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電子資料の長期保存に向けて

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Academic year: 2021

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(1)電子資料の長期保存に向けて 後藤敏行 1.はじめに いまや電子資料は膨大な数に上り、学術、行政、商業など様々な分野において欠かせな いものとなっている。よって、それらを長期にわたって保存するということは、将来の世 代が過去の記録を用いて諸分野の活動を遂行するために、あるいは文化遺産としての電子 資料の継承という意味でも、社会にとって重要な課題であろう。 実際、この問題には大きな関心が寄せられてきた。例えば米国の保存・アクセス委員会 (CPA, Commission on Preservation and Access.現在のCLIR, Council on Library and Information Resources)と研究図書館グループ(RLG, Research Libraries Group)によ る 1996 年の調査報告書(以下「96 年報告書」)1はその後の諸研究の礎石となった重要な文 献である。また、OAIS(Open Archival Information System)参照モデルというISO規格 (ISO 14721:2003)も存在し、多くのプロジェクトにディジタルアーカイヴ構築のための 概念や用語を与えている 2。 しかし現在のところ、われわれは上の課題が抱えるすべての困難を克服したわけではな い。未解決のまま残されている問題も少なくないのである。そうした事柄を、諸研究の軌 跡を跡付けながら明らかにすること。加えて、この先われわれが採りうる戦略を示すこと。 これらが本稿の目的と言える。 ここで二つの用語の意味を定めておきたい。ひとつめは「電子資料(electronic material, electronic resource)」について。これは「情報の蓄積、流通に電子的なメディアを用いた 資料 3」全般を指すものとする。以下では「ディジタル資料(digital material)」というこ とばも出てくるが、さしあたり同一視する。 ふたつめは「長期」について。これを、その間に電子資料の媒体やデータフォーマット などの技術が変遷するほどの期間と定める 4。それゆえ、われわれには電子資料の長期保 存に向けて、技術が変遷しても資料の内容を損なわず、かつ資料へのアクセスを保障する 戦略が必要となる。そうした問題から本論をはじめよう。 2.技術の変遷と戦略 まず、諸技術が変遷することの何が問題なのかを、電子資料の特性をも踏まえつつ、や や詳しく確認したい。その上でエミュレーションとマイグレーションという二つのアプロ ーチについて検討する。 2.1 媒体の短命さ、技術の陳腐化 電子資料を長期保存しようとする際、まず問題にされるのは媒体の短命さである。電子 情報を記憶する媒体は従来の印刷物よりも総じて寿命が短い。良好な環境下でさえ、資料 の生産から数十年以内に情報にアクセスできなくなってしまう 5。 しかし、たとえ媒体そのものが物理的に使用可能な状態であっても、時が経つにつれて 諸技術は変遷し、資料に使われていたフォーマットやソフトウェア、ハードウェアが時代 遅れの(obsolete)ものとなる。その結果、資料が作成された当時のシステムと現行のシ.

(2) ステムの間で互換性が失われてしまう。この問題に対応できなければ、たとえ媒体そのも のを残せてもその中の情報にアクセスすることが不可能となる 6。しかも、そのような変 化は数年という、媒体そのものの寿命よりもかなり短いスパンで進行する。それゆえより 深刻な問題として、われわれは技術の陳腐化(technological obsolescence)に取り組まな くてはならない。 初歩的な対応としては、技術が陳腐化する以前に資料の内容を印刷し、紙やマイクロフ ィルムで保存するやり方がある。しかし、それでは動画や音声が保存できない上、電子資 料の強みであるアクセスの利便性も大幅に制限されてしまう。よって、これは重要度や使 用頻度の低い資料を保存するための方策にとどまる。また、資料へのアクセスに必要なソ フトウェア、ハードウェアをみな保管し続ける方法も考えられるが、保存スペースを必要 とする、ハードウェアへ物理的にアクセスできなければ資料を利用することができなくな る、メンテナンスにコストがかかる、といった理由から、やはり長期の保存に有効なもの とはなりえない。 上記の問題に対する基本的アプローチと見なされるのはエミュレーションとマイグレ ーションである。 2.2 エミュレーション エミュレーションとは、エミュレータと呼ばれる特殊なソフトウェアを用いて、もとの ソフトウェアからの命令を新たなプラットフォームで実行する技術である。 図 1 はその概念図である。等号は保存されたディジタルオブジェクトが同一のものであ ることを、矢印は時間の経過を、そして丸囲みの数字は構成要素間のインタフェースを表 す(①はもともとのディジタルオブジェクトの動作に必要な API(Application Program Interface)であり、時間が経過しても同一のものが使われる。)。 旧来のプラットフォームが陳腐化した後、エミュレータ 1.00 は保存されたディジタルオ ブジェクトを現行のホストプラットフォーム 1 上で実行する。その後、時間の経過と共に ホストプラットフォーム 1 も旧式化した場合、エミュレータ 1.00 の更新版のエミュレー タ 1.01 によって、新たなプラットフォーム 2 上で同じディジタルオブジェクトが実行さ れる。このようにして、エミュレータさえ開発できれば、プラットフォームが変遷しても われわれは電子資料の内容をもとのままに作動させることができる。 なお、エミュレーションの経済性を高める上で重要なのがインタフェースの設計である。 例えば②が永続的に利用できるものであるか、あるいは②と③で修正箇所が少なければ、 更新版のエミュレータも変更点が少なくなり、経済的に優れた電子情報の保存が可能にな る 7。 エミュレーションの利点は、変換をせずにもともと符号化されていた状態でデータを保 持するので、資料の「見た目や感覚(look and feel)」をも保存することができる点である。 そのため、エミュレーションは特にマルチメディアの保存に対して有効であると言われる。.

(3) 保存されたディジタル. 保存されたディジタル. オブジェクト. オブジェクト. 1. 1. エミュレータ 1.00. エミュレータ 1.01. 2. 3. ホスト. ホスト. プラットフォーム1. プラットフォーム2. 図1. エミュレーションの概念図. 2.3 マイグレーション マイグレーションとは、現行の技術環境から別の技術環境へと情報を移すことによって 資料を保存していくやり方である。96 年報告書はそれを「あるハードウェア/ソフトウェ ア構成から別の構成への、あるいはある世代のコンピュータ技術から次の世代のものへの、 ディジタル資料の定期的な転送」8と定義した。以降、諸研究はマイグレーションの概念を さらに詳細化している。例えばOAIS参照モデルはそれを情報の損失が少ない順に、 Refreshment(リフレッシュメント)、Replication(複製)、Repackaging(リパッケージ ング)、Transformation(変換)の四種類に分類する 9。最初のものはある媒体を同種の媒 体と交換することであり、情報は完全にコピーされる。最後のものになると資料の内容情 報そのものに変更が伴う。 リフレッシュメントのように情報のコピーを新たな媒体に移すだけの場合を除いて、マ イグレーションにはデータのエンコードの変更が伴う。そのため移行後の情報は移行前と 完全に同一にはならず、時に情報内容が変化してしまったり、資料の見た目や感覚、ある いは機能性が失われてしまったりする。そうした点がマイグレーションの弱みである。 さて、移行先の技術環境も将来は陳腐化し、さらに新しいものへと再度マイグレーショ ンをする必要が生じる。そこで重要になってくるのが移行先の媒体やフォーマットの選択 である。例えば、互換性のあるフォーマットを使用すればマイグレーションにかかる煩雑 さを低減してコストを削減することができる。その点を考慮すると、プロプラエタリ (proprietary.ここでは「特定企業の製品に依存する」という意味で用いる)のものを選択 するのは得策でない。互換性の有無が市場原理に左右されてしまうからである。 反対に、標準化が進み、特定のハードウェアやソフトウェアに依存しないフォーマット には移植性があるため上記の点で利点があり、マイグレーションに適している。例として はXML(eXtensible Markup Language)を挙げることができる。XMLはインターネット の技術標準の策定を行うW3Cで検討されている技術標準である。コンピュータの扱うデー タとしては基本と言えるテキストデータとして記述されるため、特定の技術プラットフォ ームに依存する割合が非常に低く、将来も永続的な活用が期待できる 10。 2.4 実用に向けて 上のアプローチは両者とも未だ本格的な実用の域には達しておらず、各プロジェクトが 試験的運用を行っている段階である。方向性として考えられるのは、保存しようとする資.

(4) 料の特性に合わせて両者を使い分けることである。この点について、エール大学とエルゼ ビアサイエンス社による保存プロジェクト 11の以下の記述を引用しておこう。 電子ジャーナルのようなテキストベースのオブジェクトを保存する責任を負ったア ーカイヴは、マイグレーションのアプローチを採用しそうである。ディジタルオブジ ェクトの正確な複製やクローンを保存する必要があるアーカイヴは、将来、アプロー チとしてエミュレーションを用いることをおそらく選択するだろう 12。. 3.メタデータ 続いて保存のためのメタデータ(Preservation Metadata)の動向を鳥瞰したい。従来 電子情報のメタデータに関しては、情報を発見するためのものが多く関心を集めてきた(最 も有名な記述要素はダブリン・コアであろう)。一方、電子資料の長期保存の文脈でもメタ データはやはり重要視されている。まずその事情を概観しよう。 3.1 必要性 電子資料の特性のひとつに、出版後も内容が頻繁に改定されうるという点がある(オン ライン系のものは特にそうである)。それゆえその長期保存に際しては、資料の真正性や完 全性を保障するために、その改変の記録を資料と共にメタデータとして保持することが必 要になってくる。例えばそれが、保存のためのメタデータと呼ばれるものである。 OCLC(Online Computer Library Center)とRLGによるワーキンググループ 13は保存 のためのメタデータの目的を以下のとおり規定している 14。 (1)ディジタルオブジェクトのビットストリームを長期にわたって維持するための適 切な行動を取るのに十分な知識を保存の管理者に与える。 (2)アクセスする技術が将来変化してもアーカイヴされたオブジェクトの内容が解読 されることを保障する。 具体的にはどのような種類のものから成るのか、英国のCedarsプロジェクト 15を例にと ってもう少し詳しく確認したい 16。 3.2 具体例 CedarsプロジェクトはOAIS参照モデルに準じる形で、メタデータの階層構造を図 2 の とおり描いている 17。手短に解説をするなら以下のように言える 18。.

(5) Archival Information Package. Preservation Description Information. Content Information. Representation Information. Primary Digital Object. Reference. Context. Provenance. Fixity. Information. Information. Information. Information. 図 2 OAIS モデルにおけるメタデータの階層構造 (Cedars プロジェクトより許諾を得て転載). 内容情報(Content Information.保存の第一の対象とされている)と保存記述情報 (Preservation Description Information.長期保存のために必要なメタデータ)は合わせ て情報パッケージ(Information Package)と呼ばれる。それには三種類あるが、ここで 図示されているのはアーカイヴに保存された情報パッケージ(AIP, Archival Information Package)である 19。 内容情報はビットストリームで保存されたディジタル資源である 1 次ディジタルオブジ ェクト(Primary Digital Object)、およびそれから知的内容を取り出すためのメタデータ である表現情報(Representation Information) から成る。また、保存記述情報にはさら に四つの下位区分が付されている。以上から、AIP には五種類のメタデータが含まれるこ とになる。それぞれは次のような性質のものである。 ・表現情報:ビットストリームで保存された 1 次ディジタルオブジェクトから知的内容 を取り出すために必要なメタデータ。例えば、どのようにビット・シーケン スが記号に対応付けられているかを記述した ASCII 定義。 ・参照情報(Reference Information): 内容情報の識別子。例えばISBNやMARC 20。 ・コンテクスト情報(Context Information): 内容情報とその環境との関係についての メタデータ。 ・来歴情報(Provenance Information):内容情報の来歴についてのメタデータ。内容 情報の原形やその後の改変(マイグレーショ ンやエミュレーションの情報も含む)、あるい はだれが管理を担ってきたか、といった情報。 ・不変性情報(Fixity Information):内容情報の真正性を証明するためのメタデータ。 例えばチェックサムや電子署名。.

(6) 3.3 課題と可能性 エミュレーションやマイグレーションと同様、保存のためのメタデータも最終的なもの が確立されているわけではない。個々の保存活動に幅広く適用可能なメタデータ要素の策 定に加えて、実装に際しての戦略(例えば、メタデータをディジタルオブジェクトそれ自 身の中に組み込むか、あるいは別個に維持していくか)も開発の途上にある 21。効率的な メタデータ付与の可能性として、以下を指摘しておこう 22。 ・メタデータの共有。電子情報を保存しているアーカイヴ同士で、各々が保有するメタ データを共有する。 ・メタデータ付与の自動化。人間による判断が不要な項目について、データの付与をコ ンピュータで自動処理する。 ・資料の提供者の協力。例えば出版社が自身の出版物にメタデータを付与する。アーカ イヴはそれを利用することにより自らの負担を軽減し、かつ正確なメタデータを保持 することができる。. 4.結びに代えて‐組織論的課題‐ 技術的なテーマについてここまで論じてきた。だが、問題はそれに尽きない。保存にか かわる個々の主体がそれぞれどのような役割や責任を担うのか、という組織論的な課題が 残されている。 両者は別々の問題ではなく、交錯する。すなわち上で見た電子資料の特性、およびエミ ュレーション、マイグレーション、メタデータ付与の必要性は、保存にかかわる者たちの 役割や相互の関係について、方向性を示している。このことを指摘して本稿の締めくくり としたい。 4.1 作成者への期待 電子資料の長期保存のためには、資料を作成する側が保存に対して積極的に関与するこ とが求められている。例えばオーストラリア国立図書館は次のように発言している。 ディジタルオブジェクトへの継続的アクセスは情報の作成者や情報システムの設計 者、メーカー、出版社/ディストリビューター、そして情報の管理者やプロバイダー の協力にかかっている 23。 作成者たちが資料への継続的アクセスを促進するための最初の措置を講じない限り、 アクセスは失われてしまうか、もしくはアクセスの保存の責任を担う他の組織の能力 がひどく妨げられてしまう 24。 このような主張がなされる理由のひとつは、既に触れた技術の陳腐化の速さにある。 Cedars プロジェクトは事情を次のように述べている。 ディジタル資料は急速に陳腐化してしまう技術に依存しているため、その保存は(理.

(7) 想的には)作成の時点で、あるいはコレクションに加わるとすぐに考慮されなければ ならない。[中略]保存についての諸々の決定が遅れると、それらは結局実行するのが 困難になることがある(し、ほとんどの場合実際そうなるであろう) 25。 印刷物に比べて電子資料の保存には時間的猶予がない。保存を検討するのは資料の作成 時に近ければ近いほど望ましい。ならば、資料の作成者に、保存に関するまず初めの役割 を期待するのは自然な発想であると言える。 では具体的に作成者には何ができるだろうか。本稿で既に述べた事柄から例を導こう。 ・アーカイヴに資料を提出するときに、特定のハードウェアやソフトウェアに依存しな い、標準化が進んだフォーマットを使用する(2.3 参照)。これによりマイグレーショ ンの際、保存を担うアーカイヴが有利に資料を管理していくことができる。 ・可能な項目については、作成者自身がメタデータを付与する(3.3 参照)。これにより アーカイヴの負担が軽減され、かつメタデータの正確さも向上する。 作成者は以上のような役割を引き受けるだろうか、という疑念はすぐに浮かぶ。しかし、 著者は自らの著作が永くアクセス可能であることを望む場合が多いであろうし、出版社は 出版物への永続的なアクセスを求める読者の声を無視するわけにはいかない。それらを考 えれば、資料を作成する側にも保存のための行動を取る動機は存在する、と言っていいだ ろう。 4.2 公的アーカイヴの役割 資料を作成する側の積極的なコミットメントが期待されるとはいえ、保存を担うアーカ イヴの役割が減じるわけでは決してない。作成者のみが電子資料を保持するのなら、災害 や倒産といった事態は即資料が失われる危機に結びつく。また、商業的に利潤を生み出さ ない資料に対して作成者が保存に熱心でない場合も多いだろう。そうした情報損失の危険 に対していわば安全装置の役割を果たすため、公的アーカイヴには作成者と協議の上、資 料を受け入れてその後の保存活動を遂行することが求められる。 その際重要になるのが両者間の取り決めである。例えば次の事柄に注意する必要がある。 ・オリジナルの資料のマイグレーションやコピーについて。資料に対してマイグレーシ ョンを行う場合、オリジナルデータのエンコードの変更が伴う(2.3 参照)。それゆえ、 アーカイヴがマイグレーションを行う権利を持つことについてはあらかじめ合意が 必要であろう。また、オンライン系の資料について、それを複数のアーカイヴで所有 して保存の確実性を高める場合、資料のミラーリングを行うことが認められていなけ ればならない。 ・アーカイヴされた資料へのアクセスについて。電子資料は複製が容易である。そのた め出版社はアーカイヴへの自由なアクセスに対して慎重である場合も多い。それゆえ、 例えば上記のように災害や倒産によって作成者が資料を提供できなくなった場合や、 資料の頒布から一定の期間が経過した場合に限ってアーカイヴは利用者にアクセス を提供する、というように、アクセスについては様々なあり方が考えられる。.

(8) 実際のアーカイヴには多様な形態がありうるだろう。ここでは一例として、オランダ国 立図書館(KB, Koninklijke Bibliotheek)とエルゼビアサイエンス社との協定を紹介して おきたい。2002年、両者はKBがエルゼビアサイエンス社の公的アーカイヴの機能を果た すことで合意した。KBは受け入れたコンテンツを技術環境の変化に合わせてマイグレーシ ョンする役割も担う。また、天災や商業上の理由からエルゼビアサアイエンス社がコンテ ンツを提供することを止めた場合、KBが代わりにそれらへのアクセスを維持することにな っている 26。 各々の役割と責任についても、ベスト・プラクティスの確立に向けてなお経験が必要で あることは他の問題と同様である。われわれはなお歩み続けなければならない。 (以下、URL は 2004 年 10 月 12 日時点のもの。) 正式名称は次のとおり。 Preserving Digital Information: Report of the Task Force on Archiving of Digital Information. commissioned by The Commission on Preservation and Access and The Research Libraries Group, 1996. <ftp://ftp.rlg.org/pub/archtf/final-report.pdf> 2 CCSDS 650.0-B-1: Reference Model for an Open Archival Information System (OAIS).Blue Book, Issue 1. Consultative Committee for Space Data Systems, 2002. <http://ssdoo.gsfc.nasa.gov/nost/wwwclassic/documents/pdf/CCSDS-650.0-B-1.pdf> 3 日本図書館情報学会 用語辞典編集委員会編. 図書館情報学用語辞典. 第 2 版. 東京, 丸 善, 2002, p.157. 4 OAIS 参照モデルの定義に示唆を受けている。see: CCSDS 650.0-B-1. p.1-11. 5 各媒体の寿命については諸説あるが、例えば以下の予測が参考になる(株式会社極東マ イクロの Web サイト<http://www.kyokuto-micro.co.jp/media.html>より許諾を得て転載)。 1. 6. 実際に電子資料へのアクセスが失われた、あるいは著しく困難になった例は多い。よく 引き合いに出される例では、米国航空宇宙局(NASA)の 1970 年代の衛星写真ファイル に対して、それを読取るソフトウェアを持っていない技術者がアクセスできなくなってし まったことがある(Beebe, L; Meyers, B. The Unsettled State of Archiving. the JOURNAL of ELECTRONIC PUBLISHING. Vol.4, Issue.4. (1999) < http://www.press.umich.edu/jep/04-04/beebe.html> )。また、1998 年の RLG の調査.

(9) によると、電子資料を所蔵する機関の約 4 割が技術の陳腐化のために資料へのアクセスを 失った経験があると回答している(Hedstrom, M; Montgomery, S. Digital Preservation Needs and Requirements in RLG Member Institutions: A Study Commissioned by the Research Libraries Group. 1998. < http://www.rlg.org/preserv/digpres.html/>)。 7 see: Holdsworth, D; Wheatley, P. Emulation, Preservation, and Abstraction. RLG DigiNews. Vol.5,No.4.(2001) <http://www.rlg.org/preserv/diginews/diginews5-4.html#feature2> 8 Preserving Digital Information. p.6. 9 CCSDS 650.0-B-1. p.5-4 ‐ 5-9. 10 see:国立国会図書館. 電子情報保存に係る調査研究報告書. 2003, p.53-55. <http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/report.pdf> 11 プロジェクトの経緯と概要は以下のとおりである。 1999 年から 2000 年にかけて、先述の CLIR、および電子図書館連盟(DLF, Digital Library Federation)、ネットワーク情報連合(CNI, Coalition for Networked Information)は電子ジャーナルをアーカイヴする際の責任の所在を議論する会議を開き、 その結果「ディジタル学術ジャーナルリポジトリの最低基準(Minimum criteria for an archival repository of digital scholarly journals)」を発表した。それを受けて、Andrew W. Mellon 財団が「最低基準」の内容を具体化する、電子ジャーナルのアーカイヴについての 1 年間の研究プロジェクトを提案した。結果、財団からの助成金を得て、2001 年から 2002 年にかけて 7 つのプロジェクトが行われた。 エール大学とエルゼビアサイエンス社による保存プロジェクトはそのひとつである。電 子ジャーナルへの長期的アクセスを保障するための、互いに満足のいく協定や技術を大規 模の研究図書館と大手出版社はつくりだすことができるだろうか、という問いを考察する ものであった。 12 YEA: The Yale Electronic Archive: One Year Progress: Report on the Digital Preservation Planning Project. a collaboration between Yale University Library and Elsevier Sciense. Funded by the Andrew W. Mellon Foundation, 2002, p.15. <http://www.library.yale.edu/~okerson/yea/yea.pdf> なお、電子資料の長期保存に役立ちそうな手法は他にも数多く提案されており、それらは 「エミュレーションかマイグレーションか」という単純な二分法には収まりきらない、と いう主張が既になされていることも指摘しておく。see: Thibodeau K. Overview of Technological Approaches to Digital Preservation and Challenges in Coming Years. in: The State of Digital Preservation: An International Perspective. Council on Library and Information Resources, 2002, p.19. <http://www.clir.org/pubs/reports/pub107/pub107.pdf> 13 2000 年に結成されたワーキンググループ。ディジタル情報の保存を支援するのに必要 なメタデータを策定することを目的としていた。現在は PREMIS (the Preservation Metadata: Implementation Strategies working group)というワーキンググループが活動 を継承しており、保存のためのメタデータの指針や勧告の策定に取り組んでいる。 14 Preservation Metadata for Digital Objects: A Review of the State of the Art. A White Paper by the OCLC/RLG Working Group on Preservation Metadata. 2001, p.4. <http://www.oclc.org/research/projects/pmwg/presmeta_wp.pdf>.

(10) 1998 年から 2002 年にかけて行われた、電子資源の長期保存に関するリーズ大学、オッ クスフォード大学、ケンブリッジ大学の共同研究。 16 以下では分類を簡潔に俯瞰するために Cedars プロジェクトを取り上げるが、あくまで 一例に過ぎない。保存のためのメタデータは、プロジェクトによって少しずつ異なった分 類のされ方をしている。そうした異同を分析した文献としては、例えば OCLC/RLG ワー キンググループによる、上記 Preservation Metadata for Digital Objects: A Review of the State of the Art. がある。 なお、OCLC/RLG ワーキンググループ自身もメタデータの各要素を提案している。see: Preservation Metadata and the OAIS Information Model: A Metadata Framework to Support the Preservation of Digital Objects. A Report by The OCLC/RLG Working Group on Preservation Metadata. 2002. <http://www.oclc.org/research/projects/pmwg/pm_framework.pdf> 17 The Cedars Project Report: April 1998-March 2001. The Cedars Project Team, 2001, p.58. <http://www.leeds.ac.uk/cedars/admin/CedarsProjectReportToMar01.pdf> 18 see: ibid. p.58-59. see also: CCSDS 650.0-B-1. p.1-7 ‐ 1-13, p.2-3 ‐ 2-7. 19 他の二つは資料の作成者からアーカイヴに提出される情報パッケージ (SIP, Submission Information Package)、アーカイヴから資料の利用者へ配布される情報パッ ケージ(DIP, Dissemination Information Package)である。AIP と異なり、この二つは メタデータの付与が不完全である場合がある。 20 参照情報にはダブリン・コアの使用も考えられる。保存のためのメタデータは、従来注 目を集めてきた情報の識別・同定のためのメタデータとまったく別個に論じることはでき ないと言える。 21 代表的な活動に PREMIS がある。注 12 参照。 22 see: 電子情報保存に係る調査研究報告書. p.44-45. 23 National Library of Australia. Statement of Principles for the Preservation of and Long-Term Access to Australian Digital Objects. <http://www.nla.gov.au/preserve/digital/princ.html> 24 ibid. 25 The Cedars Project Report. p.46. 26 KB は Kluwer Academic Publishers 社や BioMed Central とも同様の協定を結んでい る。see: <http://www.kb.nl/kb/resources/frameset_kenniscentrum-en.html> 15.

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