In this paper, we suggest that students should improve the
visibility using a microscope with one bead as an eyepiece out of
the six bead-eye pieces. We attach six pieces of glass beads to a
microscope to develop the probability of viewing range
through our hand-made microscope. At first, we drilled about six
holes on the back side of the lid of the body of an aluminum
bottle. As a result, focal length of the glass beads are changed and
it has enabled us to be able to view a sample by six kinds of
magnification. Next, a vinyl plate of about 33mm in diameter is
firmly fixed to the lid of the body of the aluminum bottle with
tape. The sample is widely placed and the sample is prevented
from shifting or removing. Finally, the holes are attached from
shifting or removing. Finally, the holes are attached to the six
pieces using a small amount of adhesive and the glass beads
are firmly fixed. As a result, the sample does not fall out.
アルミボトルを用いた改良型簡易顕微鏡
田 口 功
An Improved, Simple Microscope
Made from an Aluminum Bottle
Isao TAGUCHI
1. はじめに
ゆとり教育を経て、ものづくり教育が理科離れを防ぐための一方法とし て位置付けられつつある。 理科の授業でよく使用される顕微鏡の、子どもたちの理科に対する興 味・関心を引き出す簡易な教具はそれほど多くないのが現状である。簡単 で、小学生でも作成可能であって、材料費がかからなく、しかも、材料が 手に入りやすい簡易顕微鏡があれば、学習意欲が高まることが期待される。 現在は、さまざまな顕微鏡の「ものづくり」がインターネットに掲載さ れている。しかし、それを参考にして作成を試みると問題点も多い。簡単 に作成できるが、すぐに壊れてしまう場合もある。ペットボトルの裏にガ ラスビーズをセロハンテープで張り付けているが、フタの材質によっては、 きれいに張り付かないためにうまく動作しない場合や、試料が見えにくく なってしまうという問題点もある。 本研究では、3 個の問題点を解決するための改善方法を考えた。簡単に できて、しかもよく見えることを第 1 に考え、簡易顕微鏡の開発を試み、 その結果、見える確率が向上したことを、ここで報告する。2. 簡易顕微鏡の原理
2.1 明視の距離
ものを詳しく見ようと思ったら、できるだけ目を近づけたほうが大き く見える。しかし、近づきすぎると、目のレンズのピント調節ができず2.2 虫めがねの倍率
虫めがねの倍率は、図 1 のように虚像を明視の距離に結ばせて、その像 の大きさと物体との大きさの比率で定義される。式的には、物体とレンズ の中心との距離を a、a と虚像との距離を b、試料の大きさを d、焦点距離 を f とすると、一般的には、 という関係式が成り立つ。ここで、b + f = D の関係を考慮し、倍率を m とすると、m = となり(図 1 の相似関係から)、レンズの 焦点距離と明視の距離によって決定されることがわかる。すなわち、虚像 ができて、しかもその虚像は通常の場合、レンズの中心から 250mm のと ころに像を結ばせるように焦点距離を考慮しながら像ができれば、そのレ ンズの倍率を最大限に生かせることができるということになる。2.3 ガラスビーズ顕微鏡の焦点距離と倍率の関係
ここで、球状のガラスビーズレンズの焦点距離と倍率の関係を考える。 屈折率を n、焦点距離を f、図 2 の R1 および R2 は、O を中心として、左側 にある場合は正、右側にある場合は負となる関係にあることに注意する。 よく知られている一般式は、 図 1 虫めがねの倍率 D f e d a b fとなる。一般的に使用されている凸レンズの場合では、R1 と R2 は、球 の直径より十分大きいことで、第 2 項が無視されるが、球状のガラスビー ズレンズの場合では、分母が小さいために無視することができない。ここ で、d = 2r、R1 = r、R2 =− r を代入すると、 となり、さらに整理を行うと、 となる。したがって、(2−4)式の左辺、右辺の逆数をとると、球状のガラ スビーズの焦点距離 f は、 となる。例えば、実験で行っているガラスビーズの焦点距離は、ガラス の屈折率 =1.5 とすると、(2−5)式から f =1.5r となる。すなわち、実際に 使用しているガラスビーズの直径を 2mm とした場合、半径は 1mm となる ので焦点距離は、ガラスビーズの中心から図って 3mm となる。すなわち、 虚像ができる試料とガラスビーズの関係は、図 3 のようになる。 この式から、直径が小さければ小さいほど、球体の表面から焦点までの 距離は小さくなる。倍率は、明視の距離 250mm をレンズの焦点距離 f で 割った値となるので、倍率を m とすると、m = を計算して、約 167 倍 となることになる。(2−5)式は、ガラスビーズ顕微鏡の倍率を求めるうえ で重要な式といえる。
図 2 ガラスビーズ顕微鏡の焦点距離 f 2mm R2 O R1 焦点 光の入射方向 球の直径 焦点距離 f 図 3 ガラスビーズ顕微鏡の焦点距離(直径 2mmの場合) f 焦点 f 焦点 虚像を作るための 試料をのせる領域 2mm 1.5mm 1.5mm 0.5mm
3. 顕微鏡の作成
図 4、図 5 は、本簡易顕微鏡作成に必要な材料や使用した器具を示した 写真である。3.1 道具材料
アルミボトル、アルミボトルのフタ、アクリル板、透明なガラスビーズ (約 2 ∼ 3mm)、カッター、ハサミ、画鋲または千枚通し、ポンチ、セロハ ンテープ、絶縁テープ、ピンセット、カミソリの刃、玉ねぎ、つゆくさ、 図 5 玉ねぎ、ハサミ、セロハンテープ、絶縁テープなど 図 4 ペットボトルやアルミボトル、千枚通しなどかなづちなどが、図 4、図 5、図 6 に示されている。
3.2 従来の簡易顕微鏡の作り方
3.2.1 従来のアルミボトル顕微鏡 a. アルミボトルのフタにガラスビーズの直径よりも小さい穴をあけ、ガ ラスビーズがフタの底に収まるようにする。フタの内側の穴にガラ スビーズを取り付け、セロハンテープで固定する。図 7 は、ガラスビ ーズがアルミボトルのフタの裏に固定されている様子である。 b. アルミボトルを口から数 cm のところを切って、切り口にセロハンテ ープまたは絶縁テープを貼り、台とし、怪我のないようにする。図 8 は、ガラスビーズがアルミボトルのフタの裏に 1 個固定されている様 子である。図 9 はペットボトルの切り口に絶縁テープを貼った様子を 示している。 c. ペットボトルを用い、ハサミで 10mm × 20mm くらいの長方形を切 り取り、これを「スライド」として使う。図 10 は、スライドに試料 をのせ、セロハンテープで固定した状態を示している。 3.2.2 改善を試みたアルミボトル顕微鏡 アルミボトルのフタにガラスビーズの直径よりも小さい穴を 6 個あけ、 ガラスビーズがフタの底に収まるようにする。フタの内側の穴にガラスビ ーズをのせて、接着剤で固定する。また、その時用いたポンチを図 11 に 図 6 つゆくさ図 7 フタにガラスビーズを取り付け、セロハンテープで固定した様子
図 8 アルミボトル顕微鏡
(アルミボトルの口から数cmのところを切って、切り口に絶縁テープを貼った様子)
図 9 ペットボトル顕微鏡
図 10 アルミボトルの上にセロハンテーブで 固定したスライドをのせた状態
図 11 アルミボトルのフタにポンチを使って穴を 6 個あけたもの
図 13 6 個の穴をあけ接着剤でガラスビーズをとめた様子
図 14 アルミボトルの口から数cmのところを切って、 切り口に絶縁テープを貼った様子
図 15 アルミボトルの本体に広く試料をのせる工夫をしたもの(左側)、 その上に試料をのせセロハンテープで止めたもの(右側)
示し、図 13 は、6 個の穴をあけた場所に接着剤を用い、ガラスビーズをと めた様子を示している。さらに、アルミボトルを口から数㎝のところを切 って、切り口にセロハンテープまたは絶縁テープを貼り、怪我のないよう にする。 試料ののせ方に対しても広い範囲に試料が取り付けられるように、アル ミボトル本体の口よりほんのわずかに大きい円をコンパスで描き、ハサミ で切り抜き試料をのせられるようにした。その様子を、図 16 に示してい る。アルミボトルの本体に広く試料をのせる工夫をし、試料を広い場所に のせてセロハンテープで止めた状態(左および中央)、右はアルミボトルの 本体に何も取り付けていない様子である。
4. 実験方法と観察結果
4.1 実験方法
試料の取り付け方法を以下に示す。 ①玉ねぎの内側にある薄い皮を縦横 4 ∼ 5mm 程度にカミソリを使って 切ってからピンセットではがす。 図 16 アルミボトルの本体に広く試料をのせ、 セロハンテープでとめた状態(左、中央)と、 何も取り付けていない状態(右)②円形スライド面に、はがした玉ねぎの皮を広い範囲にのせ、セロハン テープを上から貼り付け、固定する。 ③顕微鏡を蛍光灯など明るい方向を向いて、ペットボトルのフタをしめ ながらピントを合わせる。 *注意として、顕微鏡を使って、太陽を見ないこと。細胞や気孔などが 見えたら実験は成功である。
5. 観察結果
5.1 観察例
図 17 は、アルミボトル顕微鏡を用いてデジタルカメラで撮った玉ねぎ の表皮細胞例である。また、図 18 および図 19 は、同じくデジタルカメラ を用いて撮ったつゆくさの観察例である。 図 17 アルミボトル顕微鏡を用いて見た玉ねぎの表皮細胞例16. おわりに
本論文では、従来のペットボトル顕微鏡や、1 個のガラスビーズを用い たアルミボトル顕微鏡の欠点を改良し、手作り顕微鏡の見える確率を向上 させることを行った。主な改良点を以下に述べる。 1. 2 ∼ 3mm 程度のガラスビーズをアルミボトルのフタの裏側に 6 個取 り付けられるように穴をあける。例えば、実験で同じような玉ねぎを 配置した場合、ガラスビーズの直径とあけられた穴の大きさで、試料 とガラスビーズの距離がわずかに変化し、倍率は焦点距離と明視の距 離で決定されるために、それぞれ少しずつ変化し、6 種類の倍率で見 図 18 改良型アルミボトル顕微鏡を用いて見たつゆくさの細胞例 1 図 18 改良型アルミボトル顕微鏡を用いて見たつゆくさの細胞例 2ることができる。 2. アルミボトルの本体に直径 33mm 程度のビニル板(厚さ 0.2mm 程度) をテープでしっかりと固定し、試料が広くのせられるようにする。広 い範囲に試料をのせることができるとともに、試料がずれたり取れた りすることがなく安定する。 3. 6 個の穴は、接着剤を少し使いガラスビーズを固定するため、セロ ハンテープのように取れてしまう場合がなくなる。フタの表側からあ ける場合、従来から行われていた裏側からあける場合、と変化を加え、 倍率の組み合わせを多く取り入れ、倍率変化を利用し、見える確率を 高めた。 以上 3 項目の改善により、従来のペットボトル簡易顕微鏡に比較すると、 失敗が少なく、対象物がよく見える簡易顕微鏡として使用できるようにな った。 (参考文献) (1)加恵田庸子他「紙コップを使用した顕微鏡作成と授業実践」『北海道教育大学 紀要』、2009 年、29―31 ページ。 (2)九十九絵理他「興味関心を高める理科授業実践」『学校教育実践学研究』第 13 巻、2007 年、179―184 ページ。 (3)田口功、庄子莉奈「アルミボトルとガラスビーズを用いた簡易顕微鏡の作成」 『敬愛大学国際研究』第 30 号、2017 年、25―34 ページ。