化学物質過敏症 に関す る実態調査 を例 に した
アンケー ト調査 における
I
T
化 の試み
永吉雅人1),杉 田 収1),橋本明浩1),曽田耕一2),小林恵子1
)
,
平滞則子l),飯吉令枝1),室岡耕次3),坂本 ちか子4)
1)新潟県立看護大学,2)上越地域学校教育支援セ ンター,
3)ハー ト1級建築士事務所,4)坂本CITY設計室
キー ワー ド :アンケー ト調査,IT化,化学物質過敏症
目的
筆者 らは 5年前 に上越市立小学校児童 1万名 の化学物質過敏症(CS)に関連す るアンケー ト調査
によ-り,上越地域にお ける CS発症の実態 を分析 ・発表 している(杉 田
2005
)
.
そ こで,前回行 ったアンケ
ー ト調査 を大 きく変更す ることな く,「継続」 して CS発症の実態 を調査す ることは,過去 あま り例が
な く,また時間的推移がみえて くることか ら,大変意義のある研究であると考えた.同時に,大規模
アンケー ト調査においてITを活用す る環境 ・実績 を作 ることで,今後の本大学にお けるアンケー ト
調査にお ける信頼性の向上 と時間的効率化 ・経費削減ができるもの と考 えた.そこで,次の2つ を目
的 とした.
1.上越地域の児童 に対す る1万人規模の CSに関連す るアンケー ト調査 による実態把握.
2.アンケー ト調査にお けるIT環境構築 とIT化 による信頼性の向上 と効率化 ・経費削減の効果の測
定.
方法
Ⅰ
.
調査票の内容
アンケー ト調査は,学年 と症状のみを問い,個人名お よび小 ・中学校名 は無記名 とした.調査票は
201
0
年
7
月に,教育委員会の許可のもと,市立の全小中学校
76
校の全児童 ・生徒
1
6,
7
00
名 に配布
した.調査票は保護者宛 に配布 して,保護者 の観察 による子供の症状 を尋ね回答を得た.
MCSの症状を問 う調査票 は主症状 として,
a.
何回 も頭痛が起 き,頭痛が長 く続 くことを訴える,b.
筋肉痛あるいは筋肉の不快感 を訴 える, C.体のだるさや疲労感 をずっ と訴える,a.関節痛 を訴える,e.
ア レルギー疾患を持っている.副症状 として,a.喉が痛い と訴える,b.微熱 がある と訴 える,C.腹痛,
下痢,便秘があると訴える,d.目がまず しす ぎた り,良く見えない時があると訴える,e.集 中力 ・思考
力の低下,物忘れをす る傾 向がある,£特に嫌いな臭いがある,g.す ぐ興奮 した り,気分や精神が不安
定になる傾 向がある,h.皮膚のかゆみや皮膚感覚の異常を感 じると訴える,i.月経過多を訴える,とし
た.
これ らの項 目は前回調査 と同様であ り,公 開 されたMCSの診断基準に記載 された症状4)5)に準 じた
ものである.MCSの診断基準には,それぞれの症状の程度 についての記載 はないが,我 々の保護者 向
けの調査票では,症状の程度 を 「大いにある」 「ある」 「少 しある」 「全 くない」,あるいは 「重い」「中
程度」「軽い」 「ない」の選択肢で回答を求めた.
- 5
3-Ⅰ
Ⅰ.
MCS様症状 を示す児童 ・生徒数
MCS様症状 を示す児童 ・生徒の選び方 も,MCSの診断基準 に準 じ,調査票の主症状5項 目と,副
症状9項 目の,合計14項 目について,主症状の2項 目と副症状の4項 目以上,あるいは主症状の1
項 目と副症状の6項 目以上に 「大いにある」「ある」「少 しある`」,あるいは 「重い」 「中程度」「軽 い」
のいずれかの回答があった場合 を 「症状あ り」として,その児童 を 「MCS様症状 を示す児童 ・生徒」
とした.
Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ.アンケー ト調査 にお ける
I
T
環境構築
使用を希望す る教員の使用 を考慮 して,情報処理研究室の共用
PC
を用いて,(樵)ハ ンモ ック製 のマ
ー クシー ト読取 ソフ トRemarkをイ ンス トールす る.アンケー ト用紙の読取 には,既 に設備 としてあ
るスキャナCannonDR-5010C(積載量100枚,読取50枚/分)を用いる.以上によ り,Remarkのイ
ンス トール された
PC
と共用スキャナで もって
I
T
環境 を構築 した.
結果 と考察
Ⅰ.調査票の回収 とMCS様症状 を示す児童 ・生徒数
調査票 は2010年7月 に回収 し,回収数 は14,024名分 (回収率84.0%)であった.
MCS様症状 を示す児童 ・生徒数 を学年別 にTablelに示 した14,024名 の回答児童 ・生徒 中MCS
様症状 を示す児童 ・生徒 は1,681名 (12.0%)であった.小学 1年生 (6-7才)の回答 は1,516名で
あ り,その中の96名 (6.3%)がMCS様症状 を示 した.一方 中学3年生 (14-15才)の回答 1,440
名 中248名 (17.2%)がMCS様症状 を示 し,1年生のほぼ2.7倍 の割合であった.小学1年生か ら
中学3年生に学年が進むに伴い,MCS様症状 を示す児童の割合 に増加傾 向が認 め られた(永吉2010).
Ⅰ
Ⅰ
.
アンケー ト萌査集計時間の比較
予算の関係上,不十分ではあるが,スキャナ-の積載時間を込 めた読込時間については500枚 を2
回,デー タ修正時間については1時間を3回計測 した.結果,読込時間は平均35分, 自由記載欄の
入力時間を含 めたデー タ確認 時間は平均765.66[名]であった.1名分 に必要な時間に変換 し合算す る
と,必要時間は13.429【秒】/【名】であった.それ に対 し,
PC
操作に熟練 した筆者 が手作業で入力 した
場合,81.448【秒]/【名】であった.単純ではあるが,6.065倍 の処理速度 となった.
結論
アンケー ト再調査 によ り学年 が進むに伴い,
MCS様症状 を示す児童の割合 に増加傾 向が確
認 された.また,アンケー ト集計
I
T
化 によ り,
手作業 よ りも約6倍 の処理効率が達成 され るこ
とを確認 で きた.
参考文献
杉 田収 , 中川 泉,濁川 明男他 (2007):児童
(6-12才)の化 学物質過敏症様症状 に関す るア
ンケー ト調査,室内環境,10(2),137-145.
Table 1 Numberof8tudent8wi th MCS・like
8ynPtOn8
ShJdents …MCS-likesymptoms
Schoolyear
董
Age 妻 n 葦 n 妻 % 董
1
6-7 1.516 96
110
167
… ;:… 二;三…
4
5 .9.∼∼1.0. ]:666.2. 1.8928
5毒10∼11 蓋 1.600蔓
6毒11-12 重 1
Tn w2= LIT r州1
≡ 1…=]; 1]:.芸4940妻喜 ….3… ]言:2
Total 蔓 6-15 喜 14,024妻 1,681妻 12.0量
永吉雅人 杉 田収,橋本 明浩他 (2010):化学物質 に過敏 な児童 ・生徒 に関す るア ンケー ト再調査,
平成22年度室内環境学会学術大会,180-181.
- 5