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健康文化 46 号 2011 年 10 月発行 1 巻頭言

東日本大震災に思う

佐々木 教祐 今年3月11日、宮城県沖を震源として M9.0 の大地震が発生した。その地震 に伴って起きた津波によって岩手、宮城、福島県の沿岸が大きな被害を受け、7 月 5 日現在、死亡者は 15,534 名、不明者は 7,092 名である。震災後 100 日以上 経過しても不明者がまだ 7 千名を超えていることが震災の大きさを物語ってい る。津波の後の写真を見ると大きな船まで陸地深く運ばれ、伊勢湾台風のとき 貯木場の木によって被害が拡大したことを思い出させる風景であった。地震に 伴って海岸近くで地盤が大きく沈下し、海水がたまっているところも出ている。 また、液状化現象で地盤が沈下し、マンホールが隆起したところもある。埋立 地では地盤が動き亀裂ができたところも少なくない。過去の明治・昭和の三陸 地震による津波で被害に遭い、住まいを高台に移した集落の 7 割が今回の津波 で被害に遭ってしまったという。地震対策をもう一度考え直す必要に迫られて いる。 それに加えて福島第一原発事故による放射性物質の飛散が震災からの復興に 深刻な影響を与えている。すべての電源が喪失した時への対応の準備がなかっ たこと、水素爆発を止められなかったことなどが事故を大きくしてしまった原 因のようだ。「原発は安全だ」と言っているうちに、忘れてはならない、起こる 確率の低い事故に対する備えを無視してしまったのではないか。原発のような 重大な影響を及ぼす事故に対して、あらゆる事故を想定して準備しておくとい う基本的なことが忘れられてしまったのだろうか。今後長い年月にわたって放 射性物質との戦いを続けていかなくてはならない。 東北地方では、平泉の中尊寺を中心とする寺院と庭園が世界遺産に登録され るなど明るい話題もある。色々なものが不足している中で辛抱強く、復興が進 み始めている。運よく災害に遭わなかった人々も、各自ができる方法で復興に 協力している。助け合いで復興を進め、さらに住みよい日本をつくっていきた いものである。 (名古屋大学名誉教授)

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