• 検索結果がありません。

RMP の臨床現場での活用事例と課題: RMP は使用しにくい?

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "RMP の臨床現場での活用事例と課題: RMP は使用しにくい?"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Jpn. J. Drug Inform., 22 (4): N1〜N4 (2021).. 特集 RMP とは何なのか,臨床現場への浸透には何が必要か (4). RMP の臨床現場での活用事例と課題:RMP は使用しにくい? 医療法人鉄蕉会医療管理本部薬剤管理部. 舟. 越. 亮. *. 寛. 本邦では 2013 年より,医薬品リスク管理計画(RMP:. ているものに対しては,重篤な副作用,有害事象を未然回. Risk Management Plan)が法制化され,医薬品医療機器総. 避,早期発見していく必要がある。その視点では,安全性. 合機構(PMDA:Pharmaceutical and Medical Devices Agency). 監視活動ではなく,リスク最小化活動として具体的な方策. の WEB サイトでは,新医薬品・バイオ後続品(バイオシ. が明記されている。RMP の「通常のリスク最小化活動」. ミラー)を中心に RMP が公開されている。RMP は,医薬. において, 「重要な特定されたリスク」は「添付文書への. 品の安全性確保のための取り組みを文書化し,関係者間で. 記載」にほぼすべてのリスクがあげられていた一方, 「重. 共有できるようにすることで,製造販売後における安全対. 要な潜在的リスク」および「重要な不足情報」においては. 策のいっそうの強化推進を図る目的がある。RMP の作成. 「添付文書への記載」があげられていないリスクも一定程. は製造販売業者に義務付けられたが RMP の目的である市. 度見られた報告がある(図 1) 。製薬企業あるいは医薬. 販後の安全対策の中心は臨床現場にある。そのため RMP. 品により記載粒度はさまざまであり,標準化されていない. が臨床現場で使用しにくいのは当然であり,いかに一般応. ことが明らかになっているため今後も記載粒度の標準化を. 用化していくかが重要な課題であり各医療機関等での課題. 協議していく必要がある。. と解決策展望について紹介する。. 2). 3 .患者向け資材の課題. 1 .医療従事者側 RMP の理解度. リスク最小化活動では医療従事者がモニタリングし,早. 冒頭に述べたとおり,RMP は製造販売業者が作成する. 期に発見,評価,対策をする視点と患者が自らの体調の変. ため,すべてが使い手である医療従事者側にとって使用し. 化に気づき,医療従事者へ報告相談する視点が重要である。. やすいわけではない。製造販売業者が治験情報等より創出. 特に,安全性検討事項の列挙項目のなかには,特定の集団. したリスクを重点課題として医療従事者は注視していく必. (腎障害のある患者,肝障害のある患者,小児,高齢者など). 要がある。そのためには,RMP を医療従事者は理解して. に特化した項目や骨髄抑制や悪性腫瘍など本人の自覚症状. いるか,リテラシーの課題があげられる。当該報告では. には現れにくく,主に医療従事者が注意すべきものもある. RMP の理解度については病院薬剤師を対象とした報告が. と考える。また,緊急で使用する薬剤や本人との意思疎通. 1). ある 。RMP に対する理解度が低い病院薬剤師は,RMP. が困難なときに使用する薬剤も多くあるため,必ずしもす. を正確に理解している病院薬剤師に比べて,当然ながら「何. べての薬剤がリスク最小化活動における「患者向け資材の. をしたらいいかわからない」という印象をもつ者の割合が. 作成と提供」を規定し,すべての項目を網羅する必要はな. 大きかった。具体的な利活用は医療機関に任されているう. いと考えることもできる。しかし, 「患者向け資材の作成. えに,製薬企業からの RMP に関する情報が臨床現場に十. と提供」が規定されていないことやすべての安全性検討事. 分に伝えられていないといわざるを得ない。たとえ製薬企. 項を網羅していないことによって指導がより煩雑化し,患. 業から情報を伝えられたとしても,RMP の記載事項のな. 者に十分な理解が得られない場合も想定される。このよう. かには具体性に乏しい表現が散見され,臨床現場で使用し. に患者指導のケースは多種多様である一方で,患者向け資. にくいものがあることもまた事実である。このことから. 材の規定状況についても資材の種類,安全性検討事項の種. も,RMP の理解を深め,RMP の利活用をはじめとした. 類,提出背景ごとで多種多様であるため,その資材が個々. RMP を実装するための具体的な方策を構築し,啓発して. の患者に適用できるかどうかの判断が必要である。. 1). いく必要がある(表 1 )。. RMP における患者向け資材の詳細に関する記載につい て,RMP に資材名が記載されており,その内容から資材. 2 .RMP の記載粒度. の特定が可能なものは全体の約 35%であった(表 2)。約. RMP において臨床現場で患者および直接看護にあたっ *. 連絡先著者). 舟越亮寛. 医療法人鉄蕉会医療管理本部薬剤管理部. 17%の薬剤で冊子やカードなど資材の形態が記載されてい 〒 296-8602. ― N1 ―. 鴨川市東町 929.

(2) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 表 1 RMP に対する印象の違い.   。. 表2. RMP における患者向け資材の詳細に関する記載に. ついて(n=127). 図1. 3). RMP の「通常のリスク最小化活動」における「添. 付文書への記載」に関する記載粒度の件数 特定:重要な特定されたリスク,潜在:重要な潜在的リス ク,不足:重要な不足情報。. 4 .医療従事者(使い手側)の一般応用化での 課題 RMP には医療現場からの声を反映し,RMP の概要が掲. る薬剤もあったが,製薬企業が作成する資材は多種多様で. 載されている。一方で,RMP の概要を処方ごとに添付す. あることもあり,形態のみの記載ではどの資材が該当する. ることは現実的ではなく,非効率である。医療現場では,. 3). かの判別が難しい場合もあると想定される報告もある 。. 処方前の患者の問診,診察のタイミングで RMP が存在す. RMP 改訂時に資材名が追記される場合もあり,より簡便. ることで実効性が高くなる。さらに,病院薬剤師の病棟活. に資材の特定ができるようにするためには資材名まで具体. 動ならびに外来での患者面談においても医師の診療録を確. 的に記載してあることが課題である。. 認した上での薬学的管理を行うため,診療録で RMP に対. ― N2 ―.

(3) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 表3. 4). RMP テンプレートで選択した副作用不明と薬剤師が評価した理由について.  。. を「ほぼ毎日」もしくは「週に3日程度」と回答した薬剤 師 で RMP ポ ケ ッ ト 版 の 活 用 状 況 を 評 価 し た と こ ろ, 66.7%の薬剤師が RMP ポケット版を活用していた。ま た,RMP ポケット版の具体的活用方法として,副作用モ ニタリングや患者向け資材を用いた薬剤説明等があげられ 6). た 。さらに,薬剤師が RMP ポケット版を活用すること で,RMP の安全性検討事項に記載されている重要なリス クの発見やリスク最小化活動としての患者向け資材の活用 に繋がっている。 図2. RMP ポケット版の作成前後における RMP の活用. 状況. 6). (A) 縦軸は 1 週間当たりの RMP の活用回数(回)を示し た。(B) 縦軸は 1 週間当たりの RMP の活用時間(分)を 示した。. 5 .RMP の更なる利活用に向けて 薬剤師法 25 条 2 2 項改正による服薬フォローアップな らびに薬機法改正による地域連携の中での薬薬連携の強化 が推進される中で医療機関と薬局における RMP の共有化 が進むことが想定されている。これまで紹介したとおり,. する医療従事者の情報共有が効率的である。複数の医療機. 薬剤師の副作用の臨床判断等の薬剤師教育が充実され,. 関で診療録におけるテンプレート化による RMP の使用を. RMP 項目の使い手を考慮した標準化が進むことで RMP が. 4,5). 。一方で,テンプレート化し一定の効果. 医療従事者・患者にとって使いやすいものとなり,効果的. は報告されているが,テンプレート化しても薬剤師が知識. かつ効率的に副作用,有害事象の収集と医療従事者,患者. が不足(診断基準がわからない)等により RMP 項目をす. の副作用の早期発見,未然回避が向上するものと期待する。. 推進している. べて有・無と評価することは困難であったと報告されてい る(表 3)。今後,臨床推論など解剖学,病態生理学を体 系的に薬剤師も学ぶ必要性があると示唆された。添付文書 やインタビューフォームと同様に ICH 国際医薬用語集日. 引用文献 1 ) 近藤智子,寺元. 剛,渡邉達也ら.医薬品リスク管理. 計画(risk management plan:RMP)に関する病院薬剤師. 本語版(MedDRA/J)とコーディングを行い,副作用用語. の 理 解 度 の 要 因 分 析.日 本 病 院 薬 剤 師 会 2017;53:. を統一することで定義が一律化し,薬剤師側も評価しやす. 1491-7. 2 ) 佐藤弘康,平沢晋太郎,門野冴美ら.医薬品リスク管. くなる。 また,病棟や在宅において自覚症状はベッドサイドや外 来窓口・診察室での患者面談時,「患者からの訴え」・「患. 理計画におけるリスク最小化活動の記載内容に関する調 査.医薬品情報学 2017;19:32-6.. 者からの質問応需」などが中心であるため,面談時に診療. 3 ) 市江敏和,浅川博翔,鈴木大介ら.医薬品リスク管理. 録のテンプレートをつど確認することはモバイル端末での. 計画における患者向けリスク最小化活動の規定状況に関. RMP 確認は除き困難である。特に多剤併用である場合,. す る 調 査 研 究.日 本 病 院 薬 剤 師 会 雑 誌 2018;54:. RMP を品目ごとに確認することも煩雑であると想定され る。そのため, 「RMP ポケット版」を作成し,利活用を推 進している報告がある(図 2)。患者と接する機会の頻度. 409-15. 4 ) 鈴木信也,猪狩賢蔵,山田. 緑ら.病院薬剤師による. リスクモニタリングツールとしての医薬品リスク管理計. ― N3 ―.

(4) 医薬品情報学 Vol.22, No.4 (2021). 画(risk management plan:RMP)の利活用に関する取り 組 み と そ の 評 価.日 本 病 院 薬 剤 師 会 雑 誌 2020;56: 784-90.. management plans. JDIR 2021 (in press). 6 ) 於本崇志,朝賀純一,青木朋彦ら.医薬品リスク管理 計画(RMP)を患者ケアへ活用するための RMP ポケッ. 5 ) Tsuchiya M, Esashi A, Obara T, et al. Implementation of an adverse drug reaction monitoring system based on risk. ト版の作成とその評価.日本病院薬剤師会雑誌 2019; 55:1077-84.. ― N4 ―.

(5)

参照

関連したドキュメント

(2) カタログ類に記載の利用事例、アプリケーション事例はご参考用で

 その後、徐々に「均等範囲 (range of equivalents) 」という表現をクレーム解釈の 基準として使用する判例が現れるようになり

現実感のもてる問題場面からスタートし,問題 場面を自らの考えや表現を用いて表し,教師の

この課題のパート 2 では、 Packet Tracer のシミュレーション モードを使用して、ローカル

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

②防災協定の締結促進 ■課題

15 校地面積、校舎面積の「専用」の欄には、当該大学が専用で使用する面積を記入してください。「共用」の欄には、当該大学が

利用している暖房機器について今冬の使用開始月と使用終了月(見込) 、今冬の使用日 数(見込)