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電子材料向け熱硬化性樹脂の開発動向

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【総 説】

大野 大典

三菱ガス化学株式会社 125−8601 東京都葛飾区新宿 6−1−1

電子材料向け熱硬化性樹脂の開発動向

大野 大典* 概   要 近年,電子機器の高性能化にともない,用いられる部品・部材に対しても従来よりも高い性能が求められてい る。電子部品に用いられる樹脂に対しては,鉛リフロー半田に対応できる高耐熱性,高速情報通信における低損 失のための低誘電特性,環境問題への対応からノンハロゲンでの難燃性,実装時の信頼性向上のための低熱膨張 性,環境からの吸湿による不具合や特性変化を小さくするための低吸水性,といった種々の特性を向上させるこ とが求められており,これらの要求に対応するために各種機能性熱硬化性樹脂の開発が進められている。本稿で は,高耐熱性と低誘電特性を併せ持つ樹脂の開発動向,高耐熱性と難燃性を併せ持つ樹脂の開発動向について紹 介する。

1.はじめに

近年,情報通信はますます発展しており,情報通信 に用いられる機器の性能もさらに向上している。イン フラ機器,情報通信端末を高性能にするために,用い られる部品・材料もさらに高性能化してきている。 電子材料向けの樹脂材料としては,エポキシ樹脂, シアネート樹脂,ビスマレイミド樹脂,ベンゾオキサ ジン樹脂,アクリレート樹脂,といった各種の硬化性 樹脂が用いられており,高性能化の研究開発が盛んに 行われている1)-3) 例えば,プリント配線板分野においては,鉛リフロー 半田に対応できる高耐熱性,高速情報通信における低 損失のために低誘電特性,環境問題への対応からノン ハロゲンでの難燃性,実装時の信頼性向上のために低 熱膨張性,環境からの吸湿による不具合や特性変化を 小さくするために低吸水性,といった種々の特性を向 上させることが求められている。 本稿では,高耐熱性と低誘電特性を併せ持つ樹脂の 開発動向,高耐熱性と難燃性を併せ持つ樹脂の開発動 向について紹介する。

2.高耐熱低誘電特性樹脂の開発動向

電気信号の伝送速度(V)は式(1)で示される。 式(1)から,信号を高速化するためには誘電率が低 い絶縁材料が必要なことが分かる。 V ∝ C/√εr (1)   (C:light velocity,εr:dielectric constant) 電気信号は伝送によって損失が発生するが,伝送損 失は,式(2)~(4)で表される。 α = αc+αd (2)    (α:transmission loss,αc:conductor loss,αd: dielectric loss) αc∝ √εr*√f *√ρ (3)   (f:frequency,ρ:conductor resistance) αd∝ √εr* f/C * tanδ (4)   (tanδ:dielectric loss tangent) 伝送損失は,誘電率,誘電正接,周波数に依存する (式(3)(4))。これらの式において,伝送損失は,誘 電率に関しては平方根に比例するのに対して,誘電正

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接に関しては 1 次に比例する。周波数(f)が高くな ると,周波数による損失割合が大きくなってくるため, 誘電正接をより小さくすることが重要になる(式(4))。 以上の関係式から,電気信号を高速で伝達し,伝送 ロスをより小さくするためには,低誘電率,低誘電正 接の絶縁層が必要となる。 樹脂の低誘電特性化を図るためには,誘電のメカニ ズムを理解しておく必要がある。Fig. 1 に各周波数に 対する誘電現象について示す。 周波数によって誘電のメカニズムは異なる。kHz ~ MHz においては,イオン的な電荷をもった成分が 電場に対して応答する。GHz 帯では分極による双極 子が電場に応答し誘電が引き起こされる。さらに高周 波になると原子・電子の応答による誘電が起こる。 現在の無線通信や高周波伝送では GHz 帯の周波数 が使用されるようになっており,材料に対しては GHz での誘電率,誘電正接を小さくすることが求め られている。GHz 帯における低誘電特性化には,分 子中から電場の変動に応答する要素(双極子(分極)) を減らすことがポイントとなる。 誘電率は Clausius−Mossotti の式(5)で示され, モル分極率,モル容積が因子となる。式(5)からは, 分極を小さくすること,モル容積を大きく(低密度化) すること,が低誘電率化の指針として示唆される。 誘電率=[1+2(ΣPm/ΣVm)]/[1−(ΣPm/ΣVm)] (5)    (Pm:原子団のモル分極率,Vm:原子団のモル容 積) 主な原子団の分極は Table 1 の通りであり,分極率 の小さいフッ素原子,炭化水素骨格を骨格に導入して 誘電率を小さくする試みが数多くなされている。 誘電正接(tanδ=ε’’/ε’( ε’:複素誘電率実部,ε’’: 複素誘電率虚部))は交流電場に対する誘電応答の遅 れであり,GHz 帯では双極子の配向緩和が主たる要 因となる。誘電正接を小さくするためには,双極子を なくす(無極性に近い構造とする),双極子を動かな いように固定する(例えば,液晶配向,結晶配向等で 双極子を固定してしまう)方法が考えられる。分極が 小さい物質としてはポリエチレンが代表的であり, GHz 帯において低い誘電正接を示す。また,分極を 固定した例としては液晶ポリエステルが挙げられ,分 子内にエステル基という分極を有するが分極が液晶配 向により固定化されており電場に対する応答が抑制さ れていることから GHz 帯では低い誘電正接を示す4) 以上のことから,GHz 帯における樹脂の低誘電特 性化のアプローチとしては,低分極化,分極固定化, がアプローチとして考えられ,これまでに様々な研究 がなされている5) 低誘電特性で高い耐熱性を有する樹脂としては熱可 塑性樹脂であるポリフェニレンエーテル(PPE)が従 来から知られており,これを熱硬化性樹脂と組み合わ せて電子材料向けに応用する研究,熱硬化型にして ベースレジンとする研究が行われている。 PPE と熱硬化型樹脂との組合せとしてはエポキシ 樹脂との組合せがよく研究されている。 Meng らは,プリント配線板への応用を目的として 難燃樹脂としてよく用いられるブロモ化エポキシと分 Fig. 1 Dielectric phenomena.

Table 1  Molar polarizability and molar volume of atomic groups

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子量 5 万の PPE をブレンドして,その相溶性と硬化 物物性について研究しており,ビスフェノール A ノ ボラックエポキシを用いた場合と比較して低誘電特性 (誘電率(1 MHz)3.2,誘電正接(1 MHz)0.005)で 高い Tg(204 ℃)の樹脂硬化物が得られたと報告し ている6) 稲垣らは,ビスフェノール F 型エポキシ,クレゾー ルノボラック型エポキシと低分子量 PPE からなる積 層板を作製し,ビスフェノール F 型エポキシとフェ ノールノボラックからなる積層板よりも低誘電正接 (誘電正接(10 GHz)0.012)が得られることを報告し ている7) PPE に反応基を導入して熱硬化型にする検討も行 われており,アリル化,エポキシ化,マレイン酸変性, 等が検討されている。 石井らは,PPE の側鎖のメチル基にアリル基を導 入したアリル化 PPE を合成し(Fig. 2),銅張積層板 へ応用する研究をしている。また,併せて PPE とト リアリルイソシアヌレート(TAIC),無水マレイン 酸変性 PPE とエポキシの組合せで積層板への応用を 検討している。アリル化 PPE の硬化物は,誘電率(1 MHz)2.5,誘電正接(1 MHz)0.001,Tg250 ℃であり, PPE の低誘電特性を維持したまま熱硬化性を付与で きたと報告している8) Fukuhara らは,反応性官能基を有するモノマー(2-アリル -6- メチルフェノール)と 2,6- ジメチルフェノー ルを共重合させて反応性ポリマーを合成し(Fig. 3), 硬化反応,硬化物について研究している。硬化させた ポリマーの Tgは 235 ℃(300 ℃ 1 hr 硬化)であった と報告されている9) 布重らは,2,6- ジメチルフェノールと 2- アリル -6-メチルフェノールを共重合して得られる反応性 PPE (Fig. 3)と 1,2- ビス(ビニルフェニル)エタン(BVPE) を硬化成分として用いた銅張積層板の研究をしてい る。難燃剤,エラストマー,シリカ,シランカップリ ング剤を配合した組成にて銅張積層板を作製し物性評 価をしたところ,誘電正接(10 GHz)0.002 の低損失 な材料が得られたと報告している10) Huang らは,PPE の側鎖のメチル基をビニル化し た後にエポキシ化して PPE にエポキシ基を導入して いる(Fig. 4)。これを硬化させて Tg等の熱分析を行っ ている。エポキシ化されたユニットの割合が 20%の ポリマーの硬化物の Tgは 302 ℃であったと報告して いる11)

Hwang らは,PPE と無水マレイン酸を BPO(過酸 化ベンゾイル)で再配列し,二重結合を PPE に導入 した化合物を合成し,TAIC(トリアリルイソシアヌ レート)と混合して硬化させて物性評価を行っている。 得 ら れ た 硬 化 物 は Tgが 171 ~ 197 ℃, 誘 電 率(1 GHz)が 2.23 ~ 2.58,誘電正接(1 GHz)が 0.0034 ~ 0.0039 であったと報告している12) PPE は低誘電特性であるが PPE は骨格中酸素原子 を有しており若干の極性を有しているため,極性基が さらに少ないポリスチレンやポリエチレンといった樹 脂と比較すると誘電率,誘電正接が若干大きい。そこ で,さらなる低誘電特性を求めて,炭化水素骨格のみ からなる熱硬化性樹脂も研究開発されている。 天羽らは,炭化水素骨格にエチニルベンゼンを硬化 Fig. 2 Allylation of methyl group of PPE. Fig. 3  Co-polymerization between 2,6-dimethylphenol and allyl phenol. Fig. 4 Introduction of epoxy group on PPE.

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性官能基として用いた樹脂の検討をしている(Fig. 5)。10 GHz で誘電率 2.5,誘電正接 0.0012 の硬化物 (BVPE)を得ている。BVPH 硬化物の誘電正接は 0.0029 であり,未反応部分の分子運動による内部摩擦 が誘電正接を増大させている要因と考察している13) 川辺らは,ジビニルベンゼン共重合体(Fig. 6)を 用いて低誘電特性を有する樹脂組成物を開発してい る。難燃性を有して,誘電率 2.34(2 GHz),誘電正 接 0.0019(2 GHz),Tg210 ℃の樹脂組成物を得てい る14) ポリフェニレンエーテルは上述の通り低誘電特性で あることが知られており電子材料にも用いられてきた 樹脂であるが,高分子量であるために,溶剤に溶けに くい,溶融粘度が高く成型性に難がある,といった欠 点も抱えている。そこで著者らは,ポリフェニレンエー テル骨格の高耐熱性,低誘電特性を維持しながら,欠 点である溶剤溶解性,成型性を改善した化合物を目指 して研究を行った。 まず,ポリフェニレンエーテル骨格の分子量を下げ ることで成型性と溶剤溶解性を付与するとともに,架 橋性を付与できるように二官能化したオリゴフェニレ ンエーテルを合成した。続いて末端に低極性の反応性 官能基(ビニルベンジルエーテル基)を導入して架橋 型の OPE−2St を合成した(Fig. 7)15) OPE-2St は,硬化前は MEK,トルエンといった汎 用の溶媒に可溶であり,加熱により容易に硬化できる。 分子量が小さいため溶融粘度が低く成型性に優れる。 分子量の異なる OPE−2St の硬化物物性表を Table 2 に示す。 硬化物は,Tgが 200 ℃以上であり,10 GHz での誘 電率は 2.5,誘電正接は 0.0020 ~ 0.0028 を示し,熱硬 化性樹脂の中では低誘電特性の部類に入る。

3.高耐熱難燃性樹脂の開発動向

電子材料には機器の安全性を確保する観点から難燃 性が求められる。一般的には樹脂の難燃化は,難燃剤 を添加することで達成されている。難燃剤の添加は難 燃性向上には有効であるが,一方で他の物性へ悪影響 を及ぼす場合がある。例えば,可塑効果による Tg低下, 大量使用による成型性低下(金属水酸化物),等が挙 げられる。 樹脂自体に難燃性を付与することは難燃剤使用の低 減につながり,環境問題から使用削減が求められるハ ロゲン系難燃剤を未使用にできる可能性がある。また, 上記物性面への悪影響を回避するという観点からも, 樹脂自体に難燃性が付与されていることは好ましい。 樹脂自体の難燃化は樹脂骨格に難燃性を有するリン Table 2 Properties of OPE−2St Entry Mn Tg (℃) Dk @10GHz Df @10GHz Water Absorption (%) OPE-2St(1) 1,200 252 2.49 0.0028 0.2 OPE-2St(2) 2,300 226 2.46 0.0020 0.2 PPE 17,000 226 2.46 0.0022 0.4 Dk : Dielectric constant, Df : Dielectric dissipation factor Fig. 5 Bifunctional styryl resins.

Fig. 6  Copolymerization between divinylbenzene and ethylstyrene.

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原子や窒素原子を入れる検討が主としてなされてい る。 Jeng らは,Fig. 8 に示すリン含有アミン,リン含 有エポキシを合成して,それらを組み合わせた硬化物 の限界酸素指数(LOI),チャー形成率を評価し,リ ン含有率を上げると LOI が増加して難燃性が向上す ると報告している16) 位地らは,窒素原子やリン原子を用いずに,アラル キル骨格を有する樹脂(Fig. 9)を使用して発泡断熱 機構による難燃を達成している17)-19)。発泡断熱とは, 樹脂の溶融軟化,燃焼分解,炭化のバランスをとるこ とで,発泡炭化層を接炎表面に形成させ,発泡層の断 熱効果で熱を内部に伝えにくくし,燃焼の継続をス トップさせるものである(Fig. 10)。 エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノールフェニルア ラルキル樹脂,フェノールビフェニルアラルキル樹脂 を用いると UL−94 試験で V−0 となると報告してい る17) また,フェノールフェニルアラルキル樹脂のエポキ シ体とフェノールフェニルアラルキル樹脂を組み合わ Fig. 8 Epoxy resin and hardeners containing phosphorus. Fig. 9 Molecular structures of aralkyl resins.

Fig. 10  Self-extinguish mechanism of aralkyl-type epoxy resin compound.

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せて積層板とし,UL−94 試験で V−1 になると報告 している18) さらには,フェノールビフェニルアラルキル樹脂の エポキシ体とフェノールビフェニル樹脂を組み合わせ て封止材とし,UL−94 試験で V−0 になると報告し ている19) シアネート樹脂は高耐熱性が特徴の樹脂であり,複 合材材料,電子材料として用いられている20)。シアネー ト樹脂の難燃性についても種々研究が行われている。 Lyon らは市販のシアネート樹脂の燃焼性について 研究しており,骨格,分子量によって,発熱量,チャー 生成量が異なることを報告している21)。Lyon らの研 究においてはノボラック型シアネート,塩素原子含有 シアネートが高いチャー形成率(Char fraction)を示 している。シアネート樹脂の反応については Fig. 11 のようなメカニズムを示している。 Zhougyu らはビフェニル骨格を含有する 2 官能シ アネートが難燃性を示すことを報告している22)。硬 化物の難燃性としては,UL−94 試験 V−0,LOI(限 界酸素指数)が 42.5%であったと報告されている。 Ryu らはトリアゾールを骨格に含有する 2 官能シ アネートの燃焼性を評価している23)。ビスフェノー ル A 型シアネートとの比較を行い,難燃性(着火後 すぐに消火)で,高いチャー生成率(67%)であった と報告している。 著者らは,シアネート樹脂に難燃性を付与するため, アラルキル骨格を導入したシアネートの開発を行った (Fig. 12)。フェノールフェニルアラルキルタイプ (PPA−CN),フェノールビフェニルアラルキルタイ プ(PBA−CN),ナフトールフェニルアラルキルタ イプ(NPA−CN)を新たに合成し,各種物性評価を 実施した(Table 3)24) 比較としてビスフェノール A 型シアネート(BPA −CN),フェノールノボラック型シアネート(PN− CN)を用いた。ガラス転移温度(Tg)については,フェ ノールビフェニルアラルキルシアネート(PBA−CN) が 247 ℃,ナフトールビフェニルアラルキルシアネー ト(NPA−CN)が 258 ℃と高い値を示した。フェノー ルフェニルアラルキルシアネート(PPA−CN)は 209 ℃でありシアネート樹脂としては低い Tgであっ た。PBA−CN,NPA−CN は,剛直な骨格(ビフェ ニル,ナフチル)によって Tgが上昇していると考え られる。難燃性に関しては,アラルキル骨格を有する シアネートはいずれも自己消火性であることが分かっ た。試験片を観察したところ,発泡が見られたため, アラルキル骨格を有するシアネートにおいても発泡断 熱による難燃性が発現したものと考えられる。また, シアネート樹脂は汎用的に用いられるエポキシ樹脂と Table 3 Properties of cured cyanate ester resins Entry Tg (℃) Dk @10GHz Df @10GHz Flame Test Water Absorption (%) PPA-CN 209 2.75 0.0039 1 sec burning 0.83 PBA-CN 247 2.79 0.0054 0.5 sec burning 0.98 NPA-CN 258 2.86 0.0041 3 sec burning 0.91 BPA-CN 284 2.73 0.0105 sustained burning 1.54 PN-CN 279 3.02 0.0147 sustained burning 1.91 Fig. 11  Reaction and thermal degradation of cyanate ester resin. Fig. 12 Molecular structure of aralkyl cyanate ester resins.

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比較すると低誘電特性であることが知られているが, 新たに合成したアラルキル骨格を有するシアネートは 骨格中の極性基(シアネート基)の含有量が少ないこ ともあり,BPA−CN や PN−CN と比較して低誘電 正接となった。

3.おわりに

本稿では,高耐熱,低誘電特性,難燃性の熱硬化性 樹脂の研究開発事例を紹介した。低誘電特性を得るた めには,ポリフェニレンエーテル骨格や炭化水素骨格 といった極性の小さな骨格が用いられ,種々の低誘電 特性樹脂が得られている。臭素系難燃剤を用いずに難 燃性を達成する研究開発も行われており,リンの利用 や発泡断熱機構の応用により高い難燃性を有する樹脂 が得られている。電子機器はさらに発展を続けており, 電子機器を支える重要な部材である熱硬化性樹脂は, 今後もさらなる高機能化が求められる。本稿で紹介し た,高耐熱性,低誘電特性,難燃性に加えて低熱膨張 率,低吸水性,といった特性が付与されると好ましい。 今後の研究開発がさらに期待される。 参考文献 1) 柿本雅明,江坂 明,“耐熱性高分子電子材料”,シー エムシー出版(2003). 2) 高橋昭雄,“高機能デバイス用耐熱高分子材料の最新 技術”,シーエムシー出版(2011). 3) 高橋昭雄,ゴム協会誌,84,第 10 号,301−305 (2011). 4) 岡本 敏,細田朋也,片桐史朗,大友新治,伊藤豊誠, 住友化学 技術誌,2005−I,4−13 (2005). 5) “低誘電率材料の開発動向”,東レリサーチセンター (2008). 6) J. Meng, G. Liang, and L. Zhao, Composites Science and Technology, 62, 783−789 (2002). 7) 稲垣佳那,生産と技術,64,第 4 号,51−53(2012). 8) 石井義行,黒木正勝,小田弘治,新井雄史,片寄照雄, 高分子論文集,54,No.4,171−182(1997). 9) T. Fukuhara, Y. Shibasaki, S. Ando, and M. Ueda, Polymer, 45, 843−847 (2004). 10) 布重 純,天羽 悟,“エレクトロニクス実装学会誌”, 12,[4],333−339 (2009). 11) C. C. Huang, M. S. Yang, and M. Liang, Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, 44, 5875−5886 (2006).

12) H. J. Hwang, S. W. Hsu, C .S. Wang, Journal of Vinyl and Additive Technology, 15, 54−59 (2009).

13) 天羽 悟,山田真治,永井 晃,三輪崇夫,友井正男, 高分子論文集,61,No.9,474−482 (2004). 14) 川辺正直,矢野博之,今村高弘,藤松秀隆,滑川崇平, エレクトロニクス実装学会誌,12,No.2,125−129 (2009). 15) D. Ohno, K. Uera, M. Miyamoto, K.Hiramatsu, Y. Norisue, and K. Ishii, Proceedings of IPC printed Circuits Expo, APEX and the Designers Summit 2007, 1, 376−414 (2007).

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18) M. Iji and Y. Kiuch, Journal of Materials Science: Materials in Electronics, 15, 175−182 (2004). 19) M. Iji and Y. Kiuch, Journal of Materials Science:

Materials in Electronics, 12, 715−723 (2001). 20) I. Hamerton, “Chemistry and Technology of Cyanate

Ester Resins,” Blackie Academic & Professional (1994).

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22) Z. Zhang, R. Yu, F. Wang, J. Wang, and Y. Jiao, J. Appl. Polym. Sci., 122, 2609−2615 (2011).

23) B. Y. Ryu and T. Emrick, Macromolecules, 44, 5693 −5700 (2011).

24) 大野大典,片桐誠之,菅野裕一,島 義和 ネットワー クポリマー,36,No.3,119−125 (2015).

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[Review]

Development of Thermosetting Resins for Electronic Materials

Daisuke OhnO*

* Mitsubishi Gas Chemical Co., Inc.

(6−1−1, Niijuku, Katsushika-ku, Tokyo 125−8601, Japan)

Synopsis

In recent years, as electronic devices become higher in performance, higher performance is required for components. Various characteristics are required for the resin used for electronic materials. For example, high heat resistance for lead-free soldering process, flame retardance for environmental regulation, low dielectric properties for high speed transmission, low thermal expansion coefficient for reliability during mounting, low water absorption rate, and so on. Various resins have been developed to meet these requirements. This review introduces development of resin with high heat resistance, low dielectric property and flame retardance.

(Received August 9, 2017 ; Accepted November 1, 2017)

Key-words : Thermosetting resin, Electronic mateiral, Low dielectric properties, Flame retardancy, Heat

resistance

Table 1   Molar polarizability and molar volume of  atomic  groups
Fig. 3   Co-polymerization between 2,6-dimethylphenol and  allyl phenol.
Fig. 6   Copolymerization  between  divinylbenzene  and  ethylstyrene.
Fig. 10   Self-extinguish  mechanism  of  aralkyl-type  epoxy  resin compound.
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