目 次 contents
2019 年度 認定医 更新症例報告
1. Angle Class Ⅱ division 2 ……… 犬童 富治 145 2. 上下顎歯槽部の前突感を伴う成人前歯部叢生症例 ……… 宇津 照久 148 3. 歯科矯正用アンカースクリューを利用して治療した上下顎前突症例 ……… 大塚 重雄 151 4. Angle Class I 叢生症例 ……… 佐藤 英彦 154 5. 上下顎前歯部に叢生を伴うAngle Class Ⅱ div.1 low angle case ……… 高木 豊明 157 6 臼歯部シザーズバイトと叢生を伴う骨格性2級非抜歯症例 ……… 豊巻 裕紀 161 7. 前歯部の叢生を伴う上下顎前突症 ……… 松下龍之介 164 8. High angleを伴うAngle Ⅱ 級叢生 ……… 宮本 豊 188 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30症例展示の要旨
氏名 犬童 富治 (ローマ字)Kanji Inudo 所属 犬童矯正歯科クリニック 令和 元年 10 月14日提出 タイトル Angle Class Ⅱ division 2 治療前資料採取日 2014 年 1 月 10日 28 歳 0 か月 男・女 動的治療開始時 2014 年 3 月 23日 28 歳 2 か月 主 訴 歯並びがガタガタしている.奥歯で噛みにくい. 全身既往所見 全身的に健康で,特記すべき事項はない. 口腔内及びX線写真所見 【口腔内所見】Angle Class Ⅱ division 2 overjet +5.0 mm overbite +6.5 mm スピーカーブ 2.5 mm,切歯部過蓋咬合で,上顎は方形歯列弓,下顎は鞍状歯列弓であった.上顎に対し,下顎が左方へ偏位し,正中 線の不一致が認められた.上下顎歯列の著しい叢生が認められ,特に の舌側傾斜, の遠心捻転と舌側傾斜が著明であった.犬歯, 大臼歯関係は左右ともに Class Ⅱ を呈していた. 【パノラマ X 線写真所見】関節頭に軽度の吸収像が認められた. 頭部X線規格写真 骨格系では,SNA が 81.0° ,SNB が 74.5° で skeletal 2 を呈していた.歯系では,U1-SN が 92.0° で上顎切歯の口蓋側 傾斜が認められた. 顎関節・歯周所見など 顎関節の状態は,クリック音や開口障害などは認められず,歯肉は,健康で口腔衛生状態も良好であった. 診断及び治療方針 【診断】Angle Class Ⅱ div.2 ,edge to edge occlusion.叢生を伴う過蓋咬合症例 【治療方針】①上下顎前歯部の圧下を含めた歯軸のコントロール ②叢生の改善 ③犬歯,大臼歯関係の改善 ④機能的咬合の回 復及び咬合の安定,以上の項目を治療方針とし, を抜去し,臼歯関係を class Ⅱ 仕上げの治療を行うこととした. 上顎の固定源として,歯科矯正用アンカースクリュー及びパラタルバーを用いる. 使用した装置 Upper & Lower:Clippy-L,歯科矯正用アンカースクリュー,パラタルバー 治療経過 を抜去後,.012 Ni-Ti,.014 Ni-Ti,.016 Ni-Ti wire にてレベリングを進め,次に .016×.022 Ni-Ti,018×.025 Ni-Ti wire を使用し,歯科矯正用アンカースクリューからロングアームフックを用いた sliding mechanics にて抜歯空隙の閉鎖. ディテイリングとして,.016 S.S. wire を使用し,ベンディングによる歯のコントロール,及び , 唇側面にリンガルボタンを 装着し,up-and-down elastics を用いて咬合の確立を行った. 動的治療終了時 2016 年 4 月 28日 30 歳 3 か月 動的治療期間 2 年 1 か月 保定期間 2 年 5 か月 保定装置 (上顎)Clear retainer (下顎)Lingual bonding retainer & Clear retainer 治療結果と考察 Angle Class Ⅱ div.2 の治療として,前歯舌側に装置が位置する為,ルートラビアルトルク方向にモーメントが作用し,ラビッティ ングが生じる傾向が強くなる.さらに,リトラクション時には,上下前歯軸への配慮が必要となる.本症例は,歯科矯正用アンカースクリュー, ロングアームフックを用い,後上方へ圧下しながらリトラクションを行った.治療途中,トルクコントロールが必要になったため, のブラ ケットのポジションチェンジを行った.また,下顎臼歯部の捻転を伴う舌側傾斜の改善のため,上段にパラタルバーを固定源に加え,cross elastic を使用し,臼歯部のコントロールを行った.U1-SN 92.0° → 93.5°,Interincisal angle 138.0° → 129.0°,overjet +5.0 mm →+1.0 mm,overbite +6.5 mm →+2.0 mm へ変化し,治療方針に掲げた①〜④の項目は改善し,咬合は安定している. 日本舌側矯正歯科学会(JLOA)
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抜歯部位 4 4 4 4 3 3 3 3 4 4 3 3 6 56( 28 歳 0 か月 ) ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ( 30 歳 3 か月 ) ・治療後の顔写真 ・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP Interincisal angle 治療前 81.0 74.5 82.0 37.0 68.5 +6.5 +5.0 92.0 90.5 138.0 治療後 80.5 74.0 81.5 37.5 68.0 +2.0 +1.0 93.5 99.0 129.0 術後 2 年 5 か月 80.5 74.5 82.0 37.0 68.5 +2.0 +1.5 95.0 95.5 127.0 S-N at S Maxillary plane at ANS 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30
( 32 歳 8 か月 ) ・術後 2 年 5 か月の顔写真
・術後 2 年 5 か月の口腔内写真
症例展示の要旨
氏名 宇津 照久 (ローマ字)Teruhisa Utsu 所属 宇津矯正歯科医院 令和 元年 10 月14日提出 タイトル 上下顎歯槽部の前突感を伴う成人前歯部叢生症例 治療前資料採取日 2012 年 1 月 31日 38 歳 2 か月 男・女 動的治療開始時 2012 年 3 月 27日 38 歳 4 か月 主 訴 前歯と奥歯がでこぼこでうまく咬み合っていない 全身既往所見 特になし 口腔内及びX線写真所見 Angle Class Ⅰ overjet +4.0 mm overbite +3.5 mm 上下前歯部に叢生,右側上下顎第二大臼歯が鋏状咬合,上顎左側第三大臼歯が矮小歯として存在しそれ以外の第三大臼歯はすでに 抜去済み 頭部X線規格写真 上顎骨のわずかな前方位,上下前歯部の唇側傾斜 顎関節・歯周所見など 右側顎関節に開口時クリックはあるが日常生活には支障はない,全顎的歯肉炎, 下顎前歯部歯石沈着 診断及び治療方針 Extension Lingual Arch にて上顎右側第二大臼歯の舌側移動をし,鋏状咬合を改善する. 上下顎左右側第一小臼歯 4 本を抜去し,上下顎前歯部叢生の除去と舌側移動による口唇前突感の改善を行う. 上顎大臼歯コントロールのため transpalatal arch を使用,機能的正常咬合を確立する. 使用した装置 Kurz 7 Lingual Bracket 治療経過 2012.03.27 Extension Lingual Arch にて頬側転位の上顎右側第二大臼歯舌側移動,3か月後小臼歯抜去 2012.08.29 Lingual Bracket 装着,.016 Ni-Ti round archwire にて Levelingと上下左右犬歯の遠心移動開始 2012.11.21 .016 S.S. round archwire にて Leveling 継続と犬歯遠心移動の継続 2013.03.06 .017×.025 Cu-Ni-Ti にて再 Leveling 2013.10.02 上顎 .018×.025 S.S. ,下顎 .017×.025 S.S. にて前歯部遠心移動 2014.09.12 上下 .018×.025 S.S. ideal arch にて Detailing 開始 2015.01.21 上顎 Invisible Retainer,下顎 Fixed type Retainer 装着 動的治療終了時 2015 年 1 月 21日 41 歳 1 か月 動的治療期間 2 年 10 か月 保定期間 1 年 0 か月 保定装置 (上顎)Invisible Retainer (下顎)3~3 Fixed type Retainer 治療結果と考察 右側顎関節の開口時クリックは MRI より関節円板の前方転位であることが解っていたが,日常生活に支障がなかったため, 顎関節に直接処置を施すことなく,初診時の顎位で咬合を構築するようにした. 動的治療により上顎前歯は根尖部の遠心移動と共に歯軸は 9.0° の舌側傾斜移動を,下顎前歯は 6.0°の舌側傾斜移動をし上顎歯 槽骨が形態変化を起こし上下口唇の前突感を改善することができた.上下顎第一大臼歯には 1.5 mm の Anchor loss がみられた. 骨格的には計測項目,トレースともに大きな変化は見られなかった. Retainer の協力もよく保定後も分析値,上下歯列,咬合いずれも安定している. 日本舌側矯正歯科学会(JLOA)
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抜歯部位 4 48 4 4 th 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30( 37 歳 3 か月 ) ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ( 42 歳 1 か月 ) ・治療後の顔写真 ・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP Interincisal angle
治療前 75.5 73.0 85.5 29.0 77.0 +3.5 +4.0 102.5 99.0 99.0 治療後 75.5 73.0 85.5 30.0 78.0 +2.0 +2.0 101.5 99.5 99.5 術後 3 年 75.5 73.0 85.5 29.0 77.0 +2.0 +2.0 101.5 99.5 99.5
( 45 歳 2 か月 ) ・術後 3 年の顔写真
・術後 3 年の口腔内写真
・ 術後 3 年のパノラマ
症例展示の要旨
氏名 大塚 重雄 (ローマ字)Shigeo Otsuka 所属 大塚矯正歯科 令和 元年 10 月14日提出 タイトル 歯科矯正用アンカースクリューを利用して治療した上下顎前突症例 治療前資料採取日 2014 年 3 月 31日 20 歳 7 か月 男・女 動的治療開始時 2014 年 6 月 9日 20 歳 10 か月 主 訴 歯並びがデコボコしていることと,上の歯が出ており口元の突出感が気になる. 全身既往所見 特記事項なし 口腔内及びX線写真所見 Angle Class I overjet 5.0 mm overbite 2.0 mm 口腔内は上下顎ともに叢生があり,上顎左側中切歯は著しく唇側傾斜し下顎左右側中前歯も唇側傾斜を示した.歯列正中線は上顎に対 して下顎が約 2 mm 右側偏位を示した.上下顎左右側に第三大臼歯が存在し,歯数の異常や形態異常も認められなかった.尚,下顎 左側第三大臼歯はやや近心傾斜を示した. 頭部X線規格写真 骨格系は SNA,SNB 共に標準的な値を示し,FMA 及び SN-MPも標準値であり垂直的な問題は認められなかった.歯系 では上顎前歯は U1 - SN が大きな値を示し,下顎前歯もL1-MP が大きく上下顎前歯が著しく唇側傾斜しており,口唇の突出感が認めら れた. 顎関節・歯周所見など 顎関節の症状もなく特記する所見は認められなかった. 診断及び治療方針 叢生を伴った上下顎前突症例 上下顎前歯の唇側傾斜による口元の突出感と,上下顎歯列弓叢生の改善のため上下顎 左右側の第一小臼歯を抜去する.上顎左右側第一大臼歯部の近心移動を防止するため上顎口蓋側に歯科矯正用アンカースクリューを 2 本植立し,上顎前歯部遠心移動時に利用することとした. 使用した装置 上下顎クリッピー L,歯科矯正用アンカースクリュー 治療経過 小臼歯 4 本抜去後,上顎にクリッピー Lを装着し levelingを開始, 2 か月後に下顎にも装置を装着し動的治療を開始した.10 か月後, 下顎前歯部の遠心移動を開始した.17 か月後よりClass II elastics を使用し,19 か月後,上顎口蓋部に 2 本の歯科矯正用アンカース クリューを植立し closed coil で上顎前歯部の遠心移動を開始した.31 か月後に動的治療を終了し保定に入った . 動的治療終了時 2017 年 2 月 4日 23 歳 5 か月 動的治療期間 2 年 7 か月 保定期間 2 年 2 か月 保定装置 (上顎)ソフトリテーナー (下顎)ソフトリテーナー 治療結果と考察 成人ということもあり骨格系の変化は少なく,上下顎前歯を舌側へ移動したことによりSNA,SNB が共に 0.5° 減少した.また, Y-axis が 1.0° 増加し FMA,SN-MP が 0.5° 減少した.これは上顎第一大臼歯が圧下したことに起因している.上顎第一大臼歯の 圧下に関しては,上顎前歯部舌側移動時に念の為アンチボウイングベンド ( 逆スピー ) を付与したが,今回は歯科矯正用アンカースク リューからの牽引なのでその影響と考えられる.結果,垂直的な観点からは有効であった.歯系では小臼歯 4 本抜去と歯科矯正用 アンカースクリューの併用により上下顎前歯の舌側への移動が実現できた.U1-SNも23.0° 減少し上顎前歯は直立した.L1-MP は 6.5° 増加し下顎前歯の唇側傾斜を示した.これは ANB が 4.5° で上下顎前歯の傾斜を利用して被蓋改善をしたためである.また, 側貌の口元の突出感も改善され緊密な咬合が得られた.保定装置の使用に関しては患者の協力度も高く,良好な咬合で安定している. 尚,保定時に上下顎左右側第三大臼歯は抜去している. 日本舌側矯正歯科学会(JLOA)
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抜歯部位 8 4 4 8 8 4 4 8・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP Interincisal angle 治療前 83.5 79.0 88.0 26.5 63.5 +2.0 +5.0 123.5 102.0 97.0 治療後 83.0 78.5 88.0 26.0 62.5 +3.0 +2.0 100.5 108.5 114.0 術後 2 年 83.0 78.5 87.5 26.5 63.0 +3.0 +2.5 100.5 108.0 115.0 ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ・治療後の顔写真 ( 20 歳 7 か月 ) ( 23 歳 5 か月 ) 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30
・術後 2 年の顔写真
・術後 2 年の口腔内写真
・ 術後 2 年のパノラマ
症例展示の要旨
氏名 佐藤 英彦 (ローマ字)Hidehiko Sato 所属 サトウ・ヤスナガ矯正歯科 令和 元年 10 月14日提出 タイトル Angle Class I 叢生症例 治療前資料採取日 2012 年 11 月 6日 32 歳 9 か月 男・女 動的治療開始時 2013 年 2 月 12日 33 歳 0 か月 主 訴 上下の歯並びを良くしたい. 全身既往所見 アレルギー性鼻炎(たまに金属アレルギー),姿勢 左肩下がり口腔内及びX線写真所見 Angle Class 右側 ClassⅠ ,左側やや ClassⅡ overjet +3.0 mm overbite +3.0 mm 上下顎に叢生が見られる.上下顎中切歯唇側傾斜,側切歯舌側傾斜.上下顎とも正中が左側に寄っている. 鼻中隔が湾曲し,左側の顎骨が右側に比べて大きい.下顎左右側第三大臼歯埋伏.
頭部X線規格写真 骨格系・歯系とも大きな異常は見られないが,顎角と下顎が左右非対称.
顎関節・歯周所見など 右側関節頭が左側関節頭に比べて長いため正中が左側に寄っているが,上顎骨も左側に偏位しているため,上下顎 歯列正中のズレは見られない.顎関節および歯周組織に大きな問題はない.
診断及び治療方針 (診断) Angle Class Ⅰ Crowding( 右側 ClassⅠ,左側やや ClassⅡ 傾向 )
(治療方針) 1. 上下顎にやや叢生があるものの,上下口唇は E-line 上にあるため,上下臼歯を uprightして,後方にスペースを作 り非抜去治療とする. 2. 下顎叢生の側方歯近心舌側傾斜の原因の1つである下顎第三大臼歯の抜去 3. 上下顎舌側からの矯正を希望のため,Lingual bracket を装着できるよう咬合挙上. 4. 下顎歯列の叢生・舌側傾斜,捻転の改善のため,upright. 使用した装置 Lingual bracket (STb .Ormco) 治療経過 2012/11 初診・検査・診断 2013/2 上顎 Lingual bracket 装着とレジンで咬合挙上 2013/3 下顎第三大臼歯抜歯依頼 2013/6 下顎 Lingual bracket 装着(左右側中切歯・左側第一小臼歯以外),bracket を付けなかった所はオープンコイルスプリング 2013/7 上顎 .016 Ni-Ti でレベリング,下顎オープンコイル,活性化 2013/10 途中検査 B 2013/11 上顎 .0175×.0175 Ti-Mo でト ルクコントロール,下顎左右側中切歯,左側第一小臼歯に bracket 装着 2014/3 下顎 .016 Ni-Ti でローテーションの改善 ( 上下顎 前歯のスライスカット) 2014/9 途中検査 C,bracket 装着 2015/3 上顎 .016 S.S. ideal アーチ 2015/6 下顎 .014 S.S. でローテーショ ンの改善,アップライト 2015/11 上顎舌側装置撤去,3×3 fixed 装着 2016/4 下顎舌側装置撤去,3×3 fixed 装着 動的治療終了時 2016 年 4 月 25日 36 歳 3 か月 動的治療期間 3 年 3 か月 保定期間 3 年 3 か月 保定装置 (上顎)Beggtype retainner + canine to canine fixed retainer (下顎)Hard retainer + canine to canine fixed retainer 治療結果と考察 上下顎に叢生・過蓋咬合がみられたが上下口唇の前突感は見られなかったため,下顎左右側埋伏第三大臼歯の抜歯の みとした.鼻中隔および上下顎骨が左方向に寄っており非対称がみられた.右側は AngleⅠ 級,左側はやや AngleⅡ 級傾向があり, また下顎側方歯群が近心傾斜していたため正中のズレがひどくならない様に,左側が ClassⅡ にならないように注意したが,動的治 療後の模型では臼歯関係がややⅡ級傾向になっているように思われる.これは睡眠態癖によると考えられる.今後,本来よりあった上 下顎叢生,特に下顎前歯および下顎左側小臼歯の近心傾斜の後戻りが起きないように長期の保定観察が必要と思われる. 日本舌側矯正歯科学会
(JLOA)
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抜歯部位 8 8 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30( 32 歳 9 か月 ) ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ( 36 歳 3 か月 ) ・治療後の顔写真 ・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP Interincisal angle
治療前 83.0 77.0 83.0 34.5 68.0 +3.0 +3.0 101.0 158.0 158.0 治療後 83.0 77.0 84.0 35.0 68.0 +2.0 +2.0 102.0 98.0 124.0 術後 3 年 84.0 77.0 84.0 34.0 67.0 +2.5 +2.5 101.0 155.0 130.0
( 39 歳 6 か月 ) ・術後 3 年の顔写真
・術後 3 年の口腔内写真
・ 術後 3 年のパノラマ
症例展示の要旨
氏名 高木 豊明 (ローマ字)Toyoaki Takagi 所属 矯正歯科たかぎ・クリニック 令和 元年 10 月14日提出 タイトル 上下顎前歯部に叢生を伴うAngle Class Ⅱ div.1 low angle case 初診時年齢 21 歳 1 か月 男・女 治療開始年齢 21 歳 2 か月 治療開始日 2015 年 9 月 30日 主 訴 出っ歯,口元の突出感,乱杭歯 全身既往所見 特記事項なし 口腔内及びX線写真所見 大臼歯関係 右側Ⅱ級,左側Ⅱ級 overjet +8.5 mm overbite +4.5 mm,A.L.D.:上顎−2.5 mm 下顎−6.0 mm 下顎前歯部に著しい叢生を認め,顔面正中に対して上顎歯列正中は 1.5 mm 右方へ偏位,下顎歯列正中はほぼ一致していた.鼻疾患 があり上顎歯列の高口蓋と狭窄を認めた.パノラマ所見では上下顎両側第三大臼歯の埋伏を認めた.また上下顎右側第二小臼歯が鋏 状咬合を呈していた. 頭部X線規格写真 側面について,骨格系 : SNA 82.1° SNB 76.9° とskeletal2(ANB=5.2°)傾向を示し,low angle case (FMA=21.1°)であっ た.歯系:U1 to SN 129.9° ,L1 to mand.pl. 99.2° で上顎前歯は唇側傾斜を呈し, interincisal angle は 99.6°で -3S.D. を超えて小さい 値を示した.軟組織:E line に対して上唇は +1.5 mm,下唇は +2.5 mm で 上下口唇の突出感を認めた. 正面について,骨格系:左右ほぼ対称,歯系:上顎歯列正中は 1.5 mm 右方へ偏位していた. 顎関節・歯周所見など 鼻疾患があり,口呼吸のため下顎前歯部に軽度の歯肉炎が認められた.プラークスコアは 36 % と口腔清掃状態はや や不良であったが,歯石沈着は認められず,プロービング(6 点法)により,歯周ポケットの数値は全て 2.0 mm 以下であった.最大開口 量は 45 mm,開閉口路はストレートで,両側顎関節部にクリッキング等の雑音を認めなかった. 診断及び治療方針 Angle Class Ⅱ div.1,上下顎前歯部叢生を伴うlow angle 上顎前突症例 上下顎両側第一小臼歯の抜去による上下顎前歯部の叢生の解消,前歯部被蓋関係の改善,顔面正中に対する上下顎正中線の一致, 大臼歯関係 Ⅰ 級の獲得および咬合の緊密化を図ることとした.その際,上下顎前歯を後方牽引時に可及的に圧下し,過蓋咬合を改善 すること,上顎大臼歯のアンカーロスを防ぐため,歯科矯正用アンカースクリュー固定の必要性も考えられた.また,上顎前歯後方牽引の 際に,class Ⅱ elastics を使用し下顎大臼歯の近心移動を行い,大臼歯関係 Ⅰ 級の獲得を目指すこととした.その際には顎関節の状態 に考慮して,下顎の過度の clockwise rotation に注意することとした.治療中必要があれば,上下顎両側第三大臼歯の抜去も行うこと とした. 使用した装置 トミー社製 クリッピー L 治療経過 2015 年 9 月:上顎歯列にインダイレクトボンディングにて装着し .012 ニッケルチタン(以下 Ni-Ti)ワイヤーでレベリングを開始. 2015 年 10 月:下顎歯列にインダイレクトボンディングにて装着し .012Ni-Ti ワイヤーでレベリングを開始. 2016 年 3 月:上顎歯列に .016×.022 Ni-Ti ワイヤーを装着しトルキングを開始(3 か月間).歯科矯正用アンカースクリューを上顎 口蓋側第一大臼歯と第二大臼歯間に植立. 2016 年 5 月:下顎歯列に .016×.022 Ni-Ti ワイヤーを装着しトルキングを開始(4 か月間). 2016 年 6 月:下顎に .016×.022 コバルトクロムワイヤー(以下 Co−Cr)を使い下顎歯列弓のスタビライズ.(2 か月間) 2016 年 9 月:上顎に .016×.022 コバルトクロムワイヤー(以下 Co−Cr)を使い上顎歯列弓のスタビライズ.(3 か月間) class II elastics の使用を開始(約 1 年間). 2017 年 1 月:上顎歯列に compensating curve,下顎前歯部に crown labial torque を十分に与えて,power chain を使用し○
抜歯部位 4 4 4 4
動的治療期間 2 年 2 か月 保定期間 1 年 11 か月 保定装置 (上顎)クリアリテーナー装着後,フィクスドリテーナーとサーカムフィレンシャルタイプのリテーナー(夜間のみ使用)へ変更 (下顎)クリアリテーナー装着後,フィクスドリテーナーとサーカムフィレンシャルタイプのリテーナー(夜間のみ使用)へ変更 治療結果と考察 セファロ分析値より,骨格系について SNA82.1° から 77.1° ,SNB°76.9° から 73.8° と減少し,ANB 5.2° から 3.3° と骨格 性Ⅰ級へ改善が認められた.FMA は,21.1° から 21.8° と若干,下顎骨の時計回りの回転によりB 点の後退を生じたが,許容の範囲 と考えた.歯系について,上顎前歯は U1 to SN は 129.9° から 95.1° と唇側傾斜は大きく改善され,下顎前歯は L1 to MP は 99.2° から 94.3° と舌側傾斜を示し,interincisal angle は 99.6° から 137.6° とやや +1S.D. を超えて大きくなった.U1 to A-Pog は +13.3 mm から +5.5 mm へ,L1 to A-Pog は +23.1 mm から +19.7 mm へと変化し,esthethic line に対する上下口唇の突出度は上 唇 +1.5 mm から − 3.6 mm へ,下唇は +2.5 mm から − 2.8 mm へと変化し,上下口唇の突出度は改善され,初診時と比べて良 好な側貌が得られた.上下顎前歯の後方牽引時に,上顎歯列に compensating curve 付与し,下顎切歯の舌側傾斜を抑制するた め下顎前歯部に crown labial torque を十分に与えて,上下顎前歯部の圧下を,また Ⅱ 級顎間ゴムを使用し,下顎の大臼歯の近 心移動を効果的に行うことができた.上顎第一大臼歯と第二大臼歯間口蓋側に植立した歯科矯正用アンカースクリュー固定により,上 顎大臼歯のアンカーロスを抑制することができた.以上により前歯部被蓋関係が改善され,上下顎正中線の顔面正中に対しての一致, 大臼歯関係 Ⅰ 級の獲得,良好な咬合状態が達成できた.保定は上下顎歯列にフィクスドリテーナーとサーカムフィレンシャルタイプのリ テーナー(夜間のみ使用)を装着し,治療終了後 1 年 11 か月経過するが,安定した咬合を維持している. 患者は,上下顎左右側 第三大臼歯の抜歯を拒んでいるため,時期を見て必要性が出れば対応する予定である. 日本舌側矯正歯科学会
(JLOA)
日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30( 21 歳 1 か月 ) ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ( 23 歳 3 か月 ) ・治療後の顔写真 ・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP 治療前 82.1 76.9 87.8 21.1 58.2 +4.5 +8.5 129.9 99.2 治療後 77.1 73.8 86.0 21.8 60.9 +3.0 +3.0 95.1 94.3 術後 1 年 11 か月 79.4 75.0 85.2 23.6 62.1 +3.0 +3.0 97.0 94.2
( 25 歳 1 か月 ) ・術後 1 年 11 か月の顔写真
・術後 1 年 11 か月の口腔内写真
・ 術後 1 年 11 か月のパノラマ
症例展示の要旨
氏名 豊巻 裕紀 (ローマ字)Yuki Toyomaki 所属 とよまき矯正歯科 令和 元年 10 月14日提出 タイトル 臼歯部シザーズバイトと叢生を伴う骨格性2級非抜歯症例 治療前資料採取日 2012 年 12 月 28日 32 歳 2 か月 男・女 動的治療開始時 2013 年 3 月 16日 32 歳 5 か月 主 訴 前歯のデコボコを綺麗にしたい 全身既往所見 特記事項なし 口腔内及びX線写真所見 右側 Angle Class Ⅰ 左側 Angle Class Ⅱ overjet 0.5 mm overbite 3.5 mm 上顎中切歯は舌側に,上顎側切歯は唇側に傾斜し,上下左側第二大臼歯はシザーズバイトを呈している. また,第三大臼歯は抜去されていた. 頭部X線規格写真 SNA 81.5° SNB 76.0° ANB 5.5° FMA 31.0° と骨格性 Ⅱ 級を呈し,high angle case であった. 顎関節・歯周所見など クリック音,関節頭の変形等顎関節にも異常は認められかった. 歯周組織にも異常は認められなかった. 診断及び治療方針 右側は Angle ClassⅠ,左側の Angle Class Ⅱ の骨格的に Ⅱ 級と診断し,叢生の具合と口元の突出度を考慮し,非抜歯 で IPR(Inter Proximal Reduction)と,スクリューを用いて,左側の Ⅱ 級の改善を図ることとした. 使用した装置 .018×.025 クリッピー L,歯科矯正用アンカースクリュー治療経過 下顎装置装着後,ストレートワイヤー法を用いて,.012 Ni-Ti にてレベリングを開始し,.014 Ni-TI → .016 Ni-Ti → .016×.016 Ni-Ti → .0175×.0175 .016×.016 Ni-Ti-Mo → ..0175×.025 .016×.016 Ni-Ti-Mo → 016×.022 S.S.とワイヤーサイズをアップし治療を行った.装置装着後8か月後に左 側に歯科矯正用アンカースクリューを埋入し,左側大臼歯の遠心移動を開始した. 左側のシザーズバイトの改善には,クロスオーバーテクニックにより,唇側にも装置とワイヤーを装着し,顎間ゴムも使用した. ディテイリングには上下顎 .0175×.0175 Ti-Mo を使用し咬合の安定を図った. 動的治療終了時 2014 年 12 月 21日 34 歳 1 か月 動的治療期間 1 年 10 か月 保定期間 3 年 6 か月 保定装置 (上顎)クリアリテーナー (下顎)クリアリテーナー 治療結果と考察 口唇の突出もなく,抜歯はせず IPRと臼歯部の遠心移動を試み叢生と咬合の改善を行った.
左 側のシザーズバイトの改 善,overbite は 3.5 mm → 2.0 mm,overjet は 0.5 mm → 2.0 mm へ,Interincisal angle は 143.5 °
→ 134.0°へ変化し良好な被蓋関係と上下前歯歯軸も改善された. 左側の遠心移動をもう少し試みたが,上顎洞底が低いためかこれ以上の遠心移動は難しかった. 保定期間 3 年を経過し,わずかな後戻りはあるものの,骨格の変化もなく被蓋関係も良好で咬合は安定している. 日本舌側矯正歯科学会
(JLOA)
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抜歯部位・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP Interincisal angle 治療前 81.5 76.0 84.5 31.0 66.0 +3.5 +0.5 84.5 93.0 143.5 治療後 81.5 76.0 84.5 31.0 66.0 +2.0 +2.0 93.0 94.0 134.0 術後 3 年 81.7 76.2 84.8 30.7 66.1 +2.0 +1.5 92.1 94.1 135.6 ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ・治療後の顔写真 ( 32 歳 5 か月 ) ( 34 歳 1 か月 ) 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30
・術後 3 年の顔写真
・術後 3 年の口腔内写真
・ 術後 3 年のパノラマ
症例展示の要旨
氏名 松下 龍之介 (ローマ字)Ryunosuke Matsushita 所属 DAN 矯正歯科クリニック 令和 元年 10 月14日提出 タイトル 前歯部の叢生を伴う上下顎前突症 治療前資料採取日 2011 年 1 月 29日 20 歳 3 か月 男・女 動的治療開始時 2011 年 3 月 10日 20 歳 4 か月 主 訴 前歯が出ている 唇が閉じられない 全身既往所見 特記事項なし 口腔内及びX線写真所見 Anqle Class Ⅲ overjet 6.0 mm overbite 3.5 mm 犬歯関係は ClassⅡ 上顎前歯部の著しい唇側傾斜,上顎に A.L.D−1.5 mm, 下顎に A.L.D−5.5 mm の叢生が認められた.パノラマ所見では上下左右側に第三大臼歯が認められた. 頭部X線規格写真 SNA 81.0° SNB 79.0° ANB 2.0° Facial angle 87.0° FMA 31.5° U1 to SN 118.0° U1 to A-Pog 15.0 mm,Lower Lip to E-line は 5.0 mmと上顎前歯部が唇側傾斜し口唇は突出を呈していた 顎関節・歯周所見など 開閉口時のクリック音や開口障害は認められなかった. 口腔清掃も良好 診断及び治療方針 下顎前歯部叢生,上顎前歯唇側傾斜を伴うAngle ClassⅢ 上下顎前突症 上顎前歯部の唇側傾斜,口唇の突出,下顎前歯部の叢生の改善を図るため,上下顎左右第一小臼歯を抜去し,リンガルプラケット装置 による緻密な咬合の確立を行う.舌癖除去のため MFT の指導. 使用した装置 トミー社製 クリッピー L 治療経過 上下顎左右側第一小臼歯抜歯後、リンガルブラケット装置を装着し、上顎は,.012 Ni-Ti ワイヤー,下顎は,.010 Ni-Ti ワイヤーに てレベリングを開始..014 Ni-Ti .016 Ni-Ti .016 ×.016 Ni-Ti ワイヤーまでサイズアップしリベリングを終了..016 ×.022 Ni-Ti .017 ×.025 Ti-Mo ワイヤーにてトルクの確立. 上顎は,左右口蓋側にアンカースクリューを埋入し .017×.025 Ti-Mo ループメカニクスにてリトラクション. 下顎は .017×.025 Ti-Mo ループメカニクス及び .017×.022 S.S. ワイヤーを使用し,スライディングメカニクスにてリトラクション.その際, ClassⅡ 顎間ゴムを使用した. スペース閉鎖後、前歯部に up&down 顎間ゴムを使用し,.0175×.0175 Ti-Mo にてディテイリングを行った. 25 か月後に上下顎リンガルブラケット装置を撤去し,上顎はクリアリテーナー,下顎は Fixed retainer にて保定. 動的治療終了時 2013 年 4 月 17日 22 歳 5 か月 動的治療期間 2 年 1 か月 保定期間 2 年 2 か月 保定装置 (上顎)クリアリテーナー (下顎)Fixed retainer 治療結果と考察 叢生の改善,上顎前歯の後退により,主訴である口元の突出が改善され,自然な口唇閉鎖が可能となった.U1 to A-Po は 15.0 mm から 6.0 mm へ,L1 to A-Po は 7.0 mm から 2.5 mm へ減少した.また,角度的には Ul to SN が 118.0 ゜から 96.0 ゜へ, IMPA は 89.5 ゜から 84.5 ゜へ lnterincisal angle は 113.5 ゜から 140.0°へ 変化した.適正なオーバージェット,オーバーバイト,緻密な 咬合の確立は達成したが,ClassⅡ 顎間ゴムの 長期の使用で,下顎大臼歯挺出により,下顎下縁平面が開大した. また,アンチボウイングベンド量は,歯の移動距離,リトラクション時の力により毎回調整する必要があり, ClassⅡ 顎間ゴムの開始時期, 使用期間も再考させられる結果であった. 日本舌側矯正歯科学会(JLOA)
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抜歯部位 4 4 4 4 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP Interincisal angle 治療前 81.0 79.0 87.0 31.5 63.0 +3.5 +6.0 118.0 89.5 113.5 治療後 81.0 79.0 87.0 32.5 63.0 +3.0 +2.0 96.0 84.5 140.0 術後 2 年 81.0 79.0 87.0 32.5 63.0 +3.5 +2.0 96.0 84.5 140.0 ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ・治療後の顔写真 ( 20 歳 3 か月 ) ( 22 歳 5 か月 )
・術後 2 年の顔写真
・術後 2 年の口腔内写真
・ 術後 2 年のパノラマ
( 24 歳 7 か月 ) 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30
症例展示の要旨
氏名 宮本 豊 (ローマ字)Yutaka Miyamoto 所属 鶴見大学歯学部歯科矯正学講座 令和 元年 10 月14日提出 タイトル High angle を伴うAngle Ⅱ 級叢生 治療前資料採取日 2014 年 12 月 17日 14 歳 8 か月 男・女 動的治療開始時 2015 年 7 月 9日 15 歳 6 か月 主 訴 前歯のガタガタを治したい 全身既往所見 特記事項なし 口腔内及びX線写真所見 Angle Class Ⅱ overjet 6.7 mm overbite 4.1 mm Arch length discrepancy は上顎が−2.4 mm,下顎が−5.9 mmと,中等度の叢生を呈していた.上下顎左側第二小臼歯は scissors bite を呈していた.上顎右側第二乳臼歯は晩期残存していたが,動揺があり,パノラマエックス線写真上ではほぼ歯根吸収しており,正 常な萌出方向の後続永久歯を確認することができた. 頭部X線規格写真 ANB が +5.3° と,骨格的には Ⅱ 級を示し,mandibular plane angle は大きな値を示していた. 上下顎とも前歯は唇側傾斜を示し,上顎前歯切縁は前方位を呈していた. 顎関節・歯周所見など 下顎右側中切歯が唇側転位を示し,歯肉退縮を呈していた.診断及び治療方針 High angle を伴うAngle Ⅱ 級叢生と診断した.治療目標として,叢生の解消,適正な overjet,overbite の獲得,犬歯 Ⅰ 級関係および臼歯 1 歯対 2 歯咬合関係の確立とした.治療方針として,まず上顎右側第二乳臼歯部の保隙を行い,後続永久歯および 上顎左側第二大臼歯の萌出を待つこととした.その後上顎両側第一小臼歯,下顎両側第二小臼歯を抜去し,リンガルブラケット装置を用 いて治療を行うこととした.上顎臼歯部は,加強固定のため歯科矯正用アンカースクリューを用いることとした. 使用した装置 前歯部:Fujita lingual bracket,小臼歯部:STb,大臼歯:CLIPPY−L 治療経過 上顎右側第二乳臼歯脱落後の保隙として,まず上顎に Nance のホールディングアーチを装着した.上顎右側第二小臼歯および上顎 左側第二大臼歯萌出後,口蓋正中部に歯科矯正用アンカースクリューを植立し,PLAS を装着した.上顎両側第一小臼歯および下顎 両側第二小臼歯を抜去し,上下顎にリンガルブラケット装置を装着した.上下顎 leveling 後,.017×.025S.S. closing arch を用い,loop mechanics にて空隙閉鎖を行った.Detailing 時,右側の臼歯関係が Ⅱ 級であったことと,上顎前歯正中が左方偏位していたことから, PLAS を用いて上顎右側臼歯部の遠心移動を行い,上下顎歯列正中を一致させた. 動的治療終了時 2018 年 7 月 10日 18 歳 6 か月 動的治療期間 3 年 0 か月 保定期間 1 年 1 か月 保定装置 (上顎)Fixed lingual retainer (下顎)Fixed lingual retainer 治療結果と考察 叢生が解消され,適正な overjet,overbite を獲得することができた.歯科矯正用アンカースクリューを用いることにより,上顎 左側臼歯部の絶対固定ならびに上顎右側臼歯部の遠心移動を行うことができた.その結果,上顎前歯の唇側傾斜および前方位は改善し, 臼歯関係も Ⅱ 級から Ⅰ 級関係に改善した.また上顎歯列正中を顔面正中,および下顎歯列正中に一致させることができた.治療中,上 顎前歯唇側面の白濁が進行したが,舌側面に白濁および caries が生じることはなく,caries risk の高い患者に対して舌側矯正治療が 有効であることが示唆された. 日本舌側矯正歯科学会
(JLOA)
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抜歯部位 4 4 5 5・セファロの重ね合わせ
SNA SNB Facial-A FMA Y-Axis overbite overjet U1-SN L1-MP Interincisal angle 治療前 74.8 69.5 79.4 33.1 68.1 +4.1 +6.7 106.4 102.8 107.5 治療後 73.7 68.0 78.1 34.5 70.4 +2.0 +2.0 93.0 97.4 125.2 術後 1 年 1 か月 73.6 68.1 78.2 34.5 70.7 +1.8 +2.4 94.9 98.1 122.6 ・治療前の顔写真 ・治療前・中・後の口腔内写真 ・ 治療前・後のパノラマ ・治療後の顔写真 ( 14 歳 8 か月 ) ( 18 歳 6 か月 ) 日本舌側矯正歯科学会 会誌 № 30
・術後 1 年 1 か月の顔写真
・術後 1 年 1 か月の口腔内写真
・ 術後 1 年 1 か月のパノラマ