 紹介状(医療情報提供書) 参加生徒の基礎疾患(診… 起こりうる緊急時の状態 その他. 2.7 4.3. 19.1 19.6. 0.0 実施している(n=110). 82.6. 57.3 50.0 48.2 43.5 40.0 37.0 35.5 43.5 28.2 32.6. 92.7. みると, 「医ケアあり」91.0%(122校),「医ケア なし」94.0%(63校)であり,その内容は図4の とおりである。 5)旅行中の養護教諭の執務外の仕事 旅行中の執務外の仕事について,「あり」とし. 50.0 実施していない(n=46). 100.0. 図3 医療機関との連携に必要なもの. た26.0%(53校)について,医療的ケアの実施別 でみると,「生徒の処方薬の管理・配布・回収」. 表1 保護者への保健指導等の内容 校(%). 全体 n=150 薬の準備と管理 旅行前の健康管理 緊急時の対応 旅行中の生活 服装及び所持品 その他. 145 129 129 101 100 12. (96.7) (86.0) (86.0) (67.3) (66.7) (8.0). 実施している n=96 91 (94.8) 79 (82.3) 81 (84.4) 65 (67.7) 65 (67.7) 10 (10.4). 医療的ケア実施別 実施していない n=51 51 (100) 48 (94.1) 46 (90.2) 34 (66.7) 34 (66.7) 2 (3.9). (n.s有意差なし *p<0.05. 176. **. p<0.01. 検定 n.s n.s n.s n.s n.s n.s ***. p<0.001).
(6) 特別支援学校における高等部修学旅行の保健管理(第2報). 表2 保護者への保健指導等の内容と方法 校(%). 指導方法. 保護者説明会 文書 個人懇談 電話 その他 記載なし. 指導内容「旅行前の健康管理」 医療的ケア 全体 実施している 実施していない n=150 検定 n=96 n=51 102 (68.0) 68 (70.8) 32 (62.7) n.s * 76 (50.7) 41 (42.7) 33 (64.7) * 26 (17.3) 12 (12.5) 14 (27.5) 1 (0.7) 1 (1.0) 0 n.s 2 (1.3) 2 (2.1) 0 n.s 21 (14.0) 17 (17.7) 3 (5.9) n.s. 全体 n=150 98 73 43 2 1 20. (65.3) (48.7) (28.7) (1.3) (0.7) (13.3). 指導内容「緊急時の対応」 医療的ケア 実施している 実施していない 検定 n=96 n=51 67 (69.8) 29 (56.9) n.s * 40 (41.7) 30 (58.8) 23 (24.0) 19 (37.3) n.s 2 (2.1) 0 n.s 1 (1.0) 0 n.s 15 (15.6) 5 (9.8) n.s. (n.s有意差なし *p<0.05. 188校(%). 94.3 98.4. 生徒の常用薬の管理. 84.4 85.7 82.8 87.3 81.1 90.5 84.4 77.8. 健康観察 要観察の生徒 緊急時の対応 救急薬品の管理 旅程 その他. 8.2 6.3. 0.0 実施している(n=122). 自主研修の引率・指導 生徒の見守り 写真・ビデオ撮影 生徒の買い物支援 移動介助 生徒処方薬の管理・配布・回収 食事介助・指導. 41.0. 25.4. 入浴介助・指導. トイレ介助 その他. 50.0 実施していない(n=63). 100.0. 5.7 5.7 5.7 5.7 3.8 5.7 1.9 5.7 5.7 1.9 1.9. 0.0 実施している(n=31). **. p<0.01. ***. 18.9. p<0.001). 53校(%). 11.3 11.3 11.3. 18.9 10.0 20.0 実施していない(n=22). 28.3 30.0. 図4 教職員への指導・助言. 図5 執務外の仕事. では, 「医ケアあり」がなかったのに対し,「医ケ. 刺され薬」 「ティッシュ」 「タオル」 「懐中電灯」 (全. アなし」は10.7%(3校)と有意に多かった(p. てp<0.05),「個別の緊急時マニュアル」「パルス. <0.05) (図5) 。. オキシメーター」 「聴診器」 「医療的ケア用品」 (全 てp<0.001)があり,「医ケアなし」方が多いも. 6)旅行中のヒヤリハット. のとして, 「酔い止め薬」 「整腸剤」 (ともにp<0.05). 「 ヒ ヤ リ ハ ッ ト 」 が あ っ た と 回 答 し た の は. が挙げられた。. 21.6%(44校)であり,医療的ケア実施別でみる と, 「医ケアあり」は24.6%(33校), 「医ケアなし」. 8)旅行に持参した生徒の内服薬. は14.9%(10校)であった。その内訳をみると, 「薬. 生徒が常用している内服薬の持参の有無につい. の飲ませ忘れ・飲ませ間違い」は「医ケアなし」. て,「持参あり」が97.5%(199校),「持参なし」. 3校, 「医ケアあり」4校,「生徒を見失った」は. 1.0%(2校)であった。. 「医ケアあり」2校, 「医ケアなし」3校と多かっ. 医療的ケアの実施別では, 「医ケアあり」は「持. た。. 参あり」98.5%(132校),「医ケアなし」は67校 全てで内服薬を持参していた。. 7)救急バッグ. 内服薬の内訳は,「医ケアあり」では,「抗てん. 救急バッグについては,回答があった202校の. かん薬」が96.2%(126校)で最も多く,次いで「精. 全ての学校が持参しており,その内容について,. 神安定剤」67.9%(89校),「抗アレルギー薬」. 表3に示した。. 59.5%(78校)などであった。 「医ケアなし」でも,. 医療的ケア実施別で有意差をみると, 「医ケア. 「抗てんかん薬」が93.8%(60校)で最も多く,. あり」が多いものとして,「マキロン」「ビニール. 次いで「精神安定剤」85.9%(55校),「抗アレル. 袋」 (共にp<0.01), 「手指用速乾式消毒剤」「虫. ギー薬」71.9%(46校)などであった。. 177.
(7) 菅原真由美・芝木美沙子. 表3 救急バッグの内容 校(%). 全体 n=204. 衛生材料 消毒薬 外用薬 内服薬 その他. 絆創膏 滅菌ガーゼ 綿棒 固定用テープ 伸縮包帯 冷却シート マスク 清拭綿 三角巾 脱脂綿 綿ガーゼ ネット包帯 巻軸帯 防水テープ 眼帯 不織布ガーゼ テーピングテープ マキロン 手指用速乾式消毒剤 酒精綿 冷湿布 虫刺され薬 点眼薬 抗ヒスタミン剤 ワセリン 抗生剤 口内炎薬 ステロイド軟膏 胃腸薬 鎮痛剤 酔い止め薬 整腸剤 解熱剤 総合感冒薬 咳止め薬 鼻炎薬 体温計 使い捨て手袋 ティッシュ はさみ ビニール袋 爪切り 処方薬一覧 処方薬 生理用品 ピンセット とげ抜き 個別の緊急時マニュアル 健康観察表 タオル 汚物用防水袋 パルスオキシメーター 毛抜き 瞬間冷却パック 使い捨てカイロ 聴診器 物品一覧表 保温シート 医療的ケア用品 簡易血圧計 懐中電灯 虫除けスプレー 旅行団用携帯電話. 198 196 182 178 167 164 163 145 143 126 106 103 71 63 53 50 44 175 132 74 177 166 106 79 78 50 16 16 58 54 52 40 39 38 7 4 199 190 188 184 183 171 170 160 139 133 130 126 123 115 112 108 107 76 62 49 48 41 33 28 24 21 21. (97.1) (96.1) (89.2) (87.3) (81.9) (80.4) (79.9) (71.1) (70.1) (61.8) (52.0) (50.5) (34.8) (30.9) (26.0) (24.5) (21.6) (85.8) (64.7) (36.3) (86.8) (81.4) (52.0) (38.7) (38.2) (24.5) (7.8) (7.8) (28.4) (26.5) (25.5) (19.6) (19.1) (18.6) (3.4) (2.0) (97.5) (93.1) (92.2) (90.2) (89.7) (83.8) (83.3) (78.4) (68.1) (65.2) (63.7) (61.8) (60.3) (56.4) (54.9) (52.9) (52.5) (37.3) (30.4) (24.0) (23.5) (20.1) (16.2) (13.7) (11.8) (10.3) (10.3). 実施している n=134 132 (98.5) 131 (97.8) 120 (89.6) 114 (85.1) 110 (82.1) 113 (84.3) 113 (84.3) 97 (72.4) 91 (67.9) 84 (62.7) 71 (53.0) 69 (51.5) 46 (34.3) 41 (30.6) 35 (26.1) 29 (21.6) 33 (24.6) 123 (91.8) 96 (71.6) 53 (39.6) 114 (85.1) 117 (87.3) 68 (50.7) 47 (35.1) 47 (35.1) 29 (21.6) 12 (9.0) 11 (8.2) 39 (29.1) 34 (25.4) 28 (20.9) 20 (14.9) 24 (17.9) 22 (16.4) 5 (3.7) 2 (1.5) 132 (98.5) 126 (94.0) 129 (96.3) 123 (91.8) 127 (94.8) 114 (85.1) 115 (85.8) 102 (76.1) 94 (70.1) 85 (63.4) 84 (62.7) 95 (70.9) 80 (59.7) 83 (61.9) 73 (54.5) 92 (68.7) 71 (53.0) 50 (37.3) 43 (32.1) 42 (31.3) 31 (23.1) 29 (21.6) 31 (23.1) 20 (14.9) 20 (14.9) 15 (11.2) 17 (12.7). 医療的ケア実施別 実施していない n=67 63 (94.0) 63 (94.0) 60 (89.6) 61 (91.0) 54 (80.6) 49 (73.1) 48 (71.6) 46 (68.7) 49 (73.1) 41 (61.2) 32 (47.8) 33 (49.3) 24 (35.8) 20 (29.9) 17 (25.4) 21 (31.3) 11 (16.4) 49 (73.1) 34 (50.7) 20 (29.9) 61 (91.0) 47 (70.1) 36 (53.7) 30 (44.8) 30 (44.8) 19 (28.4) 4 (6.0) 3 (4.5) 18 (26.9) 20 (29.9) 23 (34.3) 19 (28.4) 14 (20.9) 15 (22.4) 1 (1.5) 1 (1.5) 64 (95.5) 62 (92.5) 57 (85.1) 59 (88.1) 54 (80.6) 55 (82.1) 52 (77.6) 56 (83.6) 43 (64.2) 46 (68.7) 45 (67.2) 30 (44.8) 41 (61.2) 30 (44.8) 37 (55.2) 14 (20.9) 35 (52.2) 25 (37.3) 17 (25.4) 6 (9.0) 16 (23.9) 10 (14.9) 2 (3.0) 7 (10.4) 3 (4.5) 6 (9.0) 4 (6.0). (n.s有意差なし *p<0.05. 178. **. p<0.01. 検定 n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s ** *. n.s n.s **. n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s n.s * *. n.s n.s n.s n.s n.s n.s *. n.s **. n.s n.s n.s n.s n.s n.s ***. n.s *. n.s ***. n.s n.s n.s ***. n.s n.s ***. n.s *. n.s n.s ***. p<0.001).
(8) 特別支援学校における高等部修学旅行の保健管理(第2報). 表4 旅行に持参した生徒の内服薬 校(%). 全体 n=202 抗てんかん薬 精神安定剤 抗アレルギー薬 睡眠導入剤 整腸剤 胃腸薬 去痰薬 下剤 心疾患治療薬 筋弛緩薬 利尿薬 鉄剤 腎疾患治療薬 昇圧剤 その他. 189 147 127 97 96 63 62 59 39 29 20 15 12 7 31. 実施している n=132 126 (95.5) 89 (67.4) 78 (59.1) 63 (47.7) 67 (50.8) 45 (34.1) 49 (37.1) 45 (34.1) 33 (25.0) 29 (22.0) 14 (10.6) 8 (6.1) 9 (6.8) 4 (3.0) 22 (16.7). (93.6) (72.8) (62.9) (48.0) (47.5) (31.2) (30.7) (29.2) (19.3) (14.4) (9.9) (7.4) (5.9) (3.5) (15.3). 医療的ケア実施別 実施していない n=67 60 (89.6) 55 (82.1) 46 (68.7) 32 (47.8) 28 (41.8) 17 (25.4) 12 (17.9) 14 (20.9) 6 (9.0) 0 (0.0) 6 (9.0) 6 (9.0) 3 (4.5) 3 (4.5) 8 (11.9). (n.s有意差なし *p<0.05. **. p<0.01. 検定 n.s *. n.s n.s n.s n.s **. n.s *. ***. n.s n.s n.s n.s n.s ***. p<0.001). (%). 92.0 86.4. ダイアップ アンヒバ. 15.2 9.1. エスクレ. 12.5. る」が77.5%(158校), 「持参しない」が20.1%(41 校)であった。 医療的ケア実施別では,「持参する」は,「医ケ. 8.1 14.3 5.4 2.4. 抗アレルギー内服薬 エピペンⓇ. る処方薬を持参するか否かについては,「持参す. アなし」が65.7%(44校)に対し, 「医ケアあり」. 0.0. 50.0. 実施している(n=112). 100.0. 実施していない(n=44). は83.6%(112校)と有意に多かった(p<0.01)。 持参する緊急時薬について,医療的ケア実施別 では, 「てんかん発作,発熱時」の「エスクレ(座. 図6 持参した緊急時薬. 薬・注腸)」は「医ケアなし」がなかったのに対し, (%). 主治医からの指示書(書類). 70.4 74.6. 保護者からの申請(書類) 保護者からの聞き取り(口頭) 個別の緊急時マニュアルの作成 主治医からの指示書(口頭) 養護教諭による校内研修 救急隊による校内研修 主治医のもとで行う実地研修 その他. 21.1 13.0 17.5 7.4 10.5 11.1 3.5. 37.0. 88.6. 51.9 58.8 55.6 63.2. 50 実施していない(n=56). た(p<0.05)(図6)。 緊急時に備えた事前準備の有無については, 「あ り」が85.3%(174校),「なし」が8.3%(17校) であった。「あり」について医療的ケア実施別で みると,「実施していない」 83.6%(56校), 「医. 5. 0 実施している(n=115). 「医ケアあり」は12.2%(14校)と有意に多かっ. 100. 図7 緊急時に備えた事前準備. ケアあり」85.8%(115校)であった。緊急時の 事前準備としては,「主治医からの指示書等(書 類)」が81.0%(141校)で最も多く,次いで「保 護者からの申請書(書類)」66.7%(116校) , 「保. 有意差をみると, 「医ケアあり」方が多いもの. 護者からの聞き取り(口頭)」56.9%(99校)で. として, 「筋弛緩薬」 (p<0.001), 「精神安定剤」 「去. あった。. 痰薬」 「心疾患治療薬」 (全てp<0.05)があり, 「医. 「医ケアあり」が有意に多かったのは,「主治. ケアなし」方が多いものはなかった(表4)。. 医からの指示書等(書類)」 「保護者からの申請(書 類)」(共にp<0.01), 「個別の緊急時マニュアル」. 9)生徒の緊急時の対応. (p<0.001)であった(図7)。. 生徒の体調不良の際,緊急時対応として使用す. 緊急時に処方薬を使用する場合の対応者につい. 179.
(9) 菅原真由美・芝木美沙子. 表5 旅行中の医療的ケアの内容と実施者 校(%) 対象. 実施者. 1人 2人 3人 4人以上. 「経管栄養」(n=47) 看護師 教員 保護者 16 (34.0) 2 (4.3) 15 (31.9) 4 (8.5) 2 (4.3) 4 (8.5) 3 (6.4) 2 (4.3) 1 (2.1) 1 (2.1) 2 (4.3) 2 (4.3). 「吸引」(n=45) 看護師 教員 保護者 16 (35.6) 10 (22.2) 16 (35.6) 1 (2.2) 0 1 (2.2) 3 (6.7) 0 1 (2.2) 1 (2.2) 0 1 (2.2). 「導尿」(n=10) 看護師 教員 保護者 4 (40.0) 1 (10.0) 1 (10.0) 0 0 0 1 (10.0) 0 0 0 0 1 (10.0). ては, 「養護教諭」が81.0%(141校)で最も多く,. 10.0%(1校)であった。. 次いで「学級担任」70.7%(123校) , 「看護師」. 医療的ケアの内容を障害種別でみると,「経管. 18.4%(32校) であった。主な対応者は「養護教諭」. 栄養」については「肢体不自由」が85.7%(18校). が33.9%(59校)で最も多く,次いで「学級担任」. で最も多く,次いで「重複」76.9%(20校), 「知. 10.3%(18校)であった。. 的」64.3%(9校)であった。 「吸引」については,. 医療的ケア実施別でみると,「看護師」(p<. 「重複」が84.6%(22校)で最も多く,「肢体不. 0.001)と「保護者」(p<0.01)が「医ケアあり」. 自由」81.0%(17校),「知的」42.9%(6校)で. で有意に多かった。. あった。「導尿」は「肢体不自由」が5校, 「重複」 3校,「知的」2校であった。. 10)旅行中の医療的ケアの対応. 旅行中に対応した医療的ケアの内容及び実施者. 医療的ケアを実施した生徒の有無については,. については,表5のとおりである。. 「あり」29.9%(61校),「なし」67.2%(137校). 医療的ケアに使用する物品について,事前に業. であった。. 者と連絡をとり,見学先及び宿泊先等で借用した. 「あり」と回答した61校のうち,旅行中に実施. ものについて, 「あり」が21.3%(13校), 「なし」. した医療的ケアの内容については, 「経管栄養」. が72.1%(44校)であり,借用物の内訳は,「酸. が77.0%(47校)で最も多く,次いで「吸引」が. 素ボンベ」8校,「酸素発生器」5校,「人工呼吸. 73.8%(45校) 「導尿」が16.4%(10校), , 「その他」. 器」1校であった。. が34.4%(21校)であった。「その他」としては, 「酸素療法」4校,「薬液吸入」「人工呼吸器・カ フマシーンの使用」 「座薬挿入」各3校などであっ. Ⅳ 考 察. た。. 1 各学校の概要. 「経管栄養」を実施した生徒数は1校当たり1. 病院等との併設については,8割が併設してい. ~21人で平均2.2人であった。「1人」が55.3%(26. ないが,「併設あり」とした15.7%について医療. 校)と最も多く, 「2人」23.4%(11校), 「3人」. 的ケア実施別でみると,「施設と併設」は,「医ケ. と「4人」がそれぞれ10.6%(5校)であった。. アあり」6.6%に対し,「医ケアなし」は17.1%と. 「吸引」を実施した生徒数は1校当たり1~22. 有意に多かった。平成23年の介護保険法等の一部. 人で平均2.2人であった。「1人」が66.7%(30校). を改正する法律による社会福祉士及び介護福祉士. と 最 も 多 く, 「 2 人 」8.9 %( 4 校 ) ,「 3 人 」. 法の一部改正3)により,たんの吸引等が必要な者. 11.1%(5校) , 「4人以上」13.3%(6校)であっ. に対して,必要なケアをより安全に提供できるよ. た。. うに法が整備され,今後,医療的ケアを実施する. 「導尿」を実施した生徒数は1校当たり1~5. 学校の増加が予想される。. 人で平均1.7人であった。「1人」が70.0%(7校). 看護師を配置している65.1%について,医療的. と最も多く, 「2人」 「3人」「4人」がそれぞれ. ケア実施別でみると,「医ケアあり」では非常勤. 180.
(10) 特別支援学校における高等部修学旅行の保健管理(第2報). が59.6%で最も多く,次いで常勤23.5%,常勤・. 2)実施期間. 非常勤ともに配置14.0%であった。学校では,医. 実施期間については,「2泊3日」が全体の. 療的ケアの対象人数や実施内容によって,配置す. 66.7%で最も多かったが,医療的ケアの実施別で. る看護師数を非常勤看護師の活用によって確保し. みると,「医ケアあり」では「2泊3日」より短. ていると推察され,その背景に,医療的ケアのニー. 期間が有意に多く,生徒の実態から,日常とは異. ズの高さ,人件費の問題などがあると思われる。. なる生活環境や移動等による疲労を考え,生徒の. 立松ら4)にもあるように,学校看護師の業務には,. 健康状態や体力に配慮した期間で実施されたと推. 教諭の医療的ケアの実施の指導者・管理者として. 察される。. の役割も期待されており,看護師の配置を継続さ せる必要がある。子どもたちへの教育の保証のた. 3)現地医療機関等との連携. めに安全な医療的ケアを提供できるよう,特別支. 事前に現地の医療機関や救急隊等と連携をとっ. 援学校のみならず,小中学校においても学校看護. ていた学校は83.3%であり,医療的ケア実施別で. 師が配置されることを切に願う。. は, 「医ケアなし」が71.6%に対し, 「医ケアあり」 が89.6%と有意に多かった。. 2 過去1年間の修学旅行の実施状況. 医療的ケアを実施している生徒の対応に個別性. 1)参加者及び引率者. や緊急性が高いこと,各生徒に主治医から緊急時. 引率者については,学校内からは平均11.9人,. 対応の指示が出されていること,緊急時には生命. 内訳は, 「学級担任」が94.1%で最も多く,次い. を脅かす事態に陥る可能性があることなどから,. で「養護教諭」76.8%, 「副担任・学年付」70.0%. 医療機関への搬送を適切かつ迅速にするため,事. であった。医療的ケア実施別でみると,「医ケア. 前に連携を取る必要があったと思われる。. なし」は「副担任・学年付」が,「医ケアあり」 では 「養護教諭」が有意に多かった。 「医ケアあり」. 4)事前の保健指導. では「看護師」の引率もあり,養護教諭と看護師. 養護教諭による保護者への保健指導及び健康相. が引率する場合は業務を分担することで,万全な. 談等を73.5%が行っており,保健指導の内容とし. 体制で旅行中の生徒の健康管理を行うことができ. ては,「薬の準備と管理」が96.7%,「旅行前の健. る。. 康管理」「緊急時の対応」が86.0%であった。保. 学校で医療的ケアを実施するようになってか. 健指導の内容について,医療的ケアの実施別にみ. ら,養護教諭と学校看護師の役割分担が課題とさ. ると,「文書」「個人懇談」による指導が有意に多. 4)5). れてきた. 3). が,介護保険法等の一部改正 の施. かったのは「医ケアなし」であった。. 行以降,教諭,養護教諭,学校看護師の役割が以. 医療的ケアを必要とする生徒については,保護. 前よりも明確となり,連携を図りながら,それぞ. 者が同行することが多く,旅行中の健康管理を保. れの立場で児童生徒の健康管理を行えるように. 護者が行ったり,緊急時においても保護者の意向. なったと思われる。. を確認しながら実施できるため,事前の指導がさ. しかし, 修学旅行の引率の際は,予算の都合上,. れなかったと思われる。. 養護教諭か看護師のどちらかが引率する場合もあ. また,教職員への保健に関する指導・助言につ. り,看護師が医療的ケアを要しない生徒の健康管. いて,92.2%が実施しており,医療的ケアの実施. 理も行っていると推察され,業務の負担が大きく. 別でみると, 「医ケアあり」91.0%, 「医ケアなし」. なるなど,課題が感じられる。. 94.0%が行っていたことが明らかとなった。 「医 ケアなし」の学校は,養護教諭や看護師など,専 門的知識をもった職員や保護者が引率しない場合. 181.
(11) 菅原真由美・芝木美沙子. が多く,健康観察の注意点や生徒の常用薬の管理. ター」 「聴診器」 「医療的ケア用品」 「懐中電灯」が,. など,健康管理上の配慮事項や準備が必要である. 「医ケアなし」方が多いものとして, 「酔い止め薬」. ためと考えられる。. 「整腸剤」が挙げられた。 「医ケアあり」の学校では,より慎重に感染症. 5)旅行中の養護教諭の執務外の仕事. 対策を行う必要があること,健康観察や緊急時対. 旅行中の執務外の仕事を「あり」と回答した. 応の際にバイタルチェックを必要とすること等,. 26.0%について医療的ケアの実施別でみると,有. 健康管理に一層重点を置いた対応が求められてい. 意差があったのは「生徒の処方薬の管理・配布・. るためと言える。. 回収」であった。 「医ケアあり」がなかったのに. また, 「医ケアなし」の学校で「酔い止め薬」 「整. 対し, 「医ケアなし」が多かったのは,処方薬の. 腸剤」等,市販内服薬の用意が有意に多かったの. 管理等を養護教諭の執務と捉えるか否かの認識の. は,生徒の常用薬や主治医の処方薬がない,過去. 違いによるものと思われる。医療的ケアを実施し. に市販内服薬を使用した経験の有無など,生徒の. ている学校では,学校生活において,日常的に「生. 実態が背景にあると考えられる。. 徒の処方薬の管理・配布・回収」を行っており, 処方薬の管理等も健康管理の一環とし,執務と捉. 8)旅行に持参した生徒の内服薬. えている養護教諭が多いためと推察される。. 生徒が常用している内服薬の持参があったの は,「医ケアあり」98.5%,「医ケアなし」全てで. 6)旅行中の「ヒヤリハット」. あった。. 「ヒヤリハット」があった21.6%について,医. 内服薬の内訳は,「医ケアあり」が多いものと. 療的ケア実施別でみると,いずれも「薬の飲ませ. して,「筋弛緩薬」「精神安定剤」「去痰薬」「心疾. 忘れ・飲ませ間違い」が多かった。生徒が常用し. 患治療薬」があることが明らかとなった。当然で. ている薬の種類が多い,服用の時間が複雑,朝や. はあるが,医療的ケアを必要とすることとなった. 夜間の服薬管理が背景にあると考えられる。. 個々の生徒の疾病や健康状態による結果と考えら. また, 疾病や障がいの程度が重度の生徒の場合,. れる。. 一層細やかな健康観察が必要となる。医療的ケア を必要とする生徒は,看護師や保護者等,医療的. 9)生徒の緊急時の対応. ケアの実施者が常に行動を共にし,目を離すこと. 生徒の体調不良の際,77.5%が緊急時に使用す. がない状態にある。また,生徒の実態として,突. る処方薬を持参しており,医療的ケアの実施別で. 発的な動きが少ないと思われる「医ケアあり」に. みると,「医ケアなし」65.7%に対し,「医ケアあ. 「生徒を見失った」があった背景には,特別支援. り」が83.6%と有意に多かった。. 学校の重度・重複化により,在籍する生徒の実態. 持参する緊急時薬については,「ダイアップ」. に大きな差があると推察される。. がほとんどであったが,「エスクレ」は「医ケア なし」がなかったのに対し,「医ケアあり」が. 7)救急バッグ. 12.5%と有意に多かった。多くの生徒にてんかん. 救急バッグについては,回答があった202校の. 発作があり,睡眠不足や疲労,発熱による発作を. 全ての学校が持参しており,医療的ケア実施別で. 防ぐため,また,重積発作を防ぐため,早期に対. 有意差をみると, 「医ケアあり」方が多いものと. 応できるよう処方されている。. して, 「マキロン」「手指用速乾式消毒剤」「虫刺. また,「主治医からの指示書等(書類)」「保護. され薬」 「ティッシュ」「ビニール袋」「個別の緊. 者からの申請(書類)」 「個別の緊急時マニュアル」. 急時マニュアル」 「タオル」 「パルスオキシメー. について, 「医ケアあり」が有意に多かったのは,. 182.
(12) 特別支援学校における高等部修学旅行の保健管理(第2報). 緊急性の高さや対応の個別性から考えると,当然. 内に限定されているが,普段とは異なる生活環境. の結果と言える。. の中で様々な体験を積むなど,学校内では得がた. 特別支援学校における修学旅行は,夜間の健康. い学習を行う機会として修学旅行を有効に活用. 観察や緊急時対応など,通常学校とは異なる緊張. し,生徒にとって有意義な行事とするために,見. 感と業務があり,緊急時には直ちに適切な判断と. 学先がどこであっても医療・福祉・教育の連携が. 行動が求められることから,各学校においては「個. なされ,安全・安心な修学旅行が実現できるよう. 別の緊急時マニュアル」を作成するなど,事前の. な意識の広がりと環境整備を切に願う。. 準備と配慮が必要となっている。. Ⅴ まとめ. 10)旅行中の医療的ケアの対応 医療的ケアを実施した生徒の有無については,. 全国の特別支援学校204校を対象に,修学旅行. 「あり」が29.9%,「なし」が67.2%であった。. の実施状況について,一部自由記述を含む質問紙. 「あり」と回答した61校のうち,旅行中に実施. 郵送法による調査を行ったところ,次のような結. した医療的ケアの内容については, 「経管栄養」. 果が得られた。. が77.0%で最も多く,次いで「吸引」が73.8%, 「導. 1)病院等との併設がある学校は21.6%,医療的. 尿」16.4%, 「その他」34.4%であった。「その他」. ケア実施別でみると,「施設と併設」が「医ケ. としては, 「酸素療法」4校,「薬液吸入」 「人工. アあり」6.6%に対し,「医ケアなし」は17.1%. 呼吸器の使用・カフマシーンの使用」 「座薬挿入」. と有意に多かった。 2)看護師の配置については,65.1%で配置があ. 各3校などであった。 医療的ケアを実施した生徒数については,1校. り,医療的ケア実施別でみると, 「医ケアあり」. あたり「経管栄養」 「吸引」はそれぞれ平均2.2人,. では非常勤59.6%,常勤23.5%,常勤・非常勤. 「導尿」は平均1.7人であった。. ともに配置が14.0%, 「なし」が4校であった。. 医療的ケアに使用する物品について,事前に業. 3) 過 去 1 年 間 に 修 学 旅 行 を 実 施 し た 学 校 は. 者と連絡をとり,見学先及び宿泊先等で借用した. 97.6%,医療的ケア実施別でみると,「医ケア. も の に つ い て,「 あ り 」 が21.3 %, 「なし」が. あり」98.5%,「医ケアなし」95.7%であった。. 72.1%であり,借用物の内訳は, 「酸素ボンベ」. 4)事前に現地の医療機関や救急隊等と連携を. 8校, 「酸素発生器」5校,「人工呼吸器」1校で. とっていた学校は8割以上あり,医療的ケア実. あった。現地で借用するものとして,酸素ボンベ. 施別では「医ケアなし」に対し, 「医ケアあり」. や酸素発生器が多かったのは,飛行機などへの持. が有意に多く,医療的ケアを実施している生徒. ち込みに特別な手続きが必要なことや移動の際の. の対応に個別性や緊急性が高いことから,事前. 持ち運びが大変であるためと思われる。. に連携する必要があったと思われる。. 5). 津島 は,子どもの発達を考える際には,医療・. 5)旅行中の執務外の仕事があるとした26.0%の. 福祉のみでなく,教育をも保証したトータルケア. 内容について医療的ケア実施別でみると, 「医. を特に考慮しなければならない点で,成人や老人. ケアなし」が「生徒の処方薬の管理・配布・回. の在宅療養と異なる側面があることに注目する必. 収」を多く上げたのは,「医ケアあり」学校が. 4). 要がある,と述べており,立松も 小児の日常生. 日常,処方薬の管理等を行っているという認識. 活・学校生活は,医療・福祉・教育の連携が重要. の違いによるものと思われる。. であり,学校における医療的ケアの充実は小児の. 6) 「ヒヤリハット」があったのは21.6%であり,. 多くの可能性に寄与できる,と述べている。学校. 医療的ケア実施別でみると, 「薬の飲ませ忘れ・. における教育活動は,一般にその教育の場が学校. 飲ませ間違い」は「医ケアあり」が, 「生徒を. 183.
(13) 菅原真由美・芝木美沙子. 見失った」は「医ケアなし」が有意に多かった. 医療的ケアを実施している生徒が参加する場. のは,医療的ケアの対象となる生徒の場合,対. 合,事前に地元の関係機関と連携し,緊急時に備. 象生徒への細やかな健康観察が必要,医療的ケ. えている。ここ数年,宿泊先の消防(救急隊)へ. アの実施者が常に行動を共にしているなど,目. 事前に連絡すると,「特別な書類等は必要ありま. を離すことがない状態にあること,突発的な動. せん。他の救急と同様に対応しますので,安心し. きが少ないなど,生徒の活動量の違いがあると. てください。」と,告げられることが多くなり,. 考えられる。. とてもありがたく,心強く感じている。一昔前,. 7)救急バッグの内容について,「医ケアあり」. 「障がいがある」という理由で受診を断られたり,. が多いものとして,「マキロン」「手指用速乾式. 特別な手続きを求められたことがあったが,今は,. 消毒剤」 「虫刺され薬」「ティッシュ」 「ビニー. 障がいのある子どもたちの権利が保証されつつあ. ル袋」 「個別の緊急時マニュアル」 「タオル」 「パ. ることを感じ,大変嬉しく思う。. ルスオキシメーター」「聴診器」「医療的ケア用. 修学旅行での緊急時は,現場にいる引率者に適. 品」 「懐中電灯」が挙げられたのは,より慎重. 切な判断と迅速な行動が求められる。日頃から,. な感染症対策,健康観察や緊急時対応時のバイ. 教職員や保護者,関係機関等と共通理解のもと,. タルチェック等,健康管理に一層重点を置いた. 保健管理や安全管理への意識を高め,健康管理や. 対応が必要なためと言える。. 緊急時対応などについて周知する体制を整えてい. 8) 「医ケアなし」学校で「酔い止め薬」 「整腸剤」. きたい。. といった市販内服薬の用意が有意に多かったの は,生徒の疾病への常用薬や主治医の処方薬が ない,市販内服薬の使用歴など,生徒の実態が 背景にあると考えられる。 9)生徒が常用する内服薬について,医療的ケア の実施別でみると,「医ケアあり」が多いもの として, 「筋弛緩薬」 「精神安定剤」 「去痰薬」 「心 疾患治療薬」があることが明らかとなった。 10)緊急時に使用する処方薬を持参した77.5%に ついて医療的ケアの実施別でみると,「医ケア. Ⅵ 文 献 1)菅原真由美,芝木美沙子:特別支援学校における高 等部修学旅行の保健管理(第1報)-事前準備と関係 機関との連携- 北海道教育大学紀要第66巻第2号 167-180.2016 2)文部科学省:平成27年度特別支援学校等の医療的ケ アに関する調査結果について 2016 3)厚生労働省:介護サービスの基盤強化のための介護 保険法等の一部を改正する法律による社会福祉士及び 介護福祉士法の一部改正(平成23年法律第72号). なし」65.7%に対し, 「医ケアあり」が83.6%と. 4)立松生陽,市江和子:特別支援学校における教諭・. 有意に多く,薬剤は「エスクレ」は「医ケアな. 養護教諭・看護師の医療的ケアに関する課題の検討 . し」がなかったのに対し,「医ケアあり」が 12.5%と有意に多かった。 11)緊急時の備えとして,「主治医からの指示書. せいれい看護学会誌Vol.4 No.1,2013 5)津島ひろ江:学校における医療的ケアを支える看護 専門職の連携 保健の科学,45⑸ 344-349,2003. 等(書類) 」 「保護者からの申請(書類)」「個別. (菅原真由美 北海道真駒内養護学校. の緊急時マニュアル」について, 「医ケアあり」. /旭川校大学院生). が有意に多かった。特別支援学校における修学. (芝木美沙子 旭川校教授) . 旅行は,緊急時対応や夜間の健康観察など,緊 急時には直ちに適切な判断と行動が求められる ことから,各学校においては「個別の緊急時マ ニュアル」を作成するなど,事前の準備と配慮 が一層必要である。. 184.
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