1.はじめに
ブ ナ 林 は,日 本 の 代 表 的 な 落 葉 広 葉 樹 林 の 一 つ で (Nakashizuka, 1982; Nakashizuka and Numata, 1984; Nakashizuka, 1987;中静ら,2000;佐竹ら,1989),日本列 島の南は鹿児島県高隅山から,北は北海道黒松内町歌才まで 広く分布する(福嶋ら,1981;福嶋・岡 崎,1995;海 ら, 2012;春木,2015;伊藤ら,1991;伊藤ら,2005;菊 池, 2001;紀 藤,2015;北 村 ら,2016;小 泉,2018;増 澤, 2001;松井ら,2018;松本ら,2012;齋藤,2015;斉藤ら, 1979;田中ら.2016)。また,北陸・東北地方の一部では, 天然更新施業 も 実 施 さ れ て き た(前 田,1988;正 木 ら, 2003;Suchewaboripont et al., 2015)。ブナ林の生育基盤とな る土壌については,古くは大政(1951)が,ブナ林は概して 「褐色森林土に属する肥沃な,厚い一種の埴質土壌に成立し ている」ように見えるが,土壌を一様なものとして見ること に疑問を呈して,主に東北地方で多数の土壌調査を実施した。 その結果,ブナ林は褐色森林土・ポドソルを含む様々な土壌 型の幅広い水分条件下(乾性∼湿性)に成立することや,ブナ 林の分布する乾性土壌はB層の現場含水率が高くて水持ちが 良く,適潤性∼湿性土壌はそれに加えてB層の気相率が低い ことを明らかにしている。一方,村井(1991)は,地被別の粗 * 連絡・別刷請求先(Corresponding Author):〒020―0123 岩手県盛岡市下厨川字鍋屋敷92―25 森林総合研究所東北支所:Tohoku Research Center,
For-estry and Forest Products Research Institute, 92―25 Nabeyashiki, Shimokuriyagawa, Morioka, Iwate 020―0123, Japan E-mail : [email protected]
1 Tohoku Research Center, Forestry and Forest Products Research Institute 2 Forestry and Forest Products Research Institute
(2020年7月16日受付,2020年10月1日受理)
論
文
ブナ林土壌の保水機能の二面的定量評価
―岩手県安比高原を対象として―
大 貫 靖 浩
1,*・小 野 賢 二
1・安 田 幸 生
2・釣 田 竜 也
2・森 下 智 陽
1・山 下 尚 之
2 1森林総合研究所東北支所・2森林総合研究所 森林土壌の保水機能は,利水ダム的な機能である「水持ち」と治水ダム的な機能である「容量」の二面性を有す るが,過去にそれらを明確に区分して定量的に評価した研究はほとんどない。筆者らは,従来保水機能が高いと言 われてきたブナ林土壌に着目し,岩手県北部の安比高原に位置するブナ林に調査地を設定して,水持ちの指標と考 えられる土壌含水率と,容量の主要因子である表層土層厚を多点で測定した。また,土壌が非常に厚い地点と薄い 地点で土壌断面調査を実施し,土壌の透水性と保水性を測定して,水持ちと容量の両機能それぞれを定量化した。 さらに,九州・近畿・北陸に現存する火山灰の影響を受けたブナ林土壌との土壌断面形態比較を行って本調査地の 代表性を確認し,火山灰の影響を受け,ほぼ同様な立地条件下のスギ林土壌の保水機能との二面的比較を行い,そ の大小を定量的に評価した。ブナ林土壌の水持ちに関しては,土壌中の隙間の割合が大きく,且つ降水後に水を保 持する能力が高いという結果が得られた。一方,容量に関しては,表層土層厚が1m未満と薄く,細孔隙率および 現場含水率が高いため,実際の降雨時に水を容れられる余裕は少ないと判断された。他地域のブナ林の土壌断面と 比較した結果,現場含水率が下層土で特に高いことが共通しており,本調査地はより湿潤な湿性型ブナ林であると 推察された。スギ林土壌の保水機能との二面的比較を行ったところ,水持ちはブナ林土壌が,容量はスギ林土壌が それぞれ大きい結果となった。 キーワード:ブナ林土壌,保水機能,表層土層厚,土壌物理性,二面的定量評価Yasuhiro Ohnuki, Kenji Ono, Yukio Yasuda, Tatsuya Tsurita, Tomoaki Morishita, and Naoyuki Yamashita: Quantitative evaluation of double aspect of the water storage functions of beech forest soils: An experimental study of the Appi Plateau, Iwate Prefecture, Japan. Japanese Journal of Forest Environment 62:91―100, 2020.
The water retention and storage capacity are characterized as storage functions of beech forest soils. There has been an infrequent research focusing on these storage functionalities. This study was conducted to evaluate the high water-storage functionality of the beech forest soil; we established a research site at the Appi Plateau in Iwate Prefecture, Japan. The soil water content and thickness was measured, after which we dug two soil profiles and measured its water permeability and retention capacities, which were then evaluated quantitatively. Regarding its water-retention capacity, the soils had a high water-holding capacity and high porosity; regarding the water-storage capacity, the soils had a thickness of < 1 m and fine porosity with in-situ water content; therefore, we concluded that under normal conditions, the water-storage capacity of the soil is low. Furthermore, under wetter conditions in comparison with other beech forest soil profiles in Kyushu, Kinki, and Hokuriku Districts of Japan; it was confirmed that there were similarities between soils used in this study and those gotten from other sites. In comparison with the water-storage functionalities of the Japanese cedar forest soils, we concluded that soils of the beech forest possess a high retention capacity, while that of the Japanese cedar forest has a high water-storage capacity.
Key words : beech forest soil, water storage function, soil thickness, soil physical properties, quantitative evaluation
孔隙率を貯水能の指標として比較を行い,植生別ではブナが 最大でスギがこれに次ぎ,カラマツ・アカマツ・その他の広 葉樹が小さいという結果を示した。ブナ・スギともに良好な 土壌に成立しており,地質(母材)としては,火山灰は植生を 問わず明らかに貯水能が大きい,と結論している。 施業や樹種転換に伴う立地・水文環境の変化に関しては, ブナ林が伐採され針葉樹の造林が行われた多雪山地の斜面に おける表層崩壊の発生についてのいくつかの研究事例はある が(相浦,1993;相浦ら,1996),科学的な裏付けがないま ま,1979年以降NHKを含む様々なメディアにより「ブナ等 の落葉広葉樹は保水力が大きく,ブナ等の伐採は保水力の低 下に作用するから洪水や水枯れの原因になる」ことや,「水 源山地での広葉樹の伐採と,その跡地への針葉樹の林種転換 が保水力を低下させ渇水を引き起こす」旨の報道が続けられ て き た(石 井,1997;石 井,2013)。こ れ ら の 主 張 を 石 井 (2013)は「保水力」説と呼び,自身の研究成果から提案する 「保水量」説とは真逆の結果であることを示した。「保水量」 説は,森林蓄積(蒸発散量と正の相関)と土壌の保水量・河川 流量との関係について,洪水・渇水それぞれの発生条件を定 量的に示している。さらに,利根川水系や白神山地のダムに 流入する夏期の流量と森林蓄積との関係を解析し,利根川水 系では理想的な森林蓄積(適度な伐採)により渇水の緩和が可 能であること,白神山地では夏期流量への降水量の寄与度が 大きいため,森林蓄積・伐採の影響は小さく,ブナ等の伐採 が水枯れの原因ではない,と結論づけている。ただし,この 研究では,「保水量」そのものを規定する森林土壌の厚さや 物理的特性についてのフィールドレベルでの定量的な評価は 行われていない。 フィールドレベルでの土壌の保水量や水源涵養機能の定量 的評価は,過去には主に土壌孔隙区分に基づき有効孔隙率を 算出することによって行われてきた(有光ら,1995;諫本, 2002;大貫ら,2014;竹下,1985,1988)。このうち有光ら (1995)は,流域土壌の保水容量(土壌深と孔隙率の積)と水流 出の関係を検討し,渇水緩和機能について定量的に評価した。 一方竹下(1985)は,土壌表層の浸透能と土層の貯留能は洪水 調節に対して強い影響力を持つ,としている。このように, 森林土壌の渇水緩和機能や洪水調節機能についての個々の研 究はいくつかあるものの,両者を明確に区別し同時に定量化 したものはない。改めて森林土壌の保水量(保水機能)を明確 に区別するためには,以下の2つに分けて考えると理解し やすい。1つ目は雨水や融雪水を土壌中に保持する能力(渇 水緩和機能に当たる)で,土壌の孔隙率や現場の土壌含水率 を測定すれば算出できる。2つ目は土壌中に水を貯えるこ とが可能な容積(洪水調節機能に当たる)で,土壌の孔隙率と 土壌の厚さを測定すれば算出可能である。前者は通常時に使 える土壌中の水の「貯金(水持ち):利水ダムの役割」,後者 はもしも(大雨)の時に水を容れることのできる「保険(容 量):治水ダムの役割」に例えることができ,それぞれ渇水 と洪水に対するバッファーの指標となり得る。 著者らは,ブナ林土壌の保水機能を上記のように同時に二 面的且つ定量的に評価することを目的として,岩手県北部の 安比高原ブナ林に調査地を設定し,水持ちの指標と考えられ る土壌含水率と,容量の主要因子である表層土層厚を多点で 測定した。また,土壌が非常に厚い地点,中程度の地点,薄 い地点で土壌断面調査を実施し,土壌の孔隙率・三相組成・ 飽和透水係数などを測定して,水持ちと容量の両機能それぞ れを定量化した。さらに考察において,九州・近畿・北陸に 現存するブナ林土壌との土壌断面形態比較を行って本調査地 の代表性を確認し,ほぼ同様な立地条件下のスギ林土壌の保 水機能との二面的比較を行い,その大小を定量的に評価した。 2.調査地および方法 2.1 調査地の概要 調査は,岩手県八幡平市の西森山北麓,台地状の溶岩・火 砕岩・火山泥流堆積地に広がる安比高原のブナを中心とする 落葉広葉樹二次林(以下ブナ林と記載)で実施した(図―1)。こ こには,高さ31mのCO2フラックス観測タワーを有する面積 4ha(200×200m)の森林総合研究所東北支所安比森林気象 試験地(以下「本調査地」と記載)がある。標高は825∼850m, 傾斜は5∼6°,年平均気温5.9℃,年平均降水量1,869mmで, 冬季の最深積雪は2mを超えることもある(Yasuda et al., 2012)。土壌は主に適潤性褐色森林土(BD型),およびその偏 乾亜型(B(d)D 型)が分布している(橋本ら,2008;Ono et al., 2013)。 本調査地の木本植生はブナ(Fagus crenata)が中心で,立 木本数割合は全体(立木密度1,829本ha−1 )の78%を占めほぼ 純林に近く,樹高は19∼20m,樹齢は80∼90年生である。 他にはミズナラ(Quercus crispula),ウダイカン バ(Betula maximowicziana),トチノキ(Aesculus turbinata),ホオノキ (Magnolia obovata),シ ナ ノ キ(Tilia japonica),ハ リ ギ リ (Kalopanax pictus)も分布する。林床植生は乏しいが,一部 に チ シ マ ザ サ(Sasa kurilensis)が み ら れ る(Yasuda et al., 2012)。 2.2 調査・測定方法 調査した項目は微地形分類,土壌含水率,表層土層厚,土 壌断面観察および土壌物理性(一般物理性・透水性・保水性) である。 このうち微地形分類は,田村(1996)の分類方法に準拠する 形で,4ha内の10×10mの交点(計441地点)で,筆頭著者 の目視によりその場所の微地形単位を確定した(大貫ら, 1998;大貫,2016)。 土壌含水率は,2019年9月27日(秋季)および2020年5月 27日(融雪後)に,本調査地北東部の1.4ha(120×120m)の範 囲の20m間隔の交点の計48地点で,フィールドスカウト ス タンドアロンTDR土壌水分計(TDR-100,スペクトラム社製, キャリブレーションフリー,以下TDR土壌水分計と記載)2 台を用いて測定した(大貫ら,2018)。秋季の測定は,土壌含 水率が安定すると考えられる,まとまった降雨(日雨量16.0 mm,本調査地から東南東方向に10km,標高275mの位置に あるアメダス観測点「岩手松尾」のデータ(気象庁ホームペー 92
ジ)を閲覧)の4日後に実施した。また,融雪後の測定前1 週間の先行降雨量は63.5mmであった(同上)。測定範囲は深 度0∼4cmと0∼20cmで,測定ポイントの落葉層を除去し た後,長さ4cmと20cmのセンサー(センサーの根元から先 端にかけて接触する土壌の含水率の平均値が本体に表示され る)を地表面から鉛直方向に差して測定した。測定値は,3 回以上測定ボタンを押して,値が安定したものを採用した (大貫ら,2018)。 表層土層厚は,4ha全体の範囲で,10m間隔の交点の計 437地点(池やタワー,観測舎の計4地点を除く)において, 土層強度検査棒(太田ジオリサーチ(有)製)を用いて測定した (佐々木,2010)。石礫の影響を極力排除するために,1地 点につき3∼5箇所で測定し,最大値をその地点の表層土 層厚とした。この方法は,従来の簡易貫入試験(大貫・吉永, 1995;Ohnuki et al., 1999;森林立 地 調 査 法 編 集 委 員 会, 2010;大貫ら,2014)より迅速に測定が可能であり,石レキ の少ない土壌では特に有効である。 表層土層が最も厚かった地点(AP1),中程度の地点(AP2), 薄い地点(AP3)で土壌断面調査を実施し(図―2),400mlの土 壌物理性測定用円筒試料を採取して,一般物理性・透水性・ 保水性を測定した。透水性は定水位飽和透水試験(森林立地 調査法編集委員会,2010)で,保水性は加圧板法(森林立地調 査法編集委員会,2010)によって測定・算出し,土壌水分特 性曲線を作成した。表層土層が最も厚いAP1地点では,TDR 土壌水分計を用いた土壌断面の深度別土壌含水率測定を実施 した。 なお,土壌含水率と表層土層厚の測定結果については,微 地形単位別にノンパラメトリック多重比較検定(Steel-Dwass 法,柳 井(2015))を 行 い,有 意 差(*p <0.05,**p <0.01) の有無を判定した。また考察においても,ブナ林土壌とスギ 林土壌の表層土層厚と土壌物理性の違いを,同じ手法を用い て検定した。 3.結 果 3.1 微地形の分布 本調査地内の微地形単位分布図を図―2に示す(図―1と南北 が逆)。確認された微地形単位は,頂部斜面・上部谷壁斜 面・上部谷壁凹斜面・谷頭斜面・谷頭急斜面・谷頭凹地・谷 底面の7つで,上部谷壁斜面(187地点)と頂部斜面(112地 点)の広がりが大きく,谷頭斜面(65地点),谷頭凹地(53地 点)がそれらに次ぐ。谷底面(16地点)を除くと,隣接する別 の微地形単位との比高は1m未満である。谷底面の一部には 年間を通して水が溜まり,池となっているところもあり,地 下水面が地表に現れている可能性が高い。 なお,図中には示していないが,過去の炭焼き窯の跡とみ られる縦横数m,深さ1m以上の人工的な窪地が,上部谷壁 斜面や谷底面の数か所で確認された(西城,2007;西城, 2014)。 3.2 土壌含水率の分布 土壌含水率は,前述のとおり深度0∼4cmと深度0∼20 cmで,秋季と融雪後に測定した。秋季には,深度0∼4cm では土壌含水率は0∼30%の範囲にあり平均18.3%で,微地 形単位別の平均値の差は1%未満,深度0∼20cmでは10∼ 40%の範囲にあり平均27.9%を示し,微地形単位別の平均値 の差は3.4%であった(表―1,図―3)。これに対し融雪後では, 深度0∼4cmでは20∼40%の範囲にあり平均28.9%,深度 0∼20cmで30∼50%の範囲にあり平均38.9%となった。微 地形単位別の平均値の最大差は,深度0∼4cmで3.2%,深 度0∼20cmで3.8%であった(表―1,図―4)。 このように秋季と融雪後では,深度0∼4cm,深度0∼ 20cmともに融雪後の方が10%程度土壌含水率が高いことが 確認された。ノンパラメトリック多重比較検定(Steel-Dwass 法)を実施した結果,秋季と融雪後の土壌含水率には,ほと んどの微地形単位で深度別・季節別の有意差(p <0.01また 図―1.調査地の位置および地形図 国土地理院数値地形図(DEM)を基図として作成。 図―2.調査地の微地形分布図 図―1と南北が逆。図―3以下の各分布図も同様。微地形単位は田村 (1996)に準拠。図中のAP1,AP2,AP3は土壌断面調査地点。等高線 は,長期固定試験地の基点(0,0)を0mとした比高を示す。 93
はp <0.05)が認められ(表―1),有意差が認められなかった のは谷頭凹地の秋季の深度別平均値と,深度0∼20cmの季 節別平均値のみであった。なお,微地形別の土壌含水率の有 意差は認められなかった。 3.3 表層土層厚の分布 表層土層厚は,4ha全体にわたって薄く,1.0m未満の地 点が78%,1.0∼1.5mの地点が16%を占めており,0.5∼1.0m の地点が最も多い(図―5)。調査地東側の船底状を呈する谷底 面(図―2)周辺では,0.5m未満の地点が多く認められ,石レ キが地表面付近に多く存在していた。一方,調査地中央付近 から南側の広い谷頭凹地(図―2)では,表層土層厚3m以上の 箇所が18地点で認められ,最大で4.98mに達していた。これ 表―1.微地形単位別平均土壌含水率 各組合せの有意差(**p <0.01,*p <0.05)は,ノンパラメトリック多重比較検定(Steel-Dwass法)を用いて算出した。微地形単位間の有意差 は無い。 図―3.土壌含水率分布図(測定日:2019年9月27日) 左:深度0∼4cmの平均値,右:深度0∼20cmの平均値 図中の等高線は,長期固定試験地の基点(0,0)を0mとした比高を示す。 図―4.土壌含水率分布図(測定日:2020年5月26日) 左:深度0∼4cmの平均値,右:深度0∼20cmの平均値 図中の等高線は,長期固定試験地の基点(0,0)を0mとした比高を示す。 94
ら18地点では,土層強度検査棒貫入中に深度3mまで石レキ にほとんど当たらなかったが,深度1m以深に貫入抵抗が大 きい層がいくつか認められた。 微地形単位別の平均表層土層厚を図―6に示す。谷頭凹地以 外の6つの微地形単位では,多少のばらつきはあるものの 0.5∼1.0mの範囲にあり,平均表層土層厚が2.0mを超える谷 頭凹地は明らかに表層土層が厚く,地点数の少ない上部谷壁 凹斜面および谷頭急斜面を除いて,ノンパラメトリック多重 比較検定(Steel-Dwass法)を行った結果,他の微地形単位と の有意差(p <0.01)が認められた。このように,本調査地の ブナ林土壌は,谷頭凹地で非常に厚いほかは大方薄いという ことが確認された。 3.4 土壌断面形態 谷頭凹地に位置する本調査地内の最も土壌が厚い地点で, 2019年8月27日に土壌断面調査および検土杖調査を実施し た。A層は15cm程度と薄く,B層は2m以上の厚さがあるこ とが確認できた。土壌断面全体にわたって,石レキがほとん ど含まれておらず,深度20cm付近にA.D.915年に噴出したと みられるTo-a(十和田a)火山灰がレンズ状に堆積しており, 風成の火山灰が厚く堆積していると推察された(図―2,図― 7:AP1)。検土杖を用いて深度325cmまでの土壌の土性を確 認したところ,深度が増すほど砂画分が多く,視認でも降下 軽石の粒子を判別できたが,火山泥流起源の堆積物は確認で きなかった。また,TDR土壌水分計を用いて土壌断面の深 度別土壌含水率を測定したところ,深度5cmのみ24%だっ た他は,深度20cm∼200cmまで43∼51%を示し,まとまっ た降雨(日雨量19.0mm,気象庁,アメダス)から4日経った 後でも非常に含水率が高かった。 CO2フラックス観測タワー近傍の,上部谷壁斜面に位置す る地点で,まとまった降雨(日雨量7.5mm,気象庁,アメダ ス)の9日後の2011年6月8日に土壌断面調査を実施した (図―2,図―7:AP2)。A層はAP1地点よりも薄く(8cm),AB 層(12cm)を挟んで層厚20cmのB層になっていた。B層の下 には,火山泥流起源と考えられる,巨レキを含む風化の進ん だCB層が堆積していた。 上部谷壁斜面に位置する,AP2地点近くの土壌の薄い地点 (図―2:AP3)でも,翌月に土壌断面調査を実施した。土壌断 面形態はAP2地点の上部とほぼ同じである。なお,土壌円筒 試料を採取した深度0∼5cmはAP2地点のA1-A2層に,深度 10∼15cmは同AB層に,深度20∼25cmは同B1層に相当する (図―7)。 AP1,AP2,AP3地点ともに,A層の厚さ,色調や構造, 水湿状態からBD型に判定された(土じょう部,1976)。 3.5 土壌物理性 土壌断面より採取した円筒試料を用いて,土壌の透水性を 測定したところ,AP1地点ではA1,A2層の飽和透水係数が 10−5 オーダーとAB∼B2層よりも小さく,B4層で上下の層よ りも1オーダー小さかった。これに対しAP2地点では,A1 -A2層∼B2層の3層位で,AP3地点でも採取した3層位でと もに飽和透水係数が10−4 オーダーを示し,良好な透水性を示 した(表―2)。 一 般 物 理 性 で は,AP2地 点 のA1-A2層 の 容 積 重 が0.15 Mg m−3 と小さく,AP1地点のB2・B4層の容積重がそれぞれ 0.91,0.89Mg m−3 と大きいのが特徴で,後者の2層位は全孔 隙率・粗孔隙率(水分張力500cm H2O未満)・最大容水量も低 い値を示した。特に粗孔隙率はともに0.06m3m−3 と小さく, 細孔隙率(水分張力500cm H2O以上)が上下の層位と変わらな いのに比べ,特異的であった。石レキ(レキ量)は3地点と もにほとんど存在していない(表―2)。三相組成はAP1,AP3 地点ともに最表層を除いて液相率(X)が気相率(Y)の2倍以 上に達した。その比(X/Y)は特にAP1地点のB2層以下で大き く,9.86∼12.2を示した。なお,AP2地点では液相率(現場含 水率)を測定していないため,全孔隙率の値を液相率と気相 率の列の間に表示している。 図―5.調査地の表層土層厚分布図 図中の等高線は,長期固定試験地の基点(0,0)を0mとした比高 を示す。 図―6.微地形単位別平均表層土層厚 谷頭凹地とそれ以外の微地形単位間には,上部谷壁凹斜面および谷 頭急斜面を除いて,ノンパラメトリック多重比較検定(Steel-Dwass 法)による有意差(**p <0.01)有り(図中に異なるアルファベットで 表記)。 95
土壌の保水性の指標となるAP1地点とAP2地点の土壌水分 特性曲線を図―8に示す。図中の網掛けの部分は,有効孔隙率 (Ohnuki et al.,(1999)の50―500:中孔隙(水分張力50∼500cm H2O)の範囲)であり,それより下が大孔隙および巨大孔隙 (3つを合わせて粗孔隙),それより上が小孔隙(細孔隙)にあ たる。AP1地点では,有効孔隙率がB1∼B4層で10%未満と低 く,特にB2層で0.03m3m−3,B4層で0.04m3m−3と極めて小さ い値を示した。大孔隙および巨大孔隙率についても,B2層で 0.05m3m−3 ,B4層で0.03m3m−3と低かった。一方AP2地点で は,有効孔隙率がAB層(0.12m3m−3)を除いて0.06m3m−3と 10%未満の値を示した。大孔隙および巨大孔隙率は,AB層 で0.07m3m−3 と10%未満であるほかは0.13∼0.31m3m−3 の値 を示した。 このように,調査地内で土壌断面調査を実施した3地点 においては,全孔隙率は高いものの,細孔隙の占める割合が 高く有効孔隙率が低いという測定結果が得られた(表―2,図― 8)。特にAP1地点では,表層土層は非常に厚いものの,深度 1m付近に分布するB2,B4層の飽和透水係数は小さく,また 有効孔隙率は際立って低く,それ以深への鉛直浸透(水供給) が少ないと判断された。 4.考 察 4.1 他地域のブナ林との土壌断面形態・立地環境の比較 前述したように,南は鹿児島県高隅山から北は北海道黒松 内まで現在ブナ林は分布しているが,土壌断面調査が実施さ れた林分は大政(1951)以外には多くなく,土壌物理性の一部 の測定データが示されているのは斉藤ら(1979)のみである。 ここでは,著者らが調査を実施した椎葉峠(九州中央山地, 熊 本 県),英 彦 山(福 岡 県)と,葛 城 山(大 阪 府)(伊 藤 ら, 1991),佐渡(新潟県)(斉藤ら,1979)について,土壌断面形 態や一部の土壌物理性の比較により,本調査地と共通する特 徴がないか検討する(図―7)。 まず上段右側の九州の2つの土壌断面であるが,上部谷 壁斜面に位置する椎葉峠・英彦山ともに表層から深度50cm 程度まで石礫が比較的多いものの,腐植に富む埋没A(IIA) 層が深度50cm以下に分布し,IIA層以下は石礫がほとんど含 まれず降下火山灰の影響が大きいことが推察される。また英 彦山においてTDR土壌水分計で土壌含水率を層位ごとに測 定したところ,A,B1,B2,IIA層の順に56,72,72,74% の値が得られた。土壌物理性は未測定であるが,全層にわ たって湿∼多湿で下層土は飽和に近い状態だと考えられた。 火山灰の影響が大きいことと,現場含水率が下層土で特に高 いことが本試験地と共通していた。 次に下段の葛城山の土壌断面については,詳しい記載や土 壌物理性データは無いものの,なだらかな尾根(頂部斜面)に ブナ林が成立しており,HA層 + A層の厚さが30cmあるこ とから,火山灰の影響を受けていると考えられる。A層が団 粒状構造を有するという記載があることから(伊藤ら,1991), 尾根にしては湿潤な立地環境下にあると推察される。佐渡 (新潟大学佐渡演習林内)の土壌断面は,石礫が全層に散在す るものの,椎葉峠・英彦山同様に腐植に富む埋没A(IIA)層 を有する。全孔隙率は0.65∼0.80m3m−3 の範囲にあり,液相 率は0.31∼0.48m3m−3 と湿潤である。これらの斉藤ら(1979) の測定結果は,大政(1951)が東北地方のブナ林帯における多 くの調査・測定結果から示した,「乾性土壌であってもB層 の現場含水率が高くて水持ちが良く,適潤性∼湿性土壌はそ 図―7.土壌断面記載(引用・改変含む) AP1:2019年8月土壌断面掘削,AP2:2011年6月掘削,椎葉峠(熊本県):2009年2月掘削,英彦 山(福 岡 県):2010年1月 掘 削,葛 城 山(大 阪 府):伊 藤 ら(1991)を 改 変,佐 渡(新 潟 県):斉 藤 ら (1979)を改変 96
表 ―2 .調査地土壌の一般物理性・透水性 KTR-i および KTR-j は,大貫ら ( 20 14 )から引用。表中の―は未測定,未算出であることを示す。 AP 2 の液相率と固相率は未測定のため,全孔隙率−固相率の値を欄の中央 に示した 。 AP 3 の土壌円筒試料は 層位毎ではなく,深度別に採取。両調査地の測定項目の平均値の有意差( ** p < 0 .01 , *p < 0 .05 )は,ノンパラメトリック多重比較検定 ( Steel-Dwass 法) を用いて算出した。 97
れに加えてB層の気相率が低い」という結論と整合的である。 この他に,土壌断面の記載は無いが,臥竜山(広島県)には 湿性型ブナ林が分布することが福嶋・岡崎(1995)により明ら かにされている。その成立要因としては,「多量の降水と雲 霧帯の形成による湿潤化」,「平坦地や緩傾斜での緩慢な水の 移動」,「空隙の多い火山灰由来の土壌の高い保水性」,「火山 灰土壌と下層の基岩由来の土壌との水連結の停止」が挙げら れており,1番目の湿潤化の要因を「多量の降雪」に入れ 替えるだけで,本調査地に全て当てはまる。彼らはさらに, 「山頂部に湿性立地を指標する植物を多く含むブナ林群落が 発達している例」の一つとして中部九州の脊梁部を挙げてお り,椎葉峠がそれに該当する。このように,いくつかの条件 が重なることで,一般には乾性土壌が分布する平坦地や緩斜 面に湿性のブナ林が成立し,本調査地もその一つに該当する 可能性が高いことが明らかになった。 4.2 スギ林土壌との保水機能の二面的比較 次に,本調査地とほぼ同様な母材・微地形条件下のスギ林 の土壌と本調査地のブナ林の土壌,それぞれの保水機能につ いて,水持ち(利水ダム的役割:無次元(m3m−3 ))と容量(治 水ダム的役割:1次元(mm))に関しての二面的比較を行い, その大小を定量的に評価する。本考察では,スギ林土壌の一 例として,大貫ら(2014)の桂試験地の緩傾斜面(谷頭凹地お よび麓部斜面)に位置する2つの土壌断面から得た土壌物理 性データ(KTR-i,KTR-j)と,表層土層厚測定データを使用 し,ノンパラメトリック多重比較検定(Steel-Dwass法)を用 いて,両調査地各2地点の測定項目の平均値の有意差の有 無を検証した(表―2)。なお,土壌の保水機能に間接的に寄与 すると考えられる飽和透水係数は,両調査地ともに10−5∼ 10−4ms−1 のオーダーで有意差は無い。 まず水持ちの指標としては,全孔隙率と液相率(現場含水 率)が挙げられる。全孔隙率はAP1地点で0.66∼0.86m3m−3 , AP2地点で0.71∼0.76m3m−3,AP3地点で0.79∼0.88m3m−3, KTR-i地点で0.60∼0.75m3m−3 ,KTR-j地点で0.72∼0.78 m3 m−3 を示した。両調査地の平均値には有意差(p <0.05)が認 められ,レキ量の多寡(有意差(p <0.01)有り)がその要因の 一つと考えられた。液相率はAP2地点では未測定のため, AP1,AP3地点とKTR-i,KTR-j地点で比較したところ,それ ぞれ0.39∼0.69m3m−3 ,0.46∼0.60m3m−3 ,0.39∼0.51m3m−3 , 0.41∼0.51m3m−3 となり,本調査地と桂試験地に有意差(p < 0.01)が認められた。また,液相率(X)と気相率(Y)の比(X/Y) の比較でも,有意差(p <0.05)が認められた。つまり,本調 査地のブナ林土壌の方が,水を入れられる土壌中の隙間の割 合が大きく,且つ降水後に水を保持する能力が高いと言える。 次に容量の指標としては,全孔隙率と表層土層厚,そして 気相率および全孔隙率中に占める細孔隙率の割合が挙げられ る(表―2の(B/A))。両調査地の全孔隙率は先述の通りである が,表層土層厚は谷頭凹地に位置するAP1地点で本調査地最 深の4.95mであるものの,上部谷壁斜面上のAP2地点では 1.38mと薄く,調査地全体の平均では0.94mと1mに達しな い。一方桂試験地では,谷頭凹地に位置するKTR-i地点で 3.00m,麓部斜面上のKTR-j地点では4.80mで,桂試験地全 体の平均では2.02mと,明らかに桂試験地のスギ林の表層土 層の方が厚いと言える。気相率は平常時における降水を浸潤 させ得る余裕にあたり,本調査地のAP1地点のB2層以下で 0.05∼0.07m3m−3 と非常に低い値を示すのに対し,桂試験地 のB層では0.23∼0.28m3m−3 と余裕がある(有意差(p <0.05) あり)。全孔隙率中に占める細孔隙率の割合(B/A)は,桂試 験地で0.45∼0.62であるのに対し,本調査地では0.51∼0.91と なり,特にAP1地点のB2,B4層で0.91と極端に高い値を示す (有意差(p <0.01)あり)。細孔隙率は,植物の根は吸収でき るが,重力排水および毛管移動できない水を保持する孔隙の 割合であるので,B/Aが高ければ高いほど地下水の涵養・流 出に寄与する水分の割合が減少するが,樹木にとっては利用 できる水分が増加することになる。また,表層土層が厚い AP1地点のB2層以下でB/Aおよび液相率(現場含水率)が高い ことから,水を貯留できる容量(保水容量:表層土層厚(mm) × 全孔隙率(m3m−3 ))および実際の降雨時に降水を浸潤させ 得る容量(実保水容量:表層土層厚 ×(全孔隙率−現場含水 率))は,桂試験地のスギ林土壌の方が明らかに大きいと言え る。なお,本稿で定義した保水容量は,有光ら(1995),諌本 (2002)の大・中・小孔隙区分に基づく保水容量と比較して, 細孔隙も含む全孔隙率を用いているため,より大きな値をと る。 以上の考察をまとめた模式図を図―9に示す。水持ちは無次 元(m3m−3 )で,容量は1次元(mm)でそれぞれ評価した。模 図―8.土壌水分特性曲線および有効孔隙率 網掛け部分が有効孔隙率(Ohnuki et.al.,(1999)の50―500:中孔隙(50∼ 500cm H2O)の範囲) AP1:計7層位 AP2:計4層位 98
式図上部の浸み込み易さ(飽和透水係数)は,水持ち・容量に 間接的に関わる共通の指標とした。 5.おわりに 本稿では,ほぼ純林を呈するブナ二次林の森林土壌を対象 として,水持ちと容量という2つの観点で評価を行い,安 比高原のブナ林土壌は利水ダム的機能(水持ち)は高いが,治 水ダム的機能(容量)は高くないことを定量的に明らかにした。 ただし,表層土層の下に広がる火山泥流堆積物を母材とする 風 化 層 の 厚 さ や 物 理 特 性(Ohnuki et al., 1999;大 貫 ら, 2014)については未測定であり,地下水面より上に存在する 風化層の保水可能容量は無視できないと考えられる(吉永・ 大貫,1992;吉永・大貫,1995)。更に,降水を地下水や渓 流に涵養する水の流れ,特にマクロポアを経由する流速の速 い選択流(例えば小林,2002)の把握に関しては,根系の範囲 と到達深度が土壌の物理性に及ぼす影響とともに,ブナ林の 水源涵養機能を更に詳細に定量化するためには必要不可欠で あり,今後の課題である。 謝 辞 本研究を実施するにあたり,林野庁東北森林管理局岩手北 部森林管理署森林技術指導官出川真潮氏,齋藤智之氏・小谷 英司氏・稲垣昌宏氏をはじめとする国立研究開発法人森林研 究・整備機構森林総合研究所の皆様には大変お世話になりま した。以上の方々にこの場をお借りして厚くお礼申し上げま す。本研究は科研費「機械学習の応用による陸域生態系の土層 厚の広域マッピング」(平成29∼令和元年度)予算を使用した。 引 用 文 献 相浦英春(1993)ブナ林の皆伐および針葉樹の造林が行われた多 雪山地に発生した表層崩壊地の分布と地形要因の関係.日本 林学会誌75:208―215. 相浦英春・嘉戸昭夫・長谷川幹夫(1996)ブナ林の皆伐および針 葉樹の造林が行われた多雪山地における表層崩壊の発生過 程.日本林学会誌78:398―403. 有光一登・荒木 誠・宮川 清・小林繁男・加藤正樹(1995)宝 川森林理水試験地における土壌孔隙量をもとにした保水容量 の推定―初沢小試験流域1号沢および2号沢の比較―.森林 立地37:49―58. 土じょう部(1976)林野土壌分類(1975).林業試験場研究報告 280:1―28. 福嶋 司・岡崎正規(1995)西中国山地の山頂部に発達する湿性 型ブナ林とその立地環境.日本林学会誌77:463―473. 福嶋 司・佐藤幸夫・河路晶子・小島道也(1981)三方岩岳のブナ 林における植物群落と土壌との関係.ペドロジスト25:14―23. 海 虎・石川芳治・白木克繁・若原妙子・畢力格図・内山佳美 (2012)ブナ林における林床合計被覆率の変化が地表流流出率 に与える影響.日本森林学会誌94:167―174. 春木雅寛(2015)北海道ブナ林の立地条件と生態系の成立過程. 森林立地57:75―84. 橋本 徹・三浦 覚・池田重人・志知幸治(2008)樹木指標によ る土壌CO2フラックスの空間変動の推定.日本森林学会誌90: 386―390. 諌本信義(2002)土壌孔隙組成を用いた森林の保水容量の推定と その要因解析.森林立地44:31―36. 石井正典(1997)広葉樹から針葉樹への林種転換は水枯れの原因 か―岩手県内安家川での実証研究.林業技術663:23―26. 石井正典(2013)利根川水系における夏期の水枯れの原因究明に ついて―矢木沢ダムと相俣ダムの場合―.水利科学333:127― 161. 伊藤祥子・星 理恵・藤井哲次郎・谷本丈夫(2005)駒止湿原周 辺の耕作跡地における植物群落構造と土壌との関係.森林立 地47:65―75. 伊藤孝美・榎 幹雄・高原 光・川井裕史(1991)和泉葛城山ブ ナ林周辺の植生と森林構造.大阪府農林技術センター研究報 告27:5―13. 菊池多賀夫(2001)地形植生誌.220pp,東京大学出版会,東京. 北村系子・松井哲哉・小林 誠・斎藤 均・並川寛司・津田吉晃 (2016)ブナ北限集団の遺伝的多様性と北進過程.森林立地 58:1―7. 紀藤典夫(2015)東北・北海道における最終氷期以降のブナ林の 拡大.森林立地57:69―74. 小林政広(2002)連続する粗大孔隙を含む土層中の水と溶質の移 動に関する実験的研究.地形23:659―673. 小泉武栄(2018)地生態学からみた日本の植生.444pp,文一総合 出版,東京. 前田禎三(1988)ブナの更新特性と天然更新技術に関する研究. 宇都宮大学農学部学術報告特輯46:1―79. 正木 隆・杉田久志・金指達郎・長池卓男・太田敬之・櫃間 岳・酒井暁子・新井伸昌・市栄智明・上迫正人・神林友広・ 畑田彩・松井 淳・沢田信一・中静 透(2003)東北地方の ブナ林天然更新施業地の現状―二つの事例と生態プロセ ス―.日本林学会誌85:259―264. 増澤 直(2001)三頭山のブナ林は絶滅寸前なのか?奥多摩の事 例から.(植生環境学―植物の生育環境の謎を解く―,水野 一晴編,222pp,古今書院,東京).72―84. 松井直弘・小野由紀子・城向光弥・石山麻子・森田哲朗・麻生 泉・菅沼孝之(2018)西大台ケ原のヒノキ天然林分布に関係 する土壌など立地環境の影響.森林立地60:1―9. 松本健太郎・逢沢峰昭・松本陽介・大久保達弘(2012)関東北部 高原山におけるイヌブナ・ブナが優占する太平洋型ブナ成熟 林の15年間の森林動態.森林立地54:73―80. 図―9.ブナ林(安比高原)とスギ林(桂試験地)の保水機能の二面 的比較模式図 浸み込み易さ(飽和透水係数)は,水持ち・容量に間接的に関わる共 通の指標とした。水持ちは無次元(m3m−3 )で,容量は1次元(mm) でそれぞれ評価。 保水容量(黒枠全体):表層土層厚(mm)× 全孔隙率(m3m−3 ) 実保水容量(白地の部分):表層土層厚 ×(全孔隙率 − 現場含水率) 飽和透水係数(ms−1)および保水容量・実保水容量(mm)の数字は, オーダーの範囲を示す。 99
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