IT化と新聞
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(2) ■ 松村 由利子 歌人. 1960 年 福 岡 生 ま れ.1986 年 毎 日 新聞社入社.2006 年からフリーラ ンスに.歌集に『大女伝説』(葛原 妙子賞),『耳ふたひら』など.評 論『与謝野晶子』で平塚らいてう賞, エッセイ集『31 文字のなかの科学』 で科学ジャーナリスト賞を受賞.. 「新聞沙汰になる」が脅しとなるかぎりまだ新聞は健在である 松木 秀『親切な郷愁』(2013 年) 「新聞はとるのやめたの」親指と人差し指で画面広ぐる人 水上比呂美『潤み朱』(2014 年) 紙の新聞を読む人は減り続ける一方だ.上記のような歌が作られているというのは,もう かなり状況が厳しいことを意味する.新聞社で働いた身としては,ため息まじりに「画面広 ぐる人」の指先を眺めるしかない. 「新聞沙汰」という言葉も,すでに死語になっているよ うな気がする. しかし,技術が変化し続けても,一人ひとりの記者が現場で取材して一次情報を得るとい う報道の基本は変わらない.この最も人間的で手間のかかる行為さえ守り続ければ,メディ アとして生き残れると信じたい. 情報は生きものである.世の中にはディジタル化されていない情報が山のようにあり,そ れをつかみ取るのは人間にしかできないことだ.一人の人間の中には言語化さえされていな い多くの情報がしまい込まれている.それを引き出すのが記者の仕事である. メディアの数は多ければ多いほどいい.その多様性は,最新のデバイスを使えばすべての 情報が瞬時に得られるような錯覚を正してくれるからだ.現在の新聞のビジネスモデルは日 露戦争のころに確立したと言われ,すでに 100 年以上が経過した.時代に対応した新しい「新 聞」の形はきっとあるはずだ.. 情報処理 Vol.57 No.3 Mar. 2016. 巻頭.
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