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算数科における直観と論理的能力の育成

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Academic year: 2021

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(1)Title. 算数科における直観と論理的能力の育成. Author(s). 大久保, 和義; 山本, 哲雄; 榊原, ますみ; 斎藤, 美幸; 島貫, 静; 庄 司, 緋佐子; 野澤, 亜子; 森井, 厚友. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 47(1): 215-228. Issue Date. 1996-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2154. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第47巻 第1号. 平成8年8月. lo fHokka i do Un i i i Sec i l journa t t t onIC)Vo ver s on( y ofEduca .47 .1 , No. Au夢j t s . 1996. 算数科における直観と論理的能力の育成 --図形領域の指導を通して--. 大久保和義 (北海道教育大学札幌校). 山本. 哲 雄 (札幌藤女子鍵期大学). 榊 原 ま す み 休暇市立幌西小学校). 斎藤. 美 幸 (札幌市立苗穂小学校). 島貫. 静 (札幌市立元町北小学校). 庄司緋佐子 ( 札幌市立幌西小学校). 野運. 亜子 休暇市立山の手南 ・学校). 森井. 厚 友 (札幌市立美しが丘小学校). 1. はじめに 現行の学習指導要領は昭和62年にだされた教育課程審議会の答申の趣旨を尊重して改訂された. その答申 にお ける ね らい で 算 数科 に深く 関わる も の と して は, いく つ かある が,. ( 2 )自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視すること もその1つである. このことは, 今の社会を生涯学習社会と位置づけ, 学び続けていく人間の育成を学校教 育の基礎に置くということを表明したものである‐ そのためには, 「児童生徒の発達段階に応じて必要な知 識や技能を身に付けさせることを通 して, 思考力, 判断力, 表現力などの能力の育成を学校教育の基礎に据 えなければならない」 とし, 特に 「新たな発想を生み出す論理的な思考力と想像力, 直観力などを重視する こ と」 が強調 さ れ, 算 数科 で の 大 き な 目標 の1 つ に論 理 的な 思考力や直観力の育成が重視された もちろん ‐. , このような力を育成することは算数の各領域を通して行われるが, 図形に関する指導では他の場合と比較 し て, その過程の各段階で視覚的にとらえやすく, 子どももその筋道を確かめながら進められること, しかも , このとき, 図形的な直観力の支えを基にして考察を進めやすいことという特徴があり こう したことから図 , 形領域の学習は, 直観的な見方と論理的に考える力を育てる上で適切なものであると考える‐ )が 直 観的 私 たち の グルー プで は, こ れま で, 問 題 解 決時 にお ける 見 通 しにつ いて の 研 究 を 続 けてき た5 , な見 方 で 考 え ら れ たも の も見 通 しの 1つ と 考え ら れる の で この小 論 で は 今ま で の研 究 の 継続 と 考え 図形 , ,. 領域での直観と論理的な考え方をどのように発展させるかについて実践を交えた考察を行う.. ロ. 直観と論理 今までの算数・数学教育を考えるとき, 教師が問題を提示し, それを解決するのに筋道立てて考えるとい う, いわば論理的に考察することが強調されてきたように思う‐ 現行の学習指導要領改訂にあたっ ては, 子 ども自ら学ぶ意欲と社会の変化 に主体的に対応できる能力の育 成が掲げられ, 算数科でも自ら算数を作り出すという創造的, 発見的な活動を積極的に取り入れることが主 張されている. この創造性, 発見性を支えるものとして直観力が重視されることになっ た 具体的には 昭 ‐ , 和62年12月に出された教育課程審議会答申で 『……とりわけ, 新たな発想を生み出すもとになる論理的な思 考力と創造性, 直観力を重視するととも に, ……』 とうたわれている. 算数科では直観力を生かして得られた考えは, そのままにしておかず, 後で筋道立てて考えたり 見直し , たりする事も必要である‐ 一方, 論理的に考えを進めていく場合には, 直観の働きがその支えになっ ている 215.

(3) . 大久保和義‐山本哲雄‐榊原ますみ・斎藤美幸・島貫 静・庄司緋佐子・野揮亜子・森井厚友. ことも否定できない. こう考えると, 直観と論理は表裏一体の関係にあるといえる. 算数・数学学習における直観と論理の関係は図1のような図式でとらえることができよう‐ 直観的にとらえる力としては (1) イメージする力. (2) 見抜く力 (3) 見通す力 ) が考え ら れよう. 3. イメージする力 としては, 物事を想像したり, 概念の表象を想い浮かべる力が考えられる. たとえば, 小 数, 分数の加法を学習する ときに単位に着目する考えや,,中, 高学年で数の概念を形成するのに数直線をイ メ ー ジす る, ある い は 図 形 で三角 形と いう とき に, いろ いろ な 三角 形を思 い 浮 かべる な どの力 である.. 見抜く力とは, 問題に含まれる数量, 形などの構造や関係, 規則性に着目する力, 洞察力な どを意味する. たとえば, 対応表の作成からその2つの量の関数関係を知ったり, 平行四辺形の性質として対辺の長さが等 しいこと, 向かい合った角の大きさが等しいことを見抜く力等が考えられる. 見通す力としては, 児童がとらえた問題の解を見積もっ たり, 解決の方法を見通したりする力が考えられ る. しかし私たちの研究では, これ以外に, その問題からより広く発展的な見通しを持ったり, 単元全体を )を 参照 して ほ しい 見 通す力 な どを 考 えて いる. こ の こ と に関 して は私 たち の 一連 の研 究5 ‐. 〈図1〉 数学を支え, 創り出す過程に働く考え … …- 内容 に関する も の … --. ○概念の形成, 原理, 法則 及びこれらの習得のため ・数概念 ・イ メ ー ジする. ・文字や式の概念. ・見抜く. ・対 応 の考 え. ・見通す. ・帰納的な考え ・類推の考え. ○集合の考え ○関数の考え. ・演経的な考え. など. ・数理的にとらえる. ○統合的, 発展的に とらえる考え. ・既習を生かす. ・一般化. ・よさを感得する. ・拡張. ○数学的態度. 数学的な処理に用いられる考え. 図形領域では他領域に比べて, 比較的視覚的な考察がしやすいことから, 直観を支えにし, その考えを明 確な理由や根拠を踏まえて論理的な考えで後押ししていく 学習展開が可能である. 算数の学習で現れる 筋道立てた考え (論理的な考え) としては, 図1にあるように個々のいくつかの事例 から一般的な法則 を推測する考え (帰納的な考え) , 既知の類似した事柄から新しい事柄を類推する考え (類 )がある )4 推の考え) . , 既知の一般的に成り立つ事柄から個々の事柄を導く (演繕的な考え かを求める問題の場合 とき k の重さは何 が5k ÷ の 類推する考えには, 例えば, lm の重さ m g g , 式が5 x ÷ となるが, 1より小さい小数をかけたとき, 答が被乗数より小さくなっ たことから, この答も5より 小さい, というように結果を類推する場合と, 216.

(4) . 算数科における直観と論理的能力の育成. ≧ ÷を学習したあとで, (整数) ÷ (分数) で a÷÷ i ; ax÷ -÷ 1÷× ÷ というよう に方法を類推することもある‐ いずれも未知の問題 --- (分数) ÷ (分数) で ÷÷号 に対して, 新しいものを発見するときには大切な考え方である. 発見的, 創造的な活動を重視するとき, 帰 納的な考え, 類推の考えができる子どもに育てていくことが大切であるが, 一方, これらの考えはあくまで も推 測 で予 想 したの にす ぎな い の で, 何 らかの 方法 で こ の こ と が正 しい こ と を示 す 必 要 がある‐ こ の とき に. 用いられる考えが演樺的な考えといえる‐ 小学校段階では, 帰納的な考え, 類推の考えで結論を推測するこ とを目的とすることもあるが, 結論に対し自分 自 身で 「そ のこ と が どんな 場 合 にも い える の か」, 「本当 に正 しいのか」 など, 自問自答しながら学習に取り組むような子どもの育成が湖 王まれる. 本論文では, 低学年 (2学年) と高学年 (6学年) 2つの実践例を通して, 直観的にとらえた考えをどの ように筋道立てて考えていくかに焦点をあて, 低学年と高学年における子どもの思考の現れの差異と, 直観 と論理の間に生じるであろうギャッ プを教師がどのような援助をすれば, 埋めることができるかについて考 察 する‐. 皿‐ 図形領域の目標 図形の指導は, 学習指導要領・算数科の目標にも, 「数量や図形についての基礎的な知識と技能を身に付 け……」 とあるように, 算数科で学習する主要な領域 (数と計算, 量と測定, 図形, 数量関係) の1つに位 置 づ けら れて いる‐. )として 小学校の図形領域の学習を行う必要性1 , ・図形に対する直観的な見方や考え方を深めるとともに論理的に考察する基礎を培うこと, 図形の性質の考 察における数学的な推論の意義と方法を理解し, 推論の過程を的確に表現する能力を養うこと, 図形につ いて見通しをもって論理的に考察する能力を伸ばすこと ・図形の学習を通して思考の過程を重視することによっ て, 論理的な思考力や直観力 の育成を図ること ・図形についての感覚を豊かにし, それらに親しむようにするとともに数理的な把握, 考察, 処理の簡潔さ, 明瞭さ, 的確さなどのよさがわかるようにし, 算数を意欲的, 主体的に学習しようとしたり, 進んで生活 に生かそうとしたりする態度を育てること な どがあ る.. )によると 図形領域のねらいとしては “基本的な図形や空間の概念につい また, 小学校指導書算数編4 , , て理解できるようにし, 図形についての豊かな感覚を育てるとともに, 図形の概念や簡単な図形の性質を活 用 して, 適切に判 断したり, 的確に表現したり, 処理できるようにすること” を主要なものとし, また, “図形の学習を通して論理的な考えの進め方を知り それを用いることができるよう にするととともに そ , , の過程を通して数学的な考え方の育成を図り, 数理的な処理のよさが分かるようにしていくこと” も重要で あるとしている‐ すなわち, 図形の学習を通して, 児童の発達段階に応じて, 図形を直観的にとらえたり, 論理的に考察する経験を豊かにするよう配慮をすることにより, 見通しをもち, 筋道立てて考えていく子ど もの育成を図り, ひいてはそのことが数理的に処理するよさが分かることにもなると考えられる‐. ‐ 学習指導要領に見られる図形領域での直観と論理の歴史的な変遷 W ‐ 学校教育において図形が最初 に取り上げられたのは, 昭和10年の尋常小学算術 (緑表紙教科書) であり, 1学年から6学年までかなり現行の内容に近く, しかもかなり程度の高いものが学習されており, 4学年で 217.

(5) . 大久保和義・山本哲雄・榊原ますみ・斎藤美幸・島貫 静・庄司緋佐子・野運亜子・森井厚友. は基本的な平面図形の相互関係が取り上げられている‐ 昭和16年から国民学校令が施行され,算数は理数科の1つの教科として取り扱われた.算数の目的は,「数・ 量・形二関シ国民生活二須要ナル普通ノ知識技術ヲ得シメ数理的処理二習熟セシメ数理思想ヲ滴養スルモノ トス」 とあ り, こ の とき か ら図 形 が1つ の領 域 と して 認め ら れる こ と になる‐. 当時の図形指導では, 特に重点をおいたものの1つとして 【ものごとを分析的論理的に推測することだけでなく, 全体的直観的な把握の仕方を重視しようとしたこ )が挙 げら れる と1 1 ‐. 戦後の図形教育についてながめてみよう‐ 昭和22年に学制が改革されてから, 教育課程の基準が学習指導 要 領 によ っ て 示 さ れ た‐ ま た, こ の 年 か ら 6・3・3制が実施され義務教育が中学校3年まで延長された. 昭和22年に出された学習指導要領(試案)では小学校算数と中学校数学を区別せずに一緒に記述されており, 内容としてはそれまでの国定教科書の考えを受け継いでいる. また, この試案では, 直観と論理的な考え方 につ いて は あま り述 べ ら れて いな い‐. 昭和26年に学習指導要領 (試案) が改訂された‐ この当時はアメリカからの新しい教育思想のもとに, 子 どもの生活経験を重視したいわゆる生活単元学習が取り入れられた‐ 算数・数学が周辺の教科とみられ, 指 導時間数, 内容が削減され, 結果として, 図形の内容が大幅に削減された. 生活中心の学習指導要領であっ たため, 算数科の一般目標も生活における目標と数学における目標がおかれており, 直観と論理的な考え方 に関しては, 算数科の目標の中で ( f ) 図形の性質や物の形の概略を, 直観的にとらえる能力を伸ばすとともに, 物の形 や構造を, 図やこと ばで表わしたり, 模型を作っ たりする能力を伸ばす. と し, 章 の ま とめ で. 図形は, 自分の考えを進める上に有用なものである‐ として, 図形領域の指導を通して, 日常的な考えを進めるのに必要な論理性を陶冶することをねらいにして. 回. い る‐. また, 算数についての学習指導法第2部特殊な問題の4‐ で 「論理的な考えを伸ばすこと」 という 項目が あ り, そ こ で は. どのよう に指導したら, こどもの論理的思考を伸ばすことができるか. が述べ ら れている‐ ここ で は, 学習 指 導 にお い て は, や さ しい 問題 解 決の 経 験 を 基礎 と し, こ れを も っ と広. い範囲にある問題, もっ と複雑な問題の解決に導くことが必要でり, そのために, 論理的思考を伸ばすこと が必 要 になる と している‐. (1) 事実問題の解決と論理的思考 「計算は出来るが 事実問題ができない」 原因として , ・問題解決をするために, 問題の場を どのように組織だてたらよいかについて, 子どもはほとんど指導を 受ける機会がないままに終わってしまう‐ ・ 問題 の 場 を読 みと り, そ れ がで き て も, こ れは よせ 算 で できる と か, ひき算 で で きる と か いう よう に考. えないで, す ぐに答をだしてしまう‐ 問題を分析して、 論理的に思考を進めることができるようにしな け れ ばな ら な い.. ・問題を読んで, その問題の場を読みとることである. 子どものこのような力を伸 ばすためには, ある程 度抵抗を感ずるような問題がよい‐ 問題の場を読みとる とは 218.

(6) . 算数科における直観と論理的能力の育成. i) こ れ はな に につ い て の 問題 で ある か に対 して 答 え ら れる こと (問 題 の 場 全 体 が概 観 で きる こ と). i ) どんな事実が与えられているかに対して答えられること i i i i ) こ の 問 題 は, な に を きい てい る か に対 して 答え ら れる こ と と いう こ と であ る.. (2) 論理的な思考力を伸ばすための指導計画 ・i) に 関 して. 問 題 を1 つ の物 語 と み な して, そ の筋 をつ かま せる よう にする. ・読書力 をつ ける ・問題場面を実演, 劇化する .i i) に関して 必要な事実を文章の中から抜き出させる ) について i ・i i i i)での事実についてどんな関係があるかをつかませる (数量関係から演算の決定) この過程をいつも考え, 問題を解決することによっ て, 子どもの論理的な 思考力 が伸 び ていく と して いる‐ 昭和33年の改訂では, 生活を中心とした学習指導による基礎学力の低下が問題になり, 算数・数学の内容 の充実, 系統化がその柱となっ た‐ 算数科の目標は5つの項目にまとめられ, 特に, 直観と論理的な考え方 に関係する項目として, 4‐ 数量的なことがらや図形について, 適切な見通しを立てて筋道を立てて考えたりする能力を伸ばし, も の ごと を い っ そう 自主 的, 合 理的 に処 理する こ と がで きる よう にす る, と ある‐ ま た, こ の と き の改 訂 で の 「 「 「 特徴 的 な こ と と して, 算 数の 内 容 が 「数と計 算」 , 量 と測 定」 , 数量 関係」 , 図 形」 の 4領 域 が設 定 さ れた こ と である‐. なお, このときの中学校2年の目標に 「論証を用いる方法について理解させ, 論理的に筋道立てて考える 「 能力を養う」 , さらに図形領域では 図形についての研究方法として, 論証を用いる意義や方法の理解を図 り……」 とあり, 推論を行っ ていくときその基礎となる用語 (定義) , 根拠となる事柄の大切さがあげられ ており, 論理的な考察を行うための基礎の学習が図形を通して指導されるようになっ た‐ 昭和43年には, アメリカを中心に世界各国で試みられていた数学教育の現代化運動の影響を受けて, 日本 でもその線に沿っ た学習指導要領の改訂が行われた. 集合をもとに, 算数の内容を整理, 統合したり, 集合, 関数, 統計, 確率等の内容が小・中学校にも入っ てきた. 具体的には小学校でも集合の考えを用いて図形の包摂関係を表したり, 仲間作りの操作を通 して, 概念の抽象化を図ることなどが扱われた‐ また, これらの活動の中で, 仲間に入れる (入れない)、その集合に属する (属さない) という観点を明確 にし, 根拠をもっ た論理的な考察ができることをめざしている‐ 論理的な考え方に関しては具体的な目標4. で 「事象の考察に際して, 数理的な観点から, 適切な見通し をもち, 筋道立てて考えるととも に, 目的に照らして結果を検討し, 処理することができるようにする 」 . とある‐. なお, 中学校では, 「集合と論理」 が新たな領域と して加わり, 論理用語, 演輝的推論の方法が1学年で , 直接証明法, 間接証明法が3学年で学習され, 図形を通した論証は従来通り2学年で扱われた. 昭和52年には現代化の反省のもとに, 「ゆとりと充実」 を掲げ学習指導要領が改訂された. そこでは内容 の精選・集約が大きな課題となり, そのために基礎的, 基本的な内容を重視し, 子どもの個性を生かす教育 がねらいとされた‐ 論理的な考えを育成することに関しては, 低学年 中学年を通して 図形の定義に基づ , , いて具体的な操作活動によっ て, 性質を導いたり, 類推を働かせたり, 直観的に判断し, そこで得られた結 果 が正 しい か どう かを判 断 していく‐ その とき に, 今ま で にも で てき て いる よう に 根 拠 を意識 しな がら推 ,. 論を進めていくことを大切にしている. 高学年でも操作活動を重視し, そこで得られた結果について その , 219.

(7) . 大久保和義‐山本哲雄‐榊原ますみ・斎藤美幸・島貫 静・庄司緋佐子・野津亜子・森井厚友. 根拠を定義や分かっている性質に求め, 論理的に考察させることを目標にしている‐ 平成元年に, 情報化な どの社会の変化に主体的に対応できる人間の育成を目指し, 論理的な思考力や直観 力を重視する観点から学習指導要領が改訂された. 図形領域で内容的には大きな変化はないが, 図形の学習を通して論理的な考えの進め方を知り, それを用 いることができるようにする とともに, その過程を通して数学的な考え方の育成を図り, 数理的な処理のよ さが分かるようにしていくことも大きなねらいになっ た. 論理的な考えの進め方についての指導では, 特に 図形を素材として取り上げる場合には, 他の領域の場合に比べて直観を支えにした展開が容易であるなどの ) と述 べ ている 長所 を 挙 げて いる2 . ,. V. 図形領域での学習過程 図形領域の学習では一般的に次の4段階の活動が考えられる. 図形を理解 (弁別) する段階, 図形を構成 する段階, 図形の性質を調べる段階, 他の図形との関係を調べる段階である‐ 図形の概念には, 外延と内包と呼ばれるものがある‐ 外延とは図形の定義が与えられたとき, ある図形がその仲間に入るか入らないかを見分ける ことができる 範囲 (集合) のことであり, 内包とはそれらの集合に属する要素が共通にもっている属性 (性質) のことで あ る‐ 図形 の概 念 を理 解する という と き にはこ の 2つ の意 味がある‐. これらの概念を理解させるのに, 直観的判断も大切である が, 観察したり, 書いたり, 折ったり, 切っ た り, 重ねたり, 変形するなどの具体的な操作活動でその図形の概念を実感させることも重要である‐ このと きの教師の役割としてはその概念を理解させるのに適切な教材の準備, 発問, 活動のさせ方な どが考えられ る.. 図形を構成するとは, ある条件の基に (例えば図形の定義) , その条件にあっ た図形を作っ ていくことで あるが, 先に挙げたような具体的な操作活動を通して構成する‐ この活動によっ て, 図形の概念形成がより 確 かなも の にな っ て いく. 図 形 の性 質 を調 べ る こ と は, 先 に述 べ た概 念 の 内包 を 理解す る こ と につ な がり, ま た, この こ と は 外延 の. 理解をより豊かにするものである‐ 図形の性質を調べるためには, それらの図形の構成要素 (面, 辺, 頂点, 角等) に着目することが必要で あり, 低学年から構成要素の個数, 形, 関係等について学習 を積むことによって, 学年が進むに従って考察 する観点が自然と身についていくと考えられる‐ 図形の性質を見いだしたり, 理解したりする ためには, 図 形を構成, 分解したり, 見取り図や展開図をかいたり, 作図したり, 変形するなどの具体的な活動が有効で あると考えられる‐ また, 図形の性質を調べたり, 確かめたり, 説明したりすることは, 論理的な考え方の 育成 にも密 接 に関 わ っ て いる.. それぞれの図形を個別に理解するだけではなくて, 他の図形との相違点, 関係を調べることによっ て, さ らにその図形の特徴をとらえることができるし, 図形の見方がより豊かになっていく と考えられる. 指導書 によると, 低学年では 「幾つかの図形を具体的に取り扱う 際に, 似ているところ, 違っている ところを機能 的な側面や構成要素に着目して次第に明らかにしていく.」 としている. さらに, 中学年では, 作図な どを 通して, 三角形 (二等辺三角形, 正三角形) や四角形 (平行四辺形, 長方形, 正方形) の相互の関係に着目 すること, 高学年では, 合同や対称性などの観点から図形の性質を調べたり, 考察したりして, 図形につい て の理 解 を 深 める, と している‐. )参照) が, その中で, 図形領 5 私たちの研究では, 問題解決における見通しの研究を5年間続けてきた ( 220.

(8) . 算数料における直観と論理的能力の育成. 域におけるこの基本的な学習のあり方を, 『領域における見通し』 として位置づけてきており, 児童が自力 で問 題 解 決を進 め ていく と き, こ の見 通 しをも つ こ と が大切 である こ と を主 張 して きて いる.. 図形領域の学習では, 低学年では主に具体的な操作活動や直観的な取扱いを通して, 基本的な図形の用語 や性質を理解し, 中・高学年になるにしたがってそれまでの既習学習, 既有の経験を基にして図形を構成, 分解するな どの活動を行っ たり, 図形の相互関係に着目することにより図形概念を一層深めることをねらい と している‐. また, 図形領域は, 数と計算領域にみられるような系統性はあまりなく, 図形の考察にあたっては, より 直観的な理解の占める割合が大きいところ に特徴 がある. 図形の学習では, このように直観的にとらえたも のを図形の構成要素である辺, 角, 面などに着目して分析的にとらえ直すことが大切である. 例えば, 図形 の 概 念 を 理解さ せ る の に いく つ かの 図 形を提 示 して,2つ か3つ の グルー プに仲 間 分 けをさ せる こ と がある が,. これらの活動は, 辺とか角などの図形の構成要素に着目させ, どの観点で図形を同じにみるかというのを分 析的に考えさせてことになろう‐. W. 図形領域での実践例 (直観的な把握と論理的な (筋道立てた) 考え方) 2学年では, 箱の形を通して, 空間図形と平面図形の違い及 びその関係が学習される‐ 箱を切り開いたり, 切り開いた形から立体を組み立てる活動を通して空間図形が平面図形から構成されてい ることや面の形や個数, 辺の長さや個数, 頂点の数, 面と面のつながり に漸次着目させる‐ 6学年で立体の学習で, 角柱, 円柱, 角すい, 円すいが扱われる‐ 立体を見取図, 展開図, 立面図や平面 図を平面上に表現したり, 逆に平面上の展開図から立体を想像したりするが, このことから立体や空間に対 する図形的直観や空間観念を育成することをねらいにする‐ 本年度は, これら2つの単元で授業実践を行っ た. 学年は違うが, どちらも空間概念や空間図形の概念を 養う単元であり, 直観的な把握と論理的な考え方を関連づけるような手だてを工夫しながら単元の構成を行 っ てい る‐. 〈実践例1. 6年 「立体」〉. 1. 育 て たい力 「 本単 元 は, 2 年 「はこ の 形」 , 4 年 直 方 体 と 立 方 体」 で の 学 習 を ふ ま え て, 角 柱, 円柱 な ど の 柱 体 と,. 角錐, 円錐などの錐体を扱うことになる. 単元を通して, 以下のような論理 的思考の高まりを願っ ている. ①. 構成要素である面, 辺, 頂点に着目して, それぞれの立体の性質や, 立体同士の相違点, 共通点など を見 つ ける こ と ができる‐. ② 底面と底面, 側面と底面の関係や, 立体の高さに気づく. ③ 実際の立体と展開図, 投影図, 見取り図など, 平面と空間の相互関係やイメージをより豊かにする . ④ 三角錐, 四角錐, 五角錐などの側面から類推的に考察して, 円錐の側面の形を発見することができる ‐ 他にも多々考えられるが, 上記の点を単元構成の中に組み入れ, 単元全体を通 して図形における論理的な 思 考力 を育 て てい き たい.. 221.

(9) . 大久保和義・山本哲雄・榊原ますみ・斎藤美幸・島貫 静・庄司緋佐子・野津亜子・森井厚友. 2‐ 単元構成 ( 1 4時間扱い・簡略化したもの). 時. i見本以外の錐体を作ってみよう。 -. 子どもの思考の流れと教師のかかわり. ・底面が円の錐体の展開図は どうなるかな 三角 錐 は. これから作る立体の影を見て見取り図を. 四角 錐 は. →. だか ら 円錐 は. か こう。 (シ ルエ ッ トクイ ズ). 錐体でわかったこと、 発見したことを ま とめ よう。. こういう立体を錐体. カー ドに記録したこ. という ん だ. と は錐 体 の 性 質 だ っ たんだ. 立体を作ろう。. 自分のオリジナル立体を作ろう。 どの立体から 作ろうかな 3‐ 単元構成にあたって (1) 単元のポイント <シルエッ トクイ ズからの導入〉 本単元 の 導入 にあ た っ て, シ ルエ ッ トク イ ズ (O. HPを用いた投影図) を行うこととした. その際, 今後の学習で必要な立体を自分で作るという意識を 子 どもたちに持たせ, 作る立体を真上と真正面から 見た影から, それを見取り図にかこうという場面を 設定する. その意図として以下の点を考えた‐ ①. 「作 る 目 的 の ため の 「影 であ り 子 ども が 」 」 ,. 作るために必要だと思う ところ, 立体の構成要素 に目 が向 きや す い‐ ま た, 視 覚 だ けでなく ブラ ッ. ク ボックスで触覚を通して図形を考察することに より, より構成要素への意識が強まる‐ これらの直観が, 作るために必要な展開図に生 かされ, 特徴などを知る活動の中で次第に論理へ と変 わ っ て いく.. ② 単元の中の小単元として投影図を扱う より, 子 柱 体 で わか っ たこ と、 発見 した こ と を. まとめよう。. どもの問題意識の連続が図れる. しか し, 立 体 のイメ ー ジを見 取 り 図 にす る こ と. は難しく, 特に見えない部分の扱いや見る視点の 設定な ど十分 にでき な い 子 が多 い. した が っ て見 取り図に固執することなく, 自分の得意な方法で イ メ ー ジを伝 え させ たい‐ 222.

(10) . 算数科における直観と論理的能力の育成. 〈活動中心の単元構成〉 1 4時間扱いの単元の中で, 9時間を活動 (立体の製作) としている. 作る立体によって活動場所を変え意 図的 に小 グルー プを作 り, そ の 中で の 活動 を大切 に した い‐ ま た, 気 づ い た こと, 発 見 したこ と, 疑 問な ど をカ ー ドに記 録 化 し, そ れ がいつ で も 誰でも見 る こ との で きる 状態 に してお く こ と で 悩 ん でいる 子 のヒ ン , トにな っ たり, 交流 への き っ か けと な っ た りする こ と が予 想 さ れる‐ この カ ー ドが, 単 に作る こ と だ けに 終 わ らせる の で はなく, こ の後 の 学習 や そ の 子 の見 とり に 大い に役 立つ と 考え た. <円錐 をク ロー ズ ア ッ プして〉. 導入に扱う立体は, 以下の6種類とした‐. この中にあえて円錐は入れなかっ た--導入で提示すると, 既習となるものが生活経験や図工での製作経験 などの限定されてしまう‐ 三角錐, 四角錐, 五角錐…だから円錐もと, 論理的に考えていく筋道を大切にし たい ため, 子 ども の既 習 を膨 らま せ て か ら円錐 を扱 い たい と 考 え た‐ (2) 自 己 決定 ・ 自 己表 現 に か か わ っ て. ▼. 投影図から立体の概形を予想し見取り図をかく, 展開図をかく, 発見したことや気づいたことをカー ドに 書く, 立体を作る等, 単元全体を通して表現活動が多くなる. また, 立体を作る順番を決める, 見本以外の立体作る, 自分のオリジナル立体を作る, それにともなって 数値を決める等, 自分で判断したり決定したりする場面が多い単元構成になっている‐ 「与えられたものを与えられた順番で」 ではなく 見通しを持ったり学習計画を立てながら 子 ども一人 , , 一人が主体的に立体にかかわることにより,問題解決力の育成に大きな役割を果たすことができると考えた‐ 子どもの表現したもののうち, カー ドを教師の見とりのためだけでなく, 友達同士の交流や次への問題意 識のために活用できるように工夫した. 4‐ 1 時 間目 の授 業 の 中 か ら (シルエ ッ トクイ ズ). 立体を2つの平面からイメージすることは困難であろうと思われたが, ほとんどの子が見取り図をかきあ げてい た‐ しか し, わ か らな い と いう 声 も 聞 こ え た ため (特 に⑤ が多 か っ た) ブラ ッ ク ボ ッ ク ス を 提 示 し , , 立 体 に 触 れ さ せ て み た‐ 子 ども た ち か ら は 「頂 点 が ○ 個 あ る な‐一 「辺 が △ 本 だ な 一 「こ ん な 形 の 面 な ん , ‐. だ‐一 というつぶやきが聞こえ, 触れることで立体の構成要素に目が向いたのだと感 じた‐ 中には正確な見 取り 図 がか けな い 子も い た が, 「缶 のよう な 形.」 「ピ ラミ ッ ドの よう な 形‐一 な ど イメ ー ジは でき てい たよ , う である. シ ルエ ッ トクイ ズ の 後, どう いう 順序 で 立 体作 り に取 り 組む かを 決め さ せ た ほ と ん どの 子 が ばら ばら で ‐ あ っ た が,. .①→②→③→④→⑤→⑥ (5人) ・③→①→④→②→⑤→⑥ (4人) など, 共通するものも見られた‐ 学級全体で見ると, 8割の子どもが③ (直方体) から取り組み 6割の子 , が, 柱体のあと錐体を作るという傾向が見られた‐ これは, 直観として持った立体のイメージを 構成要素 , という窓を通 して見つめ直し, 仲間 (柱体・錐体) にわけ, 考察しようという子どもの論理立てた考え方の 一 端 である 考え ら れる‐ こ の こ と が, こ の 後の立 体の 製作 な ど にも 反 映 してく る‐. 授業後, 改善点を考えてみると, 223.

(11) . 大久保和義・山本哲雄・榊原ますみ・斎藤美幸・島貫 静・庄司緋佐子・野津亜子・森井厚友. ・ 「真 上, 真 正面 か ら見 た 形」 という 言葉 が子 ども にイ メ ー ジ しにく か っ た た め, 具体物 を用 い て例 を示 す とよ か っ た‐. ・見取り図の正確さをどこまで追求するかはっ きりしておくべきであった. ・頭 の 中 でイ メ ー ジす る こ と と, 見 取り 図 にかく こ と は 質的な 違 い がある‐ そ れを どのよう に見 と っ て 子 ども に返 して い け ばいい か‐. などがあげられた. しかし, 単元の導入に視覚, 触覚を通して立体のイメージを持ち, 自然にその構成要素 に目を向けさせる手だてを取ることは, 単元を通しての論理的思考力の育成に関して大きな効果を与えるも の と 考 え ら れる‐. 〈実践例2. 2年 「はこの形」〉. 1‐ 育 て たい力. この単元では, 直観的に, 直方体 (はこの形) や立方体 (サイコロの形) の概念をとらえるとともに, そ れ らの 違 い に気 づ く こ と がで きる よう に したい‐ ま た, 展 開 図 を見 て, そ れを 組み立 てる と どん な立 体 にな る の か大 ま か に と らえる こ と がで きる よう に したい.. さらに, これらの直観をもとに思考を深め, 以下のような論理的思考へ導いていきたいと考える‐ ① 構成要素である面の形に着目して, 直方体や立方体の違いを明らかにすることができるとともに, そ れらの立体の展開図を見分けることができる. ② 構成要素である面, 辺, 頂点に着目して, 立体の性質を明らかにできる‐ 展開図を考察して, 面と面の位置関係を明らかにすることができる. これらの直観と論理を導くために, 以下のような単元構成を工夫した‐. ③. 2. 単元構成 (8時間扱い). 時. 子どもの思考の流れと教師のかかわり. 」 l. ” なかよしロボッ トをつくろう. か っ こい い ロ ボ ッ トが作 り た いな 作る ため に は、 はこ がいる ね. かざりにおり紙やテープもいるね うちからはこをさがしてこよう. ①と②と③はちがうね。. ① は 頭 の は こ だ。. ①は正方形が6つつながっ. だって、 正方形ば. て い る よ。. かり だか ら…. ②は正方形が2つあって、. ②は足かな?手か. 真ん中に長方形がついてい. な?正方形がある. る よ。. ③は長方形だけがつながっ. し、 横は長い正方 形だから…. ている。. ③ は足 の は こ だ。. 正方形がないし、 2. 全部長方形だから. 曇禦寡そ ぎ繁翌 , ①. ②. 作 っ てみ た ら わ かる よ ⑧. 圭三 キ 郭 - - - - ー 224. 組み立てて、 確かめたいな … 組み立ててたしかめてみよう l. はこ がで き たl よ そう が当 た っ たよ。.

(12) . 算数科における直観と論理的能力の育成. で き た はこ は3つ とも. ① はさ い ころ の 形. やっ ぱりちがうね。. に似ているね. で き たせ っ けん ばこ 形 を. ②ははみがきこの. ロ ボ ッ トの 手 に しよう. はこ にそっくりだ。. どう たい になる はこ が. ③はせっ けんの入. た りな い な. っ ていろ は この 形. つ ばさ もつ けたい な. だ。. も っ と大 き いロ ボ ッ トが つ く り たい な. ほ か にも も っ とち がい. がありそうだ。. ひみつを見つ けたよ!. はこをあっ ” かざりも… つ;;はこを ii は こを ” つ くろう きつけよう… めよう. i. … … … …. ひみつ、 大 は っ けん!. 面の数や形は. 向かい合う面は 辺の数は. 頂点の数は はこの形に名前をつけ よう. や っ ぱり だ ! ロ ボ ッ トカミか んせrい したよ. 面 は・ ・. 辺は. . … …. 頂点は. = さ い ころ 形、 はみ がき こ 形、 せ っ けん ば 1 = こ 形 の はこ がで き た! 見 つ けた ひみつ をま とめよう. 単元をふりかえろう 4. いよ い よ、 ロ ボ ッ ト作り だ!. 辺 は…. 面 は…. 頂 点 は…. 2‐ 単 元 構成 にあ た っ て. 〈展開図からの導入〉 ロ ボ ッ ト作 り をする にあ た っ て は, いく つ かの 箱 が必 要 にな っ て くる. しか し, な かな か思う よう な箱 が 見 つ か ら な い とい う の が実態 であ っ た‐ そこ で, 単元 の 導入 に, ロ ボ ッ ト作 り にあ た っ て必 要 な立 体 を 自分. で作るために 「立体は どう や っ て作れ ばよ いのか」 「(いくつかの展開図とそれを組み立てた立体を提示し て) この展開図からどの立体ができるのか」 という展開図を考察する活動を行うことにした‐ この活動をす る意図として, 以下の点を考えた. ①. 立体図形が平面図形からできていることを意識するとともに, 念頭で立体を想像することにより空間. 概念を養う基礎となる経験をすることができる‐ ② 展開図から, 組み立ててできる立体図形を予想した後に, その根拠を問うことによって, 構成要素で ある 面 の 形 に着 目 さ せ た り, 「正 方 形 が 6 つ あ る か らサイ コ ロ のよう な こ の箱 が で きろ‐一 「長 い 長 方 形. があるからせっ けん箱のようなこの箱ができろ.」 などのような筋道だっ た考え方を導いたりすること ができる‐ すなわち, 図形を予想するという直観から筋道立っ た考えへの思考の深まりが期待できろ‐ ③ 単元の中の小単元の中で展開図を扱うより, 子どもの問題意識の連続がはかれるととも に, 必要な箱 225.

(13) . 大久保和義・山本哲雄・榊原ますみ・斎藤美幸・島貫 静・庄司緋佐子・野津亜子・森井厚友. を作る際に, 展開図を描いてから作ろうとする態度を身に付けることができる‐ <予想できない子への手だてとして> ただし, その際に展開図から組み立ててできる立体図形を予想できない子どももいることが考えられる. そこで, 本単元では, その立体図形を組み合わせて作っ たロボッ トを事前に提示して, 目に触れさせておい たり, ロ ボ ッ トを 組み立 て て遊 ばせ る な どして十 分 に手 で触 れさせ てお いた り した‐ ま た 予 想 でき な い と ,. きにそばで見たり触ったりできるよう に, グループごとに立体図形を与えることにした‐ 〈操作活動 (箱を切り開く, 展開図を組み立てる, ロボッ トを作る) を単元の中心に据えて〉 低学年の子どもは, 体験がもとになっ て思考力や判断力, 表現力が高まっていく. 立体を集めたり, さわ ったり, 作ったり, 切ったりするなどの具体的操作活動を十分にすることによって, 立体図形の概念が形成 さ れていく. そ こ で, 単元 の 導 入 時 に 「こ れか ら箱 を 組み 合わせ てロ ボ ッ トを作 っ てい こう」 と子 ども にな げか け, 学. 習内容の見通しを持たせるとともに, 9時間扱いの単元の中で, 5時間をロボッ トを作る (箱を集める, 作 る, 組み合わせる, 飾る) 活動をすることにした. また, 思うような立体がないことから 「箱を作るために 『箱の作り方』 を調べよう」 と, 実際の箱を切り 開く活動をしたり, いくつかの展開図から提示したどの立体ができるのか予想した後, 実際に展開図を組み 立てて自分の予想を確かめる活動をしたりすることにした‐ その意図と して以下の点を考えた. 単 元 の 導 入 に 「ロ ボ ッ トを作る」 と いう 意 識 を 子 ども 達 に持 たせ る こ と によ っ て, 「ロ ボ ッ ト作 り に. ①. 必 要な箱 を集 め よう」「あ んなロ ボ ッ トを作ろう」「こ の 形 の箱 はロ ボ ッ トの こ の部 分 に使 おう」 な どと,. 子ども自身が見通しを持って主体的に活動することができる‐ ②. 実際に切り開く活動をすることによっ て, 立体は切り開くと平面になることや, いくつかの平面図形 が組 み 合 わさ っ て で き ている こ と に気付 く.. ③ 展開図を組み立てて予想を確かめる活動をすることによって, その根拠となった図形の構成要素に着 目しながら立てた考えを確かにするとともに, 考え を 深める こ と がで きる‐. ④. 立体図形の性質を調べた後にロボッ トを作る活動を十分にすることによっ て, 発見したその性質の理 解を具体的操作活動によって確かなものにし, 図形概念を豊かにしていくことができる‐. 3. 子どもの姿から. 〈展開図を考察する活動 (1・2時間目) から〉 =. … 箱の作り方を調べよう. =. 箱の作り方を調べる場面では, 展開図を組み立てて辺にテープを貼っ た立体を子どもに提示して, 調べさ せ て い っ た. 箱 の 中 味 を調 べ たり, 「厚 紙 の 上 に色 紙 を貼 っ て いる.」 「テ ー プを使 っ て いる‐・ な ど材 料 に目 が向 い て しま っ た 子 ども も い た が, ほ と ん どの 子 ども は, はさ み を使 っ たり テ ー プを は が したり して 辺 の と こ ろ を切 り 開き, 一 枚 の 平 面 図 形 に して い っ た‐ そ して,. 枚の画用紙 (平面) から箱 (立体) ができるこ. と に気付 い てい っ た‐ 中 に は, 切 り 開い た図 が長 方 形4 枚 と正 方 形2 枚の つ な が っ たも の であ る とい っ た,. 立体図形の構成要素である面の形にも気付く子どももいた‐. 226.

(14) . 算数科における直観と論理的能力の育成. …. …. … どの箱ができるかな?予想してみよう … し 」 ‐-- - - - - - - - - - -…- - --- - - - - - - - -…- - --- - - - -…=- -. 提示した展開図と立体 (見本のロボッ ト). ①. 授業を始める前までは, 展開図から立体を予想することは子どもにとって困難なことだろうと思われた. しか し, こ の場 面 にお い て は, 即 座 に全員 の 子 が正 しい 図 形を予 想 する こ と ができ て い た. そ して そ の予 ,. 想の根拠をノートに書かせたところ, どの子どもも, 直観で答えた自分の予想を裏付ける根拠を 「①は~だ か ら‐」 と 絵 や 文 章 で 表 現 する こ と が で き た. ま た, ほと ん どの 子 ども が 「① は 全部 正 方 形 だか ら 」 「② は .. 正方形と長方形だから一 「③は長方形でできているから」 とそれぞれの立体の面の形に着目していた‐ また, 念頭操作で平面図形を立体図形に組み立ててできあがる立体を予想している子どももいた‐ このように, 展開図を考察する活動を通して, 子ども達は図形の構成要素 (面の形や数) に着目していく と とも に, 念頭 操 作 にす る こ と によ っ て 空 間概 念 をつ か んで いく こ と が で き た. ま た 直 観 で予 想 した も の , の 根 拠 を 低 学年 な り に 「~ だか ら~ だ‐一 と いう よう に筋道 立 て て 考え て いく こ とも でき た.. この授業の後, できあがった3つの立体図形 (立方体, 直方体) を比較しながらそれらの構成要素に着目 しながら性質調べをした後, それらの立体図形の特徴を捉えながらネーミングしたり, 自分がどんな箱 を使 っ て どんな ロ ボ ッ トを作 り た い か計 画 を立 てた り した. 子 ども の感 想 か ら は, ロ ボ ッ ト作 り に意 欲 を持 っ て. いる様子や, 展開図を使っ て箱を作ろうとする様子を読みとることができた‐. V‐ まとめと今後の課題 はじめ にでも書いたように, 算数・数学科教育での大きな目標の1つに 直観力 論理的な思考能力 の育 , , 成 が掲 げら れて いる. 昨年, 日 本 数 学 教 育 学 会 の 全 国大 会 での シ ン ポ ジ ウム (パ ネ ル ディ ス カ ッ シ ョ ン) -. 50年の回顧と算数・数学教育の展望-である民間のパネリストが, 現在の社会は確実に学歴偏重から主体性 のある発想豊かな人材が求められているという話があっ た‐ この発想が豊かな人間を育成する1つの方法と して, 学校教育で直観力, 創造力, 論理的な思考力が重視され, 算数教育の目標と しても掲げられている ‐ 直観力とは, 物事を考察する際, その考えの結果, 方向性を見通す力 に他ならない. その見通したことは必 ずしも鮮明なものではないかも知れないが, しかし, 考えていくことに何らかの明かりをともしてくれるこ とにはまちがいがなかろう. その見通しのもとに, 子どもは今までの自分の経験 既習の学習内容 方法等 , , を駆使して新たな問題の解決を目指すことになる. 本論では小学校低学年, 高学年2つの図形領域の実践を通して, 直観力, 論理的な思考力 の育成に関する 研究を行っ てきた‐ 低学年では実践例を見ても分かるように, できるだけ具体的な活動 (ロボッ トの近くで 227.

(15) . 大久保和義・山本哲雄・榊原ますみ・斎藤美幸・島貫 静・庄司緋佐子・野揮亜子・森井厚友. の観察, ロボッ トの作成等) を通して, 図形の認識は構成要素によっ てされていくことの素地指導がなされ る.. この実践では, ロボッ トを構成している部品を通して, 子どもが直観的に認識できる箱の違いをどのように 表現できる (立体の構成している要素の何に目を向けるか) を学習する場面と考えられるが, 実際に箱を展 開したり, ロボッ トを作成する経験を通して, 面, 辺を意識したり, それらの間の関係について理解を深め ていく こ と になる. 高 学年 で は, こ の 実 践 か らも 分かる よう に, 柱 体, す い 体の 学習 である. 立 体の いく つ かの シ ルエ ッ トを提. 示しその図形を予想することから導入しており, より抽象的な思考活動がなされている. シルエッ トを通し て図形の構成要素に着目することが必要であるが, 直観的にその図形を予想したことを, 自分の言葉で表現 することを通して論理的な考えが育てられる‐ 図形の見通しがもてない子への手だてとして, 実際にその図 形にふれさせる活動をさせているが, この活動は面の形, 数, 辺, 頂点等の構成要素を認識し, その図形を 理解する意味で重要である‐ また, その活動が展開図を書いたり, 立体を作成したり, 図形間の考察をする と き に反 映 さ れて いる.. 今後の課題としては次のことが考えられよう. 1つ目には, 私たちは, この5年間問題解決における見通しの役割, 育成について研究を進めてきた. 2章に も書いたように, 見通しをかなり広い意味でとらえ, 直観力をある意味で見通しに含む形で考えているが, )のように直観力に見通す力 を含む考え方もある この点に付いて 今後研究を深めることも 一方, 清水氏3 . , 必要と考える. 2つ目には, 今回の実践でも直観的にとらえた考えを, どのように論理的な考え方につなげるかの手だてに つ い て は配慮 さ れて いる が, ま だ十 分 と はいえ ない. この 点 に 関する 実践研 究 を 積 み 重 ねる と とも に, 子 ど. もの直観力, 論理的な思考力を高めも指導の手だてについても研究を深めていきたい‐. 参考文献 8 19 3 ) (1) 小学校算数指導資料 図形の指導, 文部省 ( 89 19 ) (2) 清水静海他 改訂小学校 学習指導要領の展開 算数科編, 明治図書 ( 198 9 ) (3) 清水静海他 論理的な思考力や直観力を育てる, 明治図書 ( 1990 ) (4) 小学校算数指導書 文部省 ( (5)大久保 和義 他 算数教育における見通しの研究(1) ,(5) 北海道教育大学紀要(第1部C) ,(2) ,(3) ,(4). 第42巻( 199 1 ). 1995 ) pp ) pp 1994 ) pp 1993 ) pp 1992 .81‐96 pp .231‐245 , 第46巻 ( .185-202 .285‐300 , 第45巻 ( ‐167‐181 , 第44巻 ( , 第43巻 (. 95 ) 7巻 ( 19 (6) 戦後50年の算数・数学教育, 日本数学教育学会誌, 7. 228.

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